シナリオ詳細
『ですぞ』の饗宴
オープニング
●幸福なる一時
「えへへ……おんりーいべんとだよ……えへ、えへへへへへ……」
フラン・ヴィラネル (p3p006816)は夢を見る。
ついに明日、彼女が心待ちにしていたイベントが開かれるのだ――思わず楽しみすぎて眠れない感じだったのだが妄想……失礼。頭の中で己が想像力を巧みに繰り広げていたらやがて疲れて眠ってしまっていた。
そのイベントがなんであるのかは明日まで秘すが。
今、彼女が幸せの中にいる事だけは――確かであった。
●夢の中で
――ザントマンオンリーイベント『ざんざん♪』開催でーす!
ふと。気付けばフランはいつの間にか『会場』にいた――あれ? まだ起きてなかった気がするのだが、どうして自分はこんな所に?
「んむ? むむむむむー? まぁいっか!」
そう、フランが楽しみにしていた会場とは―― 同 人 誌 即 売 会 !!
しかもなんとかつて同人誌の聖地の一つ『オータムハバラ』で売りに出されたザントマン同人誌が爆売れし、なんとサブカル界隈で覇権ジャンルとなるまで成長したのだ!! 壁際には女体化転生ザントマン本や、グッズ品も立ち並んでいるぞ悪夢かよ。
――だが。
世の中はこんな狂った連中……失礼。とても楽しい方々ばかりという訳ではない。
「『ザントマンなんておかしくね?』『正気に戻れよザントマンだぞ』なんていう人たちもいるんだよね! なんでも運営には爆破予告まで届いたとかいう話なんだよ……だからシルヴェストルさん! この聖域を守ろうね!!!!! ぐへへへへ」
「……帰りたい」
めちゃめちゃ表情を光り輝かせるフランだが、共にこの会場へと至った(意訳:フランに騙された)シルヴェストル=ロラン (p3p008123)はもうお家に帰りたかった。イベント会場警備とは聞いてたよ? でもね? まさかそれがザントマンイベントとは思わないじゃん?
「フラン。どうしてこんな……いやもうそれは良いとしても――そのラフな恰好は一体?」
「えっ? だってあたしは只の客としてだもん! 警備の仕事してたら買えないじゃんッッッ!」
「そんなガチトーンで返事しなくても……」
もう既にいくつか購入しているのか紙袋を両脇に抱えていて……いやまぁうん良いんだけどね……? ともあれ会場警備の仕事はシルヴェストルに全幅の信頼と共に任せるとしよう。うん、シルヴェストルならきっとうまくやってくれる!!
「人気本はすぐに売れきれちゃうんだよ!! 分かる!? 目の前で完売してしまう事の恐ろしさを!! どれだけ欲してもそこに無いんだよ!!? この手から零れてしまうあの感覚を感じるぐらいなら……あたしは命を絶つよッッッ!」
「何がそんなにフランを狩りたたせているのか」
並々ならぬ情熱だけは感じるけれど。
ともあれシルヴェストルは吐息を一つ零しながら会場の隅で缶コーヒーを片手に頭垂れる――フランはローラーで巡り巡っているし、他にも幾人かのイレギュラーズが来ているようだが……もしやこの世の終わりが此処にあるのでは……?
「……んっ?」
と、その時だ。
会場の隅から外を眺めているシルヴェストルの目に入ってきたのは――
「よし。ここがザントマンを本にするとかいう連中の巣窟だ……!」
「こんな所存在していい筈がない。全部吹っ飛ばしてやろうぜ!」
この会場を襲撃せんとしている頭が正常な人たち……失礼(三回目)。もとい、フランらにとっての敵だ――なんだか放っておいても良いような気がしてきたけれど、依頼なら仕方ない。いややっぱ何もかも見なかった事にして爆破させてもいいかも? そしたら帰れるかも?
「…………かえりたい」
本当に。本当にふかーいため息をシルヴェストルは吐き出しながら。
『ねぇねぇ見てみてこの抱き枕! すごくない!? シルヴェストルさんもいる!!?』と滅茶苦茶聞いてくるフランの笑顔を守るべきか否か――葛藤を続けていた。
- 『ですぞ』の饗宴完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年06月29日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
圧倒的な熱気。これがイベントなのかと一瞬圧倒されかけたのは『洗礼名『プィリアム』』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)だ――
「皆のザントマンへの熱い想いが伝わってくるよ……なんでこうなったの?
いや……グッズを出す側だけじゃなくてお客さんもどうしてこんなに……」
「悪夢だ……そうだこれは悪夢だ、そうに決まっている……」
私も悪夢だと信じたいですぞ『デイウォーカー』シルヴェストル=ロラン(p3p008123)よ。しかし所がどっこい……! 夢だけど夢じゃありません……! これが明日の現実。ウィリアムらの目前に広がっているのは波の様に押し寄せる一般参加の面々だッ!
「ま、まぁ『好き』は人それぞれだからね――他人に迷惑をかけないなら、こう、うん」
いいのかなぁとウィリアムは顎に手を当て考えるものだ。いやこういうのは『好き』と言うより『萌え』? ともあれウィリアムは会場内を広く見渡すように注意して、非常にげんなりしているシルヴェストルは外の様子を見に――と、その途中で目にしたのは。
「ぐへへ! ついに待ちに待った『ざんざん♪』だぁ! 今まで色々頑張ってザントマン二次創作が広まる様に手を回した甲斐があったよね! あっ! も-32bのサークル『もみ茶』は要チェックだよ要チェック!」
何言ってんだコイツの『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)ですぞ! その手には既に巡っている最中なのか紙袋に詰め込んだ本やグッズの数々が……しかし彼女の瞳は楽しみながらも闘志を携えている――
「爆破予告? そんなの許さないよ! 皆の夢と愛の詰まったこの空間、守ってみせるよ――お目当てのサークルを巡った後にね!」
にやけ顔のフランは見回りと言う名のサークルローラー買い作戦に躍り出る。いやこれは警備だよ警備! 既に潜んでいる怪しい輩がいないか……あっ、試し読み良いですか!
「ん、む……おかしいですね、私はイベントへの参加に備えて早めに就寝した筈ですがいつの間に会場に……記憶がありませんが、フランさん達がいらっしゃいますし現実ですかね」
同時。額に手を当て記憶を探る『星の救済』小金井・正純(p3p008000)――だが落ち合う予定だったシルヴェストル達の姿を見て現実かと納得してしまう。駄目ですぞ! 諦めないで目を覚まして!
だが正純は事態を受け入れれば瞳に力を宿すものだ。
この日の為にへそくりも降ろしてきたのだから! どうして!
「買い漁りますよ――目指すは西からッ! 抱き目玉枕にザントマウスパッド……おやこれは人を駄目にするザントクッションではありませんか!」
「ぉぉおこれは女体化現パロザントマンシリーズ『茶ン子にゃん』! ま、まさかの新刊が……いや『にゃんにゃんこ』も!? これは買わねば! 個人用布教用保存用に三点ッ!」
更に正純同様に売り場を巡るのは『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)で……って、なんですかその女体化シリーズって! 人間の欲望は果てがないですぞ!?
「あぁ~ここが噂のざんざん会場……正に極楽でありますな! ザントマングッズはおろかザントマンコスプレイヤー売り子と壮観であります……え、何? 警備……? ……あっ! も、もちろん忘れてないでありますぞ!! ただ、これはそう――現場把握の為に!」
「あ、ジョーイ。良い所に来たぜ、お金出すからあの壁の方のザントマン総受け本サークルの新刊買ってきてくれねーかな。釣りはそのまま持って行っていいからよ!」
お任せあれ! と一瞬で警備を忘れたジョーイが振り向いた先にいたのはこれまたイレギュラーズの『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)……待て。何故カイトは机の向こう側に座っているのですぞ? ま、まさか――!
「へっ。仕方ねぇよな……俺が買いに行きたい所だったんだが……
俺 自 身 も 新 刊 を 出 す からなぁ!!」
トチ狂ってるんですかぞコイツは!!?
カイトが眼前の机の上に並べているのは――なっ!? 『カ●ンちゃんのお仕置き百番勝負ですぞ!?』 馬鹿な! 某深緑の巫女の身内のそっくりさんに延々とお仕置き(意味深)されるなど……命が惜しくないですぞ!?
「はぁ? なんだよオイオイ……良 く 似 た 別 人 だ ぞ ?」
数多の新境地を開拓すべき今日この日の為に準備を重ねていたのだ、カイトは。
命をも恐れず。目指すは圧倒的な情熱立ち込めるこの決戦を制する事のみ――! うわ、この本、とてもお子様には見せられない内容……
と、その時カイトは気付く――外に異質な気配が広がっていると。
「来ましたか……ザントマンはおかしいと至極真っ当な事を述べる暴徒達が……」
同時。空を飛行し周囲を見渡していた『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)も感知するものだ。このイベントを妨害しようとする者達かッ!
だがやらせる訳にはいかない。
「いつかどこかでまかり間違ってザントマン本を手にして、深い深い沼にジャストフィットするかも知れないちびっ子達の夢は――私が守ります。この命に代えてでも……! この会場は守られなければならないのです!」
堅い決意と共に彼女は往く。
暴徒らを止める為に。ちびっ子たちの明日を護る為に!
……いやどう考えてもちびっ子達の為には爆破されるべきだと思いますぞ!
●
正気に戻れー! ザントマンだぞー!
外の方ではそんな声が幾つも轟いていた。
さもありなん。妨害せんとする心を全く理解出来ない訳ではない、が。
「皆々様――本日はお日柄も良く、祭宴の日和には最上に御座います。
であれば。血生臭き所業は無しと致しましょう。
例え思惑の異なりがあろうとも流血をもってする解決は誰しもの望みでなければ」
「な、なんだお前は!」
「私は只、護衛を依頼された者でありますれば」
しかし、と。暴徒の前に立ち塞がるのは『帰心人心』彼岸会 無量(p3p007169)だ。
春画――もしくは危絵、等とも言いますか。本日の催しに取引されているモノは。
斯様な文化は無量のいた世界でも流行っていた代物だ。所謂かな娯楽の一つ……著名な画家等も挙って陰号を名乗り、物によっては河童や蛸相手に情事に耽る絵なども見た事が有る。
故に文化の『理解』は出来るのだ、故に。
「百歩譲り、此の会場にいる方々が間違っていると致しましょう――しかしながら『気に入らぬ』という理由で破壊するのは如何なものでしょう。彼らはあなた方に眼を開き刮目せよと述べてはおりますまい」
腹を割って話そう。その先に見える未来もあるのだから。
「そう! そもそも見たくないなら見なければいいでありますよな? 貴殿らがしてるのは突撃! 向かい先の晩御飯で献立にいちゃもんつけてるようなもんでありますぞ! 見にいって『うわぁこれは酷い!』などというのはおかしいであります!」
更に無量の言に続いて捲し立てる様に語り掛けるのはジョーイだ。
数多の言と勢いによって言いくるめる様に。反論の余地よりも考えさぬ勢いを!
「謝れ! お茶助に謝れであります! 謝らないならせめて帰れであります! 吾輩、戦利品収集で忙しいのでありますから――! あ、それとも手伝うでありますか!?」
「ぬぐぐ! しかし放置して奇妙な広がりを見せたらどうする! 気の迷いは正されるべきではないか!」
「君達の気持ちは分かるけれどイベントに参加している人達は恐ろしい事に正気なんだ」
同時。ジョーイの熱の狭間にて穏便に説得しようと至ったシルヴェストルだ。
いや正直彼らの言い分の方が正しい気がするのだが、まぁ、それはそれとして……
「正気だからこそ彼らは秩序をもってこのイベントを開催している――見るんだ整然と列を成した彼らの姿を……そして分かるかい? 狂っている訳ではないという事は、君達が誰なのか把握して記憶する程度の思考力を残しているという事でもあるんだ」
「それがどうした!」
「つまりね」
一息。
「……下手な事をして顔を覚えられたら最後、同人誌にされてしまうという事だよ。
ザントマンのように」
――衝撃の一言をシルヴェストルは紡いだ。
暴徒達がざわめく。まさか――同人誌の材料に――そんな馬鹿な――!
いや実際『そう』なるかもしれないのだ。彼らは、たった少しでも材料があればそこから無限の世界を錬成する力を持っている……おぉ恐ろしい!
「――そも。あなた方は頭から否定なさって居ますがそれは確りとザントマンについての創作に触れた上での事なのですか? この中に、彼らの文化に触れた事のある者は如何に?」
そして――その動揺の隙間を縫うように無量が再度詰め寄る。
彼らは自らの行いは日の元に晒すものではないと理解した上で、同好の士のみを集めおんりぃいべんとなるものとして開いている。そう、あくまでも他には理解されぬやもしれぬと……配慮をした上で楽しんでいるのだ。
「だと言うにそれを認めぬ方々が態々現場に押し入りその文化を否定する」
――それが許せませぬ。
臭い臭いとのたまいながら何故蓋を開けて嗅ごうとするか――
道理に合わず。故に、許せぬ。
「平和的解決を望みますが、これ以上踏み込むのであれば大人しくは『して』頂きます。
――あぁ。只、そのままに創作へ触れられるというならご存分に。
いかがですかこのザントマン等身大抱き枕など――
細長く、抱くに良く、快適なる眠りに付けましょう。これにて新たな境地が開かれるやも」
言いながら無量がその手に抱いているのはデフォルメされた『ざんと君人形♪』だ。いやなんでこんなに充実してるんだホントにここの人たち正気保ってる?
と、その時。無量の視線の端に映ったのは、それでも破壊を目論まんとする者達。大勢は無量やシルヴェストルの説得で二の足を踏んでいるが――強硬策に出る者もいるかと、吐息一つ零しながらも向かわんとすれ、ば。
「本日は『ざんざん♪』にご来場いただきありがとうございまーす!
あ、お帰りはあちらー! お気をつけてお帰り下さいませ――!」
待ち構えていたウィリアムが衝撃一閃。
害を成さんとした者を吹き飛ばした。
●
衝撃――だが、ウィリアムは優しく打撃を加えたが故に左程のダメージはあるまい。と、同時に彼が周囲へと成すのは保護結界だ。これで少しでも被害は軽減できるかもしれず。
「こらー! こっちはね、今戦争中なんだよ! 一瞬の気の迷いが完売の二文字の前に屈してしまうかもしれない……そんな時にッ――! もう、同人誌にしちゃうよ!?」
直後。とんでもない事を言い放ちながらさっきより紙袋の数が増えているフランが殺気を垂れ流している。あ、あれは! 低身長童顔成人男子ザン君に転生した一冊!!
フランは絶対に死守すべき物達を前に力が湧き上がる。
彼らを――アンソロにグラデ便箋にラミカを――守るんだ!
「不審者発見! あっこの刀は豊穣の町娘に転生したザントマンが彼岸花の力で覚醒した作品の模造刀でね魑魅魍魎の悪鬼達に同人誌されかけた第二話の時のを再現した(早口)」
「な、なんだ!? なんの呪文を呟いてるんだコイツ……!?」
「まだ話の途中だよぉ! 人の話はちゃんと聞こうねって教わらなかった!?」
全霊の一撃! 彼女もまた保護結界を張りながらアンソロ達を護って。
「大丈夫――あなたがたもきっと分かるはずです。だから、恐れないでください」
次の瞬間に到来したのは西の方を巡っていた正純ですぞ!
彼女はまるで聖母の様に優しく語り掛ける……そうだ分からない筈がない。
だって最初はオータムハバラの本屋の小さな一角にしかなかったザントマンコーナーがこんなに一大ジャンルになって……なんだか感慨深くて涙が出てきそうですよ……正にビッグウェーブ。ね、貴方もこの気持ち分かりますよね? え、何? 分からない?
「分かる筈です! ね? もう一度だけ聞きますね――分かりますよね?」
「ひ、ひぃ! とりあえずその弓を下ろしぎゃあッ!」
「分かりますよね? ね?」
ニッコニコ顔の正純だが彼女は冷静ですぞ。狙うのは不届き者達のみ……決して間違っても熱意溢れる作品やその製作者様に当たらぬように狙いを定めている! ひぃ!
「おや、どうしたのですか? そんなに怯えて……さあ、そんな貴方――もう一度言ってみて下さい。あの頃のように元気よく、実は特に異常のない左目を押さえながら『くっ、静まれ……今はその時じゃない……』と。勇気が奮い立ちますよ?」
同時、恐れ慄き始めた暴徒らの中に乱入するのはサルヴェナーズだ。
眼帯を取り外し紡ぐは彼女の抱きし祝福――対象らを催眠に落とさんとする眼。
魔眼と相合わせ彼らの過去を抉り取ろう……そう、つまり!
「ぐああああ止めてくれえええ! そ、それだけはああ!!」
「声が小さいですよ、やり直し。次はお友達にも聞こえる声で! ――何を安心してるですかそちらの方。標的にされずホッとした表情のあなたには、隠しておいたはずの薄い本がうっかり彼氏とエンカウントした時の再現VTRを見てもらいます」
阿鼻叫喚! 彼女は暴徒らのトラウマを呼び覚まし壊さんとしているのだ!
まぁ鬼ではないので戦意喪失ぐらいで留めて差し上げますよ。ええ、自殺なんかまではさせません――ただちょっと当時の記憶をあれこそするだけです。ええ!
乱れる戦線。そして未だ抵抗を続ける輩がいればジョーイ渾身の右ストレートが襲ってきたり、シルヴェストルの掌底が繰り出されたりするものだ。二の足を踏んでいる大半は無量が睨みを効かせて。
「悪いね。最悪の場合、僕も自分の身が大事なんだ――侵入を許してしまったら最後、何をされるか……」
シルヴェストルは思い起こす。フランが意味深な表情を携えながら『前の騒動で仲良くなった子が(題材として)気になるなぁって言ったよ!』とこちらに言の葉を紡いでいた事を……
あれは……獲物を見定めた目だった……
「――いいか、よく聞けお前達。お前たちの嫌うザントマンの成り立ちは『伝承を信じた人間達の恐怖から』という説がある。なら新たな別の事実を本を通して発信し続ければ――どうなると思う?」
そしてトドメの説得に往くはカイトだ。
「俺達が付与した『総受け』などの属性が優先的に強化されて――
結果恐怖ってよりは薄い本が捗る存在として現れる可能性が高い」
つまり俺達が『ザントマン受け』を提唱し続けるのは未来の為なんだ――現にROOには『ラブリーザントマン』なる、アレな存在がいるのだ。これは俺達の努力の結果とも言える!(事実捏造ですぞ――!)
「な、なんだって……つまりこの行いは、正しいのか……!?」
「最初のザントマンは御伽噺から生まれたということは、第二のザントマンはここから生まれるのかな……まぁ生まれ変わったら女の子とかになってそうだけど」
暴徒らに遂に躊躇いが生まれ始めると同時。ウィリアムは思わず『意外と恐ろしい対策』だと感嘆の息を漏らすものだ――いやもしくは只のため息か――まぁそれはともかく。
どうやら彼らは戦う意義を見失っている様だ。
納得、まではしていないかもしれないが、もう爆破までする様な気概はあるまい。
……ならば!
「吾輩戦利品の確保で忙しいでありますからに、これにて! こぎゃん相手に時間をかけるわけにゃあいかんとですばい! もうすぐ時間終了ではなかとですか――!?」
「ええ!? 今日の戦利品やら報告会の打ち上げの予定もあるというのに――! 星よ、私に力をッ! 豊穣長カラ本1冊に手が届く様に――!」
ジョーイは思わず口調が変わりまくる程の迅速さを見せて、同時に正純もまた星に願う――あと一分一秒でも己に時間をと――! はたして天に輝く星は同意するのか否か!
「ふふ。終わってしまいましたね。全ては一時の夢……ですが、思い出と買った薄い本(ドギツイやつ。めっっっちゃドギツイやつ)だけは残ります」
最中に想起するのはサルヴェナーズだ。ああ――
一足早いが最高のクリスマスプレゼントを健気にお留守番してくれているザントマンに届けてやるとしよう。(えっ?)ふふ、目の前に並べられた自分の本をひとつひとつ大きな声で(ちょ??)朗読してくれるのが、とても楽しみですね――(どういう事ですぞ!!?)
「ちょ、最後の熱意がどんどん集合して進めな、あ、痛い! 正純さん、アフターは予約した『茶民』の個室で集合で――むぎゃぎゃ――!?」
そして。楽園を護るべく奮闘したフランは最後のサークルの下へ往かんとして――しかし圧し潰されんばかりの人の波に埋もれ、転げてしまう。
おでこから。地に当たり、しかし。
「…………あれ、痛くない?」
気付く。もしかしてこれは夢なんじゃないかと。
ていう事は! さっき買いそびれた新刊完売も――夢!
「待っててほんとのオンリー! あたし達の戦いは……これからだよ!!」
ンッふっふ。満足そうな笑みをフランは浮かべてリハーサル出来た事にガッツポーズを。
――あぁ明日の、真のオンリーイベントでは何が起こる事か。
きっとカオスな事が起こるのは間違いないと、誰かが吐息を零したとか……
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
こ、これは夢! 翌日のイベントはきっと別の何か……こう……
きっと別のイベントですぞ!!(力説)
ともあれありがとうございました!!
GMコメント
なんだぁ……このリクエストは……?????
以下詳細です!!
●依頼達成条件
同人誌会場を守るんですぞ!(でも別に最終的に爆破されてもOKですぞ!)
つまりこのシナリオでは何しても良いですぞ。夢だから。
●フィールド
夢の中ですぞ。夢の中ったら夢の中ですぞ。
でも実際の同人誌会場にいるみたいですぞ、わぁリアル。
それなりに広い空間ですが……なんでどこを見てもザントマン関連のグッズしか並んでないんですぞ……? 女体化転生した本に、抱き枕に、目玉グッズに……うわあああ色々ありますですぞどういう事ですぞ!!
●襲撃者達
「ザントマンだぞ? お前ら何考えてんだ?」という至極まっとうな主張を行っている集団ですぞ。ぶっちゃけ目立った戦闘能力の類はないので適当にあしらう事も十分可能ですぞ。
でもいっそのこと彼らと一緒になってこの施設の爆破を行ってもいいですぞ。
ていうかむしろして欲しいですぞ。
●備考
今日はザントマンオンリーイベント『ざんざん♪』にお越しいただきありがとうですぞ! 遠回しに申し上げますが、正気ですか? 皆さんはとある同人誌イベントの警備を頼まれ……て、その前日の夢の中というシチュエーションで動いてもらいますぞ。
警備の役割をはたしたり、或いは一般客として参加してたり……
あくまで夢だから、翌日の本当の同人誌イベントがザントマンオンリーイベントとは限りませんぞ。限らない……限らないって言ってんですぞ!!!!!(キレ気味)
皆さんはここが夢の中であると気づいてもいいですし、ノリのままに過ごしてもいいですぞ。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりませんですぞ。
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