PandoraPartyProject

シナリオ詳細

プライドで魔法は使えない

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●プライドで魔法は使えない


「うわ――――どうしようどうしよう。もう時間がないよ!」

 <魔法世界・マギアロア>。
 その中でもエリートな魔法使い達の卵が通う格式高き魔法学園。
 ……その魔法学園に付設されている寮の自室で少年は唸り声をあげていた。

 彼の名はフィネラ。
 この魔法世界でも最高峰と名高い著名な賢者の孫息子であり、その縁故もあってこの魔法学園に在籍している一介の少年だ。
 ――そう、様々な魔法のエリートが集うこの学園に在籍する、縁故でもって入学している一学生だ。

「だ、駄目だ。やっぱりどう考えても僕の魔法じゃ“魔法祭”で発表できる魔法がないよ!」

 そんな彼が悩んでいるのは、かの魔法学園における所謂学園祭に相当するであろう祭典、“魔法祭”の事だ。
 しかし、それはただの学園祭に非ず。この魔法世界において重要な意味を持つその祭典の日は世界中でも大騒ぎするお祭り事だ。
 そして、魔法世界の未来を担うこの魔法学園に所属する学生達が展覧会、あるいは発表会の様に己の成果、己の力を披露する段取りも存在する。
 存在するのだが……

 ――悲しいかな。フィネラ少年は生まれてこの方、魔法を使う才能が壊滅的に低かったのだ。
 魔力はある。エリート一族の生まれに相応しい程度の潜在魔力量は十分にある。
 知識もある。その生まれから魔法を好み、魔法と共に過ごしてきた彼は生粋の魔法オタクとなりその知識量はこの魔法学園の座学でもトップクラスの成績を出せる程の物だ。

 ……だが、実際に魔法を扱う才能だけが、ない。
 勿論、彼も努力はした。
 一族のプライドと魔法オタクとしての彼は諦めず人一倍以上に努力して試行して修練して……それでも、人並み。
 このエリート集う魔法学園だけではなく、魔法世界全体から見て人並みに劣る程度の魔法しか扱う事は出来なかったのだ。
 子供が使うレベルの魔法ならまぁまぁ、それ以上になるとかなり厳しい……
 唯一人並み以上、あるいはこの学園でもそこそこ見れる程度にまで熟練したのは魔法オタクが高じた結果の解析魔法ただ一つだけだったのだ。
 当然ではあるが、そんなザマでは魔法学園の生徒として、高名な魔法使いを輩出してきた一族の末席に名を連ねる者として、とてもではないが発表なんて出来たものではない。
 彼は、途方に暮れていた。

「火花や水芸の魔法で何とか……僕の技量じゃ盛り上げられる程には出来ないか……!」

 魔法祭に向けての計画を紙に記しては捨て、紙に記しては捨て。
 幾つもの計画を思い付きながらも、自分自身の技量の低さ故にそれら全てが無為と化す。
 それは、才能の無さを物心ついた時から自覚しながらも一生懸命邁進してきた彼を以てしても……中々に堪える物だった。

 ……欠席するのも、一つの手もかもしれない。そう弱気になるのも無理がない事であった。
 魔法学園にはブランドがあるが、その魔法学園の教師や生徒達もフィネラの事情は理解している。
 且つてであれば冷笑や嫌味の一つも貰ったかもしれないが、以前異世界の者達――特異運命座標、イレギュラーズが来訪して以来エリート指向のこの学園の雰囲気も随分と和らいできている。
 そんな今であれば、魔法祭の欠席も普通に認められるのかもしれない、と……
 尤も、彼の中にあるプライドがそれを行うつもりは毛頭ないと断言しているのだが。

「イレギュラーズ――ああ、彼ら程の力が僕にあればなぁ」

 フィネラを含む彼らにとって、イレギュラーズとは異世界の稀有なる稀人だった。
 此処とは違う世界から、異なる世界観を持ちやって来た――そして、非常に優秀な魔法使いでもある、とても素晴らしい者達である、と。
 実際にはイレギュラーズの全てが魔法に長けている訳ではないが、少なくとも前回魔法学園に来た二人のイレギュラーズは非常に優秀な魔法使いであったのだから彼らがそう思うのも無理はない事だ。
 そう、彼らから見ても非常に優秀な――

「――はっ! そうだ、閃いたぞ!」

 その瞬間、フィネラの脳内に妙案、浮かぶ!
 彼が持つ人並み以上の物と言えば、それは長年の魔法オタクの成果でもある魔法知識と、それらを理解する為の解析魔法しかあり得ない。
 勿論それ単体ではとてもではないが魔法祭で披露できる物ではない。
 だが、フィネラは主役である必要はないのだ。
 ――そう、優秀な魔法使い(?)であるイレギュラーズ達の華やかな力を借りて、それを力強く己の知識と力で解析、そして解説するのだ!
 妙案だ。実に妙案だ。きっと皆も異世界人であるイレギュラーズ達の魔法をもっと見たいと思っているに違いない――

 ……フィネラは此処最近の試行錯誤で寝不足状態だった。それを結実させる為の幾つもの穴を見落としていた。
 だがそれはさておき、素晴らしい妙案を思い付いた彼を止められる者は居なかった。これでも権力は確かにあったのだ。
 そんな訳で、早速ではあるが第二回特異運命座標召喚試行が開始されたのであった―― 
 


●異世界召喚よ、再び

「どうやら、以前にも路が開いた世界が再び貴方がたを呼んでいる様です。今回は送還術式もちゃんと用意してある様ですね」

 集められた君達にそう言い、これから向かう世界と今回の依頼について説明するのは境界案内人・ディースだ。
 彼女が言うには、今回はかの魔法世界で見栄えの良い演目を披露すれば良いらしい。
 ……イレギュラーズはサーカス団じゃないのだが。
 ちなみに、魔法の力が増幅されるとはいえ上述の通りイレギュラーズは別に魔法の扱いに特化している訳ではない。
 その為、披露するのは見栄えの良い魔法でなくとも演舞や剣舞の類でも良いらしい、故に演目、と。

 そして、どうやら召喚されてから魔法祭までの期間や魔法祭の最中でも演目以外の時間は自由に行動しても構わないだろう、と。
 その間のある程度の自由や待遇も保障されるのであれば……なるほど、中々に面白そうな依頼なのかもしれない。

「ええ、私も皆様の華々しい活躍を期待しています。――それでは、行ってらっしゃい」

NMコメント

 こんばんは、NMの黒矢と名乗っている者です。
 今回のお話は祭りの場でイレギュラーズTUEEEEEE! がしたい。
 大体そんな感じのお話です。


●世界説明
 <魔法世界・マギアロア>。その名前の通り、魔法が基幹にある異世界です。
 ただの中世ファンタジー世界という訳ではなく、魔力を動力として動かす魔動機械等もあり、部分的には現代と同程度の文明力を持っている様に見えます。
 日常を過ごす上では混沌世界と変わらぬ様な生活を送る事ができるでしょう。
 しかし、それでもやはり世界の主流は魔法であり、絶対の指標として存在しています。
 生まれ持った魔力量が少なかったり魔法の才能が劣っていたりすれば差別的な場面に遭遇する事もあるかもしれません。
 ――しかし、且つてのイレギュラーズとの邂逅によりその傾向は少しずつ改善して来ている様です。
 この先この世界がどう変容していくのか……それは未来を読む魔法でも分からないでしょう。


●目標
 “魔法祭”で渾身の発表を披露する。
 

●その他
 イレギュラーズ達は召喚の首謀者であるネフィラ少年の意向により“魔法祭”、その発表に臨みます。
 “魔法祭”が始まるまでの期間や“魔法祭”の中でも発表を行う以外の時間は自由に過ごす事ができ、その間魔法学園や魔法世界内で自由に楽しむ事ができるでしょう。
 勿論、滞在中のイレギュラーズ達の大抵の要望は聞き入れられる事となります。
 “魔法祭”の発表が今回の目標ですが、発表の内容や詳細に関しての要望も融通が利かせられる事でしょう。

 例:自分が扱う魔法を更に魔法世界の魔法使い達複数人に協力して貰い、大規模な儀式魔法にする。
   演舞や剣舞だけでは物足りない、ゴーレム等を出して貰い激戦を演出しよう。etcetc……

●特殊ルール
 この<マギアロア>において、特異運命座標である皆さんは非常に高い魔法的素質を持ちます。
 混沌世界で可能であった行動やスキルは総じて自身の魔法で再現する事が可能となります(物理であっても)。
 また、皆さんが持つ運命逆転力がこの世界では消費もせずに超効率で魔力の代用品として使用する事ができ、実質的に無尽蔵に優れた素質から繰り出される魔法を使用しても問題ありません。
 (勿論、充填や能率を所持している場合それが更に顕著となります) 
 
 
●サンプルプレイング
・例
 魔法と言っても私が使うのは魔法の歌、呪歌。
 こんな場で披露できるなんてツイてるわね。
 それじゃ、フルコーラス行ってみましょうか!

  • プライドで魔法は使えない完了
  • NM名黒矢
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月17日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
かんな(p3p007880)
ホワイトリリィ

リプレイ



「ここが魔法学園……雰囲気があるわね。とても良いと思うわ」
「そう言って頂けると僕も鼻が高いですよ」

 魔法学園の廊下を歩くのは召喚の責任者のネフィラと、召喚された二人だった。
 二人の中でも魔法学園に興味津々なのは『カピブタ好き』かんな(p3p007880)だ。
 混沌世界の学園とも違う魔法学園の趣、それをこの機会に楽しんでいるのだ。

 各教室に付き魔力が、魔法が干渉し合わぬ様に個別に結界が張り巡らされ、扉には鍵の代わりに特別な封印術式が付与等は序の口。
 時間割の告知も、監視カメラも、衛視も全て魔法生物が代用し、その他学校運営施設運用の多くに魔法が利用される。
 食事もまた食材や調理の過程で魔法が介在したりと知的好奇心を擽らせる物だ、とかんなは微笑する。

 しかし、彼らも観光の為に魔法学園を歩いている訳ではない。
 彼らが今回召喚されたのは魔法祭においての披露が依頼の本願だ。
 故に、今魔法学園に居るのもその準備と言っても過言ではない。

「折角の祭りなんだ。派手に行かせて貰わなきゃな」

 頼れる大人として補佐するのは『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)だ。
 既に皆がどの様な発表を行うか概略はフィネラに伝達されている。
 今はその上で内容に合わせ、より劇的な発表にする為の準備を行っている最中なのだ。

 ……祭りとは準備の時が一番楽しい、という言説がある。
 その是非はともかくフィネラは皆と準備している今、確かに苦悩していた時より遥かに前向きに過ごしているのだった。

「予約の手続きは済みました。次は例の道場ですね。少し遠いので転移魔法陣で行きましょう」
「空飛ぶ魔動バイクにも乗ってみたかったけど、後の楽しみに取っておきましょうか」
「早く準備を終えればその分余暇が出来るだろうさ。もうひと踏ん張りだ」


 準備は順調に進み――そして魔法祭がいよいよ開かれる!







 パン! パンパン、パン!
 快晴の下に色取り取りの魔法の花火が上がる今日、待ちに待った魔法祭が開催された。
 祭り、と付くからには様々な出し物や式典、出店等もあるがイレギュラーズの出番は前半戦。
 魔法世界の未来を担う魔法学園の若人達の魔法発表の場が、今か今かと待ち焦がれていた。

「うひゃーお客さんの入り凄いねぇ! いつもこうなのかな!?」
「いつも人気です、今が年はイレギュラーズの皆さんが居ますからね。皆楽しみにしてるんです」
「平和で良い事ではあるわね……ヒィロさん、クリーム付いてるわよ?」
「おっとっと……えへへ」

 舞台裏で祭りの賑わいを観て喜びの声を上げるのは『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)と『あの虹を見よ』美咲・マクスウェル(p3p005192)だ。
 彼女達もまた祭りの準備を整えて自分の出番を待っているのだ。

 イレギュラーズの発表は他の学生達の後の特別枠だ。徹夜明けのフィネラが交渉の末半ば差し込む形となりこの順番になったと言う。
 だが、その選択は正解だろう。彼らの発表を待ち焦がれる者の中でも学生達の年少とは思えぬ魔法の冴えに感嘆し、熱狂しているのだから。
 その様子を眺めながらも和やかな気持ちになるイレギュラーズだったが……ついに出番がやってくる。

『皆様お待たせしました。本年の魔法発表会、最後を締め括るは――異世界より参られしイレギュラーズの皆様です!』
『解説は召喚責任者である僕、フィネラが努めます。どうかよろしくお願いします』
『ありがとうございます。それでは早速参りましょう』

 その言葉と共に会場に登場するのは、美咲。 
 第一陣として現れた彼女に対峙するは幾人もの杖を構えた魔法使い。
 ――魔法世界でも戦闘を得意とする魔法警察の制服を来た魔法使いだ!

『演目は早撃ち勝負、でしたね? 高速の拘束魔法が誰よりも得意だという魔法警察の方相手では分が悪いのではないでしょうか!?』
『そうでしょう。しかし、双方手抜きは無用だと既に言われています。これはプライド勝負になるでしょうか――』

 両者の十数m先に標的が置かれる……合図の後により早く、十分な威力・効果を出した方が勝ち、というシンプルな競技だ。
 シンプルだからこそ、互いの実力がモロに出る。そう言う物だ。
 会場全体に緊迫した空気が漂い

 ――パァン!

 合図が出た、次の瞬間には美咲の標的は神気閃光の光撃で破壊されていた。

『なっ。早い、今のは!?』
『解析魔法でも見抜けなかった!? 相手の方も発射直前で敗北を察しています。早過ぎる!』

 解説も観客も騒然の早業。どの様な絡繰りなのか見当もつかない。
 それを見て同業達が我先にと再び勝負を挑むも――結果は同じ。美咲の早撃ちと比べ一段も二段も遅い。

『――分かりました。魔法警察の方は魔力を専用の杖に流す事で杖の術式で画一的な高速発動を行っていたのに対し、美咲さんは魔力を出すのと同じ様に魔法を発動、放出している……その要は、眼! 思考により構築した術式を視線誘導の最低限の動作で発動しているのか! それでもその思考内での構築は幾ら何でも早すぎる、これがイレギュラーズの力!』
「流石に繰り返したらバレちゃうか。フィネラ君もやるわね」


『さて。素晴らしい早業を披露して貰いましたが次の演目は――ゲオルグ氏の“癒しの奇跡”。しかし、大丈夫でしょうか。回復魔法をパフォーマンスにするのは些か難がある様に思いますが』
『いえ、これはゲオルグさんならではの素晴らしい発表になると僕は確信していますよ』
『これは大きく出ました! どの様な物なのか期待が高まります!』

 壇上に現われるのは壮年の巨漢であるゲオルグだ。
 ハードルを上げやがって、と内心で独り言ちるが、彼のやる事に変わりはない。
 所定の位置に着き、己が魔法のイメージを膨らませる。
 癒しなす活力を与える神々しき光を。天上より優しく降り注ぐ奇跡の如き輝きを。
 力を込めて、己が持つそのイメージのままに魔法として――解き放つ!

『こ、これは!?』
『やはり、凄い……!』

 実況と解説、観客のざわめきと共に瞼を開き、それを目にする。
 それは、周囲を舞い飛ぶ癒しの光を放つ、神々しさすら纏う可愛さ満点のふわもこアニマル達!
 なるほど、癒しのイメージと言ったら確かにこいつらだな……と、僅かな納得が腑に落ちる。

 ……残されるのは実況も解説も仕事をできず、観客達もふわもこアニマル達に骨抜きに和んでいる一時なのだが。

 ――やっぱり収拾が付かなくなっちまったか……




『失礼致しました。気を取り直して次はかんな氏の実習用ゴーレムを使った攻撃魔道披露です!』
『イレギュラーズの方々は皆素晴らしき勇者でもあるとされています。皆様期待してご覧ください』

 戦闘用の技で見栄えが良いような物でもないのに、と思いながらかんなは巨大ゴーレムと対峙する。
 巨象の図体は見上げる程、かんなと比べ倍以上の威容を伝えてくる。
 しかし、彼女とてイレギュラーズ。これ以上の巨体を持つ敵と相対した事もあるし、動きもしないゴーレムに脅威なんて全く感じない。
 ある意味新鮮なこの状況、故に彼女は依頼達成の為に全力を賭す。
 集中して、唯一撃を皆に魅せる為に全力を込める。

『かんなさんの手の武器が大鎌状に変化していき、魔力が圧縮されていきます』

 集中する――

『凄まじい魔力と圧力ですね。反動は大丈夫なのでしょうか!?』

 集中する集中する集中する――

『う、嘘でしょ。どんどん魔力を取り込み大鎌に圧縮されていく。限界と言う物があるのでは!』

 演目の性質上、二度目はない。故に何時もと違い時間をかけ、一撃の為に!
 かんなの主人公力が頂点に達したその瞬間。

 ――一瞬すら経たず巨象は膨大な威力の斬圧により両断された!

『何という威力……いえ、空を見上げてください!』

 その言葉と共に観客と実況達は青空を見上げ――そして絶句する。

 ゴーレムを斬り上げた直上の雲が、深く切り裂かれていた。
 極限まで練り上げた一撃の余波は雲にまで届いていたのだ。それがどれ程の事か、分からぬ筈がない――! 
 特大の賞賛と歓声が鳴り響く中、演目は最終局面へ……


『いよいよ最後の演目と相成りました。最後を締め括るはヒィロ氏と美咲氏の合同演舞です!』
『参加するのは二人だけではなく、十数名の腕利きの術者達もです。見逃し無き様にお願いします』

 会場の中心に、ヒィロと美咲が背中合わせに立つ。
 そして数多の術者達はそれを囲う。演舞の参加者として違和感ある立ち位置に観客がどよめく中。

「いや、最初のが地味過ぎたら申し訳ないし。もちょっと派手目にね? ……無茶な提案をする、とは思ったけどね」
「えっへっへ。大丈夫、ボクに任せてね。それじゃいっくよ―!」

 合図と共に始まるのは音楽と演舞。そして豪華絢爛な魔法の嵐。
 そう、“中央で踊る二人に向けた魔法の嵐”だ。

『な、なんとぉ!』

 消音魔法も駆使し音楽を邪魔せぬ様、それでいて色取り取りの攻撃魔法が二人に襲い掛かる。
 高速の魔法が、誘導弾の魔法が、複数に分たれる魔法が会場を染め上げる。
 そんな魔法の乱舞の中――二人の踊りは全く乱れず、一発足りとも命中しない!

『これは、二人分の回避の動きを即興で舞いに取り入れアレンジし続けています!』
『そんな事が出来るのですか!?』

 ――出来るのだ。それが二人の超技巧。連携の匠の技。
 ヒィロの超越的な舞いの技量だけでも、美咲の相手の気流を読み取り込む技法だけでもない。合わさったがこその超技法。
 次第に魔法の弾幕が少なくなるにつれ二人の周囲を輝きが包み――

 ――ドン!
 ヒィロの闘志が爆発的に広がり観客達を恍惚とさせ
 注目の的となった美咲が練り放った魔法の極撃が天空に華を咲かせた。

 それが演舞の最後の演出。観客達の万雷の喝采と共に、魔法発表は最高の形で締め括られる事となったのだ。

成否

成功

状態異常

なし

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