PandoraPartyProject

シナリオ詳細

雨月郷

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●赤ちゃんって泣き止まない時マジで泣き止まないよねby神官
 
「びゃああああああ!!」
 泣腕に抱かれてb泣き叫ぶ赤子。
 と同時に勢いを突然増す雨。
 ごうごうざあざあと留まる所を知らぬ豪雨が天から地上へと叩き落とされる。
 バケツをひっくり返した様な、などというには生ぬるい浴槽をひっくり返した様な飴である。
 赤子を腕に抱き布で顔を隠した装束の男が狼狽えていた。

「あ、雨御様がお怒りじゃー!!」
「ああ! 川が! 川が!」
「雨御様、お腹すいたんですか? 眠いんですか? あああ泣き止まないーー!!」
水と共に在り、水に護られた都。
 その名を雨月郷という。
 水神様と呼ばれる神を崇め、平和に暮らしていた民に悲劇が起こる。
 そう、水神の子である雨御が泣き止まないのである――!

 玩具を与えても泣き止まない!
 乳をあたえても泣き止まない!
 寝かしつけようとしても眠らない!
 何故かわからないが常にギャン泣きなのである!!

 ことに世話係である神官達は非常に困っていた。
 こうも雨が勢いを増すとこの雨月郷は水底に沈んでしまうかもしれない。
 なんとしてもご機嫌を直してもらわねばならぬのだ。
「水神様はまだお戻りになられぬのか!?」
「神々の集いが長引いていらっしゃるようです!」
 そして親の水神はまだ帰れない様である。なんてこった。
 だが神官達では最早どうすることもできない。
 そこへ駆け込む民の一人。
「し、神官様!て、堤防が決壊しそうです!!」
「な、なんだってー!?」
「びゃあああああああ!!」
「誰か! 誰か赤子をあやすものに長けている者はおらんのかーー!?」

 悲痛な叫びが雨雲へと吸い込まれていった。

●雨月郷
「よう、お前さん達に依頼が届いてるぜ」
 てるてる坊主をつつきながら朧があなた方に声を掛ける。
「場所は雨月郷、水の都って呼ばれるくらい綺麗な場所なんだが……其処に居る赤ん坊を泣き止ませてほしい」
 首を傾げるあなた方に朧は真面目に返した。
「うん、このままだと水の底に沈むんだと。雨月郷」
「!?」
 要約すると赤子は雨を司っているようでその子が泣き止まぬ限り、雨が降り続けてしまうらしい。しかも豪雨で。
「それに村の被害を食い止める人でも足りてねぇみたいだな。赤子泣き止ませた後は観光でもしてきたらどうだい?」
 そんじゃよろしくなと朧はあなた方を送り出した。
  
 

NMコメント

 初めましての方は初めまして。
 そうでない方は今回もよろしくお願いします、白です。
 六月入って雨に関するシナリオを書きたかったのと赤ちゃんの動画狂ったように見てたらなんか出てました。赤ちゃんってかわいいですよね。

●世界説明
 雨月郷
 自然豊かで至る所に美しい泉や川があり水の都と呼ばれています。
 雨の雫をモチーフにした装飾品やお菓子なんかを扱う店がありますが、このままだと沈みます。なんてこった

●行ける場所
 雨月宮
 雨御を神官達があやしている場所です。
 書院造りの立派な建物ですがちょっと浸水してきています。

 街
 民たちが暮らしている家屋です。
 木造が多く近くの川も氾濫しています。
 何人かの民は屋根の上で騒ぎが収まるのを待っている模様。 

●目標
 第一章
 ・雨御を泣き止ませる
 スキル、アイテム等で頑張って泣き止ませましょう。
 全力で変顔するもよし、どけ! 私がママだ! でもいいです。

 ・街の修復を手伝う
 堤防が決壊しかけていたり川が氾濫してたり家屋が破損してたりしてます。
 それらを手伝うのも立派なお役目です。

 
●NPC
 雨御
 アメゴと読みます。
 生後半年くらいの赤ちゃんです。
 人見知り激しいですが懐くと可愛い笑顔を見せてくれます。
 水神の子であり雨を司る能力を持っていますが、絶賛ご機嫌斜めになった結果集中豪雨引き起こしてます。赤ちゃんだからね、仕方ないね。
 ちなみに男の子です。
 
 神官達
 雨御に振り回されてるお世話係の皆さんです。
 温厚で愛情深く、雨御の事を慈しんでいますが緊急事態過ぎて目を回してます。

 朧
 黒衣の境界案内人です。ご指名が無ければ登場しませんがご指名があればホイホイついていきます。いないいないばあは、期待しないでください。子どもは結構好きらしいです。
 
●サンプルプレイング
 あー……赤ん坊が泣き止まねぇってのは仕方ねぇが。
 それで一つの街が沈むのはまずいねぇ。
 ……とりあえず浄瑠璃でも見せてみるか?


 こちらのラリーは第二章構成を予定しております。
 それではいってらっしゃい。

  • 雨月郷完了
  • NM名
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月10日 21時30分
  • 章数2章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと

「はーいママだよ……」
「挨拶が強い」
 泣き叫ぶ雨御を覗き込んだフラーゴラ・トラモントと朧。柔らかな頬をぷにぷにとつついてやるも効果は薄い様だ。
「お腹が空いてるのかも……朧さん、今からミルク作るから雨御様のこと見てて」
「ん、わかった」
 フラーゴラはお湯の入った水筒を取り出し粉ミルクを混ぜ、人肌まで冷ます。朧から雨御を預かり、子守唄を歌いながら与えてやると大人しく哺乳瓶の乳首を銜え始めた。だが、飲み終わるとまた泣きだしてしまう。
「そういや、赤子の体温にしちゃつめてぇな…」
「あ、本当だ……。雨が降ったから寒いのかも?」
 体を温める物は無いかと神官に尋ねればすぐに火鉢を持ってきた。火を焚いた後、焼き石を厳重に包んで簡易的な懐炉を作る。
 おまけに毛布でおくるみにしてやれば幾らか落ち着いた様であった。
「そうだ。朧さん、もう一回雨御様を抱っこして」
「なんかするのかい?……ん、お姉ちゃんがなんかしてくれるってよ」
 再度朧の腕の中に収まり、ぐずりはじめた雨御から少しだけ離れてフラーゴラはマッチを擦る。
 灯の中に浮かび上がる幻影、鳥になり草原を見下ろして空を駆ける夢。
「あう、うきゃ」
 楽しそうに笑った雨御に合わせて若干弱まった雨脚。
「雨が止んだらクリスタルのサンキャッチャーのモビールが欲しいな。太陽の光を受けてきらきらするの……朧さん一緒に買いに行こ……?」
「おう、いいぜ」
 二人は雨雲を見つめていた。


成否

成功


第1章 第2節

古木・文(p3p001262)
文具屋

「やあ、可愛いなぁ。そして元気だねぇ、うちの娘の夜泣きを思い出すよ」
 雨御のふにふにした手を揺らしてやりながら古木・文は柔らかく微笑んだ。文の指をぎゅうと握りしめる力強さに生命の強さを感じ、文は目を細めた。
「本当なら思いきり泣かせてあげたいんだけど……」
 大きくなった泣き声に比例するように勢いを増す雨。恵みの雨とは言うけれど、このままでは水底へ沈むのも時間の問題か。
「郷が沈むのなら何とかしないといけないね。子守に必要なのは一に体力、二に体力。そして体力。うん、今日はよろしくお願いします」
 碌に眠れなかった日々を思い出しながら、文はふわふわとした赤子の髪を撫でてやった。
「ごめんね。雨御ちゃん? 雨御くん? 泣き過ぎたらダメだなんて君も大変だね」
 普段世話をしてくれている者でさえ泣き止まないのだ。知らない人間が騒いだり、大声を出すと驚くだろうと文は静かにバラードを紡ぐ。
 ゆったりとしたリズムとメロディに徐々に雨御の泣き声が小さくなっていく。
「そうだ、手触りのよさそうなぬいぐるみを見繕って持ってきたんだけど。喜んでくれるかな」
 ふわふわとしたタオル地の淡い水色のくまのぬいぐるみを文はそっと持たせてやる。キョトンとしていた雨御だが、くまの手を握りあむあむと口に含み始めた。にへぇと楽しそうにくまの手を涎まみれにしていく様に、文は気に入ってもらえてよかったと、柔らかな頬を優しくつついた。

成否

成功


第1章 第3節

一条 夢心地(p3p008344)
殿

「うむ、うむ。どこの世界であれ赤子は可愛いものじゃ。泣いている姿も愛おしきものじゃが……やはり笑顔こそ一番。どれ、麿が抱いてやろうではないか。」
 元気に泣いている雨御を神官から預かり、抱いてやるとふわふわとした柔らかは肌と赤子特有の暖かさがじんわりと広がり、一条 夢心地は目を細めた。
 遠き日の娘たちの幼き頃を思い出す。
 日の差し込む城の縁側にて、無邪気にこちらに手を伸ばしてふにゃりと笑う娘を見てこの子だけは死んでも守ろうと誓ったものだ。今も息災であろうかと夢心地は想いを馳せた。
「ふあ……ふあああ」
「おお、よしよし。ほんに元気な子じゃの」
 小さな手を指で擽ってやれば握りしめてくる力強さの尊きことよ。
 夢心地は再度目を細めると、さて。と、雨御を抱えなおす。
「それでは麿最大の変顔を見せてやるとするかの、雨御よ。これはなかなかにレアじゃぞ」
「変顔……で、ございますか?」
 きょとんとする神官に有うむと頷き、夢心地は雨御を高く持ち上げる。
「そおれ、高いたかーーーーい、からの」
「……?」
「んベロンベロンベロンベロンばあああーっ∠( ◔౪◔)ゝ」
 衝撃的な夢心地の変顔にびくっと肩を跳ねさせる神官と、夢心地を見下ろしながらきょとんと瞬きを繰り返す雨御。
「む、娘たちにはバカウケだったのじゃがの……?」
「……んへへぇ」
 時間差を置いて楽しそうに燥ぎだした雨御に夢心地はほっと胸を撫でおろした。

成否

成功


第1章 第4節

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク

「ぶはははっ、赤ん坊が泣き止まねぇのは古今東西何処でも一緒だねぇ! うちの領地でもよくあるわー」
 巨体をのっしのっしと揺らしゴリョウ・クートンはぐずる雨御を覗き込んだ。
 そういえ自身の領地に住む夫妻のところに生まれた赤子も同じくらいだったろうかとふと思い出す。とまあ、それはさておき。
 ゴリョウはオークである。故にシルエットがちょっとまんまるいのだ。
 そしてオークであるが故に日頃から丁寧に手入れして自慢としている、もっちもちの腹肉を持っていた。
「人をダメにする腹肉」(※諸説あります)と呼ばれるこのお肉は老若男女、果ては魔物まで魅了してやまないのだ。(※諸説あります)

「というわけでこの腹肉にむにっと乗せてくれ!」
「よ、よろしいので……?」
「構わねぇってことよ! 人肌の温かさと心音のリズム感と程よい柔らかさできっとスヤァしてくれること間違いなしだ!」
「そ、それでは失礼致します。雨御様、ゴリョウ様がお腹に乗せてくださるそうですよ」
 どーんと寝そべったゴリョウの腹の上に神官はおそるおそる雨御を腹に乗せる。もちもちの肌触りと程よい温かさ。とくとくと聞こえてくる心音に安心したのか雨御の泣き声は徐々に小さくなり、代わりに規則正しい寝息が聞こえてきた。
「まぁ俺も寝るけどな! スヤァ!」
「ご、ゴリョウ様―ーッ!(小声)」
 しっかり休んだら雨御を撫でて町の修復でも手伝おうとゴリョウは瞼を閉じた。
 


成否

成功

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