PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Liar Break>ラブ&カオス

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 地獄絵図。今現在のカルマーの状況を一言で表すのならば、この言葉が適切だろう。
 切っ掛けは、何の前触れもなく町の中心部に巨大な時限爆弾が出現し、周囲の人々を巻き込み大爆発した事だった。そこから地獄が始まった。
 幾重にも響き渡る爆音、怒号、悲鳴。燃え盛る家、家畜、そして人間。この町には死と狂気が蔓延した。
 そしてその狂気の中心には、数えきれない程の爆弾を村中に撒き散らす、真っ赤な衣装に身を包んだ真っ赤な髪の男が居た。
「爆発! そう、爆発だ!! 俺は、そしてお前たちは爆発しなきゃならないんだ!! アヒャヤアアア!!」
 この男の名は、バジャ。サーカスの司会進行役を務める団員の1人であり、サーカスに潜む『魔種』の1人でもあり、そして何より愛と混沌と爆発を渇望する狂人であった。
「ラブ&カオス!! そう、世界は愛と混沌と爆発を求めている!! 俺も求めている!! だからみんな一緒に爆発しようぜェエエエ!! 楽しくて愉しくてたまんねぇからさァアアア!!」
 現在サーカスはかなり追い詰められている。幻想蜂起を鎮圧され、公演を取り消しされ。今や検問を張られ国外に出る事もままならないという始末だ。
 そして今現在バジャが引き起こしている殺戮は、そんな危機的状況から脱する為の、大規模撹乱作戦の1つ――なのだが、ぶっちゃけバジャには理由やらそれに至る経緯なんてどうでも良かった。
 バジャはいつだって暴れたくて、ラッキーな事に上から暴れて良いと許可が出た。それだけの話だった。
「そうだよ、皆もっと人生楽しもうぜェ!! 結局人生楽しんだもん勝ちなんだからよォオ!! イッヒヒヒヒヒ!!」
 バジャはハート型の爆弾を投げまくり、人々の身体を吹き飛ばした。逃げ惑う人々を情熱的に抱きしめては、自分諸共爆発させていた。
 全身から溢れ出す狂気は人々の精神を蝕んでいく。狂気に囚われた人々は、ラブ&カオスの精神でより派手でより多くの人を巻き込める形で殺人に手を染めていた。
「ラブ&カオス!! ラブ&カオス!! お前ら全員愛してるゼェエエエ!! イヤッホォォオオオオオオオ!!」
 バジャはいつだって人生を楽しんでいる。


 幻想国の様々な場所で、同時多発的に様々な事件が発生している。これらの事件はいずれも『シルク・ド・マントゥール』、サーカスに与する者たちが起こしている。
 サーカスの目的はこれらの事件によって幻想側の同様と混乱を誘い、その混乱のどさくさに紛れ国外に逃れる事だと考えられている。
 だが、理由はどうあれ結束を固めた貴族たちの包囲を破ることは容易くない。とはいえこれらの事件を放置すれば、甚大な被害が出ることは間違いない。
 もはやサーカスは手段を選ばず凶行に及んでいる。自身らが終焉の勢力であるという事を隠すつもりはもう無いのだろう。
 そしてそんな事件の1つが、幻想領内のとある町、カルマーにて起こっている。
 この事件を起こしているのは当然サーカスの団員だが、原罪の呼び声のキャリアーでは無い。『魔種』である。名をバジャというらしい。
 サーカス内では陽気で盛り上げ上手な司会者でありながら、実は生粋の爆弾魔であったバジャ。彼はどこからともなくカルマーに訪れ、笑い叫びながら人々を無差別に爆殺して回っている。
 更に魔種であるバジャから発せられる狂気は人々の精神を強烈に蝕む。狂気に侵された人々もまた無差別殺人を行い、更に死者を増やしている。
 イレギュラーズ達は速やかにカルマーに向かい、バジャを討伐しなければならない。仮にこの依頼が失敗した場合、バジャはカルマーを完全な更地にした後、次なる虐殺の地へと向かうだろう。
 バジャを倒すのは容易な事では無いだろう。魔種はそれだけ危険な存在なのだ。軽い気持ちで挑めば、火傷では済まない。
 しかしこれは『魔種』を仕留めるチャンスとも言える。確実にバジャを討伐し、ここまで好き勝手やってきたサーカスの悪あがきを食い止めるのだ。

GMコメント

 のらむです。
 ついに現れましたね『魔種』。その名に恥じないかなりの強敵となっております。状況も結構悪いです。
 お覚悟を。

●カルマー
 イレギュラーズ達が町へ到着した時点で町は半壊状態となっており、多くの住民が死亡している。逃げ延びた住民は僅か。
 あちこちから火の手が上がり、狂気に侵された人々が到るところで凶行に手を染めている。
 町の中には自警団や憲兵等の抵抗勢力も存在していたが、既に全員死んでいるか狂気に侵され凶行に手を染めている。
 生き残り町に取り残された人々の内7割はなんとか正気を保っているが、残りの3割は狂気に侵されている。
 バジャは派手な格好で派手に爆弾を撒き誰よりも大きい声で喚き散らしている為、発見自体は容易。

●狂気に侵された人々
 OPにある通り、バジャの狂気は刻一刻と人々の精神を蝕み、狂気に侵された人々は無差別的に殺人を行っています。また、彼らは死を恐れなくなるという特性も持ちます。
 狂気の根源たるバジャを討伐した時点でそれ以上町の住民が狂気に侵される事は無くなりますが、完全に狂気に侵されてしまった人々は元通りになる事はなく、一種の廃人の様な状態に陥ると推測されています。
 しかしそれ以前の段階であれば元の状態に戻ってくる事が可能だと思われます。
 また、当然ながら無差別殺人の対象には当然イレギュラーズ達も含まれています。基本的に大した戦闘能力は持ちませんが、前述の通り死を恐れず行動する為、厄介な存在となるかもしれません。

●バジャ
 いつも笑顔を絶やさない。真っ赤な髪と衣装がトレードマークの素敵なお兄さん(本人談)。敵も味方も自分も世界も誰もかれもを心から愛しています。
 もう分かっていると思いますが完全にイカれています。人や物を爆発する事に至上の悦びを得る変態です。その為なら多少自分の身が傷つこうが全く気にしません。
 それどころが彼の狂気に侵された人々と同様、バジャもまた死を恐れません。自身が生き延びる事と、その場を愛と混沌と爆発に満たす事を秤にかけた場合、彼は躊躇わず後者を優先させるでしょう。
 爆弾を生み出す能力を持ち、ついでに自分の身体を爆発させる能力をも持っています。
 ステータスとしては異様な程打たれ強く、攻撃力もかなり高いです。
 しかし一方で反応、回避はそうでも無いです。
 判明している能力は以下の通りですが、この他に攻撃能力・回復能力を持っている可能性もあります。

・火炎耐性
 火炎、業炎、炎獄を無効化。
・ハートボム(物遠域・業炎・乱れ)※レンジ減衰なし。
 愛を込めたハート型爆弾を撒き散らします。
・ハグ&ボム(物至単・炎獄・窒息・防無・必殺・反動・超高威力)
 近くの相手を情熱的に抱きしめ、自爆します。受ければひとたまりもありませんが、自爆なので当然バジャも傷を負います。
・ラブ&カオス(物特レ・火炎・業炎・溜1・反動・高威力)※レンジ減衰なし。半径50メートルの円状の範囲に攻撃。必ず範囲内にバジャが居なくてはならない。
 ラブ&カオスの思いを秘めた巨大時限爆弾を出現させ、自身もろとも吹き飛ばします。

 以上です。皆様のプレイング、お待ちしております。

  • <Liar Break>ラブ&カオスLv:5以上完了
  • GM名のらむ(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2018年06月29日 22時46分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (10人)

シェリー(p3p000008)
泡沫の夢
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
アレフ(p3p000794)
純なる気配
ルシフェル・V・フェイト(p3p002084)
黒陽の君
アリスター=F=ナーサシス(p3p002118)
モノクローム・ウィスパー
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートD
梯・芒(p3p004532)
実験的殺人者

リプレイ


 予め知らされていた事ではあるが、カルマーの現況は本当に酷い物だった。
 あらゆる方向から悲鳴と炎が上がり、何かが燃えた異臭、湿った血の匂いが辺り一帯を包み込む。
 だが、イレギュラーズ達は迷うことなくその渦中に足を踏み入れた。ここで無駄な時間を使っている暇は無い。
 『泡沫の夢』シェリー(p3p000008)のファミリア、『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)、 『黒陽の君』ルシフェル・V・フェイト(p3p002084)が上空からバジャの位置を特定。可能な限りの最短経路で地上の仲間たちを誘導する。
 地上における細かなルートの探索、取捨選択は主に 『Code187』梯・芒(p3p004532)が行った。これによって更に移動時間は短縮された。
 周囲には多くの狂気感染者たちが存在していたが、『堕ちた光』アレフ(p3p000794)や『迷光仕掛け』アリスター=F=ナーサシス(p3p002118)の警戒もあり、不意の襲撃を受けることは一度もなかった。
 一方で我を失い真正面から攻撃を仕掛けてくる者も居たが、コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)、『魔法少女インフィニティハート』無限乃 愛(p3p004443)、 『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)の3者が素早く殴り伏せていた。彼らだけなら、大した脅威にはなりえない。
 助けを求める一般人に対しては『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)が逃げ道に関する助言を与えたが、それだけに留めた。この混沌たる状況を解決するためには、一秒でも早くバジャを倒すことが何よりも大事なのだ。
 程なくして狂った笑い声が聞こえ、真っ赤で陽気でイカレた標的の姿が見えてきた。
 バジャは爆弾をまき散らす事に夢中で、まだイレギュラーズ達に気づいていない。
 だがわざわざ挨拶してから殴りかかる必要はないだろう。イレギュラーズ達はそれぞれの武器を構えると、一斉にバジャに襲い掛かった――!!


「ラブ&カ……んおうッ!?」
 バジャの不意を突き芒は目にも止まらぬ速さで接近、鈍い光を放つ2本のナイフを構えた。
「その場が良ければ死んでもいいっていうのは気が合わないね。持続可能性は重要なんだよ? それが本来ならば持続が難しいものであるほどに」
 突き出された刃はそれぞれ正確に心臓、肺に到達。そして一気に引き抜くと大量の血が噴き出した。
「なんだなんだ、随分ハッピーなご挨拶じゃねぇかァ!!」
「全く、飽きれる程にイカレたのが出てきたなぁ。混沌と爆発が必要、ね……自分1人だけで爆発してりゃ良いものを……」
 ルナールは溜息を吐き、バジャに一気に接近する。
「自分だけ爆発しても意味ねぇじゃんか! 幸福は皆と一緒に味わうもんだぜぇ、色男!!」
「……そうか。まあ考え方は人それぞれだ。だが生憎俺は、お前と心中する気なんぞない」
 近づくルナールにバジャは反射的に爆弾を投げる。ルナールは冷静に剣の柄を突き出しこれをはじき返す。
「黙って当たると思ったら大間違いだぞ」
 直後、バジャの眼前で爆弾が爆発。更にルナールが放った2連の刺突が、バジャの身体を貫通する。
 しかしバジャの身体に刻まれた深い傷は、バジャの化け物じみた生命力によりすぐさま塞がっていく。
「超絶しぶといっていうのはどうやら本当みたいだね。迅速に処理させてもらうよ!!」
 コリーヌはバジャの背後から斧を振るう。回転が加えられた連続斬撃は、バジャの背をギャリギャリと削り取っていく。
「痛い! こんなんじゃ死んじまうぜー、なんつって!!」
 バジャは完全に狂っているが、そこまで馬鹿ではない。突然の襲撃者がイレギュラーズだという事くらいはすぐに理解した。
「愛を纏い悪を撃つ正義の光!魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」
 ニヤニヤと笑みを浮かべるバジャに、めちゃフリフリな衣装を纏った愛が魔法少女として名乗りを上げる。
 そして自らの魔法少女武器、マジカルサイズ『S.O.H.』に愛とか魔力とか気合とか、とにかく色々込めていく。
「愛!! つまりラブだな!! かくいう俺様もラブ&カオスの伝道者として……」
「貴方の愛は偽物。私の愛と一緒にして貰っては困ります。愛とは無駄に撒き散らすものではなく、真っすぐに心を撃つものです」
 バジャの主張を切って捨てた愛は、キラキラと眩い光を纏ったマジカルサイズを振り下ろす。
 すると刃から巨大な魔力が放たれ、大きくうねりながらバジャの心(心臓)をとてつもない勢いで打ち付ける。何かが砕けるような音と共にバジャは地面に叩き伏せられた。
「おうふ……いややっぱ俺様のラブと似てるような……」
「全然違います。二度と言わないで下さい」
 全く納得のいかないバジャであったが、
「隙だらけですよ」
 バジャが倒れたその一瞬の隙をシェリーは逃さなかった。バジャの身体にオーラの刃を振り下ろすと、バジャは面白いように痛がりのたうち回る。
 更にシェリーに続き放たれたイレギュラーズ達の攻撃がバジャに襲い掛かる。バジャはゴロゴロと転がりその内のいくつかを回避した。
「イヒヒ……俺様のド派手な愛を見せてやるぜ!!」
 ピョンと立ち上がったバジャは両手を天高く突き出した。するとそこに巨大な時限爆弾が出現する。
「ラブ&カオス!! 俺様と一緒に吹き飛ぼうぜェエ!」
「……ッ、いきなりか!! 皆、下がるんだ!!」
 大技の予兆を感じ取ったカイトが自らバジャの眼前に進み出、その移動を阻害する。
「邪魔すんなよ小鳥ちゃん! 折角のパーティーが盛り下がっちまう!」
「爆発なんて求めてないぞ! 俺が求めてるのは夢とロマンだからな!」
 直後、時限爆弾が作動。眩い閃光が広がり爆風が辺り一帯を吹き飛ばした。複数の一般人達を巻き込んで。
「……くそ、くそが!! こういった時の為に俺たちがいるはずなのに……!! お前みたいな野郎は、地獄にでも引きこもってろ!!」
 この戦いに犠牲は避けられない。ルシフェルはその事を良く理解していたが、その胸中はやり切れない思いで満たされていた。
「この世界を『地獄』に変えるのが俺の夢だぜェ、蝙蝠男!! ……さて、これで小鳥ちゃんも焼き鳥ちゃんに……ぬッ!!」
 舞い上がった土煙が晴れ、バジャは目を凝らす。しかしそこに焼き焦げている筈のカイトの姿は無く。ただ緋色の羽根がふわりと舞い散っていたのみであった。
「俺は小鳥ちゃんでも焼き鳥ちゃんでも無いぞ! 俺の名前はカイトだ!!」
 翼を駆使した高速移動で爆風を逃れていたカイト。その後すぐにバジャの背後に回り込んだカイトは、その背に蒼き短剣を突き立てた。
「とは言えやっぱりかなりの威力だねー、一発でも当たったらかなり厳しいかも」
 リンネはそう言いつつ、爆破に巻き込まれた仲間の元に接近。手元の鐘を高らかに鳴り響かせると、身体に纏わりついていた炎がたちまち消えていく。
「……1発であろうとブロック役が大技を避けたというのはかなり大きい。あの時限爆弾は十分な策を取れば避けられるという事が判明したことも。このまま、勝ちに行くとしよう」
 アレフはそう呟くと、両腕に装着した格闘魔戦い兵装、『栄光の手』をバジャに向けて突き出した。
「おいおい、クールぶるなよ色男その2!! どうせ戦るなら目いっぱい楽しもうぜぇ!!」
「生憎私にはそういった趣味は無い」
 直後、アレフの両腕の呪印が淡い光を放つ。するとバジャの足元に突如として幾重もの魔方陣が浮かび上がり。その生命力を一瞬にして奪い去る。
「グ、オウ……? ……クソ、やりやがったなこのゲス野郎!!」
「謝罪が必要か?」
 ここにきてバジャの表情から初めて笑顔が一瞬消え、怒りの感情が露わとなった。何故なら先ほどの魔方陣が、爆弾を作り上げる能力を封じたからである。これは爆弾魔のバジャにとって何よりの苦痛だった。
 イレギュラーズにとっては好機が生まれた場面。だがそれにケチを付けるようにして、周囲から複数人の狂気感染者達が新たに戦場に彷徨いこんできた。
「あー……あれだよ。わたしらみたいなデザートは後にとっとかないと君たち、退屈するぜ……ダメか。まるで聞いちゃいない」
 誘導を聞きもしない狂気感染者達を、アリスターは仕方なく両腕両足をへし折って戦闘不能にする。
「ま、これはこれで仕方ないね。またチャンスは来る……それにしても爆弾が使えなくてあんなに怒るなんて、まるでおもちゃを取り上げられた子供だね」
 パンパンと軽く手を払ったアリスター。既に能力と笑みを取り戻しアレフへの怒りも忘れたバジャを見据え、アリスターは盾と、青い光の剣『見果てぬ世界』を構えバジャに接近する。
「自分だけ気分良けりゃいいなら、あの世でぬいぐるみでも抱いてなよ。君は人として醜い」
 顔面に放たれる盾の殴打。怯んだところに容赦なく放たれた蒼い斬撃。怒涛の連撃がバジャの身体に刻まれた。
「醜かろうと何だろうと、楽しけりゃ全部OKだぜ! アッヒャヒャヒャヒャ!!」
 この男の甲高い狂声は、いつまでこの戦場に響き渡るだろうか。


 この戦いにおけるイレギュラーズの作戦。その中で最も効果があったのは、バジャの大技の1つラブ&カオスの対策だ。
 無策で挑めば一網打尽にされかねないこの技。しかしイレギュラーズ達はブロック役と離脱者を明確に分ける事で、被害を最小限に留める事に成功していた。
「アッヒャヒャ!! だけどそろそろ沈んでもらうぜェ!!」
 そう叫び、バジャはカイトを真正面からガシリと抱きしめた。抵抗する暇もなく、強烈な自爆攻撃がカイトの全身を呑み込んだ。
「ゲホゲホッ……!! ま、まだまだ……!! 俺はまだ夢があるからな、ココで死ぬわけにも、狂気に侵されるわけにもいかないんだ!!」
 一瞬にして全ての体力を奪われたカイトだが、パンドラの力がカイトの意識を無理やりに引き留めた。バジャは後方に退くカイトを狙うが、
「させないよ!! まだ、倒させはしない!!」
 そこに強引に割り込んだコリーヌ。カイトを背に、戦斧を構えバジャと対峙する。
「勇敢だなぁ、お嬢さん!! その勇敢さに俺様は愛を持って応えてやるぜぇ!!」
「……ッ!! まずいッ!!」
 そしてバジャは眼前のコリーヌに抱き着いた。ギリギリの所で捉えられ、そして凄まじい爆発がコリーヌを襲う。
「グ……ウゥ……!!」
 激しい痛みが全身を駆け巡る。バジャの自爆はコリーヌの体力を根こそぎ奪い去り、パンドラの力が発動する。
 視界が赤く染まるが、それに構わずコリーヌは渾身の力で戦斧を振り上げた。
「私はキミの愛とやらに応えるものを持ち合わせてはいないけど……代わりにこれを受け取ってくれると嬉しいなッッ!!」
 そして振り下ろされる戦斧。凄まじい力が加えられたその一撃は、バジャの片足に深く抉る。
「グ……!!」
 その一撃にバジャの笑顔が一瞬消え、苦痛に歪む。
「どうです、貴方にもそろそろ理解できてきたのではないですか? これが、真の愛の力です!!」
 愛はマジカルサイズを振るうと、鋼鉄よりも固いハート型の弾丸が機関銃の様に放たれ、バジャの心(心臓)を貫いた。
「周囲に狂気感染者の姿は無し。攻め時ですね」
 そんな中シェリーは冷静にファミリアーにて得た情報を仲間たちに伝達。自身も武器を構えバジャに向かう。
「だからよォ、そんな淡々と戦りあってもつまんねぇだろ、クールビューティー!!」
「そうですか。どうしても楽しみたいのであれば他を当たって下さい」
 オーラの剣を構えたシェリーはバジャの正面にて剣を振るう。そして軽やかに跳躍し、側方から更に一閃。更に跳躍し、今度は背から一閃。シェリーはバジャの周囲を舞い、凄まじい斬撃の嵐を叩き込む。
「……どうやら、傷が塞がる速度が遅くなってきている様ですね。攻撃を続けましょう」
「あぁ、良かった。このまま日が落ちるまで戦っても死なないんじゃないかと思ってた所だよ」
 畳みかける様にアリスターはバジャの顎先に渾身の拳を叩き込む。
「イヒヒ……頭が揺れてお星さまが見えるぜ……からのラブ&カオス!!」
 そして再び出現する巨大時限爆弾。今度はカイトに代わり、ルナールがバジャの前に飛び出した。
 だが既にイレギュラーズ達は対処法を確立している。大半のイレギュラーズが攻撃範囲から外れ、そして爆弾が起爆した。
「……心底面倒くさいなお前、いい加減にしとけよ」
 だがやはり威力は凄まじい。爆風に包まれたルナールもまたパンドラの力で意識を留め、正面からバジャを睨みつけた。
「さあ、こっからが正念場!! どっちが先にくたばるか我慢比べと行こうぜェエ!!」
 ここまでの流れで時限爆弾による攻撃は非効率と判断したバジャ。最前線のイレギュラーズに集中攻撃を加え、コリーヌ、カイトの2名はとうとう意識を失い倒れ伏した。
 だが、ここで止まる訳にはいかない。刻一刻と、犠牲は増え続けている。町中の人々の悲鳴と怒号は、この戦いの最中ずっと響き続けていた。
「おいこらバジャ野郎! お前にはどんな常識を説いた所で意味は無いだろうが、それでも言わせてもらう! いくらなんでも限度っつーもんがあるだろう!」
「アッヒャヒャヒャ!! 今更お説教かい?」
 激昂するルシフェルの言葉を聞き、バジャは馬鹿にしたような笑みを浮かべる。一方のルシフェルは魔力の水瓶『アクアリウス』を構えバジャを睨みつける。
「……いや、確かにこんなのは無意味だ。お前の心は狂気に塗れてとうに手遅れ。だから俺は、俺に出来ることをやる」
 ポトリ、と。ルシフェルの持つ水瓶から黒い魔力のスープが零れ落ちる。それは地に落ちると肥大化、変形し、漆黒の魔獣へと姿を変えた。
「狂気も一定の境地を超えれば排除しかねえ。滅ぶのも滅ぼすのも好きならここで死ね」
 刹那、魔獣は巨大な顎を開きバジャの首元へ喰らいつく。そして思い切り引き千切ると、黒い塵となって消滅した。
「イ、イヒヒ……今のは結構クールな一撃……」
 首元を抑えながらバジャは爆弾を放る。狙いはぶれない。瀕死のルナールに直撃し、ルナールもまた意識を失った。
「いやー、結構きついね。時限爆弾対策が出来てても、やっぱりそれなりに追いつめられるか。だけどこのままじゃここが亡霊満ちた土地になっちゃうからね。粛々と排除させてもらうよ……死神の職務はその後で十分よね」
 ここまで常に仲間の回復に徹しているリンネ。しかし尋常ではない魔力を内包するリンネには、まだまだ仲間を回復する余裕がある。
「はいはい、みんなもう少し耐えてねー、多分もう少しだよ、多分。死神的直感がそう言ってるから」
 そして再び鐘を鳴らす。最前線の3人が倒れた今、準前衛であるシェリーとアリスターを中心に回復を行っていた。アリスターは既にパンドラ復活を行っている。
「うぉぉい!! さっきから何してくれてんだよおチビちゃん!! 折角互いに気持ちよくなってきた時によぉ!!」
「いや、そんな事言われても……お仕事だし」
 ついにこの戦闘におけるリンネの厄介さに気づいたバジャ。ハート爆弾を投げるが、リンネは咄嗟に生み出した魔力の壁で爆風を回避する。
 だが、未だにバジャは気づいていなかった。自らの命を削るという一点において、猛威を振るっていたイレギュラーズの存在を。
 そして理解していなかった。自分が現状、どれほど追いつめられた状況かという事を。バジャは己の痛み、傷に対しては極端に無頓着であった。
「……そろそろ終わりかな? 魔種っていっても、案外そんなんでも無かったね。殺せば死ぬ。あとはもう一回、隙を作れれば……」
 そう呟く芒は呪いまみれの装備によって非常に脆い肉体と引き換えに、反応速度、機動力、クリティカル能力を確保し、この戦闘において一度も攻撃を受けておらず、かつ最もバジャにダメージを与えていた。
「……もう一度、試してみるか。いい加減、終わりにしよう」
 そしてアレフは再び呪印に力を籠める。浮き上がった魔方陣が、バジャの能力を封印する。
「グオ……!! だから、それは、やめろって……!!」
 顔を真っ赤にして激昂するバジャ。しかしそんな事は気にせず、絶好のチャンスにイレギュラーズは一斉に攻撃を叩き込む。
 全身を斬られ殴られ抉られ刺され。バジャの身体が無意識によろめいていく。
「えっと、何の話だったっけ? そうそう、持続が難しいものであるほど持続可能性は重要で……まあ、要するに」
 芒は姿勢を低くしてバジャに接近し、2本のナイフをバジャの脇腹に一気に突き立てると、
「芒さんの殺人許可証のためにサクッと、爆発みたいに臓物をぶちまけてくれると嬉しいんだな」
 一気にナイフに力を込めた。言葉通り綺麗に裂かれたバジャの腹から、大量の血やらなんやらが溢れ出す。今度の傷は、塞がらない。
「ア、アヒャ! アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! そうかそうか、俺は死んだか!! イッヒヒヒヒヒヒヒ!! グッジョブイレギュラーズ!! だけど中々楽しかったけどよォ、どうせならもっと楽し」
 ブシュ、と芒のナイフが喉笛を引き裂き、バジャは張り付いた様な笑顔を浮かべたまま即死し、悪夢の様な時間は終わりを告げた。
 この狂気に塗れた男の魂も、リンネの手で救われるのだろうか。

成否

大成功

MVP

梯・芒(p3p004532)
実験的殺人者

状態異常

カイト・シャルラハ(p3p000684) [重傷]
風読禽
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562) [重傷]
紅獣
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445) [重傷]

あとがき

 どうも皆様お疲れ様でした。見事な大勝利です。ラブ&カオスの対処を疎かにしていればスピード敗北の危険もありましたが、どうやら杞憂であった様です。
 バジャに至るまでのルート探索も手際よく行われ、戦闘時間もかなり短く済んだ事もあり、カルマーの被害はかなり抑えられた様です。相手の危険度を考えれば、イレギュラーズ側の被害もかなり抑えられたのでは無いでしょうか。
 全員が見事に役割を果たしており非常に迷いましたが、MVPは戦闘時間の大幅な短縮を成し遂げたあなたに差し上げます。

 以上です。またのご参加、お待ちしております。

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