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シナリオ詳細

<Genius Game Next>突然の\ボーナスステージ!/

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 十台ほどの装甲馬車が、けたたましい音をたてて村を目指す。
 外とを隔てる木の柵と門を破壊し、畑に轍の爪痕が刻まれた。

「サ、サンドストームだあ!?」
「ひえええ、お助けを!」
 レジェンダリア西部、ロナンは美しい泉の畔にある小さな村だ。バルツァーレク領に属する。
 豊かではないが、食い扶持と租税を納める程度の安定はある。
 だがそんな平穏は、この日に破られた。

 村人達の悲鳴もどこ吹く風と、曲刀を携えたヒゲ面のターバン男達が次々に馬車を降りる。
「歯ごたえがねえ国だなあ。その文ボロ儲けで助かるってもんだがよ!」
 リーダーとおぼしき黒ターバンの髭男が嘯くと、盗賊まがいの傭兵達が口笛を吹いた。
「今晩はここで商売といこうや。おい傭兵様のおなりだぜ。酒と女、分かってんだろうな!」
 村人達は顔を曇らせ、傭兵達は喝采する。

 リーダーは部下達に金品の収奪を指示すると、村の小さな酒場に入っていった。
 金! 酒! 女!!
 がはは! これで今年の稼ぎも、安泰だ。


 イベント
 2021.06.01 Genius Game Next
 いつも「Rapid Origin Online」をお楽しみ頂きありがとうございます。
 2021年6月1日より新規イベントGenius Game Nextが開催されます!

 練達のRapid Origin Onlineをプレイするイレギュラーズに、そんな知らせが届いた。
 噂のR.O.Oが、ついに『大イベント』を開始したらしい。
 もともとR.O.Oは練達の国家プロジェクトであった。だが何らかの原因で暴走し、増殖した情報は混沌を模した『ネクスト』なる、ゲームじみた世界を作り上げてしまったのだ。
 研究者や実験に協力していた学生などが囚われ『ログアウト出来ない』事件も多く発生。そしてこのネクストでゲームのクエストをクリアした場合、この囚われた人々が解放されるといったことも多かった。さながらトロフィーのように。
 ネクストはまるでVRMMOのように『遊べる』環境を構築しているのだ。だから一連の事件解決の糸口を見つけるためには、攻略が近道だと思われる。

 R.O.Oの冒険それ自体は、そんなゲームの中の出来事である。
 だがネクストに『トロフィー取得』のような筋道が用意されている以上は、バグの根源や解決へと至るために、ゲームに乗る必要がある。練達上層部はそのように考えた。
 このイベントは、そんな推論を強力に補強する材料なのだ。
 現実世界のラサを歪に模倣した砂漠の悪漢『サンドストーム』が、これまた幻想を改変したような『レジェンダリア』に攻め込む。イレギュラーズが為すべきは、この被害を低減することなのだ。
 R.O.Oは『このイベントはネクストの歴史を変え得る重要なイベントです。特別クリア報奨も用意されていますので奮ってご参加下さいませ!』なんて『お知らせ』してきた。

 そんな訳で、練達は再びイレギュラーズに大規模な依頼を持ちかけたのである。
 本件はきっと、更に踏み込んだ推論の礎になるのだと。

「それでー、なんでしょうねこれー」
 お知らせを開いた 『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)が一行を振り返る。
 開かれたウィンドウに踊っている告知の文章は――

 \ボーナスステージ!/

 装甲馬車、超破壊大作戦!
 どっちが強いか、呑み比べ!
 装備を剥ぎ取れ、麻雀大会!

 \無理、無茶、無謀を押し通せ!/

「や、わかんない」
 ゲームのアナウンスによると、この村の砂嵐達は、村を脅して色々と貢がせ、酒場で飲んで麻雀しているらしい。だから今の内に『破壊工作』『酔い潰す』『装備破壊』を行うことになっている。
 手段は――

「やっぱりその、馬車破壊と、呑み比べと、麻雀? の、みっつなんですー?」
 いや、おかしいだろ。
 特に後ろの二つ。
「こういうのバグっていうんですかねー」
 いや、しらんし。
 だがあえてゲームに乗ることで、真相に近づけるならば、戦闘より楽という考え方も――

 \デスカウントもあるよ!/

 あるんかい!

GMコメント

 ボーナスステージです!
 されどこの桜田ポーチュラカ。麻雀のルールなど一つもしらぬわ!

■依頼達成条件
 みっつのゲームを良い感じに遊ぶ。
 一個に集中してもいいですし、沢山あそんでみてもいいです。
 ボーナスステージだから!
 頑張って良い感じのスコアを稼ぎましょう。

■フィールド
 伝承西部、ロナンの村。夜です。
 皆さんは村の人に歓迎され、勝負を応援されます。

■ゲーム
『装甲馬車、超破壊大作戦!』
 村はずれに十台ほどの装甲馬車が並んでいます。
 敵は出ません。ボーナスステージだから!
 ありったけの攻撃を叩き込んで、ぶっこわしてやりましょう!
 たまに火薬が爆発したり、不測の事態が発生するかもしれません。

『どっちが強いか、呑み比べ!』
 酒場の傭兵達と、呑み比べ対決です。
 酔い潰して戦えないようにしてやりましょう。
 未成年はジュースになりますが、もちろん参加はOK。ボーナスステージだから!
 おいしいご飯もあります。食べ放題。応援されてるから。

『装備を剥ぎ取れ、麻雀大会!』
 敵の装備を消滅させてやりましょう。
 負けると衣服が一枚ずつ消えていきます。
 対戦相手の見た目や性別は、自由に選びましょう。
 チートイカサマし放題です。ボーナスステージだから!

 麻雀のルール……は、えっとなんか三個、そろえる?
 りーちいっぱつ? めんたんぴんさんしょくどらよん? ってなんですか。なんか弱そうなので、たぶん得点低いですね。
 だいさんげん? なんとなく字が少ないし簡単な漢字なので点も少ないとおもいます。
 あ! 天上天下唯我独尊ですか? あー、それはつよそう。絶対高得点。
 墾田永年私財法? すごいつよそう! 絶対高得点。

■同行NPC
『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)
 世界中を旅して占いなどをしている魔法使いの女の子。
 旅の路銀も少ないため、もっとギルドに顔を出そうと決意した。
 現在はR.O.Oにログインしています。
 適当に参加します。指示があれば聞きます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
 だって麻雀のルールとか知らないし。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

※重要な備考『情勢変化』
<Genius Game Next>の結果に応じて『ネクスト』の情勢が激変する可能性があります。
又、詳細は知れませんが結果次第によりR.O.Oより特別報奨が与えられると告知されています。

  • <Genius Game Next>突然の\ボーナスステージ!/完了
  • GM名桜田ポーチュラカ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年06月20日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

那由他(p3x000375)
nayunayu
リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
神様(p3x000808)
R.O.Oの
ダリウス(p3x007978)
尾を喰らう蛇
崎守ナイト(p3x008218)
(二代目)正義の社長
アルフィンレーヌ(p3x008672)
ムッターロボ
ヴィオラ(p3x008706)
月の裏側
ジャスティーナ(p3x009816)
正義の騎士

サポートNPC一覧(1人)

セスカ・セレスタリカ(p3y000197)
旅する乙女

リプレイ


 ファンファーレとともに画面が切り替わり、『\ボーナスステージ!/』の文字が上から降ってくる。
 光の中から現れるのは『R.O.Oの』神様(p3x000808)だ。
「かみだよ。いつも見ているよ」
「きゃー! 神様ー!」
 神々しく現れた神様に手をふる村人たち。『神の仔竜』リュート(p3x000684)はさっきまで隣りにいたはずの神様が何故か上から降ってきたことに驚くもとりあえずそのまま見守ることにする。
「村の危機と聞き及び、出現したるはこの神様。民草の応援に応えるため期待を背負い悪辣を撃滅す」
 神様が手を掲げると後光が差し込んだ。
「魅せよう、高揚せしめよう、忘れ得ぬ時を与えよう。この村の民草は幸福である。我々が巻き起こす奇跡の数々。後にこう伝えられる事であろう――」

 伝説 LEGENDなど……
 叙事詩 SAGAなど生温い
――神話 MYTHOLOGY

 と。

 馬車が木の板みたいに画面の端から現れる。
『nayunayu』那由他(p3x000375)は画面の上の方に掛かったままのボーナスの文字に首をかしげた。
「ボーナス? なにか景品がもらるのでしょうか。それとも簡単にクリアできるからボーナスみたいなものとか。色々と想像はできますけれど……まあ、やってみればわかりますね」
 そう、特に説明とかは無いがなんとなく破壊すればいいような気がする。そういうものである。
「色々あるみたいですけど。ここはやはり単純な火力が必要とされる馬車破壊ですね!
 どんな相手だろうと、私の武器の一刀両断真っ二つですよ。ふっふっふっふー!」
 那由他は大きな剣をぶんぶんと振り回しにっこりと笑顔を浮かべる。
「麻雀がどんなゲームなのかは興味があるので顔は出しますけどね。というわけで――」
「しばし、待たれよ。馬は逃してやろうではないか」
 剣を振り上げた那由他を引き止めるのは神様だ。
「馬がいなければ、馬車は引けない。自明の理ね」
 神様に同意するのは『白き星の守護者』アルフィンレーヌ(p3x008672)だ。
 ニンジンを与え体力をつけさせ出来るだけ遠くへ逃がす。
「二度と、悪党に捕まったら駄目よ。元気でね~」
「残りたい者は民草が面倒を見てくれる 世界を見て回る者達 皆達者で暮らすのだぞ」
 手綱を取り外し、尻を叩いた神様は遠ざかっていく馬を自愛の眼差しで見つめていた。

「よしでは、全力攻撃で、ぶっこわします! 地返しを使って、ひたすら斬って斬って斬りまくるのです」
 那由他の双剣が荷台だけになった馬車に亀裂を刻む。
 バリバリと音を立てながら削れていく馬車の外装。
「力を全力で振るうのは楽しいけど、少女も斬ってみたいなー。苦痛に歪んだり、悲痛な顔を見たい……想像したら高ぶってきましたね、うん」
 目の前の馬車が少女だったならば。なんて妄想に頬を染めた那由他はとどまるところを知らない。
 馬車に仕掛けられた爆弾が爆発して那由他を吹き飛ばす。それでも少女は笑みを浮かべ立ち上がり剣を叩きつけた。
「傷つきながらだって壊せますよ。たのしー。くふふふふ」
「頑張るのだぞ!」
 那由他を応援する『正義の騎士』ジャスティーナ(p3x009816)は次なるステージに思い馳せる。
「麻雀はやったことはないが、頭の体操と聞いているのでな、一度やってみたかったのだ」
「純戦闘のクエストばかりと思いきや、楽しそうなイベントがあるじゃないですか! でもまあ死ぬときは死ぬらしいですし……。楽しんだもの勝ち、かな?」
 ジャスティーナの隣で声援を送るのは『恋するサテライト』ヴィオラ(p3x008706)だ。彼女の歌声が高らかに響き、BGMが変わり士気があがる。テレッテテレッテテテ!

「後片付けをしやすいように、念入りに砕き――償却!」
 アルフィンレーヌは馬車の瓦礫を一箇所に集め燃やした。
「さらに、エコロジーの観点から、その火を利用して、飲み比べで提供する、おつまみを作成! また、火を利用し湯も沸かしておく。なんて経済的。これぞ、600万の家事育児技のひとつ。ゴミ焼却火再利用よ」
 素晴らしいママ適正である。
『職業無職住所不定』ダリウス(p3x007978)は歯茎を見せながらケタケタと笑う。
「キケケケケ! 他は面倒な話ばっかだってーのに、ここじゃある意味好き放題しても良いってのは楽じゃねえか!」
 画面の上にキラキラときらめく文字を見上げるダリウス。
「ただのチンピラ風情が馬車壊すなんて……いやー無理っすわ。だもんで俺は見学、ついでに不正だなんだ騒ぐ馬鹿がいないか見張りもしておくか」
「一時金(bonus)……社長(President)の立場からすればある意味出費確定の下げぽよワードだが、今回は純粋に俺(ORE)に供給があるって訳で、それだけでもう最高じゃねーの!」
 髪をかきあげた『正義の社長』崎守ナイト(p3x008218)は馬車を指さしてニヤリと微笑む。
 90年代ダンスミュージックと輝くミラーボールが突如現れ辺りを照らせば、ナイトが華麗に踊りだす。
 那由他が破壊している馬車にターゲットを絞るナイト。キレッキレのダンスがビッときらめく汗と共に締められ謎の衝撃が馬車を襲う。そして、ここで爆炎を背にクールな決めポーズだ!
「全て燃やしてやろう 民草の不安ごと」
 爆炎は神様が放ったものである。燃え盛る火車。
「火は良い神聖だ等しく燃やし浄化する――ロナンの新たなる門出に」

●さらなるボーナスステージ!
「食べ放題ッス! リュート、食べるの大好きッス!!! ところでボーナスステージって何ッス? 棒ナス? 焼き茄子ッス?」
「焼き茄子は美味しいですね」
 リュートの声に那由他が答える。ボーナスも焼き茄子も美味しいことに変わりはない。
「たのもー!」
 バーンと酒場のドアを開け放ったリュートはギャウーッっと吠える。愛らしい鳴き声は重要なチャームポイントだ。彼の声に振り返った酒場の人々にビシッと指差し「勝負ッス!」と言い放つ。
「リュートはいっぱい食べるッス! みんなも食べるッス飲むッス勝負ッス!!!」
 きゃいきゃいと小さなドラゴンが楽しねに跳ね回る。
「リュートは未成年なのでジュースッス! 美味しいっす!」
 小さな背丈のリュートは椅子に立ってバンバンと机を叩く。
 大人たちの飲みっぷりに拍手を送り、大きな目でもっともっととおだててみせる。
「はいはい。お酒もおつまみもた~んとあるから、じゃんじゃんやってね~」
 アルフィンレーヌは傭兵たちのお酒が進むようにおつまみをどんどん出していく。
 徐々にペースを上げて間髪入れずにお酌をしていく様は見事というほかない。
「未成年ですし、女の子的にたくさん飲んだり食べるのはちょっと。なので私はそうですね、女中の振りをして傭兵の皆さんにお酒のリザーブをしましょうか」
 アルフィンレーヌと一緒にヴィオラはお酌をする。
「こーる? なるほど、場を盛り上げるんですね。わかりませんがわかりました!! はーい、一番飲めた方にはご褒美上げちゃおっかなー?」
「ひゅー! ご褒美だってよ! やってやらぁ!」
「俺も俺も!」
 ヴィオラのコールに男どもが我こそはとジョッキを掲げる。
 ジャスティーナはヴィオラのコールを合図にノンアルコールのグラスを煽った。
 こうして男どものやる気を高めていくのだ。
(せっかくの料理も、酔い潰れてしまっては美味しく味わえないからな)
「……騎士道精神? 正義が勝つためにも戦略が大事だろう。勝つため全力を尽くすのも騎士の務め。そうだろう?」
 こっそりと耳打ちするヴィオラとクスクスと笑いあい。
「酒には肉が合うと聞く。しっかり肉を食べようと思う。もちろん、栄養バランスも重要だ。サラダも忘れずにな」
 ジャスティーナはリュートの前にサラダを置く。
「奴は女殺しと言う類の酒が好きだった」
 仲の良いソーマと盃を交わした話を語りながら神様はグラスを傾けた。
 甘い口当りの酒は香り高く芳醇なである。爽やで柑橘の香りが立つ酒を飲み干した神様。
「目当ての女性に飲ませりゅこロレ……?」
 酒はあまり得意ではない神様は首を振り、目の前のカルパッチョを一口食べる。
「むむっこの食事を作ったのは誰だ? 美味い 偉い」
 ナイトはニヤリと口角を上げた。
(何せ俺、現実(Real)じゃ飲ませ上手のホストだからな。飲みのペースが早くなるコールをかけて盛り上げ、無謀なペースで飲ませるよう挑戦してやるぜ!)
 ピカリと目がひかり、ナイトが闘志を剥き出しにする。
「呑むか呑ませるかの限界バトル……ある意味これも呑み比べじゃねーの!!」

 加速していく会場の空気――

「もっともっとッス! いけるッス! え? 勝負? 楽しければいいッス! あとご飯が美味しいッス!
 歌って騒いで食べて飲んで。リュートは満足ッス! 皆さんは満足でおネムッス? なら邪魔せずにおやすみッス」
 傭兵たちが酔いつぶれきらめくファンファーレが鳴り響く。

●さあ、お待ちかねの麻雀会場だ!
「ふれーっ! ふれーっス!」
 ダリウスの膝の上ではしゃぐリュートは近くに落ちていた赤くて丸いかわいいものを拾い上げる。
「いるっす?」
 それを受け取るダリウス。

 男性アバターでいけば脱衣しても、そこまで問題はない。那由他はそう思っていた。いや、たしかにそうかも知れない。だが、少年の脱衣もそれはそれで美味しいのである!
「対戦相手は勿論少女ですよ、イカサマを駆使してはずかしめるのです」
 少女を辱めたすぎる那由他。いいぞ那由他。その調子だ!
「あ、一応下着までいくなら。毛布とかかけますよ。衆目に晒すのは本意でないので……」
 あくまで恥ずかしがっている所が見たいのであって多人数に見せたいのではない。配慮もできる那由他。
 命の奪い合いではないかもしれない。だが、尊厳を掛けた戦いであることは間違いない。

 東一局。
 いざ、尋常に勝負――

「ふーん、似たようなルールか何か違うような気がするが。ま、いつも通りやればいいか」
 対戦相手はチームを組んでいるやつらだとダリウスは雀卓に着く。
 顔を黒靄で覆い、相手に表情が分かってしまわないようにしておくのだ。
「……あぁ、そいつぁ碰!」←よめないんですが!
「そんでそいつは槓。そんでこれも槓!」
「クッ。そうやって囲めば、裏返して同じ色に出来る!」
 焦った少女が立ち上がる。
「そーんで加槓して、自摸! 対々和三槓子嶺上開花、そしてドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラァ!」
「待って!」
 少女が叫ぶ。
「なんだ」
「リバース!」
 これで手番の回り方が逆になるが――二人では意味がない!
「おら、数え役満だ点数寄越せ! ドラ爆積み込んだかって? 知らんな」
 ものすごい音量と派手なシステムエフェクトが打ち鳴らされた。
 対戦相手の少女が服を一枚一枚脱いでいく。とても恥ずかしげに脱いでいくぞ。
「それと……てめえらがサマやるつもりなら勘が働いて仕方ねぇな。あからさまな通しやって過ごそうなんて腹が痛ぇ、それを読んで待ちを変えて喰ってやる」
 ダリウスの眼光が鋭く光る。
「それとてめぇその左手出しな。んな下手くそなエレベーターに、ぶっこ抜きするってこたぁ覚悟はしてんだろうな? ほーら、罰符だ! そーれ、ぬーげ! ぬーげ! ぬーげ!」
「う、う」
 少女が下着の紐に指をかけ、するり――艶めかしい太ももと鼠径部の、プレイエリア外です。

 ナイトは雀卓に着いた。
「とりあえず配牌して、手元に来た絵柄みてなんて役か考える大喜利なんだろ? 違う?」
「ふっ、違うな。麻雀とは格闘技だ、つまり……」
 腰を低く構えて牌を指の間に挟んだ対戦相手のチャイナ服少女。
「三枚絵柄を合わせなきゃいけない? この社長(President)にかかれば楽勝じゃねーの」
 得意げに鼻を鳴らしたナイトは並べられた牌をつまみ上げる。
「高貴のメダル三枚でゴリッと牌の役を削れば白牌みっつ確定! 初手からロンって言っちまうぜ!」

 ――喰らえ、"超・宇宙的社長占事略決(Great Galactica President Plan)"!

 バァーン!

「白の牌を切ってインタラプト! この中の牌を一歩進めて、成った! 中金! チェックメイト!」
 王手をかけてきた。
「……だが遅い!」
 しかし逆にいえば、そこで少女の手番は終わりだ。社長の技は、止められないことになる!
 渾身のプレジデント・ポーズと共に高得点が加算されるエフェクトが画面に飛び散る。
 少女がチャイナ服を脱いでニーハイとキャミソール姿になった。
「あ、それもついでに脱いでもらえる? いっしょに洗うから」
「えっあ」
 アルフィンレーヌにチャイナ服のついでにキャミソールを持っていかれた少女は恥ずかしそうに肌を手で隠す。白い肌が羞恥のピンク色に染まり――プレイエリア外です。

「基本的には同じ牌を3つ揃えるのだな? よし分かった」
 頷いたジャスティーナは牌を見つめる。
「もしかすると、イカサマを見抜けず脱ぐ羽目になるかもしれんが、さすがに淑女の嗜みとして丸裸になることはないだろう。……もしそのようなことがあるとしたら……」
 もわもわんとジャスティーナの妄想が頭の上に広がった。

 ///

『な……負け――だ、と』
『ふふ、あたしの雀技(ジャン=カタ)、思い知ったかしら』
 拳銃を十字に構える敵の少女。
 その銃口がジャスティーナを捉え、打ち出される牌が衣服を一枚、また一枚。
『やめろ/// 見るなぁ……/// そんな、私として……淑女として……』
 顔を赤らめて胸を抑えるジャスティーナ。腕に乗る零れんばかりの胸がたわわだ。
 とても恥ずかしい。こんな羞恥に耐えられない。
 けどもうすこし上目遣いでこっちみてもらっていいですか?
 しかもなぜ、ジャスティーナに限って『プレイエリア外』にならない!
『くっ、殺せ! 生き恥を晒すくらいならここで首を落とすのだ!』
 キッと対戦相手を睨みつけるジャスティーナ。

 \\\

「――はっ!」
 妄想を弾けさせたジャスティーナは首を振って目の前の牌を確認する。
 そうだ。負けていない。ただの妄想だ。だからあんなこんなイラストやボイスを頼んでも現実ではないから安心、安全。
「はっ。大丈夫だ。問題ない。役を、揃えれば、良いのだろう? ははっ、容易いではないか」
 いざ勝負。
「ロイヤルストレートフラッシュ!」
 敵の技は、しかし。力場発生装置によって裏返る。
「――革命だ。貧民と富豪は入れ替わる。ロン!」

「さあ、ここからが本題でしょうか。いやー麻雀。昔は友達に紛れてよくやってたんですけどね。最近はめっきり……。さてさて。とはいえ如何様ありですから……」
 ヴィオラは腕をまくり目を輝かせる。
「ここはやっぱり憧れのあれですかね、あれ。国士無双……。あ、私が組みますね。大丈夫なんで。詳しいんで」
 麻雀に詳しいヴィオラは平然とした顔で積み込んでいく。なんだろ。積み込む。
「さてはレンガのように積み木を組んで一枚ずつ抜いていく方式か」
 敵が歯を噛みしめた。ぐらぐらして崩したほうが負けのやつか。
「――天和!」
「て、てんほ?」
 ヴィオラが高らかに声を上げ牌を倒す。
「あ! 崩した!?」
 勝利の笑みを浮かべた敵に、ヴィオラが説明する。
「てんほーというのは天の恵みということです。すごいですね! 国士無双! 点数計算めんどうなのでもう皆さん一枚ずつ脱いでもらっていいです? いいですよね?」
「なにい!? ぴぇん。これ以上はぁ~!」
 対戦相手の少女の服は、既に紐パンツのみ。
「よし、俺も脱ごう! 俺(ORE)、益荒男だからな! ちなみに下着は金褌だぜ!」
 ナイトが男気あふれるファイトで服を脱ぎ捨て金ピカの褌が現れる。カッコいい!
 脱ぎ散らかされた衣服はアルフィンレーヌが手際よく回収する。

「お風呂沸かしてあるのだけど、入る?」
 アルフィンレーヌの優しい声が少女たちに響く。まさしく聖母のような彼女の声掛けに脱衣麻雀をさせられていた少女たちがついていく。

 残ったのは屈強な男たち。

「自摸 神一色 神満」
 神様の荘厳な声が会場に響く。神牌を十四枚集める事で完成する秘技。
「神だよ 牌が勝手にきてしまうよ」
 ボーナスステージ麻雀ルールに従って、対戦相手が次々と服を脱いでいく。
 屈強な筋肉の艶めかしい色合いが神様の前に披露された。
 ムキムキな筋肉がいっそ美しい。
「……何故対戦相手が尽く屈強だったり太っていたり、噴飯ものの臭気を纏う厳つい中年ばかりなのだ」
 運命の歯車がそこへ帰結していくのか。
 例え宿命だとしてもせめて遊戯の中でぐらい美女美少女と。
 だが、神様の前に居るのは筋肉隆々のガタイの良い男だ!
「くっ チー白発中が四つに神の頭 超三元 神満」
 最後の一枚が脱ぎ去られ――

 その時、光がそそいだ。
 顔以外の肌色部分をガっとなんか覆って見えなくする謎の光だ。
 健全チェック。ヨシ!

「よし、こんなものかしら。あとは……お片付けしないといけないわね」
 会場に脱ぎ散らかされた服は片付け終わり、飲みの酒場も村人が困らないようにと綺麗にするアルフィンレーヌ。最後の一枚を干してアルフィンレーヌが汗を拭いたときクエスト終了のサウンドが鳴り響いたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
 やったぜ\ボーナスステージ!/
 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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