シナリオ詳細
ペリバードはニーハイを毟らない
オープニング
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サラサラと川のせせらぎが聞こえてくる。
よく耳を澄ませば小鳥も囀っていた。
太陽と雲が空に浮かび、程居良い風が吹いてくる。
「良いですねー、R.O.O! 今日はどんな出会いが訪れるでしょうかー」
のんびりとした口調で『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)は帽子を押さえながら、箒に乗ってふよふよと浮いていた。
『Rapid Origin Online』にログインするようになって数日、セスカは少しずつ行動範囲を広げていた。
街のお使いから始まり、スライム退治や害獣駆除。職人の素材集めの手伝いなんかも熟している。
セスカは街の外にある野営地まで飛んで来ていた。
「いや、何か閉じ込められた人が居るって聞いてたんですけどー、実際の所楽しすぎて出てこないだけなんじゃって思いますよねー」
ローレットのイレギュラーズがR.O.Oにログインする理由は、システムのバグにより閉じ込められた人を救出するというものだ。調査も兼ねているらしい。
現実世界をトレースした様なR.O.Oの世界――ネクストは多種多様なクエストが散りばめられていて、探求者や冒険者にとっては魅力的に映るのかもしれない。
「えーっと、今日のクエストは……っと」
セスカは野営地にあるクエスト掲示板の前に立ち、張り付けてあるメモをまじまじと見つめる。
「何々? イノシシ退治に、蜂の蜜集め、珍しいキノコを狩ってくる。なるほど、野営地だからハンティング的なものが多いんですねー」
「よう、嬢ちゃん。あんた、冒険者かい?」
うんうんと唸るセスカに屈強な身体を惜しみなく見せつけてくるバンダナ男が声を掛けてくる。
セスカが頷くと白い歯をキラリとさせてバンダナ男は勝手にしゃべり出した。
「この先にペリバードっていう鳥が大量に居るんだが、そいつの爪を集めて欲しいんだ。俺はこの通り細工業をやっていてな。荒事は苦手なんだよ」
「いや、どう見ても斧振り回してそうな見た目してますけど」
「……まあ、そう固いこと言わずに引き受けてくれるだろ?」
白い歯をキラリとさせたバンダナ(細工業の)男はずずいとセスカに近づいてくる。
「圧が強い人(NPC)ですね。まぁ、時間もありますし、良いでしょう」
セスカがクエスト受諾をした所でバンダナ男は彼女の背をバシバシと叩いて去って行く。
――――
――
「おっと、今回は簡単な依頼ですねー。鳥を叩いて、えっこらえっこら」
陽気な音頭でセスカはペリバードを狩っていく。
叩いた鳥から落ちた爪を拾い上げて、太陽に空かしてみれば、綺麗な黄緑色が見えた。
「ははー、これを細工するんですね。後で、どんな細工になるのか見学させて貰いましょう」
セスカがちびちびと爪を拾い集める傍らで、同じクエストを受けたイレギュラーズと目が合った。
「おや、あなたもペリバードの爪を集めてるんですか? よかったら一緒にクエストやりません?」
一人より大勢で集めた方が効率も良いし、何体か集めて纏めて狩った方が安全だろう。
セスカはふんわりと微笑んでイレギュラーズに近づいて来るも木の根に足を引っかけ盛大に転んだ。
●
「いやー、油断してましたね。こんなにも集まってくるとは」
目の前には大量のペリバード。
絶体絶命のピンチがセスカ達を襲う――
「あ、痛てっ、痛てっ! ちょっと、もー、スカート引っ張らないでくださいよおー!」
ペリバードは現在繁殖期である。
良質な布地や毛綿などは毟られるので要注意だ――!
- ペリバードはニーハイを毟らない完了
- GM名桜田ポーチュラカ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年05月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
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「ペリバード、鳥さんッス! BBQ出来るって聞いたッス!」
ぴょんぴょんと跳びはねる『神の仔竜』リュート(p3x000684)はクエスト内容をよく聞かずにペリバードへ向かってはしゃいでいた。
「爪より鳥肉ッス! 美味しい鳥肉! ぷりぷりジューシー! でも爪も集めるっす! お金が貰えてBBQの食材が増やせるからッス! たーのーしーみーっす!」
ぴょんぴょんコロコロと楽しそうに笑うリュートを『魔剣遣い』アーゲンティエール(p3x007848)が眺めていた。
「なるほど、こちらの装備を巣材にしてくる相手か」
キリリと全身鎧に身を包んだアーゲンティエールは依頼人から聞いた情報に首を捻った。
(えっと、この全身鎧は大丈夫、なのかな?)
胸部を金属の小手で触ってみる。固い。ペリバードの嘴がいくら強靱であろうとこの金属鎧をむしれるのだろうか。
(いや金属だよ? いくらここがゲーム内で相手は防具を問答無用で持っていくにしたって金属だよ?
大丈夫、だよね? ね?)
「いや、金属は巣の土台に丁度良い。巣の土台が強固ならそれだけ強い家が出来るって訳だ」
アーゲンティエールの鎧の奥でぷるぷると震える顔が見えたような気がする。
「衣服狙いの鳥、荒事が得意そうなのに女性に任せるNPCの男……ははーん、さては依頼で服を失った女性を見ることも目的だな?」
『剛力剛腕』アンドレイ(p3x001619)がキラリと歯を見せて依頼人の男を振りかえった。
「よーし、せっかくだからそいつを防いで俺様の肉体美を見せつけてやるぜ!」
女性の衣類が脱げていく様を見るのはとても素晴らしい。だが、待って欲しい。男性の肉体美を見るのもまた良いのでは無いか。むしろ、どっちも見たいと思うし、何なら依頼人だって自分もその場に居合わせたりしたいと思っているかもしれない。
アンドレイとアイコンタクト。そんな気配を感じ取ったアンドレイはくるりとその場を離れペリバードの生息地に向かう。
「肌を露出するのは、別に構わないのだが。衣服が傷むのは少々困ってしまうな。データとはいえ、思入れのある衣装なのでね」
メイド服を着た『恋屍・愛無のアバター』真読・流雨(p3x007296)はスカートを掴んで困った様な無表情の顔をした。希望ヶ浜の文化祭で着たメイド服はミニスカートだったが、美観を考慮してロングスカートに仕立て直してある。
いや、待てよ。元が文化祭のメイド服ならそのロングスカートの下はニーハイなのでは。ペリバードの嗅覚が反応する!
「ダメージを喰らわねば良いのだろうが。それはそれで情緒が無い。まぁ、僕のアバターに見られて困る部分も無いのだが。そもリアルでは、基本は全裸でもあるし」
リアルでは全裸。ちょっとどういう事か詳しく説明して頂けると助かります。
ともあれ。
「まぁ、なるようになるか。当たって砕けろ。れっつごー」
流雨の間延びした声が『虚花』リラグレーテ(p3x008418)の耳に届いた。
「いやなんでニーハイだけ毟らないんですか?」
「分からん。何故かニーハイだけ毟らない。絶対領域を死守する」
依頼人の男はリラグレーテの質問に大げさに手を広げて肩を落とす。
「第一私のこれタイツなんですけど……この鳥ニーハイとタイツとレギンスとスパッツの違いとかわかるのかな? もし理解出来てる様ならそれはそれでヤバい生き物な気が……」
「タイツは太ももの上のあたりを毟られるぞ」
「それって、ニーハイにしようとしてるんですか? え、怖い。でもタイツの構造からいって太ももの上の部分をむしり取られるとずり落ちてニーハイではなくなるような気がするんですけど」
「テクスチャを放って止めてくれるぞ!」
「テクス……その執念、何なの――!?」
気を取り直して近寄ってきたペリバードを攻撃してみるリラグレーテ。
猛烈な勢いで向かってくるペリバードにリラグレーテは構える。
「しかし、改造カソックだし元々そんなに布多くないんですよね」
ちらりと武器を見るリラグレーテ。
腐本意ながら闇市の女神の思し召しでリラグレーテは魔法少女に変身可能なのだ。やったぞ、皆大好き魔法少女だ!
「――武装<メイクアップ>! よろしく、ロゼッタネビュラ!」
どこからともなく音楽が流れ出し、リラグレーテを包み込む。
光の円環がリラグレーテの足下に現われ、キラキラとリズミカルな効果音を弾けさせる。
「EXAで作業効率上がるしね、うん。どんな見た目になるかはランダムだけど!」
手首にリボンレースが巻き付いて、リラグレーテが指先で触れると魔法少女の衣装が光の中から現れた。
光の円環が足下から上がっていく度にリラグレーテが魔法少女の衣装が装着されていく。
「依頼に合わせた布がふわっふわの多少削れても問題ない衣装になるに違いが無いよね!
ランダムだけど!」
最後にもちろん太ももにニーハイが弾けて、メイクアップが完了した。
ペリバードはニーハイの上にあるスカートを突く。
「楽ちんで楽しそうな依頼だなぁって思ったんですよー。
囲まれて服毟られ始めても、まぁ羽毛あるし直るならいっか。くらいに思ってたのに……」
『どこへでも』ウィード(p3x009132)は困った顔をしてペリバードに向かい合った。
「痛たたたっ……って、ちょっと!? 今羽根毟りました!?」
羽根を擦りながら振り向いたウィードだったが、ペリバードは俊敏な動きで彼女の背後に回り込み果敢に毛をむしり取る。ウィードの良質な毛並みに複数のペリバードが群がった。
「ちょっと! ほんと! だめですよ! 何で微妙に太ももの上の方を毟るんですか!?」
結構強引に毟っていくペリバードを払おうとするも、死角に回り込んだ別の個体がウィードの柔らかな毛を奪い去っていく。
「ちょっ、さすがにそれはアウト……丸裸になっちゃうじゃないですか!
羽毛欲しいならペリバード同士で毟りあってくれませんかー!」
逃げ回るウィードを見つめてあわわと震える『開けてください』ミミサキ(p3x009818)。
「いや、ホント服剥がすのとか勘弁っすよ!?」
ミミサキのアバターはリアルの身体をベースに設計している。
つまり、たるんだお腹や二の腕がそのままに再現されているのだ。
「こんなことなら……」
自分ベースじゃなくてもっと目の保養になるような美形に設定しとくべきだったかとミミサキは思った。
しかし、待って欲しい。たるんだお腹や二の腕と言うのはその柔らかさにこそ魅力があるのではないか。触り心地の良さというものは見目の麗しさを凌駕するものである。
「ペリバードさんをいっぱいやっつけて、爪を取る……乱獲? とかじゃないのですよね?」
『うさぎははねる』アマト(p3x009185)の潤んだ瞳が依頼人の男を見つめる。
「乱獲ではない。あいつらはとても沢山生まれてくるんだ。狩った分だけ増える。何故かは知らん」
何故かは分からないが生息数自体の変化はあまり無いようだ。ゲームの中だから調整されているのかとアマトは首を傾げた。
「こういう依頼は、多いのでしょうか……? ニ……じゃない、アマトもせいいっぱいがんばりますよっ」
「おう! ヨロシク頼むぜ!」
かくして。ペリバードとの戦いの火蓋は切って落とされた。
●
「やめるッス!? ぴーりん(PPP倫)に引っかかるッス!?」
リュートの声が森の中に響き渡る。軽装。丈夫な綿の武道着。
遊ぶには丈夫であり、動きやすいのが大事だから。そう、良質な綿の武道着を身につけたリュートはペリバードの嘴に服を毟られていた。
「回避0未満のショタドラがひん剥かれて喜ぶGMじゃないッスよね!?」
オッケー! 私は何でも許容します!
「――イヤアア!」
ムッシムシ。ペリバードがリュートの服をむしり取っていく。
なお全裸になっても祝福の効果で運がいいことにPPP倫には引っかからないぞ!
葉っぱが飛んで来てリュートの身体に張り付いた。
「やられてばかりじゃないっス! リュートは竜ッスけどね! 鬼より強いッスよ! ぎゃうーっ!」
ペリバードがリュートの攻撃で転がる。
アンドレイは圧倒的存在感でペリバードの注目を集めていた。
「お前らの目的はこいつだろ!」
腰布をヒラヒラとさせ、チラリズムパンツを見せつけるアンドレイ。
彼の誘惑に乗ってペリバードが群がり、アンドレイの服をむしり取っていく。
ムッシムシ。アンドレイの元々少ない布面積がさらに少なくなった。
「俺様のコピーも服が消えてるって? 気にすんなよ、減るもんじゃねえ!」
アンドレイの背後に現れる幻影も彼と同じように布面積が小さいぞ。
「俺様の男を高めるぜ! この瞬間をその目に刻みつけな!」
股間に存在する絶対三角領域のエネルギーが解き放たれる。
布面積が少ないのも相まってこれは、センシチブ――何だか光に包まれて見えないぞ!
「あと気を付けるのはうっかり爪に被害を出しちまうことか。焦げる程の痺れじゃねえし爪には影響しねえだろうから直接爪を殴らねぇように気を付けねえとな」
アンドレイの冷静な台詞にアーゲンティエールは同意する。
アーゲンティエールは鎧の下にニーハイを履いていた。背に腹は代えられないという意志を感じられる。
(流石に鎧の上から被せる度胸はないから鎧はそのままで……大丈夫かなあ)
いえいえ、お任せ下さい!
「あ、セスカさん。ペリバードを撃破したあと爪の回収をお願いしてもいいかい? その間我々がひたすらペリバードを薙ぎ倒すことになるからセスカさんにヘイトは向かないと思うけれど……頼まれてくれるだろうか?」
「分かりましたー! どんとお任せください!」
アーゲンティエールににっこりと笑いかける『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)はスカートを執拗に引っ張るペリバードの頭を押さえつけていた。
「こ、ここで倒されたら脱がされ損だし……徹底的に粘るよ……!」
アーゲンティエールの鎧の大半は持って行かれ、何故か、ニーハイとキャミソールとパンツと頭の兜だけが残されていた。
「この兜だけは死守する!」
「体力や服が危ない奴がいるぞ。しょうがねえな、俺様が守ってやる」
「アンドレイさん!」
「俺様の事は気にすんな、この程度でくたばるかよ。倒されようが何度だって起き上がってやる。EXF119は伊達じゃねえぜ。それに、そこの物陰で隠れて居る依頼人!」
アンドレイは野獣の眼光で依頼人を睨み付ける。ひょっこり出てきた依頼人の男に催眠状態にする魔眼を掛けるアンドレイ。
「お前は今日からホモになるんだ――!」
依頼人の男の目にはアンドレイの肉体美がそれは逞しく美しいものだとすり込まれた。
「いや……別に、こういう時恥ずかしがるタイプじゃないから良いんですよ
そもそも僕の身体じゃないですし。あくまで鳥の生態で、反応する事が負けって言うか?」
リラグレーテはニーハイ以外を毟られた衣装を見つめて、少しだけ目を逸らす。
「――燃えろ。燃えろ燃えろォ!! いや今回の目的って剥かれる事じゃないし。爪集めることだし。EXAで拾いまくりますからマジで。ついでに焼き鳥作りますよ」
恥ずかしい訳では無いとリラグレーテは首を振る。だけど。でも。だって。
「いくら僕だってこんなバカみたいな雰囲気で脱がされるのには慣れてないんだよ! ばーか! ふざけんなよ! このクソ鳥がァ゛!」
ちょっと待って。『バカみたいな雰囲気で脱がされるのには慣れてない』の所を検証させてください。
バカみたいな雰囲気じゃなければ脱がされ慣れて居るのでしょうか。私サバンナに行ってきます。
「しかして、この世界の理はどうなっているのだろうな?」
繁殖期であっても沢山回収して問題無いのだろうか。
「殺さずに爪だけ回収できないものかしら。自切とかしないもんかね。トカゲのしっぽみたいに」
何にせよ仕事だと流雨は当たりを見回す。
「とりあえず、自分を囮にするのが一番早いかな。一体ずつ狩ってゆくよりも、まとめて狩っていくのが良いだろう。大の字待機。果報は寝て待て」
草の上にでーんと大の字になった流雨は目をかっぴろげて声を上げる。
「来な! ぺりばーど! 僕は逃げも隠れもしない! 我が衣服! 我が肢体に一点の曇りなし!」
ムッシムシ。ニーハイを残して流雨のメイド服を毟っていくペリバード。
体力ゲージとメイド服の残り布面積を見ながらじっと耐える流雨。
美しい肢体が露わになって、ニーハイとパンツとリストバンドとチョーカー以外は消え去る。胸は髪で隠れているから問題無い。
「見てません! 見てませんからねー!」
横を通りかかったウィードが顔を覆いながら離れて行く。
「――絶ぱんだ祭り!」
大跳躍からの大暴れ。場を混乱の渦に巻き込みグルグルしてドッカーンな感じの大技だ!
一気に大量のペリバードの爪が流雨のインベントリに追加されていく。
「爪が綺麗なのが良いのだろうし。爪を傷つけないようにかな」
地面の跡も余さず観察して。抜け落ちた爪があれば回収するのだ。
「ふう。一旦落ち着いて。はっ!? ち、近付かないでくださーーい!!」
ウィードは近くの丸太に腰掛けようとして眼光を光らせるペリバードに気付いた。
ジリジリと迫るペリバード。ムッシムシと毟られていく羽毛。
「とりにくみたいになっちゃうじゃないですかぁ……やだぁ……」
ウィードは涙を浮かべながら胸元だけは死守するべく手で押さえる。
嘴で毛を掴み、己の体重でぶら下がって引きちぎってくるペリバードをえいやと振り払いウィードは反撃を仕掛けた。
「イースターエッグに口づけて、よーいどん。よーくねらって、えいっ★」
アマトの攻撃がペリバードに命中する。
ころんと転がったペリバードの爪を拾い上げたアマトに迫る魔の手。
「はわわ、服が!?」
ベリベリと毟られるアマトの服。
「アマトはおぼえているのです。服が溶けちゃったりするのは、はずかしいことなのです
だから、これはきっと、はずかしいこと……!」
困惑と羞恥に顔を赤くしてアマトは逃げ惑う。
「いたた、耳とかしっぽを突っつくのはなしですよ?! 布がいっぱいあったらあげたいですし、アマトも裸にならないくらいまでなら突っつかれても平気ですけど……それ以上はだめなのです!」
どこかから葉っぱが飛んで来たり謎の光が優しく隠してくれるかもしれないが、残った布を必死に寄せ集めている姿は、これはこれで良いかもしれない。
毟られている間にもアマトは攻撃の手を緩めないのだ。
「……最初こそ焦りましたが、箱の中に入っていれば服なんてそう脱がせるものじゃねっスよ。ははっ」
ミミサキはペリバードをあざ笑うかの様ににっこりと微笑んでみせる。
「相手が悪かったっスねー、エロバードたち……あっ、クソっ! 箱の中に入るなっ!!」
彼女の台詞に反応してペリバードはミミサキの箱の中に入った。そして無防備な箱の中でムッシムシと衣類を毟り取っていく。
「ほんと! 何がお前たちにそこまでの執念をもたせるんスか――!?」
種の生存戦略には、当代がいくら消耗しようとも次代に繋げる未来を優先すべきという考えがあるのかもしれない。けしてエロバードではない。ペリバードである。
「ちょっ、なんで残すのはニーハイだけなんスか!? 私、下半身は箱の中だからニーハイが残っていようと区別がつかないんスよ!?」
領域の中に入り込んでしまえば意外と無防備なものである。ペリバードはミミサキの無防備な箱の中で服を毟り取る。
だがしかし、ミミサキにとっても箱の中は自分の領域である。
至近距離からの殴打にペリバードの爪がインベントリに次々と収納されていった。
●
「皆さーん! そろそろ撤収しましょー!」
セスカの声がイレギュラーズの耳に届く。彼女の手には沢山のペリバードの爪があった。
「はい。終了ですね。……だけど野営地に戻るのは、みんなの衣服が戻ってからの方がいいですね…
……わたしもあっちの茂みの陰にいていいですか?」
涙を浮かべるウィードと困った顔のセスカ。
トボトボとミミサキは帰り道を歩いてくる。
「箱の中にほぼ全裸の私……ちょくちょく覗く肌がチラリズムって感じでエロくなってまスね。
……これが自分じゃなければ良かったんスけどね……!」
ヤケクソ気味に叫んだミミサキはペリバードの肉を手に野営地で焼き肉を始める。
「おー! 焼き肉だー!」
リュートも加わり、強火のBBQだ。
「まさか人生の中で全裸で焼肉をする状況が発生するとは思いませんでしたよ……」
ミミサキの呟きにリュートは首を傾げる。
「今は箱の中だから身体は隠せてますが……中を覗いたら食いますからね? 物理的に!」
「ぴえ!? そういえば、ペリバードの爪、キラキラッス! リュートも一個持って帰るッス!」
二人のBBQにアマトがぴょこと顔を出す。
「爪を加工するとこ、アマトは見てみたいのです。どんなものができるのでしょう?
……ペリバードって食べられるのでしょうか?」
「うん、美味しいよ」
差し出された串焼きを食べてアマトは自分の身体に再生されていく服を見つめる。
「あと、この服はどれくらいで元に戻るのですか……?」
その問いかけにミミサキは首を振った。それは誰にも分からなかった――
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
無事に変な鳥はやっつけられました。
MVPはとりわけ身体を張った方にお送りします。
それでは、またのご縁をお待ちしております。
GMコメント
攻撃を! 受けると! だんだん! 衣装が! すくなくなっていくぞ!
■依頼達成条件
ペリバードの爪をいっぱい集める
■フィールド
伝承の町ウィルバーグの外にある野営地。草原と林が広がります。
時間は昼です。広いです。
■敵
ペリバード×いっぱい
爪が綺麗で細工の材料になります。
現在繁殖期で巣作りの為、良質な衣類等を求めています。
なぜか頑なにニーハイはむしりません。ニーハイだけしっかり残します。安心安全。
攻撃を受けるたびに、衣装のグラフィックがすこしづつ消えていきます。
一定時間で元に戻りますが、さあ大変だ!
■同行NPC
『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)
世界中を旅して占いなどをしている魔法使いの女の子。
旅の路銀も少ないため、もっとギルドに顔を出そうと決意した。
現在はR.O.Oにログインしています。
魔法を使って攻撃や回復を行います。
「いやー、服、ねぇ! 服、やばくないです!?」
※重要な備考
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
●Danger
このシナリオでは、アバターの尊厳に重大なダメージを受ける可能性があります。
いやあ、服が、服が!! 鎧だから大丈夫? またまたそんなー。
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