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シナリオ詳細

鉄の馬に跨がりし強盗団

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●襲撃を前にして
「ヒャッハー! 奪え奪えぇ!」
 ウオォン、と爆音を響かせる鉄の馬――いわゆるバイク――に乗っている、モヒカン頭に革のジャケットを着た男達の一団が、寒村を襲撃しようとしていた。
 ――混沌を模した仮想世界ネクストの、鉄帝にあたる北の大地の国鋼鉄では、最も強き者であるはずの皇帝が殺害されたことによって有力者がそれぞれ我こそ皇帝であると僭称し始めた。
 となれば、元々政治の手が届きにくかったここの様な辺境が、国の混乱によって無法地帯と化すことは無理からぬ話であったと言えるだろう。
 鉄の馬、バイクに跨がった盗賊団と言うよりも強盗団が、その日の飯や財を求めて周囲の村々を収奪するのを、誰も止めることは出来なかった。
「ああ、とうとう奴らの手がこの村にも……」
 よぼよぼになった老爺が、村の入口の外で遠目に強盗団を見やる。その目には、絶望の色が浮かんでいた。当然であろう。今も日々生きていける程度の糧しかないこの寒村から食糧を奪われれば、その後は如何にして生きていけばいいのか。むしろ、強盗団次第ではその心配さえ不要になる可能性もあった。
 がっくりと、老爺が膝を突き、項垂れる。しかしそこに、十人近い一団が現れた。混沌からネクストにダイブしてきたイレギュラーズ達と情報屋のアバターだ。
「――どうやら、間に合いましたね」
 まだ強盗団が遠くにいるのを見て、情報屋のアバターである『緑の騎士』ウィルヘルム(p3y000126)がホッとした様子を見せた。
「さあ、おじいさん。ここは危険です、村の中に戻りましょう。
 では、私は村の守りに入ります。皆さん、どうか抜かりなく、お願いします」
 ウィルヘルムはイレギュラーズ達にそう告げると、イレギュラーズ達に頭を向けながら、老爺を連れて村の中へと向かう。その後、ウィルヘルムは村の入口を封鎖する段取りだ。
 だが、はっきり言ってウィルヘルムの実力は高くない。強盗団が集団で押し寄せれば、耐えきれず突破されてしまうのは目に見えている。ウィルヘルム自身もその事はわかっており、予めイレギュラーズ達に告げていた。もしウィルヘルムが突破されてしまえば、村は中に雪崩れ込んできた盗賊団によって被害に遭い、イレギュラーズ達の受けているクエストは失敗してしまうだろう。
 故に、強盗団を村の入口に至らせぬように、何としてもこの場で食い止め、殲滅しなければならない。向こうはバイクに乗っている以上、突破されてしまえば追いつくことさえ出来ないのだ。
 迫り来る強盗団の姿に、イレギュラーズ達の間に緊張が走る。戦闘は、もうすぐ始まろうとしていた。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。今回のシナリオでは、某世紀末でヒャッハーな感じの強盗団から、鋼鉄辺境の寒村を守り抜いて下さいます様お願いします。

●成功条件
 強盗団の殲滅(生死不問)

●失敗条件
 ウィルヘルムが突破され、強盗団が村の中に侵入する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
 鋼鉄、寒村付近の荒野。時間は昼間、天候は曇天。
 周囲は平坦な地形が続いています。
 環境による戦闘へのペナルティーはありません。

●初期配置
 イレギュラーズ達と強盗団との距離は、最低100メートル離れています(これは強盗団が副行動1回で最低でも移動出来る距離でもあります)。
 また、強盗団はバイクに乗っていることもあり、互いにある程度距離を取っています。

●強盗団 ✕20
 モヒカン、革ジャン、バイク、ヒャッハー! な、某世紀末風味の強盗団です。
 能力傾向としては、機動力が最低で10あり、攻撃力と生命力と反応が高め。命中はそこそこで、回避、防御技術、特殊抵抗はむしろ低くなっています。
 バイク狙いに関してですが、バイクの方もそこそこタフです。ただ、【火炎】属性BS付きの攻撃がクリティカルすれば、燃料に引火して炎上が発生します。

・攻撃手段など
 剣or斧 物至単 【出血】【流血】
 火炎放射器 物近扇 【識別】【災厄】【火炎】【業炎】
 クロスボウ 物遠単 【弱点】【流血】

●『緑の騎士』ウィルヘルム(p3y000126)
 情報屋、羽田羅 勘蔵(p3n000126)のアバターです。今回はOPをご覧頂いてのとおり、現場まで同行しており、村の入口の封鎖にあたっています。
 防御>攻撃の防御寄りバランスと言った能力を持ち、耐久力もそれなりにはありますが、実力は高くないため数で押し寄せられると厳しいでしょう。
 なお、ウィルヘルムの種族は樹人です。そして、強盗団は火炎放射器を持っています。……となれば、何を言いたいかはお察し頂けるかと思います。
 基本的には、リプレイには描写されません。と言いますか、リプレイに描写される様だとそれは失敗条件を満たす寸前の危険な状態、もしくは失敗条件を満たしてしまった状態と言うことになります。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。

  • 鉄の馬に跨がりし強盗団完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Fin(p3x000713)
Fin.
Ignat(p3x002377)
アンジャネーヤ
アレクシア(p3x004630)
蒼を穿つ
白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)
闇祓う一陣の風
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
ファントム・クォーツ(p3x008825)
センスオブワンダー
アズハ(p3x009471)
青き調和
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

サポートNPC一覧(1人)

ウィルヘルム(p3y000126)
緑の騎士

リプレイ

●鉄馬の音が響く中
 鋼鉄辺境の寒村の外れ。強盗団達の鋼鉄の馬――即ちバイクから発せられるエンジン音が、遠方より響いてくる。自分達の住む寒村を標的にしているのだと言わんばかりに次第に近く大きくなってくるエンジン音に、老人が絶望し打ちひしがれたその時だった。
「――国が乱れると、必ずこういう者たちが沸いて出る。無辜の民を傷つけ、糧を奪わんとする悪鬼どもがな!
 だが人よ、嘆くなかれ! 悪を切り裂く白銀の刃がここにある! 白銀の騎士ストームナイト! 見参!」
 黒く長い髪をたなびかせ、白銀の全身鎧を身に纏った女騎士、『闇祓う一陣の風』白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)が老人の前に現れると、高らかに名乗りを上げた。
「……というわけでご老人。ここは我らに任せ、村の中で待っているがよい。我らが来たからには、村の財はコメ一粒たりとも奪わせはせん!」
 堂々たるその名乗りに、老人は縋る様な視線を向ける。ストームナイトは老人に頷きを返しつつ、村の中に退避する様に告げた。
「大丈夫だぜウィルヘルムのにーちゃん。おれ達が村の入り口まで敵を近づけさせねえかんな。大船に乗ったつもりでいてくれよな!!」
「それは、助かります」
 『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)が、老人と共に村の方へ行こうとする『緑の騎士』ウィルヘルム(p3y000126)についていきながら、自信たっぷりに言い放った。ウィルヘルムは感謝を込めて、ルージュに深く頭を下げる。
 この後、ウィルヘルムは老人を村に送り届けると村の入口を封鎖する段取りになっていた。だが、ウィルヘルムの実力は正直なところ高くないため、ルージュは基本的にウィルヘルムが攻撃されるような状況になった時点で負けだと考えている。
 強盗団をウィルヘルムの元へと行かせない様にするには、バイクに乗った強盗団達の機動力は高すぎた。抜かれた後で追いかけたところで、差を付けられるだけだろう。だが、強盗団の目的は村だとわかっている以上、必ず村の入口を目指すはずだ。
 ならばと、ルージュは村の入口からは大きく離れない位置で、強盗団を待ち構えて迎撃するつもりでいた。

「人助けとあらば、手は抜けないね!」
 現実世界とほぼ変わらない、違いがあるとすれば昔のように髪を長く伸ばしているだけのアレクシア(p3x004630)が、現実世界では使うことのない弓を手に意気込んだ。『Rapid Origin Online』においても、人を助けたいと言うアレクシアの内面はほぼ変わらない。
「仮想世界でも、みんなここで生きている人なんだ! 誰一人として、その生命は奪わせやしないよ!」
 アレクシアにとって、現実世界だろうと仮想世界だろうと生命の価値は変わらない。決然とした意志を宿した瞳で、強盗団が迫り来る方向を見つめた。
「仮想世界と言っても、鉄帝に似た土地で好き勝手されるのは気に入らないからね! 早々にお引き取り願おうか!」
 銀色の蟹とでも形容すべきであろう、多脚戦車の姿をした『カニ』Ignat(p3x002377)が、その中心にある紅いモノアイをギラリと光らせながら叫んだ。
「ところで、アレクシアとオレ以外は名前変えてるのかな? 知ってるメンバーだったりする? こっちでも宜しくね!」
「あ、ああ。宜しくな」
 姿は変われど、現実世界と変わらず――いや、現実世界以上に流暢に――Ignatは周囲の仲間達をモノアイでキョロキョロと見回し、目に付いたストームナイトに話しかけた。中の人を隠しておきたいストームナイトは、Ignatの中の人を探るかの様な――本人はあくまで興味本位であろうが――問いに困惑しつつも、如何にか挨拶だけを返してその問いをやりすごした。

(――強盗団、ねえ)
 現実世界でのコンプレックスや願望から、妖艶で謎めいた女性をアバターとした『センスオブワンダー』ファントム・クォーツ(p3x008825)は、ふぅ、と物憂げに嘆息してみせた。
 ファントムは、強者が弱者から搾取することは容認しない。むしろ、弱者に分け与えることが出来てこその強者だとさえ考える。
(それとも……実はそれが出来ない三流なのかしら?)
 実のところ、ファントムのこの疑問は当たっていた。強盗団達が真に強者であるのならば、仮に分け与えるとまでは行かずともバイクによる機動力を含むその実力で、略奪などしなくても口に糊することは十分に可能なはずなのだ。それが出来ずに、辺境の寒村を収奪して回っている辺り、底が知れよう。
「ううん……何をするのも、どのように生きるのも。その人の自由だとは思うんですけど、あまりこういう略奪のような形のものは好みませんねえ……」
 洒脱な和の装いをした幻想種『Fin.』Fin(p3x000713)は、煙管を口から離し、ふーっ、と煙を吐き出すと、ぼやくようにつぶやいた。
「……まあ、生死を問わないって言うのは楽ですね。殲滅できるように頑張りましょうか」
 意気込むではなく自然な調子でそう言ってのけたFinは、煙管の火を消すと懐にしまう。そして、これから始まる戦いに備え、ビームヴァジュラを取り出した。
(ネクストの鋼鉄は、どうやら大分面倒な状態になっているようだ)
 『無辜なる混沌』の鉄帝と違い、『Rapid Origin Online』において鉄帝に相当する鋼鉄では最も強いはずの皇帝が暗殺され、政情が混乱していると言う。この強盗団達もその混乱の一つなのだろうと、巫女姿の『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)はまだ見ぬ強盗団の方を見やりながら考えた。
 鋼鉄全体の政情から見れば、この強盗団の跳梁は些事と言える。だが、その事は目前の賊を見逃す理由にはならない。
「力こそ全てと言えど、略奪が許されれば民草は衰え、国として立ちいかなくなるのも道理」
 ならば成敗するまでと、壱狐は自身の本体である太刀を鞘から抜き放った。

 やがて、強盗団が遠目に見え始めてくる。鉄の馬に跨がった賊の速度に、『AzureHarmony』アズハ(p3x009471)は驚愕した。
(――あれでは、ウィルヘルムさん達がすぐに追いつかれてしまう!)
 自分達が突破され、強盗団が村に向かうようなことにでもなれば大変だ。村もそうであるが、ウィルヘルムも燃やされるわけにもいかない。
(何としてでも、ここで食い止める!)
 そう意を決すると共に、アズハは仲間達の最前衛へと駆け出していった。

●強盗団の足を止めろ!
「まったく、うるさい奴らだ! 騒ぐしかできないのか!? ここを通る前に、俺たちの相手をしてもらおうか!」
 姿を見せた強盗団に向けて、アズハがあらん限りの大声で叫び、強盗団を挑発する。強盗団はまだ遠くにいて、しかもその周囲にはエンジン音が響いていたが、それでも前に立ち塞がろうとするアズハの声と意志は強盗団に届いた。
 護衛でも雇ったか、洒落臭いとばかりに強盗団はバイクのスピードを上げ、アズハに迫ろうとする。強盗団が挑発にかかったと判断したアズハは、仲間達の方へと後退した。狙撃銃を乱射する戦い方のアズハにとって、敵からはある程度の距離を取るのが最適だからだ。
 だが、そうとは知らない強盗団は、挑発しておきながら背を向けて後退するアズハを臆病風に吹かれたと見なした。その先頭集団が、イレギュラーズ達の中に突入し、アズハを追わんとする。
「ようこそ、いらっしゃい。強盗なんてつまんないことしないで、ワタシと遊ばない?」
「鋼鉄は力こそ全て、とはいえそれは弱者に向けるものではなく、強者への挑戦こそ貴ばれます。略奪なんて許すわけには行きませんね」
 馬に乗ったファントムと壱狐の間を、強盗団の先頭がアズハを追ってすり抜けようとしたタイミングを狙って、二人は手にしているサイバーロープをピン、と引っ張った。地面にわかりにくい様に置かれていたサイバーロープが、空中へと引っ張り上げられる。
 突如目の前に現れたサイバーロープを、バイクに乗って加速の付いている強盗が避けられるはずもない。バイクに乗る強盗の首はグイッとサイバーロープに引っかけられ、強盗はバイクから落下した。その様に、後続の強盗達はある者は落下した強盗を避けようとしてスリップし、またある者は最初の強盗同様にサイバーロープに首を取られてバイクから落下する。
 それを好機と見たアレクシアは、混乱する先頭集団を駆け抜けて、強盗団の真ん中へと飛び込んでいく。出来る限り多くの、強盗達の敵意を煽るためだ。
「これ以上先は行かせないよ! どうしてもって言うなら、私の相手をしてからね!」
 周囲の強盗達に向けて、高らかにアレクシアが告げる。飛んで火に入る夏の虫とばかりに、強盗達がそのアレクシアに襲いかかろうとしたとき、ストームナイトがその前に立ちはだかった。
「貴様達の薄汚れた手で触れてよいお人ではないぞ。下がれ!」
 ストームナイトが長剣を横薙ぎに一閃すると、そこから衝撃波が迸る。衝撃波を受けたバイクは、ストームナイトの叫びに従うかの様に後方へと押し戻されていった。
「あなた達の自由にはさせませんよ」
 Finはヴァジュラの両端にビームの刃を伸ばすと、アレクシアに敵意を煽られなかった強盗の一人を牽制しにかかる。縦横無尽に振るわれるヴァジュラから放たれたビームの刃を避けようと、強盗はバイクのハンドルを切るが、間に合わずに次々と斬られていった。
「主砲構え! 対象は今どき見ないようなモヒカン集団!」
 ビームの刃に斬られて苛立つ強盗がバイクを止めてFinを睨み付けた隙に、Ignatが背中の主砲を強盗に向ける。
「燃やすから巻き込まれないようにね! FIRE IN THE HOLE!」
 主砲から放たれた砲弾は、強盗のバイクのタンクに見事に着弾。タンクを直撃されたバイクは爆発炎上し、強盗は炎に巻かれながらバイクから落ち、ゴロゴロと苦悶しながら転がった。

 強盗達の半ば以上は、自分達の真ん中に飛び込んで敵意を煽ってきたアレクシアに集中し、残りは後方から攻撃してくるFin、Ignat、アズハへと迫った。剣や斧が、クロスボウから射られた矢が、火炎放射器から噴き出してくる炎が、四人に強かにダメージを与えていく。
「こっちには来ねえのか……おれだけ一人何もしない、と言うわけにはいかねえしな」
 村の入口の近くで強盗達を待ち受けるつもりのルージュだったが、どうやら強盗達は立ちはだかるイレギュラーズに釘付けらしく、ルージュの方まで来る様子はない。ならばとルージュは前に出て、Ignatの後方から『魅剣デフォーミティ』の剣先を強盗に向けた。
「Ignatにー達は、やらせねーぜ! ルージュ、アターック!!」
 ルージュが気合いを込めて叫ぶと、『魅剣デフォーミティ』の剣先から一筋の光条、と言うよりも光の柱が伸びていく。光の柱はIgnatに迫る強盗二人の上半身に直撃し、強盗達はバイクの上から叩き落とされた。

●敵は減り、されど傷は深く
 イレギュラーズ達は、強盗達をバイクから叩き落としたりしながら、強盗団の人数を次第に減らしていった。だが、強盗達はタフである上にその攻撃は激しく、イレギュラーズ達も相応に傷ついていく。特に、強盗達の敵意を煽ったため攻撃が集中したアレクシア、耐久力が高いとは言えないアズハ、守勢に弱いIgnatの被害は大きかった。

「奪うことしか脳がない人達……そんな人達を、村に近づかせてなるものですか!」
 ファントムはIgnatを救援すべく、Ignatの側にいる強盗に馬上からカイトシールドを叩き付けた。既にIgnatの砲撃を受けているその強盗は、頭上から襲ってきた重い衝撃に耐えられずにその場に崩れ落ちた。
 半数以上を倒されて十を数えるばかりとなった強盗達だったが、アレクシア、アズハ、Ignaの三人の傷が深いこともありまだ数の優位を信じていた。故に、この三人を何とか倒しきろうと猛攻を仕掛ける。結果、三人とも死亡判定を受けてログアウトを強いられていてもおかしくないところまで追い込まれた。
(倒される前に、少しでも多く削っておかないと……!)
 そのアズハは、三メートル弱の高度で飛行しつつアレクシアに群がる強盗達に向けてスナイパーライフルを乱射する。斜めに降り注ぐ銃弾の雨が強盗達に突き刺さり、その精神を惑わせ身体を強張らせる。これで強盗達の手数が減りアレクシアが少しでも保ってくれれば、その分村に盗賊が到るリスクは軽減されるはずだ。
(Ignatにーも、アズハにーも、アレクシアねーもやべえな……おれの愛の力で助けられるといいんだけど)
 三人の窮状に、ルージュは内心で焦りを抱いていた。誰かが倒されれば戦力は大きく落ちることになるし、それ以上に妹としてにーちゃんやねーちゃん達が倒される様な所は見たくない。そうならないように出来るだけの援護をすべく、ルージュは『魅剣デフォーミティ』の剣先からルージュアタックを繰り出した。
 ルージュアタックの光はIgnatを囲む強盗の二人に命中し、そのうち一人を倒した。Ignatは倒れた強盗のいた場所を抜けて、目の前の強盗達から離れると、アレクシアを囲む強盗達に向けて主砲の照準を合わせる。
「助かったよ、ルージュ。おかげで、アレクシアを援護出来る」
 そう告げたIgnatの背中の主砲から、砲弾が放たれた。砲弾は、アズハに撃たれた強盗達を次々と薙ぎ倒す。そのうち二人が、そのまま二度と動かなくなった。
「あなたは、これで終わりです」
 まだ余力のある強盗の一人が如何にか身を起こそうとしているところに、Finがヴァジュラの先端からビームの刃を放つ。ビームの刃が、強盗の身体を次々と斬り裂き血に染めるだけでなく、その外側を炎に包み、内側を毒で蝕む。
「――この一刀で、常世に送ってあげましょう」
 それでもなお戦おうとする強盗を介錯するかの様に、壱狐が大上段からの渾身の一閃で両断した。炎に包まれた強盗の身体は、左右に分かれてドサリと地面へ倒れていった。
「脳の代わりにスポンジが詰まっていそうな輩どもめ! 下がれ!」
 アレクシアを攻撃する強盗達の敵意を引き付けようと挑発を交えながら、ストームナイトは長剣を横薙ぎに振るう。その一閃はアレクシアに群がっている強盗達の胴に深い傷を刻みつつ、十メートルほど後方に吹き飛ばした。
(ありがとう、みんな――私、最後まで頑張るよ)
 仲間達からの援護に感謝しつつ、アレクシアは残る強盗達から距離を取る。そして、弓に矢を番えると弦を強く引き、アズハに群がる強盗の一人に狙いを定める。味方からの援護を受けたとは言え、ログアウトが避けられないのはアレクシア自身がわかっていた。ならば、最後まで依頼達成のために、そして仲間達のために尽力するまでだ。
 天をも穿つような一射は、狙いを過たずアズハの周囲にいる強盗の一人の頭を撃ち抜いた。強盗は、ぐらりとスローモーションのようにその場に崩れ落ちる。――それが、アレクシアの最後の一射となった。

 その後、アレクシア、Ignat、アズハは残る強盗から攻撃を受けて死亡扱いとされ、ログアウトを強いられる。だが、強盗達の攻撃が猛威を振るうのもそこまでだった。仲間を倒されて復仇の念に燃えるイレギュラーズ達の熾烈な攻撃により、強盗達の方も一人、また一人と倒れていった。
 そして、それ以上は誰もログアウトすることなく、イレギュラーズ達は強盗団の手から村を守り切ったのだった。

成否

成功

MVP

アレクシア(p3x004630)
蒼を穿つ

状態異常

Ignat(p3x002377)[死亡]
アンジャネーヤ
アレクシア(p3x004630)[死亡]
蒼を穿つ
アズハ(p3x009471)[死亡]
青き調和

あとがき

 シナリオへのご参加、ありがとうございました。皆さんのおかげで、強盗団は壊滅し村は守られました。
 MVPは、初手で多くの強盗達の攻撃を引き付けたアレクシアさんにお送りします。

 それでは、お疲れ様でした。

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