余はパンツが見たいのである！

オープニング

●下着姿にされた冒険者達
「パンツを見せよ！」
「きゃーっ！？」
「いやあああっ！」
　男の言葉が響くと、絹を裂くような悲鳴が上がった。突然、女冒険者達の服がブラジャーとパンツを残して消滅してしまったのだ。
「ふむ。こちらは少女趣味の白、そちらはアダルティーな黒であるか。おお、貴様のものは冒険者にしては随分と豪華なのであるな」
　眼前に曝された、ある意味では野暮ったいとも言える白、そしてシンプルではあるが大人びた黒、さらに刺繍を豪勢にあしらった紅のブラジャーとパンツに、タキシード姿の貴族然とした男は、目を細めて満悦した様子を見せる。
　ちなみに、男の冒険者達の服も下着を残して消滅しているのだが、そちらはアウトオブ眼中のようだ。
「男に用はない。この娘らだけ、もろうていくぞ」
　タキシードの男は、服が消滅して動揺した隙を衝き冒険者達を瞬く間に叩きのめすと、女性だけを攫って去って行った。
「ちく、しょう……」
　下着姿のまま地に伏した男達は、悔しげに呻く。負けた上、女性達を連れ去られてしまうとは。彼女達が何をされるかわからない以上、このまま放っておくわけにはいかない。当然、自分達だけこの世界『Rapid Origin Online』を去るというわけにもいかなかった――もっとも、『Rapid Origin Online』からのログアウト自体が不可能になっているのだが。

　困り果てた男達は、一端サクラメントまで戻ることにした。そこで、彼らを救出に来たイレギュラーズ達や『緑の騎士』ウィルヘルム（p3y000126）と遭遇することになる。
　イレギュラーズ達は男達の女性達を救って欲しいと言う懇願を聞き届けると、男達とウィルヘルムをサクラメントに残して、女性達の救出に向かっていった。

●下着姿を、強いられる
　練達の開発した仮想環境『Rapid Origin Online』内にダイブして、テスターとしてログインして閉じ込められた人々を救って欲しいと、ギルド・ローレットに多くの依頼が飛んだ。タキシードの男にアバターを下着姿にされた冒険者達も、その救出対象に含まれている。
「……今回の依頼ですが、一つ問題があります」
　イレギュラーズ達とウィルヘルムが、サクラメントで下着姿の男達と遭遇する少し前。『無辜なる混沌』のギルド・ローレットにて『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵（p3n000126）が言いにくそうに切り出した。何だと注目するイレギュラーズ達に、勘蔵は意を決した様に口を開く。
「今回、救出を阻む敵ですが、皆さんのアバターの服を剥ぐ特殊攻撃を使ってきます。これは、ROOのバグによって強制されるため、回避は不可能です。
　――ですから、皆さんのアバターには下着姿で戦って頂くことになります」
　勘蔵が言い切ると、一瞬場が静まりかえり、そしてざわざわとしたざわめきが起こった。
「それは、男もか？」
「はい、男性も対象となります」
「……あの、穿いてない場合は？」
「……謎の光が、見えてはいけないところを隠してくれます」
　その他、種々の質問がイレギュラーズ達から発せられ、勘蔵はそれらに丁寧に答えていく。
「――ですから、今回の依頼にはそれを了承出来る方だけ、参加をお願いします」
　勘蔵はそうまとめに入り、イレギュラーズ達に深く礼をした。

●手は出さず、ただ眺め
　『Rapid Origin Online』で囚われた女冒険者達は、タキシードの男の屋敷に連れて帰られ、後ろ手に拘束され立たされていた。もちろん、捕えられた下着姿のままでだ。
　タキシードの男は、その姿を満足そうに眺める。眺める。ただ眺める。ブラとパンツ姿の女性を満足そうに眺めつつ、食事をし、酒を飲む。
　女冒険者達はただ自分達を眺めるだけで何ら手を出そうとしてこないこの男を訝しみ、ついにはシンプルな黒の下着姿の女が躊躇いがちに問うた。
「……あの、何かこう、エッチなこととかはしないんですか？」
「そのようなこと、するものか――余はパンツが見たいのである！」
　――男の言葉を正確に表現するなら、ブラとパンツ姿の女性を見たいのである、となるだろうか。
　ともかく、女冒険者達は少なくとも手は出されることはないと安心する一方で、舐める様に肢体を見つめてくる男を気持ち悪く思いながら、助けを待つのであった。

参加者 : 8 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（8人）

リプレイ

●変態との遭遇を前にして
（オンラインゲームの世界に入れると聞いてワクワクしてたのに……どうしてこんなことに……！）
　十代前半の少女、『迷子の少女』ドロシー（p3x007835）が、orzと言う感じに地面に跪いてがっくりと項垂れた。『Rapid Origin Online』での冒険を楽しみにしていたのに、まさかその最初の冒険でアバターの服を剥ぎ取り、女性の下着姿をジロジロと眺めてくるタキシードの変態を相手することになろうとは。
「……いいえ。ゲームだろうと何だろうと、人の服を剥ぎ取って拐うような不審者は放っておいてはいけないわ。
　はじめての依頼だけど、頑張っていくわ！　……負けないわ！」
　だが、何時までも項垂れてはいられない。ドロシーは気を取り直してすっくと立つと、決意を敢えて口にしつつ、その不審者の屋敷の方へと眼差しを向けた。
「無理やり下着姿にして、まじまじと見ちゃうあぶないひとが相手なの！？」
　頬をかあっと紅く染め、信じられないと言わんばかりに叫んだのは、犬耳を生やしたメイド姿の『医療従事者兼メイド型クルスマタ』エリクシル（p3x001548）だ。問いかける様に放たれたエリクシルの叫びを否定する者は、その場にはいなかった。「あぶないひと」が相手であるのは、動かし様のない事実なのだ。
「……と、ともあれ、さらわれた人を助け出さないと！」
　まだ困惑が残る様子で、あわあわとしながらエリクシルが言った。クエストを受けている以上、エリクシル達はその変態に囚われた女性達を救出しなければならない。
「下着姿なんて、そんなに見たいものなの？　わざわざ攫って閉じ込めてまでなんて……なんでそこまでしちゃうかなぁ。
　変人の考えってわかんない。あ、こういうのは変態が正しいんだっけ？」
　『硝子色の煌めき』ザミエラ（p3x000787）が、うーんと首を傾げる。女性の下着姿を見たいと言う男性は、おそらく世の中に一定数はいるであろう――「そこ」までしてしまう様な者は、さすがにそうそういないはずであるが。
「まあいいや、とにかくその変態をやっつければいいんだし、ね！」
　しかしすぐに、ザミエラは頭の中に浮かんだ疑問を振り払った。変態の考えがどうであれ、変態を倒してしまえばほぼそれで終わるのだ。
「なんでもー、こういう依頼に参加することになるのよ！」
　不満げに、『夜空の華』月蓮（p3x005208）が口を尖らせた。一つ考えられる理由を指摘するならば、とある蒼い鳥に「参加することになるわけがない」と言う文を託したのが、今からしてみればフラグでしかなかったと言えよう。恐るべきは、フラグを回収させる運命の悪戯だった。
「……なんとまぁ、とんでもない変態がいたもんじゃのう」
　タキシードの変態の有り様に、呆れた様に『きつねうどん』天狐（p3x009798）が独り言ちる。だが、天狐はタキシードの変態を全否定はしない。性癖のためにそこまでする意気込みや良しとして、天狐も全力で相手するまでだ。

（ふふふ、この私のぱんつはどんな形・どんな色をしていると思う？　興味があるなら覗いても良いよ）
　まだ見ぬタキシードの変態に向けて、『ゲーム初心者』ユリウス（p3x004734）は内心で語りかけた。
（――ただし、私に飾られた衣装を剥ぎ取るつもりならそれ相応の覚悟を持つことだね。
　私の裸身は神秘そのもの！　あまりの美しさに目が眩んでしまっても責任は持てないよ！！）
　タキシードの変態が興味を示すのは女性の下着姿のはずだが、傲慢なナルシストであるユリウスは自身が無性であるにもかかわらず、己の裸身の美しさがタキシードの変態の目を眩ませるのは確実だと言わんばかりに自信満々になっていた。
（んー、困った……仕方ない　外の私をアバターにするか）
　普段のアバターが付けているのは水着である故に、下着は付けていない。そのため頭を悩ませた『まちのころしやさん』Что（p3x008495）は、本来の自分自身の仕事着、和風メイド姿をアバターにすることにした。
（何穿いてたかな……メイドのお仕事があるから、キレイな下着にしてたっけ）
　Чтоはそのまま、このアバターの下着がどんなものだったか思い出そうとする。やがてアバターの下着を思い出したЧтоは、タキシードの変態との戦闘へと意識の方向を切り替えた。
「パンツ……パンツかぁ。そっかぁ」
　何処か心ここにあらずと言った風に、最初から下着姿になっている『開墾魂！』きうりん（p3x008356）はつぶやき続けている。変態に見せることになるのに可愛い下着を着けていく意味は無いため、ブラシャーもパンツもごく普通にありふれた白の無地のものが選ばれていた。
「いや、私きゅうりの純種だし、きゅうりに変化すれば下着とか無いし別に恥ずかしくは……」
　そこまで言って、きうりんは一つの事実を思い出す。事前情報によれば、タキシードの変態の状態異常への抵抗力は高く、その攻撃の矛先を誘導するには下着姿の女性が当たらねば、成功は覚束ないのだ。
「そっかぁ。……そっかぁ。……いやまぁ、やるよ。やるやる！ㅤ依頼だからね！！」
　タキシードの変態の攻撃を自分に誘導しようとすれば、下着姿になるのは避けられない。恥ずかしくて死にそうだからさっさと終わらせようと、きうりんはタキシードの変態の屋敷へとスタスタと歩き始めた。

●パンツを見せよ！
　救出対象の女性達が囚われている屋敷の前には、イレギュラーズ達が来るのをわかっていたかのようにタキシードの変態が待ち構えていた。この変態を倒さなければ、女性達を救出することは出来ない。
「おらぁ！ㅤお目当てのパンツだぞ！ㅤお望みどおり丸腰で来てやったよ！！」
「ほう、良き心がけよな。白の無地か……うむ、シンプルなのも悪うない」
（うわあぁぁん、ばかばかばか！ㅤこっち見んな！！ㅤ気持ち悪い気持ち悪い！！）
　早速、きうりんがタキシードの変態の攻撃を誘引しようと叫ぶ。その声にタキシードの変態が絡みつく様な視線を向け、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら寸評を交えると、きうりんの背筋にゾッとするような嫌悪感が走った。
「だが、まだ足りぬ。それだけおるのだから、全員の分を見せてもらわねばのう――パンツを見せよ！」
　短時間ながらきうりんの下着姿を愉しんだタキシードの変態は、きうりん以外のイレギュラーズに視線を向けると、高らかに叫んだ。その瞬間、イレギュラーズ達のアバターの服がみるみるうちに消失していく。
「って、い、いきなり！？　や、やめてぇっ！」
　エリクシルが叫んだ時には、もう下着が曝け出されていた。白をベースに青い糸の刺繍が施された、フリル付きの洒落ていながら男心を煽るブラジャーとパンツである。
「み、見ないでください……」
「うむ、洒落っ気と色気が共に並び立っておるな。そうして羞恥に悶える様も、また堪らぬ」
　顔を真っ赤にし、目に涙を溜めながらエリクシルは露わになった下着を隠す。だが、変態の眼力はその前にエリクシルの下着を確りと確認していた。その言葉に、エリクシルはますます顔を紅くする。
「貴様のものは……ふむ、こちらはフリルがより多めで可愛らしくはあるが、それだけにかえって腰の紐がセクシーであるな」
（うう……知らないおじさんに下着見せて喜ばれるって、なんか恥ずかしい……。
　ノーリアクションだったらそれはそれで、悔しいけど……）
　エリクシルほどではないが、ザミエラもまた自身の下着姿をまじまじと見つめてくる変態の視線に、羞恥を感じていた。
（ううっ、これはお仕事、お仕事なんだから！）
　それでも、依頼を受けた時点でこうなることはわかっていたし、タキシードの変態を倒さねばならないことには変わりない。ザミエラは羞恥に耐えつつ、ベースを握りしめた。
　次いでタキシードの変態の目に留まったのは、ドロシーだ。予め服を剥ぎ取られるのを想定していたドロシーは、長袖のシャツに短パンに見えなくもない、長く厚めのドロワーズを着ていた。
「そして貴様は……まだブラを付ける前の子供か。だが、これはこれで悪うない」
（子供なのはそうだけど……でも、しっかり反応してくるのね）
　ジロジロと自身の下着姿を見つめてくるタキシードの変態の反応に、ドロシーは普段使いの下着を着てきた自分のチョイスは間違っていなかったのだと確信する。色気はともかくしても、タキシードの変態の能力で剥ぎ取られなかった以上、女性の下着姿には間違いない。故に、タキシードの変態はドロシーの下着姿にも反応を示したのだ。
　仲間達に向けられる視線が、いよいよ自分の方に向く。その瞬間のタキシードの変態の反応を想像して胸を躍らせるユリウスだったが、現実はユリウスの想像どおりにはいかなかった。
「貴様は……確かにセクシーではあるがのう……」
「なっ！？　私の美しい裸身を見て、何だその素っ気ない反応は！？」
「そもそも、貴様は無性であろうが……これが女であれば、確かに滾ったところではあるがのう」
　あまりに素っ気ないタキシードの変態の反応に、ユリウスは思わず理由を問うた。それに対するタキシードの変態の返答は、ユリウスに性別がないことを指摘するものだった。恐るべきは、既にユリウスが無性であることを見抜いているタキシードの変態の眼力か。
　ユリウスの裸身は自惚れるだけあって、確かに美しかった。下腹を覆うセクシーな紫の紐のパンツが、美しさの中に色気を感じさせている。だが、惜しいことに無性であって女性ではないと言うただ一点だけが、タキシードの変態の興を削いでいた。
　そのタキシードの変態の視線が、ユリウスからЧтоへと移っていく。タキシードの変態の視線が向いたのを察したЧтоは、身体をやや前に倒してにんまりとした相手を誘惑する様な笑顔を向ける。
「見てるだけでいいの？　……いいんだけどなあ、これもお仕事だから」
「確かに、脱がしやすそうな下着ではあるが……余は、あくまでパンツが見たいのである！」
　Чтоの下着は、フロントホックのブラに紐のパンツと言う、その気になって手を出せばすぐにでも脱がせそうなものだ。それだけに、タキシードの変態も物欲しそうな視線を向けたが――それを振り払う様に、タキシードの変態は叫んだ。
　悲しきは、下着姿の女性を眺めるだけの存在と世界に規定された己自身。
　Чтоの誘惑を振り払う様に、タキシードの変態は残るイレギュラーズへと視線を向ける。
「叫び声だけで下着姿にされるなんて……！　きょ、今日はたまたまこの下着だったのにぃぃっ！」
「ほう……このような下着、余は初めて見るぞ！　何と言う僥倖よ……！」
　その先には、顔を真っ赤にしながら羞恥に身体をよじらせる月蓮の姿があった。月蓮の下着は、レースが身体を拘束しているかのような、キュートさと同時にフェティシズムを感じさせるものだ。特に首回りや下腹部をハーネス状に束縛しているかの様なベルトが、より一層妖しさを醸し出している。
　そんな下着を着た月蓮がくねくねと身体を捩らせるものだから、初めて目の当たりにするタイプの下着を見たこともあって、タキシードの変態は大いに悦び、興奮を露わにした。
「そして、貴様は……ふむ、変わった下着よな。だが、これはこれでよい」
「どうじゃ！　これぞ、大和魂スタイルじゃ！」
　最後にタキシードの変態が視線を向けたのは、サラシに褌姿の天狐だ。下着姿にされると事前に知っていたために予め覚悟を決めておいた天狐は、下着を曝け出されても全く驚く風はなく、見られているのを恥ずかしがるどころかむしろ自慢気でさえあった。
　天狐の大和魂スタイルは、月蓮の拘束されている様な妖しさとは別の、ある意味健康的な色気さえ感じさせる。
「さて、行くぞぉーーーーーーー！！！」
　鑑賞の時間はもう十分だろうとばかりに、天狐はリヤカー屋台のジェットを噴かし、タキシードの変態に高速で突撃していった。

●下着姿に惑わされ討たれ
　タキシードの変態は、冒険者達を瞬殺しただけあって確かに強かった。その攻撃を自らへと引き寄せたきうりん、及び接近戦を挑んだЧтоは、タキシードの変態の拳によって、みるみるうちに傷を負わされていった。生命力に長じているきうりんはともかく、そうでもないЧтоが倒されずにすんでいるのは、一つにはエリクシル、ユリウス、きうりんによる回復が集中したこと、一つにはタキシードの変態の状態異常耐性を突破したザミエラによる行動阻害が効いていること、一つには一人を除き下着姿の女性ばかりであるためか、タキシードの変態の視線がしばしばあらぬ方向を向くため時々攻防に失敗していることがあった。

「こっちの娘はともかく、貴様はそろそろ限界の様だのう。ではこれで、倒れるがよい！」
　それでも、Чтоはあと一撃で死亡判定を受けるほどの深手を負っている。タキシードの変態は周囲に無数の拳を放ち、きうりんとまとめて攻撃してЧтоを倒そうとする。だが。
「ふむ、黒のブーメランか。思ったより平凡だね」
「……なっ！？」
　突如ユリウスに自分の下着を言い当てられたことで、タキシードの変態は動揺し攻撃は不発に終わる。他人の下着を堂々と見ておきながら、自分の下着は服の下なのは不公平と考えて『悪意の目』で覗いていたのを、ここぞとばかりに口にしたのだ。同時にユリウスは、Чтоに癒やしを施していく。
「ユリウスさん、ナイスです！」
　いざとなれば手を除けて下着をタキシードの変態に見せつけるつもりだったエリクシルは、Чтоを救ったユリウスの一言を称賛しながら、ユリウスに重ねる様にЧтоに癒やしを施した。二人の癒やしによって、Чтоの傷は完全にとまではいかずとも、その半ばほどまでは癒えていった。
「ありがとう、助かったよ――ねえ、もう大分楽しんだだろうし、そろそろ殺されてもいいよね」
　Чтоはユリウスとエリクシルに礼を述べると、必殺の一撃とばかりに巨大なザンバー・ブレードを上段からブン、と勢いよく振り下ろした。タキシードの変態はザンバー・ブレードを避けきれず、肩から真下にザックリと深く身体を斬り裂かれる。
「お主もうどんにしてやろうぞ！　人様に迷惑かけたぶん、精々美味しくなるがよい！」
　倒した相手からうどんを生成するアクセスファンタズムを発動しつつ、天狐はタキシードの変態に突撃。天狐のリヤカー屋台がタキシードの変態を撥ねれば、天狐はリヤカー屋台とともに元の位置にリスポーンし、再度突撃。幾度も繰り返されるリスポーンからの突撃を、タキシードの変態はまともに食らってしまい、ダメージに脚をよろめかせた。
（これで、物理的にハートブレイクさせてやるわ……！）
　そこに、ドロシーが可愛らしくウィンクをして畳みかける。ドロシーのウィンクからはピンクのハートが飛び、タキシードの変態のハート――心臓の位置に突き刺さる。心臓を襲う強烈な一撃に、タキシードの変態は苦しげに胸を押さえた。
（このおじさん、本当にタフよね……早く、叩きのめされてほしいんだけど）
　下着姿で羞恥に耐えながら戦うのを一刻も早く終わらせたいと思いながら、ザミエラはベースを上段に抱え上げながらタキシードの変態に駆け寄り、その頭を目掛けてベースを振り下ろして叩き付ける。ゴスッ！　と言う鈍い音と共に、衝撃がタキシードの変態の頭を襲い、その意識を朦朧とさせた。
　タキシードの変態が頭を振って意識を取り戻した時には、ザミエラは駆け出す前の位置まで離脱していた。
「もうさっさとぶち殺しちゃって！ㅤ無理無理無理！！」
　タキシードの変態の攻撃を誘引しているため、自ずとその視線をより多く受けることになったきうりんの羞恥と嫌悪感は、今にも耐えられる限界を超えそうだった。ザミエラ以上に一刻も早く戦闘を終わらせたいと願い、仲間に懇願する様に叫びながら、渾身の拳をタキシードの変態の横顔に叩き付ける。
　きうりんの拳を受けて向きを変えたタキシードの変態の視界には、踊り子のように艶めかしく腰を揺らめかせながら駆け寄ってくる月蓮の姿があった。月蓮は軸足を中心にパンツに覆われた尻を見せつける様に身体を回転させると、足に炎を纏った回し蹴りを放つ。だが。
「きゃぁぁああぁぁぁ！！？？　何でこんなことにいぃーーっ！！？？」
　タキシードの変態は、身を屈めて回し蹴りを回避した。そして身を起こす際に、頭部に受けたダメージによって前へとよろけ、月蓮の股間に顔を押しつける形となる。その感触に思わず身体を強張らせた月蓮は、無意識のうちにタキシードの変態の頭を太股でぎゅっと強く挟み込みながら、後ろに大きく上半身を倒す。
　そのまま月蓮がやはり無意識に身体をバック転させると、それは図らずもフランケンシュタイナーとなって、タキシードの変態の頭を地面に叩き付けた。

　――その後もしばらく戦闘は続いたが、Чтоが離脱を余儀なくされたもののタキシードの変態は倒された。なお、羞恥が限界を超えていたきうりんは、「私、着替えの服持ってきてねぇじゃん！」と、服が元に戻る前に自爆スイッチを押下した。
　うどんとされたタキシードの変態は、女冒険者達を性的に食っていないにもかかわらず、文字通りの意味で食われることになった……。

成否

成功

ＭＶＰ

状態異常

あとがき

　あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ。服を脱がした直後までで、リプレイが５千字近くになっていた。
　何を言っているのかわからねーと思うが（以下略）

　それはさておきまして、シナリオへのご参加、ありがとうございました。皆さんの下着の魅力がそれぞれに感じられるリプレイになっていましたら幸いです。
　MVPは、タキシードの変態の攻撃を一身に引き受け続けたきうりんさんにお送りします。

　それでは、お疲れ様でした！