シナリオ詳細
雑草を喰え! 雑草を喰え! ザッソーーーーを喰えーーーーーィア!
オープニング
●ザッソーの森に異変あり
翡翠(エメラルド)――大樹ファルカウに守られハーモニアたちの楽園。
ただし不用意にふみいり、霊樹の枝の一本でも手折ったのなら、己の腕を折られる覚悟をすべし。
「オメーーーーラァーーーー! スイカは食うもんじゃねえ! スイカはなんだァ!」
「「投擲武器!」」
「スイカをぶつける相手は誰だァ!」
「「ヨソモノ!」」
「アタシらはスイカを愛しているか! 翡翠を愛しているか!」
「「ガンホー! ガンホー!」」
屈強なスイカバーバリアンたちが頭にがぽっと霊樹デカメロンから授かったという頑強なスイカヘルメットを被り、ラグビー選手も真っ青の統率で整列した。
「「ウーーーーーーーーハーーーーーー!」」
歯をむき出しにしたプレッシャーバリバリのハカを踊り、一斉にタックルの構えをとるスイカバーバリアン。
全員が一斉にいどみかかるのは――。
「ザッソーーーーーーーーーーーーー!!」
全長10m近い怪獣ザッソー。
毎年このくらいの時期になると地面からはえ、あたりいちめんにザッソーフィールドを展開するこの怪物。
フィールド内に生成された雑草の繁殖能力たるやすさまじく、霊樹の栄養を奪うどころか作物という作物を覆い尽くし大体全部雑草にしてしまう恐るべき力なのだ。
無論放置しておけば翡翠の平和は脅かされる。
「死ねやぁーーーーーー!」
スイカバーバリアンは翡翠の存亡(?)をかけて一斉にタックルを浴びせる――が。
「ザッソー!」
怪獣ザッソーはサッカー選手のPKかなってくらいの唐突なキックでスイカバーバリアンを蹴っ飛ばすと、その風圧で周囲のスイカバーバリアンたちがまとめて吹き飛んでいった。
「グハァ!? ば、バカナァ!」
樹木にドガァって叩きつけられて血をはくスイカバーバリアン。
そこへ――。
「皆の者! 諦めるな!」
逆光と共に、現れる。
「あなたは!」
「伝説の――森の戦士!」
「キュウウリイイイイイイイイイイイイイイイイイイァ!!!!」
馬形胡瓜がいななきながら前足を振り上げ、その背にて未来を指さし跨がるのは。
「でぇ根長老!」
「いかにも! 今ここに、わしが認めた森の戦士を連れてきた! 奴らならば怪獣ザッソーを必ずや撃ち倒すであろう! ――というわけでご紹介しましょう本日のゲストはこの方!」
途中から急にキャラがバラエティ番組の司会みたいになった大根が指し示したのは。
「フィールドセル――きうりんDAYO!」
シルエットから現れたポージングきうりん(p3x008356)。
「役職は……ベジタブルヒーラー!」
「「ベジタブルヒーラー!? なんて翡翠っぽい役職!」」
「そして追加ゲストにぃ――」
「わたくしデスワ!」
シルエットから丸わかりだったクソザコスライム(p3y000015)が現れた。
っていうか最初っからきうりんが跨がってスライムライダー的なことになっていた。
「種族名――雑草ムシャムシャ!」
「「雑草ムシャムシャ! なんてザッソーを倒しそうな名前!」」
二人は突如そのへんに生えた雑草をむしゃあって食いちぎると、もしゃもしゃ咀嚼しながら目をかっぴらいた。
「ふぉひょおおおおおお! キマりますわぁ! ここの雑草ものすごいキマりまっっすわああっ!」
雑草オーラを全身から発するクソザコスライム。
いいぞスライム! きうりんはスライムをかかえて投擲体勢にはいると――。
「まずは一発いってみよーーーーーーー!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
とんでもねー勢いでとんでいき、そしていきなり怪獣ザッソーのどてっぱらに穴をあけた。
「ザッソーーーー!?」
突如現れた天敵の存在。
危機を感じ取った怪獣ザッソーは己の分身をはやしはじめ、迎撃態勢をとったのだった!
そう、もうお気づきだろうがこれは練達のアレでできたそうネクなんとかっていうアレである! ログインした研究員が怪獣ザッソーにされて意識まで雑草に乗っ取られ暴れてるっつーからさーたいへん! ザッソーを殴り倒して研究員のタマシーを助けるゾッ☆
さぁみんなアバターはもったか!? 張り切っていこうROO喰らう雑草キマる幻想俺たちの予想超えるLoad――チェケラ!
- 雑草を喰え! 雑草を喰え! ザッソーーーーを喰えーーーーーィア!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年05月21日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●忘れがちだけど、雑草にも味の違いがある
「私、この世界で初めて味というモノが感覚として理解できるようになりました。
甘いや辛い、全ての味が鮮烈で、刺激的で。
食は、良い物ですね。
なら雑草はどういった味なんでしょう」
たおやかな微笑みと共にぱたんと本を閉じる、『機械の唄』デイジー・ベル(p3x008384)。
本の表題には『道草を喰らう』とあった。
「雑草という名の草は無いって言葉もありますから、きっと色々な味があるのでしょうね。
研究員の皆様も捕らわれてしまっていますし頑張りましょう。
……美味しいと良いのですが」
「雑草が美味しいことってそうそうないとおもうけど……」
『星と陽の理解者』アルビレオ・エトワール(p3x000282)は妖精の羽をぷるぷるとふるわせ、黄色い燐光のようなものを浮かせた。
(雑草……なんだか現実での苦い思い出が……いや、ここはなり切ろう、なり切って忘れよう。まさか味が同じとは限らない、し)
試しに足元の雑草をちぎってにおいをかいでみる。
青々とした香り……といえば聞こえはいいが、要するにどちゃくそ青臭かった。
「うん。これ絶対食べられる気がしない。煮ても焼いても無理ってわかる」
「うーん、雑草が巨大な敵になって襲いかかってくるってシチュエーションなんだよねー。
とはいえ、身体がビクビクしてるんだけどー。
ぼくだって、やらないとなんだよー!
キャンキャンッ!! キャンキャンキャンっ!!!」
『チキンハート・プレーリードッグ』ホリ・マスヨ(p3x005174)がそびえたつ巨大なザッソーに威嚇のキャンキャンをしていた。
「似たようなノリの敵をR.O.Oの外で見たことあるし、実は正常に再現してるんじゃないかと思ったけど、そんなわけないかぁ……ないよね?」
キャンキャンしてる仲間をよそに、手首パーツをとったり外したりして調子をたしかめる『朝霧に舞う花』レインリリィ(p3x002101)。
「それはそれとして捉えられた研究員は助けないと。ね?」
「ハッ! 雑草!!
竹藪育ちのこのわたくしに雑草!!
ちゃんちゃら笑ってしまってへそで茶を沸かしてしまいますわピー!」
同意を求めるように振り返ると、『なよ竹の』かぐや(p3x008344)がブリッジ姿勢で茶をわかしていた。どうやって湧いたのかは知らない。チャドーの呼吸だとおもう。
「雑草……美味いとかマズイとかで語れてしまう、所詮はやわらか植物!
竹を齧って生き抜いたわたくしから言わせてもらえば、雑草なぞもはやスイーツ!
普通に咀嚼すれば食べられる時点で、何も躊躇うことなどありませんわ」
「雑草おいひい……ざっそうおいひい……」
同意してるのかキマってるのか、隣ではクソザコスライムが雑草をめっちゃ頬張ってむっしゃむっしゃしていた。
見た目がスライムなせいで雑草食っててもあんまり違和感がない。
が……。
「ぱく。雑草、不味い。もぐ。雑草、まずい。むしゃ。雑草、マズい。おえ。雑草、マズイ。若干涙目。
雑草って『雑草だ食べよう!』って口に入れるものじゃないと思うんです。
こういうのって普通食べられる種類を見つけて選り分けるとかするんじゃないんですか?
なんで雑草という概念をそのまま食わせるような真似をするの?」
地面にかがんで足元の草をちぎって口に頬張るという行為を『虚花』リラグレーテ(p3x008418)のような普通の人間ぽいひとがやると奇人にしかみえなかった。
「雑草を食べる文化……風習?に触れるのは初めてだ。
ボク雑草食べるの初めてなんだよね。
一体どんな味が……うわっエグっ。
一口で嫌になったけど食べないといけないよね。
うぇ……雑草だ……雑草の味がする……。
生きることの辛さや悲しさがひしひしと伝わってくる……。
かなしいよぉ……」
けど大丈夫。ひとりじゃない。『旅するサロ』サロ(p3x008903)もさっきから地面の草虫ってちびちびちなめたり頬張ったりしながら涙目になってるから。
お金なさすぎてどうかしちゃった人かアイドル業界で生き抜くためにしかたない人くらいしか雑草なんて食べないとおもうけど。ここにはそれ以外の理由で食う人たちがいた。
「雑草は人を傷つける道具じゃないよ!
私と雑草バトルで勝負だ!!
よし、みんな!! 雑草食べるよ!!!!!」
『雑草魂』きうりん(p3x008356)はむしろ自ら進んで雑草を両手いっぱいに掴むと。左右交互にむっしゃむっしゃ食っては咀嚼し飲み込んでいった。ほっぺハムスターみてーにして。
けど忘れてはならない。
【シナリオ時、雑草が美味しく食べられます。この効果は重複します】という効果をもった雑草装備をつけているのは、今日彼女だけだということに。
「雑草美味しい!! 雑草美味しい!!!!! 雑草、美味しい!!!!!!!!!!」
●インパクトは時として人から記憶を奪う
忘れてるかも知れないが、今回のクエスト内容は怪獣ザッソーの討伐である。
多分ここまでの流れでザッソーはともかくスイカバーバリアンの存在とか完全に忘却したと思うし、なんならでぇ根長老のことも忘れかけてると思う。
なので再登場しておこう。
「きゅうりいいいいいいいいいいい!」
いななくきゅうり馬。でぇ根長老はどうどうときゅうり馬をなだめると、雑草をむっしゃむっしゃ食っているきうりんやクソザコスライムたちに引い――じゃない、戦慄していた。
「これなら対抗できるかもしれん……恐るべき怪獣ザッソーに!」
「ごらんなさいこの通りムシャ……ムシャ? んっ? ムシャ……んんん????
えっ??? ちょっと待ってくださいまし??? ムシャ……えっ……????
おいいいいいい!!! 戦ってる場合じゃありませんわ!!!!!!!!!!
そこのあなたも分裂してる場合じゃございませんことよ!!!!!!!!!
ほらほらほらほらちょっとこれ一口食べてごらんなさいこの雑草これこれこれ!」
とかいってるそばからかぐやが雑草に夢中だった。
本当に大丈夫かなって目で振り返るスイカバーバリアンたち。
長老は咳払いしてきうりんを指差した。
「ま、まあよく見るのじゃ。わしが読んだ特別ゲストはほらこの通り――」
「ふぅ……やっぱ雑草って美味しいよね。
なんていうんだろう。こう、青臭さ、っていうのかな。それがこの世界の穢れとか、やるせなさとか、さもしさとか切なさとかテトロドトさとか、そういうのと混ざりあってハーモニーを奏でているよね。
苦味やエグ味すらも、それらを引き立たせるためのスパイスになっている。
きっとこういうのをマリアージュって言うんだろうね。
私はいま世界と一体になっている。世界を食べている。めっちゃ苦い」
草むらに乙女座りしてキラキラしたエフェクトだしながら雑草食いちぎっていた。
戦闘そっちのけの雑草ソムリエだった。
「では両手を合わせて……いただきます」
隣ではお行儀よくいただきますしたデイジーが雑草をひとたばちぎってむっしゃむっしゃ。
「……ふむ、これは。味に対しての賛辞の言葉はよく知りませんがなんでしょう、とても苦 みが強いです。あとコレはエグみ、というモノなんですかね。奇抜な感覚で、未知です。
他の雑草はどんな味が。もうちょっと、もうちょっとだけ食べましょう。
……こんな味が。じゃあ、今度は他をもうちょっとだけ。
もうちょっとだけ、もうちょっとだけ。うん、うん、うん、もうちょっとだけ。食べましょう
えぇ、どんどん、食べてみたい」
ここまで三人中三人が雑草にキマりすぎて雑草を食いまくる人と化していた。
ちょっと自分でも不安になってきたでぇ根長老は拳を振り上げるとプルプルふるえた。
「だ、大丈夫だ! ザッソーイーターの実力はここから、ほんとここからだから! ほら見ろ!」
「でも食べれば食べるほどテンション上がってきたな……いくぞザッソー!」
サロがねじねじした雑草を葉巻みたいにくわえて立ち上がる。
「君達をちぎっては投げちぎっては投げしてあげよう!
そしたらこう魂がふわ~ってなって君達は解放されるんだろう!
ボクも雑草から解放されたい!
出来れば今すぐに!
ひゃあ、やったるでー!
どんどんいこう!」
サロが雑草オーラをまとって両手を振り上げると大量の雑草が舞い上がり、渦を巻いて嵐となり怪獣ザッソーへと襲いかかった。
「キャンキャンキャ――キャンっ!!」
まだ威嚇していたホリが飛びかかるも、ザッソーパワーのないホリは怪獣ザッソーの蹴りによってサッカーボールみてーにバウンド。
ホリはすぐそばで雑草を蕎麦みてーにすすっていたクソザコスライムをつかんで放り投げた。
「こんな雑草に負けたくないんだよー!!
雑草ムシャムシャ族っていうんなら、これを食べてよ、マジでー!!」
「えっ」
「いらんザッソー!」
「えっ」
ぼがって蹴りつける怪獣ザッソー。
クソザコスライムが回転しながらとんでいく。
「ああっ、クソザコスライムが!」
「雑草オーラが足りないんだ!」
「僕にいい考えがある」
リラグレーテがスッて出てきた。
「ふ、ふふ。これでも僕、じゃない私料理は出来るんですよ
水にさらして、茹でる事でエグミは消して、後は和え物にしたり揚げたり……よし、これで完pヴフォアッッ」
ゆで雑草をめっちゃ吹いた。
そのままぶっ倒れ、震えながらきうりんに手をのばす。
「その『雑草ムシャムシャくんGOLD』、折って半分くれませんか?
お願いします! というか中身バレバレなんですよ! 同流のよしみで!!
……僕がちゃんと、お礼はするからさ。ね?」
「えっ、これ追ったりできるの? 悪霊の一種だと思ってた」
「いや、マズ……まっずい。なんで無駄に現実と同じ味してるんだか、腹立つ!」
一方ではアルビレオが雑草にひとりキレていた。
「大体なんでみんな雑草むしゃむしゃ食うことでキマってるんだよ! そもそも雑草頬張った時点ですでになにかキマってるよ!
腹立ってきた……いや、キマッてる? 違うんだ、これは腹が立ってるんだよ!
だからもうこの怒りを怪獣ザッソー達にぶつけるしかないんだ!!!」
むしったタンポポを握りしめるアルビレオ。
その隣でレインリリィは色々諦めた顔で地面からあの長細い草としか言いようがない雑草をむしり口に一本一本運んでいた。
「うん、こういう時に限って味覚は再現されてるんだよねぇ、このアバター、機械のはずなのに。に、苦い……涙が出そうなくらい不味いんだけど」
口元を抑えげっほげっほとむせて涙目になるレインリリィ。
この様子だけみると空に困りすぎて庭の草喰い始めた人か深刻ないじめ現場みたいだが、全員ある意味すすんでやってるところがサイコーに狂ってるポイントである。
そして……。
「けどなんか、不思議とイケる気がしてきたよ!
この閃きのままに、全力でテンションあげていこうか!」
ぺんぺん草を口からはみ出し、どっから持ってきたのか知らない剣と自分の剣でドヤガオダブルソードフォームをとると、サイコーにキマった笑顔でジャンプした。
「炎を纏った聖剣の一撃、受けてみると良い!」
『ゲームなら、現実の自分では無理な生き方をしてもいいだろう』と考えたひとの姿が、たしかにここにはあった。
●
「ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ」
ご覧頂きたい。これが雑草キマりすぎて雑草むしゃむしゃマッスィーンと化したかぐやである。
途中からもう人語を解さなくなってきてウマイとムシャムシャしかいわなくなった。
「ひらめいた! ザッソーのついでに周りも焼けば雑草も美味しくなるなじゃないかな!? よおし、これも人助けのためだ、全力でいってみよう!」
周りにごま油まいて火ぃつけるレインリリィもいた。
これ霊樹にやったら貼り付け火炙りの刑に処されそうだし普通にそのへんでやっても処されそうだが、今日はどうやらセーフらしい。
レインリリィはあらためて剣にライターで火ぃつけると、ザッソーめがけて斬りかかる。
「ザッソー!」
それを蹴っ飛ばそうと繰り出す足が、レインリリィのふぁいやーすらっしゅによって切り裂かれていく。
「よし、いいぞいけるいける!」
「ありがとうございます、ザッソー。私に雑草という物を教えてくれて。
こんな物、私は知りませんでした。
美味しいかどうかは判断がつきませんが、やめられません。止まれません」
一方のデイジーはやめられないとまらないモードになってるらしく、さっきから黄色くてちっちゃい花みたいなやつ(ヨッパライグサ)をぷちぷちつまんでは喰らうという奇行にはしりつつ、片腕をぶんぶん振って雑草魔術を生成していた。
纏ったザッソーオーラが幾何学的な文様を描き、パンチ動作と共に激しいエアインパクトを引き起こす。
「ザッソ!?」
草くってた人から出たとは思えないドシリアスな衝撃に、つい転倒するザッソー。
「ねぇザッソー。
雑草って、こんなに素敵で幸せな気持ちになれるぐらい美味しかったんだね。
気付かせてくれてありがとう。
私は、この雑草界の花になる
リラグレーテはそんなザッソーへにじり寄り、『ブレイブハートアサルトカスタム』にカートリッジをがしゃこんと差し込んだ。
「その為には栄養が必要だと思うんです」
仰向けのザッソーに飛び乗ったリラグレーテは『月影に咲くナハトケルツェ』を実行。至近距離から放った空想弾と雑草オーラがザッソーをばっすばす撃ち抜いていく。
その一方で、サロはクソザコスライムの口にバケツいっぱいの雑草をざーって流し込んでいた。
「なっなんですのわたくしいつの間に雑草なんて食べおばばばばばばばばば!?」
「クソザコスライム! 囮になってもらうよ! あとからすぐ行くからね!」
雑草を口いっぱいに頬張ったクソザコスライムをよいしょと肩に担ぐと、サロは助走をつけて思いっきりぶん投げた。
リラグレーテをおしのけて立ち上がろうとしたザッソーの土手っ腹に打ち込まれるクソザコスライム。
すげー勢いで回転するクソザコスライムを、腹筋にめっちゃ力入れて目ぇかっぴらきながら耐えるザッソー。
「ああああああああああああ!?」
「ザッソーーーーーーーーー!?」
「IMADA!」
雑草魔術をうにょんうにょん発動させるサロにつづき、ホリとアルビレオが襲いかかる。
「トドメ行くよ、クソザコスライムー!!」
回転しながら跳ね返ってきたクソザコスライム。ホリは豪快なジャンプからのオーバーヘッドキックによって、クソザコスライムをザッソーめがけてぶちこんだ。
「ああああああああああああ!?」
「ザッソーーーーーーーーー!?」
あれこのシーンさっき見たな!?
「喰らえっ、僕の必殺技(名前募集中)! もしゃもしゃもぐもぐ。
僕の怒りは呪縛と崩れによってお前たちに襲い掛かるんだぁ! もぐもぐもしゃもしゃ。
え、雑草食べてないよ? なんで現実でも食べたことある味をまた食べなきゃいけないのさ、もぐもぐ」
アルビレオはといえば左手で雑草を鷲掴みにしてめっちゃほうばり右手のロッドから謎の雑草ビームをびゃーーーって噴射していた。
噴射のありさまはなんていうかこう水の出るホースの先端をつまんでびゃーってしたときにすごい似ていた。あとめっちゃ青臭い汁だった。
「うおー!!! くらえーーーーー!!!!!!」
「ザッソーーーーー!?」
これにはザッソーも大弱り。
そこへ飛び込むきうりん。
「敵陣に乗り込め!!! 私達が囮だぜ!!!! どうか私達を止めないでね……!」
『決死隊』て書いたはちまきをまくきうりんへ、スイカバーバリアンとでぇ根長老が『いってらっしゃーい』つって手ぇふった。
「誰も止めない!!! うおーこいよザッソー! 私とクソザコスライムくんがお前の全てを受け止めてやるよ!!」
やけになった(もしくはいつもどおりの)きうりんは激しいジャンプからの大回転からの突進という謎の技(ローリング雑草サンダー)を繰り出した。
「これが雑草パワー! もう何も怖くない!
あとは皆が何とかしてくれる! 雑草の力をひとつに! うおおおおお雑草魂見せてけぇぇぇ!!!!!!!」
叫ぶきうりん。謎のシンクロを見せて『うおー!』と叫ぶ仲間たち。
あたり一面が緑の光に包まれ、そして――。
土手っ腹に大穴をあけたザッソーと、そういえばいた雑魚ザッソーたちがまとめて爆発四散した。
「グッバイザッソー」
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
クエスト完了ザッソー!
GMコメント
チェケラ!
●すごくちょー真面目なしりあす説明
練達セフィロトにて作られたもう一つの混沌、ネクスト。不明なバグによって変異してしまったこの世界は制御下を離れ自己増殖をはたし、ログインしていた研究員たちをも飲み込んでしまった。彼らを助け出すべく依頼をうけたローレットたちはアバアアアアアアアアアアアアン雑草おいひい雑草おいひいうっほ! ぺんぺんぐは! ぺんぺんぐはおいひい! 春になるといっぱいはえてくる雑草おいひいね雑――はっ!?
失礼、悪霊に取り憑かれていました。口んなか苦っ!
今回は翡翠に現れた怪獣ザッソーと戦い、たおして戴きます。
研究員はバグによってアバターごと変異し怪獣ザッソーとなってしまったのです。
これを倒し『討伐クエストをクリア』とすることで研究員は魂の拘束を解かれ助け出すことが出来るのです。
しかしザッソーは強い。あまりにも強い。
今からみんなで一致団結して奇跡のパンドラタイフーンをおこしたとて2~3人は死ぬんじゃないかなってくらい強い。
なので雑草のスペシャリストきうりんとクソザコスライムがあみだした必勝法を伝授しよう!
・必勝法そのいち! 雑草を喰え!
怪獣ザッソーによって大繁殖したさまざまな雑草をかっ喰らうことでザッソーオーラを纏うことができる。
これは怪獣ザッソーへの特攻効果を持つすげぇオーラーだ。オラこんなスゲェオーラを見たのは初めてでワクワクすっぞ!
ただし雑草はどう喰ったところで雑草。いかに美味しそうに調理しようがマヨネーズを溢れんばかりにかけようがなぜだか雑草の雑草味はくどいくらい主張してくるのだ。
しかもなんかしらんけど雑草を食べるとキマッてきて、テンションがどうにかなっちゃうらしい。
・必勝法そのに! 雑草を受け入れよ!
これは上級者向けのテクニックだが……諸君らが雑草スペシャリスト略してザッソリストであることを見込んで伝授しよう。
雑草の味とキマッたテンションをあえて受け入れ、そしてむしろ乗っかったプレイングを書くことで君の雑草力は極限まで高められ、怪獣ザッソーやその分裂体たちをそれはもう千切っては投げちぎっては投げその姿は草むしりするおっさんのごとしだ!
●エネミーデータ?
・怪獣ザッソー
でけえ
つええ
やべえ
・怪獣ザッソー分裂体
すげえいる
やべえ
●同行ザッソリスト
https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3y000015
「わたくしはクソザコスライム! むてきの雑草ムシャムシャ族のスライムですわ!
案外投擲するのに丁度良いサイズでしでよ!」
※重要な備考
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
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