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シナリオ詳細

【黄昏幻影奇譚】塵塚怪王編

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●塵塚怪王
「万物は等しくいずれは塵芥。我は現世の全てを司る者ぞ」
ーーゆえにすべては我の手の中。
 黒いボロを纏い、顔には翁の面。
 脚はなく、宙を漂う。
 腕はなく無骨で巨大な手が宙を舞う。
 怪異、塵塚怪王。
 瘴気を纏い、すべてを塵芥に還す者。
 その次なる凶手はいずこなるや?

●書斎
「やあ、イレギュラーズの諸君。よく来てくれたね」
 書斎に入って来たイレギュラーズを出迎える境界案内人のミヤコ。
 その手には『黄昏幻影奇譚』が握られている。
「今回は塵塚怪王という怪異の討伐をしてもらう」
 塵塚。わかりやすく言えばゴミ捨て場の事である。そしてその名が指し示す通り王でなのだろう。
「これは塵芥から生まれ、あらゆる物を腐らせるという付喪神の王なんだ」
ーーそしてこいつは世のすべては自分のものなのだから好きにしても良い、と考えている。
 その特性ゆえ、この塵塚怪異がその場にいるだけであらゆる物を腐らせる。
 イレギュラーズにはそれ自体は効果はない。だが、この怪異から放たれる攻撃は有機物・無機物に関係なく腐らせる。長期戦になればなるほどイレギュラーズには不利になるだろう。
「ゴミというものは何処にでもある。それゆえに村から村へ移動したところで、その神性が損なわれる事はない」
 もし塵塚が、塵芥がなかったとしても問題ない。自らそれらを作る事が出来るのだ。
ーーそれと
「塵塚怪王を追跡している人間が一人いる。戦闘に関しては……、私の見立てでは役に立たないだろう」
 詳細は聞いていないがもしかしたら戦闘に加わろうとするかもしれない。もしそうなれば止めた方がいい。
「ただ、塵塚怪王の情報は何かしら持っているはずだ。現地に着いたらまずこいつを探してみるといい」
ーー肝心の塵塚怪王の居場所は申し訳ないがわからなかったんだ。
 それはそれとして。
「こいつを放置しておくと何もかもが本当に塵芥になってしまう」
ーー生きている者達をこいつの我儘で塵に還す道理はないだろう?
 皆が塵芥にならないよう、祈ってるよ。そう言いつつイレギュラーズを見送るミヤコであった。

NMコメント

●黄昏幻影奇譚
怪異が蔓延る世界です

●目標
塵塚怪王の討伐

●技
腐敗する瘴気:イレギュラーズに効かないわかるとより濃度の高い瘴気にしてきます。常時発動しており、範囲が広く逃れる事は出来ないでしょう。

腐敗させる手:縦横無尽に宙を舞うその手からあらゆる攻撃を仕掛けてきます。この手による攻撃も相手を腐らせる効果があります。

塵芥:塵塚がある空間と塵塚怪王がいる空間を無理矢理繋ぐ事で塵芥を呼び寄せます。その塵芥は塵塚怪王が取り込む事で自らの体力回復と自己強化を図ります。

●追跡者
塵塚怪王を追跡している女性です。
武器は持ってますが実力が伴っていないようです。
説得して帰らせた方がいいでしょう。
その前に情報を引き出す事を忘れずに。
肝心の塵塚怪王の居場所はこの人が知ってます。

  • 【黄昏幻影奇譚】塵塚怪王編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年05月23日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
ニーヴ・ニーヴ(p3p008903)
孤独のニーヴ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●追跡者
 塵塚怪王を追って黄昏幻影奇譚の世界へやってきた一行。
 ここら周辺はまだ腐敗されていないようだ。
 だが何かが腐る臭いが何処からか漂ってきている。空気が悪い。
「随分と思い上がった怪異だ」
ーーしかし、この世界ではそれを為すだけの力を持つ存在。という事だな。
 そうぼやくは『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)。
 相手はすべての頂点を気取る者。それだけで普通ならまともに取り合われる事などないだろう。
 そう、普通ならば。
 しかしてここは黄昏幻影奇譚。怪異が蔓延る世界。須らく怪異は超常的な力を有している。それこそ神に等しき力だ。そしてその怪異の、延いてはこの世界の頂点に立っているかのような立ち振る舞い。まさに傲慢不遜。
「怪異というのは多種多様だな」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の感想。
 塵塚怪王に限らず怪異はそれこそ千差万別である。都市伝説や神話、怪談……。それらに出てくるのは口伝、つまり口で伝えられているものが多い。気の長くなるような時間の中でおこなわれている伝言ゲームなのだ。それゆえ、ひとつの怪異とっても設定が後からどんどん生えてきたり、似たような怪異が出てくる事が往々にしてある。そしてこうしたものから生まれ出づる怪異はその『大元』に縛られる。
だからといってこの世界の人々が生きて作り上げてきた物を何でもかんでも塵にするのは許せない。
追跡者を探し、歩みを進める一行。そして
ーー……あんた達は?
 徒人ならぬ気配でも感じたのだろうか。声をかけてくる一人の女性。
 ミヤコから例の追跡者の特徴を聞いている彼女で間違いないだろう。
 彼女の協力が必要な以上、こちらとて事情を話さないわけにはいかないだろう。
ーー異世界、ね
 通常なら信じてもらえる話ではないだろうが、押し黙る。
ーーわかった、あんた達の話はとりあえず信じよう。
 話が分かる女性ではあるらしい。あるいはそういう事にしただけであろうか。
ーーそれで?私に何か聞きたいことがあるんじゃないのか。
話が早い。
「何故追っているのでしょう。なにか経緯や縁故が?」
 そう問うは『白き不撓』グリーフ・ロス(p3p008615)。この追跡者はきっと心身共に疲弊しきっているのでは、と思っていたがどうやらそうでもないらしい。
ーーそれはあいつが私が住んでいた場所を、大切なものを、家族をすべて奪ったからさ!
 怪異とは理不尽なものである。人間の常識というものが一切通用するものではない。それこそ災害にあったのと変わりない。
 だが、それはそれ。その理不尽に憤り抗うのもまた人間という存在だ。それがどれだけ無力だとしても。非合理的といえばそれまでではあるが、そのほうが人間らしいといえばその通りである。
ーーだからこそ私はあいつを許せはしない!邪魔をするならお前達も敵だ!
 この追跡者から聞いた限りでは塵塚怪王ははるか昔にそれこそ不要な唐櫃の塵芥として捨てられたものだ。それが時が経つにつれ、物としての怨念がその身に宿り付喪神として成る。それが力を蓄え、ついには塵塚怪王として成り上がったのだ。ちなみに唐櫃とは衣装を入れる為の代物である。
「君の気持ちは十分に理解したよ。でも、危険だ」
『孤独のニーヴ』ニーヴ・ニーヴ(p3p008903)が説得に入る。
 この追跡者に塵塚怪王と戦わせるには危険すぎる。
「異世界から来たボクらなら、ある程度は瘴気にも耐えられる。でも君にはきっと難しい」
 自分達イレギュラーズはこの世界、『黄昏幻影奇譚』の外より来た者達。この世界の理より外れた存在である。ゆえに塵塚怪王の瘴気にある程度は耐えられるはずだ。
「だから……君の思いをボク達に託してくれないかな。きっと上手くやるからさ」
ーーわかった。ここは譲ってやる。ただし、死ぬんじゃないぞ。
 『言いくるめ』の効果もあったのか素直に応じる追跡者。塵塚怪王の居場所も教えてくれた為、あとは討伐を残すのみである。

●塵塚怪王
 追跡者から教えてもらった場所。
 一段と濃ゆくなる腐敗臭。一層重々しく嫌な空気。
 間違いない、いる。
ーーなにやつ。
 塵塚怪王。
 なるほど、すべての頂点にいるかのような大層な事を言うだけの事はあるらしい。
「私達は貴方を止めに来ました」
 グリーフは思う。塵芥。確かに有機物はいずれは分解されてしまう。だが、だからこそそれらの積み重ねがあって存在するモノもある。グリーフ自身も多くの『ワタシ』の上にあり、もしかしたらそのうちの一つになっていたかもしれない。どこか、誰かにとって意味があるモノ、記憶に残るモノ。モノというのはそういうものなんではないだろうか。だからこそ。モノの行き着く先自体は否定はしない。だが、できれば緩やかに。
 本人が、その時を迎えられるように。
 誰かがその事を心に、記憶にとどめられるように。
「穏やかな時間を、まってもらえは、しないでしょうか」
ーー笑止!くだらぬ!
 塵塚怪王から発せられた言葉は否定の声。
ーー我はこの世のすべてを司る者!すべては等しく塵芥ぞ!ならばすべては我の意のままに!それがこの世の道理である!
 こうなる事は織り込み済みである。軽く頭を振るグリーフ。ならばやる事は一つ。
 仕方ない、と戦闘態勢に入る面々。
 初手に動いたのはジョージ。致命効果のある衝角を放つ。どこが本体なのかわかりづらいが、こういうのは顔面が本体である事は実際にある。恐らく手に攻撃したところで結果は同じかもしれないが、より確実性を求めるならばこちらだろう。
「塵は塵に還す! 貴様ごときが全てを司るなど、片腹痛い!」
 翁の面の口から零れ落ちるは黒い液体。血だろうか。これで致命はしっかり入ったはずだ。
ーー片腹が痛いのは我とて同じ事。この世界の者ではない不埒者どもが……。ならばうぬらとて塵芥に還してくれる!
 塵塚怪王から発せられる腐敗する瘴気の濃度が増す。
ーーこの世の者ではないのなら世界の道理が通じぬのもまた道理……。ならば通ずるようにするまでよ。
 いかに『黄昏幻影奇譚』の理から外れたイレギュラーズとて無敵ではない。そして巨大な手がイレギュラーズに襲来する!
 吹き飛ばされるジョージ。薙ぎ払われるイズマ。腐敗効果の伴うその手は一気に二人の体を猛毒のように急速に蝕む。
 慌ててシェルピアを放つニーヴ。この腐敗もBSの一種ではないかと考えてのスキルだ。事実、二人の腐敗は解除されている。だが、予断を許さない。腐敗する瘴気に加え、攻撃力の高い腐敗する手。塵塚の王を名乗るだけの事はあって厄介極まりない。短期決戦に持ち込んだ方がいいだろう。
 そう考えたのはニーヴだけではない。他のメンバーもそうだ。だが、まずはこの戦線を維持できねばならない。
「貴方の攻撃は私が防いで見せましょう」
 グリーフによる名乗り口上。次いでルーンシールド。マギ・ペンタグラムでもよかったのだが、腐敗する手は腐敗効果はともかく、見た限りは物理攻撃だ。
ーー防ぐ、だと……。我をなんと心得る!
 唐櫃を中空に召喚する塵塚怪王。その中は暗黒が渦巻いている。その唐櫃に手を突っ込み、塵芥を取り出す。そしてそれを取り込む。致命が入っている為に回復する事はないが、自己強化されてしまう。
「好き勝手させない……」
 立ち上がるイズマ。
「俺たちはそう簡単に塵にはできない」
 塵芥による自己強化。まずはそれをどうにかせねばならない。
 剣魔双撃。イズマの攻撃は物理だけの力ではない。神秘の力も兼ね備えた複合業だ。攻撃に集中する事でより威力の高い力を発揮する。そのおかけで塵塚怪王の強化は解除される。
 予想外の攻撃に一瞬たじろぐ塵塚怪王。
ーーぬう、ならばこのまま薙ぎ払ってくれるわ!
 大きく振りかぶり拳による二連撃を放つ。
 だが

 がきいいん!!

 グリーフのルーンシールドによってその攻撃は弾かれる。その反動で大きく仰け反る塵塚怪王。
 その一瞬の隙を逃すイレギュラーズではない。
「怪異である以上、いつかは復活するかもしれん。だが、今ここに存在する貴様は、これで終わりだ!」
 ジョージのアロガンスレフト。相手の防御を粉砕し、確実に仕留める傲慢なる左ストレート。
ーーなん、だと……。いったいどこで間違えたというのか……。
 その強烈な左手に撃ち抜かれた塵塚海王は、大きく上空へ打ち上げられ、そのまま霧散していった。

●その後
 戦闘に勝利した一行。その後、追跡者の元へ向かい、勝利報告。
ーーそう、か。やっと……。やっと、終わった、のか。
 肩の荷がおり、イレギュラーズが戻ってきた事による安堵。その場に座り込んでしまう。
ーーああ、ありがとう、あんた達。この恩は一生忘れない。
 これからどうするのか問われる元追跡者。
ーーそれはまだわからない。が、とりあえずは住める場所、探すよ。私の村は滅んじまったからね。
 彼女は強い。怪異さえ絡まなければどこへ行ってもやっていけるだろう。
 その彼女と別れた後。
 ふと塵塚怪王と戦った方を見るグリーフ。
「私は忘れませんよ」
 その言葉の真意は誰にも聞かれる事もなく、胸の中にしまわれるのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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