PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ちいさくてかわいくて不気味の谷を全力でタップダンスしてくるやつ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●でも彼等救出対象なんだよなあ
 発生確率を固定。
 宿命率を固定。
 存在情報の流入を開始。
 ――介入完了。
 Rapid Origin Onlineへようこそ。今よりここはあなたの世界です。

「ア、アワワ……」
「ヒィィーッ!」
「あんなの倒せるノ……!?」
 森林国家『翡翠(エメラルド)』のサクラメントから遠く離れた森の中、その『アバター』達は明らかに手に余る巨体を相手に逃げ回っていた。手に手に武器を持っているが、戦い慣れていない、というか戦いというものを知らないような動きをしている。アバター達が一致団結すれば或いは倒せる相手なのだろうが、それは犠牲を甘受することで成立する――要するに『生贄を差し出さないと逃げることすらままならない』相手なのである。
 彼等の本当の目的はともあれ、行きがかり上襲われただけの敵に蹂躙され、しかしクエストを受注した以上はクリアせねばならず、そうでなくとも『このゲームからは逃れられない』。
 彼等は――希望ヶ浜初等部の生徒達は気軽なゲームのつもりだったのだ。送り出した側もそのつもりで。
 唯一の誤算があるとすれば、『R.O.Oがバグっている』ということだけだ。


「来たかにゃ。じゃあ、ちょっくらミーが今回のクエストについて説明するにゃ。耳かっぽじってよく聞けにゃ」
 R.O.Oにログインしたアバター達――イレギュラーズの分身だ――に向けて、『イモ食え』ぱぱにゃんこ (p3y000172)はダミ声で先輩風吹かせる感じで説明を始めた。なおこの外見からは『もとが誰だかわからないし、分かっても余り言及してはいけない』。口にするなよ、という無言の圧力すらも感じる。
「今回は『翡翠』から発注されたクエストにゃ。目的地は領内奥地にある遺跡の秘宝の確保、まあ……ぶっちゃけると所謂サクラメント、『ログインポイント』の成立ってことになるにゃね」
 もう少しざっくりいうと『秘宝を確保した時点でクエストは成就となり、拠点として成立する』わけだ。
 そこまで説明すると、ぱぱにゃんこは声を潜めて告げる。
「それと……遺跡周辺に巨大なモンスターが『複数』確認されてるにゃ。遺跡は特に危険性が無いらしいにゃが、先にクエストを受注した連中がまだ成功させてないところからすると多分、そいつらログアウトもできず殺され待ちの可能性が高いにゃ」
 人相もらってきたにゃ、と肉球に貼り付けた紙を見せたパパスに、一同は凄く神妙な顔になった。
 なんというか……外見だけは非常に丸っこくて可愛らしい、ほのぼの4コマとかですごい映えそうな動物然とした造形なのだが、顔周りだけ異様に凝ったモデリングで所謂『不気味の谷』に嵌まり込んだ感じだったのである。
「言うまでもないけどそいつらログアウトできなくなった救出対象にゃ。サクラメントを確保すればそこから引っ張り出せるにゃ……ただ、先に脱出するから後は任せて、とかは無理だからそこは気をつけてにゃ。少なくともモンスターを倒さないと遺跡に入れないし、よしんば入れても多分起動しないにゃ」
 助けるためには倒さないといけないにゃ。そうつづけたぱぱにゃんこを見て、一同は深くため息をついた。

GMコメント

 タイトルは数日前から温めておいたんですが、こんなにシリアスだったか……?
 ともあれR.O.O始動です。頑張っていきましょう。

●成功条件
・遺跡の秘宝の確保
・ちいあば(ちいさくてアバターなやつ)の全員保護

●失敗条件
 ちいあばのいずれかの死亡

●ちいあば×5
 今回の保護対象。希望ヶ浜学園の初等部生徒達です。
 当たり前ですがR.O.O以外での戦闘なんて経験がなく、連携なんて無理寄りの無理。
 ステータスだけみれば皆さんと大差ないか少し上くらいなんですが、その辺り難があり全く戦力としてカウントできません。多少雑な扱いを受けても死にはしません。NORMAL相応には保護対象として生きてくれます。

●討伐対象(共通)
 いずれも結構な強敵扱いです。
 HPが一定以下になると行動・性能に変化が起きます(ただしノーヒント理不尽強化とかではないです)。

●討伐対象A
 特に名前はありません。四足獣をベースとしたキマイラ。
 めちゃくちゃ巨大ですが機敏で、単独で足止めしようとすると被ダメージが一気に上がって凄いことになります。
 代わりにブロックorマークする人数が増えるにつれベース攻撃力が下がる特性があります(ターン開始時判定)。
 基本的に至近~近距離攻撃メイン、範囲攻撃などもありますが威力はちょっと落ちます。
 それでもかなりの強敵であるといえるでしょう。
 防技・抵抗の高い対象を優先して狙う傾向にあります。

●討伐対象B
 全身に毒棘のついた蛇です。臨戦態勢にある場合、遠距離攻撃に対して【棘】が発生します。
 攻撃は~超射程(貫通等)、【移】あり。動きの早い対象(反応・機動参照)をターゲットに取りやすいようです。

●遺跡
 『翡翠』内の古代遺跡のひとつ。
 特に中に仕掛けのない一層構造で、奥に秘宝(=サクラメント)があります。
 なお、討伐対象の撃破後でなければここからの離脱はできません。

※重要な備考

 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • ちいさくてかわいくて不気味の谷を全力でタップダンスしてくるやつ完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

パンジー(p3x000236)
今日はしたたかに
セララ(p3x000273)
妖精勇者
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
エルセ(p3x004636)
ブルームストーム
リセリア(p3x005056)
紫の閃光
リラグレーテ(p3x008418)
憧憬の聲
現場・ネイコ(p3x008689)
ご安全に!プリンセス
天狐(p3x009798)
うどんの神

リプレイ


「パンジーです。よろしくね、なの」
 『白雪』パンジー(p3x000236)は小さな体を精一杯広げるように挨拶をする。思うところは多々あれど、身振りと言葉は外見相応に取り繕わねばならない。少なくとも、多くの者から見てそれは十分に出来ている、といえた。
「セララだよっ! よろしくね!」
「よっし、これが私の初クエストね! 張り切っていくわよ~! エルセよ、よろしく!」
 そういう意味では、混沌での姿と(サイズ以外は)大きく変わらぬ『妖精勇者』セララ(p3x000273)の素直さや、『ブルームストーム』エルセ(p3x004636)の自由闊達な素振りは――些かオーバーな気こそすれ、距離感を測りかねているパンジーには新鮮であることは間違いなかろう。
「ふんふんっ! 先にクエストを受けたちいあばさん達を保護して、討伐対象を撃破した後、遺跡の秘宝をゲットしてログアウトって感じかな?」
「えぇやりましょう! やってやりますとも!! たとえどんな強敵でも皆様のお力を合わせれば勝てますとも! ……多分!」
 他方、『ご安全に!プリンセス』現場・ネイコ(p3x008689)は恐らくキャラ作りであろう、指差し確認をこまめに行なって状況を改めて整理し、仲間たちの同意を求めるように視線を向ける。『きつねうどん』天狐(p3x009798)はそも、混沌にもネクストにも馴染みきって居ない初々しさゆえか、溢れんばかりのやる気が周囲から見てもありありと感じられた。
「なるほど。初陣にしては難易度高そうですね? まあだからこそやる気が出るし、何よりクエスト受けちゃったからにはもう……ね……クリアするしかないでしょうっ!」
「そうですね、この感覚は新鮮ですが……そのうち慣れるでしょうか」
「『こっち』は成長曲線がパないらしーからそのうち慣れるにゃ。ミーは大体わかったにゃ」
 『虚花』リラグレーテ(p3x008418)も以来の状況が差し迫った危機にあることを認識しつつ、そのハードルの高さにいい知れぬ興奮を覚えている様子。リセリア(p3x005056)は肉体の不自由さにやや不服そうだが、『イモ食え』ぱぱにゃんこ (p3y000172)はその辺気楽そうに返す。まあ、確かにそのうち慣れるのだろうが……。
『かわい』
「……いやあ、大体人型してる時点で『あれ』よりは感覚掴むの早いと思うんにゃよ、ミーは」
 『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)が一同に聞こえる念話でコンタクトを取ろうとしたので、ぱぱにゃんこは神妙な面持ちでそちらを見た。辿々しい音声はその意味をなさないが、代替手段として念話を習得したその姿、その態度からは自分以外はどれも可愛いからよい、という愛情というか、愛玩物に対する思慕のようなものを感じ取れる。当然のように、微塵の悪意も感じられないのが不思議なくらい。
「全員『なんとなく』で理解できたみたいにゃから、とっとと現地行くにゃ。ミーも戦うけどユー達より頼りないくらいにゃから勘弁にゃ」
 ちょいちょいと招き猫のように前足をかいたぱぱにゃんこは、一同が応じたのを見て森の奥を尻尾で示した。既に毒蛇が通ったであろう轍とキマイラが踏み折った枝が顕で、誘っているようにすら見える。
「よーっし! それじゃ皆、私達のクエストを始めよっか!」
 ネイコの言葉に一同は頷くと、周囲の気配、そして助けを求めるアバター達の気配を探し始める。居場所を見つけるのにそう時間はかからなさそうだが、何しろ全員が全員、「いつもと違う姿」なのである。
果たしてこの依頼、無事に成功するのだろうか……?


「ヒューッ、ヒュー……ッ」
「アノ敵スゴく強い……! 毒ダメージ重イ……!」
「シィーッ! シィーーーー!」
 ちいあば達は森の奥で、モンスター2体の目をかいくぐりなんとか遺跡付近までたどり着いていた。だが、やはり受けた被害の度合いが大きい。蛇の毒はとっくに抜けているし体力はまだ6割くらいあるが、交戦時のショックが大きく戦意をいい感じに折られているようにも見える。
 あれを倒さないと帰れないが、こんな調子で勝てるのか? と聞かれると無理としか言いようがなく……。
「SHHHHHHHHH……」
「ヒッ!?」
 その時、大蛇が舌を動かし鎌首をもたげると、ちいあば達の隠れた茂みへと頭を向けた。先程の恐怖が染み付いている彼等にとって、その態度は恐怖でしかなく――。
 だからこそ、その頭部に石が叩きつけられ、現れた謎の騎士風アバターが逃げるように駆けていく姿に一同は息を呑んだ。『嵐の聖騎士』とネームタグが踊るそれは、迫りくる蛇から全力で逃げ回る。
「――貴方達、先ずは無理をせず防御を固めてください」
「アレは私たちに任せておいてっ!」
「?????」
 首を傾げたちいあばに目もくれず、リセリアはキマイラの鼻先に四聖刀『陣』を振るい、相手の気を引こうとする。エルセはキマイラの蛇の尾目掛け神鉄剣を振り下ろすと、反撃じみて振るわれたそれを盾で受け止める。……重い。
「ボク達が来たからもう大丈夫!安全な所へ逃げるか隠れてて!」
「――もう大丈夫。絶対、私たちが守るから」
 突然の出来事で頭に疑問符をたっぷり浮かべたちいあば達に、リラグレーテとその肩に乗ったセララがはっきりとした声で語りかけた。恐らくステータス面では同じか少し上程度の面々が、しかしやけに心強い雰囲気を醸し出す。ちいあば達の中でサビトラ柄の個体がしっかりと頷くと、ほかのちいあばを率いて遺跡の中へ逃げていく。
「私も前に出て、戦うの……!」
 パンジーはロザリオを握り込むとキマイラの横手に回り込み、拳を叩き込む。現実世界では感じたことの少ない、至近距離での命のやり取り。デジタルでしかない血が沸騰する感覚、意識が一点に集まるのを理性が拒絶する。冷静になれ、と。
「全力全開、プリセンスストライクっ!」
「全力全壊! ギガセララブレイク!」
 ネイコとセララは其々の得物を構え、派手なエフェクトを散らしながら一撃を叩き込む。雷撃を伴った一撃と、ただただ派手なエフェクトとが森の中でひらめき、周囲を一瞬だけまばゆく照らす。
「武装(メイクアップ)! ロゼッタネビュラっ! ……行くよっ!」
 リラグレーテの掛け声にあわせ、ブレイブハートがメカニカルなシステム音声を発する。一瞬の後、そこに立っていたのは……どこかウェスタンじみたテンガロンハットに無頼のそれを思わせる服装だった。初回なのでかっこよさげにキメたらしい。初回とは?
 あまりの派手さに時間が止まったような敵味方をよそに、一足で踏み込んだ彼女はブレイブハートを後肢に叩き込むと空想弾を打ち込み、満足げに鼻を鳴らした。
「これなら、当たるはず……っ! 『せつなさみだれうち』!」
 天狐は注連縄を握り込み、四方から攻撃を受けたキマイラ目掛けて賽銭箱を叩きつけた。小気味よい小銭の音と共に派手なエフェクトが飛び散る連撃は、本来なら派手なだけの魅せ技だ。だが、仲間がさんざっぱら攻撃してくれたお陰で逃げ場の減ったキマイラは、そんな攻撃に意識を割ける状態にない。
「GRRRRRRRRAAAAAGHHHHH!!!!」
「縺薙▲縺。繧貞セ。隕ァ繧」
 怒りの咆哮と共にリセリアとエルセを弾き飛ばしたキマイラがたてがみを震わせ、次なる攻撃へと移ろうとしたまさにその時、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の不明瞭な発声が森に響く。驚いたように視線を向けたキマイラは、その異形にぎょっとしたように身を震わせ、思わず動きを鈍らせた。すかさず放たれた一撃は、確かな手傷をキマイラに与える。
『どう? どう? 上手?』
「すごいの、です……!」
「効いてるわ! ……イケるわね、これ!」
 喜ぶようにふにゃふにゃと声を発する縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧に、パンジーとエルセが驚きの声を上げる。そこまで露骨な成果が現れるのは予想外だったが、それでも僅かな猶予ができたのはでかい。
「よーしっ、このまま一気に倒すよっ!」
「あ、いえ……ネイコさん、リラグレーテさんっ!」
 調子が上がってきたセララが気勢をあげたのと、天狐が先程までのゆるさをかなぐり捨てて声を張ったのとはほぼ同時だった。何度目かの強撃を放ったセララを庇うように天狐の賽銭箱が掲げられ、そこに毒針が突き刺さる。直後、茂みの向こうへとネイコとリラグレーテが一直線に駆けていく。三者三様、別々のアプローチから『なにか』を感じ取ったのは間違いなく。
「こっちの敵はボク達で倒そう! あっちの蛇も怖いけど、早く倒して全員向かったほうが早いよ!」
「そうね、二手に別れたままより優先順位をつけたほうがいいものね!」
 セララは残った4名に告げると、聖剣ポッキーソードを構え直した。エルセ、パンジー、リセリア、そして縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧も各々攻撃姿勢を解かず、キマイラと対峙する。再びに響き渡るキマイラの咆哮は、歓喜か怒りか――。


「おいしいうどんに……なーれっ!」
 天狐は嵐の如くに降り注ぐ毒針を撃ち落としつつ賽銭箱を振り回す。降りかかるそれらの対象は、リラグレーテへと密度高めに襲いかかっているのが分かるだろう。
「もしかしてこれ私、狙われる?」
「かもねっ! 私もちょっと激しめに狙われてるかもっ!」
「……そっか、上等っ!」
 リラグレーテの焦りを含んだ言葉に、ネイコが同調する。感知能力で敵を察知した3名中、2人はこの以来の面々でも特に反応速度が速い者同士。躱すことに注力するか、硬い守りで凌ぐかの違いでしかない。
 そして、天狐は反応速度や回避能力こそ他の2人に追いつかずとも、奇跡じみた異常な回避を駆使して大蛇の猛攻から逃れている。そして、賽銭箱を叩き込んでいる。
「プリンセスストライクっ!」
「――貫き徹せ、『ナハトケルツェ』ッ!!!」
「おいしくなーれ! うどんになーれっ!!」
 三者三様の『必殺技』は毒針が生え変わる一瞬、露出した本体目掛け『幸運にも』叩き込まれ、大蛇のHPゲージを大幅に削り取った。……数段構えのゲージの一本目だが、それでも大分、デカい。

「Grrrr」
 キマイラがひゅうっと息を吸い込むと、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧とエルセを巻き込むように息を吐き出す。強烈な冷気を纏ったそれは威力こそ低いが、両者の足元を見る間に凍らせ、動きを阻害する。
 他方、尻尾の蛇は内部から膨れ上がり、爆散。内部から現れたのは、蛇の長さの倍に比するサソリの毒針。
 不気味に顔をひきつらせたキマイラは、両者目掛け突進し、サソリの尾を衝き込んだ。
「く……っ!」
 すかさず反撃を叩き込もうとしたエルセはしかし、先程までの技倆に体が追いつかないことに歯噛みし、力任せに得物を叩き込む。縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は不気味な笑いを絶やすことなく反撃に転じ、動けないながらも正面から撃破する覚悟を固めた。次の瞬間には蹂躙される――その覚悟はできていたはずだ。
「……!? !!」
 だが、その毒針が振り下ろされることはなかった。
 先程まで機敏に動いていたはずのキマイラが、動きを止めたのだ。
「皆さんを巻き込まないように頑張ったので、少し遅れましたが……間に合いましたね」
 その声のした方を見れば、リセリアが何らかの技――相手の動きを縛り付ける類のそれ――を振り抜いた姿勢で静止していた。
「ありがとうリセリアちゃん! 運が良かった!」
『すごい、すごい』
 セララと縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は口々に称賛の声を飛ばすと、その勢いのままキマイラに猛攻を仕掛けにいく。
「許さない、のです……!」
 パンジーは『ロザリオを握って殴る』という罪悪感をかなぐり捨て、拳をより強く握るとキマイラの懐に潜り込む。渾身の力を籠めて振り上げられた一撃は今までの彼女の攻撃を凌駕し、キマイラをかち上げた。当然、落下してくる巨体を支えねばならぬが……そこを狙ったように、リセリアとセララの一撃が衝き込まれれば、いよいよもってキマイラの体力も尽きる。
 轟音を上げて沈んだそれを一顧だにせず、5人は大蛇に向き直り。
「……そういえば、ぱぱにゃんこさんは……?」
 リセリアが思い出したようにその名を口にしたが、その場には見当たらなかった。……のだけど、不思議と全員の体力が『それなり』に回復しており、エルセも技を使える程度には回復していたりした。

「おいしくなれ、おいしくなれ……っ!」
 で、その頃。
 大蛇に向かった3人の傷は順調に増えていた。が、大蛇の体力ももりもり減り続け、どちらが先に命を落とすかの境地にあった。
 だが、3人はその攻防におかしなものを感じていた。……毒が、一向に効いてこない。
 各人の状態異常に対する抵抗は決して低くはない。それは事実だ。だが、それにしたって『効かない』ということは無いはず……なのだが、どこからか流れてくる光の粒がその異常の正体、なのだろうか?
「もうちょっとしたら皆来るにゃ。ユー達はそいつぶっちめることだけ考えるにゃ」
「あ、いたんだ……?」
「ミーは添え物だからにゃ」
 リラグレーテの問いに、ぱぱにゃんこは不機嫌そうに鼻を鳴らす。カクついた動きから前足を掲げて放たれる治癒能力は、死の先延ばしに過ぎないものの効果はあるらしい。
「髢薙↓蜷医▲縺」
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の声が聞こえたか否かのタイミングで、アバター達の攻撃が激化する。死に瀕した大蛇の攻撃もまた激化するが……彼等は、何とか勝利を収めたのだ(ドロップ:うどん、1)。

「アワワ……」
「もう大丈夫だよ、周囲の安全確保ヨシ!」
「うどんも持ってきましたよ!」
 怯えるちいあば達にネイコは微笑みかけ、天狐は手に入れたうどんを差し出す。入手元は言わないでおこう。
「これが秘宝だね、これを起動させれば」
「戻れるのですね……」
 リラグレーテとパンジーは遺跡の奥にあった宝玉に手を伸ばす。
 直後、まばゆい光が遺跡全体を覆っていき……。

<QUEST CLEARED>

成否

成功

MVP

天狐(p3x009798)
うどんの神

状態異常

エルセ(p3x004636)[死亡]
ブルームストーム

あとがき

 お疲れ様でした。
 幸運補正持ちが二人(非戦、AF等)いたので色んな所でちょいちょい幸運が訪れていたりします。
 激しい戦いでした……。

PAGETOPPAGEBOTTOM