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シナリオ詳細

氷の洞窟、害獣駆除作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 五月。春から夏へと向かい、じんわりと汗ばむ陽気が顔をのぞかせる。
 暑くなって来れば、涼を求めたくなるもの。
 ひんやりとした涼しさは、多少の贅沢をしてでも欲しくなる。
 という訳で――

「涼しくて良いね」
 秋宮・史之(p3p002233)は、氷の洞窟に訪れていた。
 周囲を見渡せば、地面も壁も天井ですら、青白い氷に覆われている。
 どういう仕組みなのかは分からないが、洞窟を覆う氷自体が仄かに発光しているお蔭で、明かりには困らない。
「海洋に、こんな場所があったんだね」
 物珍しげに周囲を観察している史之に、この洞窟の探索を頼んだ依頼人、ヴァンとリリスが説明する。
「何らかの魔力の影響で、ここはこうなってるみたいです」
 魔法的に解析をしながら、ヴァンは続ける。
「周囲から熱を奪って、その熱量を使って氷の維持をしてるみたいですね。吸収する熱量がそれほどでもないので、涼しい程度で済んでるみたいですが」
「寒くは無くて涼しいってのが良いわよね」
 ヴァンの言葉に続けて、リリスが言った。
「近くには泳ぐに最適な真っ白い砂浜。暑さに飽きれば氷の洞窟で涼む。リゾート地としていけるわ」
 商売人の顔をのぞかせるリリス。
 今、史之を含めた3人が氷の洞窟に居るのは、リリス達のリゾート開発計画のためだ。
 氷の洞窟がある島は、首都リッツパークから離れている上に、海流の関係で訪れるのに少し骨が折れる場所にある。
 そのため発展からは取り残されていたのだが、船乗りたちの噂話を聞きつけたリリス達が現地に訪れ、実地検査をしていた。
「リゾート地か……島の人達は、賛成してくれてるの?」
 海洋に領地を持っている史之は、自分の領地経営にも活かせないかと聞いてみる。
 するとリリスとヴァンが応えた。
「人が来て賑やかになるなら良いって言ってくれてるわ。今のままだと、過疎化して人が居なくなりかねないみたいだから。あと、この洞窟は、好きに使ってくれて良いって。島の人達からすると、あっても無くても対して変わらないみたいだし」
「この場所、使い勝手が悪いですからね。涼しいのではなく、寒いぐらい温度が低い場所なら、島の人達も利用しがいがあったでしょうが、この程度だと冷蔵庫代わりにも使えませんからね。それこそリゾート地にでもしないと使い道が無いですが、そのための資金も人手も持っていない」
「だから私達の申し出に許可が出た訳よ。ここを直轄してる領主に贈答品とか送って無期限賃貸権も手に入れたし、あとは開発するだけなんだけど――」
 洞窟の奥に視線を向け、リリスは溜め息をつくように言った。
「あれをどうにかしなきゃダメなのよね」
 視線の先には、魔物が10数体。
 見た目はでっかいトドが1体に、それを囲むようにして残りは小さいのが囲んでいる。
「海獣シーライオン。この洞窟を縄張りにしてるみたいで、襲われて怪我をさせられた島民の人もいるらしいわ」
「とはいえ、この辺りまでなら襲い掛かって来ないみたいですね」
 警戒する様に顔を向けているトド達を観察するヴァン。
「この洞窟を含めてリゾート開発するには、あれの駆除も必要事項に含まれてるので、どうにかしないといけません」
「強さは分かってるの?」
 シーライオン達から視線を逸らさず史之が尋ねると、リリスが応えた。
「何度か島民の人達が駆除しようとして、倒せなかったけど、攻撃手段とかは分かってるそうよ」
 話を聞くと、群れのボスらしい巨大シーライオンは動くことは少なく、代わりに口から炎のブレスを直線上に放つらしい。
 残りの小型は、見た目からは想像できないぐらい素早く、体当たりや噛み付き、近距離での炎のブレスを放って来るようだ。
 しかも回復持ちらしく、多少傷を与えても、ちまちま回復されるらしい。
「今この場で、どうこうするのは無理だね」
 場合によっては威力偵察も考えていた史之だが、リリスとヴァンもいるので安全策を取る。
「なら、後日ローレットに頼みに行くとしましょう」
「都合が合えば、参加してくれれば助かるわ」
 ヴァンとリリスの言葉を受けながら、その場を後にする史之だった。


「海洋に行って、氷の洞窟を縄張りにしてるシーライオンっていう海獣を駆除して欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「島の人達にとっても海獣は脅威なので、やっつけて欲しいみたいです」
 倒せれば、島民が海の幸をご馳走してくれるとのこと。
 それだけ期待されているということだ。
 詳しい話を聞いたイレギュラーズ達は、現場である海洋に向かうことにした。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
17本目のシナリオは、アフターアクションでいただいた内容を元に作った物になります。
敵となる海獣を何にしようか迷ったんですが、悩んだ結果トドに。
名前は、炎のブレスを出すからフレイム・トドとか考えたんですが、英語だとシーライオンになるし、そのままで良いか、ということに。
トドだとボテッとした外見が浮かびますけど、シーライオンとなった途端に俊敏に動きそうなイメージが湧きます。

それはさておき、以下詳細になります。

●成功条件

海獣シーライオンを駆除する。

●海獣シーライオン

ボス×1

ちょっとした物置ぐらいの大きさ。デカい。
HPと防御力が高い。
タフでしぶとい。
動きは鈍い。

攻撃手段

炎のブレス・大 中距離 貫 業炎付与
噛み付き 至近距離 単

基本、固定砲台みたいな敵です。

子分×12

人間ぐらいの大きさ。

HPと防御力はそれなり。
囲んで叩けば割と簡単に沈む。
動きは素早い。

攻撃手段

噛み付き 至近距離 単
体当たり 近接距離 単
炎のブレス・小 近接距離 単 火炎付与
ヒール 中距離 単

回復手段のある歩兵みたいな敵です。

●戦闘場所

数十人が戦っても支障のない広さのある氷の洞窟です。ひんやりしてる。
初期配置は、50m離れた場所から始まります。
この距離では積極的に襲い掛かって来ることはありませんが、距離を縮める、あるいは戦闘行為に類する行動をとると戦闘体勢になります。

●依頼人

リリス&ヴァン

離れた場所で待機してます。
万が一、PCが倒れた際に戦闘区域外に連れて行く役割です。

島民

氷の洞窟がある島の住人です。
海獣シーライオンは海産物を荒らしたり、場合によっては襲い掛かって来るので、駆除してくれるのを期待してます。
氷の洞窟の隣にある砂浜で、勝利の打ち上げバーベーキューの準備してます。

●流れ

今回の流れは、

1 現地到着
2 シーライオンと戦う
3 駆除成功。島民による歓迎会

という流れになっています。

島民の歓迎会は、魚や貝や海老などをバーベキューにしてくれます。
砂浜で食べても良いですし、氷の洞窟で涼みながら食べたり飲んだりも出来ます。
氷の洞窟で過ごす場合は、簡易な椅子やテーブルぐらいは持って来てくれます。

なお、海獣シーライオンは、肉が硬くて臭味もあり、野性味が強すぎる味です。
食べれないことは無いですが、捌いたり大変です。
血抜きで海に着けてたりすると、サメとかが寄ってきて危険が危ないです。

という流れになります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • 氷の洞窟、害獣駆除作戦完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月16日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
月待 真那(p3p008312)
はらぺこフレンズ
蛇蛇 双弥(p3p008441)
医神の双蛇
綾志 以蔵(p3p008975)
煙草のくゆるは
サーニャ=S=クライノート(p3p009771)
蒼玉

リプレイ

「はー涼しー、いいねここ」
 洞窟に入った『若木』秋宮・史之(p3p002233)は快適そうに言った。
「最近熱くなってきたから息抜きにピッタリだね」
「それに氷の洞窟ってのが、風情があって好いねぇ」
 史之の言葉に賛同する様に返したのは『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)。
「今年のサマーフェスティバルも盛り上がるだろうし、サボり……じゃなく、熱気避けに丁度いい場所になりそうだ」
 冗談めかして言うが、今回の依頼に参加した理由は他にある。
(史之には何だかんだ世話になってるからな。ここいらでちっとは恩を返しておかねぇと、いい歳した大人が格好つかねぇ)
 渡世の義理を疎かにする気はないのだ。
 縁の言葉を聞いて史之は返す。
「確かに、良い熱気避けになりそうだよね。でもシーライオンがいるのは困りものだねえ。漁場は荒らされるし、漁業にも支障が出るし……おまけに炎を吐いてくると。危険極まりないからここで倒させて貰わないとね」
「でないとリゾート地どころじゃないだろうしな」
 史之に賛同する様に言ったのは、『煙草のくゆるは』綾志 以蔵(p3p008975)。
(この洞窟、いい避暑地として客が呼べる。ウチも一枚噛みてぇところだが……)
 商人ギルドサヨナキドリ海洋支部長なので抜け目は無い。
(一枚噛むためにゃ、まず成果を出さねぇとな。さぁて、キリキリ働くとしますかね)
 という訳で皆で洞窟の奥へと進む。
 氷が涼しげで落ち着いた青色の光を放ち、どこか日常と切り離された雰囲気を作り出していた。
(氷の洞窟ってなんか神秘的な雰囲気だよね~)
 雰囲気を楽しみながら進むのは、『蒼玉』サーニャ=S=クライノート(p3p009771)。
(こういう所、今まで来た事無いからちょっとワクワクしちゃうな!)
 はしゃぐように声を弾ませる。
「みてみて! こういう風にすればもしかしてスケートみたく……ってあれー!?」
 盛大にずっこける。
「大丈夫?」
 近くに居た『狐です』長月・イナリ(p3p008096)が手を伸ばしてくれる。
「ありがとう。ぐすっ……足元には注意しなきゃ」
 礼を言って起き上がるサーニャ。
 彼女の言葉を聞いて、イナリは足元に注意する。
(戦う時は、気をつけた方が良いかも?)
 注意して進みながら、ひんやりとした洞窟に心地好さを覚える。
(夏場ならヒンヤリしていて素敵な場所みたいね。リゾート開発が成功したら遊びに来てみようかしらね?)
 そのためにはシーライオンの駆除は必須だ。
(遊びに来る前に邪魔者は処分しないとね!)
 そしてシーライオンが襲い掛かって来ないギリギリの距離まで近づく。
 臨戦態勢に入り始めたシーライオン達を見て、『お肉大好き』月待 真那(p3p008312)は期待感いっぱいの笑顔を浮かべる。
「シーライオンかぁ、一体どんな味がするんやろ? 楽しみやなぁ……!」
 お肉大好きな真那にとって未知な食材は好奇心の源だ。
 真那の言葉を聞いて、『蛇に睨まれた男』蛇蛇 双弥(p3p008441)は自分のいた世界でのことを思い出す。
「トド……確か北の方ではカレーになったりしてたな、俺の世界。そっちの神さんとは付き合い無かったけど」
「カレーも良いよね」
 双弥の話を聞いて、『宿主になってね』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)も自分がいた世界の話を口にする。
「トドと言えば、混沌に召喚される前に北海道へ行ったときに食べたトド鍋がおいしかったわね。海の幸、楽しみだわ」
「食べるのか? 俺は食べねぇけど――」
 双弥はシーライオン達を観察しながら言った。
「害獣なら、このまま放置する訳にもいかねえ。倒すしか――って、寒いな、ここ」
 双弥は洞窟の寒さに軽く体を震わせる。
「流石に蛇にはちょっと寒いのも響くぜこれは。動いて温めねえと」
 そう言うと、皆と共に一歩踏み込み、シーライオンとの戦いが始まった。

●食材になれ!
「さて、始めましょうか」
 足元に注意して、開戦の火蓋を切ったのはイナリ。
 シーライオン達が分散するより速く距離を詰めながら、ダニッシュ・ギャンビットで自身を強化。
 小柄なシーライオン達を誘導する様に素早く動きながら、さらに摂理の視で視野を強化すると、シーライオンの群れに酒解狂騒霧を叩き込む。
 異界の神の力が顕現する。
 イナリにより再現された稲荷神の力は毒霧となってシーライオンの群れを包むと、酒の如くシーライオン達の精神を酔わせ狂乱状態へと押しやった。

 初手で統制が乱れ動きが鈍るシーライオンに、皆は連撃を叩き込む。

「お目覚めになられませ祭神さま。贄をば流し奉る」
 祝詞を祭神へと捧げ、史之は敵の群れに跳び込む。
 その身は装備した不知火が生み出す魔炎に覆われ、炎による災禍を防ぐ。
 それを活かし、まずは引き付け役として動く。
「こっちだ! 来い!」
 不知火を振るいながら名乗り口上。
 斬り裂かれた敵は怒り狂ったかのように突進して来るが、史之は危なげなく回避。
 炎のブレスも避けながら、次々引き付けていく。
(5~6体は抱えておこうか)

 引き付け役を買って出る史之に、援護する様に縁が動く。

「そう簡単にボスの所へは合流させねぇよ」
 縁は、史之の引き付けから逃れた敵に攻撃。
 傷を受けた敵が襲い掛かって来るが、離れ過ぎず注意を引きつける。
(まずは子分連中を引き離す)
 敵を引き付けるため、あえて距離は取らない。
 水天一碧で自身の守りを固めた上で、多少のダメージは覚悟の上で動く。
(ほら、もっと来い)
 ギリギリまで引きつけた所で、龍神之燈を顕現。
 無数の死者の魂が炎玉の幻を纏い、一斉に襲い掛かる。
「生憎と、炎はこっちも十八番でね」
 死者の念に曝された敵は、じわりと狂気に蝕まれ動きに統率が無くなった。

 群れのボスから子分達が次々引き離されていく。
 それを加速する様にAliceも動く。

「害獣駆除兼食材確保のお時間だね」
 一撃の重さより手数で勝負な彼女は、まずはブラックジャックで自己強化。
(多少外れても構わない。手数で押し切るよ)
 距離を見極めながらルナティックパーティー。
 妄想世界に包まれた敵は、苦痛に到達するほどの快楽を強制的に味わわされ、悶えるように転げまわり血を流す。
「血抜きは大事だよね。新鮮さを保つために、手早く仕留めないと」
 転げまわる敵の内、特に弱っている相手を見極め距離を詰めると、異形象形拳艶魔の型包葉で攻撃。
「一足先に、つまみ食いさせてね」
 包容力のある妄想世界で包み込み、エナジーを美味しくいただく。
 それでも動き回る敵に笑みを浮かべ。
「食べ応えがありそう。もっと食べさせて」
 捕食を兼ねた攻撃を加えていった。

 食材確保も兼ねて動くのは、真那も同じ。

(あまり傷付けすぎると後で料理するのが大変やけど――)
 真那は戦闘後のことも、ちらりと頭に浮かぶが、敵を倒すことが第一。
「まずは倒し切ることに集中せんと」
 仲間との連携も意識して動く。
(まずは、弱ってるのから仕留める)
 狙いを付けたのは、イナリの酒解狂騒霧で毒を受け前後不覚になっている1体。
 敵の群れをするりと抜け距離を詰めると、攻撃の間合いに辿り着き黒顎魔王。
 魔力により生み出された黒き大顎が、敵の肉を噛み千切った。
 食い千切られ暴れる敵は、滅茶苦茶な動きで突進しながら炎を吹いてくる。
(危なっ!)
 炎を回避し、一端距離を取る。
 自前で炎を受けたあとの対処が出来ないので、下手に食らう訳にはいかないのだ。
 避けていると、他の敵も反応したのか襲い掛かって来る。

 そこにサーニャの援護が入った。

 ディスペアー・ブルーの絶望を歌う旋律が、真那に襲い掛かろうとした敵の群れに響く。
 冷たき呪いが込められたそれは一時的に敵の精神を犯し同志撃ちを誘発。
 その隙に真那が下がり、サーニャと連携が取れる位置に就く。
「ありがと! 助かったわ!」
 真那は礼を言うと、サーニャを守れるように背に庇い、自身は黒顎魔王を撃ち敵にダメージを与えていく。
「いつでもハイ・ヒールで回復させますから安心してください。それに炎を受けても、すぐにブレイクフィアーで治癒しますから」
 回復役として動くことを決めたサーニャは、仲間のダメージコントロールに動く。

 サーニャによる回復と治癒の援護を受けながら、ボスに攻撃するのは以蔵。

「ちぃと頑丈みたいだが――」
 仲間が敵の子分を抑えてくれるお蔭で、するりと間合いに踏み込んだ以蔵はD・ペネトレイション。
 死の凶弾が深く強く肉を貫き、とめどなく血を流させる。
「血を流したままやり合うのはキツイだろ? ついでに呪殺もおまけだ」
 敵ボスを翻弄するように動き回りながら、燻らせる紫煙で包んでいく。
 包み込む煙が触媒となり紫煙魔術を発動。
 幾つもの災禍を敵ボスに付与していく。
「これなら防御力が高かろうと関係無ぇよな?」

 敵ボスは頑丈だが動きが鈍すぎるせいで逃れることが出来ず、じわじわと削られていく。
 そこで敵ボスは吠えて子分を呼ぶが、そうはさせぬと双弥が立ちはだかる。

「オマエ等に恨みはないけど、人を傷つけちまった以上は仕方ねえ」
 事前に蛇神ノ権能と温度視覚で敵の位置を把握していた双弥は、戦いの最初から良い位置取りで戦っている。
 その上で仲間の動きにも会わせ動いていたので、敵に先んじて攻撃することを可能としていた。
「人に害を加えた奴は、神だろうが獣だろうが排除されなきゃなんねえんだ。恨むなら人と生活圏カブっちまった自分を恨みな」
 双弥は爆ぜ結ぶ因陀羅を放つ。
 一筋の火線が走ったかと思うと、敵に焼き切るような傷を与える。
 しかも傷跡は燃え続け、継続して体力を削っていった。
 傷を受けた敵は吠え声を上げ仲間を呼ぶが、イレギュラーズ達が連携して阻止。
 双弥も連携を重ね、敵の状況を見て攻撃をロベリアの花に切り替える。
 殺傷の霧が敵を包み込み、窒息させ命を削っていった。

 イレギュラーズ達が優勢なまま戦いは進み、敵の数が一定数減った所で、怒涛の攻勢に出る。

「ここから先は手加減なしだ!」
 子分達の数が大きく減ったのを確認し、引き付けに動いていた史之はアタッカーとしてボスに挑む。
 瞬速の踏み込みと共にギガクラッシュ。
 雷撃の刃が焼き切りながらボスを斬り裂く。

 そこに縁が追撃。

「獅子(シーライオン)と龍(シードラゴン)……どっちが強いか、ひとつ根競べといこうや」
 縁は、史之のギガスラッシュに合せ雷鎚。
 呼び寄せた雷雲から、地に降る雷龍の如き稲妻を落とす。
 史之のギガスラッシュと共に、雷華を舞い散らせた。

 ボスが唸り声を上げ、残った子分達が援護に動こうとするがAliceが立ち塞がる。

「さぁ、他化自在天よ、私の食欲への煩悩を何度でも立ち上がる加護へと変換してくれたまえ」
 欲を力に変換し、Aliceは連続攻撃。
 敵は炎のブレスで応戦するも、意に介さぬとばかりに攻撃の手は緩めない。
「火炎がなんぼのものじゃ、たとえ倒れたとしても食欲で魂を凌駕して確率の壁をこえてくれるわ! おとなしく鍋になるんだよー!」
 異形象形拳艶魔の型搾星を展開。
「もう大盤振る舞いよ、神懸かり(トランス)の秘技も魅せてあげる」
 時間感覚が引き伸ばされる程の深い集中から生み出された妄想世界は、異形の捕食行為をみだらに味わわせ、恍惚を与えながら命を飲み干した。

 子分達が次々やられ、ボスは自棄になったかのように炎のブレスを連発。
 さすがに避け切れず攻撃を受ける者も出るが、すぐさまサーニャが回復に動く。

「これで、回復は最後です!」
 一端魔力切れになったサーニャは、自分を盾にするようにして味方を庇おうとするが、皆はその必要が無いほど果敢に動く。

「へっ、これだけデカけりゃ外しようが無ぇわな」
 以蔵はボスのブレスを避けながらハニーコムガトリング。
 強烈な弾幕攻撃でボスの身体を蜂の巣にする。

 傷を受け悶えるボスに、真那は出し惜しみのない全力攻撃。

「銃身が焼け落ちるまで撃ち続けたる!!」
 狙いをつけ、MGR・オーバーロード。
「唸れっ! マーナガルムロアァーッ!!」
 全弾撃ち尽くすフルオート射撃。
 音よりも早くボスの身体を食い千切るように貫き穿っていった。

 大きく傷を受けたボスは、今まで以上に大きく暴れる。

「暴れるな。そろそろ終わりだ」
 双弥は仲間が止めを刺せるよう、動きを止めるため魔砲を放つ。
 全身の全ての力を魔力変換した一撃はボスを貫き、動きを止める。

 そこに止めを刺しに動いたのは、イナリ。

「あら……ガス欠? ……まぁ、いいわ!」
 子分達を複数沈めた彼女は魔力切れを起こしていたが、断ち切る牙はその手にある。
「これからこいつで骨ごとブツ切りにして食べやすい大きさにカットしてあげるわ! いくわよ!」
 御柱ブレードを肩に担ぎあげながら突進。
 芒に月を発動し、剣の術理を瞬時に宿し妙技を振るう。
 踏み込みを加速させ、ダニッシュ・ギャンビットを披露する。
 嵐止まぬ突撃戦術の刃は、ボスを乱切りに斬り裂き命を狩り獲った。

●戦い終わり
「ところでこのトド、放置しとくわけにもイカないから海に放り投げて鮫の餌か?」
 倒したシーライオンをどうするか双弥が皆に尋ねると、中には食べる気満々な者も。
「え、食べるのトド? 食えたもんじゃなかった気がするけど」
 驚く史之。
「同じ食べるんなら鹿とかの方が断然美味いんだけど……なら料理してみるよ」
 それを聞いてAliceがリクエスト。
「鍋にできる?」
「鍋か……煮込んで灰汁を取って、臭みを消すために生姜を山ほど放り込んだら大丈夫、かも?」
 とにかくチャレンジということでシーライオンを洞窟から運び出す。
 島民も手伝ってくれ、サメが寄ってこない場所で解体などはスムーズに進む。
 そちらを任せながら、以蔵は洞窟のメンテナンス。
「血とかで汚れてるからな。掃除しとく」
 それを聞いて島民の何人かが手伝う。
 掃除の最中も料理は続く。
「うぅ……ごめんなぁ、銃弾撃ちすぎて一部凄い事になってもうた……」
 ミンチ状態の部分を見て嘆いていた真那だが、良い考えが閃く。
「そや! 私ハンバーグ作るからこの部分もらってええかな?」
「なら、臭味を取るのに生姜とか香辛料、使ってみる?」
「ありがと! 助かるわ!」
 史之から臭味消しの食材を受けとり、お肉をこねこね。
 創作シーライオン料理を作っている間に、島民がバーベーキューの用意をしてくれる。
 じゅうじゅうと、海の幸を焼く良い匂いが。
 その間に洞窟の掃除も終わり、テーブルやらを設置。
 見ていた史之が提案する。
「思ったんだけど、洞窟で食べたほうがおいしくないかな?」
 この提案に、立食形式で食べれるように準備していくのだが、縁がひとつ頼む。
「生憎と俺は魚介の類が食えねぇんで、酒を飲めるスペース頼めるか?」
 それを聞いて依頼人のリリスが応える。
「なら、バーみたいなカウンターを作るわ。カクテル作るつもりだけど、他に欲しいお酒ある?」
「じゃ、ビール頼めるか?」
 以蔵の提案にリリスは快諾。
 用意された所で以蔵は洞窟で一休みして涼む。
「こりゃあいい、海洋は温暖な気候だからこういう場所で冷えたビールを飲むのが贅沢だよなぁ」
 という訳でビールジョッキが渡される。
 そうこうしている間に、まずはバーベキュー第一弾が出来あがり。
 中にはシーライオンの肉もある。
「え!? さっき戦ったシーライオンのお肉もあるの!?」
 掃除や場所の準備に忙しくて気付いてなかったサーニャが、好奇心で食べてみる。
「ちょっと怖いけどどんな味か気になるな~? 味は見た目によらないって思うし♪ それじゃ、いただきまーす! っんぐ!」
 口一杯に広がる獣臭。
 白く固まるサーニャに、ハンバーグを作った真那はおっかなびっくりで食べてみる。
「ちょっと不安やけど……いただきまぁす! ……ふぐっ!?」
(あぁ……これ……ちょっと臭いやけど味が独特で……)
「シーライオン美味しいやんっ!!!」
 同じように美味しく食べれるのは史之の作ってくれた鍋。
「さあ、どうぞ」
 ギフトで出したソフトドリンクも渡し振る舞う。
 丁寧に臭味を取ってくれた甲斐もあり美味しかった。
 食べて飲んで。
 途中からはこの場の活用についても話題に上がる。
「綺麗な海と、すぐ傍で涼める洞窟は好いわね」
(ちょっと尾ひれを付けて流布してみようかしらね?) 
 イナリは島の好い所を聞き出し、人の呼び込みも考えてくれる。
(これで少しでも人が来てくれればいいのだけど、そこは運任せだわね)
 彼女と同じように、商業的観点からアドバイスするのは双弥。
「ところで、そこそこ寒い洞窟で外は夏だったらそこそこの気温なんだろ? 海辺だし。砂風呂みたいにして体温めてから洞窟で冷やすの繰り返しでサウナと同じようなコトできねえもんかね。所謂温冷交代浴ってやつ」
「好いわね」
 頷くリリスに続けて言った。
「客寄せには悪くねえと思うんだがね。この辺で飲み物とか売れば商業的にも大成功ってやつよ」
「飲み物は利益率高いからいけるわね」
 商人として笑みを浮かべるリリスだった。

 かくしてイレギュラーズのお蔭で、リゾート地としての第一歩を踏み出すことができるようになった依頼だった。

成否

成功

MVP

長月・イナリ(p3p008096)
狐です

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした!
皆様のお蔭で、この島はリゾート地としての第一歩を始めることが出来ました。
洞窟は広い設定ですので、皆さまの助言を受け、奥の方で静かにお酒が飲めるバーを。
中ほどでは食事がとれる場所を。
入口付近では、外の熱さで火照った体を冷やしてドリンクなどを楽しむスペースを作ることになります。
そして砂浜では、海水浴やバーベーキュー。砂風呂のようなサービスもある観光地になります。
これから夏に向け、色々と用意していく事でしょう。

それでは、これにて。
最後に重ねまして、皆さまお疲れ様でした。ご参加、ありかとうございました!

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