バシリスクをケバブサンドにしたら美味しいと思わないかな？

オープニング

●ケバブ屋台襲撃事件
　燦燦と太陽の輝きが眩しい盛夏の季節にはケバブサンドと云う趣が相応しい。
『傭兵』首都郊外の沿道ではケバブ屋台の隊商が真夏の元気を販売して居た。

「ヘーイ！　トッシーズのデリシャスなケバブサンド、いらんカネー！？」
　郊外で人気上昇中のケバブ屋台「トッシーズ」の旦那が声高らかに宣伝をする。
　午前中の始業時刻では未だ人気も無いが今夏は連日の如く大繁盛して居る様だ。

「オウ！？　カスタマー、デスカ？　ヘイ、ラッシャイ！」
　沙漠地帯に面する巨大な岩陰からは何やら物音が響き物影が差して居る。
　しかも続々と集まる故にもしや千客万来かとトッシーは淡く期待した。
　自慢のドネルケバブを回転させ乍ら芳醇な焼き鶏肉をナイフで削り始めるが……。

「ワッツ！？　ば、バシリスク、デスカー！？　オウ、ノウ！！」
　仄かな期待は瞬時に裏切られてバシリスクの集団が屋台の襲撃に現れた。
　紅の蜥蜴魔物の大群は屋台を突撃で転覆させて貴重なケバブを喰い荒らす。
「ノー、ノー！！　ヘールプ！！　アウッ、アウチッ、オウ、ノオオオ！！」
　怒涛の火炎噴射や石化光線が炸裂するとトッシーは泣き叫び乍ら迷走した。

「ハァ、ハァ……。ナンテコッタ！？　商売アガッタリ、ネ！」
　逃走には成功したものの屋台と商売を台無しにされた激怒は抑えられない。
　トッシーは彼方で執拗な程に屋台を壊滅させて居る魔物共に怒鳴り散らした。
「ヘイ、ユータチ！　ケバブサンドにしてヤルデース！　覚えてろヨッ！！」
　捨て台詞を吐いて泣く泣く戦場を後にしたトッシーは土壇場でふと閃く。
　では、バシリスクを討伐してケバブにしてしまえば万事解決か、と……。

●バシリスクでケバブサンドを作ろう！
「皆はケバブサンドを食べたりするかな？　実はね、今回、とあるケバブ屋台から相談を受けているんだけれど。隊商仲間のトッシーさんという方が皆の力が必要なんだよね！」
『傭兵』に在るギルドであなた方に依頼を持ち掛けて居るのは『リスの冒険家』リース・ウォルナッツ（p3n000114）だ。

「トッシーさんは『傭兵』国家全土で商売をしている人気のケバブ屋さんでね。今夏は首都郊外の沿道近辺に屋台を出してドネルケバブを販売していたんだよ。でもね、先日、バシリスクの大群にお店を襲撃されて失業してしまって……」
　事件の詳細を聴く所、どうやら昨今の首都郊外沿道にはバシリスクが湧くそうだ。
　因みにバシリスクとは沙漠に生息して石化攻撃を特技とする蜥蜴系の魔物である。

「まずはバシリスクの群れの討伐を手伝ってくれないかな？　屋台が襲撃された事件現場には私が案内するよ！　だけれど、今はもうバシリスクは居ないだろうから、誘き出しからやって欲しいけれど、大丈夫そう？」
　今回の対戦相手であるレッド・バシリスクは火炎にも長けた沙漠の強者らしい。
　戦場に奴らを誘う為、知略を駆使して罠を仕掛けるか、自ら囮に成る等が必要か。

「それともう一つお願いがあるよ！　バシリスクを撃破したらこの大きな袋に詰めて街に持ち帰って欲しいんだよね？　トッシーさんは倒したバシリスクを調理してケバブサンドの新商品を作りたいみたいだから！」
　ケバブサンドには鶏肉や牛肉等の種類が有るが巷では魔物肉も中々に評判らしい。
　特に今回討伐予定のレッド・バシリスクは紅の肉の味が実にジューシーと云う話だ。

「夏の暑い日に沙漠で汗を流しながらの魔物の討伐と回収は大変だと思うけれど、ぜひ皆に期待しているよ！　勿論、最後には美味しいケバブサンドと冷えたドリンクのパーティで皆を労う予定だからね！」
　依頼を受けたあなた方は沙漠の猛者との集団戦に備えて武器と知性を磨き始める。
　無論、勝利後の新たなるケバブと云う明るい未来を目指すとお腹の虫は鳴く様だ。

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第3章

第3章 第1節

●第3章の開幕
　ケバブ屋を荒らした沙漠のならず者共は斯くして特異運命座標によって討伐された。
　あなた方はレッド・バシリスクの肉塊を大袋で背負い乍ら無事に街へ帰還する。
「オ、オウッ！？　こ、コレは……マサシーク、バシリスクの魔物肉デスネ！？」
　依頼人トッシーと共に紅の蜥蜴肉を確認すると彼は満面の笑みで感謝した。
　此処からはケバブ職人トッシーの腕の見せ所である。
「任せなサイ！　デリシャスなトッシーズ・ケバブをクッキングするデース！」
　トッシーは厨房に入ると途端に人間が変わった様に黙々と的確に蜥蜴肉を捌く。
　こんがり焼き上がった紅の魔物肉はドネルケバブとして回転し乍ら食欲を誘う。
「サーテ、今宵は、バシリスク・ケバブでレッツ・パーティ、デース！」
　そしてドネルからジューシーな紅の肉をナイフで削ると厚いサンドで丁寧に包む。
　ケバブサンドには新鮮な夏野菜も豊富に入り栄養もばっちりの出来上がりだ。
　更にお好みで甘いソースや辛いソース等も掛けてあなた好みのケバブを作ろう。

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●第3章の目標
　バシリスクのケバブサンドでパーティを楽しむ。

●状況
　レッド・バシリスクの群れを討伐して多数のバシリスク肉を入手しました。
　街の会場では皆さんを労う盛大なパーティが夕刻に開催されます。
　トッシーが調理する美味しいケバブサンドを食べて楽しみましょう。
　温冷共にドリンク各種も取り揃えて居ますのでお好きな物をどうぞ。
　第3章からの中途参加も歓迎します。

●注意
　未成年の飲酒喫煙は出来ません。
　UNKNOWNは自己申告です。

●NPC
　トッシーとリースがパーティ会場に居ます。
　絡みたい人はどうぞ。

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第3章 第2節

　街が夕焼けで染まる頃、特異運命座標が大袋と共に帰還する。
『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ（p3p009720）が笑顔で仲間を労った。
「ふう、色々ありましたが無事に帰ってくることができましたね。皆さん、お疲れさまでした。奪った命は無駄にせず、皆で美味しく頂くことにしましょう」
　彼女は自ら背負う肉塊、バシリスクと云う生命で在った物を大事に引き渡した。

　街の酒場を拝借してトッシーのケバブ屋が臨時開店する。
　厨房のトッシーにサルヴェナーズがカウンター越しから声を掛けた。
「トッシー、私にも一つ作ってくださいますか？　野菜を多めで頂けると嬉しいです。それと、ザクロのジュースも」
　注文を受けたトッシーがニカっと笑い乍らドネルケバブを削り始める。
「ヘイ、お待ち」
「ありがとうございます。大切に頂きますね」
　サルヴェナーズに手渡されたケバブは夏を彩る野菜が溢れ出て居る。
　紅の蜥蜴肉に掛かるヨーグルトソースが民族風味の食欲を誘う。
　グラスに注がれた果肉入りザクロジュースは甘い果物が好物の彼女向けだ。

「夏野菜の歯応えが焼き肉やソースと混ざりとても美味しいです。バシリスクが食べたくなってしまったのも分かる気がします」
　サルヴェナーズは幸福な一時を提供してくれたトッシーに心から感謝を述べた。
「ぜひ、また寄らせて下さい。バシリスク・ケバブが新しい名物になるといいですね」
「アリガトネ。いつでもオイデ」

成否

成功

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第3章 第3節

　大量の蜥蜴肉を入手してご満悦のトッシーが厨房で調理して居た。
『ハイテンションガール』郷田 京（p3p009529）が期待に胸を膨らませて見学に現れる。
「うっひゃーい、ケバブだケバブー！！　いっっっっぱい食べて良いんだよねー、やったーー！！！」
　トッシーは京に気付くと手を休めて巨大なドネルケバブを緩く回転させた。
　京には見覚えが有る筈。何故なら彼女が撃破したキングのケバブだからだ。
「んっふふー、トカゲのボスに突っ込んだ甲斐があったなぁ、よだれが止まんないよー、あっはっはー！」
　京は変わり果てた強敵の美味しい姿を前にして此のケバブを夕食に指定した。

「トッシーさん、ジャンジャン持って来ちゃってー、アタシたくさん食べるからー！　んー！！　おいしー、たのしー、しあわせー、あっはっはー！！」
　京は上等な蜥蜴肉が盛られた巨大ケバブを豪快に丸齧りする。
「京ちゃんお肉大好きー、ファストフードってなんでこんなに美味しいのかしらー！！」
　更には超人肯定の超速度で次々とケバブを平らげる。
「うっ……ごほっ、喉が……炭酸、炭酸ちょーだい……っ！」
　ケバブが喉に詰まった時は黒炭酸を煽って危機を凌ぐ。
「ぷはぁ、死ぬかと思った……え？　ケバブはまだまだ食べるよ？　あったりまえじゃん！　完食しないと失礼でしょ、アタシは食べるぞー！！　あっはっはー！！」
　食い意地が大いに張って居る暴走台風の猛威にトッシーが青褪めた。

成否

成功

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第3章 第4節

　厨房に居るトッシーがカウンター越しから出来立てのケバブを皆に手渡して居る。
『剣砕きの』ラダ・ジグリ（p3p000271）も順番が来て配給されると思わず頬が緩む。
「今日はこいつの為に頑張ったと言うもの。冷えたビールと一緒に早速楽しむとしよう」
　更に生ビールのジョッキも受け取ったラダはもう一点、トッシーに頼み事がある。
「あ、連れのすあまにも頼むよ。猫みたいだけど玉ねぎとか色々、全部平気だからさ」
　ラダの右肩に乗るキャトラトニーが「ケバブ」とでも云う様に「にゃあ」と鳴く。

「うぅん、スパイスの効いたソースと肉のうまみ、そこにさっぱりとした野菜が加わってとても美味しい」
　円卓に着席したラダは唐辛子仕立ての紅の蜥蜴肉を夏野菜と共に頬張りご満悦。
「ぷはぁ、沙漠で働いた後の体によく冷えたビールが美味しいのは言うまでもない」
　労働後と云う状況も手伝ってケバブと共に頂く生ビールの味覚は最高の褒美である。
「うん、ひとつじゃ物足りないな。ヨーグルトソースの方も楽しむとしよう。すあまもひとつじゃ足りないだろう？」
　ラダが追加注文をする頃、すあまも辛口ケバブをぺろりと完食して居た。

「しかしこの変わり種ケバブ、今回だけでは勿体ない。また面白い食材があればそれでスペシャルメニューを作って欲しいね？」
　ラダは宴が一段落すると改めて挨拶に伺った。
　ジグリ印章の名刺を手渡すとトッシーも嬉しそうに名刺を交換してくれた。

成否

成功

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第3章 第5節

　厨房で焼き上がったドネルケバブから蜥蜴肉の香ばしさが漂って居た。
『ふゆのこころ』エル・エ・ルーエ（p3p008216）は匂いに引き寄せられて厨房前へ。
「わわわっ。とっても美味しそうな、香りがするって、エルは思いました。なのでエルは、ケバブサンドを、今日は、おいしく頂きます」

「うーんうーん。辛いソース、甘いソース、どっちがいいでしょうか？　えっとえっと、半分ずつ、かけてもらうことは、できますか？」
　ソースの選択が悩ましいエルであるが、どちらの味も等しく魅力的だ。
　エルのケバブは紅の蜥蜴肉と夏野菜にヨーグルトと唐辛子のソース両方掛けと成る。

「はぐはぐ……。甘いソースは、味もしっかりで、とっても食べやすいって、エルは思いました。辛いソースは、とってもピリ辛、ですけれど、お肉とぴったりで、元気になれます。エルは、どっちのソースも、好きになりました」
　其々のソースの味覚を吟味し乍らもエルは小さなお口でケバブを有難く完食する。
　美味なケバブを調理してくれたトッシーにはお礼も兼ねて貴重な感想を届けた。

「バシリスクのケバブサンドは、もしかしたら、新しい名物に、なるかもしれないって、エルは思いました。また狩りをする時は、エル達を、呼んで下さいね」
「今回はホント、アリガトネ。オーライ！　次回もエルちゃん達に期待するデース！」
　真夏の沙漠と云う苦手な環境で頑張ってくれたエルには幾ら感謝しても足りない。

成否

成功

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第3章 第6節

　心頭滅却すれば火もまた涼し。或いは腹虫鳴動すれば蜥蜴もまた美味しとも云う。
　肉の焼ける香、音、味が夕刻の街を包む熱気は宛らバシリスクの吐く火炎以上。
「――（ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
　無論、其の熱気の直中に健啖家の『黒翼演舞』ナハトラーベ（p3p001615）在り。
　黙々と蜥蜴肉のサンドを食すが相変わらずの無表情。
　然し其のケバブの気に入り様は、ゴミ箱に捨てた包み紙の数が証明して居た。

　ナハトラーベが陣取るテラス席には続々とケバブが運ばれて山脈が形成される。
　デフォルトのヨーグルトソースと唐辛子ソースの味は勿論。
　定番のBBQソースから、チリソース、テリヤキ、味噌、パルメザン等に至る。
「―完食、否、お代わり―」
　必要は発明の母か。ケバブソースのオンパレードは愉快に展開された。
　多種多彩なソースの数々がケバブを進化させると食卓は豪華に様変わりした。
「オウ？　ソンナの用意したデスカ？」
　トッシーは訝しがるが、其の実情は黒翼の美少女が都度買い出しに行って居た。
「―足りない、未だ空腹―嗚呼、買い出し、決定―」
　自慢の機動を活かした騎空士の大い成る翼で羽ばたいて。
　然もお気に入りの唐揚げの代替として愛しいケバブを咥えた侭。

「―祝勝会は、まだ終わらない―否、終わらせて成る物か―」
　追加食材の調達に余念が無い彼女は宛ら街中から客を集める移動広告の如し。
　盛大に祝われるケバブ祭りは夜更け過ぎ迄宴会が続いた。

成否

成功