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シナリオ詳細

コングとハチャメチャダンジョンズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●野生解放! A級闘士、コンバルグ・コング!
 男の顔面に拳がめり込んだ。
 頭部よりも更に巨大な、そして鎧に覆われた拳が、頭部を粉砕するのではと思うほど強烈に、そして嵐やダンプカーの衝突を思わせるほど爆裂に男の肉体を吹き飛ばし、きりもみ回転しながら地面と『水平』に飛んでいった男はそのまま闘技場の壁面を破壊。予備に設けられた通路スペースを更に抜け、もう一枚むこうの壁へと激突した。
 通路を通行中のホットドック売りが、目の前を人間が『貫通』していったことに驚き、そして立ち尽くす。
「おい! コングさんの試合中にA通路に入るなって言われただろ! シャレじゃすまねえぞ!」
 審判の男が駆け寄り、ホットドック売りの頭をひっぱたく。
 吹き飛んできた男はもちろんそのまま気絶し、ぐったりと大の字に横たわっている。審判はそれを確認すると、通路からステージへと出て旗を振った。
 あがる歓声。メガホンを叩きまくる人々の群れ。
 ホットドック売りが呆然としたまま歩み出て、あいた穴から顔を出せば。
『――勝者、コンバルグゥウウウウウウ・コオオオオオオオオオオオオングゥ!』
「ウホァアアアアアアアア! ウホッホウホッホホホホホホホホホ!」
 咆哮をあげる全長3mのゴリラ。拳をグッと固く握り、胸の装甲を叩きまくる。
「「K・O・N・G! K・O・N・G!」」
 観客席はゴリラ色一色だ。コングのグローブを象ったオモチャを振りかざして叫ぶ子供。コングの顔を模した帽子を被りコングと書かれたメガホンで叫ぶ男女。ドラミングするコングがプリントされたシャツを着て、酒を飲んだ男達が肩を組んで歌っている。
 ここは鉄帝、娯楽の中心にして国の象徴とも言える闘技場ラド・バウ。
 皇帝を含むS級の試合がほぼ開かれないことで、実質的な最高ランク試合となるA級の試合が、今日も行われている。

●地下ダンジョンの開拓
「なあ知ってるか? コングさんの攻撃には必ず【不殺】属性がついている。あの人は決して人を殺さないんだ。小動物ですら進んで殺すことはない。馬車や民家を粉砕しながら歩いていても、カルガモの親子が横切れば立ち止まるのさ」
 それもコングさんの人気の理由さ、と語るのはDD。コングのマネージャーである。
 ハンバーガーショップのテーブルについて、今年新たに発売されたというトレーディングカードのパックを何袋も開いていた。ローレット・イレギュラーズたちが揃うまでの時間つぶしらしい。
 時間つぶしというだけあって横にはどっちゃりと箱で置いてある大人買い。お目当てはもちろん……。
「お、見ろよ新デザインのコングカードだ。レアカードだぜ」

 DDがローレットを呼び出したのは何もカードを見せつけるためではない。毎年刷新されるコングカードのコンプリートアルバムを見せるためでもない。
「モリブデンの地下空洞に新しく闘技場が開かれるって話は聞いてるか?
 既に新築のスーパーアリーナがあるんだが、あそこはスポーツ競技や団体バトルにはむかねえ。広大かつ入り組んだダンジョンみたいな闘技場が求められるのさ。
 この手の闘技場はダンジョンアタックつってちとマイナーだがアツい競技の舞台にもなるんだぜ。攻略済の古いダンジョンが利用されることが多いな。
 まあそういうわけで、ダンジョンをひとつ攻略して闘技場を新設しようってハナシはのさ」
 要は、そのダンジョン攻略をローレット・イレギュラーズに依頼したいということなの……だが……。
「そのハナシをしたらよ、あの人が興味をもっちまって」
 地響きがした、と思って貰いたい。
 像が群れで歩くようなドスドスという音と、物がとにかくぶっ壊れる音。
 『歩くだけでまわりの物が壊れる』といわれるコングの足音は、あまりにも分かりやすい。
 巨大なゴリラの影がハンバーガーショップの前に立つと。
「ウホァアアアアアアアア!」
 ショップのガラス壁をまとめて粉砕しながらローリングタックルで入店してきた。
「ローレット! オマエ、B級になった! エライ! オマエとダンジョン、楽しそうだ! オレも、ヤル! ヤル!」
 要約すると。B級にあがり強くなったローレット・イレギュラーズにたいへん興味をしめしたコンバルグ・コングが、ダンジョン掃討依頼を一緒にやりたいということらしい。
「今回の仕事、滅茶苦茶派手になりそうだな」

GMコメント

●オーダー
 地下ダンジョンの攻略もとい掃討を依頼されたローレット・イレギュラーズ。
 そこへコンバルグ・コングが緊急参戦。
 前々からローレットに目をつけていたコングが、ローレットB級昇格の知らせを受けてテンションをあげたがゆえのことのようです。
 こうして、コングといっしょのダンジョン攻略が始まりました。

・ダンジョンの進み方
 先人の作った地図を頼りに、マーカーをたどって迷わないように進む――のが定石ですが、コングさんは壁という壁をぶっ壊して進むのでゴールらしき場所へまっすぐ進めます。
 隠し部屋をさがしたかったらもうブルドーザーみたいに壁という壁をめこめこやって進めばよいでしょう。

・敵との戦闘
 ダンジョンはある程度攻略されているとはいえ、お宝探しや腕試し目的であったため完全な掃討がなされていません。
 現れるモンスターを片っ端から倒し尽くす、いわゆる駆除業務のようなことをする必要があるでしょう。
 が、コングさんがいるので戦闘に敗北することはそうそうありません。
 強大な敵が現れても『ボッ』てします。一瞬です。
 ただしコングさんは『一対一』の戦闘に特化しているので、数いる敵との戦闘がとても苦手です。混乱しがちだし、一匹ずつオーバーキルし続けるのでたいへん無駄が多くなります。
 なのでコングと一緒に大量の敵に挑みかかり、効率的に倒していくのがよいでしょう。

・隠しボス
 ダンジョンの隠し部屋には隠しボスがつきもので、強力な古代兵器だかなんだかが侵入者を抹殺しここを墓場に変えてしま――ボッ!!!
 と言いたいところですがコングさんでも若干時間がかかるくらいには強いようです。
 更に、隠し部屋には大量の古代兵器が隠されているらしくこいつらの対応にはコングさんもお手上げです。コングさんをうまく使いつつ、戦闘に勝利しましょう。
 できるだけコングさんをボスに集中できる状態に保ち、時には付与効果や回復によって支援して敵にたたき込むのです!

●コンバルグ・コング
 ラド・バウA級闘士。ジャングルからやってきたブルーブラッド。
 近接タイマン戦闘特化、溢れる体力と火力、そして高いクリティカル性によって敵を粉砕する豪快なバトルスタイルが特徴。
 コングのローリングタックルには建物破壊特性があり、これで路上を走行するのでよくあちこちでものが壊れます。
 が、街の人らは『コングが走ったらものが壊れるのは当然』という認識であり、壊すたびその場でぽんぽこお金くれるので『コングが店に突っ込むと縁起が良い』くらいに思われています。
 はじめに対戦して以来、コングはローレット・イレギュラーズに強くなる素質を見いだし、これまで見向きもしなかったイベント仕事や駆除仕事を『ローレットと一緒ならやってもいい』と言うようになりました。
 おかげで鉄帝での人気が更に高まっているようです。
 余談ですが、身につけている鎧は『相手を殺さないためのサポーターでありリミッター』だと言われています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • コングとハチャメチャダンジョンズ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月10日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
リオリオ・S・シャルミャーク(p3p007036)
タコ足総動員
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
レべリオ(p3p009385)
特異運命座標

リプレイ


「わーい、コングさんとお仕事!
 コングさんの誕生日に出発なんて、これは攻略後は誕生日パーティーだね?
 今日はマブダチも非常食も豊富だし、楽しんでやるぞー!」
 『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)は少年漫画の冒頭の一コマかなってくらいバチバチにポーズとってリュックサックからバナナはみ出した状態で現れた。横ピースだった。タンクトップだった。少年の性癖を今にも歪めそうだった。
 そんな彼女の隣で。
「シャオラー! コングも居ることだしハデにアバレて行くよ!」
「ウホホウホホ! ホッホホホホホホホホホ!」
 上半身裸の『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)とコンバルグ・コングが猛烈にドラミングしていた。
 青少年ゴリラを歪めそうだった。物理的に。
「俺知ってる。こういう男臭いキャラ出すときは清涼剤に美少女混ぜるんだよ。コマぶちぬいた立ち絵で」
 来る途中に買ってきたゼシュテルマンチョコの袋をあけ、ウェハースをサクサク食う『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)。
「うお、ホロキラのコング大将軍じゃんやったぜ」
「あたしが箱買いしても出せなかったコングシール!」
 ギャァンと目を光らせて振り返るフラン。千尋は素早く防衛のためにシールをポケットに突っ込んだ。
「やんねぇ! やんねーぞこれは! それよりコングくん!
 俺覚えてる? 前に闘技場で戦った伊達千尋ってんだ!
 今日はいっちょコングくんのイイトコ見せてくれや!
 コングくんが戦いやすいように俺たちはザコを相手させて貰うぜ!」
「ホッ――」
 ドラミングの手をとめ、千尋の顔をじっと見るコング。
「ダテ……チロル」
「惜しい!」
 一文字だけ違う! ていいながらイグナートとフランをゆびさした。
「じゃあこの二人は分かる?」
「…………ホ」
 コングは顎に手を当て熟考するそぶりをみせると、絞り出すよううにつぶやいた。
「イグナートと……森ゴリラ」
「正解!」
「正解じゃない!」
 バナナとお菓子の詰まったリュックサックで千尋をぶんなぐると、フランは『あいあむフラン!』て言いながら鉄帝土産のゴリラ饅頭を差し出した。
「……ラン」
「そう!」
「ゴリ……ラン」
「ちがう!」
 テンションが上がってるのかギアが入ってるのか、今日のコングは知能指数がやたら低かった。
 ちゃんと会話してくれる時のほうが少ないので、こっちのほうがデフォルトだといえばそうなのかもしれない。
 そこへタコスライディング&ダブル横ピースで登場する『自由な旅ダコ』リオリオ・S・シャルミャーク(p3p007036)。
「遅れてきた超新星!これが初任務のリオ姉さんよ!
 強くなるには実戦と強い人の戦いを見習うのが一番!
 タコ足の吸盤の如き学習能力で皆の戦いを吸収していくわよ。よろしくね、先輩方?」
「強く……なる……」
「そう、強くなるのよ!」
「決闘(デュエル)か!」
 両拳を振り上げ、鎧(コング的にはリミッター)を瞬間装着するコング。
 予告無しでブゥンて腕を振り込むコングを、『特異運命座標』レべリオ(p3p009385)がスッと割り込んでベークバリアーした。
 説明しよう。ベークバリアーとは『人外誘う香り』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)を盾にすることである。
「あああああああああああああああああああ!?」
(彼のことは良く知らないが、A級ということはかなりの強さか……。
 協力してくれるのなら負けることは殆どなさそうだな。
 こちらは彼がやりやすいように雑魚を引き付けるとしようか)
 とか冷静なこと考えながら前髪をふぁさってかき上げるレベリオ。
 コングにつかまってかじられはじめるベーク。
「やめてください僕たべものじゃないですたべないでいたたたたたたた!」
「よせ、防御に定評のあるベークでも一分と立たずに死ぬぞ」
 代わりにこれを喰えと深緑バナナを差し出す『ラド・バウB級闘士』ジョージ・キングマン(p3p007332)。
 コングは空腹を我慢できなかったのか皮のままいった。それも房ごと。
「コンバルグ・コング。海洋でもその人気は轟いている。
 その豪快な試合とパワーは、有名だな。
 共に仕事をできると言うなら、光栄な話だ。
 海戦では鉄帝と共闘もしたが、今日ほど余裕も無かったからな」
「おおー、コングのおっちゃんと一緒ならすげー頼もしいぜ!
 今日の仕事は早く終わりそうだし、帰ったらみんなで焼きイカパーティーしようぜ!
 コングのおっちゃんには焼きバナナだな!」
 イエーイといいながらジャンプして海老反りになりまくる『マスコットのワモ口』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)。
 フランは『しぬかとおもった』て言いながら横たわるベークを抱え上げ、オウッオウッていいながら頭を上下させるワモン(あざらし)へ放り投げた。うわーといってバウンドしつづけるベーク。
「これが……ローレット……」
 リオリオは顎にながれる汗を手の甲で拭った。


「はいソレではいってみよー! もうマップあるからね、まず突き当たりを右に――」
「ウホッホ!」
 巨大なゴリラがローリングタックルをぶちかました。
 壁という壁がぶっ壊れ大きな穴をあけ、まっすぐな道を作り出す。
 ダンジョン内のモンスターもまさか全部の壁をぶちぬいて誰かくるとかおもってないのでギョッとしながらも慌てて戦闘態勢にはいった。
 主に武装したスケルトンや石スライムやなんかだが、そういう連中が束になってかかってくるのは、コングの不得手とするところである。
「よっしゃ、俺らの出番! フランちゃん!
 いっちょ今日の俺の運勢占ってくれや!」
「ハイッ、今日の皆の運勢は~」
 どごごごごごってドラミングロールしてから、ポケットからスッとおみくじをひくフラン。
 『絶凶 ~不幸・ザ・スクリーム~』て書いてあった。
「ちょうイイコトあるって!」
「よ~っしゃ!フランちゃん勝利の女神~!
 ならフランちゃんがいる限り俺に負けはねえって事だな!
 この仕事が終わったら何でも好きなスイーツ奢ってやるぜ! ん~まっ!」
 投げキスしてからスケルトンの群れにダッシュアンドジャンプ。からの突然の落石からの頭頂部へクリティカルヒットからの白目を剥いて転倒。
 なにがおきたのって顔して見下ろすスケルトンたちがふと我に返り、千尋をみんなでげしげし囲んで蹴り始めた。
「あ~~~~! たすけてフランちゃん!」
「わ、わかった! チヒローマン、あたらしいおみくじよっ!」
 おりゃーって言いながら豪快なアンダースローでぶんなげたおみくじカプセル。キャッチして片手で握り、パカッと開くとハイ『超時空大魔吉』。
「マジかよ勝ち確じゃん」
 とかいった直後、千尋を残した周囲数メートルの石天井が一斉に落下してスケルトンたちをぺちゃんこにした。
「千尋さんのラッキーカラーはオレンジ、ラッキーアイテムは『ポニーテールでかわいい妹分』でしょう!」
「マジかよ勝ち確じゃん!」
 とかいってる間に、ベークが壁に向かってぼんぼこ投げられていた。
「いや、餌じゃあないんですけど、だからと言って壁を破壊するための球だとか、そういうものでもないんですよね、僕……」
 ヒビのはいった壁にぶつけられた末、上から落ちてくる岩をふせぐ盾代わりにされるベーク。フランはベークを雨の日のJKみてーに頭上にかざすと、新たに壊した壁の向こうをのぞきこんだ。
 そこに広がるモンスターハウス。
 大量のスケルトンやらマミー(ミイラのアンデッド)やらが一斉に振り返った。
「おっと、ここからは」
「俺たちの役目のようだな」
 フランたちを下がらせ、拳をならしながら前へでるイグナートとジョージ。
 ジョージは羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て、シャツ姿になるとネクタイをゆるめた。
「まずは見とけ、いずれ駆け上がる男の戦いってやつを」
 イグーナートは小さく頷き、モンスターの群れへとあえて突進。中央へ入り込むと、逆立ち姿勢で地面をグッとつかみクランクを回すような動作をとった。
 するとどうだろう。本来足腰の勢いでまわるはずの反転スピンキックが、腕の回転によってひたすら自転しまくるコマへと変貌した。
 器用に渦巻き移動をふくらませながらモンスターたちを蹴り飛ばしていくイグナート。
 一方でジョージは跳躍から敵の頭を踏みつけ、頭から頭へ次々に飛び移るように移動。ひときわ頑丈そうな敵をみつけると反転しながら天井に『着地』し、さらなる反転キックによって敵を強引に蹴り倒した。
「次はキミ!」
「やってみろ」
 人差し指で『ついてこい』のサインを出すジョージとイグナート。
 リオリオはよーしといって腕まくりをすると、うねったタコ足を一斉に地面に叩きつける形でジャンプ。反転しながら天井に一瞬張り付くと、ハッと上向いた敵集団めがけてさらなる反転をかけながらきりもみスピンタコキックで突っ込んだ。
「よっしゃー! いいぞリオリオー! タコの足を活かしたいいタコアクションだぜ!
 それじゃあオイラもいくぜー! アザラシボディを活かしたアザラシアクションをみてろよー!」
 ワモンは両手と尾びれをばしーんてやってジャンプすると、胴体に装着したジェットで飛行を開始。
 きりもみ回転しながら敵陣に突っ込むと反則技のボーリングみてーに敵を吹っ飛ばし、壁に思い切り頭から激突した。
「まだまだだぜー! 海豹牙斗燐具薙払猛怒(アザラシガトリングなぎはらうモード」)!」
 背負ったガトリングガンを乱射。右から左に掃射したガトリング砲がすべての敵をなぎ倒していく。
「みたか! これがアザラシバトルだぜ!」
「あざ……らし……」
 リオリオは顎におちる汗をぬぐった。
「これが、ローレット……」


 それからローレット・イレギュラーズたちはコングと共にダンジョンを攻略していった。
 時には落ちる天井をボッてして、時には罠だらけのエリアをボッてして、なぞのパズルをボッてして、コングが嫌いだという水場をワモンやリオリオたちの力を借りて突破し――そしてたどり着いたのが。
「隠しボスだーーーーーー!」
 壁にでかでかと『かくしぼす』って書いてある部屋に到達したのだった。
 ばんざいフォームでとりあえず喜んでみるリオリオ。振り返ると、『まあそういうこともありますよね』って顔でベークが平然としていた。
 どうやら他の面々もこの手のシュールさには慣れっこだったらしく、『これがローレット』ていいながらリオリオはドアを開けた。

 部屋へと入ったその途端。闇のように抜けた天井から巨大な土偶めいた物体が襲来。即座に反応して対空パンチを放ったコングと拳をあわせると、両者はそれぞれ壁へと飛んで壁に着地。そこからさらなるジャンプをかけ、空中において連続パンチをたたき込みあった。
「うおおっ、もう始まった!?」
「ベーク先輩! 鉄壁のベーク先輩! 出番出番!」
 フランはベークの上に飛び乗るとよいしょといって持ち上げた。なんでこの動作で持ち上がるのかは聞くな。
「くらえー、ふるるーんべーく!」
 そのフォームから繰り出すベークがすげー勢いで飛んでいき、黄金に輝いて敵巨大土偶に激突した。
「ふっ、あたしの右腕が唸っちゃったね……ねーねーコングさん今の見たー!?」
「エライ」
 着地し、ビッと親指をたてるコング。
 激しく日々がはいり、地面へと落ちる土偶。
 割れた場所から無数の土偶が飛び出し、ベークをいきなりタコ殴りにし始めた。
「戦い方変えたほうがいいですか? え、耐えろ? そうですか……。
 ええ、はい。耐えればいいのは分かるんですが。手助けはしていただけるんですよね……?」
 鉄壁のベークといえど敵にめっちゃ囲まれたら無敵ってわけにはいかないらしい。みるみる鯛焼き型のボディがへこんでいった。
「もちろん。仲間を見殺しにはしないよ」
 レべリオが素早く飛びかかり、土偶の一帯を蹴り飛ばす。
 格闘の構えをとったレべリオのサイドと背後をカバーするように、イグナートとジョージ、そしてリオリオが集まっていく。
「この程度のレンチュウならコングの手を煩わせるまでもないね! オレたちがアイテだ!」
「ああ……先住民には悪いが、立ち退いてもらおうか! 古代兵器など、残しておけば何が起こるかも分からないからな」
 イグナートは一瞬右拳で『溜め』のような動作をとると、闘気(オーラ)を込めた踏み込みによって超高速で敵との距離を詰め、その速度をそのまま載せた拳で敵土偶の腹を粉砕。流れるような蹴りによって側頭部もおまけで粉砕していった。
 一方でジョージは眼鏡を畳んで胸ポケットにしまうと、ズボンのポケットに両手を突っ込んだ構えをとってみせた。
 わざと前屈みに、顔や顎を突き出すような挑発的ポーズをとった彼に土偶がその固いボディを直接ぶつけようと飛来する――が、ジョージは上半身の動きと二歩ほどのステップだけでこれを回避。向きになってターンをかけようとした土偶に素早くバックキックを浴びせて粉砕すると、すぐに体勢をもどして喧嘩キックの構えにうつる。隙だらけに見えるフォームだが、蹴りの初速を腕で押すというかなり特殊なシュートスタイルなのである。
 なんだこの人達急にまともな格ゲーみたいな戦い方を……とは言わず、リオリオもタコ足をシュッて構えて土偶へと向き直った。
「リオリオ・S・シャルミャーク! 人呼んで『遅れてきた超新星』! ここへ来てなんで土偶かわかんないけど、かかってきなさい!」
 リクエストにお応えしてすっ飛んでくる土偶を、かざしたタコ足でキャッチ、吸盤でひっつかむと、思い切り振り回してから壁に向かってぶん投げた。
 そこから、コングが手招きのような動作をとった。
 何かを察したワモンがジャンプ。コングのかざした手にのっかると――。
「ウホッホ!」
 コングが猛烈な速度でワモンを投擲。ワモンもワモンでジェット噴射で己を加速し、きりもみ回転しながら土偶へ突っ込んでいく。
「ホッホ!」
 更にすぐそばにいた千尋を一緒に投擲。
 ワモンにしがみついた千尋はきりもみ回転しながら突っ込んでいった。
「うおーきたぜきたぜ! アザラシ神拳&UQ神拳協力奥義! アザラシトレイン!」
「伊達千尋 with ワモン・C・デルモンテ『ブースターモード』!!
 衝撃は全部俺が肩代わりする! 『悠久ーUQー』ナメんじゃねえぞオラァ!!!」
 グシャアっていうすごい音をたて、巨大土偶の腹がぶっ壊れた。
 仰向けに倒れ、爆発する土偶。
 明らかに千尋とワモンのグワーっていう悲鳴が聞こえたが、爆発の中からコングが二人を肩に担いだ形で現れた。
 親指を立てるコング。
「ローレット……ナイス、ファイト」





 こうして攻略されたダンジョンは、壁やらなにやらをちゃんと改築してダンジョンタイムアタックゲームやダンジョンバトルという闘技大会の会場として利用されるという。
 鉄帝にまた、新しい遊び場がうまれそうだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――ミッションコンプリート!

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