PandoraPartyProject

シナリオ詳細

怪奇! ヌノトカフクハミハミバッタ襲来!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ラサの一角にバッタが現れた。
 草むらなどの中にいるイメージが強いが、砂漠にもバッタはいるものである。
 彼らは農作物や植物など……砂漠の大地では非常に貴重たる植物を食べる為、概ね害虫と見なされる事がある――まぁそれが一匹や二匹程度であればさほど大した被害は発生しない。毎年どこかには現れるものであり、仕方がないとみなされている面もある。
 のだが。
「――こいつはひでぇな」
 ラサの長たる『赤犬』ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)は自身に齎された情報を見て、思わず苦笑せざるを得なかった。
 ――件のバッタによる被害の数が例年の数倍以上に跳ね上がっている。
 通常であればキャラバンのターフやテントが多少被害に遭うだけで済んでいるのだが、今年は工芸品として有名な高価な絨毯や美しい絹織物にまで被害が出ている様だ。その理由は単純明快。

 バッタたちが異常増殖しているのである。

 一キャラバンの物資程度では彼らの腹は満たされていないのであろう――
 先述した通り一匹二匹であれば大したことはない。
 が、それが十や二十。或いは百、二百と数を連ねれば……話は別だ。
 例え個体の力が普通のバッタ程度しかないとしても、塵も積もればなんとやら。
「成程……困ったものですね。
 ラサの方面に頼んでいたモノが届かないと思ったらそういう事でしたか」
 困るのはラサ商会は当然として――その取引先もそうである。
 『遊楽伯爵』ガブリエル・ロウ・バルツァーレク(p3n000044)は幻想貴族の中でもラサと懇意にしている上得意の人物であり、待ち望んでいた工芸品の数々が届かないとなればさて困ったもの。
「お手数だとは承知の上ですが、なんとかなりませんか?」
「勿論既に手は。連中の進行ルートと思わしい所は迂回する様に通達済み。
 後は連中そのものをどうするか……」
 バッタたちは大群を成して次なる食料を求めて常に移動している様だ。
 近しい場所にいるキャラバンたちには警告と、安全なるルートを使う様に通達している故にこれで大きく被害を減らす事は出来るだろう……が、移動出来ない街そのものなどに奴らが襲来すればそうはいかない。
「――やっぱ直に焼き払っていく他ねぇよなぁ」
 故にディルクは結論を出す。
 やはりバッタ共をぶちのめす強者共達が必要だ。
 しかしかのバッタが相手と言えば『とある事情』から多くの傭兵は嫌がるであろう。
 ――さてではどうするか。

 『赤犬』と謳われた男の口端は上がり、その手に筆を取らせるのであった。


「――以上が『赤犬』並びに『遊楽伯爵』から出されたオーダーとなります。質問はありますか?」
「いや、特には無い。つまり奴らを打ちのめすだけの依頼なのだろう?」
 さて。ディルクからの依頼の手紙を受け取ったのはなんとローレットであった。
 一早くその依頼書を入手した新田 寛治 (p3p005073)が共に現場へと向かっている者らへとその内容を読み上げている。バッタによる被害と、その駆除の必要性……あぁベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)もしかと理解したものだ。
「ディルク様のラサに被害を出すだなんて……バッタは己が習性に従っているだけとはいえ、許せませんね」
「ええ――それに伯爵も困っているだなんて、万死に値するわ」
 そして依頼主の名を聞けば即座に名乗りを挙げたエルス・ティーネ (p3p007325)とリア・クォーツ (p3p004937)の戦意は高い。
 それぞれ慕っている相手が困っているのだという。
 ――ならば赴かない理由があろうか。
 バッタ如き一万いようが二万いようが打ち倒して見せる。いや流石にそんな数はいないと思うが。
「ありがとうございます。皆さんの力があれば、この依頼は必ず成し遂げられる事でしょう――で、ここからまた別に。ええ、まぁきっと些事の情報であるとは思うのですが、バッタ自体の説明をさせていただきますね」
 彼女らの闘志を感じつつ、寛治は説明を続ける。
 そう。そもそも戦うべきバッタの情報を。ラサに被害を齎す憎き奴らの――名は――

「ヌノトカフクハミハミバッタです」

 …………なんて?
「ヌノトカフクハミハミバッタです。
 ええ。単純に申し上げて――布とか服を食べちゃうバッタです」
「……はあああ!?」
 リアが馬車の中で思わず声を荒げた。
 ヌノトカフクハミハミバッタ。一番最初に説明したが、彼らは植物などを食す砂漠のバッタだ。しかし彼らが最も好むのは『衣類』なのである。
 なぜか? そもそも砂漠に植物性の食べ物などどれ程ある事か。
 それ故に彼らは長年を掛けて進化した。
 そう――人が身に着けている衣類を食し、消化する事が出来るように!!
「普通のバッタよりは可愛らしいデフォルメされた様相をしているのですが、非常に食欲旺盛なのが特徴ですね。元々は深緑方面にいたバッタらしいのですが、ラサに移り住んだ個体達は生きるために、ええ。色々進化したそうで」
「それは進化……いやまぁ進化なのだろうが……」
「噂だと海をも超える力を秘めているとされています。ラサで暴れているのは飛ぶ為の栄養を蓄える為かもしれません――放置していたらやがて海洋に、もしかしたら豊穣にまで届くかも……」
 いやまさか豊穣までなんてそんな。
 しかし作物の少ないラサで生きるために進化を遂げた個体達だ。
 まさかの事態もあるかもしれない。そう――これはもうラサだけの問題ではない! 世界の問題なのだ! 多分! だから今更退く選択肢はない! 君達の活躍に、世界の存亡がかかっているのだ!!
「今なんか物凄い適当な事言ってる天の声が聞こえた気がするんですが……!?」
 気のせいですよ、エルスさん。
 ……ともあれ傭兵ではなくイレギュラーズに依頼が行った理由はまさかこれか!? 『服食べられるとか聞いてないんだけど!?』とリアが凄い抗議の声を挙げているが、依頼を受ける意思を示した以上最早手遅れ。
 さぁ頑張って戦ってください。
 ヌノトカフクハミハミバッタと――ええ! ヌノトカフクハミハミバッタと!!

GMコメント

 布とか服を食べるバッタなんだからしょうがないですよねぇ~!
 リクエストありがとうございます! 以下詳細です!

●依頼達成条件
 ヌノトカフクハミハミバッタを頑張ってめっちゃ倒す事。
(全滅させる必要はないです)

●フィールド
 ラサ西部の小さなオアシス付近。
 この辺りで奴らを迎撃出来るとの情報で向かっています。時刻は昼です。
 このオアシスには廃村があります。人気はないので一般人は気にしなくていいですし、打ち捨てられた建物などは全力で利用しても構いません。ただ扉とかは木製ですし、窓は壊れている部分などがあったりするので、建物内部は安全という訳ではないでしょう。

●ヌノトカフクハミハミバッタ×めっちゃ沢山
 布とか服を食べちゃうバッタ。
 普通のバッタよりは可愛らしいデフォルメされた様相をしているが、非常に食欲旺盛。
 ラサでは毎年作物や工芸品、衣類などに被害を齎す害虫なんだとか……

 戦闘能力事態は非常に低いです。精々普通のバッタです。
 が、ラサには作物が少ない為、繊維質を食いちぎれるよう顎が発達しています。
 また砂嵐から体を守る為に硬質化する個体もいるんだとか……?
 肉食ではないので皆さん自体を直接攻撃する事自体はないと思いますが、服を食べてるついでにチクチクと肌を噛まれる事はあるかもしれません。あと、服の内部に侵入されたりとか。

 衣類を纏っていると彼らからは餌の様に見られるでしょう。
 かといって肌を晒しているとそれはそれで危険でしょう。歯はあるので。
 うーん薄着をすべきかめっちゃ着込むべきか……悩ましいですね!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBATTAです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 怪奇! ヌノトカフクハミハミバッタ襲来!!完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月30日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
※参加確定済み※
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
※参加確定済み※
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
※参加確定済み※
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
※参加確定済み※
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

リプレイ

●焔ァ!
「あの馬鹿はどこだ!! はっ!? 居ない!? さては逃げやがったなァ!」
 めっちゃキレてる『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)が叫ぶが、はたして知古の火付け人が本当関わっているのかいないのか……でも関わってたとしても伯爵の名前を見た瞬間にノールックで付いてきた方にも罪はあると思うんだよリアちゃん。
「どうして……どうしてこんなことに……ちくしょう寛治め、嵌めやがったな!?」
「何を人聞きの悪いことを――私はただラサの『赤犬』と称えられている方からの依頼を皆さんに説明しただけです! あ、私は皆さんの様子がよく見える様に側面の前側にポジションを取りますね」
「せめて狙撃手だからって取り繕えよ寛治ィ!!」
 おっとつい。『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)からの思わぬ追及につい本音と建て前が混在してしまった『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)であったがもう依頼は始まった。つまり誰も逃げられないので心が零れても問題ない! やったぜ!
「全く……皆己の服がどうのこうのと言っているが、大事なのはこの地の民達の生活を守る事だぞ、分かっているのか? 既に工芸品などに被害が出ているという話があっただろうに」
 しかし流石は『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)さんだ。バッタなんぞに恐れている様子もなく……
「まぁ春の暖かい日差しに浮かれて合法的に脱ぎたくなる気持ちも分からんではない。私もこの前ちょっと……いやそれを置いといて。ともかく分からんではないが物事には優先順位と言うものがある――それを守らずしては何も成り立たぬと言うものよ」
「ベルフラウ? 今『この前ちょっと』なんて?」
 なんかとんでもない事言おうとしてなかったかとリアが追及しかけて、やっぱやめた。ええい、バッタが! バッタが迫ってきてるんだ! その準備に備えねばならないんだから細かいことはもういいだろううん!
「……あの。あの、私。ラサって暑いですし、その。
 『ちょっとしたピクニックみたいなものですよ』
 とか言われてので……いつもの鎧、置いて来ちゃったんですけど……か、寛治さん……?」
「ピクニックみたいなものですよ――だって相手の戦闘力はバッタですから」
「服を噛み千切ってくるバッタとか聞いてないんですけどおおおおおお! うわああああん! なんですか、ヌノトカフクハミハミバッタってー!!」
 そりゃヌノトカフクハミハミバッタはヌノトカフクハミハミバッタですよ、うまい事薄着で来てくれた『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)さん!
 あぁあぁ案の定あちこち阿鼻叫喚。なんという悲鳴が心地よい事か。
「へへへへっ……バッタが何よ……服なんて食われても怖かねぇや! かかってこい!
 バッタなんざ怖かねぇわよアタシはぁあああああああ!!」
「は、早まらないでコルネリアさん! 正気に戻って! いつものコルネリアさんに……あ、でもいつもこんな感じだった気がしないでもないわね」
 ど、どういう意味よソレ!? と『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)はリア同様に『赤犬』という単語だけを見てきてしまった『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)へと――視線を向ければ。
 その背後。めっちゃ向こうに黒い影がある事を視認した。

 ――ぎゃあああああヌノトカフクハミハミバッタの大群だああああ!!

「ああ、あれがくりくりおめめとスタイリッシュモデル体型を兼ね備えたイケメン昆虫!! 合コン開始までもう少し時間があった筈なのに、やんちゃですね! もう!」
 同時。何言ってんのか分かんないけど『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)の言う事だからきっといつも通りの澄恋なんだろう。彼女が聞いた話によると出会ったその日にあんなこと(布喰み)やそんなこと(服喰み)までする困った肉食獣<バッタ>さんらしい。ルビがすごいよぉ。
「ふふ、狩るか狩られるかの愛の戯れ……全力で楽しませていただきます!」
 あ、めっちゃ目が輝いている。バッタさん逃げてー!


 ――後日、ローレットの事務所にて寛治は語る。
 あの時。荷物に前の仕事で使ったインスタントカメラと予備のフィルムが紛れ込んでいたのは、天の導きであったと。
 この特異的災害を記録しろとお命じになられて――己はそれに従っただけだと。


 爆発。炸裂。斬撃。銃撃。
 数多の攻撃がバッタ達にこれでもかと繰り出される――
 必死だ。もうホント必死である。でもどれだけ焼き尽くそうとしてもバッタ達の数は尋常じゃない数に膨れ上がっており……
「うげぇ、数がやべぇのだわ。ちまちま片付けんのは面倒だしいっちょ殲滅と行こうかしらね……って待て待て待てバッタ共!! おらぁ! こっち食えこっち!! コイツをくれてやらぁ……やめろアタシの服を齧るんじゃねッ――!!」
 ローレットから布を大量に持ち込んでいたコルネリアは、奴らへのエサと囮がてらに投げてやる――が、服の端に一匹のバッタが取りついていると気づいた時にはもう遅かった。
 めっちゃ凄い勢いで食い尽くしてくる。
「アタシの一張羅――!! やめろ、やめろォォォォ! やろうぶっ殺してやる!!!」
 思わず脱ぎ捨てるシスターの上着部分。緊急避難用に投げ捨てればバッタ達がそちらに飛びついて、纏まった所へ火炎放射。ああ……グッバイ、アタシの上着部分……あっまたスカートの方にくっ付いてる。コラ――!
「ふむ……脱ぎ捨てた端から見えるあのフォルムは……成程。これは今後のファンド案件の参考になりそうですね。バッタ達にはもう少し頑張っていただきたい所です。出来れば全部が望ましいですね、全部」
「キレそう」
 今のはリアさんじゃないです、紫電さんです。
 一応手榴弾とか放り投げて仕事してる風の寛治だが、よく見るとほとんどの労力を撮影に注ぎ込んでやがる! 寛治自身の服も食われてるのに一切頓着してない! なんだアイツはすげぇ!
「だから後で寛治はしばくとして――うぉぉぉぉ俺の! 俺の恋人のぱんつにだけは手を出させねぇぞ!! かかってこいやバッタ共……違う、俺のだったら良い訳じゃねぇからそんなに一斉に寄ってくるな――!!」
 愛の力でバッタスレイヤーへと覚醒する紫電――!
 でも大量のバッタには勝てなかったよ……めっちゃ頑張ってバッタのバラバラ死体量産してるのだが、奴ら仲間の遺体を踏み越えて取りついてきやがる! ま、太ももに登ってくるな! 駄目だ!! ぱんつは、ぱんつだけはダメなんだ――!!
「ああああ片づけても片づけても増えてくる!! 虫程度に遅れなんて取らないけれど、これは流石に面倒……ってちょ、ちょっと! どんどん群がってきて……! あ、あああ! やめろやめろ! 服食べるなてめぇら! あっちの布に行けあっちに!!」
 コルネリアが放った布を示すリアだが、バッタにとっては目の前のご馳走が優先。 
 リアの腕に張り付き服を齧っていく。いや足元にも。腹部にも張り付いて……あぁ~
「ちょ、やだ! 破られたところからどんどんバッタが中に……! くっ、こいつら絶妙に大きくて気持ち悪……や、止めて……! 中でもぞもぞ動かないで……! あ、ダメダメダメ! そこは噛んだら駄目な場所で、ッ、 ぁ!」
「リアさん、もっと実況お願いします!
 うーんこれは素晴らしい。ラサの人々の性癖が破壊されないか心配ですね!」
「ぶっ殺すぞメガネ――!!」
 やはりあのメガネはいつか討伐せねばならないと思考しながら。
 とにもかくにも振り払う! 群がってくるバッタ共を全て焼き尽くす――嘆きの旋律を奏でればバッタキャンプファイアーだ! これには物語のモチーフとなった聖女も大激怒よ!! まさかこんな事に使われるとは思ってもいまい!
「燃え尽きろおらああああああ!!」
「え、ちょ、リアさん! なんでこっちに突っ込んでくるの! ひっ!!」
 直後。あわわわと鎌をブンブン振ってバッタを追い払っていたエルスの下に、リアが突っ込んだ。いや他意はない。ただバッタに纏わりついた火の近くにいれば自分も熱いし、何より……
「助けてエルス! このままだとあたし色々ヤバいことに! こんな、こんな姿じゃ伯爵にお会いできない!! もう裸みたいなものなのよ今!!」
「それは私だって一緒でこんな姿じゃあの方に――あああああ!!」
 激突、衝突、もつれる二人。
 その姿はバッタに群がれ多くの素肌を晒した美女二人。
 ああ――離れて攻撃してれば服も破られないと思っていたのにどうして――!
「ちょっ……こんなボロボロ……くっ……あれ、新田さん? どうしてそんな位置に陣取って……その記録媒体!! あ"あ"あ"あ"!! 何してるんですか駄目ですよ絶対、シャッター無言で切るのやめてくださーい!!」
「え、喋ってれば撮影OKって?」
「そうじゃな、ひぅ! またバッタが来て……もう、なんでこうなるのよ――!!」
 胸元抑えて泣きながらバッタから逃げる様に。
 阿鼻叫喚。麗しい泣き声があちこちから聞こえてる――が、その一角では。
「リディア! 澄恋! 私の下へ来い、我が花々をこのような虫共に摘ませはしない――!」
「ベ、ベルフラウさん!! あだ、あだだだ! でもこれ服だけじゃなくて普通に肌にも歯が立って……あだだだだだ!! 痛い、普通に痛いですってこれ――!!」
 ベルフラウが周囲の者らを鼓舞しながら、その身を挺して守るものだ!
 バッタの群れに怯むなどレオンハートの名折れとリディアは自らを奮い立たせていたが……が、レオンハート家の教えにも『ヌノトカフクハミハミバッタから逃げるな』とかいう教えはなかった気がするし、正直やだー! と思っていた所に英雄が如く舞い降りたベルフラウ。
 両手に抱く花達を守るため、彼女はいつもの鎧を身に纏いてバッタ共に――!

 ……あれ? ベルフラウさん、なんでいつもと違う軽装なんですか?

「何……? まさかお前は鎧を着ているから大丈夫だろう、だと……?
 そんな事でも思っていたのか!!」
 ローゼンイスタフ家がベルフラウを舐めるなよ茶零し!!
 家名に泥を塗るような! 魂に恥じるような行為をする筈がない!! 他の誰もがハミハミ仕様の着衣の中一人己が身を守ることなど出来ようか! そう、つまり!
「とうの昔! 出発する前に鎧なんぞ脱いでローレットのロッカーに預けてぐあああああ――!!」
「ベ、ベルフラウさーん!!」
「ふぅ、危なかった。なぞのひかりを用意していなければ全てが秘匿事項になる所だったな……」
「ベルフラウさーん!!?」
 わああああ一糸纏わぬけれどよくある謎の光が彼女を守って、うぉ眩し!! 重要な所は何も見えないのでこのリプレイには一切何の問題もありません!!
「そうだ、リア。こんなこともあろうかと卿が以前来ていた裸エプロン(の残骸)をもしもの為に持って来ているので必要であれば言うといい。すぐに取り出して進ぜよう」
「いやどこに仕舞ってるのよアンタ!! ていうかそんなもん持ってくるならちゃんとした服か着替えをもってきておきなさいよ!!」
「なに? なんだその言い方は! 私の身に恥じるべき所でもあるというのか! そんな場所など一切ない!! よく見ろリア! 大体どうせハミハミされるのであればボロである方がいいだろう! 完全論破だ!」
「どこがよ――ッ!!」
 大丈夫。伯爵だってその姿を見れば喜ぶ(あと新田も)筈!
「うわああそんな言い争いしてる場合じゃないですよ! またバッタの第二波が!!
 く、来るな! 来るな――ッ!! うわあああああん!!」
 直後。半分涙目のリディアが剣を振るう! 敵の身を切り裂く鮮血がバッタと、あと寛治を捉え、あれ?
「な、何故でしょうか……私の剣が一瞬、新田さんを敵と定めてしまいそうに……!」
「リディアさん、どうして……私が一体何をしたというのですか!」
「あ、ああごめんなさ……ところで何を撮っているんです? 新田さん??? ってあ――!! また噛んできた、うわわわわ!!」
 やっぱりこの人バッタ陣営の回し者では?
 と思っていたら背中から侵入したバッタがリディアの服を内側から噛んでる! 慌てて取り除かんとすれば思わず滑って転んでリアの貴重な布一枚をビリビリバラバラあら大変!
「リディア――!! ただでさえ少なくなってるのに、アンタは――!!」
「ご、ごめんなさいリアさん! まさかこんなアクシデントも発生するなんて……ほ、本当に恐ろしい相手ですね! まったく、こんなバッタ達を世に遣わした神様がもしいるのならば、ちょっと私は信仰できませんよ! むしろ一発引っ張たいてやりたいので、お顔を見てみたいものですね!」
 やめてください次元の壁を超えるのは。
 ともあれバッタ達との攻防は一進一退……いや服的には惨敗してる気もするが、まぁ計画通りなのでそれは良いとして。

「はァァァ……せいッ!!」

 瞬間。全てを吹き飛ばすのは澄恋だ。
 己に近寄ってくる個体共……こんなか弱い乙女のぼでぃたっち(範攻撃)にすら耐えられぬというのか……? そんな軟弱な野郎どもはごめんなさい、来世で生まれ変わってからやり直してきてください案件です。
 とはいえ数だけはやっぱりすごい。肌を晒さないように分厚い生地の白無垢を着用してきたのだが――いつの間にか膝上にまで裾が来ちゃいました(はぁと)
 いやですねぇ、こんなに熱い求愛をしてくるなんて……あ、いやだそこはくすぐった……あっこら! どこ触ってるんですかぁ! それは布でなくてわたしの角です――!
「うぅ……いけません。もう帯がボロボロに……このままでは、服が……っ」
 脱げちゃう――

「――と思ったかヴァカめ゛ェッ!!」

 瞬間。北斗のげふんごふんばり服が、白無垢が勢いよく弾け飛んだ。
 つられてバッタ共も吹き飛ばされる。あまりの圧に。あまりの出来事に。
 白無垢の下から生まれたのは――それは――!!
「この身を見よ! 今の私は秋奈のぱんつにより100%下着が破けない……つまり全身にぱんつを纏えば色気で相手を翻弄しつつぽろりを回避できるってわけさァ!」
 いやほぼ下着姿なんですがそれは良いんですかね澄恋さん!! 寛治が『なるほど、色々アレですがやはり人妻はこれ!』って勢いでシャッター切ってるんですけど!!? ちょっと、その、仁王立ちしてる場合じゃなくて隠して隠して!! 紫電さんも『俺の恋人のぱんつをどうして』とか言ってる場合じゃないから!
「さあ欲求不満の野朗共、頭にぱんつを被った第二フォームのわたしと愛の炎で社交ダンスだ! 付いてこれるか? 私は覚悟できている!! 泣き言言う奴は置いていくぞッ――!! ぱんつに包まれし我が肉体を刮目せよ――ッッ!」
 その角に引っかかってるぱんつも取って――!!
 白無垢から純白のパンツ姿に変貌した澄恋。
 その心意気に胸を打たれたのか一斉に彼女へと襲い掛かるバッタ達。そこへは紫電も往き。
「勘違いするな! 俺は断じて露出狂ではない。決して。だが依頼をこなすためには積極的に前に出るしかないんだ! むしろ早く帰りたいからであって、全裸になりたいから突っ込むわけじゃ」
「あ、あの体義体らしいのでひん剥いても大丈夫だと思いますよ。ええ。本体刀なので。抜刀時って全裸ですよね」
 寛治――!! 紫電の叫びが砂漠に轟く。
 ……ああ畜生。こんな姿、秋奈には見せられないな……
 悲哀なる感情を紡ぎながら、しかし一刻も早くこの依頼を終わらせるべく、行こう。
 もうほとんど全裸に近いリアも、リアに破かれて衣類がめっちゃ減ってるエルスも。バッタに再度襲われて屈さないように『くっ殺!』してるリディアも。バッタ達にリアの下着を勧めて自らの被害を軽減しようとしているコルネリアも――皆気持ちは一緒だ。
 早く帰りたい。
 あ、でもベルフラウ嬢はちょっと違う気がするような気もする。謎の光さえあれば平気な人だし……

「ああ――早く終わらせてシャワーでも浴びたい所だわぁ……」

 小さく天に向かって呟くコルネリアの姿は、もうほとんど布切れみたいな状態だったとか。

●その後
「やめてください澄恋さん! これは依頼中だけの情報資料で……」
「まぁまぁまぁたまには良いじゃありませんんか偶には」
 ラサへの帰還際。火炎瓶などで焼死体になった飛蝗の塊を鷲掴みにしてお持ち帰り中の澄恋はすごい力で寛治を押さえつけ、寛治の姿をその写真に収めんとしている。たまには撮られる側になるのも悪くないでしょう?
「はぁ……散々な目に遭った……まさかバッタ達があんな所にも……ううっ。
 でもこれもラサの為……私はきっとやりきった、ええ、ええ!」
 心で涙目エルス。でもこれもきっと赤犬の為になると思考して。
 ――まぁこの依頼自体、その赤犬の思惑が(多分)入っているんですが。
「さてでは報告に行かねばな。折角だ、このままいくか!」
「行ける訳ねぇだろ着替えさせろよ!」
「そうよこんな姿で伯爵に会える訳が――!!」
 ベルフラウの提案に騒ぐ紫電とリア。
 ……あれ、そういえば着替えどうしようかと。誰かが気づくまであと一分。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

リア・クォーツ(p3p004937)[重傷]
願いの先
エルス・ティーネ(p3p007325)[重傷]
祝福(グリュック)

あとがき

 ヌノトカフクハミハミバッタ……恐ろしい敵だった(カシャ カシャ

 着替えが無かったけれど報告に向かった人たちはどうなったのか――!? それは状態異常で。

 ありがとうございました!!

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