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シナリオ詳細

異世界召喚よ、こんにちは

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●マギアロアの凡日常


『来たれ、来たれ、来たれ。今此の時、此の場所、此の世界へ来たれ』

 そこは荘厳な雰囲気の満ちる場所であった。
 暗く広い、それでいて力――“魔力”が満ちる、とある地下儀式場。
 この<魔法世界・マギアロア>では珍しくはない……されど、その中でも最大級の規模や浮遊魔力の濃さを誇る大規模魔法儀式の為の空間。

『我は汝を呼び求める。異邦の地より強く求め、望む』

 地には複雑怪奇な幾重にも重ねられた巨大魔法陣。宙よりその術式を補助増幅する球体魔法陣。
 魔法陣の中には幾つもの貴重な触媒が浮かび淡く魔力の光を放ち。
 それらを数十人もの術者――魔法使い達が囲む。

『我は異界の理、異境の力、異郷の者を召喚せし者。異世界より稀人を呼び寄せる者』

 口頭詠唱、魔力供給、連携術式とその制御、etcetc。
 世界でも上位の術者達が集い、協力して一つの術式を結実せんとしていたのだ。
 時を経るに連れて魔法陣は、漂う魔力は輝きと力を増して――その魔法は今まさに完成せんとしていた。

『来たれ、運命の力を持つ者よ――!!』

 暗かった空間が光に満ちて――――



●ようこそ、<マギアロア>へ


「……えっマジで? マジで成功しちゃったの異世界召喚!? 異世界人キタ――!!」
「おい基幹術式はウチの所の師匠の作だからな記録だ記録! 記録術式もちゃんと動いてるよな!?」
「バカめこの儀式場の貸し切りと触媒入手の調整等は俺達の手柄だぞそれも記録しろっ」
「あのー、これ世紀の瞬間って奴だと思うんですが魔力供給の報酬の値上げなんかは……」
「「「うおおおお異世界人さん、異世界の魔法見せてくーださい!」」」
「やめなさいやめなさい! すみません異世界人さん。すぐに、すぐに送還術式の用意をしますので!」



「も、申し訳ありません。送還の術式と魔力供給に今暫く時間が掛かる見込みとなってしまいまして……」
「滞在の為の部屋の確保や行動の保障は最大限に行いたいと思います。ですのでどうか――」
「おいおい、召喚に応じてくれた快き異世界人にその他人行儀は失礼なんじゃないか受付魔女Bさん!」
「う、受付魔女Bさんって……では、どういう風にすれば良いと言うのですか!?」
「それは当然、歓迎の意を伝えるしかあるまい! そう、例えばこの様に――」


「『――<マギアロア>へようこそ! ゆっくり楽しんでいってね!』」




●異世界召喚よ、こんにちは

「どうやら、新たな世界への路が開かれた様です。これは……<魔法世界・マギアロア>?」

 境界案内人・ディースは特異運命座標である君達を集めるや否や、当の世界の説明に入る。
 魔法世界――その名の通り、魔法で全てが形作られ、魔法が世界に満ち溢れ、そして世界を魔法が発展させた、あらゆる事が魔法に結び付く世界。
 殆どの動力を魔力と魔法で補い、今尚魔法術式の研鑽と発展を続ける由緒正しい(?)魔法文明が根付く世界である、と。

「今回、皆様にお願いしたい事はそう多くはありません。かの世界よりの召喚に応じ、一時、送還までの期間をかの世界でゆるりと楽しむだけで良いかと思います」

 それだけで良いのか、と思いもするが、どうやら今回の依頼はそういう物らしい。
 異世界との道を切り開き、運命逆転力を持つ君達が滞在する……それだけでかの魔法世界にはメリットがある、という事なのだろう。
 幸い、君達の持つ力もあの世界に適する様な特殊な理が敷かれているらしく、短い期間を好きな様に過ごすには十分だろう。
 ならば話は早い。
 魔法に満ちた世界――ともなれば、君たちが良く知る日常の諸々すらも物珍しい魔法で彩られていて退屈させない事だろう。
 そうと決まれば君達は早速魔法世界へ向かう用意を整え、召喚に応じるのであった。

「それでは、貴方がたのかの世界での活躍を期待しています。――行ってらっしゃい」

NMコメント

 こんばんは、NMの黒矢と名乗っている者です。
 今回のお話はいわゆる魔法世界の異世界来訪物。
 異世界での非日常の様な日常をどうかお楽しみください。

●世界説明
 <魔法世界・マギアロア>。その名前の通り、魔法が基幹にある異世界です。
 ただの中世ファンタジー世界という訳ではなく、魔力を動力として動かす魔動機械等もあり、部分的には現代と同程度の文明力を持っている様に見えます。
 日常を過ごす上では混沌世界と変わらぬ様な生活を送る事ができるでしょう。
 しかし、それでもやはり世界の主流は魔法であり、絶対の指標として存在しています。
 生まれ持った魔力量が少なかったり魔法の才能が劣っていたりすれば差別的な場面に遭遇する事もあるかもしれません。
 また、逆に優れた魔法的素質を持つ者が通う魔法学園があったり魔法スポーツがあったりと楽しめる要素もあるかもしれません。

 そんな世界でどう過ごすのかは各々の特異運命座標次第――ではありますが、特異運命座標の皆さんは運命逆転力が良い感じに作用しているお陰で自らの能力を魔法的に行使する事が出来たり魔法的素質にプラスの補正が掛けられたりします。
 その素質、そして魔法的な力(物理を含む)をどう使うのかは自由でしょう。


●目標
 送還術式の完成まで<マギアロア>での日常を過ごし、魔法世界を後にする。
 

●その他
 <マギアロア>に滞在中の皆さんは相手方の厚意により、大抵の要望を受け入れられます。
 その厚意を最大限に使って好きな様に<マギアロア>での日常を過ごしましょう。
 例:魔法的な食べ物や珍味を食べてみたい! 魔法スポーツの観戦、参加をしてみたい。
   送還術式の完成と魔力供給のお手伝いをして完成を早めよう。もしやこの世界には魔法生物が大量に居るのでは……?
   etcetc……

●特殊ルール
 この<マギアロア>において、特異運命座標である皆さんは非常に高い魔法的素質を持ちます。
 混沌世界で可能であった行動やスキルは総じて自身の魔法で再現する事が可能となります(物理であっても)。
 また、皆さんが持つ運命逆転力がこの世界では消費もせずに超効率で魔力の代用品として使用する事ができ、実質的に無尽蔵に優れた素質から繰り出される魔法を使用しても問題ありません。
 (勿論、充填や能率を所持している場合それが更に顕著となります) 
 
 
●サンプルプレイング
・例①
 魔法の世界、無尽蔵な魔力……はっ、閃いた!
 魔法賭場に行きたい、行きまーす!
 それで、魔力をチップにして遊び尽くすの。負けても気にしなーい!
 私の充填+パンドラの魔力の暴力を喰らえーい!
 
・例②
 どうやら来たようですね、僕の独壇場が……
 乞われるがままに混沌世界の魔法(神秘アクティブ)を披露して喝采を貰います
 覚えているのから順々に披露していって……
 トドメに魔砲を空高く撃ち放って雲を切り裂いて悦に浸ります。どやぁ……
 

  • 異世界召喚よ、こんにちは完了
  • NM名黒矢
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年05月10日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
ハク(p3p009806)
魔眼王

リプレイ

●或る魔術師の憤懣

「ははあ、魔法世界……僕は生粋の魔術師という訳でもないですけど、興味深いところです」

 魔法世界の街並みをガイドに案内されるのは召喚された特異運命座標の一人、『無限循環』ヨハン=レーム(p3p001117)だ。
 彼も一端の実力を持つ優れた魔術師。やはりこの世界に関心を示し案内を付けて散策の途についていたのだ。
 数日の案内を貰いこの世界を堪能していたが……なるほどと彼も頷ける程にこの世界は<魔法世界>であったのだ。

 街全体をドーム状の結界が覆い、空を飛行魔法を搭載した魔法機械を駆る人々が行き交い、街頭の演出や照明なども魔法の力で補っている。
 水生成の魔法や成長促進の魔法で水食料等の重要産業まで魔法で賄っている、魔法に支えられた世界だ。
 折角なので彼も魔法を交えた交流をしてみたかったが彼が持つ魔導書に記されているのは戦闘用の呪文ばかりである為、観光に留める事としたのだった。
 それでも、丁寧に案内してもらい、見聞きし記憶した魔法がきっと彼方でも応用できると信じて。

 だが。
 僅かな間の散策でも――見過ごせない物はあった。
 列の割込みから始まり、値引きやサービスの強要といったある種ありふれたそれ、しかし周囲も注意もしない非常識の物。
 漏れ聞く声や案内の説明によればそれは……

「後は何処に行こうかな……やっぱり、年齢が近そうな人がいる魔法学園かな?」

 ――魔法の才能の多寡に由来した、蔓延した優遇と冷遇の気配。 
 彼だからこそそれを看過できずに向かう事となった。
 才能ある若人が集う場所、魔法学園へ。


●魔女見習いは何を見るか

「何を! 我らは優遇されるべき確固たる理由があるのだぞ! その特権を使って何が悪い!」
「これは失礼ながら笑ってしまいますね。上を目指す者が下を見下してどうするんです」
「……何なんでしょうか。これは」

 『魔女見習い』ハク(p3p009806)はこの魔法学園で満足した一時を過ごしていた。
 客人として上等な料理を要求した彼女に紹介されたのは格式のある若人が集う場所、魔法学園だった。
 研究者気質な魔術師が多い場所や一時的なホテルよりも上等な料理が出されるのがこの学園だったのだ。
 そして、実際に――魔法学園で出される料理の数々に大いに舌鼓を打つ事となる。

 海から転移で直送される海産料理や氷魔法をふんだんに使った氷菓子、芳醇で濃厚な魔力と味わいを楽しめるハーブティーやスープ。
 更に大喰らいな彼女に配慮されてか調達される大猪の丸焼きが美味いのなんの!
 何かの魔法だろうか? 猪を丸焼きしただけとは思えない柔らかな舌触りに豊富な油と肉汁!
 ご飯と共に大きな満足感が与えられたのも無理はないだろう。

 ……勿論、彼女もただ喰っちゃ寝していた訳ではない。
 持ち前の魔眼は才能ある若人を以てしても興味惹かれる物、この数日間相当にちやほやして貰ったのも紛れもない事実。
 なので、彼女としても彼らや仲間達が争うのは本意ではない物であり……

「……と、とりあえず落ち着いて。互いの言い分を整理してみませんか?」 



「我らの多量の納税があるからこそ、魔力貧民は生きていけるのだ。我らが優遇されるのは正当な権利であろう!」

 彼ら、才能ある者達の言い分はこうだ。
 この世界で人類社会を維持しているのは各種魔法による社会インフラがあってこそ。
 そして魔法の起動、維持には当然魔力が必要だが……魔法の才能、魔力量に劣った人々であっても生業にも魔力を魔法を使う者が殆どで当然行える魔力納税は僅かな物となる。
 現状では魔力納税の中の過半数が魔力の量に秀でた魔力富豪と呼ばれる者達が納めている物であり、ならば彼ら優れたる者が社会の中で優先されるのは当然である、と。

 ちゃんちゃらおかしい、と切って捨てるのはレームだった。

「魔法と言うのは、力のない者を助ける為にあるのです。それは此処でも同じでしょう、だからその様なインフラが構築されてるのですから。なのに力のない者を虐げるのは理に適っていませんね」
「ぐぅっ!?」

 全く持ってその通りであった。正論だった。
 彼らが研鑽発展させて来た魔法は元より自らの、人々の為に。
 より快適に。より安全に。より良い未来の為に。
 その様な思想がなければ、弱者の為に多大な魔力を消費してのインフラなんて成立する筈がないのだから。
 学生の中でも一部レームの言葉にうんうんと頷く者も居る。中には生まれ持った素質こそそこそこでも修行と研究に励みこの学園に来ていた苦学生も居たのかもしれない。

 人それぞれに生まれ持った素質があり、各々のやり方があり、歩みがあり。そしてお互いに高め合う。
 それが探求だと、何かを虐げる必要などないと締め括り、話し合いは終わった。

「やや手厳しいお話になりましたが、異世界から人を呼んだのです。こういう見方もあるのですよ……僕としても、もう少しだけ易しい世界になってくれる事を願っています」
「そうですね。良い方向に向かってくれれば幸いです」

 そこはかとなく良い雰囲気で〆られそうだと悟り、ハクもほっと一息付く。
 彼らも決して根っからの悪人ではないのだと、彼女は見抜いていた。
 高い自負と自尊心。上昇志向はそれ故に今まで下に居る者を顧みる事は少なかったが……それでも以後は改善していくだろう、と予想できた。
 ――魂だけの存在を見通す輪廻の魔眼で、彼らのその性を見抜いていた。


●唄歌いは相対す

「魔法が発展した世界ねぇ。私が過ごしとった世界には魔法なんてなかったからなぁ」

 呟きながら外を出歩くのは特異運命座標の一人、『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)だ。
 折角来た特異な世界。人と戦い殺すのは無理でも魔法生物なら……と結界の外に出向きその妖刀に血を吸わせんとしていたが。

 ――混沌である程度慣れたつもりだけれど、なるほど。“魔法”生物という訳やねぇ。

 彼女の視線の先には身の丈三メートルはあるかという巨大な猪のモンスター。
 相手方も既に紫月を標的としており、突進の構えを見せ。

 ZAN!!

 駆け出す瞬前に紫月の銃が“ 飛”を吹いた。
 撃ち出されるは斬撃の軌跡。頭部を切り飛ばさんと走る一閃。しかし。

 ――⁅金剛突面⁆⁅魂魄衝撃⁆⁅爆裂点火⁆

 キィン!
 硬い金属を斬った様な甲高い音と共に、僅かに耳部が斬れ光と共に血が噴出するに留まる。
 更には突進の構えのまま……魔猪の背部に爆発が巻き起こる。
 否、ただの爆発ではない。方向、威力も調節されたロケットの如き推進力の賜物。
 自らの突進力と爆裂の推進力を合わせた超スピードで紫月を粉砕せんと――突撃してくる!

「――面白いわぁ」

 猶予は一瞬。
 一瞬だ。
 その一瞬で妖刀、紅蓮時雨の刃が鞘から顔を覗かせ。


 ――

 ――B……BMOOOO……

 二閃。
 猪の頭部を裂く一撃。
 直後の衝突の衝撃。それを受け流し利用した、硬化の対象外であった側面へカウンターの一閃。
 一瞬の間に行われた二閃で確実に命脈を刈り取り……紫月は魔猪を打倒したのだ。

 ……残った魔猪の骸の処理に困り、世話人らを通じて魔猪肉を流す事になるのだが、それはまた別の話。



●異世界召喚よ、また明日

「でも、切羽詰まってない限り対象の条件を限定して友好的にした方が良くないでしょうか? 強制支配に抵抗無効化される程高位の相手だったらどうしようもない訳ですし……」
「普通は切羽詰まってもないのに異世界召喚なんてしないのですよ??」

 儀式場。特異運命座標達が召喚されたその場所で、送還の術式(予定)を前に魔術師達と意見を交わしているのは『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)だ。
 彼女も魔術に携わる者として召喚と送還の術式に興味を抱き、此処に留まり観察や助言を行っているのであった。

 (それにしても、これはなかなか……興味深い世界です)

 その瞳で見据えているのは今尚修正を繰り返しながら魔力の光を強めている魔法陣――ではなく。
 作業を行っているこの世界の魔術師、その人達である。

「ああ、私達には運命逆転力がありますから、座標と経路はこれで問題ないと思います。後は……移動する為のエネルギー、推進力でしょうか」
「あ、ありがとうございます。エネルギー……魔力に関してはもう暫く時間を戴く事となるかと。申し訳ありません」
「良いのですよ。私にも得るものはありました」

 微笑みを浮かべながら、アリシスが『眼』で……ハクと同様に埒外の力を持つ霊眼で彼らの“正体”を見定めた。
 見えざるモノ、魂を見通す彼女らの瞳に移る彼らは人の姿ではない。
 半ば無意識の術式でヒトとしての自らの受肉体を創造する、魂魄霊魂。それが彼らの正体であった。

 (本質は霊体の類。それ故に魔法に長け、魔力が己の命であるからこそ魔法を貴ぶ……なるほど、彼らが覇者になったからこそ<魔法世界>、なのでしょうか)

 そういう生態、種族、そして世界もあるのだと納得と学びを得る。
 純粋な霊体であるが故に強烈な悪意には弱く、魂魄の変質を避ける為にセーフティも掛けているのだろうと推測できる。
 恐らくは最初に疑問を呈した召喚術式だって、彼らの生態に準じた術式であるが故に、精霊や天使、悪魔と言った霊的存在以外は召喚できない物なのだ。
 ……その例外、イレギュラーが彼女達を都合よくこの世界に送り出す事ができた運命逆転力なのだろう、とも。
 特異運命座標、イレギュラーズとは良く言った物だと得心する。

 得難い学びと経験に満足し、密かな感謝と共に魔力供給を申し出る。
 彼らの事情を鑑みればそれが何よりの助けであろうと考えて。


 ……そして、魔法世界への一時の滞在はこうして幕を閉じる事となる。
 彼らが得た経験、彼らが齎した変化。
 それが何らかの意味を持つのは、もう少し後の事である。

成否

成功

状態異常

なし

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