PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<濃々淡々>一期一会の縁

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●待ち人
 妖怪には様々な妖怪が居る。
 善良なもの。
 そうでないもの。
 黒猫の飴屋――絢のように、人の世に紛れ、人と生きることを選んだ妖怪も居れば、そうではなく、人の世界を支配しようと目論む妖怪も居る。
 それぞれなのだ。
 故に、人は妖怪を忌み嫌う。見た目こそ無害であれど、襲われる可能性人の命は短く、妖の命は長い。故に人は伝えるのだ。

 『妖怪に近付いてはいけない』、と。

 それは古来よりの戒めであり、人間達の契りでもある。愛しい子孫達が安心して暮らせるように。幸せに一生を終えられますように。そう願って。
 脈々と受け継がれた想い。
 それは、悲願を達成するかのように、今の世に蔓延する。
 人間と共存したい妖怪達の思いを踏みにじるように――

「今日は、皆に連れていきたい場所があるんだ」
 ご機嫌に尻尾を揺らし。絢は手招いて、小さな武器屋……否、雑貨屋へと案内してくれた。
 しかし、そこは無人。人も誰もいやしない、ただものがぽつんと置かれた店である。けれど、埃ひとつ積もることはなく、手入れもしっかりされていて。

「今日はね、皆にここでものを買って欲しいんだ」

 絢は笑って見せる。
「ほら、皆。連れてきたよ」
 と、モノに語りかければ……小さな妖が、物陰より現れた。
 ……眠っている、ようなのだが?
「あはは、ごめん。まだ起きないよ。一年……二年くらいはね」

●つくもがみ
「あは、驚かせてしまったかな。ごめんね」
 申し訳なさそうに、絢は眉根を寄せた。というのも、あの店はものに付く神様――付喪神達が眠る店なのだと言う。
 絢が言うには、あの店の道具は素晴らしいらしい。「たとえば、おれが飴を切るときの道具も、彼処で買ったんだよ」
 ほら、と見せられた鋏は、手入れも効いているし長持ちしているだろうことがわかる。もっとも、絢の年齢は知らないのだけれど。
 妖である彼等が憑いたものを買い、大切に持ち続けることで、彼等はまた新しいものがうまれてきたときも、その気持ちを思い出しながら眠ることができるのだと言う。
「最近はひともものを長持ちさせているから、買おうとする人が少ないらしいんだ。ってことで、何か気に入るものを探してくれると嬉しいんだけど……」
 風に揺れる緑ののれん。結ばれる絆は、縁は。今宵ばかりは、なんとも期待できるものかもしれない。
 何せ、この店にならぶすべてのものに、付喪神が宿っているというのだから!

NMコメント

 染です、こんばんは。
 新しい出会いと、新しいお気に入りを探してみませんか?

●依頼内容
 緑の暖簾の店でものを買う。

 近くに緑の暖簾は此処しかありません。
 お気に入りのものを見つけてください。

●店
 何でもあります。
 雑貨、武器、その他色々。
 気になるものがあればプレイングに書いてください。

●特殊ルール
 一行目:買うもの
 特に指定がなければデザインや名前等はこちらで決めるつもりです(特殊化等に使えれば楽しいと思うので)

●世界観
 和風世界『濃々淡々』。

 色彩やかで、四季折々の自然や街並みの美しい世界。
 また、ヒトと妖の住まう和の世界でもあります。
 軍隊がこの世界の統制を行っており、悪しきものは退治したり、困りごとを解決するのもその軍隊のようです。
 中心にそびえる大きな桜の木がシンボルであり神様的存在です。
(大まかには、明治時代の日本を想定した世界となっています)

●絢(けん)
 華奢な男。飴屋の主人であり、濃々淡々生まれの境界案内人です。
 手押しの屋台を引いて飴を売り、日銭を稼いでいます。
 屋台には飴細工やら瓶詰めの丸い飴やらがあります。
 彼の正体は化け猫。温厚で聞き上手です。

 彼も何かを買うようですよ。

●サンプルプレイング
 おれは……そうだなあ。
 新しく、武器を買おうかな。刀とか。使えると、格好良いような気がしているんだ。

 以上となります。
 ご参加、お待ちしております。

  • <濃々淡々>一期一会の縁完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年05月05日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

リプレイ


 『特異運命座標』キルシェ=キルシュ(p3p009805)の探し物は鞄だった。
「お出かけした先で買った物を入れる、ちょっと大きめなのが欲しいの!
 あ、でもルシェでも持てる大きさのよ? お土産いっぱい詰めて、弟に持って行ってあげるの!
 だって、わたしはお姉さんだもん!」
 ふふん、と得意げに笑ってキルシェは店の中を探して回る。大きな鞄。ちょうどいい大きさのものはあるだろうか?
「わたし、ずっと深緑にいたからこんなふうに他の国でお買い物とか初めてなの! 外にはいろんなものがあるのね。あっ、これなぁに?」
 キルシェが手に取ったのは大きめの刀。なの。だが。
「お、重い……こんなの持って戦えるなんて凄いね……! あ、大きいお兄さんこっちのこれは何?」
「ん? これかい?」
「木片の塊みたいだけど……」
「ふふ、じゃあ動かしてみようか」
 絢は付喪神たちに確認して、それを手に取る。
「え? え? 動くの!? 開くの!? わぁ……! 中から髪飾りが出てきたー! 凄いね!!」
 きゃあきゃあと声を挙げるキルシェに微笑ましくなって見守る絢。キルシェはそうして、運命の品と巡り合う。
「あ、これ可愛い! 軽いし、物もいっぱい入りそう!
 リュックにも肩掛けにも出来るのね! うんうん、内ポケットもついてるし、これなら小さいもの入れやすいし、うっかり失くすこと少なくなりそう。ねぇねぇ! これどうかな!?」
「うん、いいんじゃないかな。もの、鞄の中で無くしたりしないようにね」
「な、失くすのは、たまーによ!?」
 ぱっと取り繕ったキルシェ。本当にそうだといいけれど、と絢はくすくす笑って。
「それにしても……この国の人も物を大事にするのね。ルシェのおうちも物を大事にする人多いから嬉しいわ!
 それに、ここにあるものには妖精さんが付いているでしょう? この鞄も、どんな子がおうちにしてるのか楽しみ!!」
 キルシェは鞄をぎゅっと抱きしめて、満面の笑みを浮かべて見せた。
「このリュックサックでどんな冒険をしにいこうかなあ!」

 『夢幻綴りのバックパック』
 汚れに強い真白い布を織り作られたリュックサック。軽くて丈夫。その上ポケットも沢山。七色のリボンをポイントにした、上品な一品。


「付喪神が宿る道具を取り扱う店か、そう聞くと恐れ多く感じなくもないが、付喪神が宿る程ならばその性能は折り紙付きであろう。
 付喪神が宿っている道具を手に入れる機会などそうあるものではないからな、幸いにも取り扱っている品は何でもありそうだ」
 『焔鎮めの金剛鬼』金枝 繁茂(p3p008917)はふむ、と頷き一瞥。なるほど、店内には本当にたくさんの品があるようだ。此れならばたったひとつのお気に入りをみつけることも容易いだろう。だが。
(逆にありすぎて何も選べない気が……するッ!!)
 まぁ、その通りである。

(まずは武器や防具等を見て行くか、ローレットの依頼では何かと戦う事が多いからな、ここで何かと色々見ていれば掘り出し物があるかもしれない)
 武器や防具が並んだ棚の方へと繁茂は歩み寄る。
「むむっ、これは……弓は矢により遠距離短距離のみならず火矢等様々な事が出来るが、俺が出来るか?」
「銃は構造が良くわからないから手はだせないなぁ」
「こっちは長柄物か、先端の刃も色々あるな、いやありすぎるな」
「こちらは青銅製のダガーか……戦闘用というより儀礼向けだな?」
「兜も種類があるが、角が引っかかりそう……」
「盾はなぁ、なんかこう、ちょっと違うんだよなぁ」
「あれはダメ、これはちょっと、それはどうだろう?うーむ……」
 繁茂が右往左往する。見て回るのは楽しいのだが、自信の戦闘スタイルや癖から考えると……良縁には恵まれなかったらしい。
 むむ、と唸る繁茂の後ろから現れたのは。
「君は何を買うか決まったかい?」
「……いや、まだ」
「あはは、だよねえ。ここに来るとおれも悩んじゃう。わかるよ」
「……いや、今決まった。絢、飴を売ってくれ」
「え、おれの?」
「嗚呼、絢のだ」

 結局何も買わず絢から飴を購入した繁茂は、それを口の中で転がす。
「言い訳ではないが、俺は何も買えなかったわけではない……何も買わないことを選んだのだ!!」
「あはは、そっか。うんうん、これもまた一期一会、だよ」
「いや、しかしアレは買った方が良かったかも……いや、あっちの方が……」
「……もう一回、店の中を見て来たら?」

『満月』
 バターの味が強めの丸い飴。繁茂の髪色に似ているから、と絢が手持ちの飴の中から渡したもの。甘みが強く、元気が出る。


 青い空に緑の暖簾が揺れる。その調和に目を奪われたなら、足を止めてしまうだろう。
「へぇ~~、ここが依頼のお店かぁ……」
 『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)は店内を一望し、瞬き二つ。
 混沌は主にファンタジー調な国家が多いが、この世界は随分と和風で古風だ。鼻を擽る香りですら和、というような感じがするような気がする。
「雰囲気からして古風だよね、そういや実家の近くにあった駄菓子屋さんがこんな感じだったな~」
 懐かしい思い出。元の世界の記憶が薄れないように、と思い返すことはあったけれど。駄菓子屋さん、今は潰れてなどいないだろうか?
「で、ここでなにか一つ買い物していけばいいんだってね? 買い物をしてくださいっていう依頼もへんてこだけど、品揃えもなかなかへんてこ……っていうか節操が無い感じ?」
 雑貨屋というか、デパートというか。本当になんでもあるのだ。此処には。
「百均から食料品を抜いて小物を詰め込んだらこんな感じかも? さぁて何にしよっかなぁ……」
 朋子は店内を見て回る。武器もへんてこなものがあったし、本や服、布から袋からよくわからない石まで。ただ、朋子はもうすでに運命の品を見つけてしまったようだ。
「……お、これとかいい感じじゃなーい? あたしおじいちゃんから聞いたことあるよ、鼈甲細工っていうんだよねこれ!」
 朋子が見つけたのは、鼈甲細工を用いて作られた櫛。黒字にサンタンカの柄が刻まれた、美しい模様だ。
「最近髪も大分伸びてきたし、切るかどうかはまだちょっと未定だけど、櫛でも欲しいなぁって思ってたところなんだよね!
 持ってみた感じなかなかしっくりくるし、見た目も渋くてお洒落だからこれにしよっと!」
 早速使ってみたいが、まだこれは商品なのである。朋子は会計まで走り、告げた。
「というわけで店員さーん、これください!」

 購入を終えた朋子の手の中には、真新しい鼈甲櫛。
 今日の風呂上りが楽しみだ。

 『紅鼈甲』
 サンタンカが持ち手を彩った黒地の鼈甲櫛。鮮やかな色は魔術によって刻まれており、守護の力を齎すとかなんとか。


(絢様が前に書かれていた、面白い店が並ぶ市場。その中の、お店。きっと、きっと、ここなのでしょう。どきどき、します。わくわく、もします。嗚呼、何を、買おうかしら!)
 わくわくと胸を弾ませたのは『うさぎのながみみ』ネーヴェ(p3p007199)。絢からの文に書かれていた店への案内。高鳴る胸を抑えて、店の暖簾をくぐる。
 何を買うかは決めていないから、ひとつひとつ丁寧に確認していこうと決めて。
「絢様も、何か、買われるのですか? もう、決まってらっしゃる?」
「うーん、ええと。洋語で、あくせさりい? と呼ばれるものを買おうかなと。でも服もいいよね。って感じで、悩んでるところ」
「ふふ、そう、なのですね。もうお持ちの鋏と、同じくらい大切にされる子は、どの子なのかしら。どの子でもきっと、いいえ、必ず。絢様の元にあれば幸せですね」
「はは、そうかな。ありがとう、ネーヴェ」
 それにしても、と。ぐるり、店内を見渡して。
「この店のもの全てに、神様がついている。すごいです、ね。神様……神。かみ。……髪?」
 視界の隅に揺れる、自分の髪に視線を移す。白雪の髪。細く煌めく柔らかな、其れ。
(言の葉のゆらめきが似ているから、関わりのあるものなら良い、かも。髪に関係するなら、簪。結い紐。櫛も良いでしょう)
 髪にかかわるものを、見て、迷って。そうやってたどり着くのは、ひとつの櫛。
 煌びやかではなく、それでも目を惹きつけてやまない。小さな、落ち着いた美しさを持つ櫛。
 そっと近づいたなら。――こんにちは。
「わたくしの髪を、毎日、梳いて良いでしょうか」
(神様は眠ってしまって、いるけれど。それでも、)
 櫛を手に取って。ぎゅっと、優しく、抱きしめる。
「これから、よろしくお願いします、ね」

 『はなちるさと』
 半透明の白に金の煌めく、上品な櫛。桜の掘りが入れられている。其処に広がるは花散里。どれほど美しくとも。いつかは、花、散るさ、と。

成否

成功

状態異常

なし

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