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シナリオ詳細

<Apricot>アプリコットと精霊の森

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 レブオルーンにディレルクッド、ユグリーカンが咲いたなら。春のお薬を作ることが出来るのです。
 無数の羊皮紙に花弁ぺたり、ワインレッドのインクが踊った、手作りのレシピブックを開いてみませう。嗚呼、ほら。今日もお客さんが来る前に、お薬を用意しておかなくては。
 小瓶一杯に詰めたドライフラワー。日光をたっぷり吸わせておいたものがたくさん。月光に晒した水に、時間をかけて漬け込んだ離弁花と其の萼だって用意して。
 そりゃあ勿論、用意も準備も大変だけれど。そんなちっぽけかつ些細な事を気にしているよりも、お客さんが喜んでくれる方が、ぼくは好き!
「わっ、っとと。ありがと、クロ!」
「全く。僕のご主人様はあわてんぼうなんだから」
「えっへへ、だってもうすぐ開店準備じゃないか! 急がなくっちゃ、皆がお薬を買えないだろう?」
「でも、薬屋が店じまいをするくらいに、皆が健やかになるのが君の夢だろう? アプリコット」
「ふふん、其れはそうですとも! でもでも、昨日なんて、ひぃふぅみぃ……なな! 七人も御客さんが来たんだから、こりゃあ屹度今日も其の位は『お安い御用』ってくらいに来ちゃうんじゃあないかな?!」
「嗚呼もう、全く。とんだお転婆魔女だ!」
「今はね! いつかは屹度、みんなみたいな立派な魔法使いになって見せるのさ!」
 さらさら金髪ストレート。スカイブルーンの瞳は常に蒼空眺め。歌う言葉は軽やかに。それが見習い魔女のアプリコット。誰かの為に薬草をこねて混ぜて、そうして薬屋アプリコットを営む、13歳の店主だ。

 ――けれども嗚呼、『何か』が足りない!


「やぁ。僕はブルーベリー。アプリコットの使い魔で、君たちに助けを求める『境界案内人』さ」
 黒猫は笑みを浮かべ。尻尾をゆーらゆら、其のつやつやの毛並みを輝かせた。
「猫が喋るのは不思議かい? ……見慣れてる? あっそう! それじゃあ、今日の依頼の説明に入ろうかな」
 どこかつまらなさそうな顔をして、ブルーベリーは杏子色の表紙を前足で捲って示した。
「此のプカルラーの花を積んできて欲しいんだよね。アプリコットは忙しいし、先ず僕達を頼ろうとしないんだ。だから君達に頼んでるってわけ。わかった?」
 愛想のない様子でにこりと笑みを浮かべるように首を傾げたブルーベリーは、てくてくと歩き出した。
「行かないの、特異運命座標(ヒーロー)候補さん?」
 変に気分を逆撫でしてくるブルーベリーは、ひねくれたように『置いていくよ』とだけ残して、消えた。

NMコメント

 眠れなくて気が付いたら書いていました(執筆時刻午前6時)
 染です。ファンタジーな世界はお好きですか?

●依頼内容
 アプリコットに薬の材料を届ける。

 アプリコットに頼ることの大切さを教えてあげましょう。

●世界観
 一般的なファンタジー世界の認識で構いません。

●ロケーション
 森の中。其の森は常闇の森と呼ばれ、一日中夜です。
 精霊達が住む森でもあり、声を掛けたら薬草の在り処を教えてくれるかもしれません。
(薬草の生えている場所の指定も可能です)

●NPC
・アプリコット
 13歳、元気いっぱいの女の子。
 最近の悩みはブルーベリーが意地悪なこと。
 魔法使いの一族に生まれ、人々に認められた一人前の魔法使いになるまでは家に帰れないという掟を守り、森の奥にある薬屋を営んでいます。
 親元を離れ何でも自分がしなくてはいけないことから、『頼る』ことを苦手としています。

 ・ブルーベリー
 ある日アプリコットの元に現れた喋る黒猫。出会いは語りません。
 小憎たらしくひねくれ屋で卑怯者、愛想も無ければ愛嬌もない。冷笑家。
 アプリコットの使い魔として振る舞い、サポートしています。

●その他
 プレイング一行目に好きな色を書いて頂ければ幸いです。

●サンプルプレイング
 ピンク

 アプリコットさん、こんにちは。お薬が欲しいんですけど……あ、でも自分で用意したほうがいいのかな。
 どんなものでも取ってきますから、教えてください。
 こう見えてもわたし、一人前の冒険者なんですよ!

  • <Apricot>アプリコットと精霊の森完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年05月03日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
希う魔道士
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
フロントライン・エレガンス
回言 世界(p3p007315)
貧乏籤
橋場・ステラ(p3p008617)
斬城剣

リプレイ


(猫ー!…って、ブルーベリーさんをなでなでしたいなぁ。猫だし)
 『希う魔道士』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)はアプリコットよりもブルーベリーに夢中の様子。
(でも、今回はアプリコットさんの手助けと頼ることの大切さを教えるのが目的だからね)
 ふんす、と意気込み握りこぶしを手に作り。ヨゾラは集中力を其方に割くことを決意して。えいえいおー、と拳を空へ突き上げた。

 カランカラン、とベルの音が鳴る。森の奥にある小屋が、その店のようだ。まめに手入れされているのだろう、古びてはいるものの、清潔感は失っていない。流石は薬屋といったところか。
「こんにちはー、アプリコットさん! 僕はヨゾラ。猫好きな冒険者だよ!
 これからの冒険に備えて、傷や毒に効くような薬を補充できればと思って来たんだ」
「わぁっ、お客さんだ! でも、あいにく、今は少し手がいっぱいなんだ。お薬の材料も取って来なくっちゃあいけないし、少し待っていてくれる? ほんの少しだけ! ね!」
 嗚呼そうだ、といわれて思い出したヨゾラ。薬の調合から準備、それに採取までを一人で行うのだという。それはあまりにも身体が足りないのではないか。
「採取と調合の両方やってたら時間かかるんじゃないかな。他にもお客さんが来るならなおの事!
 僕も採取してくるから、採取が必要な材料を教えてもらえると嬉しいな」
 小さな身体で一生懸命なのは素晴らしいことだ。
 だが、それでは二人のうちのどちらかがピンチの時、うまくいかなくなってしまう。
 ヨゾラの懸念は尤もだった。
 ぽりぽりと頬を搔きながら、アプリコットは困ったように微笑んだ。
「依頼という形でもいいし、応援要請でもいい。たまには信頼できる誰かを頼りなよ。
 1人で色々できるのもすごいけど…頼る事も活用できる人は、もっとすごいと思うんだ」
 念を押すように『ね?』とヨゾラが首を傾ければ、こくん、と頷いたアプリコット。どうやら聞き分けは良いようだ。
 ヨゾラはヨルクサを探しに、小屋の外へと踏み出した。 

(いつでも夜の森か…いつでも夜空が見れるのも良いよね)

 夜空は好きだ。僕が、新天地に来た時に自分の名前にした位に好き!
 さぁ、ヨルクサを探さなくては。
 精霊の声を聴き、祝福をしるべにヨルクサを探す。
 どうかあの子の力になれますように。そう願って。
「君って案外頼れるんだね」
「わぁ! もう。全く、失礼な!」


「…助けを求めてるにしては随分とふてぶてしい黒猫さんね」
「おや、そんな風に見えるかい? それはこまった!」
 『血華可憐』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)は困った風には見えないブルーベリーにため息を吐きながら、ドアを開けた。こんな猫だから心底困っているのだろうとでも言いたげに。

「わ、わ。ええ、と、それじゃあ、ヨバナを積んできてくれるかい?」
「採取するのはその花だけで良いの? 他に日持ちする材料があればついでに採るけれど」
「ええ、と、うーんと。じゃあ、問題なければブルーベリーも!」
「? ええ、わかったわ」
 こてんと首を傾げたアンナの背を追う様に、ブルーベリーはとてとてと歩く。毛並みを堪能するついでに抱き上げて、其の儘進んでいくことにした。
「ブルーベリーにブルーベリーを取ってこいだなんて、傑作だね!」
「それ、自虐?」
「まっさかぁ」
「そんなことより、カンテラを持って灯りを確保してもらえる?」
「猫使いが荒いんじゃないかい?」
「あら、そうかしら」
 ブルーベリーとの対話を交えながら、アンナは夜の森をためらうことなく進んでいく。
 ブルーベリー曰く、ヨバナと言うのは漆黒の花で、銀を溶かした水をかけない限りつぼみが花開くことはないのだという。
「こんな暗い森で材料の採取、調合、朝早くからお店の準備……睡眠時間を削っているのが目に見えるようだわ」
「朝早くから夜遅くまで頑張ってるからね。すごいでしょ?」
「そうかもね。でも、ストイックが美徳なのも身体を壊さない範囲までよね」
 煌めく銀の雫を見つけたアンナは、そっとヨバナを手折った。

 無事にヨバナを届けたアンナは、アプリコットをそっと手招いた。
「貴女が頼ってくれないって拗ねた黒猫さんから依頼を受けただけだから、気にしなくて良いわ」
 遠ざけたブルーベリーは客に愛想を振りまいているが、もしかしたら聞こえているのかもしれない。眼光が鋭い。
「一人前の魔女は使い魔を使い熟してこそ、よ。どんどん頼れば良いわ。文句なんてどうせ本心じゃないのだから」
「そ、そうなのかな!? それならどんどん頼んじゃおうかな……」
「ふふ、そうなさいな」
 くすくすと微笑んだアンナにアプリコットはこくこくと頷いた。
(…次回文句を言われない事を祈りましょう)
 苦笑しながら、アンナはブルーベリーの背中を眺めた。
 彼の背からそこはかとない怒りが感じられた、気がする。


「自分の手に負えないことは誰かに丸投げ……じゃなくて頼るのが楽…ン"ン"ッ、いや必要だったりするものだ。どうにかしてそれを理解してもらわないとな」
「はは、正直だねえ」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)に向かってブルーベリーはけらけらと笑った。
「さてまずは薬草の採取。これに関しては特筆すべきこともないはずだ。
 強いて言うならば人任せにして俺は蝶とでも戯れて……」
「依頼なんだけどなあ?」
「ちゃんとやれって? わかりましたよ」
 精霊の疎通なら得意分野である。手を振り声をかければ精霊達も事情を把握したのか頷いて。
 いつも森で頑張るアプリコットの為ならば、と道を示してくれた。
 エッグリアの花は動物たちが愛する花なのだという。たくさんの花弁がなるのが特徴なのだとか。
 精霊たちをしるべに進めば、一面に広がる黄色い花。どれくらいあればいいのかを聞いてこなかったのは良くなかった。袋一杯にしておけば足りるだろうか?
「そういえば依頼内容なんだが」
「なんだい?」
「これと……あとは頼る事の大切さを教えるだっけか」
「ま、そうなるねえ」
 ブルーベリーは興味を示さない。
(自分の力で何でもこなさなければいけないという状況が、頼るという行為を苦手にしたのならば逆に思いきり真逆の状況を用意してみればいいのでは?
 いや待て、つまりそれってただのヒモじゃん。それはそれでどうかと思うな)
 何と言うべきかはまだわからない。それでも、子供が大人を頼れる環境はあるべきだ。世界はそれを間違いとはしていないのだから。

「わあ、たくさんだ! ありがとう!」
「どういたしまして」
 ご機嫌なアプリコットを手招いて。世界は少々気合の入った『おしゃべり』をすることにした。
「いいか? そもそも厳密に言えば他人を頼らない人間なんてそもそもいないんだ。全てを一人で熟すなら食事だって材料を自分で育てたり獲らないといけないし、家も自分で建てなきゃならん。
 結局誰かを頼って生きているのなら自分の事の一つや二つ、誰かに任せても今更大して変わらないだろ」
「そ、そうだね」
「だからもう少し楽できるように生きていこうぜ。それで余裕が出来たんならその分誰かの役に立てばいい、それだけの事さ」
「……! うん!」
 アプリコットはもうじゅうぶん、人の役に立っている。それはとても尊いと思う。
 そんな彼女の、年相応の幼い笑顔に少しだけ安堵した世界だった。


「さて、森の奥に住む魔法使いさん、ですか。
 魔法使いの薬屋さん、まるで童話か絵本に出てきそうですね?」
「まぁここ、物語の中だしねえ」
 ひょうひょうと語るブルーベリーに頷いたのは『ジョーンシトロンの一閃』橋場・ステラ(p3p008617)。礼儀正しくアプリコットに挨拶をしてから店を出た。

「花の咲いてる森は一日中夜なのでしたか……」
「そうだね。こういう森は初めて?」
「はい、恐らくは。不思議なところですね」
「ま、こんな森でもソラダケは生えてるんだよね」
「空の色をうつしたきのこ、でしたっけ」
「そ、花丸!」
 ブルーベリーはご機嫌にしっぽを揺らして、ステラに頷いて。
 大きな木の根に群れのように菌を植えてあるきのこを少しずつ摘み取って、ステラは森から帰っていった。

「差し支えなければなのですが……薬作りを見せて頂いたり出来れば、と思って」
「構わないけれど……面白くはないよ?」
「……いえ、流石に大鍋を笑いながらかき混ぜてるとは思ってませんよ??
 魔女の作る薬に単純に興味がわきまして。代わりにお掃除他、色々お手伝いさせて頂きますので!」
「う、うぐ、魅力的なさーびすだ!」
「特に力仕事があればお任せ、です」
「よし、こっちで作るよ!」
「これだからアプリコットは……」

 石臼に薬さじ、天秤と、彼女が使う道具は本格的なものばかりだった。勿論鍋で煮込んだりもするようで鍋もあったけれど、幾多の薬草や液体で埋め尽くされた部屋の中では、鍋など只の飾りに思える程に『ありきたり』だった。
「アプリコットさんは一人前になる修行中、なのでしょうか」
「うん? そうだよ!」
「……親元を離れての生活は大変ですよね。でも、一人で出来る事には限りがあります。
 腕は二本しかない、みたいな物理的な所から、寿命とか時間的な所まで色々」
 ステラはぴん、と人差し指を立てた。
「出来ない事や、手が回らない事等を、誰かにお願いするのは決して悪いことではないと思います。
 場合によっては、一人で抱え込んで、それで体調を崩したり潰れられてしまえば迷惑になる事もあるかもしれません」
 こくり、と頷くアプリコット。
「誰かに頼る、頼れるというのも一人前の条件……かもしれません。
 まあ、拙は色んな方に頼り過ぎていますが……」
「それもまた、一人前の条件ってことだ!」
 頷いたアプリコットの顔にもう迷いの色は見えない。

 彼女が一人前になる日は、まだまだ先のこと。

成否

成功

状態異常

なし

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