PandoraPartyProject

シナリオ詳細

【無題】ただ、揺られて……

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●無題
 ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトンーー。
 『それ』に揺られて進んでいく。
 路は続く、何処までも。
 何処に行くのかわからない。
 何処までいけるかもわからない。
 そもそも何処にも行けないのもしれない。
 駅に止まり、発車する。
 ただただ揺られて行く。
 いつまでも。何処までも。

●書斎にて
「やあ、イレギュラーズの諸君。よく来てくれたね」
 お馴染みの挨拶と共に出迎えてくれたのは境界案内人のミヤコだ。
「今回はいつもと違うライブノベルを紹介するよ」
 いつものライブノベル。それがたとえば怪異が蔓延る世界。それがたとえば滅びを迎えた世界。
 ああ、たしかミヤコの生まれ故郷の世界にも足を運んだ事もあったか。
 今回はなんなのか。
「これなんだけどね?表題がないんだ」
ーー表題が、ない?
 机の上に置かれたライブノベル。確かに題名が書かれていない。
「うん。理由はわからないけど、何もないからじゃないかな」
ーー??
 頭の上に疑問符を並べるイレギュラーズを見てくすりと笑うミヤコ。
「説明しよう。ないと言っても本当に何もないわけじゃないんだ」
 海の上を走る電車があるのだ。ただそれだけ。
ーーなぜそんなものを?
「いい質問だ。問題はそこなんだよ」
 夕暮れの中。海の上を走る電車。そしてその窓から見える風景。
 そこには乗客の過去、あるいは未来が走馬灯か何かのように映し出されるという。
 それは本人が忘れてしまったものかもしれない。あるいは思い出したくもないものかもしれない。
 それは本人が手に入れたい願望かもしれない。あるいは決して手に入れる事の出来ない未来かもしれない。
 それはただただ本人の過去や未来を映し出す。望む望まないに関係なく。
 そしてそれに干渉する事は出来ない。なぜならそれは幻ーー泡沫の夢なのだから。
 なぜそんな本を作ったのか。その真意は不明だそうだ。
「さあ、諸君。乗車券は用意した。君達はどんな夢を見たいのかな?」

NMコメント

恐らく今回限りのシナリオです。
またやりたいという声を沢山いただければやるかもしれません。

●無題
夕暮れの中、海の上をひたすら電車が走っている世界です。
あなたが、あなた達が見たい景色を
もしくは見たくない景色を教えてください。
それが見れます。
そしてこの電車にのめり込むのはおやめください。
戻ってこれなくなる可能性があります。

この本には表題がありません。
素敵な表題の案があれば教えてくださいませ。
ミヤコが装丁してくれるでしょう。

●目標
この電車に乗って幻影を見る

●タグ
複数人で参加される場合はタグをお使いください。
使われていない場合、同じ景色を見る事は出来ません。
タグを使われている場合、同じモノを一緒に見れます。

●補足
この幻影は第三者に邪魔される事はありません。そしてこの幻影は他人が覗き見る事も出来ません。
自分の、自分達だけの世界にダイブするからです。それが現実であるかのように。

イレギュラーズ以外の乗客?いるにはいます。
が、彼等がなんなのかは不明です。
ちなみに全身影が厚みを持ったかのように黒いです。服すらも。

ああ、幻影を見たあとはしばらく窓の外の本物の景色を眺める事も出来ます。
無論、ミヤコの待つ書斎に戻ることだって。

  • 【無題】ただ、揺られて……完了
  • NM名アルク
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月24日 21時00分
  • 章数1章
  • 総採用数3人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家

 海の上を走る列車。章殿ーー厳密には章姫と言う名らしい、『零れぬ希望』黒影 鬼灯(p3p007949)の妻である特殊な少女人形だーーは興味津々のようだ。自我があり自分で動けるとは凄い技術である。
 それはともかく。この列車は幻影を見せるという。自分が見る幻影とはどのようなものか。
 窓の外の夕焼けの景色がぐにゃり、と変わり再び形作られていく。

 赤子が優しげな老人にあやされている。どうやら赤子の名は鬼灯、というらしい。何故か口元に布をつけられているのが気になりはするが……。そしてどうもこの赤子には両親がいないらしい。
 自分には幼少時の記憶がない。気が付いたら黒影鬼灯という人物になっていた。故に。これが自分の過去だと言われても実感などない。
 宛らそれは物語の登場人物のように。
 そこに在る事を望まれた。そこに『自分』などいない。
 そしてあの時。誰かが捨てた体ならば。名前ならば貰っても良いだろうか。
 少しだけ蘇る記憶。そんな事を確か思ったとぼんやり思い出す。
 そして忍集団『暦』を作り、仲間を増やした。章殿という運命的な出会いも果たした。
 その後、混沌の世界へ喚ばれた。

 自分の過去など、顧みる事はなかったが悪くはない。そう、独りごちる鬼灯であった。

成否

成功


第1章 第2節

シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃

 外はひたすら夕暮れの海。すごく幻想的な景色だ。
ガタンゴトン、ガタンゴトンーー。
 『蒼銀一閃』シャルレィス・スクァリオは揺れる。揺られる。
 他にも乗客はいるが、きっと返事はしないだろう。
 だが、それでも。
「こんばんは?」
ーーきみはどこからきてどこへ行くの?

 きらめく水晶の洞窟。今より少し大人になった自分。奥に眠るは莫大な財宝と強大なドラゴン。
 冒険に冒険を重ね。そして大冒険者になった自分は、そのドラゴンと相対している。
 吠えるドラゴン。構えるシャルレィス。一進一退の攻防。その果てに自分はこのドラゴンを仕留めるのだ。
 手に入れるべき財宝。名声だって手に入るはずだ。人々からの憧れと羨望の眼差し。
 だけどその笑顔は。剣を天高く勢いよく築き上げたその時の表情は。
 どこか曇ってしまっている。

 これが過去であるはずかない。ならばきっとこれは未来だ。数多ある未来のうちの一つ。
 これは多分自分の願望の姿だ。
 それが頭のどこかでわかってしまっていたから。
 だからあの表情は曇ってしまっていたのだ。
 あの水晶の洞窟での冒険はきっと出来ないのかもしれない。
 だけど。だけど、今の自分は。混沌世界にいる。なんなら竜種と呼ばれるドラゴンだっているのだ。
 それにドラゴンに限らず世界は冒険と言う名の神秘に溢れている。目指すは大冒険者。
 それを現実にするべくシャルレィスは新たな一歩を踏み出すーー!

成否

成功


第1章 第3節

アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手

 水上列車という事でテンションが高い『希望の紡ぎ手』アリア・テリア。
「綺麗だなあ、凄いなあ!」
 無邪気にはしゃぐその姿は微笑ましい。

 窓の外。遠くに見えるのは港だ。船も多く、遠くからでも人々が多いのが見て取れる。
 風船は浮かび、人は楽しそうに踊る。
 お祭りだろうか。それとも豊漁の祈願だろうか。
 その楽しそうな空気にアリアの心も踊る。
 これがお祭りや祈願の類だとしても音楽は欠かせない。あの雰囲気だとどんな音楽がいいだろうか。
 ラッパを鳴らして陽気なテンポを刻むのがいいだろうか。
 座席に膝をついているその脚がリズムを刻む。
「えっと、最近貰った褒賞で……ラッパに変えて、ラテンっぽいリズムとビートで……。
ああ、他にも楽器が欲しいな!セッションしたいな!」
 踊る、踊る。人々は踊る。刻む、刻む。アリアの心が刻む。はやる気持ちと共に。陽気に、楽しく。
 そしてふと気づく。
「あ、そっかこの街、前に行った!」
 演奏したらおひねり代わりに美味しいお魚を沢山貰ったのだ。
「この列車から降りたら、また遊びに行こうっと!」

成否

成功


第1章 第4節

 ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトンーー。
 揺れる、揺れる。電車は揺れる。
 人を乗せて揺れる。
 目的地などない。目指すべき場所もない。
 そして目指すべき場所を目指して。
 揺れる、揺れる。人は揺れる。過去も未来も。想いも背負い、そして揺れる。ひとつ、またひとつと背負い。人々は何処へ行く。果てのない旅路の向こうに何を見る。

 ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトンーー。

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