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シナリオ詳細

<フィンブルの春>その領主、クイックシルバーにつき

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 今、この時。幻想では様々な策謀の影が蠢いていた。
 奴隷商人と悪徳貴族が手を結び、大規模な奴隷市を開催したこと。
 王権を示すレガリアが何者かに持ち去られたこと。
 そして突如、幻想各地で出没した魔物とその被害である。
 特に暴れる魔物たちは幻想のそこかしこで相次いで見られたが、これは驚くことにほとんどの地域がイレギュラーズの領地であったのだ。
 何者かが背後で手を引いているようにも思えるが――その正体はまだ、掴めない。

 不安の影は落ちているが、幻想貴族たちにとって頼るべきはイレギュラーズだ。特に勇者王アイオンの直系子孫にして現幻想国王であるフォルデルマン三世は、彼らの協力を合うぐ為に『勇者選挙(ブレイブメダリオン・ランキング)』と呼ばれるものを開始した。
 勇者選挙はもちろん、ここで選ばれた者こそが勇者となる。その選挙方法はと言えば、大量発生した魔物討伐などで功績を上げた者に対しブレイブメダリオンというアイテムを配布する事。王の唐突な思い付きによって、幻想には『勇者ブーム』が到来した。
 大本命はこれまで数々の功績を混沌中で残してきたイレギュラーズたち。しかしその背を追って、並び立ちたいと努力する勇者候補たちも存在する。さらに悪徳貴族などに支援を受けた偽勇者もまた然り。最も、偽勇者の中には騙されているような輩もいるようだが――ともあれ、この全ての中で真なる勇者が自身らであることを示さなくてはならない。

 実は、この勇者選挙はローレット内のみで行われるハズであった。しかし勇者という立場に憧れ、志し、主張した者が独自に勇者パーティを組んで参入し始めたことは、フォルデルマン三世を大いに喜ばせたのである。
 全てが全てとはいかないが、有力な貴族が擁立した勇者候補生ならば参入すると認めた幻想王。彼らとイレギュラーズたちは、国内で発生するモンスターや奴隷問題を解決し、報酬としてメダルを受け取ることでランキング上位へ食い込まんとしている。
 さあ、メダリオン争奪戦の始まりだ。



 ――とはいえ、目下の問題が解決したわけではない。其れ即ち、イレギュラーズの領地を中心に狙い来るモンスターたちである。
 これは古廟スラン・ロウと神翼庭園ウィツィロのそれぞれから出現した古代獣(モンスター)であり、幻想王国にとっては降りかかる火の粉である。加えて、悪徳貴族によるドサクサ紛れの悪行や奴隷商人による暗躍も見え隠れする状態だ。
 ほら、今日もまた。

「魔物だああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ……うるさい。
 そう思った者は至って正常である。そう、『彼女』はうるさいのだ。
「み、耳が……」
「ねえ聞いて! 魔物だよ!! 魔物が出たんだよ!!!!ミ☆」
 両耳を押さえてぷるぷる震える『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)に相変わらずの声量で訴えかける『彼女』は、足がない。足がないっていうか、途中で消えている。
 彼女、ハッピー・クラッカー(p3p006706)は、クイックシルバーである。ただの幽霊ではない。彼女は幽霊であるが、れっきとしたイレギュラーズでもあった。
「ハッピーさん、魔物って……領地ですか?」
「そう!! だから助けて!!! 皆も頑張ってくれるみたいだけどすっごくすっごく魔物が多いんだよ!!!!!」
 曰く。魔物というのは例の、スラン・ロウとウィツィロから発生したものらしい。ハッピーの領地に多数いる兵たちが前線へ出ようとしているが、彼らはどれだけ数が居ようと一般人だ。彼らだけでまともにぶつかりあったならば良くて相打ち、悪くて無駄死にである。
「なるほど。皆さんには魔物の撃破をしてもらいながら、ある程度の兵力をまとめ上げて指揮をしてもらう必要がありそうなのです」
 耳栓を装着したユリーカが羊皮紙とペンを取り出す。これでもハッピーの声は聞こえるくらい騒音なので問題ない。早急に依頼書を仕上げて、応援を呼ばなくては!

GMコメント

●ブレイブメダリオン
 このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
 ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
 それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
 このメダルはPC間で譲渡可能です。

●成功条件
 魔物の撃破

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明な点もあります。

●エネミー
 ハルピュイア×50
 手足がそれぞれ鳥の翼、足になっているヒト型モンスターです。飛行を可能とします。
 見かけは成人の男女ですが、彼らはれっきとした古代獣です。多少は喋ることのできる個体がいるようですが、意思疎通できるかは不確定です。

 戦闘方法などについては以下のように分類されます。詳細な頭数は定かでありません。

・タンカー
 非常に耐久力があるハルピュイアです。動きは他に比べて多少遅い時もありますが、敵を押し留め、また仲間を庇うことができます。
 近距離までを攻撃範囲としています。

・アタッカー
 攻撃力の高いハルピュイアです。鋭い眼力で的確に獲物を見定め襲いかかってきます。
 彼らの攻撃には出血系・崩れ系BSが含まれます。
 中距離までを攻撃範囲としています。

・ヒーラー
 神秘的性の高いハルピュイアです。仲間や自身らを回復します。すばしっこいので捉えるのは一苦労でしょう。
 手数には優れませんが、回復力は非常に強力です。
 中距離までを攻撃範囲としています。

・キャスター
 魔術に適性のあるハルピュイアです。高火力な範囲魔術と、AP回復・Mアタックの単体攻撃を主とします。
 防御面がいささか心許ないですが、彼らへ近づくには多大な危険を伴うでしょう。
 オールレンジの攻撃が可能です。

●友軍
 ハッピー・クラッカー領私兵×40
 領地に居る兵力です。自分たちの領地を守らんと助力します。
 武器はさまざまであり、特殊なものでなければ用意があるでしょう。つまり『遠距離攻撃のできる兵士を集める』などということも可能です。
 力量としてはそこそこ。イレギュラーズの足元には及びませんが、固まって動けばそれなりの力となるでしょう。
 しかし放置すると自軍の統率が取れずに戦線崩壊してしまうため、各イレギュラーズで小隊に分けての運用を推奨します。

●フィールド
 ハッピーさんの領地に存在する街道筋。見晴らしは良いです。敵の動きが良く見えますが、敵からも皆さんの動きが良く見えるでしょう。
 もう街を目前としています。

●ご挨拶
 愁と申します。
 ハッピーさんの領地にて、魔物群とぶつかり合いです。兵力をうまく使いましょう。
 それではどうぞ、よろしくお願い致します。

  • <フィンブルの春>その領主、クイックシルバーにつき完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年04月28日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)
書の静寂
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人
黒水・奈々美(p3p009198)
パープルハート

リプレイ


「わびゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ああああああぁぁぁぁぁぅぅぅぅぁあぅぇあーーーー!!!!!!」

「静かだった領土に!!!!!! 突然!!!!!! 何か分かんない群れがきたよ!!!!!!」

「皆!!!!! 静かだった日々を!!!!!! 取り戻せ!!!!!!!

 ウオオオォォォォォ!!!!!!

 ハッピー・クラッカー領。その領主たる『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)は二つ名の通りクイックシルバー、女性のポルターガイストである。そして超うるさい。静かな日々の基準を教えて。
 そんな彼女に慣れている者も慣れていない者もこの場にはさまざまである。『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)は元気いっぱいなハッピーの姿にくすりと笑っているし、領民達も彼女に乗って雄叫びを上げたりなんかしているが、『パープルハート』黒水・奈々美(p3p009198)は可哀想なまでに顔を引きつらせていた。
「み、耳がキーンってするわ……」
 耳も当然びりびりしているが、顔を引きつらせている理由はそれだけでない。ハッピーは明るく、元気で、ポジティブだ。奈々美とはまるで正反対なその姿は、もしかしなくてもあの『陽キャ』と呼ばれるタイプなのでは。
 やばい、眩しくて彼女を直視できない。奈々美は「領地がピンチだったわね……」と話を逸らそうとしながら視線も一緒に逸らす。
「ええ。ここだけではありませんが……こんなに大規模な侵攻だなんて」
 ドラマは領地の彼方を見やる。少しずつ見えてきている黒い影は、ハッピーの領地へ攻め入ってきている魔物ハルピュイアだ。
(早急に大本をどうにかしなくては……)
 そう考えるドラマへハッピーは徐に大声を上げる。
「あ!!!!!! 私の分の兵士は皆に任せるからね!!!!! よろしくね!!!!!!」
「なら治療要員か、後衛攻撃要員でしょうか」
「それならば、私の配下に加えてもよいでせうか?」
 今回の戦力配分を考えながら呟いたドラマに『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)が挙手する。他に希望がないのならばそれでも良いだろう。
「あ、僕に配分される兵士も好きにしていいよ」
 そう告げたのは『蔵人』玄緯・玄丁(p3p008717)だ。そもそも人を従えるなんてしたことがないし、酒も飲めない子供に指示を受けるなんて兵士も内心我慢ならないだろう。
 実際は子供であれど『イレギュラーズ』という存在だからそんなことを思われるはずもないだろうが――領主のハッピーが1人で戦うのだから自分も、という気持ちもあったりする。
 こうして計10人の兵士がフリーになったため、一部はヘイゼル班へ。残りはドラマが考え付いたような班へと編成されることtなる。
「それにしても、ふふ、いっぱいいるねぇ。手羽先がいっぱいできるねぇ?」
 楽し気な玄丁の声。しかし純粋に喜べるかと言うと――飛行能力を持つ先頭集団は厄介だ、という考えの方が先に来る。
(兵の統率などは得意ではありませんが、やるだけやってみませう)
 不得手だからやらない、と言っている猶予はなさそうだ。それはウルリカ(p3p007777)もまた同じである。やれるだけやるしかないのだ。
 故に、とウルリカは振り返り、自らの元へ着く兵士たちへと言葉をかける。
「あなたたちに期待することは3つ。敵が来たら撃つ。撃ったら下がり様子を見る。そして様子を見ながら近づく。以上です」
 人によっては決死の覚悟で前線へ赴けと言うだろう。人によっては部下の命を何とも思わぬ者もいるだろう。けれど―――ここにいる誰1人としてそんなことは思わない。
「高度すぎる戦術は場を混乱させるだけ。それに、命あっての討伐ですよ」
「「はい!!!!!!!」」
 返事の元気が良いのはきっと、領主譲りだろう。
「だいぶ見えてきた。凄い数……」
 『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)がハルピュイアたちの姿にごくりと唾を呑み込む。それも烏合の衆ではなく、役割を分けて攻めかかってくる敵である。
(だけど、こっちにも武器を取って立ち上がった人たちがいるんだ)
 負けられない。絶対に!
 そろそろかと『書の静寂』ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)も自らの引きつれる兵へ視線を向ける。そしてそれから、ハッピーへ視線を移して。
「ハッピー君。……敵と戦う前に耳がおかしくなりそうなんだが」
「はっ!!!!!!」
 むご、と両手を口元にあてるハッピー。叫びたくてたまらないその想いは、あちらのハルピュイアたちに向けて貰おう。




「打合せ通りに行きますよ」
「「はい!!!」」
 ウルリカ班が真っ先に動き出す。安全第一の狙撃銃部隊だ。彼らが進む横合いをハッピーが全力でダッシュで――足見えないんだけどそんな感じで――向かっていく。
「まずはヒーラーから殺せってよく言うよね!! 言うのは良いけどね!!!!!! それが出来たら苦労はせんわな!!!!!! だから――そっちからこっち来て!!!!!!!!」
 ハッピーは先ほど押さえた声を張り上げる。オンステージと言わんばかりの音の独壇場に、少しずつ敵がハッピーへと寄り始めた。
 しかしあくまで徐々に、の話。他のハルピュイアはフリーであり、他にも近づいてくる人間たち、イレギュラーズたちを敵視する。ウルリカ班の元へも範囲魔術が撃ち込まれた。
「っ……キャスター接近、行きます」
 未だ遠くではあるが、あちらの射程に入る距離。そこからウルリカは機動の慣性が刃となるほどに急接近する。
「言葉がわかるかは知りませんが、私を放っておくと厄介ですよ?」
 突然背後に現れたウルリカへ動揺するハルピュイア。彼女の方を向いて魔力を練り始めた敵にウルリカ班の狙撃が撃ち込まれた。
 一方のヘイゼルは少しばかり増えた人員で以て前線を構築する。一体となって行軍した彼らはタンカーやアタッカーらしき集団とぶつかり合った。
「我々が防衛線。粘り強く参りませう」
「領地はやらせねえ!!」
「ここは進ませないぞ!」
 自らの領地、生活区を護るとあって士気の高い兵士たち。しかしこれだけ多い魔物相手では圧倒的に不利である。ヘイゼルはその戦況を見ながら手厚く回復を重ねていく。
「最後には治療をして帰りませう。明日を見る為に」
 決して無傷とはいかないだろう。けれども、それを支えることこそヘイゼルの役目である。
 ドラマもハッピー同様に超遠距離からハルピュイアを釣りだしていく。本に巣食った不可視の悪魔が放った情動に、ふらりと前線へ出てきたハルピュイアを叩きのめすのは兵士たちだ。
「乱戦になるかもしれません、周りをよく見てください」
 敵を引き付けたドラマは兵士たちへそう忠告する。まだ乱戦になっていない、今だからこそ言えること。
 その後方にいたルネは、自持ちの馬車に兵士ともども乗り込んで走り出す。
 ガタゴト。ガタゴト。揺られながらルネたちは遠距離攻撃でハルピュイアに仕掛けていく。出来る限り纏まっているところを一網打尽の作戦だ。
 奈々美も若干ウジウジしつつ前線へ――は行けそうもないので、後方から。たどたどしく仲間たちの援護射撃を、と兵士たちへお願いしる。
(正直、人の上に立ったことなんてないし……他の人に指示出せるほど立派でもないし……)
 ぶっちゃけ仲間に任せたい。自分が人を操り、勝利へ導くなんて。
 しかしそうも言っていられないことは百も承知、皆を困らせたくないことも事実。故に上手く出来なくても、やってみるしかないのである。
 だが相手はイレギュラーズを、それも爆音クイックシルバーを領主とする領民達である。あの陽キャっぽい感じとかすごく感化されていることが分かる反応で矢を番え、敵陣へと撃ち放った。ひとまず大丈夫そうだと安堵した奈々美もまた力を練り上げる。
「え、援護してくる奴からやっつけるのが王道よね……ふひひ……」
 吹きすさぶはラサを思わせる熱砂の嵐。味方の間を通り抜け、敵のみを絡みとるそれはそのまま動きを封じ込めんとする。
「ふひ、ひひ……良かった……」
 怪しい笑い方こそすれ、その力に賞賛の視線が向けられている事には――残念ながら気づいていない。
 対して彼女のような心労を抱かず1匹狼となった玄丁はタンクが庇っていない敵めがけて一気に近づき、外三光を撃ち込む。足りない? なら足りるまで撃ち込めば良いだけだ。
「恐れないで! 迷った時は私の背中を見てついてきて!」
 サクラ率いる一団は前線へ。ハッピーの引き付けた敵へと戦闘を繰り広げる。中でも最前線で勇姿を見せつけるのはサクラだ。
「協力して戦えば絶対に勝てる! 1人じゃないこと、忘れないで!」
 兵士たちを鼓舞しながら戦うその様に、兵士たちもまたより一層士気を上げて果敢に武器を振るう。
 この人と一緒なら大丈夫――そんな思いを、胸に。

「しかし……やはり、厄介ですね」
 ウルリカは少しずつハルピュイアを制しながら視線を移す。
 翼を持つ彼らはこちらに敵意こそ持っているからそれなりに近づいてくるが、空まで逃げ場があることを思うと不利なのは否めない。
 しかしだからと言って勝利に焦ってはならない、とウルリカは変わらず兵士たちへヒットアンドアウェイの戦法を繰り返させる。地道だが確実に、着実に。
「こちらの事は気にせず、倒してください!」
 ドラマは自身へと敵を引き付けながら、兵士たちへ敵を攻撃し続けるよう指示する。彼らが『普通の人』であるから。今のドラマは彼らの盾であり、攻撃の切欠をつくるキーマンだ。
「――だからと言って、油断してはいけませんよ?」
 引き寄せられたハルピュイアへそう呟いて。ドラマは神気閃光をぶつけた。
 そうして自班でどうにかする者がいる一方、ハッピーはひとまずとにかく沢山集めるのだと声を響かせる。優先すべきは早く倒すべきモノだが、タンクに当たってしまってもそれはそれ。
「なに怒っとんじゃい困ってるのはこっちじゃ!!!!」
 怒りの形相にだって躊躇わず言い返すハッピーは彼らが離れていきそうになっては騒音を出し、そもそも離れている個体にも騒音を出す。

「いいから!!!! 私のところに来るんだよ!!!!!!!」

(よく聞こえますね……)
 同じ戦場とはいえそこそこ距離があるのに、とルネは視線を一瞬そちらへ向けてすぐ戻した。近づいてきた敵へ兵士に反撃させながら、ルネ自身も走る雷撃で順に殲滅させていく。
「多少削れたかな」
 少しずつではあるが、イレギュラーズ率いる味方軍が敵の頭数を削り始めている。ということは同時に、こちらも損害が出始める頃だ。
 ルネは距離を取っての攻撃をさせながら、自身は回復で援護へと回る。それとほぼ時を同じくして、サクラが1人の兵士へ戦線離脱を命じた。
「いい? 誰1人殺させずに勝つ! 私たちが目指すのは完全勝利だ!」
 犠牲を出さないと言う意思。そしてそれを為すのだと言う自信。言葉の力に打たれた兵士は素直に後方へと下がっていく。
 それを見届けたサクラは再び前線へと身を躍らせ、アタッカーのハルピュイアへと乱撃をしかけた――が。
「タンカー……!」
 うちの1匹を別のハルピュイアが庇う。乱入者に目を瞬かせるもつかのま、にっとサクラは笑みを浮かべた。
 庇えることは確かに脅威だ。けれども『全員』を庇えはしない。それに他のハルピュイアたちも狙われているのだ、誰を庇うべきか迷うだろう。
 ヒーラーやキャスターのハルピュイアを殲滅していくのは玄丁や奈々美たち。深呼吸のあとに放たれる抜刀術へ次いで、遠距離攻撃が敵を襲った。
「心強いわ……このままどんどん、巻き込んでいきましょ……ふひ……」
 目に見えて敵は減ってきている。ヘイゼルはタンカーを引き付けながら、味方で傷の酷い者はいないかと視線を巡らせた。
 キャスターが倒れ、ヒーラーが倒れ。あと残るはタンカーとアタッカーが少しずつか。そのうちの1匹へウルリカは射撃を命じつつ、自身もデッドエンドワンで攻撃する。
「まだだよ!!!! 私は!!!!! 喋り足りない!!!!!!!」
 徹頭徹尾引き付けに回るハッピーの周囲は今やハルピュイアばかり。その攻撃も当然ながら受ける事になる。しかし彼女は――幽霊であるが故に。どれだけ傷つけられようとも倒れるその一歩手前で再構築されるのだ。
「皆さん、もう少しです!」
 ドラマが回復を施し、次いで魔術を展開する。無辜なる混沌、この地に記録されている『痛み』。それ呼び起こしてぶつけるドラマの攻撃に、奈々美の援護攻撃が追随する。
「最後まで気を抜かずに。我々が崩れる訳には参りません」
 ヘイゼルは兵士たちへ防御態勢を取らせながらもタンクを抑え込む。それもルネの放った圧倒的な魔術攻勢によって倒された。
「こっちも終わりだね?」
 玄丁もまた、残っていたハルピュイアを残影百手で仕留める。後、残るは。
「――守る者がある人間の強さを侮ったね!」
 サクラの刀が、最後の1匹を切り裂いた。

 再び起き上がる様子がないことを確認した一同は、友軍の負傷状況をも確認する。無傷ではいられないのが戦いだ。
「でも、全員生きてるね」
「ええ」
 サクラの言葉に頷くヘイゼル。そこへ「打ち上げパーティやろうぜ!」と言い出したのは当然ながら、ハッピーである。
「この領地の名物はなんでせう?」
 ヘイゼルが質問する傍ら、奈々美は再び不審な笑みを漏らす。打ち上げパーティ。肉とか麺類とか出てくるだろうか。出てくると嬉しいな。
「カレー、ですか?」
 皆の希望や名物を聞いた結果導き出された料理をドラマは復唱する。もちろん、準備を手伝うのはやぶさかでない。どうせならそこで甘口カレーにしてもらえないか交渉してみよう。
「そういえば、ハルピュイア食べる? 鳥の部分なら人食にはならないと思うから大丈夫だと思うよ?」
「いや、……鳥肉は遠慮したいな」
 新鮮と言えば新鮮なのだろうが。そう返したルネに玄丁は「僕も食べないよ」と肩を竦めた。
 さあ、ほど近い街へと戻って――カレーパーティといこうじゃないか。

成否

成功

MVP

サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 静かな日々って……何だっけ……と思うような賑やかぶりでした。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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