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シナリオ詳細

名もなき世界と神話の戦い

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●はじまり、はじまり

 そこは、黒き宙に浮かぶ黒き世界。
 唯々純粋な“黒”で構成されたその空間はしかし、今は数多の小さな光が集う不可思議な場所となっていた。

 それもその筈。その“黒”とは即ち全てが混ざり溶け合って圧縮されている力溜まり。
 膨大な資源、リソース、力の源泉たる“黒”の集まる無限に限りなく近い有限なる力の集積地。
 神魔の類でもなければ芳醇にして濃厚過ぎる力に溶解してしまう程の異常空間だ。
 ――そして、そうであるからこそ、他に無粋な邪魔者の居ない絶好の餌場として、小神や雛神の類がその“黒”を己の糧としている安穏なる秘境なのであった。
 かの小神や雛神達では到底呑み乾せない程の格好のパワースポット。
 正に楽園とも言える“黒の世界”は今日も変わらず在り続けるのだと信じられた。


 ――しかし。
 衝撃と轟音、超高出力のエネルギー波の威容が“黒の世界”に轟き渡る。
 闖入者だ。いつの間にか闖入者がかの世界に現われていたのだ。
 過剰にリソースを自らの中に吸収し、そして暴走する様に自らの力を誇示しながら更なる吸収を繰り返す――巨人と双頭蛇。

 リソースを吸収する毎に、見る見る内にその姿形を変貌させた強大なる暴威の化身たる二体の魔。
 片方は、巨山すらも見上げる様なあり得ぬ程の巨躯を誇る神話巨人。
 体躯と極厚の棍棒はこの世界と同様に漆黒に染まり、その威圧感と暴力の権化。
 純粋にして強靭強大なる生命力、膂力、瞬発力体力破壊力――全てが正しく神話の如くと化した怪物。
 もう片方は更に頭を、もっともっともっともっとと体長と頭数を、文字通り増やした九頭の悪蛇。
 しかして振るう力、吐き出す言の葉と吐息は邪悪に塗れた狂悪の権化。
 神話巨人以上の再生力やその 多頭で黒を喰らい全てを我が物とする悪欲の怪物。

 ……二体の魔は時を置かずして、当然の様に。狂った様に黒を、小神達を、全てを飲み込まんと暴れ始める――!







「今回、貴方がたに行ってもらいたいのはとある世界での魔物退治です」

 君達、特異運命座標を呼び寄せた境界案内人、ディースは開口一番にそう言った。
 しかし、話を聞くに連れて明らかとなる世界の特殊さ、敵の強大さは凄まじく、此処に居る四人だけで良いのか、と疑問に思ってくる。
 並の者では滞在すらできぬ名もなき世界、小神すら交戦を避ける荒ぶる魔物。
 果たしてそれらに対するのは己らで問題ないものか。

「ご安心ください。運命逆転力を持つ皆様がたであればきっと、問題ないでしょう」

 だが、それでも君達特異運命座標を推す理由はむしろその世界にあるのだと言う。
 各々の特異運命座標達が持つ最大の力、運命逆転力――パンドラ。
 それは、あの世界に満ちる“黒”と非常に相性が良いらしい。
 パンドラに守られた君達はあの世界で何の問題もなく存在、行動をする事が出来、更には神魔の如く限定的ながらも“黒”を取り込み己の力を飛躍的に強化する事ができるのだと――!

 そういう意味では、ある意味では君達以上にかの問題を解決できる者も居ないのだろう。
 むしろ、相対するのであれば非常に丁度良い、とも。

 開かれる異界への道を前に、溢れ出る“黒”の残滓だけで力の充足を自覚させられる。
 
 仮に此処で依頼を辞してもかの名もなき黒の世界はそう簡単に消えはしないらしいが――此処までお膳立てを整えられて向かわない手はないだろう。
 君達は颯爽と戦闘準備を整え、小神達の待つ黒の世界へ向かうのだった。


「さぁ、貴方がたをかの世界へ送りましょう。――行ってらっしゃい」

NMコメント

 こんばんは、NMの黒矢と名乗っている者です。
 今回のお話は不思議な世界での純粋な討伐依頼となります。
 どうか振るってご参加ください!

●世界説明
 全を内包する膨大な量の無形の力が漂う、それ以外には何もない、名もなき黒の世界です。
 常の存在では屯する力の奔流に溶け崩されてしまう異常の世界ですが、特異な力を持つ者であれば普通に存在する事が可能です。
 勿論、パンドラという特異な力を持つ特異運命座標も同様。
 足場や並の生物が生存に必要なあらゆる要素がない様に見えますが、この世界に存在できる者であれば意識すれば世界内を自由に行動する事ができ、生存に必要な要素もこの世界に満ちる“力”で代替する事が可能です。
 しかし、そんな不思議で都合が良い世界である故に、定期的に狙われているのだとか……

●目標
 [神話巨人、並びに多頭悪蛇の撃破]となります。
 双方、非常に強力な敵となりますが、特異運命座標である皆様であればきっと達成する事ができるでしょう。
 

●敵
・神話巨人
 見上げねば全体像が全く見えない程に巨大な巨人です。
 極まった非常に高い生命力に攻防力。尋常ではない再生力やタフネスの他にも軒並み全てのステータスが非常に高い強敵です。
 俊敏さはそこまで高くはない物のそれも並程度といった所だろう。

 大咆哮  :その巨躯に見合った天地を揺るがす程の大咆哮を周囲一帯に轟かせる。非常に重篤な窒息、精神系BSや威圧感を与えて来るだろう。
 薙ぎ払い :その巨棍を最大限生かした山すら崩さんとする超範囲のなぎ払い攻撃。非常に重篤な乱れ、足止系BSすら与え、巨棍による一撃は君達の足並みを崩すだろう。
 全力渾身撃:常識を超えた怪力による超大振りの振り下ろし。あらゆる防御を無為と化す必殺必滅の渾身撃。

・多頭悪蛇
 九本もの頭を生やし恐るべき力を振るう悪蛇です。
 非常に高い生命力や魔力、行動回数を兼ね揃え、巨人と比べても高い再生力や技の豊富さを誇る強敵です。
 単純な攻撃力や防御力自体は(巨人と比べ)高くはありませんので、技の対策さえすればごり押しも有効でしょう。

 蹂躙怒涛:数多の蛇頭蛇牙による全てを飲み込まんとする容赦なき超絶連撃。
 不協和音:数多の蛇頭による呪詛を孕んだ大合唱。非常に重篤な呪いや精神異常に類する複数のBSを与えて来るだろう。
 神威吐息:数多の蛇頭を束ねて行う超常域の吐息攻撃。非常に重篤な数多のBSを与えて来るだろう。
 死滅蛇砲:最後の切り札たる戦場を貫く必殺の呪砲。凄まじい威力だがその分の威力や反動はある様だ。
 悪欲呑撃:攻撃と同時に“黒”を喰らい、自己回復・自己強化を行う。


●特殊ルール
 この黒の世界において、特異運命座標である皆様は世界に満ちる“力”を自らの中に取り込む事であらゆる能力が大幅に強化されます。
 ステータスは爆発的に上昇し、付与するBSは自動的に段階が上がり、自らが使用するスキルが昇格して使える事もあるでしょう。
 また、内容次第では混沌世界の常識を覆す程の強力な力を得てギフトを戦闘に寄与させる事が出来たり、特化したステータスが更に天元突破するかもしれません。
 
 
●サンプルプレイング
・例①
 強大にして邪悪なる敵、腕が鳴るじゃねぇか!
 それじゃあ俺は巨人を相手させて貰うぜ。俺の攻撃は大雑把だからな、強化されて仲間を巻き込むのは避けたいしな
 しかし、デケェ。デカ過ぎる!
 ――つまり思う存分この溢れる力を全力で出し尽くしても構わねえ、相手にとって不足なしって奴だ!
 さぁ行くぜ。これが俺の、烈火業炎撃――否! 紅焔纏う……鋼覇、斬城閃だぁ――!!
 
・例②
 僕は攻撃が苦手なので、仲間の守りに専念しましょう
 ですが……此処に来て、そして対峙して改めて感じましたが、凄まじい威容と世界です
 この世界をあの様な魔物の好きにさせる訳には行きません。僕の《決死の盾》で仲間全員を、そして“黒”を喰らう攻撃も庇って見せます
 【防無】、【必殺】、超ダメージがなんですか。僕の守りは全てを守り通して見せます――!

  • 名もなき世界と神話の戦い完了
  • NM名黒矢
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月22日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
耀 英司(p3p009524)
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リプレイ



 ――■■■■■■―ッ!!

 “黒”で構成された不思議な世界に、暴威と悪逆の咆哮が響く。
 この不思議な世界で今も尚芳醇なリソースを喰らい尽くす二体の魔の姿がそこには在った。
 喰らう程により大きく、強大となっていく二体の姿を観て――この世界にやってきた特異運命座標、『闇と炎』アクア・フィーリス(p3p006784)と『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)の二人は憤りの声を漏らす。

「こいつらが、この世界を、好き勝手に……してるんだね」
「アア、自分は強い。強いから、荒ぶって好き放題して当然ってツラァしてやがる……許せねぇよなぁ!」

 自分達の事すらも眼中に入れずに、我が物顔での“食事”を続ける二体を見て、更にその思いを強める。
 ここを憩いとする無辜の神様達を困らせる、どこに行っても見かける様な、我欲に満ちた悪性。
 自らの巨躯、強大さのみでその暴虐を是とする驕り高ぶる敵者の様子が、彼らの戦意に火を付ける。
 逆に『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は目標の様子や力の気配を察知し、素早く戦闘の算段を組み立てる。

「話には聞いていたが一筋縄では行きそうにないな。消耗や共倒れを待っている猶予はない。だが」

 付け入る隙は、ある。
 急激に力も体躯もサイズを増していく敵手だからこそ、増した力や身体の扱いに不慣れな筈だ。
 ならば……皆が取り込み続けているこの力を。
 己に適した様に取り込み、強化できる特異運命座標の方がこの世界の戦いには適していて、相手の死角も突けるだろう、と。
 その推測に頷くのは言葉通り“黒”を取り込みつつある『泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)だ。

「敵の力は神話の戦いの如し。ならば自らの力を引き上げるこの“黒”を取り込み戦うべし、だな。そら、敵も気付いた様だ」

 言うが早いか、二体の魔は“食事”を止めて闖入者を――現在進行形でその力を飛躍的に増幅しつつある特異運命座標の方を、見る。
 そこに居るのは眼中にすら入れなかった小虫の様な存在ではない。
 最前列で壁の様に立ち塞がるのは巨兵と見紛う気配を漂わせる……泥の神。
 曰く、練達にて異世界の神話に伝わりし、原初と淡水の混ざり合い生まれた彼の神の如く――!

「いーぃ調子じゃねぇかマッダラー。いいぜ、ここに居ると力が溢れてきやがる。だが、足りねぇ。もっとだ……もっと、もっと、気に食わねぇアイツをぶちのめせる程の力で――!」
「ああ……泥の詩人マッダラーはこれよりこの世界に彼の泥の神、ラフムの名を持って現界す。……始めよう」

 総身を“黒”で強化した全身鎧を纏った英司の啖呵とマッダラーの宣言に呼応する様に。
 名もなき世界全体に轟き響く程の大魔の咆哮と共に……神話の戦いの火蓋が切られた。





 先陣を切るのは俊足を持って大魔の懐に潜り込もうとするアーマデルだ。
 両手に構える蛇腹剣は既に毒酒に塗れ、生命力に秀でる大魔であっても無視できる物ではない。
 故に二体共が意識を迫るアーマデルに集中させ、多頭悪蛇は数多もの蛇頭より吐息を……超常の威力のブレスを吐き出した!
 灼熱、絶凍、雷電、魔毒、石化。それぞれ別種にして非常に高い威力を持つ多種類のブレス。
 一つ二つと回避するも……全てを避けられる様な攻撃ではない!

 防ぐ事叶わじ。そう思われていた数多のブレス。
 ――それを防ぐのは、名もなき世界に幾つも隆起した巨大な“泥の壁”だった。

「なるほど、この感覚。自己認識を通り過ぎた意識の終着点。これが真の覚醒という事か。今の俺なら身体が二つに裂けても互いに自分と認識できそうだ」
「流石だな。ならば俺も自らの役割を果たそう」

 多頭悪蛇の神威吐息を前にしても足を止めずに接近したアーマデル。
 近付いたその瞬間には両の手の鞭剣が閃き――剣閃にして開いた傷跡に極毒が、お返しとばかりの蛇の吐息が如き毒酒が二体を襲う。
 瞬時に途方もない程の激痛と共に、傷跡が周囲まで赤黒く変色していく。
 たまらずアーマデルを標的として多頭が群がり、巨棍が振り降ろされる。

 ――筈だった。

「余所見とは随分余裕じゃねぇか、なあぁァ――!!」
「これ以上は、動かさないの……!」

 ――バックスタブ!
 アーマデルに攻撃が命中する直前、大魔達の背後より趨勢を決めるクリーンヒットを叩き出したのは英司とアクアだ。
 先制攻撃による意識逸らしと泥の壁の遮蔽に隠れ接近した二人による巨躯すら抉り屠る程の剣撃が、そしてより致命的な狂呪を孕む手刀の連撃が叩き込まれる。
 全くの意識外からの一撃。その衝撃は凄まじく。

『GLOAAAAA――!?』
『『『WYOROROOO――!?』』』

 滂沱の悲鳴を上げると共に当然その痛撃の主を捻り潰さんとその体躯を持ち上げる。

 ……そして、そんな単純にして当然の動きを見逃す彼らではなく。

 振り向き巨棍を振り回そうとする神話巨人には隆起した泥の腕の掌撃が見舞われ。
 多頭を複数の敵に振り分け攻撃を行おうとする多頭悪蛇のその下半身が蛇腹剣により縫い留められた。

「力こそ溢れる程あっても、戦闘経験が少なかったのは幸いしたな……これ以上力を付ける前に、各個撃破させて貰おうか」

 大魔達から放たれる威圧を受け流しながら、戦闘は中盤戦へと移り変わる。
 双陣営共に、更なる力の高まりを感じながら。






「デカブツが……見下してんじゃぁねぇええ!!」
『GGILAAAAA!!』

 相対的に見れば巨躯と小躯。神話巨人と怪人暗黒騎士では勝負にならない筈の体格差。
 しかし、それを全く感じさせず、更に重力と重装甲をも感じさせぬ程の爆発力で縦横無尽に切り結ぶ英司。
 だが、その攻撃はただ我武者羅に戦っているという訳では決してない。

「動きが鈍ってきたんじゃねぇのかァ!? おいおいタフネス足りてますかぁ、ットォ!」

 体格差も、体力差も先刻承知だ。
 故に足を止めての白兵戦をする訳ではなく、体格差を逆手にとって懐に豪快に攻め込み傷を増やしていく。
 衝撃波すら伴う大咆哮に吹き飛ばされても戦意を絶やさず猛攻を止めず、傷口や急所を狙い出血を更に更に強いていく。
 要所をマッダラーの泥の壁と腕の助けを借りながらも怪人は――否、名すらないこの世界を護ろうとする英雄は闘志と共に力をより高めていく。

 負けじと神話巨人は常識外れのサイズの巨棍を振り回す。
 多頭悪蛇を巻き込む事すら厭わず、己の敵手よ全て消えよとばかりの力を込め。

「テレフォンパンチがよ、オラあァあ――!!」
「合わせるぞ。泥に、沈め……!」

 激突――衝撃!
 薙ぎ払いがマッダラーの泥の腕と衝突し……泥の腕が飛散する。
 しかし、泥とは元より形のない物。即座に再生するが――逆に、巨棍の勢いは減じられてしまう。

 ――ぶちのめす!

 次の瞬間、英司の形成した刃状のエネルギーが巨棍と鍔迫り合う。
 ぶつかり合う稲妻を纏ったエネルギーと極大の質量を備えた運動エネルギー。
 力と力の均衡。減じられた筈が凄まじい圧力が英司の双肩に圧し掛かり。

 ……しかし、耐えられなかったのは、砕けたのは神話巨人の巨棍の方だった。
 神話巨人もすぐさま砕けた巨棍を捨て渾身の一撃を見舞おうとするも、遅い。

 ――グンナイベイビー

 そのまま、鍔迫り合いをしたままの勢いで伸長したエネルギー刃が神話巨人を袈裟懸けに切り裂き、そして爆裂――





「倒しても、倒しても、全然止まらないの。どんどん再生するんだね」
「ああ、しかも手数も多い。厄介だな……だから」
「うん。全部押さえ付けてやるの……動くことすら、許さない――」

 力と力の激突。その逆側では打って変わって呪と魔と毒、そして血が、致命の異常が渦巻く戦いが繰り広げられていた。
 その主役は、今この世界でも最も小柄で非力の様に見える少女、アクアだ。
 多頭悪蛇の魔頭が恐るべき吐息を、魔法を吐き出す。
 威力、範囲、速度、悪辣さ。どれもを兼ね備えた攻撃はしかしアクアを捉える事ができない。
 獣種の本能が、夢幻の如し体術が……更に増幅され、そして、時が経つに連れ更に更に加速して行く!
 多頭悪蛇がいくら再生しようと、その数多の力で悪事を振る舞おうとも、ならば此方もいくらでも殺し、その凶事を食い止めんと。

「消し、飛ばしてやるの……!」

 ならばと放たれるのは呪いを多量に含んだ蛇の言霊。
 回避などさせぬ。脳髄を狂わせ呪い殺すという悪意の籠った負の大合唱。

「アクア殿!」
「大、丈夫……調子に乗るんじゃねぇよ、蛇風情が!」

 極濃の呪詛にその身を包まれる――刹那、漆黒の光翼が呪いを吹き飛ばす。
 いつの間にかアクアの身体から漆黒の炎が滾っていた。
 呪いを吹き飛ばした余波と反動が多頭悪蛇に身を捩じらせる程の激痛を与え、その隙に更に加速して蛇頭に接近する。

「絶対、殺す――!」

 構えの後に放たれるは数え切れない程に数多の漆黒の妖精群。
 大合唱以上の呪いを交えた総攻撃。

 堪らず多頭悪蛇の再生もできず、首を束ね必殺の一撃を放とうとする。

 ――が、身体が動かない。何故だまだだまだ動け。まだ戦えると思考するも……身体は言う事を聞かない。
 それもその筈。二人から受けた戒めの、致命的な状態異常の総量は……多頭悪蛇の限界を当に越えていた。
 再生能力では賄えない程に、その再生すら封じられた多頭悪蛇は一撃を放とうする姿勢のまま――アクアの神速の一撃に打ち抜かれた。








「ふぅ……何か、不思議な世界、だったね」
「アァ。だが……ま、悪くなかったぜ」

 そう言いながら、撃破した大魔がこの世界の“黒”に溶けゆくのを確認してから、特異運命座標達は彼の世界を後にした。
 力満ちる不思議な世界での戦い。
 そして、後に残るは静寂のみ……
 だが、君達へ感謝の祝福を飛ばす小神達の輝きは確かにその世界に“黒”だけではない色を与えていたのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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