PandoraPartyProject

シナリオ詳細

不浄なる山道

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


ㅤ──教会が何者かに襲撃された。

ㅤそれは凶報。国を上げて保護するべき聖女候補の誘拐、そしてその守護者であるシスターの死。

ㅤシスターの葬儀が行われる最中、気が気でないという様子で辺りを動き回る者がひとり。

ㅤそれは、連れらされた聖女候補、ネメシアの親友であるガーベラだった。

ㅤもちろん、彼女とてシスター……クレスチマの死は悲しい。どうしようもなく涙が零れてくるし、心を病んでしまっても仕方ない。

ㅤしかし、それは平時である場合。

ㅤ攫われた聖女候補……ネメシアが、彼女が居たらの話である。

ㅤこうしている間にもネメシアが辛い目にあっているかもしれない。
ㅤそれを思えば、いても立ってもいられなくなる。言葉は悪いが、シスターの死など今は考えていられない。

ㅤそんなガーベラに、声をかける者がひとり。

「──やぁ、捜し物かい?」


「遅くなって済まないね。調査が難航していたんだ」

ㅤいつもの調子でそう呼びかけるグラス。手にはいつものように読みかけの書物が握られている。

「今回はガーベラって子からの依頼だ。君たちが連れ去ったネメシアの親友だね」

ㅤなんでもない調子で続けるグラスだが、その誘拐をイレギュラーズに手引きしたのはグラスである。

ㅤともあれ。

「ガーベラは、どうやらそのネメシアを探して欲しいみたいだ」

ㅤパタン、と読んでいた本を閉じ、グラスがこちらへと寄ってくる。

「と、いうことで、探してきたよ」

ㅤ貴方達の目の前にはこの世界の地図が広げられる。

ㅤその地図によれば、ネメシアはとある村に居るようだ。
ㅤそこはネメシア、そしてガーベラの故郷。
ㅤかつてイレギュラーズが訪れたことのある村だった。

「なぜそこに居るのかは正直わからない。本当なら彼女は今頃悪徳貴族に囚われてるはずだったからね」

ㅤさらっととんでもないことをいうグラスだったが、そんな彼に手を出そうという気は起きなかった。

「で、調査が難航していた理由とも重なるんだが、村までの山道にかなりの野盗が住み着いていてね」

ㅤまったくどこから湧いて出たんだか、と零すグラス。

「まぁ、それでだ。君たちにはその野盗を何とかしつつ、村を目指して欲しい」

「なに、野盗一人一人はさほど強くもない。君たちの力であれば余裕で対処できるだろう」

ㅤグラスはそこまで言い切ると、話は終わったとばかりに再び本を開いた。

NMコメント

お久しぶりです、七草です。
今回はラリーです。

やたら数の多い山賊をぶっ飛ばしましょう!ㅤ生死は問いません!

●目的
誘拐されたはずのネメシアの居る村にたどり着くために、道中の野盗を蹴散らす。

野盗の生死は問いません。もし生かす場合は街道の木にでも括っておけば後ほど憲兵が拾いに来ます。

●エネミー
・野盗×いっぱい
何故か湧いてでる村人崩れの野盗さん達。もうイレギュラーズの手によって2回は殲滅したはずなのにまた湧きました。

まだ悪いことはしてませんが、野盗であることがこの世界にとっての悪いことなので殺しても文句はでません。

5〜10人程度でグループで動いている場合が多いです。が、そこそこ強い者が1人で動いている可能性もあります。

好きな組み合わせの野盗をぶっ飛ばそう!

●何をすればいいのか
1.野盗をぶっ飛ばす
邪魔な野盗を間引きましょう。

2.仲間の支援をする
付与を飛ばす、回復をする、敵を弱体化して回るなど、仲間の支援をしましょう。

3.野盗を回収する
憲兵の代わりに野盗を回収するのも良いでしょう。馬車とか持っていって乗せると吉です。

4.その他
やりたいことを書いてください。大体何やっても大丈夫です。

●登場人物
・ネメシア
嘘が嫌いな女の子。以前の依頼でイレギュラーズに誘拐された後、行方不明に。
今回は登場しません。

・ガーベラ
ネメシアの親友。同じ村出身で、行方不明になったネメシアを探している。
今回の依頼に同行している事にしても構いません。

関連依頼
『聖別の輸送』
『聖街クラリネット』
『聖女候補誘拐事件』

もしその後が知りたい方はサンプルSSの『明鏡のホーネスト』を読むといい感じです。

以上、よろしくお願いします。

  • 不浄なる山道完了
  • NM名七草大葉
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月08日 21時50分
  • 章数1章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾

「よくわかんないけど野盗を倒せばいんだね!ㅤ会長でも倒せそうだしいっちょやってみようか!!」

ㅤ野盗の多く住み着く山、その山道にて、楊枝 茄子子(p3p008356)は気合い充分とばかりに声を張り上げる。

ㅤしかし、そんなに大声をだしては、必然野盗にも気付かれやすくなるだろう。

ㅤ現に、茄子子の死角から今にも飛び出そうとする野盗がいるでは無いか。

「えっへへ、会長が見えてないと思った?」

ㅤ──それは茄子子得意のはったりであった。

「……ちっ、なぜ分かった?」

ㅤ茂みから現れた男が、時間稼ぎのつもりか茄子子へと話しかける。
ㅤしかしそれは悪手である。

「え、いやわかんないけど。適当に言っただけだよ!」

ㅤなぜなら、茄子子は既に術式の構築を初めていたから。

ㅤそのまま、茄子子は超加速した自身の身体に思考を委ね、何も無かった空間から空刃を出現させる。
ㅤそれらは勢いそのまま羽ばたき、話しかけた男を含めた周囲の野盗達を切り刻んでしまった。

「くそっ!ㅤ全員でかかれ!ㅤ一斉にやればなんとか……」

ㅤ動かない、誰一人として。いや、動けないのである。

ㅤこの場全てを制圧し、封殺しきった茄子子。

ㅤ唯一残った男は茄子子に迫り、隙をついて持っていた棒で殴りつける。
ㅤしかし、その一撃も、茄子子の手腕によって即座に癒されてしまった。

「痛い!ㅤでもまぁ、痛いだけならなんとかなるよ!」

ㅤ男の顔が絶望に染まるのも道理であった。

成否

成功


第1章 第2節

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
不遜の魔王

ㅤとある中心をぐるっと囲むように、複数の野盗が武器を構えていた。
ㅤじりじりと中心へ近づく野盗であったが、その中心は、それを一切気にすることなく、瞳の見えない無貌をのぞかせていた。

ㅤ嗚呼、そこには血肉を解する物語、『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)が聳え立つ。

「生死を問わないとは『全く楽な』務めとは解せないか。嗚呼、物語の舞台としては群々上等。悉く私を『殴りに』現れ給えよ。Nyahahahaha!!!」

ㅤ物語は無窮にして無敵、すなわち永劫である。蠢く触手の一本一本には俗物が宿る。
ㅤそれは児戯か、狂飈か。ともあれ、幾度と吐き出される黒の塊は、大海原となって野盗へと迫り来るのであった。

「ひぃっ!ㅤなんだよこれぇ!!」
「あがっ、くそっ!」
「ああぁあぁああ……」

ㅤ嗚咽、嘔吐き、恐慌。なんであれそれは赤き三日月よりの、深淵へと誘うものだった。

「決して落とせぬ肉の壁、此度は蹂躙兵器と見做すべきだ。貴様等の貌に驚異(ひと)を塗り込んで魅せよう。Nyahaha!!!」

ㅤやがて、この場は物語と相成った。目と目が合う、合える。それこそが沈みこんだ証左だ。
ㅤそうか、己こそが同一奇譚だったの──

「──Nyahaha!!!」

ㅤああ、彼らはいと尊き胎内へと還元される。

ㅤ辛うじて生き残った、気絶してしまった野盗二人程を抱えたオラボナは、深く昏い山道へと消えていった。

成否

成功


第1章 第3節

シャルロッテ・ナックル(p3p009744)
ラド・バウB級闘士

「なんだこいつ……デケェ」

ㅤ山道の中腹程。多数の野盗が、見上げるように首を上げていた。

ㅤ対峙するは、身長250cmを誇る巨躯の女。『お嬢様』シャルロッテ・ナックル(p3p009744)であった。

「野盗の皆様、ひとりひとり違った野性味溢れる肉体をお持ちですわね。うふふ、興奮してしまいますわ!」

ㅤ野盗一人ひとりを見下ろし、嘗めるように一瞥したシャルロッテ。野盗達は震え上がる。

「そんなに怖がらなくても宜しいのよ?ㅤワタクシ、シャルロッテ・ナックルが全身全霊を持って叩き潰して差し上げますわね」
「く、くそ!ㅤ全員でかかれば怖くねぇ!ㅤ行くぞ!!」

ㅤ野盗が一斉に飛びかかる。

ㅤシャルロッテ一人に対し、野盗は複数。多勢に無勢。ともすれば、数の利によってシャルロッテが不利にも見えるだろう。

「ぜあぁ!!」

ㅤ一喝。

ㅤただの気合いのこもった声であるはずのそれは、木々を揺らす程の衝撃を持ち、列なす野盗を吹き飛ばしてしまった。

「うふふ、まだまだですわよ!」

ㅤ一瞬にして距離を詰めたシャルロッテは、未だ動けずにいる野盗に、その拳を叩きつける。

ㅤラッシュ。次々と野盗を殴り、殴っては投げる。

ㅤみるみるうちに野盗の数は減って行き、やがてその場に立つのはシャルロッテただ1人となってしまった。

「少しやりすぎたかしら?ㅤごめんあそばせっ」

ㅤ拳に付着した血液をハンカチで拭いながら、シャルロッテは一人零すのだった。

成否

成功


第1章 第4節

アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし

ㅤ──敵っ!

ㅤ『闇と炎』アクア・フィーリス(p3p006784)流れる血の本能によって直感的に敵の奇襲を悟ったアクアは、漆黒の炎で覆われた右腕を振るう。

ㅤ放たれた憎悪は、翼を象って奇襲者の元へと襲いかかった。

「な、なんだっ!」
「くそっ」

ㅤ次々に倒れ伏す野盗達の中、憎悪の翼を剣ではじき飛ばしたものが一人。

「おいおい、こんなガキ一人にやられちまうとは」
「一人を狙って、沢山で、襲うなんて……、性根腐ってんのかてめぇら」
「はぁ?ㅤ聞こえねぇよクソガキが!」
「ここで、倒す……!」

ㅤ邪悪の右手が野盗を襲う。動きを封じられた野盗だが、このままじゃあ終わらない。

「ぐっ……今だやれっ!」

ㅤ先程倒れ伏した複数の野盗が、起き上がって殴り掛かる。

ㅤ幾度と打撃を受け、痛みを覚えるうちに、アクアは心に嫌忌を宿す。

「ザコの分際で!集まらなきゃイキれないカス共が!よっぽど死にたいらしいな!」

ㅤ豹変。先程とはうってかわって凶暴な一面を覗かせたアクアが、野盗に威圧をかける。
ㅤ負けじと野盗も食らいつくが、アクアはその全てを紙一重で避け、返す刀で殴りつける。

ㅤ何時しかその場に立つのは一人のみとなっていた。

「命乞いなんて聞こえねぇよ!ここで全員殺す!ぶち殺す!!」
「はっ、やってみろクソガキ!」

ㅤ瞬間、空気が破裂する。

ㅤ音を置き去りに放たれたのはただの右ストレート。

ㅤその一撃を持って、野盗の命はあっけなく終わりを告げた。

成否

成功


第1章 第5節

咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳

「ほう……山賊掴み取り放題、というわけであるな!」

ㅤ『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は、山頂辺りにある開けた場所に立ち、数十の野盗と対峙していた。

ㅤまるで幾人にも見える錯覚を覚える程に最適化された動きを持ってして野盗へ襲いかかる百合子。

ㅤ野盗共をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
ㅤ……比喩ではなく、本当に野盗の腕や足、その他身体の大事そうな部分をちぎっては別の野盗に豪速球の如く投げつけていた。

「クハッ!ㅤ良い散り様よ!」

ㅤ両手を鮮血に染めた百合子がそんなことを宣う。
ㅤ恐怖で混乱し、逃げ惑う野盗をこれでもかと追い詰め、なぶり殺しにした百合子は最後に残った野盗へ向き直る。

「さて、残るは貴殿のみとなったな」
「……そうだな」

ㅤただ1人、百合子の御業を捌ききった野盗は、疲労困憊でありながらも、確かに瞳に闘志を宿していた。

ㅤであるならば、こちらも至力を尽くさねば無礼であると、百合子は初めて構えをとった。

ㅤ絶え間ない連撃、尽きることの無い拳の津波。
ㅤ最適化された動きを利用し、破壊力と正確さを格段に引き上げたそれを耐えきれる訳もなく。

ㅤ次第に捌ききれなくなった野盗の身体に、ひとつ、またひとつと傷が増えていく。

ㅤやがて、その場に倒れ伏した野盗は、まもなく息を引き取った。

「うむ、外道を生業とするなら犬死が相応しかろうて」

ㅤ大量の死体をその場に残し、百合子は更に先へと向かっていった。

成否

成功


第1章 第6節

黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家

ㅤすやすやと寝息を立てる章を一撫でする。
ㅤくすぐったそうに頬を綻ばせた彼女は一体どんな夢を見ているのやら。

ㅤ辺りはすっかり薄暗くなり、夜の帳が降りてきている時間帯……『零れぬ希望』黒影 鬼灯(p3p007949)の時間帯であった。

ㅤ闇に溶けた鬼灯を視認できるものはいない。

ㅤそれは、今目の前を通過しようとしている野盗達もそうだった。

ㅤ野盗達の目の前を、一陣の風が吹き荒ぶ。

「な、なんだ!?」

ㅤその中心には、黒い月。

ㅤ暗く輝く不吉の象徴は、野盗の運命をねじ切らんとその光を強めた。

ㅤそして全てが途絶える。

「やあ、ごきげんよう野盗諸君。不吉の月の悪夢はお好きかな?」

ㅤただ一人その場に立つ鬼灯は、周囲に散る野盗を見下すように優しく語りかけた。

ㅤまぁ、鬼灯も生命まではとるつもりは無い。
ㅤこのまま抵抗しないのであれば、気絶させた後に憲兵にでも突き出して──

ㅤスパ、と小気味のいい音が流れた。

「……は?」

ㅤ野盗が音の元を辿れば、そこには自身の手首が……無かった。

「……貴様、章殿に手を伸ばしたな?」

ㅤ底冷えするような声色に、件の野盗を含めたその場の全て──章以外──が震え上がった。

「気が変わった。糸に絡めとられ、無様に死ね」

ㅤそこから先の蹂躙劇は、見るも無惨なものだったが、

「──おはよう、章殿。いい夢は見れたかな?」
「んん、おはようなのだわ、鬼灯くん」

ㅤそれを彼女が知ることは無いだろう。

成否

成功


第1章 第7節

ㅤ──朝日が差し込む。

ㅤ山道を抜けると、そこには村があった。

ㅤ今回の探し人であるネメシアと、依頼人であるガーベラの故郷、イレギュラーズが噂を流布した、あの村があった。

「あそこにネメシアがいるんだ」

ㅤいつのまにかそこにいたグラスが、言葉を零す。

「ネメシアがどうなってるのかは、正直よく分からない」

ㅤだけど、今回の依頼はネメシアを無事に連れ帰ることだ、とグラスが続ける。

「君たちの『健闘』を祈っているよ」

ㅤそれはまるで、この先に戦いが待っていることを知っているかのような口ぶりだった。

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