シナリオ詳細
春爛漫、たけのこ料理を楽しもう
オープニング
幻想の、とある街。
ひとりで歩いていたクルル・クラッセン(p3p009235)は背後から声を掛けられた。
「おねーさん」
それは以前、聞いた声。
少し前の依頼で、幻想種の奴隷が取り引きされることを教えてきた人物。
振り返ると、そこには赤目をした左腕が義手の男。そして、もうひとり――
「あの時は、ありがとうございました」
深々と礼を言うのは、クルルと同じ幻想種の女性。
「貴女――」
少し驚いたように、クルルは声を上げる。
そこに居たのは、奴隷として取引されそうになっていた所を助けてあげた幻想種の1人だった。
「どうしたの? 故郷に戻ったって聞いたよ」
依頼を終わらせた後、他のイレギュラーズが故郷に連れて行ってあげた筈なのだが、何故だがここに居る。
不思議に思って訊くと、幻想種の彼女は応えた。
「あの時、助けていただいたみなさんに、ちゃんとお礼を言えてなかったと思って。お礼を言いに、こちらに来ているんです」
「そうなんだ」
軽く話を聞くと、深緑の故郷に戻った彼女は、あの時助けてくれたイレギュラーズ達に改めてお礼を言うために幻想に訪れたらしい。
「他にも話は幾つかあるんだが、立ち話もなんだし、ちょいとお茶でもしながら話そうぜ」
てなことがあり、いま喫茶店に居る。
「リザちゃんって、植物研究者なんだ」
「はい」
にこにこ笑顔で、クルルに幻想種の女性――リザは頷く。
「両親も色々な植物を研究してて。私は植物の成長を速めたり、どんな植物でも良く育つ方法を研究してます」
リザの言葉に、クルルは一瞬、故郷に居る許嫁のことが思い浮かぶ。
彼は植物研究者にして樹木医であるけども、リザは育成方法に重きを置いているらしい。
「迷宮森林だけじゃなくて、他の地域の植物のことも調べたくて、色んな国を回ってたんです。それで、ラサの砂漠地帯でも育つ植物もサンプルを手に入れようと行ったんですけど、そこで捕まっちゃって……」
あえなく奴隷にされそうになった所を、クルルも含めたイレギュラーズ達のお蔭で助かったという訳だ。
「だから、あの時助けて貰えて、本当に良かったです」
感謝するリザに、クルルは喜びを感じた。
(助けられて好かった)
クルルも笑顔を浮かべ、幾らかお喋りをしていると、リザと赤目の男が一緒に居る理由についての話になる。
「アフターケアってヤツさ」
クルル達イレギュラーズに救出を頼んだ後、赤目の男とその仲間達は、奴隷にされそうになった人達が、再び浚われたり報復されたりしないかどうか様子を見に行っていたらしい。
「ま、その縁もあって、リザさんの研究について教えて貰うことがあったんだが、それをウチのボスが興味を持ってさ」
リザは植物の成長を促進する技術や魔術に深い造詣を持っていたので、自分達の力になって欲しいと頼むようになったらしい。
「鉄帝で、色々と食用植物を育てる計画を立ててるんだけど、その助けをして貰えるように頼んでんだよ」
「そうなんだ。どんな植物を育てるの?」
少し興味を持ったクルルが尋ねてみると、応えが返ってくる。
「食べたら一時的にマッチョになる魔法植物とかだな」
「それ食べても大丈夫なの?」
「大丈夫。むしろ元気になる。マンドラゴラをモデルに作った物らしいけど」
「毒としか思えないんだけど」
赤目の男の応えに、脱力するようにクルルは返した。
そのあとも、しばしお喋りをしていたのだが、その中でリザが頼んできた。
「もしよければ、私の代わりに豊穣に行って貰えませんか?」
「豊穣に?」
クルルが聞き返すと、詳しく説明してくれる。
「豊穣にある、竹という植物に興味があるんです。地下茎から出た新芽は竹の子と言って食べれるらしいですし、食用としても使えそうなんです」
話を聞いていると、本当は本人が行きたいらしいのだが、ラサで浚われて奴隷にされそうになった経緯があるので、豊穣にまで行くのは反対されているらしい。
「幻想に来るのにも、助けて貰った皆さんにお礼を言う目的で、護衛の人と一緒じゃないとダメって言うんです。ちょっとウチの両親、過保護なんですよね」
外国に一人で勢いに任せて跳び出した挙句に浚われて奴隷にされそうになった時点で、それはしょうがない。
などと口には出さないクルルであった。
そんな彼女に、リザは熱心に頼んでくる。
「繁殖させるための地下茎を貰って来て欲しいんです。あとは、ちょうど今の時期だと竹の子が取れるらしいので、それを使った料理のレシピと、実際に食べてみた感想を聞かせて欲しいんです」
育てるだけでなく、美味しく食べることにも興味があるらしく、現地での料理に興味津々なのだ。
「食べてみた感想とかは、何人かの意見があった方が良いからな。ローレットに頼んでみるつもりだ」
赤目の男の話では、リザに鉄帝での植物育成の協力を頼む代わりに、彼女の要望をできる限り叶えようとしているらしい。
「現地で細かいことをして貰う人の手配は済ませてるんだ。あとは豊穣に行って貰う人を探すだけでな。よければ、依頼を引き受けてくれよ」
話を聞いて、どうしようかと考えるクルルだった。
●
「豊穣に行って、たけのこ料理を食べて来て欲しいのです」
招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「繁殖用の地下茎とか枝とか持って帰ったり、現地のたけのこ料理のレシピを持って帰って貰う必要もあるですけど、そっちは現地の人が用意してくれるので皆さんは、たけのこ料理を堪能して感想を書くだけで良いのです」
それはただの観光ツアーでは?
イレギュラーズは思ったが、余計なことを言って無駄な仕事を増やす意味もないので黙っていた。
するとユリーカが続ける。
「たけのこを自分で掘ったり、自分で料理したりも出来るみたいですけど、そっちも現地の人がやってくれるので、したい人だけしてくれれば良いのです。さしみ? とかいうのも出るみたいです」
基本的に出される料理は、豊穣の味付けで行われる現地の料理みたいだ。
どんな料理が出るのか?
興味と期待感を抱きながら、豊穣へと向かうイレギュラーズ達だった。
- 春爛漫、たけのこ料理を楽しもう完了
- GM名春夏秋冬
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2021年04月17日 22時48分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
筍満載な依頼に参加した『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は、一足先に豊穣に訪れ海の幸を採っていた。
「だしを取るための、こんぶ。一緒に煮ると、おいしい、わかめ」
現地の海女さんと漁師さんも協力してくれる。
「おおきなはまぐりも、ありがとうですの!」
ブリは血抜きして、海藻と貝類は海水に浸した状態で現地に持って行ってくれることに。
持って行って貰っている間にノリアは竹林に訪れ、皆に挨拶した。
「おはようですの!」
彼女の挨拶に、皆は明るい声で応える。
「オーッホッホッホッ! とっても良い朝ですわね! 気合いを入れて参りますわよー!」
煌びやかな雰囲気を纏い挨拶を返したのは『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)。
「さあ、このわたくし!」
指を鳴らしギフトを発動。途端、聞こえてくる拍手喝采大歓声。
\きらめけ!/
\ぼくらの!/
\\\タント様!///
「──が! 春の恵みをゲッチューですわーー!」
スプリングスリリングスマイリングポーズ! を取りながら、恋人の『黒の猛禽』ジェック・アーロン(p3p004755)に笑顔を向ける。
「一緒に筍掘り掘りですわ!」
「うん。いっぱい掘ろう」
楽しげな空気が漂う。
他の皆もそれは同じ。『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)は伸びをするように言った。
「木々も草花も芽吹いて……うーん! 春って感じだね! 観光するにも、ご飯を楽しむにも、いい季節だし。ふふふー、皆がどんなお料理作るのか、楽しみだねえ」
クルルに賛同する様に、『呪い師』エリス(p3p007830)は頷く。
「たけのこは食べたことが無いのでどのような料理が出てくるのか楽しみです!」
「うん。たのしみだね!」
女の子だらけで華やかな中、『百合蜘蛛』アリス・アド・アイトエム(p3p009742)は、ほっこりする。
(わぁ……女の子……いっぱい……嬉しい……な……。タントは……不明……らしいけど……可愛いから……問題ない……)
かわいいは正義は真理である。
楽しげな空気が漂う中、もちろん依頼内容を忘れていない。
(リザちゃんって子のご両親、過保護って言うけれど……海を渡るとなれば心配にもなるよねえ。ここは代わりにちゃんと調べてきてあげんと)
依頼人のことを思い、『特異運命座標』柊 沙夜(p3p009052)は意気込む。
そして筍掘り。
興味深げに掘っていくのは、『悪食の魔女』シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカ(p3p000996)。
「私の故郷は山の方だったのですが、竹は生えていませんでした。某所でグレーターバンブーショットと戦った事はありますが……」
一瞬、その時のことを思い出し遠い目になるも、すぐに気を取り直す。
「植物は専門外であまり詳しくないので、私も竹の生態などには興味があるのですが、今日は何より採れたての筍料理ですね!」
竹林を管理している現地の人に話を聞きながら掘っていく。
「頑張って掘りますので、何か見つけ方・見分け方のポイントなどありましたら是非!」
意気込む彼女に、現地の人は笑顔で採り方を教えてくれる。
「足の裏で探して――」
皆は説明を熱心に聞く。
「見つけたあと、どうやって掘るの? 道具は要るのかな?」
クルルが尋ねると、小ぶりで扱い易いクワを用意してくれる。
「わぁ、これ使うんだ。スコップはいいの? クワだけで良いんだ」
感心するクルル。
(深緑だと新芽を食べるなんて! って叱られそうな気もするけど……国が変われば食文化も色々だよね、遠慮無く掘っちゃうよ!)
皆はそれぞれ掘っていく。
最初に動いたのはアリス。
(女の子に……良いとこ……見せたい……!)
ギフトを使って生み出した粘液を操って、邪魔になる落ち葉をどかす。
「ありがとうですの!」
ノリアを含め皆から礼を言われ、気分が高揚したアリスは張り切って落ち葉をのける。
アリスのお蔭で探し易くなった所で、いざ筍掘り。
「足の裏で……足の裏で? あ、この何か踏んだ感じかな…………小石だった」
「むむ、むむ……???」
ジェックとタントは仲良く探し――
「丸じゃなくて、尖った感じを探せばいいのかな……あっ、これじゃない!?」
「やりましたわ! 慎重に慎重に、傷つけぬよう掘ってゆきますわよ……」
ジェックが見つけタントが慎重に掘り当てる。
「いちにょっき! げっとですわー!」
「やったね、タント!」
筍、初ゲット。
和気藹々と次々掘り当てていく。
「……はっ、わたくしも見つけましたわよ! ににょっきですわー!」
「慎重に掘り進めないと……くわで傷付けちゃったら勿体ない。いちにょっき、ににょっき……なんにょっきゲットできるかな?」
気付けば、用意されていた籠が一杯になるほど掘り当てた。
もちろん、他の皆も採っていく。
「竹さん竹さん、あなたの新芽を分けて頂戴」
クルルがギフトを使い、成長させた筍を皆で採る。
「ふう……たけのこを掘り出すのも結構重労働なんですねぇ……」
エリスが頑張ってくれたお蔭で、食べ応えのありそうな大きな筍が採れる。
それと同時に、依頼人に持って帰るための地下茎も採取した。
「これで、ええんやろか?」
沙夜が現地の人に聞きながら、地下茎を多少余裕を見て採る。
ついでに後でレポートを書く時のため、竹についての話を聞いて。
そうこうしている内に沢山の筍を採り終る。
「これだけあれば、色々な料理に使えそうですね。早速調理場に行って作りましょう」
シズカの呼び掛けに皆は笑顔で応えた。
●筍料理!
「さて、お料理なら私にお任せです!」
コック資格持ちのメイドさんなシズカは、張り切って料理開始。
手際の良さを見ていたノリアは感心する。
「上手ですの!」
これにシズカは笑顔で返す。
「もし何か手伝えることがあれば言って下さい」
これにノリアは、ぱぁっと表情を明るくして言った。
「ありがとうですの!」
お願いする料理は、ぶりと筍の煮物。
「簡単な煮物くらいなら、作れるように、なったんですの。でも、もっと美味しく作りたいんですの」
一生懸命に頼むノリアに、シズカは笑顔で応える。
「煮物は美味しいですものね。分かりました。なら、一緒に作りましょう」
「ありがとうですの! 材料は朝に獲って来たものがあるので使って下さいの。いっぱいあるから、みんなも使って下さいの」
ノリアの提案に、三角巾と前掛けをして準備万端な沙夜が返す。
「なら、このわかめを貰うてええかな? 筍とわかめの吸い物を作ろう思うんよ」
もちろん笑顔で提供するノリア。
そこに続けてエリスも頼む。
「この蛤をいただいても良いですか? クリュディテを作ろうと思うんです」
快諾するノリア。
エリスは笑顔で礼を言うと、シズカの煮ている筍を見て尋ねた。
「たけのこって、煮るだけで良いんですか? コツとかあるんでしょうか?」
「今日のは採れたてですし、少しでも早く煮るのが一番ですね」
シズカはコツを伝授する。
「たけのこは採ってから時間が経つほど灰汁が出るようになるんです。けど、熱を加えるとそれが止まるんです。今日のは採れたてで灰汁も少ないですし、火が通るぐらいにさっと茹でてしまいましょう。時間が経った物だと、皮を剥いて調理する大きさに切った物を、大根おろしの汁に塩を少し加えた物で1時間と少し漬けておくと灰汁が抜けて良いですよ」
プロの技を伝授するシズカに皆は感心する。
その様子を見ていたアリスが頼む。
「ちゃんとした料理、作るの、初めてだから……見てて貰えると助かる……」
「何を作るんですか?」
シズカに訊かれアリスは応える。
「ケーキ、作ろうかなって……筍の、パウンドケーキ……」
「パウンドケーキなら、たけのこの食感に負けなくて良いですね。たけのこは、甘く煮るんですか?」
「うん、蜂蜜で……」
「好いですね! 生地に小松菜とかで味付けしても良さそうですし、豊穣風の味付けにも良く合いそうです」
料理上手なシズカは、話を聞いただけで味の予想をつけ、細かい所をアドバイスすることに。
そんなシズカによる、ちょっとした料理教室が開かれる中、ジェックとタントは仲良く作っていく。
「うーん、筍の上に乗せるのは何が良いかな……」
「わたくしは幻想風にしますわ!」
お揃いのエプロンをつけ、2人が作るのは筍のカナッペ。
一口大に切って茹でた筍の上に色々な食材を乗せたもの。
「春らしく彩り豊かに参りましょう! 菜の花に桜えび、ツナマヨ、生ハムを乗せて――」
タントは手際よく切り分けた食材を乗せていく。
「おやつ的にクリームチーズにレモン、カラメルソースにナッツも好いですわ」
自分の用意をすれば、ジェックの様子を見に行く。
「ジェック様の方は如何ですかしらー!」
「ミニトマトに塩昆布、スモークサーモンに……海苔の佃煮なんかも合いそうじゃない?」
タントに料理を習い始めて暫く経つジェックは要領よく乗せていく。
「パセリを散らして、見た目も華やかに……乗せた後にちょっと焼いても美味しそうだよね」
焼き窯が用意されていたので、それを使って焼くことに。
「タントの方はデザートもあるのか。食べるのが楽しみ」
2人と同じように、皆も美味しく料理を作っていく。
ノリアは筍とぶりを鍋に入れ軽く煮こむと灰汁を取り味を決めていく。
「大丈夫ですの……わたしには、たのもしいお供……黄金海鮮出汁も、ありますの!」
あとは火加減に気をつけて煮込むだけ。
少し手が空いたので皆の手伝いをする。
「この混沌米を使って下さいの!」
アリスに混沌米を差し出す。
筍パウンドケーキの焼き上がりに入り、ちらし寿司の準備に取り掛かろうとしていたアリスは礼を言って受け取る。
「ありがとう……使わせて、貰うね……」
釜で炊き上げて、ふっくら美味しいご飯を寿司酢で味付け。
ケーキの形に盛り付けた所で刻み海苔と筍を敷き詰め。
「あとは、具材……何が良いかな……」
悩んでいる所にノリアが海鮮小鉢を差し出す。
「使って下さいの!」
「ありがとう……これなら、美味しいのが作れる……」
次々出来あがっていく中、沙夜は汁物を作る。
「わかめとたけのこは、似すぎん方が好さそうやね」
昆布と鰹節で出汁を取り、下茹でした筍とわかめを入れる。
「美味しいの作らんと」
風味が足なわれないよう注意する。
「シンプルな料理だからこそひとつひとつ、丁寧に進めんとね」
豊穣風の美味しい料理が出来ていく中、他の地域の味付けがされた物も出来ていく。
「火の通しに気をつけないと」
クリュディテを作るエリスは慎重に作っていく。
生のような食感を残して蒸し煮にするクリュディテは火加減が大事。
用意していた野菜を下茹でした後、ノリアが持って来てくれた蛤をバターで炒める。
そこに下茹でした筍と野菜を入れて、弱火で馴染むまで炒めた所で煮込んでいく。
出来あがりが楽しみな中、シズカは手際よく作っていく。
「まずは旅人さんから教わった、キノメアエーから」
下茹でした筍の中程を賽の目に切って味付けした出汁で煮て少し冷ます。
砂糖と酒を加えた味噌を温めながら練り、冷ましたらサンショウの若芽とすり混ぜ、最後に筍とよく和えて完成!
「色合いと香りが何とも春らしくていいですよね」
自然と、ほわほわした笑顔が浮かんでしまう。
「後は……根元は固めなので、薄切りや千切りにして炒め物にしてみましょう」
バターソテーやにんにく醤油炒め。味を少し変えて牡蠣油を使い作っていく。
次々料理は出来あがり、それをクルルがテーブルに並べ。
温かい内に、皆でいただきます。
まずは、ご飯物。
釜で炊き上げた山菜と筍ご飯に、アリスが作ったケーキ風ちらし寿司。
「疲れた身体にごはんがうまい……けふん、美味しいね!」
クルルは笑顔で食べていき、皆も同様に笑顔を浮かべる。
「んふふ、筍づくし!」
沙夜は笑顔で筍ご飯をぱくり。
おこげの香ばしさとお米の甘味と旨味。筍と山菜のしゃきしゃき食感も合わさって美味しさが口いっぱいに広がっていく。
「うち、ご飯のおこげ大好きなんよ。お米自体も美味しくてええわ」
沙夜に賛同する様にエリスも美味しさで笑顔になる。
「おこげもたけのこと絶妙に合っていて美味しいですね!」
香ばしさと共に味も楽しむ。
「たけのこの美味しさを味わえる味付けで素晴らしいです」
筍ご飯と共に、ケーキ風ちらし寿司も大好評。
皆の笑顔にアリスは喜ぶ。
「好かった……ノリアから貰った、お米と海鮮のお蔭……」
アリスの言葉に、ノリアは喜ぶ。
「美味しく作って貰えて、嬉しいですの!」
恋人な彼の作った混沌米が皆に好評で、誇らしい気持ちになる。
「美味しいですの!」
笑顔で食べていく。
「このおいしさが、たけのこならではのものなのか……それとも、ゴリョウさんのお米を、使ったせいか、自分で料理を、作ったせいかは、わかりませんけれど、たけのこ、おみそれしましたの……この、絶妙なこりこりが、たまりませんの!」
筍ご飯を楽しんでいき、次に皆が試していくのは、より素材の味を生かした筍のさしみ。
「こんな食べ方もあるんですね。びっくりです!」
料理上手なシズカは、見知らぬ新たな料理に目を輝かせる。
甘味と共に旨味が感じられ、柔らかくも心地好い歯応えが小気味良い。
他の皆も、興味津々に食べていく。
「豊穣の食文化は素材の味を活かすのが常套と聞きますが……ま、まさか筍を生でとは……」
「フルーツ以外を生で食べるのって、あんまりないかも」
タントは恐る恐る、ジェックは一口に。
食べてみれば美味しさに目を瞠る。
「……んぬっ!? 生おいしいですわ! 甘さが際立ちますわー!」
「お刺身、美味しいね……アタシ、ポン酢が好きかも」
目を輝かせるタントの隣で、ジェックは美味しくさしみを食べると、筍ご飯も一口。
「ご飯に紛れる歯応えがたまんないな……」
美味しさを楽しみながら、ご飯を掬い取るスプーンをちらり。
「未だに箸はうまく使えないんだけど、箸で食べた方が美味しいのかな? 今度、ちゃんと練習してみようか……」
より美味しく食べれるよう、ちと悩む。
けれどすぐに、筍の美味しさに目を細めた。
彼女達と同じように、エリスも美味しくいただく。
「私は醤油でいただきましたが、えぐ味が少なくたけのこの風味を味わえて良いですね」
さしみを味わえば、次は天ぷら。
「天ぷらは初めてやな」
沙夜は期待感たっぷりに、つゆにつけた天ぷらをぱくり。
美味しさだけでなく、衣と筍自体の食感も楽しむ。
「美味しいわぁ」
笑顔になる沙夜と同じく、エリスも美味しさで笑顔になる。
「たけのこの天ぷらのサクサクとした食感がたまりません! そして口いっぱいに広がるたけのこの香りもいいですね……」
美味しさで、ほぅっと息をつく。
彼女達だけでなくタントも美味しさに声を上げる。
「ふぬう、天ぷらもフライですのに爽やかな歯ごたえと軽やかなお味……美味! わたくしすっかり筍のファンになりましたわー!」
美味しく食べていき、皆の創作料理もいただいていく。
「ぶりと筍の煮物、出汁が合ってて美味しいわぁ。白いご飯が欲しゅうなるね」
沙夜は笑顔で舌鼓。皆も同じように笑顔を浮かべる。
「タントと、ジェックの作ったカナッペ、美味しい……」
アリスは美味しくて頬を緩める。
タントとジェックの作ったカナッペは、素材の味が生かされ食感も良く、窯で軽く焼かれていることもあり香ばしさも楽しめる。
「シズカのキノメアエーも、美味しいし、歯ごたえも良い……」
甘塩っぱく味付けされたキノメアエーは筍の風味に良く合い、食感も楽しめる。
「こっちの炒め物も美味しいよ!」
笑顔でシズカの作った筍の炒め物を食べているのはクルル。
色々な味があって飽きることなく楽しめる。そして――
(うーん、これ、お酒が欲しくなっちゃうな)
竹酒という物もあったが、酔っぱらうといけないので断念した。
「沙夜のお吸物……出汁と筍……王道……だね……」
温かな美味しさにアリスは一息つき、次いでエリスのクリュディテも食べる。
「味だけじゃなくて、歯ごたえも美味しいね……」
筍料理の良さが十二分に引き出されたエリスのクリュディテに、笑顔が増した。
食べ進め最後はデザート。
アリスの筍パウンドケーキを食べて、予想外の美味しさに皆は褒める。
「美味しい!」
「これ隠し味に、味噌使うてたんよね?」
「生地に乗ってるクルミも合ってる」
「美味しいですわ!」
「美味しいですの!」
「シズカが、手伝ってくれたお蔭……」
「アリスさんが丁寧に作ったからですよ」
デザートは別腹なので、筍のわらびもち包みも美味しくいただく。
「わらびもちのもっちりとした食感と、たけのこのほのかな甘みがマッチしてて美味しいです!」
エリスと同じように、皆は堪能した。
全て食べ終わり、一休みした後はレシピと竹の育て方を教えて貰い。
(うちの領地でもたけのこを増やせるかどうか確認してみなくては……)
エリスのように、それぞれ考えながらレポートを仕上げ、帰路に着くイレギュラーズ達だった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした!
正直、もっと書きたかったです。ご飯みんなで食べるシーンとか特に。
そう思ってしまう素敵なプレイングでした!
夜遅くにリプレイ書いていたのですが、皆さまのプレイングに腹が減ってきました。
想像してて美味そうでした。
書き終わった後、竹酒とかも出せば良かったかな? とか思ったり。
ファンタジーなので、竹の中に直接お酒が出来る伝説の竹酒とか出来るじゃん! とか思ったり。
現実だと、よっぽどの条件が揃わないと出来ないそうですが、ロマンだよな、と。
そして、今回のシナリオで出していたデザートで、わらび餅にしようか、それともパウンドケーキにしようか迷ってわらび餅にしたんですが、パウンドケーキをプレイングで出していただいたのでビックリ!
他にもマフィンやプリンも作って売ってる所もあるらしく、食べてみたいなぁ、と思ったり。
そんな風に、色々と書いていて楽しめるリプレイでした。
それでは、これにて。
最後に重ねまして、皆さまお疲れさまでした。ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
12本目のシナリオは、アフターアクションで頂いた内容を元に作った物になります。
筍は天ぷらにして食べるのが好きです。
ベーコンとかアスパラと一緒に細切りにしたものをオリーブオイルで炒めてパスタにしたものとかも食べたくなります。
あさりと筍のスパゲッティも好いです。唐辛子とかにんにくはお好みで。
歯応えが良いですね。
などと食欲まみれの呟きをした所で、以下詳細です。
●成功条件
たけのこ料理を美味しく頂きましょう。
●流れ
今回は、以下のような流れで進みます。
1 よく手入れされた竹林に早朝訪れると、現地の人が居ます。現地の人から教わってたけのこを掘っても良いですし、現地の人に採るのを任せても良いです。
2 たけのこ料理を現地で作ってくれます。竹林の近くで野外調理場を作ってくれています。手伝っても良いですし、料理を任せてのんびりしても良いです。
3 たけのこ料理実食。美味しくたけのこ料理を食べましょう。
4 食べ終わった後、たけのこ料理の感想を書き、繁殖用の地下茎とたけのこ料理のレシピを貰って帰れば依頼終了です。
●たけのこ料理
以下のような料理が出ます。
1 釜炊きタケノコご飯
おこげが香ばしい。山菜も入っている。
2 さしみ
地面に隠れた状態の、えぐみが少ない若いたけのこをさしみにした物。ほんのりと甘味があり、ほど良い歯応え。しょうゆやポン酢、トウガラシなどをお好みで掛けて食べます。
3 たけのこの天ぷら
揚げたてが食べられます。塩でもつゆでも、お好みの味付けで。
4 筍のわらびもち包み
朝に採った、えぐみが少ない若いたけのこを皮のついたまま焼き上げ、その甘みの強い実をサイコロ状に切り、わらびもちで包んだ物を冷やした物。きな粉や黒蜜で食べても良し。わさび醤油で食べるも良し。
上記以外の物も、頼めば作ってくれますし、自分達で作るのも可能。必要な食材は、用意してくれます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
説明は以上になります。
それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。
Tweet