PandoraPartyProject

シナリオ詳細

水晶星の王子様

完了

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●水晶星

 むかしむかしのお話よ。人間が暮らしている遥か遠くの宇宙の上。銀河の向こうのさらに向こう。水晶でできた惑星のお話ーーーー

 その惑星は「水晶星」といって、真っ暗な宇宙の中でも一際目立つ惑星でありました。水晶星に生まれた生き物達は全てピカピカと輝いていており、それはそれは素晴らしい星でありました
 この星の、元は透明な植物達は、地球で言うところの太陽に似た大きな恒星が放つ光をいっぱいに受けその形を表します。その植物達を食べた元は透明な動物達がその光と栄養を吸収し、その動物達を食べたまた別の元は透明な動物達が更にその光と栄養を吸収する。……こうした経緯を経て、星の生き物達は元は透明な体を光り輝かせていたというわけなのです

 そんな水晶星を統べる小さな王子様がおりました

 彼の名は「アマン・デトワール」

 アマンは宇宙色の美しい髪がチャーミングポイントの優しい王子様でありました

「あぁ、宇宙に住まう幾万の星々よ。ボクは毎日ひとりぼっちで寂しくこの星を守っております。ですが、それももう限界です。星々よどうかお願いです。ぼく寂しくこの星をならないように話し相手をお与えください」

 アマンは自分だけ他の星のもの達とは違う造りをしていることを知っておりました
 もし、自分が他の星のもの達と同じように、元は透明で、光を吸収して、やっとその姿を表すことができたなら。或いは、自我のない作り物であったら、と思っておりました

「あぁ、宇宙に住まう幾万の星々よ。それが叶わないのでしたならせめて、せめて、ボクを彼らと同じような体の造りにしてください」

 悲しい悲しい王子様。ですが、彼の願いが叶えられることはありませんでした

 やがてアマンは寂しさに耐えきれず、しくしくと泣き出してしまいました。そして、そのアマンの涙は川になって星を流れて行きました。それでもアマンは泣き止まず、遂には川が湖になり、海になり、星全体が涙で包まれてしまいました
 星の生き物達は涙に沈み光を放つことができなくなり、誰も目には見えなくなってしまいました
 それを知ったアマンはまた悲しくなってしまいました。ですがやっと涙を拭い、眠ることにしました。ベッドは既に涙の海の中。するとアマンは涙の海の中に飛び込み、そして沈んだベッドの上に横たわりました

「明日こそ、きっとボクの願いが叶ってくれるかもしれない」

 水晶星の夜はとても寒く、最低でも-200℃まで下がります。ですが、そのぶんとっても短く、昼がとっても長いので、慣れてしまえばそう大変ではありません
 そうして水晶星に夜が訪れました。気温が下がり、星を包んでいた涙の海はすっかり凍ってしまいました

 朝が来て、昼になる頃には凍った涙の海も溶けて、それどころか乾ききってしまいました。それから生き物達は何事もなかったかのように光を放ち始めます

 さんさんと光が星を照らす暖かな昼。ベッドの上に横たわるアマンは、ずっと憧れていたはずの美しい水晶になっておりました



 本を読み終えたカストルは呟いた
「可哀想な王子様を救ってあげて、友達になってあげて」
 「僕にはそれができないから」と、読んでいた本をそっとあなたに差し出した

NMコメント

こんにちは、こんばんは。佐茂助と申します
こういうお話が大好きです

【目的・目標】
どこからともなく現れ、王子様の友達になってあげる

【アマン・デトワール】
黒髪の男の子。外見年齢は10歳くらい。心優しい王子様

【サンプルプレイング】
もう寂しくないよ私がいるからと、一緒にトランプをして遊んであげる


皆様のご参加お待ちしております
どうぞよろしくお願い致します

  • 水晶星の王子様完了
  • NM名伊与太
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月28日 22時05分
  • 参加人数3/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(3人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
えくれあ(p3p009062)
ふわふわ
大瑠璃 御空(p3p009600)
特異運命座標

リプレイ



「友達は歩いてこない、だから歩いていくんだよってな」
ㅤ『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は星の上を歩きながら鼻歌を歌う
「まあ王子と言う立場だと宇宙を旅して友達を探しに行くなんてできないだろうし、しょうがないから俺達が遊んでやろう」
ㅤ世界はアマンの近くに腰掛け、小さく息を吐く
『なぁんて偉そうなことを言ってみたけど俺ってばそんなに人付き合い得意なタイプじゃないのよね』
ㅤ話し相手くらいなら何とかなるが……どうせなら見返りを求めたい。世界は星の上をぐるりと見渡した。どうやらこの星には名前通り水晶でできたものしかないらしい

「ボクの話し相手になってくれるの?ㅤもしかしてお願いが叶ったのかな!」
ㅤアマンは水晶でできた瞳をキラキラと輝かせて世界に笑いかけた
「こんにちは、お兄さん。わぁボクと髪の色が一緒だ。ふふ、嬉しいなぁ」
「あぁこんにちは。髪の色が同じなのがそんなに嬉しいのか?」
「え、あ、そうかな……ごめんなさい。変な子だって思った……?ㅤボク、お星様以外と話すの初めてで……だから……」
「そんなこと思っちゃいないぜ?」
ㅤ俯くアマンに世界は優しく微笑みかける
「……なぁ、俺は見ての通りこの星に来たばかりだ。この星のことを教えてくれないか?ㅤそうだな。星の上を散歩しながらってのはどうだ?」
「う、うんっ、もちろん!」

ㅤ世界とアマンは星の上を歩き出した
「あのね、この星は水晶星って言うんだけど、なんでそう言うかっていうとね、この星の草や木や花や動物達が全て水晶でできているからなんだ。ほら見て、鹿が木の皮を食いるよ」
ㅤアマンが指さした方向では水晶でできた鹿が水晶でできた木の皮をペリペリと剥がして口に運んでいた。鹿が木の皮を飲み込んだ瞬間、少しだけ先程よりも鹿が輝いて見えた
「恒星の光を吸収した木の皮を食べることで鹿がその光を更に吸収してあぁやって輝くんだ。これが水晶星が宇宙からでも一際輝いて見える秘密だよ」
「へー、これは面白いな。栄養だけじゃなく光も吸収するってことか」
「うん。そうだよ。この星では光がないと自分が透けて見えなくなっちゃうからね。でもボクは別。光ってなくても見えるもの……」
「……嫌か?」
「嫌。だって、みんなと違うもの」
「でも光らずに姿が見えるってのは俺と一緒だぜ?ㅤそれでも嫌か?」
「それは……嫌じゃない……けど」
「けどなんだ?」
「お兄さん……ずっとここにいられないんでしょ?」
「まぁ、俺にもやらなきゃいけないことがあるからな。……王子様もそうなんじゃないか?」
「ボクに、やらなきゃいけないこと?」
「そうだ。この星の王子様なんだろ?じゃあこの星がずっと平和でいられるように努めるのが仕事だろ?」
「…………ボクね、アマンだよ。アマン・デトワール」
「そうか、アマン。俺は世界だ。回言ㅤ世界」
「ボク、頑張るよ!世界が教えてくれたから。ボクのやらなきゃいけないこと」
ㅤそう言ってアマンはにこりと笑って見せた
「あぁ」
ㅤ世界は目を細め、アマンの黒髪を優しく撫でた

「それじゃ、アマン。元気でな」
「世界もね!」
ㅤ世界はアマンに見送られ、水晶星を後にした
『何?ㅤ見返りはどうしたって?
……今日は疲れたからまた今度にさせてもらうよ。そうすればまたここに来る理由にもなるってもんだろ?』



「ここで1人でがんばってたの?ㅤすっっっっっごく、えらいんだねぇ……!」
ㅤ『ふわふわ』えくれあ(p3p009062)はアマンにとびきりの笑顔を見せた
「ぼくもね、おともだちがほしいんだ。いっぱいつくりたいの!
ㅤだから、ぼくとおともだちになってください!」
「うんっ、もちろん!」
ㅤアマンもえくれあにとびきりの笑顔を見せて、嬉しそうに返事をした

ㅤせっかく友達になったんだし、なにしよっか?ㅤどうせなら、みんなでできる遊びがいいよね。と、えくれあはアマンにフリスビーはどうだろうと提案する
「ふりすびぃ?ㅤ……この丸いの?」
「そうだよ、1人で遊ぶのはたいへんだからね……!ㅤなげて、キャッチして遊ぶの!」
「こうかな?」
ㅤアマンはぎこちない手つきでフリスビーをえくれあに向かって投げる。が、よろよろと宙を飛ぶフリスビーはえくれあに辿り着くことなく、ポトリと地面に落ちた
「いがいとねぇ、まっすぐとばすのってコツがいるんだよ」
「ボクには難しすぎるよ……」
「でも、なれればたのしいとおもう!ㅤからだもうごかせるしとってもけんこうてき!」
ㅤえくれあは落ち込むアマンを励ました。それから「そーれっ」と自分もフリスビーを投げてみせる。えくれあの投げたフリスビーはまっすぐアマンの元へ飛んで行く
「す、すごい!ㅤどうやったの?」
「ふふふ、手をね、投げる時にくいってやるんだよ。アマンくんもきっとできるよ!」
「うん!」
ㅤアマンは手の動きに注意して、もう一度フリスビーをえくれあの方へ投げる。すると、今回はまっすぐえくれあの方へ飛んで行った
「やったぁ!ㅤまっすぐ飛んだよ!」
「すごーい!ㅤできたね!」

ㅤ2人はフリスビーで遊んだ後、えくれあの持ってきたお弁当を一緒に食べた。それから少し眠くなって昼寝をした
「……そうだ、あのね!」
ㅤ昼寝から目覚めたえくれあは隣で横になっているアマンに話しかける
「ぼく、このほしのこと、もっと知りたい!ㅤだってとってもきれいなんだもの!ㅤアマンくんの知ってること、おしえて!」
「うん、いいよ」
ㅤアマンは横になったまま広い宇宙を見上げた
「この星はね。全部水晶でできてるんだ。草や木や花や動物……全部。全部。でも、ボクだけは違う。僕だけ、水晶じゃない。だから、この星にいるのは少し寂しいんだ。でも今日はちっとも寂しくないや。えくれあがいてくれてるからかなぁ……」
「そっか……えへへ。じゃあ次はぼくの来たばしょのおはなしをするね。ぼくの住んでるところはね。練達っていうばしょなんだけど……こことはまたちがった、ピカピカしたかんじ!ㅤカラフルなときもあるよ。……ぼく、そこでお店やさんしてるんだぁ」
「おみせやさん……?」
「ものを売ったり、買ったりするばしょだよ」
「そんな場所があるんだね。面白そう」
「ねぇ、アマンくんって、ふだんここで、どんなことをしてるの?」
「そうだなぁ……なにもしてないかも。ずっとこの星のことを眺めて、それからお星様にお願い事して。それでおしまい」
「おしまい?」
「後は眠るだけ。ボクってかなり退屈してるのかも」
「そうなの?ㅤじゃあアマンくんがたいくつしないようにまたぼくが遊びに来てあげる!」
「本当?ㅤそれじゃあ次にえくれあに会える日を楽しみにしてるね!」
「うん!ㅤぼくもまたアマンくんと会える日を楽しみにしてる!」

『せっかく友達になったんだもん。1回しか遊べないなんてそんなのつまんない』
ㅤ2人は一緒に星の上に寝そべりながら笑いあった



「アマン王子……だったね」
ㅤ冷たい水晶の地面の上で蹲るアマンに『特異運命座標』大瑠璃 御空(p3p009600)は優しく語りかける
「ここは、綺麗な場所だけど寂しい場所だね」
ㅤ御空はアマンの傍に腰を下ろす
「君はずっとここに居るのだとしたら……それはきっと、辛い事だと思う
ㅤ外の世界が、綺麗とか汚いとか……俺が断定する事は出来ないけれど
ㅤそれでもね、
ㅤ綺麗なもの『だけ』を見ると、多分辛くなる……それしか知らないから、それらと比べてしまうんだ」

「君は誰?ボクは今、夢を見ているの?」
ㅤ突然現れた御空にアマンは自分の目を疑った
「俺は大瑠璃ㅤ御空。夢なんかじゃない。君を連れ出しに来たんだ。君はもっと色んな物を見た方がいい」
ㅤ「勿論、君が望むなら、無理がないならになるけれど」と、御空は続ける

「俺と一緒に、旅に出てみないか?」

ㅤ御空はにこりと微笑んだ
「きっと、好きな物が出来るだろうし……嫌いな物も出来るだろう」
「嫌いな物はもう沢山。好きな物を見つけに行きたい」
「それなら好きな物を探しに行こう」
「うん……探しに行きたい。でもボク……ごめん。行けないや」
「……そっか。いや、本当はただ旅の話し相手が欲しいだけなんだ……だから、気にしないで」
ㅤそう言うと、御空は苦笑いを浮かべた
「俺も、気づかない内に一人になっていたから……寂しい気持ちがなんとなく分かるよ。だからかな、放ってはおけなかった。無理なこと言ってこちらこそごめんね」
ㅤ「無理強いをするつもりは無いから」と呟く御空の寂しそうな横顔をアマンは静かに見つめていた
ㅤそれから暫くの沈黙が続いた

「そうだ。代わりにこの世界を一緒に見に行こう」
ㅤ沈黙を破ったのは御空だった
「俺は君を連れて飛んであげるよ……少しは、君を紛らわす事ができたらいいんだけど」
「御空は飛べるの?ㅤ凄いや。水晶星にやって来たり、ボクをどこかへ連れ出すことが出来たり、空を飛んだり……ボクのできないことがいっぱいできるんだね」
「そんなことないよ。きっと君には俺にはできない、君にしかできないことが沢山あるよ」
「そうだったらいいな」

ㅤ御空はアマンの手を取って、空へ飛び出した。細な水晶達が集まったぴかぴかと輝く雲の中を潜り、ぐんぐんと上へ上って行く。下を見下ろせば、恒星の光をいっぱいに受けた植物達が風に吹かれてザワザワと揺れている。ザワザワと揺れる度に植物達の葉や花が宙を舞い、それらがキラキラと光っていた
「わぁ、ボクこんな景色を見たのは初めて」
「うん。綺麗だね」
ㅤそれから暫く御空とアマンは空の旅を堪能した

ㅤ日が傾き始めた夕暮れ。地上に戻った2人は別れを惜しんでいた。御空は『練達上位式』で青い小鳥を作ると、それをアマンに渡した
「きっとまた会える。その時まで、その式を大事にしていて欲しい」
「うん。ボク、また御空に会えるって信じてるから」
ㅤそして御空は青い翼を広げ、手を振るアマンに見送られながら水晶星を飛び立った

ーー『またね、御空。ボクの青い鳥』

成否

成功

状態異常

なし

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