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シナリオ詳細

<ヴァーリの裁決>平和に忍び寄る死の影

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 幻想、アーベントロート領にある湖を中心とした領地『Eir』。
 そこは、戦闘支援集団【朱煌剣】の1人であるアリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)が幻想三大貴族アーベントロート侯爵家の名代であるリーゼロッテ・アーベントロートから任された地である。
 『Eir』とは、「平和、救済」を冠するある戦乙女の1人、そしてアリシアの半身が好んで願い誓っていた言葉とのこと。
 アリシアが領主になってからはしばらく、この地には穏やかな時が流れていた。
 住まう人々は湖に吹く風を感じ、その恵みを享受して日々を過ごす。
 多少現れるモンスター程度なら、混沌の各地に起こる戦争などに参加するなどして忙しい【朱煌剣】の力を借りずとも、若者だけで編成されたEir自警団で対処することも多い。
 接近戦に特化した剣使いに斧使いは非常に頼れる力を持ち、数々の魔物を粉砕している。
 前に踏み込んでこない敵は遠距離、範囲攻撃の得意な弓使い、魔法使い達だ。群がる敵は彼らの技や術が瞬く間に殲滅していく。
 そんな彼らをサポートするのは、回復、支援が得意な者達。数は少ないが、前後衛で戦うメンバー達が十全の力を出す為には欠かせぬ存在だ。

 ただ、今回の敵は『Eir』の自警団の手にも余る敵だったようだ。


 幻想では、現状、不穏な動きが確認されている。
 例えば、奴隷商による奴隷売買。それらと手を組む一部の貴族が暗躍している話もある。
「『古廟スラン・ロウ』の結界内にあった王家のレガリアの奪取、それに暴かれた伝説の神鳥が眠る『神翼庭園ウィツィロ』の封印……」
 アクアベル・カルローネ(p3n000045)は幻想ローレットにて、依頼に興味を持つイレギュラーズ達に説明を行う。
 簡単に幻想の動向に触れたアクアベルは、本題となる魔物の出現について話す。
 このところ、幻想各地に現れる『鳥』に関わる魔物、『巨人』に関わる魔物。怪王種(アロンゲノム)化した物も確認されており、因果関係の究明にローレットは全力を注ぐ。
「もちろん、現れた魔物の討伐は急務です」
 各領地へと侵攻する魔物。この状況に乗じて活動する奴隷商人や貴族。いずれも、放置するわけにはいかない。
 
 今回、魔物が現れるのは、『Eir』と名付けられたアリシアが領主となる湖を中心とした領地だ。
 この地に散見されているのは、死霊の群れだという。
「夜ごとに死霊達が街……ラスト・アンサラスに近づいていて、住民は眠れぬ夜を過ごしています」
 近日中に死霊が街に至るのは間違いない。
 そこで、先んじてローレット側からこの領地を守る為に死霊どもを殲滅したい。
「ただ、こちらから仕掛ければ、相手もなりふり構わず人々を襲うと思われます」
 物量戦で攻め来る相手。街のEir自警団の協力を得てもなお、総数は倍以上を相手にすることになりそうだ。
 幸い、相手は徐々に街へと近づいていた為、ある程度その戦力を調べることができている。その情報をうまく利用すれば、死霊の裏をかくことも可能だろう。
 それらの情報を纏めた資料をイレギュラーズ達に手渡し、アクアベルは説明をこう締めくくる。
「不安で怯える領民の人々を、どうか安心して眠れるよう助けてあげてくださいね」


 夜、朱煌剣統治領『Eir』。
 死霊の群れが現れるようになってからというもの、ラスト・アンサラスの住民達は日が落ちた後は家に閉じこもり、身体を震わせている。
 それは、街の警護に当たる自警団メンバーとて例外ではない。
「な、なんだあれは……」
「アンデッドの……群れだ」
 グオオオォォォォ……。
 アアアアァァ、ウオオオォォォ……。
 街の外壁に設置された見張り台からメンバー達が見つめる先の街道で、気味の悪い声が響く。
 浮遊する半透明な身体のレイスに、身体が朽ちかけた食人鬼グール。それに、呪術用の包帯を巻きつけたマミー。
 それらの群れを統率するのは、ボロボロの西洋風神官服を纏った白骨の魔物。
「死霊どもも集まっている。直にあの街を飲み込む戦力となる」
 白骨化した魔物……ワイトキングは声帯を失っているはずだが、低く不気味な声を響かせて。
 窪んだ眼孔からそいつが見つめるのは、静まり返ったラスト・アンサラスの街。
 まだ家々には光が灯っており、ワイトキングはそれらが消えるのをじっと待つ。
「ククク、最後の時まで、家の中で震えているがいい……」
 含み笑いするライトキングはまた新たな死霊をこの場に呼び寄せるのである……。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 こちらは幻想アーベントロート領にあるアリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)さんの領地、朱煌剣統治領『Eir』で起こる事件です。

●目的
 街の住民に被害を出さないこと。

●敵
 領地に現れる死霊の群れです。

〇ワイトキング×1体
 人間種の成人程の大きさをした、アンデッド。強い思念によって死霊を統べる王です。
 以下の新たな死霊を呼び出す他、力を高めつつ負の力を振りまき、呪殺、苦鳴、不運、暗闇、呪いと幅広く異常に侵してきます。

○レイス×20体
 死霊その1、霊体に近い体を持ち、やや高めの物理耐性を持ちます。
 生きる者に近づいて生気、活力を奪っていく者達です。

○グール×25体
 いわゆる食人鬼。骨や肉片を周囲に投げつけて相手を猛毒や痺れ、出血状態にし、鋭い牙で直接食らいついて来ます。

○マミー×15体
 包帯を巻きつけられた死体。包帯に編み込まれた魔力によって、神秘耐性がやや強いようです。
 自身の身体に巻きつけられた包帯を伸ばして相手を縛り付ける他、呪いや疫病を振りまく事があります。

●NPC
〇Eir自警団×10人
 領地内の若者男女を中心に編成された自警団です。
 レベルは10程度。4名が剣や斧など近距離特化。4名が弓や攻撃術式など遠距離中心、2名が支援、回復をメインに立ち回る集団戦を想定したメンバーです。

●状況
 舞台は湖を中心とした緑豊かな場所、『Eir』主要地区であるラスト・アンサラスの街です。
 時刻は夜、どこからともなく現れたアンデッドの群れがラスト・アンサラスへと至ります。
 アンデッド達は生きる者全てを自分達の仲間へと引き込もうとしており、街に至ってしまうとほぼ間違いなく被害が出るものと思われます。
 街の自警団が応戦の為に参戦してくれます。上手く指示を出すことで実力以上の力を発揮してくれます。

●ブレイブメダリオン
 このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
 ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
 それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
 このメダルはPC間で譲渡可能です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <ヴァーリの裁決>平和に忍び寄る死の影完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月31日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
蘭 彩華(p3p006927)
力いっぱいウォークライ
ガヴィ コレット(p3p006928)
旋律が覚えてる
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)
あいの為に
ノルン・アレスト(p3p008817)
願い護る小さな盾

リプレイ


 幻想アーベントロート領、『Eir』主要地区である街、ラスト・アンサラス。
 すっかり日も暮れて家々に明かりが灯る街を、白衣に眼鏡着用の『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)が気だるげに仰ぎ見て。
「イレギュラーズの領地が襲われる事件が多発してるらしいな」
 その動きは明らかに作為的。一体だれが何を企んでいるのやらと呟きつつ、敵軍を迎え撃つ準備を整える。
 グオオオォォォォ……。
 アアアアァァ……。
 敵軍、それは、街道を中心として街へとゆっくりと近づいて来る一団。
 霊体に近い死霊レイス、食人鬼グール、包帯を巻きつけたマミーの混成部隊である。
「あらあら、こんなに死霊達が。いったい何を思ってここに来たのかしら?」
 小柄で足まで伸びたピンクが混じった淡い金の髪を持つ『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)が首を傾げる。
「アンデッド……かなり数ですね」
「わあ、見るからにヤバそうな敵の群れですね!」
 普段は柔和な笑みを浮かべる『旋律が覚えてる』ガヴィ コレット(p3p006928)がこれは大変だと表情を引き締めれば、狐の獣種の血を引く『力いっぱいウォークライ』蘭 彩華(p3p006927)があんなのが街にやってきたら大惨事だと気合を入れて。
「私達イレギュラーズが迎え撃ちましょう」
「今日は過労死するな、きっと」
 彩華の一言を受け、大量の敵が状態異常をもたらす術を所持しているという事前情報を世界は思い出し、小さく嘆息する。
 ウオオオォォォォ……。
「死人に口なしとは言いますが……死んでも騒ぐんですか?」
 敬虔な聖職者といった見た目をした『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)は向かい来るアンデッドの集団に問いかける。
 ただ、返ってくるのは、無理やり生かされる苦しみの声だけ。
「未だ神の下へ行けず彷徨う魂……ええ、ええ、目障…………悲しい事ですね」
 そんな軍勢にいささか辟易としたのか、演技するライも若干本音が漏れかかっていたようである。
「生への執着? 生きてる人が無条件に憎い? 可哀想ね、可哀想」
 繰り返すフルールは死霊らを救う方法がこの世の軛から解き放つ……つまりは退治するしかないと告げる。
「まだお話出来たなら、そうでもないのでしょうけどね」
「ククク……、語ることなどない。その生を奪うのみ……」
 フルールは唯一、会話ができそうな軍勢の長、ワイトキングの姿を奥に確認するが、そいつすらも満足に対話できる素振りを見せてはいない。
「後れを取るわけには参りませんね。Eir自警団の皆様と連携を取って立ち向かえば……」
 数の不利はきっと覆せるはずとガヴィは豪語する。自警団メンバー達も見張り台から、自宅から、巡回からと集まり、手早く戦闘態勢を整えていた。
 敵を出迎える為の搦め手を講じていた世界は戦略眼を働かせ、敵の侵攻ルートを予測して手製の精霊爆弾を設置していく。
 また、世界は街の人にも呼びかけ、若干だが自分達が取りこぼしたときの保険として街の入り口近くにも設置を頼んでいた。 
「輝く魔法とみんなの笑顔! 魔法騎士セララ、参上!」
 颯爽と現れた赤いうさみみりぼんの『魔法騎士』セララ(p3p000273)は街方面に保護結界……セララフィールドを展開し、建物を保護する。
「これで遠慮無く範囲攻撃が使えるね」
 それを見た自警団の若者達も幾分ほっとしつつ、自衛の戦いに臨むことにしたようだ。
「自警団の方々まで勇気を出して戦いに力を貸してくれるのです。私もいつもの倍は働くつもりで頑張りますね!」
 彩華も皆の力を得て、気合を入れる。そして、この地の領主、非常に色白な肌を持つ『Red Like Roses』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)。
「領主として……特異点として為すべき事をやるだけよ」
 彼女は、相手が今回の件について洗いざらい吐くことは期待しないが、自身の領地を攻めてきたことを許す訳にはいかないと奮起する。
「そこにいるだけの領地の皆さんを被害に遭わせるわけにはいきません」
 ――ボクはボクの全力で、護ります。
 仲間に先んじて、深緑出身のアルビノの少年、ノルン・アレスト(p3p008817)は仲間の盾となるべく飛び出していくのである。


 ウオオォォ、アオオオォォ……。
 怨霊の群れはゆっくり、着実に街へと歩を進める。
 世界が周囲の仲間やEir自警団メンバーに刹那瞬く光で包んで防御系能力を高める。
 その光へと死霊が群がり、両者が交錯し始める。
 先んじて動いたアリシアは全身の力を魔力へと変換して。
(建物への被害はセララ団長の保護結界で幾分かは緩和出来る筈、力を抑える必要は無いわ)
 直線上の敵へと撃ち放ったアリシアの魔砲に貫かれたレイスやグールが早くも苦しみ悶える。
 数で攻め来る相手だけあって、個々の体力はさほど多くはない。
 しかし、種族ごとに耐性があるらしく、魔砲に当たったマミーはさほど痛みを感じる様子がない。
 そのマミーを捕捉したセララはおやつを口にしてから、聖剣を切り払う。
 セララの斬撃は包帯を伸ばすマミーを切り裂いた一方で、レイスは斬撃に触れていてもさほど痛がる様子は見られない。
 そんな敵軍に対し、世界は虚空に描いた白蛇を具現化させ、死霊どもへと食らいつかせていく。
「物理耐性も神秘耐性もこの術の前には無意味だ」
 世界がけしかけた蛇の一噛みにダメージはない。
 しかし、それがもたらす毒、燃え上がるような痛み、出血はどんな死霊だろうと確実に体力を削る。
 その間、敵陣へと攻め入っていたのはノルンだ。
「街に手出しはさせません。月並みな言葉ですが、ここを通りたければまずはボクを倒してみろ、ということです」
 群れを率いるワイトキングの元へと移動した彼は誰かを護るという願いを込めた盾を構え、扇『輝夜』を開き、言葉を投げかけて自分へと意識を向けさせようとする。
「街を攻めようというのなら、子供一人くらいは簡単ですよね?」
「小僧、よく言った」
 ワイトキングは負の力をノルンへと注ぎ込もうとする。
 思い通りになったのはいいが、後は我慢比べ。ノルンはしばらく負の力に耐え続けることとなる。
「一番厄介な相手、敵のボスですね!」
 それを視認する彩華にとって、レイスは物理攻撃が聞きづらい彩華の天敵。グールは飛び道具の異常攻撃が厄介かつ不潔で囲まれたくない相手。
 以上を踏まえ、彩華は神秘攻撃が効きにくいマミーを積極的に相手取り、こちらの足止めを行うべく巻き付けてくる包帯ごと狐火の炎で燃え上がらせていた。
「ノルン様がワイトキングを止めてくださる間に……」
 ガヴィは他の敵を討つ。目下の目標は共闘するEir自警団だけで対応できる程度にまで数を減らすこと。
 彼らはそれなりに訓練を重ねていたようで、布陣を固めてグールやマミーを中心に相手を行っていた。
 仲間らの立ち位置を確認し、ガヴィは絶望の海を歌って死霊……レイス、グールを中心に魅了し、敵陣の攪乱を目論む。
(定石だけど、ワイトキングが死霊を呼び寄せる頻度と量が定かでないから、見極めないとジリ貧よね)
 フルールはノルンがいつまでもつかという点も考慮し、早めにワイトキングの対処へと移行すべきと判断する。
 そう決まれば、フルールは精霊達と融合し、地形の効果が及ばぬ程度に低空飛行し、紅蓮の爪と喰らいつきを使い分けて死霊どもの体力を削っていく。
 オオオオォォォ……。
「死者には安らかな眠りを……神もそう望んでおられますよ。だから……ね?」
 ライは死霊達に対し、敬虔で優しいシスターであるように見せかけつつ、十字に切って戦いに臨む。
 ――父と、子と、聖霊の、御名によって、Amen。
 ただ、アタッカーたるライが手にしていたのは十字架ではなく、冷たい銃。
「土の下で黙ってろ」
 彼女は当たるか当たらないか等という心配など微塵もしていない。
 ――神を試すことなかれ。
 その射撃は確実に、狙ったレイスの体を穿ち、その存在を消し去ったのだった。


 戦闘開始からしばらく、イレギュラーズ、Eir自警団の混成部隊はアンデッドの軍勢と交戦を続ける。
 時折、世界が設置していた精霊爆弾が起爆するのが確認でき、グールやマミーが爆風に巻き込まれて吹っ飛ぶ。
 なお、街側に設置した爆弾はまだ起爆がなされていないことから、そこまで抜けた敵は現状いないようだ。
 ただ、奮戦する自警団メンバーは相手が少数であれば互角以上に戦って見せるが、交戦に加わる敵が増えれば徐々に数で押されて。
「加勢するよ! 自分の命を大事に。今のうちに立て直してね」
 前衛のセララなどは合間を見て自警団の戦いに加わる。
 強引に入り込んで来ようとするグールやマミーを切り裂きつつ、数体を自分の方へと引き付ける。
「申し訳ありません……!」
 Eir自警団の1人が苦しみそうな表情をして一度前線から下がる。
「大丈夫です。落ち着いて戦えば、全員生きてこの戦いを勝ち抜けます」
 消耗が激しくなってきた自警団メンバーに、ガヴィがスピーカーボムで鼓舞する。
「遠距離中心の皆様は下がった位置から弓、術でそれぞれ得意な敵を狙ってくださいませ」
 それだけでなく、なるべく自警団の力を引き出そうと、ガヴィは攻撃の手を止めて彼らの統率も行う。
「回復支援のお二方は前に出ぬようご注意を。……近距離の方々はレイスとは当たらないように……」
 細やかな指示を出しつつ、ガヴィは仲間の回復も忘れないが、彼女1人では手一杯になってしまう。
「レイスは術式の方に任せ、近接の皆様はそれ以外の敵と対してください」
 そこで、アリシアも統制、統率のスキルを働かせ、自警団メンバーが最大限に能力を発揮できるよう立ち回っていたようだ。
 そのおかげもあり、布陣後方で支援回復に専念するメンバーが手厚く仲間の傷を塞ぎに当たる。
 一時、前線の攻撃の手が緩む間、後方の弓使いや術使いが攻撃の手を強めて戦線を支えようと踏ん張ってくれていた。
 ノルンも依然として盾を構え、ワイトキングの負の思念に耐え続ける。
 状態異常のオンパレードに対し、ノルンは自らの内なる恐怖を振り払い、じっと堪えていた。体力全快なら攻撃も考えていた。
 だが、さすがにそうも言ってはおれず、徐々に体力をすり減らすノルン。
 なかなか仲間達も彼のフォローに動けず、負の力に屈しかけたノルンは倒れそうになる体を支えて。
「必ず……護り切ります……!」
 己のパンドラの力に頼り、彼は気力を振り絞ってワイトキングの前に立ちはだかっていた。

 ワイトキングの注意が仲間に向いている間に、他メンバーが死霊の群れの討伐を進める。
 相手が状態異常で攻めてくるならば、ライもまた十字を切ってから放つ弾丸でアンデッドどもを苛む。
 極度の集中状態となった彼女は比較的神秘攻撃が通りやすいレイスから呪殺の銃弾を連射する。
 オォ、オオオオォォォ……。
 的確な狙いで放たれるライの射撃によって、レイスを中心に、死霊どもは次々に消え、地へと還っていく。
 その間も、死霊はそれぞれ得意とする攻撃でイレギュラーズを苛む。
 乱戦状態となりかけた状況もあり、あちらこちらで仲間が毒に、出血に、呪いにと苦しめられれば、世界はコンスタントに味方の状態を立て直す号令を上げて。
「直に突破口が開ける。防戦が続くのも時間の問題だ」
 とりわけ、ワイトキングの攻撃を1人で受け持つノルンの負担は重く、世界は自らの調和の力を賦活へと転じて施していたようだ。
 気づけば、レイスがほぼ壊滅状態。グールとマミーをある程度減らせば、自警団でもなんとかなりそうだ。
「私の狐火で、引き寄せます!」
 まだ数が多く残るグールに囲まれたくない彩華は、魔性の炎を燃え上がらせて個別にグールを引き付ける。
 そうして、彩華はさらなる炎を燃え上がらせ、グールの全身を崩してしまう。
「うまく、ワイトキングの注意を引き付けてくれているのね」
 ワイトキングが死霊を呼び寄せるという情報もあり、仲間が相手の足止めをうまく行っていることに、フルールは幾分か気を楽にする。
 後はできる限り、紅蓮の爪で敵を切り裂き、紅蓮の影に敵を飲み込ませ、フルールは数を減らす。
 グールが減り、またマミーが目立つようになれば、アリシアはカード状の召喚式を生成して解放。
 現れたアリシアの半身、『白焔の戦乙女 レナ』が紅の一閃を浴びせかけて血に染めたマミーを横たえる。
 レイスは全滅、グールとマミーを合わせた数が両手で数えられる程度にまでなれば、イレギュラーズは残るワイトキングの方へと向かって。
「ええ、ええ、道に迷ってしまわれたのですね? 今、神の御許へとご案内いたしますよ」
「あれだけ呼び出した死霊をこの短時間で……」
 怒りの為か、わななくワイトキングはカタカタと全身を震わせる。
 そんな敵へとセララが一気に攻め入って。
「幻想の人々の平和はボク達が守ってみせる!」
 天雷が落ちた聖剣を振りかざし、セララは一気にワイトキングに切りかかる。
「ぐおおおっ……!」
 2,3歩よろけたワイトキングだが、骨となった足でもしっかりと地面を踏みしめて。
「君達はどこから来たの? やっぱり、神翼庭園ウィツィロに封印されていたの?」
「生憎、我にそれを語る口など、ない……!」
 そいつはセララへの返答を拒絶し、一層強めた負の思念を周囲へと振り撒いて来るのである。


 残る死霊も数少なく、Eir自警団が残る力を振り絞ってその討伐に当たる。
「最後まで気を抜かず、頑張りましょう!」
 ガヴィは1人も欠かさず自警団メンバーを返してあげたいと考え、最後まで支援に加えて討伐の手助けを行う。
 それは、他メンバーがワイトキング戦に専念できるようにという配慮もあった。
 それもあって、皆がワイトキングを囲む形で攻撃を仕掛け、新たな死霊を呼び寄せる隙も与えない。
「封印を解いたのは何者なの?」
「さてな。ククク……」
 再び、雷光迸る剣で切りかかるセララが問うが、ワイトキングはまたもさらりと質問をかわしてしまう。
 ――果たして、この件に潜むのは策謀か、はたまたただの偶然か。
 ノルンの疲弊もあり、前に出るフルールもまたそれを見極めるべく、神気を放ちながら問いかける。
「何を思ってここに? 誰かに命令されたのかしら?」
「幻想に集まる異形……。貴様達の方が何か知っておるのではないか?」
 フルールはその一言で何者かの差し金ではないかと感じるが、やはり相手はのらりくらりとかわして語ろうとはしない。
 光に耐えきったワイトキングがさらに負の力をフルール中心に振り撒く。
 体力が厳しくなっていたノルンを世界がかばうが、自力でそれを耐えていたフルールが顔を引きつらせれば、ノルンがすぐさま天使の歌声を響かせ、仲間達の体力を回復し、異常を振り払っていた。
 即座にワイトキングが負の力を凝縮させ、死霊を呼び寄せるが、現れたのはレイスが2体。
 構うことなく、ライはライトキングの体を銃弾で撃ち抜いていく。
「痛みが、死したる我の体に……!」
「では、後はお任せ致します。神の御加護がありますように……」
 全身の力が抜け、応戦が厳しくなってきていたワイトキング。
 そいつ目がけ、アリシアが紫電を纏わせた細剣で切りかかり、さらに追撃して再び半身である白焔の戦乙女を呼び出し、紅の一閃を死霊の王へと浴びせかける。
「み、妙な力を……」
「霊魂と共に生きる吸血鬼が珍しい? 貴方には関係無いわ」
 さらりと言い放つアリシアの言葉を満足に聞かせることなく、彩華がワイトキングへと組み付き、勢いよく投げ飛ばす。
「強制的に土に還してくれるのです!」
「ぐぉ、ま、まだだ……」
 それでもよろけながら起き上がる敵へ、セララがなおも雷光迸る剣を振り上げて。
「全力全壊! ギガセララブレイク!」
 全身に駆け巡る雷撃に、さすがの死霊の王も限界が訪れた。
「くうぅ、ここまで、か……」
 最後は虚空をかきむしるような体勢で、ワイトキングは全身を崩したのである。


 その後、残る死霊は皆で殲滅し、無事、ラスト・アンサラスの街を守り切ることができた。
 夜だというのに、勝利を知った住民達の歓喜の声が外にまで響いていた。
 心なしか嬉しそうな領主アリシアに対し、ノルンは無事に倒しきれたことで安堵してその場にぺたんと座り込んでいた。なお、ノルンはその態勢で、左手に巻いたスカーフを優しく撫でていた。
 また、セララは自警団らの力を借り、死霊達の墓を戦場となった街道脇へと築いていく。
「もう蘇っちゃダメだよ。天国に行ってね」
 死者にも憐れみを見せるセララ。住民達もまた、悪しき存在に利用された者達が安らかに眠れるよう、祈りを捧げるのだった。

成否

成功

MVP

ガヴィ コレット(p3p006928)
旋律が覚えてる

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPはこの場の全員が十全に戦えるようにと立ち回った貴方へお送りします。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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