PandoraPartyProject

シナリオ詳細

子守りも楽じゃない

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は決意した。
(やっぱり、確認しないと)
 彼女が気にしているのは、少し前の依頼で助け出した子供達。
 そして子供達を連れて行った、左腕が義手の男のことだ。
(面倒を見ると言ってたけど)
 実際に見た訳ではないので、確信を持てない。
(放っておけない)
 それは彼女の過去が囁く焦燥か。あるいは未来を求める渇望か。
 どちらでもあるだろう。
 だが今の彼女は、自分自身のことよりも子供達のことを想い行動している。
「2人に、お願いがあるんだ」
 宿屋の一階、食堂と酒場を兼ねた場所で。義手の男と関わりのある人物に呼び掛ける。
 傍らにメイドロボを侍らせたリリスとヴァンに、ミルヴィは言った。
「奴隷にされてた子達を連れて行った義手の男に会わせてくれないカナ」
「いいわよ」
「いつにします?」
「……いいの?」
 あまりにもあっさりと言われたので、思わず聞き返す。
「断られるかと思ったんだけど……」
「それはまぁ、こちらにも色々ありまして」
 そう言うとヴァンは、傍らで侍っていたメイドロボに頼む。
「イオ、しばらく消音モードにしてください」
「承認。開始します」
 一瞬、耳鳴りのような感覚があった後、元に戻る。
「なにしたの?」
「イオに、私達が出している音と逆位相の音をぶつけて貰って消した上で、偽装の音声を流してます」
 いまミルヴィ達が居る宿屋は鉄帝にあり、時間帯によっては、街の護衛に就いている新兵達がご飯を食べに来ることがある。
 それが無くとも、街の住人や旅行者が訪れることもあり、今も数人が食事をしていた。
「どうぞ。座って下さい」
 ヴァンに勧められ、ミルヴィは同じテーブルに座った。
 するとイオが、紅茶にコーヒーを淹れた物を持って来てくれる。
「ありがとう、イオ」
 ミルヴィが礼を言うと、イオは人形のように端正な顔立ちを僅かも揺らさず小さく頷く。
 傍から見ると感情が無いように見えるが、実際はどうなのかは分からない。
 少し前、遺跡のひとつから発掘したメイドロボである彼女(?)は、イオと名付けられて宿屋で働いている。
 近い内に、他の宿屋で働かせるための練習らしいが、この宿を拠点のひとつとしているミルヴィは、偶にイオと話して色々と教えてあげたりもしていた。
(笑ったりすると可愛いと思うんだけどな)
 ミルヴィは、自分好みの味に調えてくれているコーヒー淹りの紅茶を飲んで喉を潤すと、ヴァンとリリスに向かって話を戻した。
「それで、いつ合わせてくれるのカナ? それと、どういう関係なのかも教えて欲しい」
「以前に話した通りです。あの子が子供の頃、片腕を食い千切られて死に掛けてるのを助けて以来、面倒を見てるんです」
「で、今は悪党専門の泥棒になってるってわけ」
「……貴方達がさせてるの?」
 鋭さを増した声でミルヴィが尋ねると、あっさりと応えは返ってくる。
「させてるというより、協力してくれてるのよ」
「私達の活動を手伝いたいって言ってくれましてね」
「活動って、なにしてるの?」
「世界平和です」
「……んん?」
 いきなり壮大な話が出て来て、思わずミルヴィは胡散臭げに声を上げる。
「何で泥棒が世界平和に繋がるの」
「泥棒は手段のひとつです。何事も先立つ物が無いと動けないので。色々と商売をして稼いではいますが、お金は多いに越したことは無いですからね」
「まぁ、世界平和云々は、私達の個人的な目的に辿り着くために必要な前段階ってだけなんだけど」
「……どういうこと? よく分かんないんだけど?」
 疑問の声を上げるミルヴィに、リリスとヴァンは説明した。
「私達、ウォーカーなのよ」
「そうなんだ。ハーモニアの人かと思ってた」
 耳が長い2人を見詰めるミルヴィに、リリスとヴァンは話を続ける。
「見た目は偶々ね。で、私達は元の世界に戻りたいわけ。だからこの世界で色々としてきたわけだけど、そうしたら情が移っちゃったのよ。この世界と、ここで生きてる人達に」
「仮に今、帰れる手段があったとしても、現状のまま元居た世界に戻るのは気が乗らないんです」
「それ以前に、今みたいに魔種がゴロゴロ湧いて出たり、各国の情勢が不安定な状態だと、安定して元の世界に戻る算段つけるのは難しいのよ」
「だから、この世界には平和になって貰いたいんです。そのために微力ながら活動してるんです」
「その活動が、子供達を助けたり、泥棒したりすることってなのカナ?」
「そういうことです」
 ヴァンの応えに、ミルヴィは形の好い眉を寄せ言った。
「なら、いずれ子供達にも、泥棒させるつもり?」
「いいえ。その気はないです」
 ヴァンは即座に返す。
「あの子たちには、生きていくのに必要な術を教えながら育てていくつもりです。とりあえずは、近い内に幻想で宿屋を開きますから、そこで生活させる予定です」
「今は、うちの商家のひとつで預かって生活してるわよ。そこに義手の子もいるから、会いに行くなら場所を教えるわ」
 そこまで言うとリリスは、茶目っ気のある声で続けた。
「ついでだから、仕事として頼もうかしら」
「ああ、それは好いかもしれませんね」
 ヴァンは小さく笑みを浮かべながら続ける。
「子守りと、イオの教育をお願いします」
「イオの面倒も見るの?」
 ミルヴィの問い掛けに、リリスが応える。
「ええ。イオは、まだ真っ新な状態に近いから。この子も子供みたいなものなのよ。だから色々な人と関わらせて、成長させたいの」
「折角ですから、ローレットに依頼に行くことにします。よければ、依頼として受けて下さい」
 そう言って依頼に向かうヴァン達に、ミルヴィはコーヒー入りの紅茶を飲みながら、どうしたものかと考えるのだった。


「子守りと、メイドロボの教育をして欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「幻想にある商家に、子供達とメイドロボは居るそうです。現地に行って、相手をしてあげて欲しいのです」
 詳しく話を聞くと、子供達は奴隷にされそうになった経験があり、今でも知らない大人が近くに居ると酷く警戒するらしい。
 そうした警戒心が少しでも薄くなるよう、遊んであげたり、色々と物を教えたりしてあげて欲しいということらしい。
 メイドロボについては、鉄帝の遺跡で発掘されたものらしいが、現代の知識を持っておらず、色々と常識についても知らないらしい。
 教えれば教えただけ賢くなるようなので、色々と教えてあげてくれという依頼だ。
「現地に行くと、男の人が2人居るらしいので、一緒に協力して欲しいそうです」
 他にも、依頼人や商家の下働きが便宜を図ってくれるらしいので、必要な物があれば用意してくれるそうだ。
 こうして、ひと通り話を聞いたイレギュラーズ達は、現地に向かうことにした。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
九本目は、アフターアクションでいただいた内容から作った物になります。
可能な限り、アフターアクションで頂いた物は、シナリオ化したいと思っています。
そして今回の詳細については、以下のようになります。

●成功条件

子守りとメイドロボの教育を問題なく行う。

●場所

幻想にある、とある商家。
結構な広さの屋敷の中庭に、子供達は居ます。

●状況

商家に訪れると、子供達の居る中庭に案内されます。
そこにメイドロボと、子供達を連れてきた泥棒な男性2人組もいます。
中庭に訪れると、男性2人が子供達を肩車して駆けまわって遊んでやったりしてます。
メイドロボは、それをじーっと見てます。

●やること

子供達と遊んであげたり、この先、生きていくのに必要なことを教えたり。
知らない大人に対して警戒心が強いので、それを少しでも薄めるように構ったりして下さい。
この際、必要な物とか場所があれば、依頼人や商家の人間が用意してくれます。

それに加えて、メイドロボに色々と教えてあげてください。
その際に必要な物があれば、依頼人や商家の人間が用意してくれます。

●NPC

子供達×10人

奴隷にするためにスラムで浚われた子供達。
全員が、大体5才ぐらいです。
親が居ない子もいますし、捨てられた子もいます。
そのため、大人に対して警戒心は強いです。
ただ、自分達を商家に連れてきた2人組には懐いています。
メイドロボに対しては、興味はありつつも遠巻きに見ています。
商家で人に慣らした所で、とある宿屋に引き取らせる予定。

メイドロボ

鉄帝の遺跡から発掘された。
外見は幻想種のメイド姿。見た目より重い。
基本、頭の好い赤ちゃん状態。
ある意味、純粋無垢な状態なので、教えられたことは素直に覚えます。
子供達と一緒に、宿屋に行く予定。

男性2人組

左腕が義手で赤目の男と、美形な男。
悪党専門の泥棒。いわゆる義賊です。

依頼人

リリス&ヴァン。
商家の主です。

NPCとは自由に関われます。

●流れ

今回の流れは、

1 商家に訪れる。
2 中庭に行って、子供達とメイドロボに会う。
3 子供達とメイドロボと関わる。その他のNPCに関わるかどうかは、自由。

という流れになっています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • 子守りも楽じゃない完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2021年03月31日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
箕島 つつじ(p3p008266)
砂原で咲う花
アウレリア=ネモピレマ(p3p009214)
大海に浮かぶ月
寿 鶴(p3p009461)
白髪の老婆

リプレイ

(あの子達も無事でよかった……!)
 商家の中庭で義手の男に肩車されながら笑顔を浮かべる子供達に、『闘技戦姫』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は安堵した。
「いらっしゃいませ」
 イレギュラーズ達をイオが迎え入れる。
 すると、子供達を肩車していた義手の男も笑顔で言った。
「ボスから話は聞いてるぜ。今日はチビ達とイオちゃんをよろしくな」
 義手の男の隣には美形な男が居たが、こちらは警戒心を滲ませている。
 そして子供達と言えば、男達の足に縋りつくようにして、不安そうに見つめてきた。
 子供達の様子に、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、少し悩む。
(前回の依頼の縁で参加したが、実は子供の扱いってそんなに得意じゃないんだよな。とりあえず子供たちに喜ばれるであろう菓子は持ってきたが……どうしたものか)
 すると『白髪の老婆』寿 鶴(p3p009461)が、のんびりとした声で言った。
「どうも皆さん、今日はお世話になりますわ」
 年の功というべきか。場の空気に馴染むように自然と声を掛ける。
「今日は、皆でバーベーキューしよう思ってきたんや。知っとるか? バーベーキュー」
 子供達に尋ねると、不安と好奇心の入り混じった眼差しで見つめて来る。
 鶴は、くしゃりと笑みを浮かべると、楽しげに言った。
「色んな物、みんなで焼いて、美味しい物いっぱい食べるんや」
「ごはん、食べれるの……?」
 美味しい物と聞いて、子供達は不安よりも期待感が勝ったのか、おずおずと聞いてくる。
 これに『大海に浮かぶ月』アウレリア=ネモピレマ(p3p009214)が明るい声で応えた。
「もちろんさね」
 11歳の少女姿になっているアウレリアは、子供達に駆け寄って言った。
「欲しい物があれば言うと良いさね」
 子供達はすぐに返せない。
 まともに食べることが出来ない生活だったので、食べ物の好き嫌いが思い浮かばないらしい。
(これは、楽しませないとダメさね)
 子供達の様子に、アウレリアは義務感めいた物が湧く。
(情操教育に大事なのは楽しい体験! バーベーキューするだけでなく遊んでやるさね!)
 彼女と同じ気持ちになっているのは、『砂原で咲う花』箕島 つつじ(p3p008266)。
「今日は、よろしゅうな!」
 子供達の傍に近付き、視線を合わせるために腰を下ろしてから続ける。
「バーベーキュー、みんなでするから、手伝ってな。手伝ってくれたら、一杯美味しいもん、食べれるからな」
 つつじの言葉に状況が分かって来たのか、子供達は警戒心が薄れていく。
 すると義手の男が腰を落とし、子供達の頭を撫でながら笑顔で言った。
「みんなが手伝ってくれるって言うから、ちゃんと挨拶しような」
 義手の男の言葉に子供達は、少し恥ずかしそうにもじもじとした後、イレギュラーズ達に向かって言った。
「おねがい、します」
 ぺこりと皆で頭を下げ、その横でイオも一緒になって頭を下げる。
(子供は可愛いのだわぁ)
 小さい子供達が一生懸命に挨拶する様子に、『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は、ほんわかする。
(今日は、この子達の情操教育に良い機会になったら良いのだわぁ)

 子供達とのファーストコンタクトは和やかに。
 とことこと子供達が近付いてくる中、まずはバーベーキューの用意を始める。

「バーベーキューに必要な物は揃っているだろうか?」
「機材はあります。食材がまだ用意されていません」
 イオが『Meteora Barista』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)の質問に応える。
「必要なら用意します。命令を下さい」
 無機質な声で応えるイオを、モカは気に掛ける。
(自我は、あるようだが希薄だな)
 イオと同じく自動人形として産まれたモカは、どこか共感しているのだ。
(私はざんげさんのおかげで自我を持つことができた。彼女にもいつか自我を持って欲しい。そのために私も何か手助けをしたい)
 その手段を考えていると、ミルヴィが提案する。
「必要な物が足りないなら、みんなで買い物に行こう♪」
 
 この提案に、皆で買い物をする事に。

「ほな、行こか」
 鶴はシルバーカーを押しながら、子供達と一緒にのんびりと進む。
 ウォーカーなので、その気になれば普通に歩けるが、子供達の足の速さに合わせるためだ。
 道中お喋りをしながら、皆は和気藹々と進む。
「欲しい物があったら言い。なんでも買うたるからな」
 つつじが子供達に明るく声を掛ける。
(この子らが大人を警戒するんは仕方ないけど……世の中にはこの子ら助けた義賊とか、リリスやヴァンみたいな大人もおるしな。あの人らみたいに出来るだけ優しく接するで)
 子供達を気に掛け声を掛けるのは、『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)も同じだ。
「慌てんと、皆とはぐれんよう進もうな」
 子供達は優しく声を掛けられて、はにかむように表情が柔らかくなる。
 そこに華蓮も声を掛けた。
「私華蓮なのだわよ。あなたのお名前、教えて欲しいのだわ」
 子供達に視線を合わせ問い掛けると、恥ずかしそうに応えていった。
「ニア」「レナ、だよ」「ピノ」「エリっていうの」「ケティ」「ディーノ」「ドノだよ」「……ラグナ」「ヤクモ」「セト」
「ちゃんと応えられて偉いのだわ。みんな、お家に戻ったら、一緒に遊んで欲しいなー……だめかしら?」
 皆と一緒に根気よく話し掛け、子供達の警戒心を解いていく。
 それを後ろで、イオと義賊の2人は見詰めていた。
 イオは学び取ろうとするように懸命に、義賊2人は心地好さそうに見つめている。
 それを見ていたミルヴィは、傍に寄ると声を掛けた。
「アンタ達の名前は? 女の子から聞いてるんだからちゃんと教えなさいな♪」
 義賊2人に尋ねると、美形な男の方が険しい表情を見せる。
「何でこっちまで気に掛ける」
「アタシの恩人も義賊だったから」
 ミルヴィの応えに、僅かに息を飲むような気配が産まれる。
 そこに続けてミルヴィは言った。
「アタシが人質にされて救うために死んでしまったけどね。アンタ達がそんな死に方しないようにしたいのよ。義賊は止めはしないけれど、本当に無茶はしないで」
 これを聞いて義手の男が応えた。
「俺はガイで、こいつはオド」
「……おい」
 嗜めるように声を掛けるオドに苦笑しながらガイは続ける。
「オドが神経質なのは、しょうがないと思ってくれ。色々と気に掛けてくれる奴なんだ」
 声を潜めて続ける。
「正直、アンタらというかローレットを警戒してる。何しろ俺達を皆殺しにする依頼を受けたら、引き受ける奴も出るだろ?」
「……それは」
 ローレットにとって破滅的結末を回避するためなら目の前の善悪は些事でしかない。
 仮に目的のため有利になるなら、どこかの悪徳貴族の気まぐれな依頼を受けて、この場に居る全員を皆殺しにさせるぐらいはする。
「だから今まで関わらないようにしてたんだけど、それじゃ手詰まりってんでボスも腹を括ったらしい。これからも助けて貰うかもしれないけど、よろしくな」
 ガイの言葉にもやもやしたものを感じつつも、ミルヴィは子供達のことを考え応えた。
「だったら、まずはあの子達のためになることをしよう。あの子達が好きそうなもの教えて。あと、この辺りで子供服がある所ない?」
 ミルヴィの提案に、ガイとオドは絵本やぬいぐるみのある店、そして服屋を案内した。
 皆で子供達の服を選んであげていると、少し離れた場所でイオがじっと見詰めている。
 どうすれば良いのか分からないようだ。
 そこにミルヴィが声を掛ける。
「どうしたの?」
「なにか命令はありませんか?」
 人形として尋ねるイオに、ミルヴィは女の子に対するように応えた。
「したいことをすれば良いと思うよ。もし無いのなら、少しお勉強しようか」
 そう言うと世界を呼ぶ。
「世界、ちょっといいカナ?」
 イオに一般的な男性を教えて欲しいと頼まれ、少し困る。
(そのうち男と会う機会も増えるだろうし、今回は俺の背中を見て学んでもらうとかそんな方針で)
 世界は思い立つと、イオの持っていた荷物を全部持ってやる。
「男なら、女の子に荷物は持たせられないからね。それくらいの配慮はするさ」
「男の人は、そういうものなのですか?」
「ん、どうかな? 色んな人が居ると思うけど、俺はそう思うよ」
 世界の言葉にイオは小首を傾げる。
 そこにミルヴィも声を掛けた。
「一般的な男性はこの位紳士的なんだから知らない男に声かけられても従ったらダメだよ? そして素敵な女性なら蜻蛉さんを参考するといいよっ♪」
 話題にされた蜻蛉が、柔和な笑顔で近付き言った。
「イオさんは、初めてのことが一杯あると思う」
 じっと見つめるイオに視線を合わせ続ける。
「色々覚える事、初めて耳にする事沢山やろけど、中には分らんこともあるかもわからん……でも、あの子たちの『未来(あした)』の為に、一緒に頑張ろね」
 子供達を見詰めたあと、イオは自分の意志を込め応えた。
「はい。どうか教えて下さい。私は何をすれば良いですか?」
「せやなぁ、まずは、人に何かをしてもろたら『ありがとう』謝らないといけないときは『ごめんなさい』を言えるようになろうな」
 熱心に聞くイオに続ける。
「それから大事なことは、悲しそうやったり寂しそうなとき、抱きしめてあげるとええよ、優しゅうね? 背中を撫でて貰ったり、触れて貰えるだけで……不思議と人は安心するんよ。『好き』を伝えるんには、これが一番ええと思てるの、ふふ」
「好き、ですか?」
 小首を傾げるイオに、蜻蛉は装飾として持って来ていた鬱金香を手に添えて見せながら応える。
「好き、て? ……つまりは『あなたの事が必要です』て、ことや」
 話を聞いて、イオは蜻蛉やミルヴィに、教えて貰ったように礼を言う。
「教えてくれて、ありがとうございます」
 世界にも同じように。
「荷物を持ってくれて、ありがとうございます」
「気にしないで良いよ」
 苦笑するように応える世界だった。

 買い物を終わらせ中庭に戻ると、早速バーベーキューの準備開始。
 最初は重い機材を運ぶので、世界やガイやオドの男性陣が中心になってテキパキ動く。
 その間、子供達と遊んでやる。

「鬼ごっこするさね」
 アウレリアの呼び掛けに、買い物を一緒にして警戒心が薄れた子供達が駆け寄ってくる。
 そこに、つつじも参戦。
「ウチと、イオちゃんも仲間に入れたって」
 イオの手を引いて連れて来ると、鬼ごっこ開始。
「それじゃ、アタシが鬼になるさね」
 アウレリアが捕まえようとすると、子供達は楽しげに声を上げながら走り回る。
「待て待てー」
 最初は元気に追い駆けていたアウレリアだが――
「いやちょっと待って皆体力ありすぎじゃないかい……?」
 フィジカル0な彼女は途中でへばる。
 なので、つつじが交代。
 キャーキャー言う子供達を追い駆けて、混ざっているイオも捕まえる。
「捕まりました」
 少しだけ声が弾んでいるイオに、つつじは笑顔で言った。
「楽しんどる?」
「楽しい、ですか?」
「せや。こういう時は、楽しむもんなんよ」
「頑張ります」
 真面目な表情を見せるイオに、つつじは苦笑しながら続ける。
「あ、あとなぁイオは表情が固いねん! いやロボやからしゃーないかもしれんけど! 楽しい時は一緒に笑うとええねんで。こう、こんな風に」
 自分の笑顔を見せながら言った。
「人間って笑ってる人を見ると安心するもんなんよ。でも無闇矢鱈に、無理して笑わんでもええねんで。イオが笑いたくなったら笑えばええんや」
 つつじの言葉に、硬い蕾が僅かに綻ぶように小さく、けれど自然な笑顔を浮かべるイオだった。

 そうこうしている内に機材設置と炭火入れが終ったのでバーベキューを本格開始。

「そこのお嬢ちゃんも坊ちゃんも、これ切ってみるか?」
「やる」
「やってみる」
 食材を切っていた鶴の呼び掛けに子供達は好奇心一杯の眼差しで応える。
 そこにアウレリアも加わる。
「地面には目に見えない悪いものが隠れていて、皆のお腹を壊したりしちゃうから、まず水で洗い流すんだよ」
 子供達は言うことを聞いて手を洗い、包丁を持って食材をゆっくり切っていく。
「そうそう、上手に切れたな。ほしたらここに乗せてな」
 鶴が怪我をしないように見ながら教えていく。
 同じように、華蓮も教えていった。
「そうそう、上手なのだわ。手伝ってくれて、ありがとうだわ」
 お礼を言われ、はにかむように笑顔を浮かべる子供達。
 料理だけでなく、こいう時にはお礼を言うものだということも教えてあげる華蓮だった。

 皆が食材を切り分けている頃、モカはバームクーヘンの用意に勤しむ。

 焚火の横に回し棒を置きY字型の支え棒を2本立てる。
 火を起こし火力が上がる間に生地作り。
 振るった薄力粉に卵黄と蜂蜜、生クリームに水切りヨーグルトと溶かしバターをよく混ぜて。
 追加で砂糖を加えたメレンゲを混ぜ混ぜ。
 用意して貰った、取っ手を木で覆った鉄の棒に生地を付け、支え棒に載せてゆっくりクルクル回しながら焼いていく。
 それを子供達は好奇心一杯の眼差しで見詰めていた。
「焼いてみる?」
「いいの!?」
 モカの言葉に、ぱあっと表情を輝かせる子供達。
 子供達の笑顔に、モカも笑顔で応えると焼かせてあげる。
「火は危ないから、気をつけて」
 子供達だけでは危ないので、大人もついて手伝ってやる。
「火は触ると痛いのがずっと続くから大人じゃないと扱っちゃだめだよ……そうそう、上手なのさね」
 アウレリアが火の怖さを教えながら一緒に焼いてやる。
 ふんわりと漂う甘い匂いに、子供達の笑顔が広がっていく。
 好い匂いは他にも。
「火傷せんように気をつけるんやで?」
 つつじが肉を一緒に焼いてあげる。
 他にも、ミルヴィは焼きトルティーヤ。
「世界、子供達と一緒に生地と具材焼いてくれる? アタシはソース作るから」
「分かった」
 世界は子供達と火の回りを担当し、その間にミルヴィはラサ特製のスパイスソースとチーズと蜂蜜の用意。
 どんどん料理は出来あがり、頃合いを見て、モカは飲み物を準備する。
(子供達は、ジュースが良いかな?)
 果物のジュースを作り、次は大人用のコーヒーやお茶作り。
 するとイオが興味深げに見に来る。
「作り方、教えてあげようか?」
「はい。お願いします」
 ぺこりと頭を下げるイオに、モカは丁寧に教えてあげた。

 美味しい料理が出来た所で、みんなでいただきます。

「これはもう焼けとるで、食べてもええで。熱っついで気をつけてな」
「ありがとー!」
 にこにこ笑顔で、子供達は鶴から料理を受け取って嬉しそうに食べる。
 もう、最初に見せていた警戒心は無く、屈託のない笑顔を浮かべていた。
 お肉や野菜。それにトルティーヤ。
 子供達はジュースをごくごく飲んで、まだ温かいバームクーヘンを食べていく。
 もちろんイレギュラーズ達も。
 賑やかにワイワイお喋りしながら楽しむ。
(偶には、こういうのも良い、かな)
 少し離れた場所でバームクーヘンを食べながらみんなの様子を見ていた世界は思う。
 そこにイオがお肉と野菜の乗ったお皿を持って来る。
 バームクーヘンしか食べてなかったので、気を利かせたらしい。
 とはいえ甘い物が好きなので、そのことを言うと、モカに教えて貰ったカフェオレに砂糖を多めに入れて持って来てくれた。

 食事を楽しみながら、他のことも。

「今日も良い天気、皆は好きなお天気は何かしら?」
 華蓮が持って来ていた華蓮ちゃんぬいぐるみを使って人形劇。
「昨日は何か楽しいことあったかしら? 聞かせて欲しいのだわ」
 子供達は街で買って貰ったぬいぐるみを使って一緒に遊ぶ。
 それが終れば、次は絵本を読んであげる。
 蜻蛉は持って来ていた甘色の夢を、咽喉に詰まらないよう砕いて渡すと、視線を子供達に合せ読み聞かせる。
(あなた達の未来も、どうか輝いたものになりますように)
 願いを込めて。
「此処におる人たちは、皆、あなた達の事が大好きやから、大丈夫やよ」
 想いを伝えるように語る。
 それを一緒に聞いていたイオは、蜻蛉から教えて貰ったことを実践する様に、子供達を抱きしめてあげていた。
 読み聞かせは、鶴も。兎と亀の話を聞かせてあげる。
「本はいろいろ面白いことが書いてあるでな、読むと賢うなれるで」
 子供達は熱心に聞いていた。

 皆が楽しんで盛り上がる中、ミルヴィは踊りを披露。
 子供達もイオも加わって楽しんだ。
 その中で、イオが自分と子供達を守れるよう、剣を教える。
 イオは真剣に学び取るのだった。

 みんなで美味しく食べて、人形劇や絵本を読んで貰い、最後に身体を動かして、子供達は満面の笑顔を浮かべていた。
 そして最後は片付け。
「イオさん、やったか? よお見といてな」
 火の始末を鶴が教え。
「さあ、みんなで片付けるで」
 つつじが子供達に呼び掛け一緒に片付ける。
「楽しかったな!」
「うん!」
 満面の笑顔で応える子供達。
 子供達の笑顔に、アウレリアは思う。
(今日みたいに遊べる日は少ないかもしれないけど、またこうして楽しいことがたくさんできるって知れれば、子供達も少しずつ変わっていけると思うのさ)
 それは皆も同じ気持ちだ。そして――
(この人達が幸せでありますように)
 ミルヴィと同じように祈る、イレギュラーズ達だった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

皆さま、お疲れ様でした!

皆さまのお蔭で、子供達は大切な思い出となる一日を手に入れることが出来ました。
今回の経験で、大人に対する恐怖と警戒心は薄らぎ、人懐っこくなっていきます。

そしてメイドロボなイオに関しても、皆さまとの関わり合いで成長していっています。
コーヒーや紅茶を入れることに今まで以上に興味を持ち、これから何度も練習していく事でしょう。
また、護身の剣を教わったので、そちら方面でも伸びていくことになります。
あと、ハグすることも覚えました。ただ、小さな子がぎゅっとするような感じです。
基本、精神は小さな女の子です。

このあと子供達は、とある宿屋に引き取られ生活していくことになります。
その宿屋にも、他のシナリオで助け出された子供達がおり、一緒になって生活していくことになります。
今回のシナリオで、子供達の人見知りや警戒度が高いと、ちょっとぎこちない状態で始める予定でしたが、皆さんのお蔭で人懐っこくなっているので、そこはすんなりと進むことになります。

それらに関するシナリオも、先々出していく予定です。
お客さんを呼び込む目玉になる料理を作って貰ったり、宿屋自体を改装したり。
先々では、その宿屋のある小さな宿場街に魔種が襲撃してきたりする舞台のひとつにする予定です。

それでは、今回はこれにて。
最後に重ねまして、皆さまお疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!

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