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シナリオ詳細

春嵐に揉まれ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春嵐に揉まれ
 ネオ・フロンティア海洋王国を構成する国、フェデリア島。
 過去、冠位魔種と滅海龍リヴァイアサンとの戦いが繰り広げられた、色々と因縁のある土地。
 でも今はそんな因縁など露知らず、島の人は穏和に生きていた。
 ……でも、そんな平穏な海域だからこそ、不義理な事を考える輩もまた居る様で……。
『へへへ……さぁ、春の嵐に俺達『クラウリッセ』海賊団の姿あり、ってなぁ! 緩んだ通商船を今日も強奪するぜぇ!』
『おぅっ!』
 通商船を装いし彼らの実の所は、海賊船。
 通商船のフリをする事で安心させた所に剣を突きつけ、船の資材を丸ごと奪い去って行くという、非道な行いを重ねる海賊達。
 春先の風が吹くフェデリア島近海を根城にした彼らは、襲撃しては姿を隠し、資材がなくなる頃にまた襲うという……奪いし日暮らしを続けていた。
 だが……そんな日暮らしを続けていた彼らの船に。
『……ウォォォ……ゥゥゥ……』
 苦しみの咆哮を奏でながら、そっと忍び寄ってきたのはボロボロの船。
『な……何なんだ、あいつら!?』
 驚くクラウリッセ海賊団だが……彼らは人の感情、恐怖を感じ取る事が無い亡者。
 海賊達の命を貪るべく、幽霊船は海賊船を上回るスピードで躙り寄った。


「……ああ、イレギュラーズの皆か……集まってくれた様だな。んじゃま、始めさせて貰うな」
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、集まったイレギュラーズに振り返りつつ早速。
「今回なんだが、場所はアクエリア島の近くに幽霊船が出没した、って事なんだわ」
「幽霊船自体は、皆も知っての通り、この海域では良く聞く話なんだが……海賊船がターゲットにしたのも又、最近この海域で略奪行為を繰り返している『クラウリッセ』海賊団、って奴ららしい」
「正直な所、海賊団を救出って事自体はそんなに気が進まねえんだが……奴らを捕まえれば、根城も解明出来て、全部ではないにしろ奪われた資材も回収できるだろうし、一挙両得って訳だ」
「とは言え幽霊船に加え、恐慌状態に陥っている海賊達は一人でも多く不殺にしておかなきゃならねえ。結構厄介な仕事だとは思う」
「ま……今迄色々とやり遂げてきてくれたキミ達ならやれるだろうってな? という訳で、宜しく頼むぜ?」
 と、ひらりと手を振り、皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回は、アクエリア近海に現れた幽霊船退治依頼です。

 ●成功条件
   幽霊船の船員達を退治すること、そして海賊船の船員を一人以上『不殺』でトドメを刺す事です。。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   皆様は、海賊船が幽霊船に襲い掛かっている瞬間に到着する事になります。
   海賊船と幽霊船が接舷しており、そこに横から接舷する、という事になるでしょう。
   『クラウリッセ』海賊団は、幽霊船の襲撃によって『混乱』状態になっています。
   混乱状態なので、倒す事自体はそんなに難しくはありません……ただ、彼らのアジトを見つけるには、一人以上不殺で仕留めなければ口を開かす事も出来ないでしょう。
   つまり、ただ単純に倒すだけでは成功となりません。
   
 ●討伐目標
   敵となるのは2種類です。
   1)幽霊船乗組員 20人
     姿も朧気で、骸骨の身体にぶかぶかの海賊衣装……といった者達です。
     装備は盾と長剣ですが、常に人を恨むが如く、呪怨をつぶやき続けています。
     その鬼気迫る呪怨を込めた一撃は、攻撃相手がダメージを受けると『不運』の効果が及ぶ可能性がある様です。
     ただ、体力はさして高くはありません。

   2)海賊船船員 15人
     混乱状態に陥っている海賊船船員です。
     武器は短剣もしくはシミターソード、盾の様な補助防具は持って居ません。
     混乱状態なので、周りの仲間も不意に攻撃する可能性があり……もしそれが不殺状態の仲間だった場合は死亡になってしまいます。
     尚幽霊船を倒したとしても、混乱が解ける事はありませんので、船員全員に決着を付けない限り、戦闘は終わりません。

  それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 春嵐に揉まれ完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
アムル・ウル・アラム(p3p009613)
夜を歩む

リプレイ

●賊と船の因縁
 ネオ・フロンティア海洋王国に属するフェデリア島。
 航路上は順風満帆、針路上には少し大きな雲があるけれど、概ね良好。
「青い海、暖かい風、程よい日差し……そして、海賊船と幽霊船かぁ。春の清々しさが木っ端みじんにされるね」
 と『グラ・フレイシス司書』白夜 希(p3p009099)が、目を細めながらぽつり零す。
 様々な因縁が付きまとうこの地、更に罰当たりな、通商船を装いこの海域を通う他の通商船を襲撃し、海賊行為を繰り返しているという『クラウリッセ』海賊団。
「んー……『クラウリッセ海賊団』かぁ……聞いた事無いな。多分そのへんのケチな海賊なんだろうね」
「そうか? 俺は前、店に来た客がぼやいてたのが、たしかそんな名前だった筈だから……一応、聞いた事があると言った所だな」
 と、初耳な『若木』秋宮・史之(p3p002233)と、聞いた覚えがあるといった『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)。
 勿論このネオ・フロンティア海洋王国は広く、一海賊団の名前が広く知れ渡るにはある程度の被害が出なければ難しい事。
 だからこそ、聞いた事あるも、聞いた事がないも、どちらも自然。
 まぁ……今回の海賊達は通商船をちまちまと襲うという点から考えると、史之の言うチンケな海賊団というのは的を得ている気がするが。
「しかしまったく……あの人達は海賊だろ? 肝が小さすぎやしませんかね? それともあれが人間として正直な反応なのか?」
 と肩をすくめる『Meteora Barista』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)に、史之が。
「そうだねぇ……肝っ玉が小さいから、幽霊船にも良い様にされちゃうんだろうねぇ」
 と嘲笑う。
 そして『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)が。
「ええ、最近は幻想が大変な事になってるけど、こっちはこっちで気が抜けないのよね……海賊の処置とかで色々大変そうだけど、ね」
 と言うが、『最期に映した男』キドー(p3p000244)は辛辣に。
「ああ。どうせ海賊なんてやる連中だ。叩けばいくらでもホコリが出るだろう。どーせこのクラウリッセ海賊団以前の余罪もあるんだろうけどよ。ま、そういう所が無ければ無いで相応の処置をすればいいさ。そういう面倒くせえ裁量は、法を守らせる立場の連中のお仕事だしな」
 ぐぐっと拳を握りしめるキドーに、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)と『夜を歩む』アムル・ウル・アラム(p3p009613)も。
「そうだな。幽霊船と海賊船……どちらの船員にも、まともな人はいなさそうだし、船上はめちゃくちゃなんだろうな……まぁ、連携して俺たちを襲ってくるよりはマシか?」
「……ううん。幽霊は……怖く無い。むしろ、生きている人間の方が……余程……今回は、船員を一人以上……捕虜、だよね? でも……全員とは言わないけれど……なるべく多く生かした方がいいと、思う。気を付けていても……死んでしまう事もある、だろうし……それに、情報ソースは多い方がいいって……習った」
 とアムルが首を傾げながら、作戦を提案。
 そう、今回の目的はただ単に海賊船と幽霊船を倒すだけではない。
 海賊船の船員を一人以上生き残らせて、その本拠地も割り出さなければ依頼成功とならない訳で。
「そうだな。ぶっちゃけこっちで判断するのは面倒臭えから、行かせるだけ生かしてとっ捕まえねえとな!」
「全くだ。悪さし過ぎた罰、で片付けられりゃぁよかったんだがなぁ……やれやれ、こんなに気の乗らねえ人助けは初めてだ」
「でも、気が乗らなくても生き残らせないと。というか、慎でそれで実際に『化けて出てくる』のが、今回の様な幽霊船船員な訳だし」
 キドーは気合いを入れ、縁とイリスは肩をすくめる。
 そして希が。
「そうだね……桜もなければ、おいしいごはんもない……帰りはせめて、夜にマストの上とかで月見酒しかないかな?」
 と言うと、イズマも。
「そうだね。死んでる幽霊には確実に眠ってもらいつつ、生きてる海賊には目を覚まして貰おう」
 とにっこり微笑む。
 そして、希とイリスが。
「……という訳で、取りあえず仕事しよっか」
「そうだね。ひとまずは頑張りましょう」
 と頷き合い、そしてイレギュラーズ達は、『クラウリッセ海賊団』が活動していると言われる海域へと針路を取るのであった。

●幽霊談義
 そして、『クラウリッセ海賊団』の航行する海域へ、縁の私船『蒼海竜王』にてたどり着いたイレギュラーズ。
 とは言え海域は中々広く、更に海賊団は通商船を装っているので、単純明快に見つけられる……という事にはならない。
「……どこだろうねぇ……?」
 とマストの上から、全方位の水平線を見渡す希。
 幾つか通商船を見かけるが、少々遠いところにある為、どれがか、と確定はまだ取れない。
 ただ、そんな通商船の位置を縁と共有し、周りに他の通商船が少ないところに当たりを付けて、更に操舵輪を回す。
 その間もずっと、マストの上で周囲の警戒をし続ける希と、水平線に目をこらすキドー。
 そして孤立している通商船へ、段々と距離を詰めていくとうっすらともやが掛かり、そのもやの中からボロボロの船が出現する。
 イレギュラーズとは対峙方向、斜め45度位の位置に出現した……幽霊船。
 それはイレギュラーズ達よりも先に、通商船へ突撃しようと速度を上げる。
「出たな。皆、捕まっていろ!」
 と縁が叫び、帆を更に広げながら、操舵輪を海賊船と幽霊船の間に割り込むよう、針路を取る。
 そうイレギュラーズと幽霊船の二つに追いつめられた海賊船は。
『うわ、な、なんだ……ぶ、ぶつかるっ!!』
『おい、あっちはなんか……人じゃねえじゃねえか!! うわぁぁぁ、来るな、来るなあああ!!』
 今迄襲われたことが無いのだろうか……恐怖の悲鳴を上げる。
 そんな海賊船の狭間にギリギリ割り込んだ縁。
 幽霊船も斜めの位置から突っ込み、海賊船もろとも大きく揺れる。
 ……そして両船に接舷すると共に、まずは縁が混乱に陥っている海賊船船員達へ。
「ったく、世話の焼ける連中だことで!」
 と、青刀『ワダツミ』を振るい、怒りを付与。
 連動して希も、海賊達を仲間とあえて認識した上で、静なる楽園で初っぱなから陥った混乱状態を回復し、落ち着かせるように動く。
 ただ、混乱状態が簡単に回復する様な事はなく、うわあああ、と叫び声を上げながら、短剣とシミターソードを振り回す。
 そう二人が海賊船を相手にする一方で、残りイレギュラーズ達は。
「良し。俺達はまず幽霊船員から始末するぞ!」
「そうですね。イズマさん、惹きつけて貰ってもいいですか? そこを私が庇いますので!」
「ああ、分かった」
 キドー、イリスにイズマが頷く。
 そしてイズマとイリスが先陣を切って幽霊船に乗り込むと共に、ど真ん中で名乗り口上を上げて幽霊を引き付ける。
 四方八方から襲い掛かってくる幽霊船員……でも、その前にイリスがさっと立ち塞がると共に決死の盾を発動し、カバーリング。
 流石に敵数が多く、かなりのダメージではあるのだが……どうにか耐えきる。
 ただその攻撃に加え、幽霊達は『ウゥゥ……』という呪怨を呟き続ける。
 ……そんな呪怨にモカが。
「そんな呪怨、不運に加えて不吉を与えてやる。倍返しだ!」
 と言い放ち、蹴戦で牽制。
 更に追加行動が発動し、胡蜂乱舞脚にて至近距離にはびこる幽霊達に不吉、不運に加えて感電、暗闇などもたたき込んでいく。
 続いてキドーも、『フーアとの盟約』で幽霊船員達の体勢を崩させる。
 更にアムルが『Andante:歩く速さで』を発動し、即座にイリスを回復。
 そして史之が、集まってきた幽霊船員にギガクラッシュの一撃を叩き込み、重い一撃……一匹に確実に止めを刺す。
 次の刻、海賊船側には縁と希の二人がしっかり対峙し続ける。
 勿論恐怖に混乱の極みに陥っている状態の彼らだが、そんな彼らを希が敢えてヒールし、その後縁が水天一碧から碧落一閃で集中してきている海賊一人を不殺の一撃で気絶させる。
 とは言え海賊船にはまだまだ10人以上の敵が居るので、決して油断出来るような状態ではない。
 海賊同士で攻撃し合い、それで死んでしまう可能性もある……だから縁は気絶させた海賊をひっ捕まえて、海賊船から自船へと一端投げ飛ばして避難させる。
 そう海賊達を対処している二人に対し、幽霊船側。
 敵陣へと突っ込んでいったイリスの体力の具合を見た上で、今回はソニックエッジを発動して攻撃。
 続いてもかが蹴戦から残影百手、キドーもフーアとの盟約を吹き荒れさせて、敵を一匹、また一匹と攻撃。
 そしてイズマは今回は防御せず。
「散骨の時間だ、粉々になって、海に還れ」
 と、外三光で麻痺を積み重ねた上に、史之のギガクラッシュでトドメの一撃を刺す。
 敵の行動順となり、イリスは決死の盾をフル活用し、イズマ、さらにはキドーも庇いながら敵の攻撃を一通りこなしていき、最後の最後に自分自身へ『聖躰降臨』で、自己回復を行う。
 無論、幽霊一人一人は死せる者故、中々にしぶとい。
 しかしイレギュラーズ達が総じて攻撃をけしかける事で、確実に一匹ずつ仕留めていく。
 そう、海賊と幽霊それぞれに適した手段で攻撃を繰り返し……まずは幽霊船船員20人を、出来る限り早急に仕留めようとするイレギュラーズ。
 流石に海賊船船員に相対するのは二人だけなのと……出来る限り不殺にしなければならないというのもあり、こちらのペースは上がらない。
 とはいえ彼らを抑えるという役割ならば、十分に機能出来ていたので、それで幽霊船の討伐完了の時を待つ。
 そして、戦闘開始から数十分経過……残る幽霊船船員は。
「……後は……あなただけ……」
 アムルのソニックエッジが決まり、倒れ……残るは後一人。
 とは言え幽霊達が焦るような事は無い。
 ただ黙々と呪怨を呻き……攻撃してくるがのみ。
 そんな幽霊へ、間合いを詰めたモカ。
「そろそろこっちは終わりにしないと、ね」
 とブルーコメット・TSを発動し、敵を貫く。
 幽霊船に穴をぶち開け、骸骨の骸もろとも海中へ沈み始める。
 急いでイレギュラーズ達は自船へと乗り換え、沈没を回避。
「さて、と……幽霊船退治完了、と。後は海賊達だね」
「ああ。でも殺しちゃいけねえんだろ? 纏めて皆殺しにするだけならこんな面倒な事もやらずに済むのによお、全く!」
 史之の言葉に苛立ち気味に叫ぶキドー。
 まぁ、条件は一人以上を殺さないことなので、自船に放り込まれたのが自決でもしない限りは最低条件は達成出来ている訳だが。
「でも……一人でも多く残しておいた方が……情報は……得やすい……」
 アムルの言う通り、殆ど情報も知らぬ下っ端か、全ての情報を知っている親玉か、では得られる情報量は天と地程の差があるだろう。
 ……そして、アムルの言葉に。
「そうだね。取りあえず押していこう……気絶した海賊は、出来る限り背におくようにして、万が一の攻撃が北としても守れるように」
「ああ、了解」
 史之、モカが頷き、イレギュラーズ達は海賊船へと転船。
 残る海賊船船員は10人程度……幽霊船を倒し切ったのと、希がかけ続けたヒールで、多少混乱は落ち着いてきている様で。
『く、くそっ……てめえら何者だよ! ふざけやがって……!!』
 と睨み据える。
 そんな海賊達へ、希から。
「落ち着いた? 落ち着いたなら次は寝よっか?」
 と言い渡すと共に、彼らを味方から敵へと認識変更。
 そして、神気閃光を展開し、敵を大量に不殺の一撃で削っていく。
 さらにアムルのAgitato:苛立つようにで怒りを付与し、モカとイズマの蹴戦、縁の碧落一閃、イリスのノーギルティ、史之の斥力発生Ver.1という、不殺効果を持った攻撃で、敵を確実に一人ずつ不殺に堕とす。
 そして、倒れた敵にはキドーが。
「あークソっ! 重てえんだよ!」
 と苛立ちながら敵を船縁に投げつけ、万が一に攻撃を食らってしない様な位置へと移動させていく。
 そんなイレギュラーズ達の不殺第一の行動の前に、全ての海賊達も崩れ墜ちていくのであった。

●海賊の爪痕
 そして……全ての幽霊船船員達を倒し、気絶させた海賊達を転がしたイレギュラーズ。
「取りあえず……海に落ちた人が居ないか……見てくる……ね」
 とアムルは翼を開き、上空へ飛行。
 空からぐるりと見渡し、海に過って転落し、浮かんでしまっている海賊がいないか……幽霊船に襲われた海賊船の船体被害は無いか、等を確認。
 流石に命を落とした海賊は海に浮かんでは居ないけれど、命あれば海面で溺れかけているかもしれない、と見越した上で。
 ……ただ、空から眺める限りは他に溺れかけている人や、イレギュラーズの戦いに巻き込まれたような他の船は無いので、ひとまずは安心だろう。
 ただ、幽霊船に襲われた海賊船は、正直な所被害は甚大……そのまま曳航する事は難しそうである。
 そしてアムルが戻ると共に、縁へ。
「海賊船、結構船体に穴が開いてた……どうする? 船ごと曳航して、陸地へ? それとも……水藻にする……?」
「そうだな……沈みそうな船だろう? 下手すればこっちも巻き添いを喰らいかねん。海賊船はそのまま沈めて、海賊達を俺の船に乗せるとしよう」
 『蒼海龍王』船首として、てきぱきと指示を与える縁。
「分かった……一応、積み荷だけ確認する……みんなは、海賊達を運んでほしい……暴れるかも、だから……注意して」
「ん、了解だ」
 アムルに頷き、モカやキドーが率先して、気絶させておいた海賊達を後ろ手に縛り上げて縁の船倉に運ぶ。
 更に海賊船は船底に大きな穴をブチ開けて、さっさと沈める。
 そして海賊船が完全に沈んだ後は……海賊団が目を覚ますまで、のんびりと海を漂う。
 ……暫し経過した後。
『……ん……ぅぅ……ん……』
 船の揺れに身を預けて暫し……混乱の極みに陥っていた海賊達が、まどろみながらぼんやりと目を開く。
「……おはよう」
 と、史之がぼんやり目を開く彼らに声を掛ける。
『……っ、お、お前達……っ!』
 慌てて立ち上がろうとするが、後ろ手に縛られていて、バランスを崩し、そのまま転倒。
『ててて……くそ、何しやがる!』
 怒り心頭の表情を浮かべる海賊達だが、そこに視線を合わせるようにしてイズマが。
「生きててよかったね、海賊さん。俺達、聞きたいことがあるんだけど……答えてくれるよな?」
 と問いかける。
『何だって、ふざけたことぬかすなっ!!』
「ふーん……答えたくない、って訳なんだ。幽霊船に襲われて、無様に泣き喚いてた海賊さんが」
 冷静に事実を伝えるイズマ、更にモカも。
「そうだな。まぁ答えないってんならしょうがないね。そうなれば『クラウリッセ海賊団』は、遭遇した海賊幽霊に怯えて醜態をさらしたチキンの集まり海賊団だって、言いふらしちゃおうかなぁ~」
 ニヤニヤ笑みを浮かべるモカに、縁も。
「そうだな。うちの行きつけのバルの店主に言えば、尾びれもついてどんどん海洋に広まっていくだろうさ。そういった噂話はみんな好きだからな、海洋だけにとどまらずどこかしこにも広まっていくだろうさ」
 縁もモカも、海洋では中々名の知れている二人。
 そんな話が広まったら、例え海賊行為をしたとしても……鼻で笑われてしまうだろう。
 二人の言葉に、明らかに狼狽し始める海賊団、そして史之とモカが。
「まぁ、いい子にして、話を聞いてくれればラム酒をどうぞ。出来ない子は……わかってるよね?」
「そうです。私達はあなたの命を救った恩人ですよ? だから……大人しくアジトの場所を吐いて頂きましょう」
 そんなイレギュラーズ達の言葉に暫しうなだれ……そして、ぽつりぽつり、とアジトの場所を話し始める海賊達。
 そんな海賊達の自白をマストの上で聞きながら。
「……もうすぐ春かぁ……暖かくなると、春風が強く吹くのかな……ここだと花粉とかもないし、案外過ごしよさそう……」
 と希は、海賊船の船倉にあった酒を一献傾けながら、空を見上げるのであった。

成否

成功

MVP

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍

状態異常

なし

あとがき

海洋王国を荒らす海賊退治シナリオに参加頂きまして、ありがとうございます。
今回は海賊を不殺で、という指定だったのですが、皆さんが不殺を念頭にしてくれたお陰で、ほぼ全員生き残った様で、恐らくその本拠地もしれることでしょう。
ただ、戦いの結果、船も失われたのでもう海賊、とは言えないかもしれませんけど……ね。

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