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シナリオ詳細

<ヴァーリの裁決>じゃいあんとチョコパイ伝説

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●チョコパイを求めて
 フン……突然だが俺の名は佐藤・非正規雇用(あるばいと)。誇りある幻想の領主だ。川崎を収めている。
 俺は風の噂で聞いた『チョコパイ』なるものを求めて全国行脚の旅に出たが一向にその姿を見ることはできなかった。
「おい、そこの育ちの良さそうな青年。お前の食べてるソレはなんだ」
 今日も王都メフ・メフィートのコンビニ前でゴプニク座りしながらなんか食ってた黒ジャージ学生を見つけ声をかけるが……。
「え、これスか? ムーンパイっすけど」
「くっ、違ったか……特徴は極めて似ているはずなのになぜ一向に見つからん……!」
 くそぉあ! と言いながらゴミ箱を叩く俺こと非正規雇用。
「非正規雇用先輩なにか探してるんスか? 俺マジ物知りなんでチョー分かるッスよマジ」
 マジマジと言いながらムーンパイを頬張る黒ジャージ。
「『チョコパイ』というものなんだが……本当に知ってるのか?」
「えっなーんだソレならコンビニでフツーに売ってるっすよなんなら俺のあげましょっか?」
 突然声をかけたというのにこの親切。さすが王都の民。教育が行き届いている。なんか座り姿勢もすごくバランスいいし、服に入った三本線も実に洗練されている。良い家の育ちに違いない。
 俺こと非正規雇用はありがとうと例を言い、コンビニへと入った。
 テレテレテレーンテレテレテーン
「エァロスミスー」
「フン……」
 歓迎の意をもつ呪文を唱える店員に会釈をし、棚の前へとゆっくりと歩いて行く。
 噂に聞く『チョコパイ』なるものにようやく出会うことが出来るという興奮と、期待と、そして夢。足取りは重々しく、呼吸もまた荒い。
 が、そのすべては失望によって黒く塗りつぶされた。
 棚にある商品に『チョコパイ』の文字はない。エンゼルなんとかって名前のものや先ほど青年が食べていたムーンパイ。他にはソフトケーキやスナックケーキなるものばかり。
「クッ……またか!」
 吹き上がる憤り。しかし商品棚に当たってはコンビニ店員にも悪い。苦虫を噛むが如き苦しみを露わに、俺こと非正規雇用はコンビニを出た。
 テレテレテレーンテレテレテーン
「ァランドロンフザィデシター」
 店員の唱えた感謝の呪文を残し、背後で閉じられる扉。
 失望のあまりもう帰って寝ようかなって思いかけた……その時。

 ドン、という振動と共に、道の先に黒く巨大な物体が現れた。
 それは一見して饅頭のようにまるく押しつぶした形状をしており、例えるならしっとりしたケーキ生地にクリームを挟んでチョコレートでコーティングされた二層のパイに似た菓子に似ていた。
 喉元まででかかった言葉を、さっきの黒ジャージ青年が叫ぶ。
「ジャイアントチョコパイだーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「あれが!!!!!!!!!!!!!!!?????????????」
 その日、誇りある領主佐藤非正規雇用の咆哮が町にこだました。

●ここからが依頼内容だよ
「やあ皆。ショウお兄さんだよ、っと。今日は神翼庭園ウィツィロから現れたモンスターの討伐依頼を受けてもらう。
 モンスターの名は『ジャイアントチョコパイ』。しっとりとした生地にクリームを挟んでチョコレートでコーティングされた二層のパイに似た菓子に酷似したモンスターで実際ケーキ生地とチョコで出来ている。中身はクリームたっぷりだ。
 古代の文献によるとこのモンスターが現れた街では住民が総出で殴りかかった上食らいつくしたという。けど毎日こればっかり食べたせいで血糖値が増大し住民の9割が糖尿病および重度のメタボリックシンドロームに悩まされ街はなんやかんやあって壊滅したそうだ……恐ろしいモンスターだよね」
 ローレットの情報屋『黒猫の』ショウ(p3n000005)はそのように説明すると、モンスターの出現位置と分かるかぎりの情報を記した書類を差し出した。
「現在ジャイアントチョコパイは佐藤・非正規雇用領『川崎』に侵攻しているみたいだ。現地に直行して、このモンスターを倒すんだ!」

GMコメント

 皆様もうお気づきでしょうか。このシナリオは風邪引いたときに食べるおかゆくらいの緩さでお送りしておます。チョコパイって美味しいよね。

■シナリオの成功条件:ジャイアントチョコパイをいっぱいたおそう
 街に現れたいっぱいのジャイアントチョコパイをいっぱい倒すことがシナリオの成功条件です。
 数はいっぱいです。右手の指より多い数は今日は『いっぱい』て数えることにしてます。
 倒し、喰らい、倒し、喰らい、時にスタイリッシュに倒して喰らう。そんな午後があってもいいと思いませんか。

■エネミーデータ
・ジャイアントチョコパイ
 巨大なチョコパイ型モンスターです。地面をぴょんぴょん跳ねたりたまにホバリングしたりして移動します。
 ふしぎな魔法によって肉体(?)は一切汚れることがなく、食べる時まで清潔です。
 どんな攻撃方法をとっても新鮮かつ清潔かつ美味しくいただくことができます。つまり食べるにあたって細かいこと考えなくていいよってことです。

 戦闘方法は主に体当たりとチョコパイガトリングとチョコパイビームです。名前から攻撃内容を察してください。これ以上の文献が見つからなかったんです。

・フィールドデータ
 フィールドはコンビニ前。広く舗装された道路です。
 民家とかそのへんにありますが避難諸々は大体済んだものと考えてOKです。一般市民への被害は出ません。だってチョコパイがおいしくなくなるから。

●ブレイブメダリオン
 このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
 ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
 それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
 このメダルはPC間で譲渡可能です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりませんしAはエンゼルのAです。

  • <ヴァーリの裁決>じゃいあんとチョコパイ伝説完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月25日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
一番の宝物は「日常」
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
一条 夢心地(p3p008344)
殿
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
キサナ・ドゥ(p3p009473)
野生の歌姫
暁 無黒(p3p009711)
No.696

リプレイ

●コンビニってなんでも売ってるよね
 テレテレテレーンテレテレテーン
 ドアのチャイム音を背にコンビニ前へと現れる『騒乱を呼ぶ獅子』佐藤・非正規雇用(p3p009377)。
 その厳ついライオンフェイスで鼻をフンとならし、大股に歩く。
 右手にはグレートソード。
 左手にはコンビニ袋。
 中身は特盛りから揚げ弁当であった。
「すまんな、暖めてもらうのに時間がかかった」
「いや、別にいいんだが……」
 『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)がコンビニ前で腰を下ろしていたが、非正規雇用が現れたことですっくと立ち上がった。
 そして路上でずもずもしている巨大チョコパイへと振り返る。
「なんであのチョコパイ、こっちがコンビニの買い物終わるまで待ってくれてるんだ?」
「さあ……」
 非正規雇用は割り箸を取り出すと、グレートソードをコンビニの傘立ての更に横にあるグレートソード立てにさくっとたてると、片手で弁当の底を持って蓋をひらいた。
 肉まんはむはむしていた『一番の宝物は「日常」』セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)がもう一度巨大チョコパイを振り返る。
 まだ路上でずもずもしていた。
「あのチョコパイ、なんでお弁当食べるまで待ってくれてるんだろ」
「さあ……はふはふはふっ! はふっふ!」
 非正規雇用は引っ越しバイトしてる大学生かってくらい秒で唐揚げ弁当を平らげると、ゴミをゴミ箱に入れてから鎧の腹部分をポンと叩いた。
 そして今日一番のシリアスフェイス(キメ顔)でチョコパイへと振り返る。
「俺のギフト能力『やがて臨みしヴァルハラ』――腹一杯の状態でも甘い物なら追加で美味しく食べられる能力! その真価を見せてやろう!」
「なあ、もう一つ聞いて良いか」
 斧立てから斧をぬいて肩に担ぐエイヴァン。
「その文法だと……別に無理して別のもんで腹を満たさなくても普通に美味しく食べられるんじゃないか?」
「…………」
 『その真価を見せてやろう!』の顔のままゆーっくり振り返る非正規雇用。
 ゆーっくり頷くエイヴァン。
 ゆーっくり頷くセリカ。
 そこへコンビニ袋片手に『虎風迅雷』ソア(p3p007025)がるんるんスキップであらわれた。
「えへへ……チョコレートはとってもスイートなの味わったばかりなんだ☆ その勢いでおかわりしちゃおうっと」
 頬に手を当ててくねくねしはじめるソア。
「あのねあのね、一緒に冒険して取ってきたカカオを使って2人でチョコを手作りしたの!
 彼はとっても恥ずかしがり屋さんなのにその日はたくさん頑張ってくれたんだ!
 最後の一粒まで食べさせっこしちゃった……ボク、あんなに甘いのはじめてだった……。
 それでも足りないからって……きゃー☆」
「…………」
 『その真価を見せてやろう!』の顔のままソアを見て、もう一回エイヴァンたちへ振り返る非正規雇用。
 目を閉じてうつむくエイヴァン。
 目を閉じて上向くセリカ。
「うわー、チョコパイだー♪
 チョコパイ美味しいよねー、パリッとしたガワのチョコとふんわりした中の生地に甘いクリーム!
 絶妙なバランスだよね!これ真似て作ろうとしてもなかなかうまくできなくてねー、今日は倒して食べてチョコパイ研究をがんばるぞー★」
 そんな空気を良い意味で壊しにきた『ミルキィマジック』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)。
「みんなー、飲み物買ってきたよー! 飲み物なしでチョコパイを食べると結構喉かわくからねー、準備は大事! ミルクティーでよかった?」
 そこへチャリでしゃーっと現れる『鏡越しの世界』水月・鏡禍(p3p008354)。
「チョコパイですか、美味しそうですね。美味しかったら持ち帰ってもいいですか? ご馳走してみたい方がいるんですけど」
「…………!」
 『その真価を見せてやろう!』の顔を向けてくる非正規雇用にビクッとするが、セリカたちが『大丈夫気にしないで』と手をかざした。あとミルキィが午前ティーとかいうボトルをくれた。
 そんな風景を。
 『【No.696】』暁 無黒(p3p009711)は。
 コンビニのレジの内側からずーっと見ていた。
「……あっ、これ俺の仕事か!」
 ソッコー控え室にひっこんでソッコー着替えてソッコー裏口から飛び出しソッコー傘立てから剣ひっこぬいてダッシュで混ざりに行く無黒。
「すんません俺ムクロっす! 遅刻っすか!? 間に合ってますか! っしゃー、セーフ!」
 さっきからコンビニとか自転車とかここは川崎かなんかなの? 神奈川なの?
 ジャイアントチョコパイにビッと剣を突きつけるキメキメなポーズをとってみたが……。
「え!? 本当に!? 本当に敵チョコパイなんっすか!? 名前だけとかじゃなくて!?」
「わかる。混乱するよな」
 『お菓子の街の常連』イズマ・トーティス(p3p009471)が隣に立ってポンと無黒の肩を叩いた。
「けどこの世界じゃ日常茶飯事らしいぞ」
「マジっすか」
「春になるとワタリオサシミが丘を飛んでいくらしいぞ」
「マジっすか」
「けど油断するなよ。チョコやクリームってそれなりに栄養あるらしいんだけど、いかんせん糖分と脂肪分の暴力なんだよ。こんなのが町に溢れたらたちまち地域ごとメタボリックシンドロームに襲われるぞ」
「マジっすか……」
「古今東西、ジャイアントの名を冠するモノには等しく価値がある」
 いきなり反対側に冗談みたいな格好した『殿』一条 夢心地(p3p008344)が現れて、無黒の肩をがしりと掴んだ。
「パンダ、ババ、ロボ、コーン……そして、チョコパイ。
 倒さねばならぬ。そして食べねばならぬ。食べ尽くさねばならぬのじゃ!」
 『わかるじゃろ?』みたいな流し目を放ってきたので逆サイドのイズマに助けを求めて振り返ると、イズマは『これは俺も知らん』といって首をぶんぶん振った。
「あっ、待った? 買い物おわったぞー」
 コンビニから出てきた『ロスト・アンド・ファウンド』キサナ・ドゥ(p3p009473)が手にコンビニ袋をさげて現れた。
「今回みてーな作戦で、近くにコンビニがあるってのはすげー利点だな。無双系ゾンビゲーにおける作業台付きのホームセンター並みの頼れる拠点だ。とりあえず胃薬と飲み物買ってきたけど他になんかいるか?」
「いやべつに……待って今レジ誰も居ないんっすけどどうしたんすかそれ」
 無黒のモットモな言葉に、キサナは今日一番のスマイルでコンビニを親指でしめした。
「『一日店員』キサナ・ドゥ、爆誕だぜ!」
「窃盗だこれ!?」
「接収と言えぇ!」
 接収です。
 すごい余談になるけど、この時の代金はローレットにツケるとみせかけて領主の佐藤非正規雇用に丸投げされたらしい。無茶な経費計上をするとキラーパスされるというどこの世界にもあるようなハナシだった。
 さておき。
「フン、これで全員集合だな!」
 グレートソード立てから剣を抜き、勇者パースで構える非正規雇用。
 同じポーズで斧を構えるエイヴァン。
 刀を抜いてここぞとばかりに構えるセリカ。
 同じく刀を抜いてシンメトリーに構える夢心地。
 ミルキィはあのホイップクリームうにゅーってやるやつ(ペストリーバッグっていうよ)を構えてちょっとうにゅらせ。
 鏡禍は手鏡をさっと取り出してなんとなく構え。
 キサナとソアはキャットの構えをとり。
 イズマと無黒は剣をそれぞれじゃいあんとチョコパイへと突きつけた。
 そして。
 非正規雇用は獅子の如く叫んだ。
「俺の真価を見せてやる!」
 待ってましたとばかりにドゥっと飛び上がるチョコパイ。
 戦いが、ようやく始まったのである!


「思えば、ボクたちファントムナイトの時にはもうふつうと違った気がするな。あのときボクたちはお互い手を取――に"ゃ~~~~っ!!!!」
「とらバリアー!」
 非正規雇用はソアを羽交い締めにするとすんげーいきおいで飛んでくる大量のミニチョコパイの盾にした。
「むむむむ……甘い!」
 顔をクリームまみれにしたソアを放り出し、チョコパイへと突撃する非正規雇用。
「よくも大切な仲間を! 中身がマシュマロなら許さんところだったぞ……!」
 喰らえぃ! と言いながらチョコパイをざくーっと切って更に切って丁度一口でイケるなってサイズにしてから頬張った。
「……ウマい!」
「あれ? これって戦闘中なんだよね?」
 セリカはバケツにくんできた水をソアの顔にバッシャーやりながら振り返った。(こちらがミリアドハーモニクスの使用描写となっております)
「ジャイアントチョコパイの相手をするにあたり、気をつけねばならぬ点はふたつ。
 ひとつめは、ジャイアントの名に相応しき、その大きさ、ボリューム感じゃ。
 そのままかぶりつくのも若者には良いじゃろうが、麿の年になるとややキツい。
 二刀を振るい、ちょうど良い大きさにカットし、そして食す。これで喉につまる心配も無し」
 さっきから構えたままうんちくを語る夢心地。
 無黒は飛んできたちっちゃいチョコパイをキャッチしては黙ってもぐもぐやっていた。
 同じくもぐもぐしたイズマが、ハッとして手の中のチョコパイに目を剥く。
「これがチョコパイか。美味しい!」
「そんな初めてハンバーガー食べた御嬢様みたいな反応を」
「なんだ、慣れた様子だな。まさかチョコパイに溢れた世界から来たのか!?」
「そんな異世界転生モノのキャラみたいな反応を」
 ペットボトルのキャップをねじねじやって紅茶を一口やると、無黒は親指を立てて見せた。
「俺は甘味男子っすよ。チョコパイのことなら任せてくださいっす!」

 一方。これが戦闘する依頼なんだってことを思い出すためにエイヴァンたちの様子をご覧戴こう。
「ぐおおっ! チョコパイビームか! ……ビームってなんだ!?」
 ジャイアントチョコパイから放たれる謎の光線を盾で防ぎつつ、鏡禍たちにゴーサインを出すエイヴァン。
 彼の後ろから飛び出したキサナが魔法の鎖を発射。鎖がチョコパイへぐるぐると巻き付いていく。
「せーのでいくぞ! デカすぎて引っ張られる!」
「「せーの!」」
 思いっきり引っ張ったところで鏡禍が突進。
 体当たりでゴリ押しを仕掛けようとしてきたチョコパイに自ら体当たりで相殺しにいくことで勢いを殺し、その好きにミルキィがてやーっていいながら跳躍。
 そして。
 チョコパイの上にめっちゃホイップクリームをねりねりしまくった。
「おいしくなーれー!」
 ごめんこれ本当に戦う依頼なのか自信なくなってきました。

 このあとイズマや夢心地が剣でずばずば斬ったり魔法をアレしたり殴ったりしーの――。

●これもたたかい
「ふぉっふぉっふぉ…はんみはんひふぉはふぇふふぉ、おふぉふぉふぃいっふよ!(訳:ふっふっふ…甘味男子を舐めると、恐ろしいっすよ!)」
 コンビニの控え室からトレーをもって現れる無黒。食べやすくカットされたジャイアントチョコパイの姿がそこにはあった。あと無黒は既にめっちゃ頬張っていた。
「これがチョコパイか。美味しい!」
「イズマさんそのリアクション二度目」
 片手に持ったチョコパイにハッとするイズマ。
 一方でミルキィはレジの裏んとこにあるあの妙に器用なスペースでハッピーな煎餅で挟む謎菓子をこしらえたりバニラアイスを乗せたりと神の遊戯みたいなことをしていた。
「話に聞いたハッピーなターンとの食べ合わせ……お菓子マイスターなボクとしては試さずにはいられないね!」
「オレは『冷やし』でいくぜ」
 キサナは冷凍したチョコパイを手に取り、さくさくとかじりついていく。
「ガチガチに凍らせるんじゃなくて半分凍ったくらいが丁度良いんだよな。
 チョコのカリッとした口触りが、中々乙だろー♪
 オレも作詞とかで行き詰まった時とか、うまく執筆できて自分へのご褒美とか、冷やし チョコで休憩を取ったりしてな。効くんだ……糖分が、熱くなった脳にさ……くひひ」
「冷やすと甘みを感じづらくなるというからな。糖分を多く摂取するにはいい手だ」
 エイヴァンは冷やしチョコパイをさくさくやりながら、その横で夢心地がなぞい錬金術をしかけていた。
「これをチョコパイの間に挟み、春の新作、ウナギチョコパイバーガーを生み出そう。
 甘辛さが全身を刺激する、この新時代のバーガーは幻想世界にブームを起こすこと間違いなしよ。
 そこなコンビニ店員よ、おぬしの店オリジナル商品として先行販売しても構わぬぞ」
「う、うわー……これだけあると、流石にちょっとはいただいちゃっても……」
 セリカがカロリーを気にしながらも、アレンジされたチョコパイのひとつを手に取ってみた。
「あんまり食べ過ぎちゃうと体重的にもピンチになっちゃうし、あくまでちょこっとだけ……」
「残すとお化けがでるかもしれませんからね。できるだけ食べましょう」
 鏡禍も左手に紅茶右手にチョコパイという至福なフォームでくつろいでいた。
 そんな中で、チョコパイをとりま腹一杯(?)食べた非正規雇用。
 コンビニの前でごろーんと仰向けに転がった。
「一体何キロカロリーを摂取したのか……よし、ジム行くぞ! ソア、鏡禍、ついてこい!」
「わーい行くー! 食べ過ぎたカロリーは電気に変えて領地にプレゼントするよ!」
 腹一杯食べた割にまだ元気なソアがぴょこーんと立ち上がって、今まさにくつろいでいた鏡禍の腕をひっぱった。
「え、僕はあまり体力がないので遠慮させて……」
「体力つくよー!」
「いや、体力がつくとしても嫌ですぅ……!!!」

●シメにどこいく? ラーメン?
 ソアと非正規雇用の二人がかりで鏡禍を担ぎ上げ、えっさほいさとジムへと走って行く。
 一足遅れる形でコンビニを出たエイヴァンが、ぽんと腹を叩いてから非正規雇用たちが走り去る背中を見やった。
「ところで、奴は気付いてるんだろうか……コンビニに売ってる商品。名前が違うだけでいくつかはチョコパイだということに」
「さあ……」
 食べ始めたらもうとまんなくなってきてしまったセリカが、右腕の暴走を止めるひとみたいおに手首を握りしめながら店を出てきた。
「ねえ皆、他のスイーツも食べたくなってこない? ケーキバイキングいく?」
 一方こちらは余裕ありまくりのミルキィ。
 甘い物をたべても太らない体質なのだろうか。そういう国からきたっぽいし。
「ふむ、そろそろ麿は熱いお茶がこわい」
 夢心地が口を手ぬぐいでふきふきしながら同じく店を出てくる。
 後に続いたイズマと無黒が、ケーキが入ってそうな箱を両手に抱えてやってくる。
「いくらなんでも余りすぎた。近隣住民に配るか?」
「例のメタボリックシンドロームがどうのってハナシは大丈夫っすかね?」
「まあ、大丈夫じゃね?」
 キサナが満腹そうな顔して横に並んだ。
「この領地の人達……多分、領主の命令でジムに放り込まれるから」
 ふと見上げる青空に、ジムの会員証をかざすトラとライオンの顔が浮かんだ。その横に無理矢理添えられた、鏡禍も。

成否

成功

MVP

暁 無黒(p3p009711)
No.696

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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