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シナリオ詳細

奇跡の塔6F:雪纏う強欲大狼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 天義某所にある草原地帯の中央。
 天高く聳える白い巨塔『奇跡の塔』の1階には、初老の男性ハルトヴィン・ケントニスが寝泊まりしている。
 現状、彼は生活の大半をこの塔の研究に費やす。
 合間に助手のユーリエ・シュトラール (p3p001160)やローレットイレギュラーズの手を借りてフロアの攻略。
 その後現れる新たな石碑を、ハルトヴィンはまた次のフロア攻略の為にユーリエと、彼女の持つ水晶玉を使って解読……を繰り返している。
 最初にこの塔へと侵入してからすでに1年余り。
 6階の攻略の準備を整ったところで、ユーリエと数名のイレギュラーズが塔へとやってきた。
「先生、こんにちは」
 ユーリエも自分の店が有ったり、他地方の依頼があったりと忙しいが、合間を縫ってここに顔を出している。
「ご無沙汰だね」
「また、厄介になるよ」
「いつもユーリエがお世話になっています」
 攻略の旅に訪れるリゲル=アークライト (p3p000442)、ポテト=アークライト (p3p000294)のアークライト夫妻や、ユーリエの恋人であるエリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ (p3p000711)、ほろ酔いで眠たげな顔をしたアーリア・スピリッツ (p3p004400)などはすっかりハルトヴィンと顔見知りとなっている。
 旅の錬金魔導士のセリカ=O=ブランフォール (p3p001548)は2回目の参加。話を聞きながらも、塔のあちらこちらへと視線を巡らしていた。
 他に、有志の者達を加え、一行が挑む相手は……。
「【強欲の雪狼】グリードフェンリルとある」
「今回も強欲……グリードと、名前が対応しているようだね」
「強欲か。どれだけがめつい相手なのだろうな」
 ハルトヴィンの出した名を受け、リゲルとポテトが話し合う。
「詳細を頂けますか?」
 エリザベートの問いに頷くハルトヴィン。
 6階フロアの中央は廃墟となった鉄帝の大闘技場ラド・バウを思わせ、あちらこちらに床や壁の残骸が転がっているという。
「現存しているラド・バウとは何か関係があるのかしらぁ?」
 アーリアの疑問はもっともだが、さらに上階に至ればその謎が解明されるのだろうか……?
「ところで、フェンリルって、他世界に伝えられる狼の姿をした怪物だよね?」
 そこで、セリカが知っていることを口にすると、ハルトヴィンが唸る。
「ラド・バウにしても、そのフェンリルにしても、因果関係は不明だね」
 塔のあちらこちらに描かれた様々な模様はユーリエの持つ水晶を翳すと情報を引き出すこともできるが、ハルトヴィンらがこれまで調べた中にはそうした情報はないらしい。
「吹雪に紛れて襲い来る魔物……。くれぐれも注意が必要だよ」
 荒事はイレギュラーズ任せになってしまうが、今回もまた皆の助力を願いたいと、ハルトヴィンは今回参加するメンバー達へと頭を下げるのだった。


 螺旋の階段を登り、6階が近づいてくると、フロア内の吹雪が漏れ出ており、階段が途中から凍り付いていた。
 寒さ対策をしたハルトヴィンを階段に残し、イレギュラーズがフロア内へと上がっていくと、そこには崩れ落ちて残骸となった闘技場らしき場所だった。
 フロアは半径30m程度の円形をしており、地面は雪に覆われている。
 メンバー達は足跡を残しつつ歩いていると、フロアの奥に巨大な狼が鎮座していた。
 グルルルル……!
 銀の毛並みの上に雪を纏ったそいつこそ、【強欲の雪狼】グリードフェンリル。
 そいつは牙をむき出し、侵入してきたイレギュラーズを威嚇してくる。
 そして、すぐに分身し、雪狼は吹き付けてくる吹雪の中へと身を隠した。
「いけない。物陰に隠れるんだ」
 戦況を覗き見るハルトヴィンがイレギュラーズ達へと助言してくれる。
 相手の雪隠れは吹雪の効果も手伝い、スキルが完全には発動しない可能性もあるという。
「皆、気を付けてね!」
 ユーリエは共に戦う仲間達へと注意喚起しながら、強欲の名を冠する雪狼と対するのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます。

●目標
 【強欲の雪狼】グリードフェンリルの討伐

●敵
○【強欲の雪狼】グリードフェンリル
 全長4mほどもある雪を纏った巨大な狼です
 強欲の力を持って、戦場内の相手を凍らせた上で分身に襲い掛からせてくる強敵です。

・雪隠れ……物超単・【万能】・【氷漬】
 吹雪に隠れ気配を断ち、2ターン後に奇襲してきます。
 戦場の効果もあって、超反射神経スキルだけでは奇襲を完全には防ぐことができないようです。対処するためには、戦場にある瓦礫に隠れる必要があることが分かっています。

・アイスピラー……神超貫・【万能】・【凍結】・【氷結】
 氷柱を飛ばし、貫いた相手を凍らせてきます。

・血を求めて……物中域・【万能】・【怒り】・【HP吸収】
 大声で吠えて強欲の力を放出し、戦場内の敵を自分の方へとおびき寄せます。

・雪の衝撃……物超特・【万能】・【溜1】・【飛】
 雪の狼の分身を出現させ、2人を対象に突進してきます。
 対象者に近づく事で威力を分散できますが、対象者同士が近いと威力が倍増します。程々の距離を見極めることが攻略の鍵となるでしょう。

●NPC……ハルトヴィン・ケントニス
 人間種男性。65歳。ユーリエ・シュトラール (p3p001160)さんの関係者。
 1階に構えた休憩スペースで月の多くを寝泊まりし、この奇跡の塔の謎の解明に勤しんでおります。

●状況
 このシナリオは、影絵 企鵝GM『奇跡の塔1F:永遠の命』に始まり、拙作SS『奇跡の塔1.5F』、シナリオ『奇跡の塔2~5F』の続編に当たります。

 塔の5層フロア内で戦闘を行います。
 そこは鉄帝の大闘技場ラド・バウを思わせる痕跡がある場所で、強く吹雪いております。
 あちらこちらに闘技場の壁などの残骸があります。
 瓦礫1つにつき1人だけが隠れることができ、敵の奇襲対象から逃れることができます。

 また、この戦場では、以下の特殊効果があります。

☆英霊の魂
 罰が【強欲】の者には闘士の魂が味方し、各種攻撃能力が上昇します+【凍気無効】

(PL情報)
 この層を攻略すると内装が下層フロアと同様に石碑へと変化し、
 次の層に続く階段が出現します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 奇跡の塔6F:雪纏う強欲大狼完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
※参加確定済み※
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
※参加確定済み※
エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ(p3p000711)
永劫の愛
※参加確定済み※
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
※参加確定済み※
セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
一番の宝物は「日常」
※参加確定済み※
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
※参加確定済み※
ネリウム・オレアンダー(p3p009336)
硝子の檻を砕いて
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ


 天義のとある平原に聳える1基の塔。
 それを、やっていたローレット所属イレギュラーズ達が見上げて。
「奇跡の塔か。不思議な建造物だな」
 常連メンバーが多い中、音楽一家の出身の鉄騎種男性『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)は敢えて今回の依頼に飛び込んできた。それだけこの塔が気になるのだろう。
「わたしはまだ2回目だけど、そろそろ大詰めの予感……?」
 小柄なオレンジの髪の少女、『一番の宝物は「日常」』セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)がそう思うのも無理はない。今回の探索は6階層の探索と聞いていたからだ。
「そろそろ終盤にさしかかったので、何かしら重要な情報が得られるといいのですが」
「うん……上を目指せば、すべてがわかるのかな……?」
 旅人の吸血姫『永劫の愛』エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ(p3p000711)の言葉に、髪を赤いリボンでサイドテールにした『優愛の吸血種』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が小さく頷くが。
「ともあれ、今回もみんな無事に突破できるように、頑張るよ!」
 意気込む彼女が扉を開き、一行はその内部へと突入していくのである。

 その後、塔の中に入った一行はハルトヴィンを加え、階段を登る。
「ほんっと嫌ねぇ、この塔に登る度に自分達の罪と向き合わなきゃいけない感じ!」
 ほろ酔い気分で仲間についていく『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が言うように、2階より上のフロアは七つの大罪と対応した守護者が存在している。
「英霊の魂は今回はリゲルのみとなるので、リゲルが頼りといったところでしょうか」
 エリザベートが口にしたことで、皆の視線が1人に集まる。
「強欲は罪であり、調和を乱すもの。しかし時にそれは、己の原動力となることもある。自身の強欲な願いを糧に挑もう」
 今回の敵は強欲。今回のチームでは唯一該当するのが真面目な天義の騎士、『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)である。
「奇跡の中で待ち構える大罪の番人、ね……。いいね、このきな臭さは僕好みだ」
 商人ギルドの天義支部長、『硝子の檻を砕いて』ネリウム・オレアンダー(p3p009336)も初めてこの塔を訪れたが、待ち受ける守護者達に強い関心を抱いていたようだ。
「こうして、力を合わせて一つずつ乗り越えていくのは嫌いじゃないわぁ」
「その為にも、今回、彼には頑張って頂きましょう」
 アーリアが前向きにコメントすると、エリザベートが今回の作戦の肝となるリゲルに期待を寄せる。
 さて、メンバー達は5階に至った地点で厚着を始める。
「この上は氷雪地帯のようだね。くれぐれも注意を」
 ハルトヴィンの忠告もあり、皆事前にユーリエから聞いて準備していた防寒具を荷から取り出す。
「今度は吹雪の中の戦いか」
 例えば、マイペースな人型の精霊、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)もゴーグルを装着、マント、フードを纏い、しっかりと寒さ対策を行う。
「ともあれ、今回もみんな無事に突破できるように、頑張るよ!」
 セリカも厚着をし、ゴーグルを着用して吹雪の中での戦いに備える。
 上層フロアが近づくにつれて雪が積もり出す階段を、ネリウムはゴーグルで注視しながら底のしっかりとした靴で踏みしめる。
「今回は寒いのですね」
 吸血姫のエリザベートもやはり寒さは感じるらしく、他メンバーと同様の装備をしているが、手を握っているユーリエとお揃いであるところがなんとも微笑ましい。
「吹雪く大地でどんなに辛くても私たちは諦めず立ち向かい続けるだけです!」
 少なからず寒さは軽減していたようで、ユーリエも愛しい彼女の手を握り返して気合いを入れる。
「それにしても、過去の調査についても聞いたが、各フロアの特徴を考えると興味深いね」
 6階に到着した地点で、イズマが改めてその話を持ち出す。
 そこは、5階フロア内の石碑や、周囲の模様などから引き出した情報通り、雪が強く吹き付ける何かの建物の残骸が確認できた。
「この場所はもしかしたら、かつて鉄帝の闘技場だったのかもしれません」
 下層で入手した塔の情報端末である水晶玉やスキルを使い、新たな情報が得られないかと確認していたユーリエ。
 情報は皆に伝達をと心掛ける彼女にとっては、それが鉄帝の大闘技場ラド・バウを思わせるように感じたらしい。
 それだけではなく、その前の五層もラサを思わせる砂の大地であったこと、四層は新緑の森、三層は天義の雰囲気を感じさせたとユーリエは語る。
「どうにも、この塔はこの世界にある場所と似すぎています」
「混沌の各国を模したフロア、罰を司る獣……まるで試練のようだ。そう、全てを乗り越えた先に何かを期待させるような……」
 ユーリエ、イズマの言葉に応じてか、雪を踏みしめて現れたのは、雪纏う巨大な狼。
「あれが【強欲の雪狼】グリードフェンリル……」
「残念。フェンリルは力が強くても毒は無いんだよね」
 階段から視線を覗かせるハルトヴィンが呟くと、毒を感じるギフトを持つネリウムが少し残念がる。
「さて、吹雪の中での戦いは厳しいだろうが、乗り越えてみせるぞ」
「ようやく暖かくなってきたっていうのに吹雪なんて最悪だもの、ぱーっと倒して熱燗でも飲みましょ!」
 アオオオオオォォォォ……ン!
 イズマ、アーリアが掛け声を上げると、雪狼が威嚇するように吠える。
 身を翻して雪の中へと姿を消した敵に、一行は警戒を強めて。
「今回も頼もしい回復手は沢山、なら思いっきり攻めるのみ!」
 アシストゴーグルで吹雪の中を見回すアーリア。その途中、主軸となるリゲルも一時視界に入る。
 リゲルはゴーグルに加え、ギフトで光らせた剣で視界対策をした上でエネミーサーチを働かせて敵の居場所を周知しようとする。
 周囲に散らばる瓦礫は身を護る盾として使えるとの情報もあり、ポテトはそれらの破壊を防ぐべく保護結界を展開する。
「中々厄介だが、ここを越えれば頂上まであと一歩だ。皆頑張ろう!」
「ああ、ポテト。負けはしないよ。勝つのは、俺達だ!」
 ポテト、リゲルの夫婦はどこから襲い来るか分からぬ敵にも、まるで臆する素振りを見せない。
「さぁ……、いきましょう!」
 身を躍らせてくる雪狼に対し、仲間達へと呼び掛けたユーリエの一声を皮切りに、イレギュラーズ一行は応戦を開始するのである。


 吹雪の中、襲い来る6層の守護者グリードフェンリル。
 雪纏う狼は圧倒的な力を感じさせるが、戦場となる強い風を伴う吹雪も非常に厄介だ。
 その為、メンバーはゴーグルなどを使っているが、それだけではなく、エリザベートやポテトが周囲の精霊達に働きかけ、少しでも風を弱めてもらうよう働きかける。
 吹雪が弱まる状況で、イレギュラーズのほとんどが戦場に散らばったままの瓦礫に身を隠す。
 エリザベートはユーリエの手を引き、瓦礫へと引き込む。自身はすぐ隣の瓦礫に隠れてやり過ごす。ユーリエはじっと敵の情報、弱点を探っていたようだ。
 こちらも瓦礫の陰で、自らを光の帳に包んで防御態勢をとっていたセリカがさらに、魔力を込めたポーションを振りまく。
「これで大丈夫だよ!」
 セリカの力によって、前線メンバーを包むように新たな光の帳が現れていた。
 なお、ネリウムやポテトは保護結界を使って瓦礫の破壊を防ぐが、瓦礫に隠れるネリウムに対し、ポテトは守りに特化していたこともあって姿を晒していた。
「皆は危なくなったら、躊躇せずに使ってくれ」
 そのポテトの傍に、剣を光らせたリゲルが控えて。
「俺が盾となる。バックアップは頼んだよ」
 そして姿を晒す雪狼はそのリゲル目がけて鋭い爪を振り下ろす。
 ただ、彼はこのフィールドに宿る英霊の魂の力を得ており、多少の傷では怯みはしない。
「英霊よ。汝らのご加護、有難く頂戴致します」
 闘志の魂の恩恵に預かって凍気を跳ね退けるリゲルはその力を与えてくれた者達に感謝を示していた。
 アオオオオォォォン!
 一方の雪狼。次撃は姿を晒したまま強欲の力を放出する。
 下手に近寄れば、雪狼の方へと自ら近づく形となる為、メンバーの半数は離れてそれをやり過ごす。
「やはり、戦いづらいな」
 持ち前の過酷耐性で吹雪の中でもある程度立ち回れるイズマだが、耐えることと攻めることは勝手が違うようだ。
 そんな勝手の違う戦場で、超聴力を働かせる彼は音を頼りに敵味方の動きを把握していたが、雪狼の遠吠えも効果もあってか、敵へと近づいていくイズマ。
「正気を保つんだ」
 そんな彼の姿を確認したネリウムが号令を発すると、正気を取り戻したイズマは魔道具で力を高めて双剣の連撃を見舞う。
 後の先から先を撃ち、縫い付けるイズマの邪剣は僅かだが、雪狼の動きを止める。
「残念だけど、私達の血はあげないわぁ」
 こちらも、遠方で咆哮の影響から逃れていたアーリア。
 瞬きによってアーリアは黄金色へと変えた瞳で相手を見つめ、強欲の力で仲間から体力を奪うのを防ぐ。
 アーリアの攻撃の直後、攻め込むリゲルが抜き身で断罪の刃を雪狼へと見舞う。
 相手も形成した氷柱を撃ち出し、リゲルだけでなく、後方のネリウムまでその一撃は及ぶ。
「大丈夫、誰一人倒れさせはしない。最後までみんなで頑張ろう!」
 傍にいたポテトはいつの間にか自らの能率を高めており、皆の回復に……とりわけ中衛以前のメンバーの回復に専念。
「前は頼んだ。その分、リゲルの背中はしっかり守るから」
 この場は、チームの盾を務めるリゲルに調和の力で癒しをもたらして。
「後衛の事は目が届かないから、後衛の回復は任せたぞ。セリカ、エリザベート」
 ポテトにそう託され、セリカ、エリザベートの2人は天使の歌を響かせて戦線の維持に努める。
 手厚い仲間達のサポートもあり、ネリウムは仲間達を巻き込まぬよう調整し、有毒ガスの霧を展開する。
 相手の身体が毒の色にほんのり染まれば、占めたものだとネリウムは笑う。
「あんなに動き回るんだったら、毒の回りもさぞ速いだろうね。ふふ!」
 とはいえ、敵もかなりの体力があるはず。加えて、吹雪の中へと姿を眩ますこともあり、戦いはどうしても長引いてしまう。
「長期戦になっても、負けるつもりはありません」
 そう主張するエリザベートの存在を感じつつ、光の加護を自らに施すユーリエは集中する。
 この場は仲間達をも巻き込むと判断した彼女は、左手で剣を弓のように見立て構え、刀身から溢れる魔力を魔法の矢に変えて打ち出す。
 グルルル……。
 しかし、戦闘態勢を維持した雪狼はなおも唸る。
 すぐにそいつは自らの分身を出現させ、イレギュラーズ達を威嚇するのだった。


 雪狼……グリードフェンリルは分身し、獲物を誰にしようかと周囲を睨めつけてくる。
 これが雪の衝撃の準備モーションと感づき、メンバー達の背筋に寒気が走る。
「気を付けるんだ。戦場のどこにいても、その狼に狙われれば関係がない」
 ハルトヴィンの忠告もあり、皆、身構えてより警戒感を強める。
 ………………。
「私?」
「僕も……か」
 雪狼の鋭い視線は後方のセリカとネリウムに。
 察した2人は互いの距離を離すが、すぐさま近寄ってきた敵はその巨体を猛然と叩きつけてくる。
 回復は余裕持ってと身構えていたセリカであったが、準備を掛けて襲い来る雪狼の突撃に目が眩みそうになってしまう。
 すぐさま回復に転じようとするセリカ。ただ、同じく突撃を受けていたネリウムの様子は芳しくない。
 彼も雪狼が攻撃モーションを取ったことを察していたが、周囲の仲間と連携が取れず、セリカ以外の仲間の方に向かおうとするが……。
 グアオオオォォォ!
 突撃してきた雪狼はネリウムへと牙を突き立てる。……深く、深く。
「参ります」
 エリザベートが威力の軽減の為に近づこうとするが、時すでに遅く、ネリウムはパンドラをすり減らして耐え、雪狼の毒が切れるタイミングを見て再び毒の霧を見舞うべく位置を調節していた。
 鋭く目を光らせる雪狼はなおもイレギュラーズを狙い、分身する。
 次は手前にいたポテト、リゲル夫妻。
 それを察したイズマは敵に奇襲を仕掛ける。
「今度こそは……!」
 近距離メインで立ち回るイズマは格闘と魔術を織り交ぜた攻撃を行っていたが、次の攻撃は仲間を助けるべく適度な距離を取って威力の分散を狙う。
 防御態勢をとるイズマの後方から、突撃の為に力を溜める敵の隙を突いたアーリアが目を光らせて。
「隙を見せるのが悪いのよぉ?」
 アーリアの甘美な投げキスは赤い花吹雪を巻き起こす。
 それは強く敵を引き付けはする雪狼。確かに、若干その花吹雪に目を向けてはいるが、完全に正気をなくすまでには至らない。
 次もまた、雪狼が狙うは近場にいるメンバー達。近距離のリゲルと中距離にいるポテトの夫婦だ。
 回復の為にと立ち回るポテトとしては、望むところ。アーリアやエリザベートの援護を受け、リゲルから離れる形でその攻撃をやり過ごすことにする。
 グルルルル……。
 分身共々唸る雪狼に、リゲルが叫びかける。
「強欲なるグレードフェンリル! 貴方は強欲に、何を望む?」
「…………!」
 それに、雪狼が大きく目を見開く。
「俺はこの身を賭して強欲に、仲間を守る!」
 グオオオオォォォォ!!
 リゲルの気構えを試すかのように、雪狼が彼を睨みつけ、飛び掛かってくる。
 同じタイミング、ポテトは後方のメンバーに助けられながら敵の猛攻に耐えていたが、リゲルは仲間達への感謝を胸に抱いて猛攻にその身を晒す。
 仲間のフォローが間に合わず、リゲルは1人で耐えることとなってしまう。
 削れるパンドラを捧げ、彼は自らの務めを果たす。
(俺もいずれは貴方達と共に並ぶのだろうか)
 それまでは強欲に障害を掛け、リゲルはなすべきことを成さんとするのである。

 2度の雪の衝撃の後、グリードフェンリルはしばし咆哮と氷柱とを使って攻撃を続ける。
 素早く動き続ける敵に、ネリウムは再度毒の霧に包む。
 着実に、毒で体力をすり減らす敵の苛烈な攻めを、主としてリゲルが受け止め、ポテトが補佐して癒し、支える。
 後方にまで及ぶ氷柱によるダメージはエリザベートが逐一調和の力を響かせて傷を塞ぐ。
「もう一つ、受け取って!」
 さらに、不測の事態に備え、気持ち早めにとセリカが天使の声を皆へと歌い聞かせる。
「仕掛ける。続いてほしい」
 そんな仲間達の回復の合間に、イズマが変幻邪剣で雪狼を惑わしたことで動きが止まれば、隙を突いたリゲルが形作った黒い顎が膨れ上がり、敵へと食らいつく。
 ここが畳みかけところと、アーリアは再度、雪狼をじっと見つめて。
「私の蜜の罠からは逃がさない」
 続けて、アーリアは葡萄酒色の蔦で敵の巨体を雁字搦めにしていく。
 グ、グオオォォ……。
 暴れて蔦を引きちぎろうとする雪狼を見据え、ユーリエは生命力気力を削ってそれぞれ具現化した光る弓に闇の炎を燃え上がらせた矢を番える。
(まだ……、もう少し……)
 焦らず、じっと待つユーリエ。相手が姿を消したらこの技を放つことができない。
 その間に、イズマが敵を背後から奇襲する。
「少しでもダメージを積み上げたい。ああ、血が舞ったら目立つかな?」
 距離が届かず、イズマは自らの血飛沫を凶器と変え、雪狼の身体を覆う雪ごとその体を切り裂く。
 雪狼がイズマへと視線を向けるそのタイミング。
「……今です」
 戦場を駆け抜ける矢は吹雪の中を駆け抜け、大きく口を開いた雪狼の身体を射抜く。
 グアアオオオオオオオォォ……!!
 体の内側から、グリードフェンリルはその身体を爆ぜ飛ばす。
 それを確認したユーリエが一息つくと、エリザベートが傍に駆け寄り、彼女を支えるのだった。


 グリードフェンリル討伐後、あれだけ吹雪いていたフロア内は嘘のように雪が止み、全てが溶けていく。
 そして、周囲に合った闘技場の後らしき物もなくなり、下層と同じく無機質な石畳のフロア中央に石碑が出現する。
 外壁沿いに螺旋階段がせり上がっていき、さらに上、7階層へと向かう通路が完成する。
 ただ、無策に7階層へと至るわけにはいかない。そこを登るのは、ハルトヴィンやユーリエがこの状況の6階層の調査を進めてからだ。
「まだ体冷えてるよね? あったかいものを用意しようか」
「そうねえ、もう芯まで冷え切ったもの。お風呂も入りたいわぁー!」
 自身も体を震わせるセリカの呼びかけに、アーリアが応じて思いっきり叫ぶ。
 この状況でできることを終えたイレギュラーズ達は上へと続く階段を気にかけながらも、階段を降り始めるのである。

成否

成功

MVP

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは己の強欲と向き合い、仲間の盾となった貴方へ。
 今回はリクエスト、並びにご参加、ありがとうございました!

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