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シナリオ詳細

再現性東京2010:強欲至極のツヴァイフェルン

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ナイトインザトレイン
 建設途中で放棄された廃駅に、三両編成の貨物列車がとまった。
 開いた貨物車両から降りてくるスカジャン姿の男達。向かいからは、駅員の制服を着た仮面の男達が現れ向かい合う。
 スカジャンたちが顎をしゃくると、仮面の駅員は振り返り……奥から手錠と縄によって拘束された女達が引っ張られてくる。
 スカジャンの男たちは金貨のたんまり入った袋を取り出し駅員へと渡――
「ちょーーーっとまった!」
 突然灯る大型ライト。バッと手をかざすシルエット。
 彼の名は伊達 千尋(p3p007569)。
 仮面の駅員たちやスカジャンの男達が身構えるが、大して千尋の仲間達がずらりと並ぶ。
 対して、スキンヘッドのスカジャン男が呪力を纏った鉄パイプを突きつけた。
「警察気取りかよ? ここは日本じゃねえ。練達国に奴隷を禁止する法律もねえ」
「だれがケーサツつった? あぁーん?」
 千尋は両手を組んでくねくねと手首の柔軟運動をすると、首を回して両足をそれぞれ振る運動をした。
「希望ヶ浜でヤンチャをするってんなら、俺ら『希望ヶ浜愚連隊』がぶちのめす――ってな」
 彼らがぶつかり合うその前に、まずは背景について説明しよう……。

●ZWEIFELN(ツヴァイフェルン)
 鉄板つきテーブルを、四人の男達が囲んでいる。
 練達再現性東京2010、希望ヶ浜地区に存在する駄菓子屋でのことである。
 一人は嵐山ソラト。黒いライダーズジャケットに身を包むクールな風貌。
 再現性東京間で運び屋をしているバイク乗りで、一部では無敵の代名詞にすらなっている男だ。
 二人目はCOOKIE。白いスーツと毛皮のコート。そして特徴的なサングラスで外見武装した獣のような男。
 希望ヶ浜地区にひっそりと開かれた歓楽街。その守護神と言われるチーム『クアッドコア』の用心棒として、女を守るため戦う孤独な獣である。
 三人目はススム。爽やかな雰囲気を纏った好青年。〇〇王子と呼ばれるくらい甘いマスクの男だ。
 彼は『Zillion of will』という連合組織を作り、ここ希望ヶ浜地区の治安を守っている。
 彼は焼き上がったもんじゃ焼きを手際よく作りながら、向かいに座った四人目の男こと無名偲・無意式。言わずと知れた希望ヶ浜学園の校長である。
「夜妖や真性怪異から町を守る祓い屋や始末屋たちが『裏の平和』を守るなら、さしずめお前達が守っているのは『表の平和』と言ったところか……」
 校長は皿にもられたもんじゃ焼きを竹ヘラでつつきながらつぶやいた。
「希望ヶ浜は『閉じた箱』だ。他の再現性東京エリアと比べても特段に、な。
 住民は外の世界を意識せず、外に出て行った者のことも考えない。ここが練達国の一地区にすぎないというのに、21世紀の日本の常識やルールの中で生きようとしている。
 悪党からすれば、これほど『美味しいカモ』はないだろうに」
「そういう連中をたたき出すのが俺たちZoWってわけだ」
 爽やかに笑うススム。彼の開いたノートパソコンには難しいコードが並び、絶え間なく流れ続けている。
 画面を反転させて見せてくるススム。
「再現性歌舞伎町に拠点をもったZWEIFELNが、希望ヶ浜の女たちを攫ってむこうの歓楽街で働かせようと計画してるらしい。どういう風に働かせるかは……COOKIEのほうが詳しいんじゃないか?」
「……ダァム」
 COOKIEは棒付きキャンディを口にくわえ、銀色の歯を見せて不快さを露わにした。
「奴らは女を奴隷にする。多額の借金、薬品、人質……あらゆる手を使って働かせ利益を喰らい続ける。希望ヶ浜の女となれば珍しさから買う奴も多いだろうな。そしてこの町の連中は出て行った者のことを気にしない。攫うにはうってつけってわけだ……。
 だが、経路がない。そう簡単に人間を攫って出入りするようなルートを連中が確保したとは思えない」
「それを、確保できたとしたらどうだ?」
 ここからの説明はソラトの方が詳しいようだった。
「希望ヶ浜の交通を管理している猿夢鉄道……コイツが取引に応じたらしい。
 貨物列車に拉致した女を詰め込んで町の外へ運び出すって計画だ」
「歯沼か……奴はすぐ金にころぶからな……」
 不吉そうにため息をつく無意式。
「それで、今回は『希望ヶ浜愚連隊』が必要になるというわけか」

●希望ヶ浜愚連隊
「希望ヶ浜でヤンチャをするってんなら、俺ら『希望ヶ浜愚連隊』がぶちのめす――ってな」
 廃駅のホームで向かいあう、ZWEIFELNと希望ヶ浜愚連隊。
 希望ヶ浜地区内で目撃されてもいいようにと、希望ヶ浜風に偽装された武器や防具を纏った彼らが、それぞれ同時に突撃を始めた。
「行くぜおめーらー!」
 希望ヶ浜の『表の平和』を守るため、攫われようとしている女たちを守るため。
 今、外なる闇との戦いが幕を開ける。

GMコメント

このシナリオはラリーシナリオです。仕様についてはマニュアルをご覧ください。
https://rev1.reversion.jp/page/scenariorule#menu13

■グループタグ
 誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの一行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。所属タグと同列でOKです。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
 このタグによってサーチするので、逆にキャラIDや名前を書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【もふもふチーム】3名

■章構成
 1~2章構成予定。
 採用人数はトータルで30名程度を予定しています。

■オーダー
 希望ヶ浜地区から女性を拉致していこうとする悪徳スカウトZWEIFELNと戦い、町の平和を護りましょう。

■武装について
 今回は掃除屋たちの力を借りづらい『表の平和』を守るミッションです。
 そのため敵も味方も希望ヶ浜地区内でおきた不良たちの喧嘩に偽装される形で戦っています。
 全員ステータスシートどおりの能力値及びアイテム降下をもっているものとします。
 ただし外見は現代日本ぽく変装し、ステゴロないしは木刀やステッキなどを装備した状態になっています。
(飛行や物質透過等々は『できるけどやらない』といった感じになります)

■シチュエーション
 現場には敵と味方の集団。そして拘束された女達がいます。
 女達を守るためにあえてそちらへと急行し、高速している仮面駅員たちを倒すのもアリでしょう。
 味方チームには何人かNPCも混じっています。(詳細は後述します)

■フィールド
 廃駅となったかたす駅のホーム内です。
 駅のホームと線路、廃棄されたまま放置された一般的な電鉄車両があります。
 そのたあちこちに廃材が積まれていたりしますが、全体的に広く希望ヶ浜の都会からちょっと離れています。

■エネミー
・ZWEIFELN(ツヴァイフェルン)の兵隊
 スカジャンやジャージなどを着たチンピラ……に偽装した兵隊たちです。
 鉄パイプや木刀、メリケンサックや小さなナイフといった日本で見てもフツーな武装をしているように見せかけていますが、呪力や魔力、ないしはハイテクな何かによって結構な威力をもちます。

・仮面駅員
 猿夢鉄道の駅員に偽装した闇の運び屋です。
 こちらもZWEIFELNと同様の武装をしています。

■味方NPC
 戦いには味方NPCが加わっています。
・COOKIE
 希望ヶ浜歓楽街の守護神です。
 傷ついた女達に再び立ち上がるチャンスを作るというチームクアッドコアの精神に共感し、希望ヶ浜で生きる女達を守るために戦います。
 杖とそれをチェーン状に伸ばした二種のフォームで戦います。

・嵐山ソラト
 再現性東京のあちこちで活動する運び屋です
 素手で戦いますが『クローズ・クォーターズ・コンバット』という武術によって格闘技やってる連中を軒並み叩き潰せるような戦闘センスがあります。

  • 再現性東京2010:強欲至極のツヴァイフェルン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月19日 02時35分
  • 章数2章
  • 総採用数13人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

おーし、これでオッケー。もう二度とこんなマネできねえようにしてやる」
 兵隊たちをロープで縛ってホームの地面に転がし、手をぱしぱしとはらうソラト。
 これにて一件落着……と思われたその時、駅の外で突如エンジン音が響いた。
「――!」
 咄嗟に駆け出し、ホームの外へと出る千尋。
 彼が見たものは、軽トラの荷台に詰め込まれた一人の女。そして彼女を押さえつけ、日本刀をこちらに向ける駅員服の男。かぶっていた仮面を外し、頬に走った傷を露わにした。
 走り出す軽トラ。
 千尋は素早く自前のバイクへと飛び乗りエンジンを唸らせた。
「逃がすかよ――!」

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●第二章:ミッドナイトチェイス
 希望ヶ浜に潜伏していた闇組織はツヴァイフェルンとの取引が破綻したと見るや、商品である女をひとり確保して撤退することを選択しました。
 夜の高速道路を走る軽トラを追いかける、チェイスバトルが始まります。

・チェイスルール
 皆さんはバイクや自動車に乗り、敵の軽トラと併走する形で戦闘を行います。(今回は機動力の値にかかわらずバイクか自動車が必要であるものとします。二ケツしたり自動車のルーフから飛び移ったりといったプレイはできるものとします。是非やってください)
 本命の敵は軽トラで女を取り押さえている刀の男。
 それに加えてバイクに乗って合流した兵隊が少数守っています。
 これらを倒し、とらわれの女性を助け出しましょう。


第2章 第2節

ステラ・グランディネ(p3p007220)
小夜啼鴴
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
わんこ(p3p008288)
雷と焔の猛犬
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

「ったく往生際の悪い野郎共デスネ、逃がすかよ! わんこも奴を追いマス!」
 駅のホームから駆け出した『ハマガクの狂犬』わんこ(p3p008288)は、ガードレールを掴んでワンアクションで跳び越えるとすぐそばに停車していたバイクへと飛び乗った。
「夜に吼えろ『ファブニール』! 竜騎兵の推参だァ!!」
 ひねるアクセル。唸るエンジン。
 そんなバイクのタンデムシートに『小夜啼鴴』ステラ・グランディネ(p3p007220)がスッと横乗りしてきた。
 耳にかかった髪を指で払い、わんこの背をノックする。
「時々知人の運び屋に乗せて貰ってますので、飛ばして平気ですよ」
「――おっけーデス!」
 わんこはニッと笑って急発進。
 猛スピードで軽トラへと追いついていく。
 十字路を抜け、左右の道路から合流してきた黒いバイクの二人組と目が合う。ヘルメット越しだがバキバキに満ちた殺意がわんことステラへ、展開したスタンロッドという形で顕現する。
「ノーデンス」
 ステラがパチンと指を鳴らすとどこからともなく現れた精霊ノーデンスが大きな白い犬の姿をとって左方のバイクへと飛びかかった。
 突如としてバイクごと押し倒され、火花を散らしながら横転、回転し置き去りにされていくバイクとライダー。
 わんこはポケットからエアガンを取り出すと水平の構えで右方のバイクへと連射。
 幾度も起こったスパークによって運転をミスったバイクが横転。その上を――。
「シティーガール仮面参上なのですよ! パート、ツー!」
 『シティーガール仮面』メイ=ルゥ(p3p007582)がパッションピンクにカラーリングしたシクロクロスバイクで飛び越えていった。
 風を切り裂いて回転する車輪。軽やかに走り抜けるフレーム。擦るガードレールに火花をちらし、ケイデンスを引き上げていく。
「つかまっててください、シティガールターボなのですよ!」
 猛烈な勢いで走るメイの自転車には『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)が相乗りし、横付けした軽トラの中へと飛び込んでいく。
「その女性を放してもらおうか!」
「チッ……!」
 女性を拘束していた男が立ち上がり、イズマへと襲いかかる。
 ハイキックをかざした左手で受け止め、相手をねじるように投げ落とすイズマ。更に強烈な蹴りを加えて二台から落とそうとするが、ギリギリのところで淵を掴んでこらえる男。もう一人の男が鉄パイプを手に取り、イズマの脇腹めがけて繰り出してきた。
 がしりとつかみ、にらみ合いとなる。
 そこへ――。

成否

成功


第2章 第3節

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!

 重い心臓の鼓動のような、踏みしめる軍靴のような、ドッという音と共に三つの影が夜の中から現れた。
 ピンクヘルメットをかぶった『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)。
 グリーンの三輪バイクにまたがりサングラスをかけた『最期に映した男』キドー(p3p000244)。
 その中央を、大型バイクMariaにまたがって突っ走る『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)。

 かつて『悠久-UQ-』という組織(チーム)があった。
 地元一帯を力によって支配していた悠久はいくつもの組織を吸収しその力を伸ばし続けていた。
 そんな中トラック事故によって意識を失った伊達は、混沌の世界へと召喚されていた。
 しかし伊達はこの世界でも仲間を作り、新たな『悠久-UQ-』を組織していった。

「チッ、悠久の伊達か……」
 運転席で煙草をくわえていたパンチパーマの男が舌打ちし、煙草を窓から放り捨てた。
 助手席に座っていた男が眉をひそめる。
「最近希望ヶ浜に入ってきたヤツらだ。トランスジャックを潰したのはヤツだって噂がある。あそこの連中は殆どが格闘技やってて腕に自信があったんだが、それをことごとくぶちのめしていった」
「ハイドーモー、その伊達チャンです!」
 トラックの真横につけた千尋は助手席の扉に手を伸ばすと無理矢理扉を開き、助手席内へと取りついた。
「かわい子ちゃんをモノみたいに扱うなんてふてぇ野郎だ! フランちゃんハンドル頼む!」
「えっちょっまっ――ンヌッ!」
 千尋に保護の術式をかけて送り出したフランは慌ててハンドルを握り、どうしたもんか迷った末にメーター部分をグーで殴ってみた。
 グオンという風切り音をたてて激しく前転するバイク。
「あ゛あああああああああああああああ!!」
「あ゛あああああああああああああああ!?」
 愛車がコラ動画みたいな回転して飛んでいくのをよそに、助手席にすわっていた男の襟首をつかんで外へ放り出す。
 その一方、キドーは軽トラの二台へと飛び移り、戦っている仲間へと加勢した。
「しかし、なんでまた女一人だけ連れて逃げたんだ? 身軽な方が逃げやすいだろ」
「うるせえっ!」
 男が膝蹴りを入れてくるが、キドーは笑いながらそれをうけ、相手の顔面を掴んで殴りつけた。
 よろめいた相手に膝蹴りを三度たたき込み、二台から放り出す。
 残った一人の男が刀を構えた――その瞬間。
 運転席の男を蹴落としていた千尋がそのついでにハンドルをへし折っていた。
「「あっ――」」

 コンクリートの壁に激突する軽トラック。
 女性を抱えて離脱していたキドーたちのもとへ、千尋が頭をさすりながらやってきた。
「やっぱ俺、車ダメだわ」
「そうなる気がしたんだよなぁ」
 と、そこへ。
 不自然な動きで起き上がった男が刀を構え斬りかかってくる。
 千尋は飛び退き、その場にあった鎖を腕に巻いて刀をガード。
「知ってるか? 鎖は刃を通さないんだぜ?」
 次の瞬間、ピンク色のヘルメットが男の後頭部へとたたき込まれた。
 崩れ落ちる男のむこうで、ぜえぜえと息を切らすフラン。
「あ、千尋パイセンあの……ごめん、Mariaあんなかんじになっちゃった」
 コンクリートの壁にコラ画像みたいにめり込んだバイクを指さし、えへへと苦しげに笑うフラン。
 千尋とキドーは揃って顔を覆って空を見上げた。

成否

成功


第2章 第4節

 かくして、ZWEIFELNのたくらみは阻止された。
「希望ヶ浜が『いい餌場じゃない』と分かれば、連中も退くだろう。もし退かなければ……その時は、また俺たちの出番かもな」
 現場の収集にやってきたススムが、ノートパソコン片手に肩をすくめた。
 そしてそんな中、ふと。
「なんだ、これ……」
 一本のUSBメモリスティックを拾いあげた。

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