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シナリオ詳細

老執事の受難
老執事の受難

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「セバスよ」
「は、ここに」
 とある貴族邸の室内。
 豪奢な装飾に絵画、明るい照明。練達製の機械からは穏やかなバラードが流れ、聞く者の耳を楽しませる。
「お前に一つ、言っておきたいことがある」
「何でございましょう、旦那様」
 執事セバスは主の前に跪くと頭を垂れる。その声音から真面目に聞かねばならない話であることを感じ取ったからだ。
 果たして、何を申し付けられるのだろうか。謀略か、暗殺か、それとも密売・密輸か……?
 ひやりとした緊張感の中、主人である貴族は厳かに口を開いた。
「…………おこただ」
「…………は」
「おこただ。炬燵だよ……分かるか?」
「……は、はっ。存じ上げております」
 張りつめていた空気が音を立てて崩れ去っていく。いや、そもそも緊張していたのは自分だけなのかもしれない。
 私の、緊張感を、返して欲しい。
「いやな、先日のイレギュラーズが言っておったのだろう? 炬燵の話を。それから気になってよく眠れなくてな」
「……旦那様のお気持ち、身に染みて理解しております」
 旦那様の(至極真っ当にただただどうでもいい)お気持ち、(ほんっとうにどうでもいいということを心身共に骨髄の奥深くまで)身に染みて理解しておりますともこのセバスッ! 損を致しましたッ!!
「………後は、わかるな?」
「仰せのままに、旦那様」
 ────執事、セバスの受難は続く。

●ギルド・ローレットにて
 「……ということで、炬燵を完成させるため、皆様のお力をお借りしたいのです」
 老執事セバス以下、従者たちは、やつれた表情でイレギュラーズへと頭を下げる。
 彼らの主人である貴族は、決して悪い貴族ではないのだ。
 必要悪に手を染めてはいるが……民の信頼は厚く、暴虐を振るうわけでもない。多少、得体の知れないところはあるが。
 「完成したらお伝え下さい、我々が取りに行かせていただきます……それでは、失礼致します」
 セバスたちはローレットを後にする。
 取り残されたイレギュラーズたちは顔を見合わせた。あの疲れ切った表情を見れば、どれだけ辟易しているかも分かろうというものだ。
 そこで────。

GMコメント

 皆さんこんにちは、鉈と申します。
 オフトゥンは好きですかそうですか好きですか。
 あなたと私は今日から心の友ですマイベストフレンド。
 オフトゥンイズマイソウル、いぇあ。

●目的
 貴族からの依頼の達成

●成功条件
 1人分の”至高の炬燵”を制作・納品すること

●サブ条件
 執事セバスたちへの慰労

●補足
 炬燵を納品すれば、ひとまず依頼は成功です。
 素材は何を使っても構いません。お高いものは貴族様のお財布から出ます。
 素材を得る過程で何をしても構いませんが、貴族との関係を疑われることはNGです。

 執事セバス以下、従者10名はローレット近くへと少しの間、滞在するそうです。
 その間は自由行動とのことなので、何かしらの方法で労ってあげてください。

●執事セバス
 シナリオ「おふとぅん おふたぁ おふてすと」(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/464)にて、OPに登場しています。
 このシナリオと直接の関係はありませんが、こちらも見ていただけるとより楽しめるかと思います。


 それではよい冒険を。ご縁がありましたら、よろしくお願い致します。

  • 老執事の受難完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年06月18日 20時50分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

那木口・葵(p3p000514)
布合わせ
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
暗躍する義賊さん
エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)
特異運命座標
アベル(p3p003719)
未来偏差
コルザ・テルマレス(p3p004008)
白仙湯狐
リュゼ(p3p005117)
まねー・いず・じゃすてぃす
猫屋敷 音子(p3p005264)
彼は誰時
ゴウシ・ディアトリマ(p3p005331)
恐鳥

リプレイ

●おこたに宿るもの
 一寸の虫にも五分の魂が宿るという。
 これはコトワザというものらしく。どんな小さい弱い者にでも、相応の感情が宿るのだから馬鹿にしてはならないことの例えだ。
 ならばそれは、おこたも同じではないのだろうか。

 では問おう。
 おこたの「命」とは何か?

「そう、炬燵の命とは……」
「はいはーい!」
 店主の自分に酔いしれるような演説に手を挙げたのは『まねー・いず・じゃすてぃす』リュゼ(p3p005117)。
 その姿に、店主のおっさんが目を見開いて彼女を見つめる。
 まさか、こんな幼女が。長年かけて導き出した炬燵の命について、既に理解している?
「それは、ズバリ……!」
「ず、ズバリ……?」
 ごくり、と息を呑む音が聞こえた気がした。
 漂う緊張感。何故か周囲の客までもが、その空気に当てられて声を潜めている。
 リュゼは得意げに笑みを浮かべると、店主と視線を合わせ――
「火力だ☆」
「「「…………」」」
 ドヤ顔で言い放った。
「暖房器具は火力が命だよね!
 んー? 電力? 熱力かな?
 ま、細かいことはどうでもいいんだけど!
 身も心もその他諸々も一瞬で暖まれるようなのがいいよね? いいよね?
 こう……ボッとしてドカンとしてメラメラメラッ☆って!」
「……こ、この……」
「え、どうしたの? 泣いちゃう? リュゼ様の余りの理解力に嬉し泣きしちゃう?」
「こんの……ばっかモンがぁぁぁぁぁあああああ!!!」
 怒髪天を突く!
 工具が空へと舞い上がり、店内に雨あられと降り注ぐ!!
 我先にと逃げ出す客に、いそいそと引っ込む店員たち。
 カウンターを踏み締め身を乗り出すおっさん!
 お調子者も思わず身を引く大迫力。
 店主はお怒りだ!!
「いやいや、冗談だって!?
 リュゼ、流石にそこまでぶっ飛んでないからね?
 おこたは神聖!! そして依頼主様は神様です! 吹き飛ばしたりしないってー!!?」
今ここに、おっさんと幼女の壮絶な追いかけっこが幕を開けた。
周囲が呆れたように空を仰いだのはいうまでもない。


 『特異運命座標』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)は、リュゼの華麗な逃走劇が幕を閉じ、幾分落ち着いた店内で店主と会話をしていた。
 彼女たちは何も、店主を怒らせに来たのではない。貴族の依頼である炬燵。それを作るための材料を揃えに来たのだ。
「おこた……全人類を堕落させる闇の神器だと聞き及んでおります」
「そりゃあ言い過ぎ、というわけでもないな。それでお前さんたち、何が欲しい?」
 若者との追いかけっこは体に堪えたのか、幾分疲れた表情の店主である。
「錬達製のヒーターのような部品はございますでしょうか?」
 炬燵に欠かせない存在。そう、暖房器具だ。
 いくら机に布団を用意しても、中身が暖かくなければ何も始まらない。
 おこたとは、その温もりでダメにんg……人を虜にする魔性の器具。
(依頼主様もその魔性の魅力に取りつかれてしまった、という事でございましょうか)
 前にもローレットにおふとぅんを納品する依頼を出したと聞く。
 ということはおそらくは、そういうことなのだろう。
 おっさんはニヤリと笑うと彼女たちを店の一角へと案内してくれた。
「これがとっておきだ。いくつかあるから好きなのを選ぶといい」
 ずらりと並ぶ目当ての品。
「……わたくしも機械の端くれ。同族の質の良し悪しには一家言ございます」
 そう口にして、エリザベスはとっておきとやらの前に立つ。
 まずは、端っこからだ。
「わかりますわ、そのお気持ち。お察し致します……ええ、それはもう」
 何かと会話を始める彼女に首を傾げる店主。
 それもそのはず。彼女はその機械と会話などしているのだから。
 シンパシー的な何かである。
「次は、あなたですわね」
 1機目との会話が終わり、次の機械へ……。

 この後、リュゼが「ジャンク品でも修理すれば使える!」とか言って手に取ったそれが店主の愛用品だったりして、追いかけっこ第二回戦がスタートしたりもするのだが。
 ――それはまた、別の話。

●買い出しと
(私も旅人さんから聞いたことがありますけど、炬燵とは人をその快適空間に呑み込み決して離さぬ魔性の道具! なんでもアイスとかみかんが加わるとより強力だとか)
 そんなことを考えながら市場の野菜を手に取るのは、『布合わせ』那木口・葵(p3p000514)だ。
 横に重そうな荷物を抱えているのは、彼女の練達上位式であるぬいぐるみ。今はもっぱら荷物持ちである。
「この食材、お金出ませんかねー……出ないですかねー?」
 この依頼、どうやらお高いものは貴族様のお財布から出るようで。
 しかし、この食材はまた用途が違うのだ。正確には、依頼に含まれていない。
 炬燵を納品するためならいくらでも申請できそうなものだが、流石に慰労の品まで貴族様は負担するのだろうか。
 ……出してくれるといいのだけれど。
 うまいこと店員を言いくるめて値切りを成功させた葵は、荷物をぬいぐるみに預けるとふと一つの店を目に留める。
「あれは……」
 

 とある木材屋。いかにもな老夫婦の営むその店は、市場で最も活気のある中央の近くに存在している。
「木材が欲しいのだけれど、見せてもらっていいかい?」
 老夫婦にそう声をかけたのは、『白仙湯狐』コルザ・テルマレス(p3p004008)だ。
 自然に関する知識のある彼女は、炬燵の骨組みともいえるテーブル部分に使う木材を買う役目を買って出たのだ。
「ああ、見ていくといいさ、お嬢さん」
 人の好さそうな笑みを浮かべたおじいさんがにこにことそうコルザに勧める。
 ありがとうなのだよ、と一つ返して。多種多様に並べられた木材を物色、吟味。
(ギルドで炬燵に入っているからね! 基本的な構造は把握しているつもりなのだよ)
 構造に、そして何より用途と貴族の要求に見合うもの。その中でもできる限り最高級のものを。
 どうせお金は貴族の財布から支払われるのだ。気にする必要は、無い。
 そして更に必要なのは、温泉用の目隠しだ。
 その大きさに見合うものは、これに、これに、これにこれと……。
「やっぱりこの位でないと駄目か……これと板を数枚、いただけると嬉しいのだよ」
「若いのに、お目が高いねぇ」
 老婆が関心したようにふむふむと頷く。見た目で年齢を判断するのはいかがのものかとは思うが、お年寄りにそれを求めるというのも酷な話だ。
「それで、彼は荷物持ちかい?」
「あ、ハイ」
 突如、老婆に荷物持ち扱いをされた『破片作り』アベル(p3p003719)は、ひょいと肩を竦めてみせた。
「色男、金と力はなかりけり……なんて、いうんですがね。今回は女性も多いし俺がやらないとなんですよ。それに、こう見えても力持ちなもんで」
 片手で見本の長大な板を軽々と持ち上げて見せるアベルにあんぐりと口を開ける老夫婦。
「お幾らですか?」
 固まってしまった彼らをつんつんとつついたのは、いつの間にやら輪に加わっていた葵だった。
 つんつんではっと我に返る老夫婦。
「あぁ、あぁ。これとこれなら、このくらいかねぇ」
 出された金額は、セット価格としてもかなりのお買い得。
 値段交渉の必要は無さそうね、と一人頷く葵。
 葵はコルザとアベルを見かけた時、高くつきそうなそれらの値段交渉をしようと思って合流したのだが。
 想像以上に良心的な価格設定に値切りの必要は無いと結論付けたのだ。
「それじゃあ、こっちはお願いするのだよ」
「このくらいお安い御用ですよ、っと」
 温泉の目隠し用の長い板を束ね、ひょいっと担ぎ上げるアベル。
 一つを片手で持ち上げてはいたものの、その光景は老夫婦の顎を外すのには十分な効果があったようだ。
 おかげで何も聞かれずに済んだので結果的にはよかったのかもしれないが。

●おこた創造と準備期間
 カンカン・トントン
 ギコギコギコ

 槌が釘を叩く音に、鋸が木を切る音。
 それらが複雑に混ざり合い音を奏でている。
(コタツって、不思議な響きだよね。知ってる人はみんな、素晴らしすぎて離れられない位すごいって言ってるし、お貴族様じゃなくても気になるよね)
 『恐鳥』ゴウシ・ディアトリマ(p3p005331)は緻密なメモを片手に、鋸で大きい木の板を切断する作業に追われていた。
(中に入って、温まるための器具。テーブルに、布団に、暖房器具を入れて完成か)
 あまり器用なことが得意でないゴウシは、自分の得手不得手をきちんと理解している。
 自分が役に立てることは何か、懸命に考えて行動に移しているのだ。
 力仕事はお手の物、木材のある程度の知識も相まって彼の作業スピードはかなりのものだ。
 切断し終えた木材が次々と積み上がっていく。

 上半身裸の精悍な体つきの男性が、力仕事を披露する。
 彼のそんな姿に遠くの方からちらちらと熱っぽい視線を向けてくる者もいるのだが、本人はどこ吹く風だ。
 かなり絵になっていることは間違いが無い。
「しかし、辛いね、これは」
 ゴウシのあまりにもといえばあまりにも様になっているそんな姿を見ていれば、横で作業をするアベルは小さく溜息を吐いた。
 実際には同じくらいの力はあるのに、彼と並んでいるととてもそうには見えないし。何やら視線も彼へと集まっている。
 うむ、分かってしまうが故に辛いものである。
 ほう、と一つ息を吐くと、アベルは気を取り直して作業に戻るのだった。

●白狐温泉
「こ、これは……」
 街外れ。セバスたちは、突如そこに出現した温泉に目を見開いている。
「日頃の疲れ、少しでも取っていって欲しいのだよ」
 コルザのギフト製、白狐温泉だ。
 ちなみにこの温泉を作るのに石を大量に運んだり、切断した目隠し板を立てて回ったり、地面に穴を掘ったりしたのはゴウシとアベルの男性陣二人組。
 力仕事はすっかりお手の物である。コルザのギフトお手製ではあるが、下地を作った二人の働きには目を見張るものがあった。
 フィジカルは、強い。
「お背中流しましょうか?」
「おや、よろしいのですか? では、お願い致します」
 ゴウシのそんな気遣いに、普段働き詰めの彼等は甘えることにしたようだ。
 急遽作成された露天風呂ではあったが、十分に寛げる空間である。
(もし愚痴があるならば、ここで吐き出して湯気の中に溶かしてしまうといい)
 コルザは満足そうにうんうんと頷くのだった。

●その頃、制作現場にて
「フレー、フレー、リュ・ゼ・さ・ま!」
「おうおう、ありがとう、ありがとう! さてさて、ここからがリュゼの本領発揮だよ!!」
 おこたの制作現場は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
 折り畳み式の炬燵には何故か機銃が取り付けられ。
 脚に付けられたタイヤで自在に周囲を走り回る!
 その光景をほへーっと眺める葵。
 なるほど、これが機械……未知の世界だ。
「すごいですわ、リュゼ様。これが至高のおこたなのですね!」
「はっはー、変形合体はロマンだよねー!」
「……真面目にやってほしいのだよ」
「あ、ごめんごめん! 冗談! 冗談! 冗談だって! 手を動かしてるとつい我を忘れちゃうよねー♪」
 その光景に盛大な溜息を吐くコルザ。
 こんなことで大丈夫なのだろうかとちょっぴり心配にもなるのだった。

 しかし、なんやかんやでおこたは完成へと近づいていく――

●おもてなし
 湯から上がって一息ついたセバスたちを待っていたのは、まるで歓迎会のような食事の数々。
 冷房の効いた室内におこたという、なんとも贅沢な空間だ。
「どうぞ、召し上がって欲しいのです!」
「ハーブティーもありますから、飲みたい方はご自由にどうぞ?」
 『悪い人を狩る狐』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)が腕に寄りをかけて用意したサンドイッチやお菓子の数々。
 『彼は誰時』猫屋敷 音子(p3p005264)の淹れたお手製のハーブティー。
「これは、素晴らしいものですな」
 お菓子を一口、お茶に口を付けたセバスは世事抜きで称賛の声を上げた。
「ありがとうございます、褒めてもらって嬉しいのです!」
 普段、宿屋で料理を提供しているルルリアの作ったそれは、そこそこどころかかなり美味しい一品となっているようだ。
(皆でコタツを囲んで食事をしたり、お茶をのんだりする。至高の時間なのです!)
 嬉しそうに尻尾をパタパタと揺らす彼女に、セバスたちは「ありがとうございます」と礼をいいつつ食事を口にする。
 和やかな空気の中で、葵も店で鍛えた接客トークを駆使して執事やメイドさんのお悩み相談窓口と化していた。
 
 少しだけ離れた位置。
「私もセバスさん達の気持ちはよく分かります。似たような環境にいたのでね。
 無理難題を申してきた時は、本当に後から首を絞めてやろうかと思いましたよ。……冗談です。
 でも、何だかんだ言って見捨てられないと言うか、憎めないんですよねー」
「はっはっは、その通りですな……私も何度、主を引っ叩こうかと思いましたが。あの方は憎めないお人だ」
「やっぱり、セバスさん達もそうでしたか。嫌だったら、お仕事辞めちゃいますよね?」
「そうですな。しかし、辞めた者は今のところおりません……つまり、心の底から嫌に思う者はいないのでしょう」
 セバスと音子はそんな会話を繰り広げていた。
 執事と、元女中。それぞれ似たような道筋を辿ったがために、分かり合える部分もあるのだろう。
 そんな会話に触発されたのか、次々と愚痴を吐き出す愚痴大会のような有様になってしまったが。それも仕方ないというものだ。
「音子さん、音子さん」
「?」
 つんつん、とつつくのはルルリアだ。
「おこた、最後のアレらしいのです。いってきて下さい!」
 おこた最後のアレ。それはおこたに命を吹き込む作業である。そしてその一部は、音子の仕事だ。
「ありがとうございます、行ってきますね」
 おこたから立ち上がる音子。しかし、気づいたように一枚の紙を取り出すと、それをセバスへと差し出す
「良かったら、このチラシ受け取ってください。また愚痴でも何でも聞きますんで。お話でも」
「……いただきましょう。暇が出来たら、是非お邪魔させて下さい」
 音子は最後にセバスに自身の喫茶店のチラシを渡すと、こたつの最後の仕上げの為にその場を去ったのだった。
 ちなみにルルリアはこの後、想像以上に無くなるのが早いお菓子の追加やなんやで大忙しになるのである。
 そしてそっと、夜は更けていく。

●至高のおこた
 表地はフランネルを使用、触れれば思わず頬擦りをしたくなるなめらかさ。裏地はフリース素材を用い、色は落ち着いた色ながらも高級感を感じさせるブラウン。
 何を隠そう、音子の用意した炬燵布団である。
 入手先は秘密らしい。値段は……貴族払いだし、気にする必要も無いのだろう。
「さあ、これが至高のこたつなのだよ!」
 ずい、と。セバスたちに向けて押し出されたのは、おこた完成品。
 長さが調節可能な構造の脚。おふとぅんを自由に取り変えることで夏でも冬でも使うことができる。椅子に座ろうと、寝ることになろうともどこでも使用できる一品だ。
 そして綺麗な木目にシンプルな構造は、和洋どのシチュエーションにでも対応することができる。
「これぞまさに、いつでも・どこでも一緒な『至高のおこた』でございますわ! きっと依頼主様にもご満足いただけるかと存じます」
 エリザベスの言葉にうんうんと頷くリュゼ。
 力仕事で少し疲れた顔をしながらも、仕事をやり切ったゴウシとアベルの男性陣二人組もその言葉に間違いは無いと頷いた。
(こ、炬燵のお布団よりルルの尻尾のほうが素晴らしいもふもふ具合です! ルルの尻尾はルルのものなので誰にもゆずりませんが!)
 密かにその手触りのいい炬燵布団に対抗意識を燃やすルルリア。しかし、みんなで作り上げた炬燵が至高の一品であることには間違いない。

「皆様、この度は炬燵に……それに、我々のことまで。何から何までありがとうございました」
 セバス以下、10名の使用人たちは綺麗に揃った礼をイレギュラーズたちに向けた。
 貴族の使用人として洗練されたもので、その礼は彼らの感謝の気持ちを如実に表している。
「責任を持って、主人へとお届け致します。報酬の方は、後ほど改めて」
 セバス一行はそうして、その場を去って行ったのだ。


 後日。イレギュラーズたちの元へと「主様が炬燵から出てきません、どうしたものでしょうか」というお悩み相談のような感謝状が届き、彼らの間で物議を醸すことになるのだが。
 満足して貰えたことだけは、確かなようだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 鉈です。長らくお待たせ致しました、申し訳ありません!(深々)
 法事で少々遠出をしておりました。
 皆様を少しでも魅力的に描写できていれば幸いです。

 次回ご縁がありましたら、その時は是非よろしくお願いします。

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