PandoraPartyProject

シナリオ詳細

いざ行け遺跡発掘隊!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 軽快な音がする。
 場所は鉄帝、とある宿。
 長期の旅人も受け入れてくれるそこは、一階部分が広々とした食堂になっている。
 加えて地元の住人も訪れるそこでは、ちょっとした催し物が出来るスペースがあった。
 時に歌を奏で、あるいは物語り。
 集まった者を楽しませてくれる。
 そして今日の演目は舞踏。
 踊るは美しき舞剣士。
 引き締まった体をしなやかに動かし、迅さと鋭さを兼ねた演武を披露する。
 彼女の舞に合せ音楽隊は時に軽やかに、あるいは激しく演奏を響かせる。
 それを見る者は、舞剣士の舞踏に魅了され、心が高鳴り高揚していた。
 舞踏に合わせ足を踏み鳴らし、手を叩いて共にリズムを刻む。
 そしてクライマックスに差し掛かり、最高潮に。
 皆は息を飲むように舞踏を見詰め、締めのステップが終れば、割れんばかりの拍手で喝采した。
「すごく好かったよ!」
 舞踏が終わり演奏者の1人、ミリーが舞姫に称賛の声を送る。
 彼女の屈託のない笑顔に、ミルヴィ=カーソン(p3p005047)も笑顔で応えた。
「ありがとう」
 お礼を告げるとタオルを差し出される。
 受け取って近くの席に一緒に座る。
 するとジュースの入ったジョッキが、ドンッ! と置かれた。
「おっ疲れー!」
 笑顔で差し入れを持って来たのは、子供っぽさがまだ抜けてない青年、ウッズ。
 ミリーと共に少し前、ミルヴィを含めたイレギュラーズ達と闘技場で戦った者の1人だ。
 ウッズにミリーが嗜めるように言う。
「ちょっと、もうちょい静かに置きなさいよ。ミルヴィさんに中身が掛かっちゃったらどうすんの」
「そんなヘマしないって」
 カラカラと笑うウッズに、軽くため息をつきながらお小言を言うミリー。
 2人の様子を見て、ミルヴィは苦笑しながら差し入れのジュースで喉を潤した。

 少し前、依頼でこの街に訪れたミルヴィは、長期滞在の出来るこの宿屋の二階を間借りして過ごしている。
 鉄帝そのものではまだまだ知名度それなりなミルヴィは、鉄帝での当面の拠点にすることにしたのだ。
 ミルヴィが踊れることを聞いた宿屋の店主が、滞在している間、お客を楽しませるための舞踏を披露してくれれば宿泊代についてはタダで良いと言ってくれている。
 それならばと折を見て踊っていたのだが、それをミリーとウッズも含めた以前勝負した子達がちょくちょく見に来るようになっていた。
 彼らはそもそもが、この街に隣接する遺跡群の探索と街の警護も兼ねて駐留しており、ミルヴィが泊まっている宿屋も宿舎代わりのひとつとして使っている。
 それもありちょくちょく顔を合わせるようになり、今では舞踏伴奏をしてくれるようになっていた。

「ねーねー、次はどんな曲が好い?」
 目を輝かせながらミリーが尋ねてくる。
 色々な楽器が使える彼女だが、1人で奏でるよりも、誰かに合わせて演奏する方が好きらしい。
 それに応えようとミルヴィが考えていると、賑やかな声が響いた。
「ミルヴィの嬢ちゃんじゃねぇか、ちょうど良いとこに居たな」
 野太い声を上げるのは、ミリー達の親代わりであり上官でもあるギギル。
 彼の後ろには2人、見た顔が居る。
 以前、ミリー達と闘技場で勝負して欲しいと依頼して来た2人組、リリスとヴァンだ。
「あら、あの時の子ね」
「あの時は、どうも」
 2人が挨拶をしてきたのでミルヴィも返すと、ギギルも含めて同じテーブルに座り提案してきた。
「遺跡に潜って、探索してみねぇか?」
「どういうこと?」
 理由を聞くと、リリスとヴァンが説明を引き継ぐ。
「根回しが終って、こちらが欲しい遺跡の出土品を貰い受けることができるようになったの」
「お目当ての物は遺跡の最奥にあるみたいなので、そこまで潜って取りに行って欲しいんです」
 話を聞くと、鉄帝にお金を納め、ギギル達が駐留している街に今後も継続して便宜を図ることで許可が出たらしい。
「メイドロボ、だっけ? 欲しいの」
 以前の依頼の時も、少しだけ話を聞いていたが詳しくは知らないミルヴィが尋ねると説明してくれる。
「私は純粋にメイドロボが欲しいの。近い内に、幻想で宿屋開きたいから、使えると良いと思って。オーナーを任せようと思う子、面倒見てる子供が多いから、その手伝いにしたいの」
「私は部品に興味がありましてね。義手や義足に転用できる部品があれば欲しいんです。だから私の方は、多少壊れていても構いません」
 話を聞いたミルヴィは乗り気で応えた。
「そういうことなら力を貸すよ!」
「やる気だな。だったらこいつらを使ってくれ」
 ミルヴィのやる気を見て、ギギルはミリー達の頭をガシガシ撫でながら言った。
「あの遺跡は、こいつらを連れてある程度まで潜ってるから案内役が出来る。お目当てのメイドロボがあるんなら最下層だろうが、そこまで好きに使ってやってくれ」
 ギギルの話を聞いていたヴァンとリリスは、続けて言った。
「私達も一緒に潜ります。現地で直接確認したい」
「人手は多い方が良いでしょうから、ローレットに頼みに行って来るわ。当日は、よろしくね。頼りにしてるわ」
「任せて!」
 明るい声で応えるミルヴィだった。


「鉄帝で、遺跡発掘に協力して欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「依頼人さんは、遺跡にあるらしいメイドロボさんが欲しいみたいです。遺跡の一番奥にあるみたいなので、そこまで連れて行ってあげてください」
 そこまで言うと、協力者についても説明する。
「現地では、すでにひとりイレギュラーズさんが依頼を受けているので、合流して協力して欲しいのです。それと、街を護っている軍人さんも手伝ってくれるらしいので、その人達とも協力して欲しいのです」
 遺跡には何度か潜っているらしいので、目的地である最奥には迷わずに向かえるらしい。
「みなさんの指示に従ってくれるみたいなので、仲良くしてあげて欲しいのです」
 話を聞いたイレギュラーズ達は、現地である街へと向かうことにした。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
六本目のシナリオは、アフターアクションをいただきましたので、それに基づく内容になっています。
基本は、遺跡探索してお宝ゲット! という内容になります。
もちろん、それを邪魔する敵も出ますので、それを撃破しながら進むことになります。
そして以下が、今回の詳細説明になります。

●成功条件

 遺跡を探索しメイドロボを持ち帰る。

●舞台

 鉄帝のとある街に隣接する遺跡群のひとつ。
 すでに何度か探索が行われ、内部構造は判明している。
 侵入者を排除する機械群が現れるので、新兵の訓練地として利用されていた。

●探索する遺跡

 三層構造になっています。
 地上部分の一階と、地下が二階分あります。
 各階層は、ほぼ正方形の広場の形状をしています。
 広さは、どの階層も、数十人が戦っても支障が無いほどの広さです。
 戦いの邪魔になる障害物はありません。
 光源はありますので、明かりの心配はありません。

 基本的に、各階層ごとに防衛用の機械が居るので戦って下の階に降りる。
 そして最下層の最奥にある制御コアを破壊すれば遺跡の防衛機構を沈黙させることができクリアとなります。

 地上一階

 中型犬ぐらいの大きさの警備機械が居ます。
 初期の数は二十。
 一定時間ごとに五体増えます。
 近距離と中距離の攻撃手段を持ちます。
 そこまで強くはありません。
 場合によっては一撃で戦闘不能に出来ます。
 侵入すると、出て行くように警告されます。
 それを無視すると攻撃して来るので、破壊しましょう。
 この階の一番奥に地下へと続く階段があり、そこから下に降りれます。
 階段は広いので、数人単位で一緒に降りれます。
 下の階に降りれば、追い駆けて来ません。

 地下一階

 人型のロボットが居ます。
 あくまでも人型であって、人間の姿はしていません。
 初期の数は二十。
 一定時間ごとに五体増えます。
 近距離攻撃手段しか持ちません。
 そこそこ強いです。
 攻撃力は大したことはありませんが、そこそこ頑丈です。
 地下一階に降りると、いきなり攻撃してきます。
 この階の一番奥に地下へと続く階段があり、そこから下に降りれます。
 階段は広いので、数人単位で一緒に降りれます。
 下の階に降りれば、追い駆けて来ません。

 地下二階

 人型のロボットと中型犬ぐらいの大きさの警備機械が居ます。
 人型ロボットは十体。警備機械は二十体。
 シナリオ中は、追加で出て来ることはありません。
 連携して攻撃して来るようになります。
 地上一階と地下一階で出た物と一緒ですが、連携する分、手強くなります。
 最奥に赤いクリスタルがありますので、それを破壊すると遺跡の防衛機構は沈黙します。

 その後、依頼人のヴァンが色々と調べ、「人間ぐらいの体積のある水銀のような物体」を発掘し持ち帰ることになります。
 これのマスター登録をするとメイドロボに変形します。

●同行者

 協力者と依頼人が同行することになります。

 協力者

 鉄帝の新兵8人。
 全員若いです。
 少し前に街の闘技場でイレギュラーズ達と戦い楽しんだので、イレギュラーズ達に対する好感度は高いです。
 そのため、指示を出せばその通りに動きます。
 放置すると、若干2名脳筋が居るので「どっちが多く倒すか勝負しようぜ!」とか言って勝手に暴れます。
 近接4人。中距離2人。遠距離2人です。回復要員いません。

 依頼人

 リリス&ヴァン

 今回のシナリオでは一切戦いません。
 攻撃されれば逃げに徹します。
 協力者に指示して守らせることも出来ますし、放置も出来ます。
 死にはしません。

●その他

 破壊された警備機械などは依頼人が持ち帰ります。
 形が残っている機械が多いほど、義手などが作られ易くなるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • いざ行け遺跡発掘隊!完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月14日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
アシェン・ディチェット(p3p008621)
玩具の輪舞
蓮杖 綾姫(p3p008658)
悲嘆の呪いを知りし者
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼

リプレイ

 鉄帝に訪れ、まずは集合場所の宿屋に向かうイレギュラーズ達。
 そこでは、宿屋を拠点のひとつとしている『闘技戦姫』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が、協力者達と一緒に歓迎してくれた。
「よろしくね!」
 ミルヴィの明るい呼び掛けに、見知った顔が応えを返す。
「おや、ミルヴィさん。この間の仕事ではどうも。お体の調子は?」
『断ち斬りの』蓮杖 綾姫(p3p008658)はミルヴィに声を掛けると、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)にも声を掛ける。
「オリーブさんもご無沙汰しております」
 会釈する綾姫にオリーブも応えると、今日の意気込みを口にする。
「メイドロボ云々はともかくとして、義手や義足が作られれば助かる人もいるでしょう。何とか、上手くやれるように頑張らないといけませんね」
 元々は鉄帝の民が関わる事には熱心でも、関わらない事にはドライで打算的な彼だったが、最近は危険に晒されているのが無辜の民であれば、国を問わずそれなりの熱意を見せる様になっている。
 そうした一面を見せていた。
 全員集まったが依頼人は、まだ来ない。
 なので協力者の新兵達が飲み物や食べ物を持って来て歓迎してくれる。
「美味しいよ。食べて」
『赤い頭巾の悪食狼』Я・E・D(p3p009532)に、以前闘技場で戦った少年、インが角煮を持って来てくれる。
 Я・E・Dは食べると言葉を交わす。
「この前言ってた場所に入れるようになったんだね」
「うん。他の遺跡もあるけど、今日はメイドロボを発掘するんだって」
「ここだと遺跡にメイドさんが居るんだ、不思議な世界だね。良いよ、また手伝うよ」
 おかわりしながらЯ・E・Dが応えると、続けて『英雄的振る舞い』オウェード=ランドマスター(p3p009184)が言った。
「遺跡にメイドロボがあるのじゃと?」
 興味深げに訊くと、ちょうどそこにやって来た依頼人が応えた。
「宿屋経営の助けにしようと思うんです。どうかよろしくお願いします」
「目的は宿屋の経営か……ガハハ、わかった! ワシらに任せるがいい!」
 オウェードは豪快に笑うと、戦闘前なのでジュースの入ったジョッキを掲げ言った。
「特にミルヴィ殿には世話になっておるからのう。この依頼、成果を出さねば」
「あら、随分と慕ってらっしゃるのね」
 リリスの言葉にオウェードは返す。
「ミルヴィ殿は師匠と言っても良いじゃろう」
 これにミルヴィは笑いながら、謙遜する様に応える。
「そう、カナ?」
「あれ? 少し師匠と勘違いしておった……」
「あ、気にしないで。師匠って言われると、くすぐったいカナ? ってだけだから」
 バツが悪そうな表情を見せるオウェードに、笑顔で応えるミルヴィだった。
 そして全員が集まった所で、改めて依頼人から詳細を聞く。
「遺跡の探検がお仕事だなんてとても素敵ね!」
 話を聞いて『玩具の輪舞』アシェン・ディチェット(p3p008621)は目を輝かせる。
「もちろん、誰かの助けになるのも嬉しいけれど、どんな所なのかって考えると、わくわくしてこないかしら?」
 これに新兵達が笑顔で返す。
「おう! わくわくすっぜ!」
「ガスガス進もうな!」
 賑やかに返す、脳筋なロンサとウッズ。
 2人を見て『若木』秋宮・史之(p3p002233)が声を掛ける。
「軍人の皆さんも、ぜひともよろしく」
 注意を引いた所で続ける。
「さて、君たちのミッションは誰ひとり欠けることなくこのダンジョンを踏破することだ。みんなでがんばろうね」
 これに元気に返す新兵達。
 全員が二十歳前ということもあり屈託がない。
 史之は苦笑しながら、同時に自分も楽しげに言った。
「ダンジョンアタックだね。ふふ、楽しみだなあ」
 皆の雰囲気も良い中、細かい話も聞き終る。
「メイドロボに義手義足。残骸ってのも案外役に立つものなんだな」
 話を聞き終った『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、同行する新兵達を見て思う。
(さて、今回は協力者もいるし楽勝かと思ったんだが少し若すぎるのが気になるな)
 まだ子供っぽさが抜けきってない新兵達を気に掛けるのは彼らしい。
(まあ腐っても鉄帝兵だしヤワではないだろうが。……一応死者がでないように気は配っておくかね)
 ブリーフィングも終わり遺跡に向かうことに。
 その道中、綾姫がリリスに尋ねる。
「ラサの遺跡も度々潜ったり領地で発掘もしてるのですけど、私が欲しい物を集めるには手広く行きたいなと思いまして。もし遺跡で刃物の類が見つかったら……少しばかり融通していただけると嬉しいなあ、なんて」
 これにリリスは応える。
「もしあったら、構わないわ。でも今回の遺跡だと、刃物の類は難しいと思うわ」
 この応えに残念に思う綾姫。
 そんなこんなで、遺跡へアタックすることになった。

●遺跡アタック!
 潜る前、ミルヴィが偵察を行う。
 エコーロケーションで遺跡入口から少し奥までを探査。
 これにより警備機械の初期配置が分かり有利になる。
 その状態で、キッチリ陣形と手順を組み、統率を取って進む。
 遺跡に入るなり、警備機械が警告を発した。
「警告します。正式な権利者で無い方が当施設を訪れることは禁止されています。今すぐ退去――」
 警告をしている間は襲ってこないので、その隙に戦闘態勢を整え、Я・E・Dと綾姫が戦火の号砲をあげた。
「それじゃ、始めるよ」
 地下一階への階段に繋がる最短距離に向け、Я・E・Dが魔砲をぶちかます。
 そこから間髪入れず、綾姫が励起・黒蓮を撃ち振るう。
「一気に薙ぎ払います!」
 Я・E・Dの魔砲に続いて放たれた綾姫の黒蓮の衝撃波は警備機械を排除する。
 それにより階段への導線が開けた。
 ほぼ同時に、世界が皆の護りを厚くする。
「暁と黄昏の境界線よ。おお、刹那の栄光よ」
 詠唱を終わらせイオニアスデイブレイクを発動。
 強化して貰った所で、前衛組が先陣を切って突き進む。
「ロンサとウッズは皆のフォローに回りつつ動いて!」
 ミルヴィは脳筋2人に指示を出しつ積極的に前に出る。
 エコーロケーションを使った偵察を行うためにも、早い段階で階段付近に到達しておく必要があるのだ。
 彼女を援護しようとロンサとウッズは動こうとするが、それぞれ好きに動こうとしているので連携が取れるようには見えない。
 そこに史之が指示を飛ばす。
「1対1になるな! 足を止めるな! 回り込んで死角から叩け!」
 彼の指示もあり連携が取れていく。
 史之がコマンドリーダーとなり、切り込み隊長として遊撃部隊を率いる。
 彼らの助けもありミルヴィは、いち早く階段付近に到達しエコーロケーションを開始。
 その隙を逃さぬとばかりに警備機械が集まって来るが、オリーブが薙ぎ払う。
「邪魔です」
 警備機械の群れに跳び込み、H・ブランディッシュ。
 果敢な乱撃で次々に切り飛ばした。
 それでもなお警備機械は集まって来るが、それをオウェードが破壊する。
「ミルヴィ殿には近付けさせんぞ!」
 オウェードはレジストクラッシュで警備機械の1体を粉砕。
(まだ、いけるか?)
 余力を考えながら攻撃しつつ前に進む。
 この時点で、先行して進んだ者達は地下へと移動し始める。
 警備機械は今まで以上に突っ込んでくるが、ディチェットが迎撃した。
「これ以上、近付けさせないのだわ」
 陳腐なバラッドにより放たれた銃弾は警備機械の芯を撃ち抜き、1体を沈黙させる。
(弱った相手なら、陳腐なバラッドでも倒せるのだわ)
 単独で仕留めるのは難しいが、皆と連携すれば陳腐なバラッドでも十分に破壊できると確認し、先のことを考え余力を残しながら排除していった。
 後方組の活躍もあり、前衛組は地下へと危なげなく進む。
 同時に、依頼人2人は新兵達に護られながら離れず付いて行き、全員が地下1階へと辿り着いた。

 地下1階の相手は人型機械。
 数は少ないが動きは巧みだ。
 この階も地上1階と同じく、突っ切ることを前提に進む。

「敵はあっち側から!」
 エコーロケーションで探査を行っていたミルヴィは、皆に敵の配置を伝える。
 同時に、後衛組が状況を把握する猶予を作るため積極的に前に出た。
 メナス・ルーヤを使い敵を引きつけると、華麗なステップで翻弄するように動く。
 これにより敵に囲まれそうになるが、そこに史之率いる遊撃隊が援護。
 ミルヴィの死角から襲い掛かろうとする敵に攻撃し、包囲を崩す。
 ロンサとウッズも傷をものともせず果敢に戦い、史之の動きを援護する。
 無傷とはいかない状況だが、そこに世界がミリアドハーモニクスを使い回復。
「助かる!」
「ありがと!」
 戦いの手は止めず、笑顔で礼を言うロンサとウッズ。
 これに世界は苦笑しながら応える。
「無茶はしないように。回復はするけど」
 そう言いながら回避に専念し、敵の一部を引きつけた。
 これらの動きにより、敵の何体かが1箇所に集まる。
 そこを逃さず、綾姫が再び黒蓮を撃ち振るう。
 極大斬撃の威力が、まとめて数体を薙ぎ払った。
「今の内に進んで下さい!」
 綾姫の活躍に返すように、皆は前に進んでいく。
 ここまでの流れで、多少余裕のある状況になる。
 それを逃さず、状況を見極めていた史之は依頼人に言った。
「リリスさん、ヴァンさん、ほしいものがあれば言って。できるかぎり倒してみるから。ただしすぐ拾ってね」
 これに2人は応える。
「戦ったあとで大丈夫です」
「皆さんの安全の方が大事です」
 依頼人の言葉もあり、皆は進攻に集中する。
 ミルヴィが地下2階の入り口に辿り着きエコーロケーションを行っている間に、皆は援護するように動く。
「ん、歯応えがある」
 隊列の中央に移動していたЯ・E・Dは、狼顎で敵を齧る。
 危険と見たのか、他の人型機械が死角から襲い掛かろうとするが、そこはインが影を実体化して迎撃。
 破壊されながらも敵は押し寄せて来ようとするが、オリーブとオウェードが身体を張って止めてくれた。
「ここで、押し留めさせて貰う」
 オリーブは前に出ると、H・ブランディッシュを再び振るう。
 勇猛果敢な彼は臆することなく乱撃を放ち、敵を破壊していく。
 オリーブの破壊の勢いに、真正面から襲い掛かるのは不利と見たのか、敵は横手から襲い掛かろうとするが、それをオウェードが迎撃。
(出来ればあまり破壊したくはないのだがのう)
 依頼人のことも考え、義手に出来るよう可能な限り胴体を破壊した。
 敵を破壊し勢いを留めた所で、地下2階への移動を開始。
 それを敵は防ごうとするが、殿のディチェットが防いでくれる。
「これ以上相手はしてあげられないのだわ」
 空音のオーバードを使い敵を撃ち抜く。
 撃ち抜かれた敵は、そのまま味方を撒き込み後方に倒れる。
 その隙を逃さずディチェットも地下2階へと移動した。

 ここで戦術を変え、突破よりも敵の殲滅に力を注ぐ。

「早めに終わらせて貰うのだわ」
 ディチェットはディアノイマンで自身を強化すると、後々のことも考えながら全力攻撃。
(たくさん部品が残るようにしないと)
 狙うは人型機械の胴体。使うは揺蕩うラメント。
 覚悟を持って放たれた一撃は、敵の運動中枢を撃ち抜き沈黙させた。
 確実に敵の数を減らしていく。
「アンタ達! 攻撃されてる人を狙ってる奴から片付けて!」
 ミルヴィは新兵達に檄を飛ばすと、同時に笑みを浮かべ続ける。
「終わったらサービスしてあげるから♪」
「じゃ、また闘技場で遊ぼうぜ!」
「私は踊り教えて欲しい!」
 ウッズとミリーの応えに笑みを浮かべながら、ミルヴィは次々斬りつけていく。
 新兵達を巧く戦わせるのは史之も同じ。
「戦果をあげるならいまだよ!」
 史之が敵を引き付けた所で指示を出し、応える新兵達は敵を確実に倒していく。
 次々に皆が敵を倒すのを見て、鉄帝人として血が滾って来たのか、オリーブも果敢に戦う。
「仕留めさせて貰う」
 逃さぬと言わんばかりの至近戦で苛烈な攻撃を叩き込む。
 避ける事の叶わない敵は、粉砕されるように破壊された。
 皆が戦いに専念するのを見て、回復に動いていた世界も攻撃に切り替える。
「こっちだ」
 敵を引き付けながら虚空に陣を描き、逃れようのない間合いに近付いて来た所で、命奪う白蛇を術式により作り出す。
 白蛇に噛み付かれた人型機械は暴れるも、動力を奪われ続け、やがて動かなくなった。
 敵の戦力を削る中、オウェードとЯ・E・Dは最奥のコアに狙いをつける。
「あの奥にある赤い宝石は怪しいのう……」
「あれがコアかな? んーー地下二階は敵がコアを護るように動くのかなぁ? それならそれで、逆に貫通する魔砲で当てやすくて良いんだけど」
 そう言ってЯ・E・Dが魔砲の狙いをコアにつけると、敵は射線上に動く。
 だがそのせいで、魔砲の威力がコアまで届かない。
「敵が邪魔だね」
「なら、引きつける必要があるのう」
 オウェードは温存していたディフェンドオーダーを使った後、名乗り口上。
 一気に敵が押し寄せる。
 そこをイレギュラーズ達と新兵達が援護。
 お蔭でコアの周囲から敵が一時的にいなくなる。
 好機を逃さず綾姫が疾走。
「確実に破壊します」
 飛び込む勢いも乗せ、ダークネスイリュージョン。
 刃を切り替え振るわれた斬撃は、暗黒の力を纏いコアに食い込む。
 一瞬、耐えるような間を空け、コアは破壊された。

 コア破壊と共に全ての敵が沈黙。
 ここに遺跡の制覇が叶った。
 すぐにヴァンが周囲を探索する。
 周囲を操作すると床の一部が割れ、球状の水銀じみた物が現れた。
「お宝ですか?」
 気になった綾姫が確認するも。
「刃物じゃないなら興味ないです」
 さらっと興味を無くし離れる。
 代わりに他の皆が集まって来た。
「これがお宝なの? なんだかぷるぷるしてるのだわ!」
 遺跡の探索をしていたディチェットが興味深げに触れると、見た目に反し柔らかでぷるぷる動く。
「これがメイドロボみたいですね」
 ヴァンの説明に、ディチェットは好奇心に目を輝かせる。
「メイドロボットって人の形をしていないのね! 不思議なのだわ」
 彼女と同じく銀色の塊を見ていたオウェードは尋ねた。
「ワシらはクリスタルを壊した……その物体はちゃんと動くのかね?」
「大丈夫な筈です。これは遺跡とは独立してる筈ですから。あとは起こしてみないと」
「起こし方は分かるの?」
 好奇心を浮かべ尋ねるЯ・E・Dにヴァンは応える。
「ええ。という訳でリリスさん、マスター登録お願いします」
 ヴァンに言われリリスが近付くと、続けて頼まれる。
「血を注いでみてください」
 ヴァンに言われたリリスはナイフを取り出し指を切り血を注ぐ。
 すると血は沁み込むように取り込まれ、球状の塊はぷるぷると動き出す。
 見る見るうちに、外見のみならず、表面も水銀ではなくメイド服を着た幻想種に似た姿に変わっていく。
「こうして変形するんだ」
 興味深げに見ていたЯ・E・Dは続けて言った。
「鉄帝の子って脳筋のイメージがあるけど、この子はどうなんだろう?」
 すると皆が見ている中、メイドロボは口を開いた。
「マスター登録認証終わりました。戦略級乳母型メイド、アーティEO起動しました。御命令を、マスター」
 言葉による意思疎通が可能なようで、リリスの指示に従い大人しくついて来ることになった。
 そのあと人型機械も含めた残骸を拾い集め宿屋に戻る。
 すると史之がギフトで飲み物を出しながら言った。
「それじゃ初めてのお仕事だよ。上手にできるかな?」
 これにメイドロボは従い、本物と変わらぬ丁寧さで給仕をした。
 そして皆で喉を潤し、軽い打ち上げを。
「引きつけ役お疲れさん!」
「助かったぜ!」
 新兵の脳筋な2人にオウェードは明るく声を掛けられ、少し思う。
(この2人も脳筋じゃが、ワシとはタイプが違うのう)
 そう思いながら言葉を返す。
「一度は泊まりに行くかも知れないが、その時は宜しくじゃよ」
 脳筋2人だけでなく、残りの新兵達にも歓迎されるオウェードだった。

 そして皆が打ち上げを楽しむ中、ミルヴィはヴァンに小声で尋ねた。

「子供達、あの後どうなったのカナ?」
 少し前の依頼で助けた子供達と、その時に関わった左腕が義手の男について尋ねる。
 するとヴァンは静かに応えた。
「子供達は、今はウチで預かってます。近い内に、新しく開く宿屋で働けるようにする予定です。その助けになるよう、メイドロボを皆さんに発掘して頂いたんです」
 感謝するように続ける。
「義手の子は、むかし片腕を食い千切られてて死にそうな所を拾った子で。今は色々と動いて助けてくれてます。今回手に入れられた残骸で義手のメンテナンスも出来ます。助かります」
 ここまで言うと、誓うように言った。
「貴女達に手助けして貰って手に入れた物をあくどいことに使う気はありません。信じて貰うしかありませんが」
「そっか……」
 今ここで確認する術のないミルヴィは、一先ず小さく頷いた。
 するとそこに新兵達が近付き、賑わいの中に引っ張っていく。
「ミルヴィさん! 遺跡で頑張ったんだからご褒美ほしいな!」
「踊ろうぜ!」
 これにミルヴィは、くすりと笑い。
「好いよ。それじゃ、一緒に踊ろう」
 すると新兵達は楽器を引っ張り出し音楽を奏で、踊りが始まる。
 賑やかに依頼の終わりをみせるイレギュラーズ達だった。

成否

成功

MVP

ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥

状態異常

なし

あとがき

皆さま、お疲れ様でした!

皆さまの活躍のお蔭で、無事メイドロボの発掘が終り、警備機械たちの残骸を手に入れることが出来ました。今回の結果から、また他のシナリオを作っていこうと思います。

メイドロボは今後、とりあえずは幻想の方で新しく始める宿屋の手伝いに関わるシナリオで出す予定です。その後、他の宿屋とか、メイドさんが出てきてもおかしく無さそうなシナリオで出て来たりする予定です。

機械の残骸については、練達に持って行って解析やら頼みつつ、そこから作ったロボとかの戦闘練習の相手を頼んでみたりとか、そこからフィードバックさせた技術で安価な義手やらパワードスーツ系を作ってみたりするようなシナリオなどを今のところ考えています。

そして今回の舞台となった街は、幾つかの遺跡群に隣接する街、という設定で作っているので、また何かしら遺跡に潜って探し当てるとか、色々と出来ると良いなと思っています。
とりあえず今度は、料理ロボとか? 万能包丁みたいなのを発掘するとか。色々と考えていきたいと思います。

そういったシナリオを、今までご参加いただいたシナリオの結果を加えながら、作っていきたいと思います。

それでは、最後に重ねまして。ご参加ありがとうございました! 皆さま、お疲れ様でした!

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