PandoraPartyProject

シナリオ詳細

演者達の幕間に

完了

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オープニング

●一つ、物語を紡いで

 ここは境界図書館。混沌とはまた異なる異世界へ旅立つ玄関口であり、そこから戻った冒険者達を、温かく出迎える場でもある。そこでの冒険は、混沌での出来事に負けず劣らず、胸温まったり、深く考えさせられたり、怒りに震えることもあったり……とかく、誰かの心を動かす物も多くあるだろう。

 貴方はつい先程、境界世界の冒険から戻った所だろうか。それとも、今まさに、新たな冒険を求めて、図書館に赴いた所だろうか。

「こんにちは、イレギュラーズ」

 その背中に、柔らかく、女性の声が投げかけられる。境界案内人が一人、マチネ・ソワレ・ゲネラルプローペだ。

「ついさっき戻った所? それとも、これから出かける所かな。……ねえ、少し、時間ある?」

 どうしたのか、と問われたならば、彼女は眉をハの字に下げて、こう答えることだろう。少し、行き詰まってしまったから。誰かと話がしたいのだ、と。

●一つ、話が始まる

「あたしが、脚本家志望だ、っていう話は知ってるっけ。今日もね、お話、書いてたんだけど」

 細い指でペンを弄びながら、マチネは語る。色んな本を読んで、自分も白紙に向き合っては見たのけれど、遅々として筆が進まず、一文字も文字が書けず。自分の書きたい物語が、一向に見えてこず。……要するに、スランプだということらしい。

「……っていうのは、ただの建前。本当は、皆と、ゆっくりお喋りがしたくなっただけなの。だって、さ」

 自分は普段、皆を送り出すばかりで、冒険には行かないから。皆がどこでどんなものを見てきたのか。何を感じ、何を思ったか。境界であった事でも、混沌で起きたどんな事でも、聞きたいのだと。

 だって貴方は、いつだって素晴らしい舞台の主役なのだから。きっと、ここに籠もりきりの自分よりは、ずっとずっと素敵な物を見ているはずで。少しでいいから、自分にそれを分けて欲しいのだ、と。
嬉しい事なら共に喜ぼう。悲しい事なら共に泣こう。腹立たしい事なら一挙に怒りを発散しよう。だから。

「良い事でも悪い事でも、あたしに聞かせてほしいな。話す事で、貴方の気持ちにも、整理がつくと思うから」

……貴方は、その誘いに乗るだろうか?

NMコメント

どうも、なななななです。
たまにはマッタリ、お喋りなんてどうでしょう。

以下、詳細になります。

●目的
マチネと喋る

 話す事は境界での出来事でも、混沌での出来事でも構いません。嬉しい事は共に喜びを分かち合い、悲しい事は真剣に、笑い話は楽しんで聞いてくれるでしょう。マチネのスランプ解消……の為でなくても良いので、どうぞ存分に語ってください。

●NPC
マチネ

 境界案内人です。
基本的には静かに相槌を打って皆さんのお話を聞いています。要望があれば、皆さんの好きな飲み物も出してくれます。

 元々話を聞くのは好きな質なので、どんな話でも受け止めて聞いてくれます……が、公序良俗は守った方が、マチネも困らないでしょう。

※恋人との初々しいお話ですとか、血湧き肉踊るような戦いのお話等はOKですが、過度なエログロネタはお控えください。

一章構成なので、どなたでもお気軽にどうぞ。

どうか、貴方の物語を、聞かせてください。

  • 演者達の幕間に完了
  • NM名ななななな
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月17日 12時50分
  • 章数1章
  • 総採用数2人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

饗世 日澄(p3p009571)
紡ぐ者

 シンプルな意匠のティーカップに注がれた紅茶が、白く湯気を立てる。そこに華奢な手が、次々に角砂糖を放り込んでいく。
まずマチネと向き合い話したのは日澄だった。

「本当はマチネ様のお話が聞きたいのだけれど、依頼ですもの。僕は務めを果たすよ、ちゃあんとね」

ティースプーンで中身を掻き回しながら、日澄は愛おしげに、懐かしむように目を細めて、本棚を見渡した。

「あたし、本大好きなんだ。知り合いの影響かな。その人、舞台作家だったんだ」
「その知り合いさんって、どんな人なの?」
「夕日の1番優しいところで出来たような薄桃の短い髪をしてて……丁度マチネ様みたいな」
「ふふっ、あたしとそっくりなんだね」

マチネは微笑み頷き、話の続きを促す。

「穏やかな人だったんだけど、舞台となると子供みたいに目をキラキラさせてはしゃいでね。白くて綺麗な指はいつもペンダコだらけだった」
「あー……あたしはまだまだ、そういう努力、足りてないかも」

 指を目一杯に広げて見せるマチネの姿に、日澄は一層愉快げに笑って。そして、皮肉げに言い捨てる。

「ありふれた脚本と、出来もしない約束ばっかり遺していってさ。でも、幸せだった」
「そう、なんだ……」

 そっと目を伏せるマチネ。すると日澄は急に、スプーンを回す手を止め、子供のようにニヤリと笑った。

「まあこれ、私の話じゃないけどね」
「えっ、じゃあ誰の」
「さてね」

真相は、冷めきった紅茶と一緒に飲み込まれた。

成否

成功


第1章 第2節

赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師

「やあ、マチネ……と言ったか。何でも、話し相手を探していると聞いた」
「いらっしゃい、あなたは」
「大地、でいいよ」

 本の虫たる青年は、紅玉の瞳を優しく細めて笑った。

「今日俺が話すのは、俺の……パートナー……まあ、恋人のことなんだけど」
「どんな人なの?」

少しずつ言葉を選ぶように語る大地に思わず、マチネも前のめりになってしまう。

「あいつ、見た目は綺麗で、手先も器用で、俺を守るとか言ってくれてて、そこは俺も嬉しいんだ。でも、ちょっとした困ったことがあって」
「……何か、障害でもあるの?」
「ああ。俺の周りって、あいつとの関係を応援してくれる人ばかりじゃない。とかく障害が多い」

 例えば、誰かに似た老人。例えば、妖しく微笑む『弟』。きっとこれからも、自分の身に多くの苦難が振りかかってくるだろう。
それでも、あいつと一緒に居ようってのは、俺が決めた事だから。
そう言い切った彼の顔にも声音にも、後悔の色は見えなかった。

「惚気か愚痴か、自分でもよく分からなくなってきたな……。でも、最後まで聞いてくれてありがとう、マチネ」
「ううん、いいの。こちらこそ、最後まで聞かせてくれてありがとう」

こうして幕間は終わるのだった。

成否

成功

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