PandoraPartyProject

シナリオ詳細

〈白箱の庭〉ぴざがたべたい

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 その世界は、たった一人の少女によって守られていた。
 白い箱庭に少女を収めていれば、箱の中も外も安泰だ。
 少女が箱庭にいる限り、世界もまた在り続ける。
 少女が健やかに暮らしていれば、誰もが幸福に暮らすことが出来る。

 その少女――『ユキ』もそれが自分の運命ならば、と納得はしていた。
 生まれた時から箱の中に収まれているけれど、それを苦しく思ったことはない。
 衣食住の全ては適切に管理され、常に最適な状態を維持してもらえている。
 でも……少しだけ、変わった生活を望む気持ちもあった。
 世話係が雑談の中で語っていた、その人の好物。
 それをどうしても食べてみたいと思ったけれど、ユキの食事は全てきっちり管理している。
 この世界の住民は、ユキがきちんとしたものを食べ、健やかに過ごすことを祈っているだろうから……きっと彼女の我儘を聞いてはくれない。

 もし、異世界からの客人が来るのなら。
 その人なら私の我儘を聞いてくれるかもしれない。
 必要な道具くらいなら私がお願いすればきっと大丈夫。
 だから、たった一つの願いを叶えてほしい――私、ピザが食べてみたい。


「来てくれてありがとう。今日は皆に『白箱の庭』に向かって欲しいんだよ!」
 境界案内人ポルックスはイレギュラーズに対して明るい笑顔と共に、一冊の本をずずいと差し出す。その題名にはポルックスの言葉と同じく『白箱の庭』と書かれていた。
「この世界では大きな白い箱庭の中に、ユキという女の子を収めているんだって。ユキが箱の中にいる限り、箱の外にある世界も平和になるとかで……皆に行ってもらいたいのは箱の中の方なんだけどね」
 ユキはその世界における神のような存在で、住人達は彼女の世話をし続けている。
 その分扱いも神経質になっており、ユキが何かお願い事をしてきても却下することが多いのだという。

「ユキはたまたま『ピザ』って食べ物についての話を聞いたみたいで……どうしても食べてみたいんだけど、世話係達は賛成してくれないんだって。だからこそ、異世界からの客人であるあなた達に、彼女のお願いを叶えて欲しいんだ」
 ピザを作るための材料や道具は箱庭の中へと運んでもらえる。
 チーズに野菜、肉類に魚介類。デザートピザ用のフルーツや菓子なんかも用意はできる。
 ユキのために食事を作るキッチンもあるため、調理はそこで行えば問題なさそうだ。
 レシピも一通り揃えられているため、ピザ作りが初めてでも大丈夫。
 記事に好きな材料とソースを乗せて焼き上げれば、きっとそれで幸せになれるはず。
「好きなピザを作ってあげて、ユキと一緒に食べてくる。ついでに雑談なんかもしてきたらいいんじゃないかな。これだけお願いしたいよ」
 ユキは箱庭の外を知らない。
 イレギュラーズ達の話にはきっと興味を示すはずだ
「それじゃあ気を付けて。不思議な世界のピザパーティー、是非楽しんできてね!」

NMコメント

 こんにちは、ささかまかまだです。
 熱々のピザが食べたい。

●白箱世界
 少女『ユキ』を白い箱庭型の施設に収めている限り、平穏が約束された世界です。
 箱庭の中は快適な居住環境が作られており、ユキはそこで常に生活しています。
 世話係のための設備や生活に必要な設備も備え付けられています。

 箱の外はSF風味の世界ですが、今回はあまり関係ありません。

●目標
 ユキにピザを振る舞い、一緒に美味しく食べる。

 必要な材料や設備、レシピは全て揃えられています。
 マルゲリータやペスカトーレ、照り焼きチキンを使ったものにデザートピザなど。
 常識と良識の範囲なら好きなピザを自由に作って頂いて構いません。
 飲み物や付け合わせも用意できます。

 いざピザが完成したらユキと一緒に食べましょう。
 ユキはイレギュラーズ達に好意的で、楽しい話は興味津々に聞きます。

●ユキ
 10代半ば程の少女です。髪も目も服も真っ白です。
 白箱世界の維持装置のような存在で、生まれてから今までずっと白箱の庭にいます。
 普段は世話係の作る栄養管理食を食べていますが、それ以外のものは殆ど口にしたことがありません。
 白箱の庭の外のことに強く興味を示しますが、現在の生活にも不満を抱いている訳ではありません。

●サンプルプレイング
 ピザが食べてみたいのか。分かるよ、美味しいもんな。
 それならマルゲリータを作ってあげよう。王道だからな!
 生地にトマトソースを乗っけて、モッツァレラチーズとバジルも乗っけて……オーブンで焼けばもう美味しそうだ。
 ドリンクはオレンジジュースにしようかな。
 ユキと一緒に席についたならいただきます!
 今までしてきた冒険とかの話をしつつピザパーティーだ!

  • 〈白箱の庭〉ぴざがたべたい完了
  • NM名ささかまかまだ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月14日 21時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
時任 零時(p3p007579)
老兵は死せず
フィーア=U=ツヴァンツィヒ(p3p008864)
実証・実験

リプレイ


 白箱の庭へと辿り着いたイレギュラーズ達は、早速内部を案内されることになった。
 世話係達も危険がなければ口出しをするつもりはなさそうだ。
 調理室へ向かう最中、ちらりと見えたのは私室に籠もる少女『ユキ』の姿。
「ふむ……世界を維持するために常に白箱の庭にいる少女か」
 少女の姿を見遣り、ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は小さく唸る。
「不満は無くても外の世界に興味があるのは仕方ない事だろう」
「そうだなぁ。綺麗な言葉で言うのならば大事にされているという事なのだろうが……ありていに言ってしまえば軟禁という事になるよな」
 彼の言葉に合わせるように、所感を述べるのは回言 世界(p3p007315)。
 けれど彼女がああすることで世界の平和が維持されると言うなら、致し方無い部分もあるだろう。
「大きな問題がないのなら、部外者がどうこう言うのは止めておこう。それより……ピザ作りだっけか?」
「ああ、そうだな。ユキは栄養管理食ばかり食べているのだろう。それなら他のものを食べてみたいと思うのは自然なことだ」
 二人の会話に加わるように、時任 零時(p3p007579)も側へと歩み出る。
「体の栄養を保つのは大切だけれど、心の栄養も疎かにしてはいけないよ。流石に毎日だとおすすめできないんだけど……たまにくらいなら問題ないはずだしね」
「そうそう、美味しいものを食べるのって大事だよね! それに……」
 フィーア=U=ツヴァンツィヒ(p3p008864)も弾むように声を合わせ、仲間達と顔を見合わせる。
「こんな白いところに一人ぼっちか……私はまだ家族のみんながいたから居た分マシだったのかな」
「もしかすると話し相手も少なくて、ユキ君は寂しがっているかもしれないね。彼女も今まで頑張ってきたんだし、今日くらいちょっと羽目外しちゃおう」
 零時の言葉に三人も頷き、共に調理室へと歩を進める。
 今日はお客様が来たのだから、白い箱庭の世界にだって――いつもと違った彩りが加わるはずだから。


「ピザ作りって初めてなんだが……具を載せるだけでいいんだよな?」
「ああ、そうだな。必要なものは全て揃えられているみたいだ」
 世界とゲオルグは置かれた材料達を見回しつつ、早速準備に取り掛かっているようだ。
「せっかくだから面白いものを作ってみたいな。無難な物でもいいんだが、せっかくだし」
「私は甘いものを作ってみようと思うよ。私自身も食べてみたいからね」
 そう語るゲオルグの手元には、チョコレートにマシュマロ、リンゴにカスタードクリームと様々な甘いものが用意されていた。
「なるほど、甘いのもアリなんだな。それじゃあ俺は……」
 世界もイチゴやバナナといった果物を手に取り、生地とにらめっこ。
 美味しいかどうかは分からないけれど、不味かったなら自分で食べればいい。
 それよりも今は、初めての挑戦を楽しみたかった。
「ああ、それから。飲み物として牛乳も用意しようと思っているんだ」
「甘いパンにも牛乳はよく合うしな」
 暫く用意を進めていけば、二人の前には甘い香りのデザートピザ達が出来上がっていた。
「……初めての割には上々、かな。そっちの方は凄いな、本格的だ」
「甘味は食べるのも作るのも好きだからな。そちらも美味しそうだ」
 互いのピザを軽く試食してみれば、その美味しさに二人の表情も和らぐ。
 これできっと――パーティーだって楽しめるはず。

 一方フィーアの方は、楽しそうに生地を眺めていたようだ。
「私あれやってみたい! 生地をくるくる回すやつ!」
「本格的で楽しそうだね。僕は付け合せも考えてみようかな?」
 零時はじゃがいもを片手に思案を巡らせ、その横ではフィーアが生地回しに挑戦しだす。
「えっへっへ、一度やってみたかったんだよね。こうやってー、くるくるくるくるーって……」
 なかなかコツを掴むのが難しいが、いざやってみると結構楽しい。
 しかし――ずっとくるくるしていれば、目もくるくるしてきて。
「わっ、目がまわっ へぶっ!」
「おっと、大丈夫かい?」
 思わずバランスを崩し、フィーアの頭に生地が降りかかる。そんな彼女を心配し、零時がそちらを覗き込んでいた。
「大丈夫ー……この生地捨てるの勿体ないし、自分で食べる用に焼こうかな」
「怪我がないなら何よりだよ。トッピングも決まっているのかな?」
「うん! ベーコンとかサラミとか、エビとかイカとか!」
 体勢を立て直し、材料を手に取るフィーアを見て零時も安堵の息を零していた。
 彼の手元には鶏肉とコーンが用意され、チーズとマヨネーズも置かれているようだ。
「こっちはテリマヨチキンピザだよ。付け合せにフライドポテトも用意しようと思うんだ」
 練達にいる異世界から来た旅人が、この組み合わせは最高だと語っていたから。
 そんな零時の話を聞いて、フィーアの表情もぱっと綻ぶ。
「美味しそう! 焼き上がるのも楽しみだよね!」
 それまでの時間がもどかしいけれど、でもピザが完成するのは楽しみだ。
 二人もまた、それぞれの調理をしっかりと進めていく。


 こうして一行はパーティーの準備を整え、ユキの元へと訪れる。
 珍しい客人が訪れるだけでなく、彼らがピザを用意したと聞き、彼女の表情は嬉しさ半分、不安半分といった様子だ。
「はじめまして。今日はピザが食べられるって……本当?」
 恐る恐る尋ねるユキへ向け、一行は笑顔で頷く。
 食卓にピザやフライドポテト、そして飲み物も用意したのなら――ここから先は楽しい時間。

「それじゃあ、いただきます!」
 フィーアはユキと共に手を合わせ、早速ピザを摘んでいた。
 最初に手をつけたのは自作のミックスピザと零時の作ったテリマヨチキンピザ。
「やっふぁほいひいね!」
「うん、初めて食べたけど……本当に美味しい!」
 もぐもぐ、にこにこと和やかな少女達の側では男性陣も次々とピザを手に取っているようだ。
「テリマヨピザってこんな風に作ってたのか。今度はこれにも挑戦してみようかな」
「世界さんのフルーツピザも美味しそうだね。食卓が華やかになるよ」
 和やかな時間が流れる横で、ゲオルグはユキの方へと歩み寄っていた。
「せっかくだから私の友人も紹介させてもらおうか。ふわふわ羊のジークとにゃんたまだよ」
 彼の側にはふわもこな羊さんと、もっちりまんまるの猫さん達が呼び出されている。
 見たこともない可愛らしい生き物を前にして、ユキの瞳がきらきらと輝いた。

「わぁ、可愛い……!」
「気に入ってくれて何よりだ。本当はビッグイノセントヒヨコにも来てもらいたかったのだが……」
 ビッグイノセントヒヨコ。
 インパクトのある単語を耳に入れ、一行の視線も思わずゲオルグの方へと集まった。
「それってどんな生き物なの?」
「見つめられたら胸キュン必死のつぶらなおめめ、聞けば心ときめく愛らしい鳴き声、そして優しさそのものと言っても過言ではない柔らかな毛並みとまんまるフォルム……それはそれは可愛いことこの上ないのだ」
 うっとりとした様子で語るゲオルグの話に、皆もついついピザを食べる手を止めて聞き入る。
「出来るならば実物を見せてあげたいところなのだが……何せ神出鬼没な存在なのでな。今回はこれで勘弁して欲しい」
「ううん、大丈夫。この子達もいるし……ふわふわのお友達がいっぱいいるんだね」
 ジークとにゃんたまを抱っこしつつ、ユキは楽しげに微笑んでいる。
 そんな彼女の様子を眺め、ゲオルグもまた柔らかな笑みを浮かべていた。
「良ければ一緒にピザも食べてみてくれ。もっちりパリっとした生地と甘いものは意外と相性が良くて」
 互いに笑顔を向けあって、そしてまたピザを一口。
 甘さとふわふわが二人の心を癒やしてくれていた。

「私も何かお話出来るかなぁ。まだあんまり冒険してないし……」
 フィーアはむむむ、と唸りつつ頭の中で色々な思い出を巡らせているようだ。
「でも竜に大砲撃ったり、大砲に詰め込まれて飛んでいく人を見たりしたことはあるよ」
「そ、それって凄いことだよ!?」
「そうかな? あ、あとはねー、チョコ作ったりスケートしてみたりだねー。全部すごく楽しかったよ!」
 様々な思い出話を重ね、少女達はのんびりと楽しんでいるようだ。
 一方世界の方は、箱庭の周囲も気にしているようだった。
「ユキは普段どんな生活をしてるんだ? この世界も初めて来たから色々気になってるんだが」
「んー、普段は世話係の人に勉強とか教わったり、図鑑とか読んだりしてる」
 そう言いつつユキは一冊の図鑑を取ってきた。そこには機械で出来た動植物の姿が載せられている。
「大昔にかんきょーおせん、ってのがあって、こういう生き物を育てるようになったんだって」
「ふむ……なるほどな、ありがとう」
 環境汚染と機械化。この白箱もそれに関連する施設だろうか。
 いつかは庭の外も見て回りたいものだ。そんなことを考えつつ、世界は再びパーティーへと意識を向ける。

 こうして楽しい時間は進み――気がつけば、皆で作ったピザも完食しそうだ。
「ピザ、とっても美味しかった。今日は皆で食べられて良かったよ」
 ユキも満足げに微笑み、今日の思い出を噛み締めている様子。
 そんな彼女へ向け、零時がそっと声をかけた。
「楽しんでくれて何よりだよ。健全な精神は健全な肉体に宿るって言葉があるんだけどね」
 でもそれって、逆もまた然りなんだよ。そう付け加える零時の様子を、ユキはどこか不思議そうに見つめている。
「健全な肉体は健全な精神あってこそ成り立つものなんだ。今日の思い出が、君の心の栄養になったことを祈っているよ」
「……そうだね。心がいっぱい元気になったと思う。本当にありがとう」
 少女の言葉に、イレギュラーズ達も優しく笑みを浮かべて。
 楽しいパーティーと美味しい思い出は皆の心に刻まれて、暖かな記憶に変わっていった。

成否

成功

状態異常

なし

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