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シナリオ詳細

UFO襲来。或いは、キャトられて、冬…。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●UFO襲来
 海洋国家のとある海上。
 巨大サザエと軍人たちの眠るその海域へ雨宮 利香(p3p001254)が訪れたのは、単なる気まぐれだっただろうか。
 偶然に近くへ立ち寄ったので、ついでに花の1つでも手向けてやろう、なんて気まぐれ。
 何しろ、暗い暗い海の底に今も眠っているであろう彼らの存在を知るものは利香を含めたごく少数の者だけなのだから。
「手向けるなら、お酒とかの方が良かったですか?」
 なんて、小さな小舟の上から小さな花束を海に投げ込み利香は呟く。
 その、直後……。
「え!? 何です、あれ?」
 ざばり、と海水を巻き散らし、海底より浮上した何か。
 平たい楕円……中心部より横一線に煌々とした光を放ち飛んでいる。
 ゆっくりと、円盤の上半分が持ち上がり、中から覗いたそれは人間サイズのタコだった。
「未確認飛行物体? え、いや……これって、貝?」
 驚愕に目を見開いた利香の頬を、一筋の汗が伝って落ちる。
 彼女の眼前に現れたそれは、まさしく空飛ぶ牡蠣であった。
「あ、unidentified flying oyster」
 通称、UFOと呼ばれるそれはゆっくりと海洋国家へ向かって移動しているようだ。
「こうしちゃいられないわ。急いで、誰かに知らせなきゃ」
 気まぐれで墓参りに来ただけのつもりが、とんだ災難に見舞われた。
 ゆっくりと飛行する牡蠣を尻目に見ながら、全速力で彼女は港へ引き返す。
 少しでも“ソレ”の情報を得ようと、必死に目を凝らしながら……。

●生の牡蠣には気を付けろ
「はい、というわけで皆さん! あれ、絶対ヤバいやつです! なので、サクっと落としてしまうのがいいと思います!」
 利香の呼集に応じた者らを見渡して、彼女は声を張り上げ告げた。
 飛行する牡蠣の直径はおよそ40メートルほど。
 その内部には、タコに似た魔物が10体ほど住み着いていることを確認している。
 タコに似たその魔物……深海に住んでいただろうことから利香は“ディープ・ピープル”と呼んでいた……は、逃走する利香に向け攻撃を仕掛けてきたそうだ。
「おかげで髪も身体も真っ黒けっけ! あいつら、絶対落としてたこ焼きにしてやります!!」
 怒り心頭といった様子の利香であるが、すでにシャワーを浴びたのか、髪も肌もきれいなものだ。
 ディープ・ピープルの攻撃手段は、墨の射出。
 それを受けると【暗闇】や【怒り】【泥沼】の状態異常を受けるらしい。
 加えて、UFOもまた巨大な魔物であると、利香はそう睨んでいた。
「攻撃力はないようですが、光の柱みたいなものを撃ってきます。たぶんあれにあたって【石化】するとキャトられますよ」
 キャトられる。
 つまり、キャトルミューティレーションされると、利香は言う。
 宇宙人に牛や馬が攫われ、解体されるアレである。
 今回の場合は、おそらく連れ去られるだけなので「アブダクション」というべきだろうか。
「まぁ、石化が解ければ自力で脱出できますけどね」
 石化が解除されるまでの間は、行動範囲が制限されるというわけだ。
 さて、肝心の未確認飛行牡蠣であるが、その高度はおよそ20メートルほどと非常に低い位置を飛んでいる。
 きっと身体が重たいのだろう。
 海上での戦闘となれば、船か何かを用意する必要がある。
 一方、港町で迎撃するとなれば民家の屋根にでも上れば、牡蠣に乗り込み攻撃を仕掛けることも容易になるだろうか。
「まぁ、海に落としただけだと、潜って逃げられますからね。しっかり壊して、沈めてやりましょう」
 なんて、言って。
 墨塗れにされた恨みからか、利香の戦意は高かった。

GMコメント

こちらのシナリオは「彷徨える砕氷船。或いは、サザエの殻は非常に硬い…。」のアフターアクションシナリオとなります。
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4941

●ミッション
ディープ・ピープルおよびUFOの討伐

●ターゲット
・ディープ・ピープル(魔物)×10
人間サイズのタコに似た魔物。
深海に潜んでいたものが、先だっての海戦により活性化したらしい。
海上で起きた騒ぎの元凶……つまり、人類に報復すべく港を目指して進行中。

・ディープ・アタック!:神遠単に中ダメージ、暗闇、怒り、泥沼
 非常に粘度の高い墨を射出する攻撃。

・UFO(unidentified flying oyster)
ウグイスガイ目イタボガキ科、牡蠣に似た魔物。
ディープ・ピープルたちの居住区兼搭乗機。
直径およそ40メートルほどと非常に巨大。
高度20メートルほどの高さを保ち、低速で飛行している。
大きなダメージを与えると、そのうち海面や地上に落下する。

アブダクション:神超遠範に0ダメージ、石化
 UFOより放たれる光線。
 ※【石化】状態にある間、光の中しか行動できず、次第にUFOに引き寄せられていくことになります。


●フィールド
主に港街が戦場となるだろう。
港町には無数の家屋が立ち並び、いくらかの船が停められている。
牡蠣に乗り込むために、それらを利用することも可能だろう。
一般人の避難は済んでいるが、ともすると逃げ遅れた者もいるかもしれない。
※別途、船などを持ち込めば海上での交戦も可能となる。


●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

※牡蠣は二枚貝です。

  • UFO襲来。或いは、キャトられて、冬…。完了
  • GM名病み月
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
雨宮 利香(p3p001254)
雨宿りの
クーア・ミューゼル(p3p003529)
めいど・あ・ふぁいあ
ルチア・アフラニア(p3p006865)
「Concordia」船長
マヤ ハグロ(p3p008008)
キャプテン・マヤ
綾志 以蔵(p3p008975)
煙草のくゆるは
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●海洋に迫るUFO
 さざ波を割って、進む船。
 海洋。
 舵を握る『キャプテン・マヤ』マヤ ハグロ(p3p008008)は、甲板を振り返ると仲間たちへ声をかける。
「さぁ、船を出すよ? 準備はいいかしら?」
「ん、いけるよ」
 軽く手をあげ言葉を返す『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)。赤い髪が潮風に揺れた。
 船の進む先、遥か遠くの空に浮かぶ黒い影。
 楕円を横に伸ばしたような円盤状。
「利香。なんなのですアレ」
「UFOはUFOですよ。意味不明ですが、空飛ぶ牡蠣です」
「いや意味不明なのは分かってるのです。だからUnidentifiedって言ってるんでしょうし、でもそういう問題じゃないのです……とにかくなんなのですアレ」
「二枚貝です……二枚貝ですよね?」
 そう、それはまさしく牡蠣だった。
 『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)はそれを指さし首を傾げる。空飛ぶ牡蠣など寡聞にして知らない存在であるゆえ、仕方ないだろう。甲板の端に座り込んだ『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)にしたって、そのようなものを目にしたのは初めてである。
「海洋に長いこと住んでるが、空飛ぶ牡蠣なんてモンを見たのは初めてだ」
「にわかには信じられなかったけど本当に飛んでる。え、何で飛んでるの……? 怖っ……怒りのパワーでそういうことなる……?」
 『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)はどこか唖然とした顔を、『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)は頬を引き攣らせて、ただまっすぐに空飛ぶ牡蠣を眺めていた。
 ちなみに件の空飛ぶ牡蠣だが、タコに似た魔物が搭乗している。

 海を進むこと数十分。
 ついに一行は、空飛ぶ牡蠣まで数十メートルといった距離に近づいた。
「巨大だし意外と低空飛行だから威圧感が凄い。何だこれ」
「マジかよ。狂王種だけでも頭が痛ぇ案件なんだ、これ以上面白ナマモノ共が侵攻してくる前にサクッと焼いて食っちまおうぜ」
『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)は弓に矢を番え『煙草のくゆるは』綾志 以蔵(p3p008975)は紫煙を燻らせくっくと笑う。
「私の知るUFOとは些か形が違うようだけど……形がどうあれ関係ないわ。綺麗サッパリ解体してしまえば、UFOじゃなくなるものね」
 舵を大きく回転させて、マヤは船を波と波の間へと割り込ませた。
 海面からおよそ20メートルほど上空。
 直径40メートルほどの巨大な牡蠣の真下に潜り込んだ船体へ、黒い影が降り注ぐ。

●unidentified flying oyster
 空中を舞う無数の弾丸。
 それは、UFO周辺をでたらめな軌道で飛び交っていた。
「腐っても貝だし、堅そうなので……弱そうな箇所があれば狙いたいかしら」
 指揮者のように空へ腕を泳がせながらイリスは告げた。
 彼女の手の動きに合わせるように、飛び交う弾丸は牡蠣の殻へ激しくぶつかる。その度に、ほんの僅かだけ牡蠣の巨体が震え、欠けた殻の破片が船へと降り注ぐ。
 現在、牡蠣はしっかりと殻を閉じたままだ。
 その内部に搭乗するタコ型の魔物……ディープ・ヒューマンにはダメージを与えられていない。
 イリスの攻撃を受けながらも、牡蠣はゆっくりと前進を続ける。
 その飛行速度は遅いが、少しずつでも前へ進めばやがてそれは海洋の港へ辿り着くだろう。あのような巨大かつ意味不明な物体が飛来したとなれば、港の住人たちが混乱することは必至である。
「すいません。私1人じゃ、無理かも……」
「あぁ、やれやれ、骨の折れる仕事だことで。……おーい、こっちだ、でっかいの!!」
 甲板の中央へ歩み出した縁は、腰の刀に手を添え身を低くした。
 甲板の板に根を張ったかのような安定感。
 視線は頭上、牡蠣の底へと向けられている。
「届くかな……っと」
 疾っ、と呼気を吐き出して刀を一閃。
 飛ぶ斬撃が牡蠣の底を深く穿った。
 一瞬、牡蠣の動きが止まる。【怒り】を付与されたことにより、小舟の存在を始めて認識したのだろう。
 直後、牡蠣の底より、ぱわわわわ、と気の抜ける音と共に光線が放たれた。
「っと、来たわね。さぁ、お楽しみはこれから。こいつの解体ショーといこうか!」
 ラム酒のボトルを一息に煽り、マヤは船の進路を曲げた。
 瞬間、まっすぐに風を受けた帆が張り詰め、小舟は加速。
 甲板の端を掠めた光線は海へと降り注ぐ。
「我が名は海賊マヤ・ハグロ! UFOに乗り込む愚かな者たちよ。潔くこの海賊と勝負しなさい! それとも、私に恐れをなして逃げるかしら?」
 ラム酒のボトルを放り捨て、代わりに抜くは大口径の拳銃だ。
 相談数は5発。
 本来であれば片手で扱えるような代物ではないそれを、まっすぐに牡蠣へと向け彼女はそのトリガーを引いた。
 撃鉄が薬莢の底を叩く音。
 火薬が爆ぜ、弾丸が跳ぶ。
 続けざまに5発の弾丸を撃ち尽くし、即座にシリンダーを展開。空薬莢が甲板に転がった。
 少しずつ、けれど着実にUFOはダメージを負っている。
 けれど、未だ高度を落とすことはない。
 攻撃を受けたことで、ディープ・ピープルたちもイレギュラーズに気づいたのだろう。
 僅かに開いた殻の隙間から身を乗り出し、白濁した目で船を見下ろす。
「出てきましたね。メイド兼火付け人の名に懸けて、こんがり焼いてやるまでなのです!!」
「黒ずみにしてくれたお礼をしてやらないといけないですね。チャームで引きつけましょう!」
 ディープ・ピープルの真下に駆け込み、梨香は頭上へウィンクを飛ばす。
 視線の合ったタコの1体が魅了され、自身の胸部を数本の腕で打ち据えた。バランスを崩し落下するタコ。
 助けるべく、仲間のタコが腕を伸ばした。
 しかし飛来した火球に腕を焼かれそれは叶わない。
「あいつら、煮ても焼いても食べられるか分かったものではありませんね」
 熱波に髪を躍らせながら、クーアは告げた。
 そうこうしている間に、落ちたタコは甲板に激突。墨を周囲に巻き散らし、べったりと床板に張り付いた。
「え……きゃっ!?」
 床に張り付いた姿勢のまま、タコは周囲に墨を吐き散らかす。
 顔面に墨を浴びたルチアが、よろりと姿勢を崩して転倒。
「うぉっ、すまん、誰かこっちの奴もぶん殴ってくれねぇか!」
 咥え煙草に火を着けながら、以蔵が注意を喚起する。
 頭上から降り注ぐ墨の対応に、彼は手一杯なのだ。
「俺が行こう。これ以上、墨を吐かれたくもないしな」
 イズマは弓に矢を番え、甲板上のタコへ目掛けてそれを射かけた。
 まっすぐに疾駆した矢は、タコの胴を貫通。
 立ち上がりかけていたタコは、イズマの妨害を受け再び倒れた。
「よし、タコ刺しにしてくれますよ!」
「行きますよ、梨香。追撃です!」
 梨香は剣を構えに、クーアはその手に火炎を灯し甲板中央のタコへと迫る。
 2人の攻撃がタコに叩き込まれる、その寸前……。
「うぇ!?」
「わっ!!」
 降り注いだ光線が落下していたタコと、梨香、クーア、そしてルチアを包み込みふわりとその身を浮き上がらせる。

 くるくると横に回転しながら、3人は牡蠣へ吸い寄せられていく。
 そんな彼女たちの真横を、イズマの矢や縁の斬撃が次々と通過していった。
 彼らの攻撃が牡蠣の殻に命中するたび、その厚い殻の欠片がパラパラと海へ降っていく。
 けれど、飛行能力を奪うほどに致命的なダメージには未だ至っていないようだ。
 ならば、と梨香とクーアは視線を交わし、即座に意見を合致させた。
 石化しているルチアと違い、梨香とクーアは状態異常にかかっていない。
 それ幸いにと、2人はどうやらそのまま牡蠣に乗り込むことに決めたようだ。
「それにしても、捕まっちゃってかっこ悪いったら無いですね! やーいやーい!」
「梨香。その言葉、そっくりそのまま返してあげます。そしてこれで問題ないです。アレが今日の酒のつまみになるまで、私の火の手は止まないのです!」
「つまみって……貴女は文字通り火加減知らずに消し炭にするじゃない」
 呆れたように梨香は言う。
 クーアはにんまりと口元に笑みを蓄えて、頭上に浮かぶディープ・ピープルへ向け火炎を投げた。
 ごう、と空気の唸る音。
 業火に包まれたディープ・ピープルは悲鳴をあげて息絶える。

 焼け焦げたディープ・ピープルが甲板に落ちた。
 その死体を覗き込み、以蔵ははてと首を傾げる。
「見たところ、単にデカいタコだな。捌いてみるのもいいかもしれねぇ。味がよければいい商材になるかもしれねぇしな」
 サヨナキドリ海洋支部で売る気だろうか。
 味が良く、継続的に捕獲できるのならタコ焼きの具材に良いかもしれない。これだけ大きなタコだ。さぞや喰いでもあるだろう。
 タコ焼きのタコが大きいのは良いことだ。
 口に運んだタコ焼きに、肝心のタコが入っていない……なんて、悲しい思いをする者も減るだろう。
「確かに、一見するだけならタコだけど……海の生き物は未知だなぁ」
 イズマと2人、タコの魔物を覗き込み2人は顔を見合わせる。
 それから、頭上で停止したUFOへと視線を向けて……。
 直後、吹き荒れた業火と紫電が巨大牡蠣を震わせた。

 以蔵の放った紫煙魔術やイズマの射る矢が、次々に牡蠣へ撃ち込まれた。
 牡蠣から身を乗り出したタコが、そんな2人へ向け墨を吐き出す。
 空気をうならせ疾駆する墨。
その様はまるで黒い弾丸だ。
「おい、あんなの直撃したら甲板に穴が空く! 甲板に当てさせるんじゃないぞ!」
「はっ!? 無茶言うなって……」
「墨だらけになるのは、少し……」
 墨の弾丸へ向け銃弾を撃ち込みながら、マヤが叫んだ。
 自身の船を汚されたり、破損させられたりすることを、どうやら彼女は嫌っているようだ。
 マヤに発破をかけられた以蔵とイズマも墨を狙うが、重力に引かれ高速で迫るそれを撃ち抜くのは、そう簡単なことではない。
「3人はそのまま、牡蠣を攻撃してていいよ!」
 墨の弾丸が甲板を穿つその直前、前へ出たのはイリスであった。
 滑り込むように着弾点へと駆けこむと、彼女は手に付けた円盾をスウィング。
 掬い上げるようにして、墨の弾丸を甲板の外へと弾き飛ばした。
 
 甲板の端からUFOを見上げた縁は、額に手の平を翳して笑んだ。
 貝殻の隙間から時折吹き荒れる紫電や火炎から、牡蠣の内部で何が起きているのか、およそのところが分かったからだ。
 事実、次第に牡蠣の高度は下がって来ている。
 その巨大な身体が海に落ちるのも、そう遠い未来の話ではないだろう。
「そろそろ乗り込む準備をしておけよ。あの手の厄介事はさっさと片付けちまうに限るだろうさ」
 と、牡蠣に向け斬撃を繰り出しつつ、縁はそう告げるのだった。

 墨に塗れたルチアが意識を失った。
 数体ものディープ・ピープルに纏わりつかれ、集中攻撃を浴びた結果だ。
 しかし、敵性体を倒したというのにディープ・ピープルたちに余裕は無かった。
 それもそのはず、墨に塗れてなお美しい2人の少女が牡蠣の内部で大暴れを続けているのだ。そのような状況で気を抜くことなど、とてもではないが出来るはずもない。
 触手で打たれ、梨香はよろけた。
 金の髪を黒に濡らして、クーアは熱い吐息を零す。
 黒く汚れた2人の肌には、無数の痣や擦り傷があった。
 それなりに大きなダメージも負っているだろう。
 だが、しかし、状態異常による戦闘能力の減衰がそも通りづらい2人にとって、多少のダメージなど些細な問題でしかない。
「クーア、こいつらには遠慮はいらないですよ」
「そもそも遠慮する気などないのです。追撃戦も泥仕合も、総ては私(ねこ)だけの思うが儘なのです!」
「まぁ、事実たった2人じゃ泥仕合もいいところですね。というわけで、落としましょう」
 硬い殻に守られているUFOだが、そのようなもの内に入ってしまえば何ら問題にもならない。
 梨香の掲げた剣が放つ桃の雷光。
 そして、クーアの拳に宿った血のような色の不吉な業火。
 肩を並べ、にぃと笑った2人の瞳に妖しい色が灯るのを見て、ディープ・ピープルたちは思わず後ろへと下がる。
 その判断は、きっと悪手であっただろう。
 その隙は、きっと致命的だっただろう。
 叩きつけるようにして、2人は同時に牡蠣の本体へと攻撃を叩き込む。
 轟音。
 暗い殻の内側が、目も開けられぬほどの光に包まれた。

 轟音。
 空気が震え、波が大きく荒れ狂う。
 牡蠣の内部より溢れた火炎と雷が、青い空で不気味に光る。
 傾きながら、牡蠣は次第に高度を落とした。もうじき、その巨体は海へ落下するだろう。
 見れば、先ほどまではぴったりと閉ざされていた殻も、じわじわと開き始めている。
「おいおい、この船、大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫なわけないでしょう。離脱するから、アンタは帆を操りなさい。風を捉えて、速度をあげるの」
「っと、人使いが荒い海賊だぜ」
「使えるものは何でも使うのが海賊の流儀よ」
 なんて、やり取りをしつつマヤと以蔵が船を操る。
 マヤの操舵で、船は大きく傾いた。
 その直後、パンと空気の弾ける音が鳴り響く。帆が風を受け張ったのだ。
 捕らえた風を逃がさぬようにと、以蔵とイズマはロープを掴んで甲板に靴底を押し付けた。波を受け、加速する船が牡蠣の落とした影から抜けたその後に、背後で盛大な水しぶき。
 そしてとうとうUFOは、海に落下したのであった。

 牡蠣が海に落ちると同時、縁とイリスは揃って海に飛び込んだ。
 ディープシーである彼らにとって、多少の波など何ら障害にもならない。
 海中深くに潜った2人は、まっすぐにUFOへと接近していく。
「さぁ、殴り込みに行くぞ」
 と、2人に少し遅れてイズマも海へ。
 巨大な牡蠣が巻き起こす大渦。その中に数体、焦げたタコの遺体が浮いているのが見えた。

●未確認ではないし飛んでもいない
 信じられないほどに巨大な牡蠣だ。
 しかし、確かにそこにいる。
 誰の目にもしかと確認できる。
 その巨体は飛んでいた。
 梨香とクーアの手によって、それは既に海へと落ちた。
 気絶しているのか、それとも既に息絶えたのか。
 どちらにせよ、その牡蠣が空を舞うことはきっと2度とないだろう。
 未確認ではないし、飛んでもいない。。
「落下してもUFOはUFOなのか? それともOって呼ぶべきか?」
「Oって“oyster”のO? まぁ、どうでもいいわ。そら、あなた達にプレゼントよ。遠慮はいらないからありがたく受け取りなさい」
 紫煙を燻らす以蔵にちらと目を向けて、マヤは牡蠣へとラム酒の瓶を放り投げた。
 パリン、と音を立てて瓶が砕ける。
 飛び散ったラム酒が、牡蠣の殻を濡らした。そこへマヤは銃弾を撃ち込み、アルコールに火を着ける。
 それからじろりと以蔵の方へ視線を戻し、彼女は言った。
「煙草を吸うのはいいけれど、火事だけは起こさないように」

「えー、あなた達のやっている事は立派な侵略行為です、大人しくしなさい」
 牡蠣の内部へ乗り込んだイリスは、開口一番そう告げた。
 そんな彼女へ墨が吐きつけられるけれど、流れるような動作でもってイリスはそれを盾で防いだ。
 墨が効かないのならば、とタコが2体、イリスへ接近。振り回す無数の触手で、その細い体を滅多に打ち据える心算であろう。
 しかし、縦横にうねる触手の間を1本の矢がすり抜け、その額へと突き刺さる。
 がくり、とディープ・ピープルの1体が地に伏した。
 矢を放ったのはイズマである。
 さらに、残るもう1体の眼前には縁。
 一閃。
 抜刀の勢いを乗せた斬撃が、ディープ・ピープルの触腕と胴を両断した。
「これで一件落着かねぇ」
「あぁ。敵の数も少ないしな。イリスさん、ここは俺たちに任せて、ルチアさんを連れて逃げてください」
 そう言ってイズマは、意識を失っているルチアを抱き起し、イリスへ預けた。
 残るディープ・ピープルは僅か。
 未だ暴れる梨香とクーア。そこに縁とイズマを加えれば十分に殲滅できるだろう。

 高い波が船を揺らした。
 水飛沫をたて、渦を起こしながら牡蠣が海へと沈んでいく。
 ディープ・ピープルたちの遺体も、波と渦に飲みこまれ水底へと引き摺り込まれていった。
「牡蠣って麺つゆかけて焼くとうまいんですよねえ」
「梨香……あれを食べる気だったのです?」
「いや、食べませんよ? っていうか、あなたもつまみがどうのって言ってたでしょう」
 なんて、言葉を交わす梨香とクーアを傍目に見ながら、以蔵はふと考える。
 甲板の端にかかったタコの切れ端。
 果たしてそれをどうするべきか。
「こうなっちまえば、見た目は完全にタコなんだが」
 なんて言いながら、彼はそれを摘まみ上げた。
 魔物の切れ端をその後どのように始末したのか。
 それは彼にしか分からない。

成否

成功

MVP

クーア・ミューゼル(p3p003529)
めいど・あ・ふぁいあ

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした。
牡蠣は無事に撃ち落とされ、タコ達も海の藻屑と消えました。
ありがとうございます。
皆さんの活躍により、海洋の港は守られました。
依頼は成功です。

この度はご参加ありがとうございました。
縁があれば、またどこか別の依頼でお会いしましょう。

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