PandoraPartyProject

シナリオ詳細

トマス・モアの朔日

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 クラルス・アルカナムは外の世界より訪れた旅人であり、幻想貴族アルナカム家の養子に迎え入れられた人物だ。アナカルム家は裕福な貴族であり、多くの事業を統合した複合アミューズメントパークも経営している――

 彼女はその中で練達との共同計画『クィーンズプロジェクト』に邁進している存在だ。

 クィーンズプロジェクトとは、単純にはゲームや子供向け玩具の販売、広報などなど……それらを総称した計画の事である。外の世界の知識や技術が集合している練達であればこそ実現出来る事もあり、クラルスも出資者や研究資料の提供で積極的に協力している。
 そしてプロジェクトの『目玉』の一つがもうすぐ実現できると報告を受けたのが先日。
 それはVR空間を利用した事業だ。
 カードゲーム『アストラークゲッシュ』のキャラクター達を再現する特殊空間を設立し、その中でキャラクター達を投影して、大迫力の空間を演出する。その完成が間近に迫っていると聞いて――
 しかし。
「くそ! 駄目だ、システムが乗っ取られるぞ!」
「なんてことだ。防げ! 今このデータを盗まれる訳にはいかないぞ!!」
 研究室ではアラート音がけたたましく鳴り響いていた。
 ――ハッキングを受けているのである。
 先述した、アストラークゲッシュのVR空間技術を盗み出さんとしている勢力から。人気を博すアストラークゲッシュを羨んだのか、それとも金儲けの為に技術を簒奪せんとしているのか……それは分からない。
 しかし確実な事は一つ。もしもこのままハッキングが成立してしまえば長年に渡る苦労は泡に帰してしまうという事だけだ。
「――どうだい? なんとか防げそうかい?」
「くっ、ダメです! 時間は稼げていますがこのままでは……恐らく電子空間に直接ダイブしている存在でもいるのか、敵の方が上手で……!」
 研究者たちが奮戦しているがどうやら劣勢の様だ。
 クラルスが精密機器の画面を覗き込むが、ザッと流し見しただけでも不穏な単語が幾つも流れている。あまりにも早いハッキング能力……恐らく、電子空間やデータの渦の中に直接跳び込める存在でもいるのではないかと。
 混沌世界は多くの者が召喚される世界だ。そういう能力やギフトなどを持った存在がいたとしても不思議ではない。
 海の中を高速で泳ぐことが出来る魚を相手に、人では勝てないのだ。
「――待てよ。確かログインは出来るんだよね?」
「え、ま、まぁそれは……しかしまだテスト段階ですよ? それにこのVR空間ではアストラークゲッシュ以外の要素を持ち込むことが出来ないようになっていて……」
「いや、それならなんとかなるかもしれない!」
 瞬間。クラルスが閃いたのは一つの手段。
 敵が直接『潜っている』存在ならば――こちらも『潜らせれば』いいのだ。
 アストラークゲッシュを持たせて。そのキャラクター達を投影させて。
 ハッキングを行っている者を――バトルで打ち倒せばいい!
「ええ!? しかし、今からカードを持っている人を集めるなんて……!」
「そこは私がなんとかする! 君達はハッキングをこのまま食い止めてくれ!」
 研究者が無理だと叫ぶが、クラルスには一つの勝算があった。
 アストラークゲッシュに優れる者達を彼女は知っている。
 前回開かれた大会にも参加してくれた――イレギュラーズ達!

「さぁ、悪いけど頼りにさせてもらうよ……!」

 駆ける。クラルスは自らの友人の顔を思い浮かべながら。
 彼女達ならばきっと――この戦いに勝利してくれると信じて。

GMコメント

●依頼達成条件
 VR空間で、ハッカーに対しアストラークゲッシュバトルを行い――勝利しましょう!

●アストラークゲッシュとは?
 アストラークゲッシュとはカードゲームの事です。
 雰囲気としては、前回(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3459)にはこのようなカードバトルも繰り広げられました。その後も練達の技術者たちと色々な企画や新カードの創設が進められており……その内の一つが『VR空間でのバトル』でした。

 この空間ではキャラクターを召喚すると、貴方の傍にキャラクターが投影されます。
 そしてそのキャラクター達が戦い――迫力満点の中で楽しんでもらおうと、そういう企画……だったのですが、何者かにより技術のハッキングを受けている真っ最中です。
 このままではこのVR技術が盗まれてしまいます。

 皆さんにはハッキングを行っている者を電子空間にて倒して頂きます――カードを使って!

●今回はどういうルールなの?
・皆さんは独自のカードを組み合わせた『デッキ』を持っています。
・毎ターン、一枚引いて自分のターン。攻撃などが終われば相手のターン。
・それらを繰り返し、相手のライフポイントを0にした方が勝利。

 今回のアストラークゲッシュは上記の様なルールが設定されています。
 ……が、開発途中の空間だからか、皆さん自身のステータスと連動している所があります。具体的に言うとライフポイントとは皆さんの『HP』の事です。アストラークゲッシュのキャラクターから攻撃を受けると、皆さん自身のHPが減少していきます。

 戦闘不能になるとVR空間から弾き出される為ご注意ください。

●『カード』
 そして……重要な『カード』に関する事ですが。
 これはあらゆる『単語』を組み合わせてプレイングを作成してみてください。『単語』とは混沌世界に存在する固有名詞だったり、或いはイレギュラーズの『名前』などでも構いません。もっと言うと自分でオリジナルの単語を作って頂いても構いません。
 例えば。

 例:<<暗殺令嬢>>で敵を攻撃!
 例:<<暗殺令嬢>>に<<薔薇十字騎士団>>をセットし強化!!
 例:自らの<<ギフト>> で<<○○>>を強化!!

 などなど。
 細かいルールは問いません。『言ったもん勝ち』の精神でカードゲームをしているようなプレイングを記してください。後は任せろ!!!!!!!
 なお、前回大会では一対一で戦いましたが、今回は一対一の縛りはありません。
 タッグというかチーム戦です。
 あ、でも敵を引き離して一対一をしてもOKです!

 カードやデッキに関する参考としては前回(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3459)も参考にして頂けると、プレイング作成の際の一助となるかもしれません。

 ……それと今回はカードのキャラクターが投影される形式なので、場合によってはキャラクターが喋ったりする……かもしれません。

●フィールド
 何もない、まるで宇宙の様な空間です。
 どこかへ落ちるような事はなく、ふわふわと浮かんでいる様な感覚が常にあります。(本来はなにがしかの街などが投影される予定らしいですが、開発中の様です)

 この空間では『アストラークゲッシュ』をプレイする以外の行動はとれません。
 例えば攻撃スキルなどを用いようとしても無効化されてしまいます。

●敵戦力
・ハッカー×8
 彼らは電子空間に不正に入り込むことが出来る技術を宿している者達です。クィーンズプロジェクトを何かしらの理由で疎んでいる勢力の手の者だと思われますが……詳細は不明です。

 彼らもまたこの空間の縛りを受けており、アストラークゲッシュ以外での反撃が出来ません。(ただしハッキングが完全に完了すればそうではないかもしれませんが……)

 彼らのデッキは『魔種』デッキという、クラルスも知らない闇のカードで構成されています……ちょっと展開が遅い代わりに、中々攻撃面に優れたデッキらしいです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • トマス・モアの朔日完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月28日 22時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
※参加確定済み※
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
※参加確定済み※
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
※参加確定済み※
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
※参加確定済み※
九重 縁(p3p008706)
戦場に歌を
※参加確定済み※
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
※参加確定済み※

リプレイ


 ――ダイブ開始。登録者八名。

『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)
『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
『Red Like Roses』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
『金色のいとし子』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)
『月下美人の花言葉は』九重 縁(p3p008706)
『ティブロン海賊団“重戦騎”』オウェード=ランドマスター(p3p009184)

 アストラークゲッシュ『アクロポリス』システムテストを開始します。
 ようこそ。戦神の世界へ。
 貴方の到来に感謝します。


「こういう事を言っては不謹慎かもしれないが――中々に面白そうだ、これは」
 空間へと潜り込んだ汰磨羈は胸を駆け巡る高揚感を中々抑えられなかった。
 緊急事態であるのは間違いない――がそれはそれ、これはこれ。
「うむ。子供らの遊び場となる場所を奪おうとするなら、叩き潰すのみだ。
 こういった娯楽品の一種を独占しようとするなど、見るに堪えん」
「何に使うかは知らねぇっスけど、アンタらのやってる事は許せるもんじゃねぇぞ――そっちがこんな強引な手段を使ってくるってんなら……こっちだって上等ッス! 謝ったっておせーって奴っスよ!」
 見つけた。眼前、少し先にイレギュラーズとは異なる存在がいたのだ。
 間違いなくあれがハッキングを試みている者達だろう。
 ――だからジョージも葵も即座に準備を。今日の戦いは――カードにて!

「ドロー! フィールド魔法『空中神殿』――発動!!」

 速攻を仕掛けたのはレジーナだ。宇宙空間の様な攻撃が広がっていた場が――変質する。
 それはイレギュラーズであれば誰もが一度は見るであろう、空中神殿!
「チィ、レジーナだ! レジーナ・カームバンクルが出たぞ! い、いやあれは……!」
「あら? 何やら怪訝な顔を……あぁ、もしかして前回をご存じなのかしらね」
 ハッカーに見られるアリシア――もしや先の大会を見た者か、と。
 しかしこちらを知っていようと何も問題はない。
「デッキは常に進化や変化が加えられるものよ」
 構成は既に変動している。『幻想/天義ミッドコントロール』型だった彼女のデッキは……
「ドロー。<【黒薔薇の吸血鬼】アリシア>を召喚、並びに<榊神楽>にて場の総てを強化するわ――また、主行動権を消費する事により<赤の熱狂>を追加発動。これによりカードを一枚ドローするわ」
 今はまだ影に潜んでいるが、練達の要素を加えた――新たなステップへと至っているのだから。
「更に俺も永続カード【ウォーミングアップ】を場に置くっス! このカードは状況に合わせたSWキャラをドローの代わりに1枚手札に加えるものっス。さぁオレの展開を止められるっスか?」
「しゃらくさい……! こちらも行くぞ! 『アークモンスター』を召喚し、更に『現在の呼び声(強欲)』を発動――これにより『月光人形』をデッキから直接召喚させてもらう!」
 葵も参戦、されどハッカーも動いて場には次々と伏せカードとキャラクターが。
「流石に向こうも動きますか……カードゲームは久しぶりとはいえ、私も現代っ子。ここでこそ『腕前』の見せ所という奴ですよ……!」
 さぁ――デュエルです!! ハッカー達のターンも回ってきたが、これでこそカードゲームだと……手際よくカードをシャッフルし、引くは緑だ。
 引いたカードは『スタジオ』――悪くない。これはキーカードである『綾敷なじみ』を補佐するカードの一枚であり、彼女を次のターンに招致出来る速攻魔法カード! ある意味、切り札がもう手に入ったと言ってもよい。
(だけど焦りは禁物ですね……!)
 しかし敵の札の把握もまた重要だ。
 幸いにしてこれはチーム戦――ならば場を見て臨機応変に動こうと!
「そうだ。これは……一人では、ない。マリアの、ターン。ドロー……《穏やかな心》アクアベルの予知を、発動。次のターンで、お前が引く手札、つまり今デッキトップにあるカードを、閲覧する」
「何!?」
「そして当然、タッグ・チームルールに、より――この情報は、共有される。
 更に、この情報確認により、手札の『《狗刃》エディ』の効果が、発動。
 エディを召喚、する」
 直後。エクスマリアの情報デッキの効力が炸裂した。
 彼女の大半はローレットの情報屋……《黒猫の》ショウ、《色彩の魔女》プルーなどを始めとした、情報収集・裏工作を得意とする者で構築されている。単体では中々扱いが難しいともされる構成だが……チーム戦ではこれ程『強い』意味を持つデッキも少ない。
 そして。
「こいつがシナジーという奴よ……エディが召喚された事を条件として手札より効果を発動! ローレット・イベント『ないない』! コインを振って表が出れば、エディをユリーカの代わりに生贄にして全員が手札を一枚引くぞ!」
 えっ!? というエディ・カードがオウェードを視るが、オウェードはこうして幻想に関わるデッキを所有しているのだ――尤も、より厳密には『暗殺令嬢』『オウェード』コンビデッキと言える構成が正なのだが……ともあれ。
 始まる――互いの総てを尽くして造り上げた、デッキのぶつかり合いが!


「『海洋王国大号令』を発動! 海洋に属するカードを強化、および召喚コストを引き下げ――これにより『コウテイペンギン』をノーコスト召喚! 更に『コウテイペンギン』の召喚効果を発動し『ミサイルペンギン』トークンを二体召喚する!」
 ジョージのデッキは海洋デッキ。
 展開力の高い彼に掛れば、場はあっという間に埋まりつくす。単純な殴り合いでは魔種デッキに不利だが……しかし、展開しきる前に優位を保てばいいだけの話だと。
「効果発動――ミサイルペンギン・ファイアッ!!」
「クッ! させるか、トラップカード発動『幻想サーカス公演』! フォルデルマンの無知蒙昧により、魔種属性カードの防御力を上昇させる!」
「ふっふっふ、そうはいかんね……『後衛部隊の支援』発動! 『クェーサーアナライズ』の効果を選択し、ミサイルペンギンの活力を上昇させ――サーカス公演を打ち破る!」
 同時。ハッカー陣営の対抗に対し、汰磨羈のカードが効果を発揮する。
 イレギュラーズの活躍が収められた『決戦』デッキ……使い道がやや対・殴り合いに特化している傾向があるが、強力な効果が決まれば負けぬ限りいつでも逆転できる程の力を秘めているとされている――
 瞬間。ぐああああ! とハッカーのカード・キャラクターが爆発。
 彼の身が傷付く――成程。こうして相手の体力を削っていく事になる訳か!
「ふっ……私のターンだな。ならばまずカードを一枚セットさせてもらおうか。
 そして――そう。魔種が相手だというなら、やはり彼らの出番であろう!」
 発動せしは『騎兵隊の突撃』――手札の内に在る『騎兵隊』タグを持つユニット全てを特殊召喚する! ターン終了時に手札へと戻ってしまうが……
「この速攻を持った彼女達の攻撃力――たかが一手と馬鹿には出来んぞ!」
「ぐぐ――まだだ! 即効魔法カード『決戦の有象無象』を発動――!!
 このカードは1ターンに限り、場を総てトークンで埋め尽くす!!」
 生贄にも攻撃にも使えない、肉壁トークンで騎兵隊の突進を止めるのだ――!
 激突。破砕。攻撃。防御。
 繰り返される攻防――戦況は一進一退か――いや。
「今だ! 『豊穣動乱』発動! 豊穣魔種属性の攻撃力を上昇させてアタック――」
「――待った。速攻魔法カード『月リリ』を、発動。『《月天》月原亮』と『《永遠の0》リリファ』が揃った時、特殊効果が、発動、する。場の戦闘カードは全て、痴話喧嘩に巻き込まれ、離脱、だ」
 ムキャアア! なんだか聞き覚えのある声がすると同時に――エクスマリアのカウンターが決まった。これにて豊穣動乱は実質的に不発となり。
「魔法カード『絶望の青』を発動。山札の上から魔法が出るまで捲り……魔法を手札に加えその他は除外する。そしてこの効果により引いた永続魔法『パンドラの奇跡』を発動するわ」
 直後に動いたのはレジーナだ。魔種デッキを調子に乗らせる訳にはいかないと。
 エクスマリアが不発にさせた――この機会に一気に手を進める!
「1000ライフを払い、次の自分のメインフェイズまで相手の『対象に取らない効果』を無効化する! そして墓地より一枚除外して……『キャプテン・ドレイク』を特殊召喚!」
「何……墓地召喚の上に、ドレイク……絶望の青……!?」
「絶望の青を切り拓きなさい――『ブラッド・オーシャン』、航海せよ!」
 更にコンボを繋げる。

『キャプテン・ドレイク』
 闇★4攻0/守2000

『ブラッド・オーシャン』
 闇★4攻1000/守1000

 単体では必ずしも強いとは限らない。しかし……ブラッド・オーシャンを装備させる事により、除外された札×400の攻撃力が上がるドレイクは――無限の可能性を抱いている!
「まずい――だがそうは行くか! ドレイクを指定し『廃滅病』を発動――『死兆』カウンターを乗せる! 更にこの効果は海洋関連のカードに対しては倍の速度で効果が進行する!」
「甘いわね」
 ハッカーも素早く対策をする――が。
「<【旧き巫女】カタラァナ>を召喚――これにより『紡がれし伝説』が発動して、死兆の効果を解消するわ」
「――なに!?」
「魔種デッキと来ればそういうのが来ると思っていたわ……お見通しよ」
 アリシアだ。『トライレイスヴァルキリー』デッキとでも名付けた彼女の構成は。

「来たわ……ここから逆転させる」

 更に超越した速度で進むのである――!
「手札より<Mens agitat molem.>発動。0コストで<【学園教諭】ギルオス・ホリス>を召喚――このキャラクターは味方に強力な再生/EXA+効果付与がされるわ」
「何。ギルオス・ホリスにそんなカードが……!?」
「更にギルオスの効果発動。デッキから<白焔の戦乙女>、<【黒薔薇の吸血鬼】アリシア>、<紅蓮への誘い>をパンドラシンクロ」

 ――遥かなる想いよ、紅蓮の双翼にて未来指す路と化せ!!

「<【紅煌剣の戦乙女】アリシア・ヴァルキュリア>をパンドラ召喚ッ!
 効果発動――味方に再生/ATK+付与並びに敵ユニット全てに強力なATK-させる。
 この効果でATK0以下になったユニットは破壊するわ! そして……ダイレクト・アタック!」
 剛撃、一閃。
 ぐあああああ! と叫ぶ声が聞こえたと同時にハッカーが一人場より弾き出される――HPがゼロになったのか――!
「タナカ――! くそ、ふざけやがって、だがこのままじゃ終わらねぇぞ……!」
「何を勘違いしてるんですか。まだ私達のターンは終わっていませんよ!」
 ハッカーの一人が敵討ちに燃える、も。続く縁は<綾敷なじみ>を活用して。
「行きます! 『綾敷なじみ』に『綾敷なじみは怪しくない』を発動!
 これによりなじみさんは攻撃が出来ない代わりにあらゆる対象に取られません……!」
「くっ、バウンス対策か……だが、それならすべて吹き飛ばすのみ!」
「――甘い! <燈堂 廻>の効果発動! このカードを手札から墓地に送る事によって……<再現性東京>カードが破壊対象になる際にこのカードを捨てることによってその効果を無効化するものです!」
 あれは――新カードの燈堂家だと――!?
 にわかにハッカー陣営がざわつく。ふふん、正に私らしい純粋無垢な支援デッキでしょう……! えっ? いやらしいデッキ……? そんなそんなハハハハ――
「そして無敵になっているここに純粋な高打点アタッカー、<『宵闇の皇女』ティファレティア・セフィル>を絡めようなんて……思ってませんよ?」
「く、外道がッ――!!」
 何とでもいうがいい、勝てばいいのだ勝てば。
 さあ今渾身の! クリムゾン・ダークキャリバー! ハッカーを吹き飛ばせ――!!
「くそぉ! だが、こっちにもまだ切り札があるんだよぉ――!!」
 ハッカー陣営は徐々に数を減らしつつある……
 だが、魔種デッキは恐ろしい。
 屈指の超強力カード――『冠位』が出れば一発逆転もありうるのだから。
「ハッ! 間に合うっスかねぇ……! 【メンバーチェンジ】発動!
 【SW閃洞 光】と【SW幽谷 霊路】を【SW悪門 良平】【SW悪門 善気】にそれぞれ変換! 更に攻撃の際にライフの代わりに――場の伏せカードを破壊させてもらうっス!」
 されど流れを切らさないのは葵のカードだ。
 次々に入れ替わり、次々に攻撃を重ねるSW組は断ち切れない限り延々と葵の優位を保ち続ける。無論――警戒も忘れてはいない。
(魔種が来たら流石にやべーっスね)
 手札には、手札から直接捨てて攻撃を無効にする【SW虚木 空太郎】。
 更に攻撃対象を変更する【SW不知火 安幸】と言った切り札があるが――『冠位』の性能次第ではどうなるか分からない。どこまでも注意して、一手のミスが敗北を招くと認識し。
「だがその前に倒してしまえばよい事よ――往くぞ! <<音呂木ひよの>>を召喚し<<皆の帰り道>>を発動! これによりそっちの永続カード『原罪の呼び声』をレジスト――そして<<コンバルグ・コング>>でダイレクト・アタックじゃ――!」
 直後。ターンが回ってきたオウェードが一気に仕掛ける。
 全ては万全。あと少しで勝利出来るのだと。
 確信し、仕掛けた攻撃は――

「馬鹿め! これで条件が整った……墓地に一定数の魔種が揃った事により条件適合!
 全ての魔種カードを除外し――リヴァイアサンを召喚する!!」

 『神』の降臨により一変する。
 太古の竜神。その性能は別格であり、何物をも寄せ付けぬ――実装されていないカード。
 大海嘯にて全ての場のカードを殲滅する――!!
「我々の逆転勝利だ! いけぇい、絶望の神よ! その力を示せ――!!」
 終わった――僅か一手でこのような――
 もはや止める術は無し――だが。
「成程。竜の方とは思っていなかった……だが、相手が悪かったな」
 汰磨羈がほくそ笑む。こんな事もあろうかと伏せておいたカードがあるのだ。
「私達が、どうやってあの戦いで勝利を得たか――その答えを教えてやる。トラップ発動、『パンドラの奇跡』! このカードは――【権能】持ちのキャラクターが場に出た時、その権能効果を無効にし破壊する! そしてこの効果は――」
 神にも通じる!
 イレギュラーズ達が集めている奇跡は世界すら救うのだと。
 大海嘯が引いていく――こんな事が――

「更に――『青薔薇の棘』を発動!」

 そして畳みかける様に紡ぐのは、レジーナだ。
 自身の場に何もない時のみに使用可能なカード。
 その時にあらゆる条件を無視して――
「いでよ『青薔薇の君』……!」
 ――青薔薇と名の付く札を手札から効果を無視して特殊召喚する。
 生じるはエフェクト。青き薔薇が咲き乱れ、中心の華から出でるは一人の少女。
 敬愛せし青薔薇の君よ。共に……戦ってほしい。
「――青薔薇の流儀を教えて差し上げる」
『あら。レジーナさん、随分と可愛らしい事を言ってくれますのね。
 えぇ……それでしたら身共の真髄を知らぬ者らに……存分に教えてさしあげましょう?』
 声。それはレジーナのすぐ近く、耳元で囁かれる様に。
 ――こんなプログラムが!?
 オウェードはその神聖さに召喚していた<<オウェード>>と共に涙を流す様に手を合わせる。デザイン元もカードもやっぱり似ているのか……?
 ともあれ。
「これで仕舞いだな。そしてそちらは自ら首を絞めた……
 狂王種、並びに絶望の青関連のキャラクターが召喚されたターン、条件を満たしたため『戦列艦グレイス・ヌレ』を特殊召喚する! 更に『御国式大筒図Z』を装備! コウテイペンギンの効果と合わせ――一斉砲撃効果を装填!」
「こちらも、往かせてもらおう。とうとう、このカードを、出す時が来た、か。
 ――《蒼剣》レオン・ドナーツ・バルトロメイ、《神託の少女》ざんげ」
 奴らの切り札は失われた。故に――ジョージもまた往くのだ。
 奴らこそミスをした。リヴァイアサンを出してしまったが故に。
 ジョージ最大の戦力召喚条件を満たしてしまったのだ! そしてエクスマリアも【ローレット】最大のコンボ発動条件が満たされ――場の『特異運命座標』カードが全て強化される!

 これぞ最後の一手――《パンドラ・パーティー・プロジェクト》

「こ、こんな! こんなバカなあああ!!」
「――終いだ。相手が悪かったな?」
 ジョージが効果を発動させ、汰磨羈は勝利を確信。
 特異運命座標が魔種を撃破した時――特殊勝利が満たされる。
 全てのハッカーが強制ログアウト。彼方へ吹き飛ばされ、そして。

『やった! 全ての制御が戻ったよ――ありがとう! これで研究が続けられる!』

 クラルスの声が響く。
 悪しき者の陰謀は終わった。これでいつか――正常に公開される事だろう。
「今度は普通にアストラークゲッシュ、しましょ?」
 故に緑は言う。
 もう聞こえてはいないだろうが、ハッカー達へと。

 悪しき者達であったといえ、とても楽しい一時であったから――

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 アストラーク・ゲッシュ! デュエルスタンバイ!

 ありがとうございました!!

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