PandoraPartyProject

シナリオ詳細

クッキング、マッチョラゴラ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 幻想、西の湾岸地帯。
 商売や飲食業界が活気のある場所である。
 そこにある、とある繁華街の一角。
 新しくオープンすることが決まった喫茶店で、元ゴロツキ達が厳しく接客マナーを叩き込まれていた。
「笑顔が消えてるわよ。スマイルスマイル」
 店長であるリリスに檄を飛ばされ、嫌々ながらも引きつった笑みを浮かべる。
「まだ笑顔が硬いわよ。それじゃ、お客さん帰っちゃうじゃない」
(くっそー)
 内心で舌打ちをしながらも、元ゴロツキ達は渋々従っていた。
 それというのも、彼らは身の安全を考えていたからだ。
 少し前、彼らはスラムで見つけた子供達に掏りや置き引きをさせて上前をはねていたのだが、イレギュラーズ達に叩きのめされて捕まった。
 そのあと被害に遭った商店街の店主達に賠償金を求められたのだが、当然返せる当てはない。
 なら働いて返せと送り込まれたのが、目の前のメイド服を着た女性、リリス。
 手広く商売をやっているという彼女は、ちょうど新しく喫茶店をオープンすると言うので、そこの従業員になる契約をしたのだ。
(逃げてぇ……)
 まっとうに働いたことのない彼らは、正直今すぐにでもトンズラしたい所だが、そういう訳にもいかない。
 なにしろ下手を打ったので、いつ制裁されるか不安だからだ。
 彼らは子供達の上前をはねていたが、同じように搾取される側である。
 彼らもまた、上納金を治めるように脅されていたのだ。
 すでに上納金を治める期限は過ぎている。
 金を治めなかった者に容赦はないので、ここを逃げてもろくなことにはなるまい。
 だからこそ、潜伏も兼ねて渋々働いている。
 巧くいけば、他の地域の店に派遣されると言われているので、どうせ逃げるならそれからでも構わないだろう。
 などと不安たらたらで、接客マナーを覚えていると、店のもう1人の主がやって来た。
「疲れたでしょう。これでも飲んで元気になって下さい」
 そう言って、壮年の紳士に見える男性、リリスの共同出資者であるヴァンが、瓶に入ったジュースを渡す。
「なんだこれ?」
 訝しみながらも、くいっと飲む。
 すっきりとした喉越しと、爽やかな香り。
 そして飲んだ途端、活力が溢れてきた。
「どうです? なにか身体の調子は変わりましたか?」
「……なんかしんねぇけど、元気になってきた気がするんだが……」
「よし成功ですね」
「おい待て、なに飲ませた」
 思わず聞き返す。
 そういえば、目の前の男は発明家で魔法使いと言っていた。
「実験台にしやがったな」
「そうですよ。まぁ良いじゃないですか。元気なんですから」
 よくねぇよ。
 そう返す前に、ヴァンはリリスの元に近付き話し合う。
「実験台も手に入ったんで、お店の新メニューを作りましょう」
「それって、あの気持ちの悪い魔法植物使うのよね?」
「そうですよ。私一人だと手が足らないんで、ローレットに頼みに行こうかと」
「ん、いいけど。それならついでに、開店前の模擬練習にも手伝って貰えるよう頼んでおいて」
「ええ、分かりました」
 そう言うとヴァンは、店を出て行った。
(またイレギュラーズかよ……)
 話を聞いていた元ゴロツキの1人、アレクは嫌そうにため息をつくのだった。


「喫茶店のお手伝いをして欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「お手伝いは、お店を開く前の予行練習のために、お客さんとして来て欲しいそうです。それとお店の売りになるメニューを考えるのに手伝って欲しいみたいです」
 話を聞くと、マッチョラゴラとかいう魔法植物を使ったメニューを作るらしい。
「見た目はマッチョな男の人みたいな植物みたいですけど、下ごしらえは済ませているので、見た目は大丈夫らしいのです。食べたあとが問題らしいのです」
 どういう事か話を聞くと、次の通りらしい。
 滋養強壮に効くが、混ぜる食材によっては、しばらくマッチョになったりする副作用がある。
 他にも、調理の仕方によっては、何か起こるかも?
 ということらしい。
「出来た料理は従業員さんが食べてくれるので、食べる必要はないみたいです」
 もちろん、食べてみることも可能とのことだった。
 話を聞いたイレギュラーズ達は、何を作るか考えながら喫茶店に向かうことにした。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
四本目のシナリオは、非戦闘系のシナリオになります。
今回のシナリオは、『子供窃盗団をどうにかしよう』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5076
と、『マッチョラゴラを収穫しよう』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5124
の結果から新たに作ったシナリオになりますが、こちらの内容を知らなくてもご参加いただくのに支障はありません。

そして詳細は以下のようになります。

●成功条件

新しく開店する喫茶店が繁盛するように協力する。

●方法

以下の3通りの内からひとつ。もしくは複数選んで実行してください。

1 お客として従業員に接客させる。

開店前の予行練習として、お客さん役で従業員と関わって下さい。
従業員は、一応は接客マニュアルを叩き込まれていますが、基本雑ですし荒いです。
注意するも良いですし、アドバイスして出来るようにするなども可能です。

2 名物になりそうなメニューを考える

マッチョラゴラという魔法植物を使ったメニューを考えて下さい。
マッチョラゴラの詳細は次の通りです。

マッチョな男性の姿をした植物。
煮汁を飲むと、疲労回復が見込める。爽やかなリンゴジュースのような味。
実の方は、煮込んでジャムにされています。リンゴジャムみたいな味わい。
実の方が効果が高い。
食材の組み合わせや調理法によっては、食べた者が一時的にマッチョな姿になる。

自由に食材を組み合わせ、調理できます。
効果については、公序良俗に反しない範囲でしたら、自由に決めていただけます。
作った物は、従業員に食べさせても良いですし、PCが食べてもかまいません。

3 1と2以外で、何かしたいことがありましたら、それをして下さい。
喫茶店を盛り上げる、という名目でしたら、基本は自由です。

●授業員

元ゴロツキ。8人居ます。
イレギュラーズに叩きのめされたので、基本は大人しく言うことを聞きます。

●依頼人

リリス 趣味でメイド服を着てます。
ヴァン リリスの共同出資者な発明家で魔法使い。

PC達が必要な物があれば用意してくれますし、その他サポートもしてくれます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 今回の情報制度はBになっていますが、自由度の柔軟性を持たせるためです。
 PCの行動が、出来るだけ実行できるようにするためにBにしています。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • クッキング、マッチョラゴラ完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2021年02月28日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
箕島 つつじ(p3p008266)
砂原で咲う花
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女
リーラ ツヴァング(p3p009374)
蠱惑可憐な捕食者
羽田 アオイ(p3p009423)
ヒーロー見習い
ネイルバイト(p3p009431)
筋肉植物の親友

リプレイ

(さすがにこれは私も様子を見に行かなくちゃ……)
 依頼内容を聞いた『神は許さなくても私が許そう』白夜 希(p3p009099)は義務感めいた物を感じていた。
 なぜなら希は、今回指導するゴロツキ達を捕まえた内の1人。気になるのだ。
 どうするかと考えて、お客を何人か連れて行くことにする。
 ゴロツキ達を捕まえた時に関わったパン屋さんをコネクションを駆使して誘うが、幻想での伝手が足らないため難色を示された。
 その代り。
「ひひっ、今日は頼みますぜ」
 ゴロツキ達を捕まえた依頼で関わったバウが子供達を連れてやって来た。
 希がパン屋さんに行った時、偶然出会ったのだ。子供達と一緒に以前の盗みを謝りに来たらしい。
 ゴロツキ達が働いているのを見せて、また掏りや盗みをさせようとしていないことを見せて安心させたいようだ。
 皆で喫茶店に向かっていると。
「おー、あん時の子供らやね。元気か?」
 明るい声で『砂原で咲う花』箕島 つつじ(p3p008266)が声を掛けて来る。
 つつじもゴロツキ達を捕まえた1人なので、バウや子供達のことを知っているのだ。
 事情を聞いたつつじは言った。
「みんな元気みたいで好かったなぁ。これならあのゴロツキ達の社会復帰、応援したらなあかんね」
 つつじの心情としてはゴロツキ達を簡単に許せはしないが、子供達が元気な様子を見て気持ちは軽くなる。
 その分、やる気が湧いてくる。なので問題は――
「……マッチョラゴラって何なんやろなぁ」
 一抹の不安を感じながら皆で喫茶店に向かった。

 その頃、先に訪れていた『Barista Meteora』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)とアーマデル・アル・アマル(p3p008599)が接客マナーを教えていた。

 モカとアーマデルが、お客役で座っている。
「注文は?」
 元ゴロツキな従業員が面倒そうに訊きに来ると、2人は注文。
 応えも返さず従業員は厨房に戻ると、雑に注文品を置く。
 しかも置いてすぐ面倒そうに戻っていった。
「なるほど」
 現状を理解したモカは、今度は立場を変える。
 従業員をお客に、自分が従業員役を。
 先ほどと同じ態度で行った。
 すると不快そうな表情を見せる従業員達。
「なにか?」
 モカが問うと、リーダー格のアレクが返す。
「嫌がらせかよ」
「そう思ったなら、それが先程私がされた接客だ。あなたは同じ対応をされて、気分を害したということだね」
「だったらなんだよ」
「その気持ちを、大事にして欲しい」
 もてなす者の気持ちをモカは伝える。
「技術も大切だが、まず大事なのは気持ちだ」
「へっ、口なら何とでも言えらぁ」
「なら態度で示そう」
 モカは手本を見せる。
 それは細やかな気遣いに溢れた接客。
 ぐうの音も出ない従業員達にモカは続けて言った。
「接客において何が大切か、それを理解できたなら、あなた達ならきっと幻想王国で二番目の飲食店になれる」
「二番目かよ。なら一番目はどこだよ」
「もちろん私の店、Stella Biancaだ!」
 自信に溢れた笑顔で言い切った。
「あなた達もこれくらいの自信と野望を持って、この世界の飲食業を盛り上げるべく頑張ってくれ」
「……自信ねぇ」
 モカの言葉にアレクは、どこか卑屈さを感じさせながら返した。
「自信があったからどうだってんだよ。それで俺達を見る目が変わるってのか」
「やってみなければ分からない」
 アレクの言葉に、アーマデルが自分の経験を踏まえて応えた。
「実は居候先が飲食店でな、俺も従業員として働いたことがある……足音を忍ばせるな、気配を殺すな、メニューを投げるな、店内でAKを撃つな……と怒られたが」
「いやそれダメだろ」
 思わずツッコミを返すアレクに、アーマデルは続けて言った。
「……うん、初日で戦力外通告された。けど――」
 確信を込めて言った。
「だからこそ分かる事もあると思うんだ」
『ぽじてぃぶ』な気持ちを前面に出しながら、彼なりに愛想よく笑いながら続ける。
「大丈夫だ。お前たちが何かやらかしても死なないように止めてやる」
「大丈夫な要素どこだよ!」
「そう思えるなら大丈夫だ。どうすれば良いかを分かっている」
 アーマデルは依頼人の2人に視線を向け言った。
「リリス殿とヴァン殿はボスで、客はボスの取引相手だ。粗相をすればどうなるかは自明の理だろう」
 そして自身の過去を思い出しながら語り掛ける。
「よく観察して相手が何を求めているか推測する。そうすればやるべきことが見えてくる筈だ」
(俺にはわからなかったが)
 思いは口にはせず、けれど込められた響きに何かを感じ取ったのか、従業員達は無言になる。
 そこにつつじと希達もやって来た。
「よーっす、新規開店の喫茶店があるんやってな?」
 2人を見て顔を引きつらせる従業員達に、つつじは素知らぬ顔で言った。
「今回の件を担当するイレギュラーズやで」
 そして依頼人にも挨拶。
 すると依頼人は、バウ達に興味を持ったのか話を聞く。
「――というわけなんや」
 つつじの説明を聞いた依頼人の2人はバウと話をしていく。
「その子達と一緒に宿屋してみない?」
「……どういう事ですかねぇ」
 何やら話をしているので子供達を引き受けながら接客を受けることにする。
「こっち来ぃ。一緒に座ろ」
「一緒に座る?」
 つつじと希が以前捕まえた子供達に声を掛けると、もじもじしていたが隣に座る。
 他の子達も近くで席についた所で注文。
「好きなん頼みぃ」
「食べたいもの、頼んでいいよ」
 2人に言われ、子供達は恐る恐るといった風に注文。
 一緒に希とつつじも注文すると、従業員達は顔をひきつらせながらも大人しく注文を取っていく。
 事前にモカとアーマデルの話を聞いていたのが大きいのだろう。とはいえ――
(敵意は持ってるね)
 希はエネミーサーチで従業員達の敵対心を感じ取る。
 とはいえ、それを飲み込んでいるようなので普通に頼む。
(いるよね店員さんに対して横柄な客。ああはなりたくない……)
 そう思って接客を受けるが、仕事なので気になった点は口にする。
「や、私そんなに悪いことしてないと思うんだけど……定員さんなんでそんなに震えてんの」
「……言わなきゃ分かんねぇのかよ」
「言わなきゃいけないことだからだよ」
 希は言った。
「これから顔を合わせたくない相手にも接客をしないといけないこともあるかもってこと」
 先々の心構えを訥々と語った。
「だから、震えた手で注文の品を零したり、腹が立つからって投げたり、ミス装ってぶっかけようとしたりし──」
 話の途中で、従業員が怒りを我慢するあまり置こうとしたコーヒーカップが大きく揺れ零れる。
 緊張感が走る――けれど。
「拭いたら、きれいになるよ」
 希の隣に座っていた子供がテーブルに置かれていた布巾で拭く。
 子供の様子に、渋面を浮かべながら従業員のリーダー格であるアレクが言った。
「……貸せ」
 布巾を奪い取るように言うと、きちんと拭いて。
 すぐに代わりのコーヒーを持って来た。
「……ありがとう」
 礼を返す希に、顔を強張らせたまま視線を逸らすアレク。
 それを見ていたつつじは明るい声で言った。
「ええな。そういうの大事やわ」
 サバサバした口調で続ける。
「お皿はこういう風に置いたらええで。あとな、お客さんに声かける時は――」
 ギフトも使い接客の手本を見せる。
 それをこなしていたアレク達だったが、ポツリと卑屈に言った。
「こんなこと覚えてどうなるってんだ。どうせ――」
「やり直すのは、いつから始めてもええと思うで」
 最後までアレク達に言わせず、つつじは明るい声で言った。
「ウチもなぁ、この世界に来るまでは汚れ仕事しとってん。でも今はイレギュラーズとして、なるべくお天道様に顔向け出来るように働いてる」
 視線を合わせ続ける。
「たまに危ないこともするけどな、それはイレギュラーズやしな……と、ともかく! あんたらがこれから良い店員になるのは祈ってるんやで」
「……けっ」
 返す言葉を知らないというように、誤魔化すように悪態をつくアレク達だった。

 そのあとも接客練習は続く。
 一方厨房ではメニュー開発が行われていた。

●メニュー開発
「ちょっとだけ厨房をお借りしますねぇ?」
 黒いエプロンに黒い三角巾を付けて準備万端な『蠱惑可憐な捕食者』リーラ ツヴァング(p3p009374)が腕を振るう。
 甘味に関してはギルド内でスイーツを売るほどの腕前であるリーラは、何処に隠し持っていたかMy調理器具をごそごそと取り出していざレッツクッキング!
「確か林檎に近い味と言ってましたねぇ」
 用意されたジャムを試しにひと口。
 さわやかな甘みにスッキリとした酸味が合わさり後味も良い。
 あと食べると力が湧いてくる。
「面白い食材ですねぇ。味も良いですし、作り甲斐がありそうです」
 手際よく作っていく。
 パイ生地を練り上げ、たっぷりのジャムを包み焼く。
 その間にシャーベットに取り掛かる。
 ジュースにジャムを足していき、食感と甘味のバランスが整う割合で混ぜ合せ冷凍。
 出来あがりを待つ間、焼き上がっていくパイの美味しそうな匂いがして来る。
「あとは簡単に作れるものを試してみましょうかねぇ」
 従業員でも手軽に作れることも考え、クッキーやスコーンにジャムを乗せた物に紅茶を添えて。
 そうしている間にパイとシャーベットも完成。
 出来あがれば試食。従業員にも食べさせる。
「好い味ですねぇ……それにしても……味はともかくこの効果はどうなんですかねぇ……」
 ひとり残らずマッチョになった彼らを見て思案する。
「アタシが食べてもマッチョにはならないですねぇ」
 リーラも試食したが、疲労回復だけで見た目の変化は無し。
「つまりこれはあれですね、男性のマッスルを見ながらおいしいスイーツが食べられる喫茶店として売れますねぇ。うん」
 これに依頼人のリリスが興味を見せる。そこにリーラは追加で助言。
「もしかしたらぁ? 男性の筋肉でご飯が何倍も行けるって人もいるかもしれませんしぃ? そういう層をメインターゲットに据えてお店の売りにしていけばいいかとぉ」
 即採用。執事喫茶ならぬマッチョ喫茶として、新規店も視野に入れて考えると応えた。

 新メニューが出来ていく。
 それは『恋揺れる天華』上谷・零(p3p000277)の逸品も変わらない。

「なんで一時的にマッチョになるの????」
 リーラが作った逸品を食べた従業員を見て、思わず零は首を傾げる。
「……常になり続けるならプロテイン……とは違うにしても、身体強化に役立ちそうなものを……」
 基本はその場限定。
「ということは、やっぱりまずは味で勝負か」
 考えながら、従業員達をちらりと見る。
(……そういやごろつきもなんか色々あるみたいだけど……折角だし美味しく味わってほしいよな……)
 なので聞いてみる。
「あ、後でパンでもいる? ギフトで出すぞ」
「……腹が膨れるからくれ」
 甘い物だけでは物足りなかったのか、要求してくる。
 それを見ていた子供達も物欲しそうな視線を向けて来たので一緒に出してあげる。
 ジャムを塗って食べている間に、新メニュー作り開始。
(他と被らねぇ様に……となると)
 リーラの美味しそうな逸品を見て、やる気が出て来る。
「パフェを作るとして、アイスクリームも……だったら」
 思いついた零は、リーラに声を掛ける。
「このパイ、貰っても良い? パフェでアイスクリームを作るから乗せてみようと思うんだ」
 これにリーラは快諾。
「好いですねぇ。なら、出来あがりの熱々の方を作りますよ」
 どうせならより美味しい物をと、協力する。
 パイが出来あがる間に、零はパフェの材料を用意しつつアイスクリームを冷凍。
 完成までに時間があるので他のメニューも試していく。
「ジャムパンも良いかな?」
 動物の形をしたものを作っていく。途中で従業員に訊いてみる。
「お前は好きな動物いるか?」
「腹が膨れりゃいいよ」
 大人な従業員は興味なさ気に応えたが、代わりに子供達が興味深げに見詰めている。
 なので要望を聞いて作ってみる。
 犬や猫にパンダ。
 子供は喜ぶものの、大人な従業員達の反応は薄いので、よりインパクトのある方向に。
「ならば……マッチョラゴラを練りこんだ生地を使ったケーキとかどうよ!」
 マジパンでマッチョラゴラの姿を形どった物を置きつつ、実を焼いた物を挟んで作る。
 ちなみにマッチョラゴラは、採れたての姿はまんまマッチョで使えないので、原型が分からないよう中身だけを切り分けた物を使った。
 そして出来あがり。
「パイも出来ましたよぉ」
 リーラのパイも出来たのでアイスクリームを乗せる。
 熱々の所に乗ったアイスがとけて、冷たさと合わさって美味しさが増す。
「あと彩りがあると良いですねぇ」
 リーラがミントの葉を少し乗せ、見た目の美味しさもアップした。
 それに負けじと零もケーキとパフェを。
 実食すると、どちらも美味しい。そして――
「こ、これは……違和感なく筋肉が増量されてる……! よ、良かった、急に筋骨隆々にならなくて」
 食べる量を調整することで好みのマッチョになれるメニューが出来た。
「ど、どうかなこれ……?」
 もちろん即採用された。

 甘味のメニューが出来あがっていく中、『ヒーロー見習い』羽田 アオイ(p3p009423)はメインメニューを考える。

「よーし、マッチョラゴラを使った料理を考えるぞ!」
 腕組みして考える。
「マッスルになれるっていうなら、それっぽいメニューにしよっかな。うーん、マッスル……筋肉…………肉?」
 ぱあっと顔を輝かせ思いつく。
「そうだ、ハンバーグなんてどうかな!?」
 思い付けば早速作る。
「細かく刻んだマッチョラゴラとひき肉、玉ねぎをタネに入れて、こねる!」
 下ごしらえが終れば形を整える。
「空気を抜いて~」
 ぺちぺち手で投げたあと真ん中をへこませたら蒸し焼きに。
「焼いてる間にソースだね!」
 マッチョラゴラを擦り下ろし、絞った物に醤油とごま油でさっぱりしたソースを作っていく。
 一から作っているので時間が掛かるので、そこも考える。
「ハンバーグに炎獄とか付与すれば、数分で焼きあがるんじゃないかな! こねるのも腕力があれば一瞬だよ!」
 時短も考え出来あがったハンバーグは、切ればジューシーで肉汁溢れる逸品に出来あがった。

 次々メニューが出来る中、アーマデルとモカも考える。

「滋養強壮に効く……しばらくマッチョになったりする副作用……ふむふむ……」
 アーマデルは味よりも効用中心。
「滋養強壮とマッチョは一心同体、いわばズッ友。マッチョになる効果は残すべきだろう。しかし何を混ぜれば……とりのささみと一緒に煮込むとか……ぷろ……ぷろてにす……ぷろて院? それを入れればいいのか? わかった……ちょっと狩って来よう、どこで狩れる?」
 やる気満々で出て行こうとするも、止められるアーマデルだった。
 そしてモカは試食しつつドリンク系を提案。
「しかし本当にリンゴのような味だな。発酵させたらシードルやアップルブランデーみたいな果実酒にならんかな。……おっと、ここは喫茶店だったな」
 これに依頼人のヴァンは乗り気になる。
 魔酒が出来る切っ掛けになった。
 そして試食をしたモカだが、お腹の腹筋が六つに割れただけで済んだ。

 次々出来ていくメニューを『筋肉植物の親友』ネイルバイト(p3p009431)は感慨深げに見ていた。

「また会ったな親友たちよ……!」
 激闘の末、交わした熱い友情は心に刻んでいる。
「お前らを最高に輝かせるため、オレがこの喫茶を人で溢れさせてやるぜェ!」
 探偵なので料理も得意だが、そこは仲間に託し他の観点から依頼人の2人にアタック。
「経営で大事な物を知ってるか?」
 聞き返す2人に応えていく。
「自分の店のウリってやつを正確に理解すること……それじゃ半分だ。もっと大事なのはそのウリが刺さるターゲットをしっかりと定めることだ」
 そして断言する様に言った。
「我が親友たち、マッチョラゴラを最高に活かす店作りに着手すべきだ!」
 ぐぐっと力説する。
「リリスとヴァンと言ったか、お前らはスポーツジムで使うような筋トレマシーンとそれを置くスペースを店の中になんとかして用意しろ」
 未来図を描き語る。
「時代は多角経営だ! 一部会員制のジム喫茶にして安定収入を得ると共にオレはマッチョラゴラの疲労回復&マッチョ化プロテインドリンクの開発に着手するぜ! 筋トレと休憩のサイクルを金に変えるんだ!」
 そして従業員にもビシッと言った。
「お前らは腕っ節はそこそこ、だったらテメーらも服や態度だけじゃなく筋肉も着飾れ! お前達の筋肉を目印にまだ見ぬマッチョカスタマーがこの店目指して来るくらいになぁ!」
 それは筋肉を中心とした相互作用。
 話を聞いたリリスは即採用。
「マッチョ喫茶とジムを併用しましょ」
「ならマッチョラゴラの増産が必要ですねぇ」
 そう言うとヴァンはネイルバイトに言った。
「前に流して貰った汗で発芽したのも順調に大きくなってますし、使わせて貰いますね」
「親友たちのためになるなら望むところだ!」
 力強く頷くネイルバイトだった。

 かくしてイレギュラーズのお蔭で、新規店と新メニューが出来ることになり、元ゴロツキ達も何かしら影響を受けるのだった。

成否

成功

MVP

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera

状態異常

なし

あとがき

皆さまお疲れ様でした!

皆さまのお蔭で、新規メニューとしてマッチョラゴラを使ったパイとシャーベット。パフェとアイスクリームに動物パン。マッチョラゴラマジパンを乗せたケーキにハンバーグと盛りだくさんのメニューが出来ました。
ちなみに食べた時の効果としては、女性は疲労回復、もしくは細マッチョ。男性はゴリマッチョ化。ということになりました。
そしてお酒に関しては、依頼人のヴァンが作り始めます。効果は未定です。多分ノリと勢いとプレイングで色んな効果が出る代物になるんだろうな~と。

そして喫茶店の形態としては、マッチョが執事服を着て接客するマッチョ喫茶や、筋トレジムと併用しつつ喫茶も楽しめる物が出来ることになります。マッチョラゴラ入りの飲食をして、一時的にマッチョになって理想の自分を確認する、みたいなお店になりそうです。

元ゴロツキな従業員達については、生存フラグが立ち始めました。あとツンデレ化ルートも入ってます。今回のシナリオだと、成功条件は『喫茶店が繁盛することに協力すること』でしたので、極端なことを言うとゴロツキ達と一切かかわらなくても成功に成り得ました。その中で関わっていただけましたので、色々と影響が出ています。

今回の結果で出来たメニューやらお店やらは、どこかで出したいなぁ、とは思いつつ、今後もシナリオを出していきたいと思います。

皆さまにご参加いただいた結果を反映させる形で、これからも進めていきたいと思います。また同時に新規の方にもお気軽にご参加いただけ、少しでも楽しめるよう頑張っていこうと思います。

それでは最後に重ねまして、ご参加いただいた皆さま、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました!

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