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シナリオ詳細

ドバーグの星

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●妙なる鉱物『ドバーグの星』
「『ドバーグの星』という鉱物を知っているかな?
 精霊鉱山の地下にてドバーグたちの魂を宿して錬成されるという噂の、希少な鉱物さ」
 上品なシルクハットを被った紳士。
 彼はクベンという名の商人だ。
 テーブルにはコーヒーと本。
 開かれた本のページには、小柄で灰色の肌をした亜人系モンスターが描かれていた。
 下の所には『ドバーグ』とある。
「『噂の』とつけたのは、本当のところは誰も錬成方法を知らないからだ。
 日光を浴びると焼け死ぬという彼らは特性上洞窟から外に出てこない。そのうえ独自の文化形態を持っていて、下手に手を出せばたちまち殺されてしまう。
 だから、ドバーグの住処で崇拝するかのように置かれたこの美しい鉱石は希少価値をもつ」
 ページをめくると、美しく磨かれた球体が描かれていた。
 まるで夜の星空を固めたような、きらめきをちりばめた鉱石だ。
「今回は、これを取得してもらいたい。
 元は取りたいから……そうだな、最低でもこのくらいは獲得してくれ」
 ソロバンをぱちぱちとはじいてみせるクベン氏。
 説明を受けたイレギュラーズたちは再び、もしくは初めて、噂の『ドバーグ廃坑道』を訪れることになった。

●闇の住民たち
 ドバーグ廃坑道とは。
 幻想の端に存在する廃坑道である。かつては人々が切り開いて鉄鉱石や金などの鉱物資源を得ていたが、それらを掘り尽くした結果大きな穴だけが残り、ドバーグという亜人系モンスターたちが住み着いたのだ。
 ドバーグは古い言葉で『骸にたかる虫』『闇に潜むもの』『仇なすもの』という意味をもち、人間は見かけただけで殺されるという。凶暴性ゆえに逆もしかりだ。

 トライする廃坑道は過去にイレギュラーズが通り抜けた経験があり、その際に寄り道感覚で多少の探索をこなしていた。
 その結果、『ドバーグの星』が存在していそうな部屋はいくらかアタリがついており、あとは突入するだけなのだが……。
「大勢で動けば彼らに存在を気づかれ、たちまちに囲まれてしまうだろう。目的のアイテムを目にすること無く撤退というのはイヤだから、最低でも二組……できれば五組程度に分かれてこっそりと移動するといい」
 目的のアイテムがあるであろう場所を示した(半端な)地図が配られる。マークは5つ。順当にいって獲得できる『ドバーグの星』は最大で5つという寸法だ。
「こちらとしては2つ手に入れば採算として充分だ。逆に言えば2つが最低ラインだと思ってくれ。
 まあ、君らは『やれる』人材だ。心配はしていないよ」
 肩をすくめ、クベン氏はテーブルにコインを置いた。
 この場の飲食代くらいは持つ、というサインだ。

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:ドバーグの星を2個以上獲得する
 オプション:ドバーグの星を3個~5個獲得する

 このシナリオは『潜入』『戦闘』の二つの要素をもったシナリオです。
 それぞれパートごとに解説していきますが、先にざっくりとだけ概要を説明します。

 まずは集まったメンバーの特性を見て『5人チーム×2組で手堅くゲットする』か『2人チーム×5組で鋭くがっぽりいただく』か、ないしはその中間あたりかを決めてください。
 手堅くコースだと道中の戦闘が多く消耗が激しくなり、一方でボス戦が楽になります。
 がっぽりコースだと道中の戦闘が少なく消耗が小さくなり、ボス戦がハードになります。

 最低限相談で決めるべきことは『チームの規模と着地点』『チーム分け』『連携プラン』ということになります。

【潜入】
 ドバーグ廃坑道の深部を進んでいきます。
 ここに暮らしているドバーグというのは闇の中に生きており、夜目がききます。しかし警備兵は少ないので2~3人でこっそり進めばあまり遭遇することはないでしょう。
 ここで遭遇するのは『奴隷ドバーグ』。
 ドバーグの中でも格下で弱いモンスターです。手にした粗末な武器で攻撃してきます。
 ただし4~5人で移動していると目立ってしまい統率力のある『ドバーグリーダー』が奴隷の集団を断続的にけしかけてくる事態になってしまいます。
 もうそうなると潜入というより『強行突破』になるので、戦い方を根本から変える必要があるでしょう。

 要するに
 少人数なら『隠密移動+スピード撃破』
 大人数なら『戦闘マラソン+スタミナ重視』
 のプレイングが必要となります。

 なお、それぞれの目標地点が離れているうえ、目標アイテムを獲得したら即脱出の予定なので、途中合流や1組2箇所以上の攻略はできません。

【戦闘】
 ドバーグの星は何かしらの部屋に存在しています。
 その部屋に突入し、守備についている強力な『ドバーグウォーリア』1体と戦い勝利する必要があります。
 ドバーグウォーリアは特大の攻撃力、豊富なHP、硬い防御技術と回避値というなかなかガチなボスキャラです。
 奴隷たちと違って全身をガチガチの装備で包み、武器による格闘攻撃で攻めてきます。
 ドバーグウォーリアは個体ごとにちょこちょこと戦い方に違いがあるのですが、それは当たってみないと分かりません。

 しっかりとした連携プランを組み、全力で当たりましょう。
 ちなみに、【潜入】パートから間は無いので消耗した状態のまま戦闘になります。
 奴隷ドバーグたちはついてきてないものと考えて結構です。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • ドバーグの星完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月03日 21時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
リィズ(p3p000168)
忘却の少女
シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
ノア・マクレシア(p3p000713)
墓場の黒兎
武器商人(p3p001107)
闇之雲
楔 アカツキ(p3p001209)
踏み出す一歩
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)
ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)
特異運命座標
西園寺 姫乃(p3p005034)
想拳

リプレイ

●スニークミッション
 ドバーグ廃坑道・深部。
 日の光からずっと深く隔絶された闇の穴蔵。
 その中でも位が高いドバーグたちが住んでいる地下迷宮が存在するという。
 かつてほんの少しだけ探索されたというそのエリアには、希少鉱石『ドバーグの星』があるという話だ。
(なるほど、古い坑道を更に掘り進めた、いわゆる貴族階級の住処というわけか……)
 『砂狼の傭兵』ラノール・メルカノワ(p3p000045)は壁に描かれた奇妙な彫刻をそっと撫でながら、壁に背をつけていた。
 ドバーグリーダーが奴隷ドバーグたちを引き連れて移動している。鉱山から掘り出したらしい石を運んでいるようだが、鉄鉱石や石炭のようには見えない。勿論暗くて見分けが付かないというのもあるが、明らかにただの岩でしかないものが沢山混ざっていた。
(気にはなるが……)
 今は仕事が別だ。
 ラノールはコンビを組んでいたコリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)に合図を送った。
(おっと、はいはい)
 小声というか殆ど口パクで応えると、コリーヌはラノールに続いて大きな通路を横切った。
 通路は行き止まり。だが、ラノールの聴覚や嗅覚はこの先の空間を察知していた。
「恐らく近道だ。なんとかできるか」
「んー……」
 コリーヌは改良したカンテラで壁の一部だけをピンポイントで照らしながらゆっくりと観察した。
「ここもだ」
「『も』、とは?」
「さっきから気になってたんだけど、彫刻の壁もこの壁も、素材が妙なんだよね。鉄でも石でもコンクリートでもないっていうか、ドバーグって普通とは違う錬成方法で合金を作ってるんじゃないかなって……」
 コリーヌが壁の低いところをくるくるとなぞるように熱を与えていくと、まるで花弁が開くかのように壁が大きく開放された。
「扉、だったのか」
『グガッ……!』
 扉の先には無数の燭台とシャンデリアで綺麗に飾られた部屋があった。
 その中央には、大きなハルバードを装備したドバーグウォーリアが座っていた。立ち上がり、こちらに身構える。

 今回の方針はスニークミッションだ。
 戦闘はしても小さく手短かに。急ぐ必要はないので、ゆっくり慎重に進んでいくのだ。
(今回のお仕事は貴重な鉱石を獲得することです? リィズは楔さん、姫乃ちゃんと一緒にD班での潜入になります? 姫乃ちゃんは同い年っぽいからこっそりと仲良く進みたいです? ところで、このドバークの☆彡?はどれくらいの価値、あるのでしょう? リィズも色々と稼がないといけませんし、今回もはりきって頑張ります?)
 奇妙に全部疑問符をつけて考える『忘却の少女』リィズ(p3p000168)。
 リィズが手をグーパーして見せると、『特異運命座標』西園寺 姫乃(p3p005034)も同じようにグーパーさせた。
 なんだか姫乃自身は楽しそうだ。共通のサインが嬉しいのが、潜入作戦が楽しいのか、宝探しが楽しいのか。もしかしたら全部かもしれない。
 そんな少女二人に挟まれて、『軋む守り人』楔 アカツキ(p3p001209)はどこかシリアスだ。
 口を引き結び、地面に手をつけるような低姿勢で進んでいく。相手の視界に入らないため、というより目や鼻といった感覚器官を前に出すためだ。
 指先を床につけているのは、いざというときに下がりやすくするためだ。
 曲がり角から僅かに顔を覗かせる。ドバーグたちはツルハシやシャベルといった道具を背負い、お神輿式の台に石を沢山のせて歩いていた。
 移動音はうるさいので遠くからもすぐに分かる。通路を横切った段階で、アカツキは後続の仲間にサインを出して通路を走り抜けた。
 足音はかなり反響するが、ドバーグたちの足音に紛れている。今のうちだ。
 暫く進むと、細い通路の先に門が見えた。ずっと先にドバーグの星をはめ込んだ像のようなものがある。
 両端には奴隷ドバーグが槍を持って警備していたが――。
「よ、っと」
 飛び込み前転で急速に距離を詰めた姫乃が、奥側のドバーグに貫手を食らわせた。
 喉を潰す突き。小さく『がふっ』と漏らしたドバーグと、こちらに振り返るもう一体のドバーグ。が、その背後に忍び寄ったアカツキがアームロックをかけごきりと首をあらぬ方向に捻り折った。
 崩れ落ちるドバーグたち。あとからやってきたリィズが、像にはめ込まれた石に手を伸ばすと――。

(さて、昔ながらの遺跡探索、ではある。昔ながら障害物は足止めしてスルーする物だが、今回はそうもいかない様であるな)
 『KnowlEdge』シグ・ローデッド(p3p000483)たちのチームが探索したのは、偶然にもドバーグの少ないエリアだった。幸運にも、と言ってもいいかもしれない。
 幸運と言えばもう一つあって、表の廃坑道は岩穴を掘って整えたものだけにシグの物質透過や透視が(壁の厚さで)使えない場所が多かったが、この辺りはドバーグが自作したらしい約70センチ厚の壁が多く、やろうと思えば壁を抜けたり向こう側の様子を見ることができそうだった。
 幸運が三度続くようで変な話だが、通路にはまばらではあるが蝋燭の明かりがあり、視界もそれなりに確保できていた。(これがないと透視しても暗くて意味が無かったりする)
 シグは通路を巡回する警備担当の奴隷ドバーグを器用にやり過ごしながら、奥へ奥へと進んでいった。
 一緒に進んでいるのは『悪の秘密結社『XXX』女総統』ダークネス クイーン(p3p002874)と『墓場の黒兎』ノア・マクレシア(p3p000713)だ。
(ドバークの星か。是非とも我が結社に持ち帰り研究・量産を試みたい所であるが。今回は依頼であるし、次の機会にしよう)
 剣に変身したシグを背に納め、通路を進むダークネス。
「この先にいるのは……王? いや、四天王といったところか」
 ニヤリとして言うダークネスに、『墓場の黒兎』ノア・マクレシア(p3p000713)が当然の疑問のように首を傾げた。
「どうして……?」
「見ろ」
 長く続く廊下。
 左右には燭台。
「いかにもだろう」
「ん……」
 すごくざっくりした言い方だが、それでいて的を射た意見だった。
 陽光を浴びると死ぬドバーグにとって明かりとは貴重なもの。それをたかが通路でふんだんに使うことで、位の高さを表わしているのだ。
「もし魔王なら……そうだな、歩くたびに左右で炎があがるようにする」
「意味……あるの?」
「誇示することは意味がある。さて」
 扉の前までやってきたダークネスたち。ノアは虚空に呼びかけるように『オトモダチ』を召喚した。
 と同時に、扉を蹴り開ける。
 部屋に控えていた奴隷ドバーグたちが咄嗟に反応して槍で道を塞ごうとするが、それを『オトモダチ』が掴んで弾いた。
 剣に変身していたシグが飛びかかり、奴隷ドバーグを切りつけた。
「抜刀するまでもない。剣が一人でに敵を攻撃すればいいのではないかね?」
「貴様らに恨みは無いが、これも仕事なのでな。ドバーグの星とやら、渡してもらうぞ!」
 崩れた所にダークネスが飛び込み、派手な横一文字斬りで奴隷ドバーグたちを切り伏せた。
 そのずっと奥。石でできた椅子に腰掛けたドバーグが、そばに立てかけた二本の剣をとった。ヘルメットを被り、ギラリと目を光らせる。ドバーグの星は、そのヘルメットの額にあった。

(変わった鉱石だねぇ我(アタシ)も1つ欲しいものだ。ヒヒヒヒヒ……!)
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)はドバーグの迷宮を進みながら、練達上位式を行使していた。
 作り出した式神を先行させ、様子を見てこさせるのだ。
 最悪わざと目立たせて囮にできることから、潜入作戦には便利だった。
 実際、今は進路上さけづらい敵の集団を遠ざけるために遠くへ走って貰っている。
 『特異運命座標』ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)は敵集団が遠ざかったのを確認して、細い通路を進んでいった。
(ドバーグの星? 見た事も聞いた事も無いけれど、加工方法が解れば何れ有用な物が出来たりするのかしらね? その為にもまずは研究するだけのドバーグの星が無いとダメだとは思うけど……)
 手元のカンテラに火をともし、通路の先を探る。
 どうやら何かを保管する部屋があるようだ。
 というのも、大きな扉の前に奴隷ドバーグが槍を持って警備しているからだ。座り込んでくつろいでいる所からして、重要人物はいなさそうだが。
「――」
 物陰から飛び出す武器商人。奴隷ドバーグがこちらに反応し、槍で攻撃してくる。対して武器商人は死骸盾を使用しアンデッドを召喚、盾にした。
 引きつけが成されている間に距離を詰めたヴィエラは、クラッシュホーンを打ち込んで相手を槍ごと粉砕した。
 壁に打ち付けられたドバーグが、跳ね返ってごろごろと転がる。
 武器商人はもう一体のドバーグにとどめをさすと。奥の扉を押し開けた。
 奥に並んでいるのは無数の何かだった。
 壁際にずらりと並ぶ、直立する何か。人間の骨格標本のようにも見えるし、スカスカの彫像にようにも見える。ただハッキリしているのは、最奥の個体の胸にはドバーグの星がはまっており、その手前に甲冑を纏ったドバーグウォーカーが待ち構えているということだった。
『グガガ……』
 ここは人間の来るところでは無い。今すぐに立ち去れ。
 ドバーグウォーリアはそのように述べると、攻城杭の如く巨大な籠手を装着した。

●ドバーグウォーリア
 がぎんという重厚な金属音が床を打ち付ける。よく見れば床が黒曜石でできていることが分かるが、今はそれどころではない。
 ドバーグウォーリアが地面を殴りつけ、その反動で大きく跳躍したからだ。
「来る……!」
 ヴィエラは剣と盾をそれぞれ構えると、頭上のドバーグウォーリアを迎え撃つ――と見せかけて、武器商人が割り込みガードをかけた。
 死骸盾を用いた防御でドバーグウォーリアの打撃を吸収する。
 凄まじい打撃。それも直撃だが、その六割近くをカットすることに成功した。
 それでも結構なダメージが通っている筈が、痛がる様子はほとんどない。
 こうして攻撃を引き受けている間に、ヴィエラは美しい剣さばきで肉薄戦を仕掛けていった。
 相手の防御を崩すことが狙いの攻撃だが、ドバーグウォーリアは堅牢な腕装備でそれを弾き、一向に揺らぐ様子がない。
 ヴィエラの攻撃も微妙に直撃を反れ、ダメージも防御で軽減されているようだ。
「相手にとって不足はないわ、倒さなければ道が開かれないなら……切り拓くまでの事!」
  攻撃が通り図来なら押し通せばよい。ヴィエラは攻撃方法をクラッシュホーンやコンビネーションに切り替え、ドバーグウォーリアの防御をすり抜けて剣を打ち込んでいった。
 やがて剣はドバーグウォーリアの鎧を砕き、その場へ仰向けに倒れさせる。
 武器商人は相手から『ドバーグの星』を抜き取り、ヒヒヒと笑った。

 椅子から立ち上がるドバーグウォーリア。かぶとの額に輝く『ドバーグの星』。
 剣に変身したシグは回り込むようにして攻撃を繰り出すが、ドバーグウォーリアはそれを巧みな反転で打ち払った。
『ググ……』
 偽装がばれたのかと疑ったが、様子から察するに『念じて飛行させる剣状の武器』として対応したらしかった。さておき。
「私は殺す事自体は苦手でね。得意な者に任せるとしよう」
 シグは攻撃が通らないとみるやすぐに距離を離し、常識圧殺(ノーマライズプレッシャー)をしかけた。
 その攻撃に対処しながら、ドバーグウォーリアはノアに狙いをつけていた。
 急接近するドバーグウォーリア。召喚していた『オトモダチ』が一瞬で粉砕され、ガード姿勢のノアもろとも吹き飛ばされる。
 が、術が効いているうちはまだ盾になれるようで、新たに出現した『オトモダチ』の後ろから魔術の射撃を乱射した。
 シグとノアからの集中砲火。それにいつまでも対処できるドバーグウォーリアでもなかった。
 あるときシグの射撃がドバーグウォーリアの剣を撥ね飛ばし、壁にぶつかって床に転がった。
『グガッ』
 取りに走ろうとしたドバーグウォーリア――に、複数の短剣が突き刺さった。
 ダークネスの放った魔力によるものだ。
 短剣はドバーグウォーリアからひとりでに抜き取られ、駆け寄るダークネスの手元へと集まっていく。やがてそれらは巨大な一本の剣となった。
「自在剣『ダーク・ミーティア』……冥土の土産に覚えておくがいい!」
 咄嗟に繰り出したドバーグウォーリアの剣はしかし、ダークネスの剣によって跳ね上げられた。
 甲冑を抜け、腹を貫く剣。
 かぶとから石を抜き取ると、ダークネスは満足げに胸の谷間へ押し込んだ。
「手に入れたなら……見つからないように、帰ろう」
 ノアに言われ、ダークネスたちは深く頷いた。

 風をさくわずかな音。
 それにいち早く反応したのはアカツキだった。
「伏せろ!」
 飛び上がって反転蹴りを繰り出す。
 空中でぶつかったのは、全身を甲冑で覆った細身のドバーグウォーリアだった。蹴りと蹴りの相殺。
 ドバーグウォーリアは後方回転をかけながら離れると、床に力強く着地した。
 甲冑で包んでいるというのに、まるで羽根のような身軽さだ。
 だが、アカツキとて負けては居ない。
「ドバーグのウォーリアは力自慢と聞いたが、その程度か?」
 挑発的に指招きをすると、ドバーグウォーリアは高速で距離をつめ、顔面めがけて突きを繰り出してきた。
 手甲で受け流し、反撃に相手の顔面へ打ち込む。
 受け止められる拳。
 互角――ではない。相手がいくらか上だ。だからこそ、仲間がいる。
「うごかないでね、ハイチーズ♪」
 などと言いながら、リィズは横からライフルで射撃した。
 JK服(?)を着込んで、身を屈めての射撃である。反撃されないようにすぐさまその場所から走って移動し、アカツキへの回復を始めた。
「姫乃ちゃん交代よろしくね」
「――」
 ごく短い応答。姫乃はすり足でドバーグウォーリアに接近すると、『肘の間合い』に持ち込んだ。攻撃をかわすように逃げるアカツキ。
 両手を硬く組んで構え、全身の体重を乗せた肘をドバーグウォーリア横っ面へと叩き込む。
 ドバーグウォーリアのヘルメットがわずかにへこむほどの衝撃だ。
 だが直撃は逃している。ギリギリの所で芯をずらされているようだ。相手の回避能力の高さがうかがえた。
 反撃が来る。掌底だ。回避が致命的に失敗し、顎に直撃。吹き飛ばされ、床を転がる――が、倒れることなくすぐさま起き上がり、気合いを発射した。
 ガードするドバーグウォーリアに、アカツキの膝蹴りが直撃した。
 首がへし折れる音と共に、崩れ落ちるドバーグウォーリア。
 リィズはふうと息をつくと、改めて『ドバーグの星』を像から抜き取った。
「さ、脱出しよっ」

 豪快なハルバードのスイング。
 その下を転がってくぐり抜けるコリーヌ。
「うへぇ。まともに受け止めたら押し負けるよ、これ!」
 斧を振りかざし、華麗な打撃を繰り出す……が、どうにも手応えが薄い。
 鎧のせいか相手の回避能力のせいか、相手を出血させるに至らないのだ。
 それならそれで、と斧を持ち替え真正面からの打撃にシフト。ドバーグウォーリアを思い切り殴り合う。
「一旦下がれ」
 ドバーグウォーリアの背後から急速に接近するラノール。
 それに気づいたドバーグウォーリアが反転し、ハルバードのスイングを繰り出した。横一文字。近くの彫像が真っ二つに砕け、粉塵が散る。
 そのなかにあって、ラノールは柔らかく跳躍。ハルバードの柄につま先を乗せると、そのまま一瞬で根元まで駆け抜けた。
 マトックが振りかざされる。
 脳天へ振り下ろされる。
 かぶとの防御を突き破り、マトックがドバーグウォーリアの頭部を破壊した。
 音を立てて倒れるドバーグウォーリア。
 その胸元を確かめると、ネックレスのようにして『ドバーグの星』が隠されていた。握り、引きちぎる。

 こうして四つのグループはそれぞれ『ドバーグの星』を獲得することに成功した。
 ドバーグたちは戦士が倒されたことに慌てていた様子だったが、その混乱に乗じてイレギュラーズたちは無事に廃坑道を脱出することができたという。
 依頼主のクベン氏はいたく喜び、またの仕事を約束した。
 『またの仕事』については、その時に話すこととしよう。
 今回のお話は、ここまでである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 ――congratulation!

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