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シナリオ詳細

海神たちの歌

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サン・ストリア海岸
通称、海洋と呼ばれるネオ・フロンティア海洋王国。
 夏を前にしてソルベ・ジェラート・コンテュールより首都リッツパーク付近の近海警備を依頼されたローレットの面々。
「今は海域も大荒れで海上警備隊も忙しいですから……」
 レシアはそう言って日に焼けた額に皺を寄せた。
 サン・ストリア海岸は小さな海岸だ。
 レシアを含めた幾人かの海女が近くに住むくらいで、人が来ることはあまりない……わけでもない。
 サン・ストリア海岸は海面から露出した岩石が多い入り江であり、波は蒼い硝子のように凪いでいる。そこが夕暮れのひととき、夕日と岩石が交わる瞬間に美しい情景を描き出すのだ。それは様々な芸術のモチーフとして取り上げられることもしばしばで、昼間は閑散とした浜辺であるのに対し、夕暮れが近づくと先人に倣ってインスピレーションを得ようとする芸術家や、癒しを求めた観光客、恋人たちが多数訪れる。
 レシアたち海女は夕暮れになるとテントを張り、軽食や酒などを出して観光客をもてなして生計を立てる。
 特に初夏から秋にかけては人が多く、彼女たちにとっては一年で一番の稼ぎ時だ。
 それなのに。
「今年は入り江にマーフォークたちが住み着いてしまったんです」
 浜辺へと続く道を悲し気に見るレシア。色の抜けた茶色く短い髪がそよ風に揺れた。
「あの海は魔獣たちのものとなってしまいました。近付く者は皆殺されるか酷い傷を負って追い払われていますが、昔から名の有る場所なので知らずに近づく人たちが後を絶ちません」
 海女たちは浜へ続く道を塞ぎ警告の看板を立てたり、暇を見つけては見回りを続けて注意を促しているが、気付かぬまま、またはこっそりと侵入し被害は後を絶たない。そして、その度に彼女たちは必死に浜辺から怪我人を運び出すのだ。
「それに、私たちもこのままでは私たちはこの土地からどこかへ行くしかありません。でも、先祖代々の思い出のあるこの土地から離れたくない……」
 レシアはイレギュラーズたちを見た。
 まだ二十歳前であろう彼女の顔には疲労が色濃く表れていた。
「どうか、お願いします……あの魔物たちを倒してください」
 レシアは深く頭を下げた。



●マーフォーク
 白く美しい砂浜の向こうに硝子板のような凪いだ海がある。
 所どころ突き出た岩に、美しい人魚たちが腰掛けて楽し気に歌っている。
 ──だが、油断してはならない。
 美しいマーメイドたちの口元からちらりと覗くギザギザの歯は肉をあっさりと噛み千切るサメの歯だ。細く滑らかに見える首も、状況によっては蛇のように膨らんで獲物を丸のみにする。
 そして、凪いだ水の中では屈強で力強いマーマンたちが銛を持って待ち構えている。
 何を?
 浜辺に迷い込む、非力な人間(えもの)をだ。
 会話は成り立つかもしれない。
 けれども、相互理解は不可能だ。

GMコメント

●目的:サン・ストリア海岸のマーフォーク討伐
海辺、海中の状況により能力値に多少のペナルティが付きます


●貸与
・サン・ストリアの手漕ぎ舟×4
ひっくり返ることのない不思議な舟(大きく揺れることはある)
幅1m×全長3m
一人で漕ぐことが出来る
波打ち際は押して進む

・酸素ボンベ(水中適応の方が強力かつ動きも自由です)
水中行動のペナルティはあります(以下、海中項目を参照)
ある程度の耐久度はありますが、接近され過ぎると壊される可能性があります


●ステージ:サン・ストリア海岸(日中)
マーメイドたちがいる岩場:波打ち際から12m~20m
マーマンたちがいる範囲はマーメイドたちのいる岩場の下(水深8m~20m)

・海
凪いだ海は青く色づいているが透明度は高く、ある程度深い所まで見える
波打ち際は浅く、大人の膝まで
波打ち際から5mほど進むと、急にストンと深くなる(水深8m~20m)
マーメイドたちがいる岩は足場1m×1m未満のものが5つ、正五角形の頂点のような配置で点在している

・海中
長く太い海藻が多く生える
※海中に引き込まれた場合、すぐに浮上することを推奨
状況に応じて命中、回避、反応に最大-30程度の補正
【水中行動】は有効

・周辺環境
広い砂浜、周囲は背の低い草地、その向こうに見通しの良い林
水中にもぐってしまうために草地や林からの遠距離攻撃は難しい


●敵:サン・ストリア海岸のマーフォーク(マーメイド・マーマン)
好戦的で気性の荒いモンスター、知能は低いが
海中では素早さにボーナスが付く
逆に海上では素早さにペナルティがつく

・マーメイド
一見美しい女性の上半身、魚の尾を持つ半身半魚のモンスター
素早く不利を感じるとすぐに水中へもぐる
鋭い歯による噛みつき・鋭い爪による引っ掻き・尾による打撃

・マーマン
顔はオニキンメ、身体は筋肉質な男性のもので全身固い鱗に覆われている
海上ではあまり素早くなく、舟や岩の上におびき出すことも可能
銛による攻撃・鋭い歯による噛みつき・鋭い爪による引っ掻き


海の季節ですね。
難易度normalの依頼ですが、相手のステージでの戦闘には充分ご注意ください。
討伐の後に海辺で遊ぶこともできます。
宜しくお願い致します。

  • 海神たちの歌完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月10日 19時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
巫女姫を辿る者
レナ・フォルトゥス(p3p001242)
森羅万象爆裂魔人
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
桜小路・公麿(p3p001365)
幻想アイドル
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
春告げの
ニル=エルサリス(p3p002400)
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
秋空 輪廻(p3p004212)
かっこ(´・ω・`)いい

リプレイ


●マーフォークの海辺
「さてさて初の海洋依頼だね。やっぱりというべきか海の兼ね合いの仕事が多いこと」
 『蒼ノ翼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は仲間たちと共に浜辺へ続く道を歩く。
「今回は、海にいる人魚と魚人退治ってところかしらね。
 それにしても、ディープシーとの違いって、どこにあるのかしらね? 頭の良し悪しだけって感じな気もするわね。
 ──まぁ、モンスターなら、容赦しなくていい感じですわね」
 『森羅万象爆裂魔人』レナ・フォルトゥス(p3p001242)は首を傾げた。
「マーフォーク。あまり聞きなれない名称だけれど、海種に属する一種族という所でしょうか。恐らくは海洋王国に属していない集団……この国はこの国で、こういう問題があるのですね」
「ふむ。所詮は生存競争という側面も否めないが……ならば、生存競争らしい手続きに則って事態の進展を図るのも、また道理というものだ。つまりは、闘争というやつだね」
 先導する海女たちに聞こえないよう気を遣いながらリースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が言うと、『商店街リザレクション』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)が嘯く。
 段々と大きくなる波の音に気付いて、ルーキスは話を切り上げた。
「終われば少しはゆっくり出来そうだし、まずは邪魔物の排除と行こうか」
 頷くイレギュラーズたち。
 例え自分たちが彼らの立場を慮って行動したとしても、マーフォークたちが海洋の民や自分たちへのスタンスを変えることが無いのははっきりしていたからだ。
 砂浜では幾人かの海女たちが先に舟を用意していた。
「へぇ……あれがマーフォーク。私の居た世界も変な生物は沢山居たけど、おとぎ話で聞く様な人魚とか半魚人みたいな生物は初めて見るわね。……人に仇なすところは、同じだけどね」
 秋空 輪廻(p3p004212)が仮面を被った顔を海へと向ける。
「では、そろそろ始めようか」
 イシュトカの合図で彼らは準備を始めた。


「白く美しい砂浜、硝子板の様な凪いだ海──」
 颯爽と浜辺へ降り立った人影はそのまま一艘の舟に飛び乗った。
「そして輝く桜小路☆公麿ッ!」
 ぱっと上着が脱ぎ捨てられ、上半身裸の『幻想アイドル』桜小路・公麿(p3p001365)がポーズを決める。
 公麿の舟に輪廻が軽やかに同乗すると、それは静かに海へ滑り出た。
「この僕と同船するんだ、依頼中とはいえ楽しいひと時にしてみせるさ!」
「私があなたを守るから、敵は頼むわね」
 酸素ボンベを背負う公麿の前で大剣を構える輪廻。
 すぐ後を追う舟には『誓いは輝く剣に』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)と、ニル=エルサリス(p3p002400)が乗り込んだ。
 続いてレナとイシュトカの舟が、最後にルーキス、リースリットの舟が海へと出た。
「さて、私は行くが君は一人で大丈夫かね?」
「森羅万象爆裂魔人に、そんなご心配は不要ですわ」
「それは失礼したね」
 イシュトカの問いにレナは不敵に笑い、彼は円らな瞳で頷くと翼を羽ばたかせて空へと飛びあがった。
 反動で揺れる舟の縁を掴んだレナはそれが収まるとRing of BLAZINGが嵌った指を敵へと向けた。
「まずは、魚人……マーマンの方から狙っていくわよ」
 海上から十メートル程の位置でイシュトカは合図した。
「それでは、始めよう。フェーズ1だ」



●マーマン
 岩場の人魚たちは舟に乗って近づいてくる『獲物』たちに初めは歓喜し、すぐに警戒し、そして怒りを覚えた。
 ──か弱い食料共が自分たちに反抗しようとしている!
 この海はすでにマーフォークたちにとって彼らの縄張り。
 敵意を持った他生物が侵入してくることを、気性の荒い彼らは許さない。
 直後に空からスナイパーアイをかけたイシュトカの魔弾がマーメイドたちへと撃ち込まれる。
 それは一体のマーメイドに直撃して、モンスターは醜い悲鳴を上げながら海中へと沈んだ。
 空からの攻撃に驚き怯えた人魚たちは次々と尾を翻して海の中へと姿を隠した。
「プレッシャーを与えるつもりだったが、それなりの効果はあったようだな」
 作戦通り、人魚たちはすべて海上の戦場からは姿を消した。
 それを見届けると、自分へクイップアップをかけたシフォリィが『我に続け』を使い、今度は仲間たちへ力を与える。
「人々に害を為す以上、マーフォーク君達には悪いがこの海から退場していただこうッ!」
 叫ぶ公麿の足首にマーマンの恐ろしい手が伸ばされた。
 それを軽々と避ける公麿。
 その腕に輪廻が柳風崩しを仕掛けた。
 投げ出されたマーマンの全身が舟の上に晒される。
「その逞しい肉体に興味がないワケではないが、今は敵同士、切り裂かせていただく!
 しかぁし! ナイスマッチョと褒めさせてはもらおう! 相互理解が不可能でも言葉は届くのだろう!?」
 公麿は叫び、全力のフレンジーステップを踏む。
「……!」
 届かなかった。
 ダメージを受けたマーマンは海中へと戻ろうと暴れた。
 目をぎらつかせ、波間から次々に銛を持ったマーマンたちが船上のイレギュラーズたちを襲ってくる。
「良い住処を見つけたんだろうけど、ちょ~っとおイタが過ぎるんだお。何事もやり過ぎたら自分に返ってくるものなんだぬ」
 船べりから突き出された、銛を持つ腕を掴むと、ニルは瞬時に相手をヘソで投げる!
「気をつけるんだぬ!」
「お気遣い、ありがとうございます!」
 スープレックスやコンビネーションでマーマンたちと取っ組み合いながらシフォリィへ声をかけるニル。
 シフォリィがオートクレールで作り出した白銀色の魔力剣がマーマンの身体を横一文字に斬る。
「そちらにも事情があるのでしょう、ですが、私達にも引けない事情があるんです! 漁師さん達のため、覚悟してください、マーフォーク!」
 シフォリィの魔力の刃が砕けて銀雪のようにキラキラと散った。
「乱戦だな……。いいかね、マーメイドは私が抑える。まずはマーマンたちだ」
 空を舞い、隙あらば海面に浮かぼうとする人魚を追い払いながら、イシュトカが念を押す。
 後方の舟からルーキスがマーマンたちを見て呟く。
「やあ、マーフォーク達、はじめましてだ。天敵が来たよ。早々の退去をお願いしたいね」
 彼女のミスティックロアをかけたマギシュートが真っ直ぐにターゲットに命中した。それを確認するとルーキスは次のターゲットへ狙いを移す。
「波間に隠れられると厄介ですね。あちらが乗り気で助かります」
 同船したリースリットもまた魔力を集中させる。
「行きます!」
 マジックミサイルが仲間たちの舟の間を縫ってマーマンの背中で弾けた。
 恐ろしい声を上げて、殺意をむき出しにしたマーマンが進路を変える。
「ガンガン狙っていくわよ。まずは、そっちよ」
 同時にスナイパーアイをかけたレナのマギシュートも撃ち込まれる。
 初め、マーマンたちは未知の戦法を取るイレギュラーズたちに翻弄された。
 だが、徐々に未知であった敵にも慣れてくる。
 シャドウステップで敵をかろやかに躱していた輪廻だったが、その術が切れた途端に狙っていたかのように硬く大きなマーマンの身体がぶつかって来た。
「!」
「秋空君!!」
 ぐらり、舟から海へと投げ出される輪廻。伸ばした公麿の手は空を掻いた。
 海中で絡みつくマーマン。爪と牙が彼女の身体を傷つけて赤黒い水がぱっと広がる。
(……っ!)
 それでも、唇を噛んで輪廻は手に持った剣を突き立てる。
(この大剣の放つ邪悪な雰囲気がわかる? そのせいか、急に動きが止まったり逆に早く動ける事があるのよね。あなたは感じないかしら?)
 ──ほら……こんなふうに!
 輪廻の漆黒の大剣がマーマンを貫いた。

「シフォリィちゃん、気をつけるんだぬ!」
 ニルの声に慌てて身を伏せ、マーマンの攻撃を避けたシフォリィ。だが、礼を言おうと振り返った彼女の目に映ったのは激しい水飛沫と海中に引き込まれるニルの姿だった。
「ニルさん!」
(泳ぎなら、うちだって、できないわけじゃないんだお!)
 腹にしがみつくマーマンをなんとか振り払って、海中をぐんぐんと泳いでいくニル。
 だが、澄んだ水の向こうに歪んだ歓喜を浮かべこちらへ泳いでくるマーメイドたちの姿が見えた。
(! 流石に数では厳しいんだぬ……)
 ごぼり、泡を吐きながら必死で抵抗するニル。
 食欲のままに尖った牙を突き立てるマーメイドたち。
 意識が遠のく……。
(……少しでも隙があれば……っ)
 ──あ。
 マーメイドの振り乱した髪の向こうに見知った顔が一瞬見えた。
 そして、キャタラクトBSで背後に回った輪廻の漆黒の剣が一体のマーメイドの身体を深く貫く。
 仰け反ったマーメイドの身体を押しのけて、ニルは化物たちの輪から逃亡した。
「こちらです!」
 船を岩場近くに着けたシフォリィが浮上した二人へ声をかける。
「……彼女を頼みたいわ」
「秋空ちゃんはつれないんだお」
「勿論、どちらもです!」
 引き上げた二人へにライトヒールをかけるシフォリィ。
「次、そこよ!!」
 回復に勤しむシフォリィたち三人へと近づく影をレナが沈めた。
 海上の彼らはマーマンたちが一体でも海中へ戻らないよう、懸命に戦い死力を尽くしていたのだ。
 気が付けば、多くのマーマンたちが海面に浮かんでいる。
 たった一人でずっとマーメイドたちを威嚇し防いでいたイシュトカが声を上げた。
「それでは、今からフェーズ2を始めよう」
 高度を下げたイシュトカが海面すれすれにその姿を映した。



●マーメイドたち
 イシュトカの合図に、レナは舟を進めた。
「あとは、水中にいる人魚を沈めるのみですわ」
 澄んだ水の中で泳ぐ人魚の姿は解りやすかった。水中にはまだ僅かだがマーマンも残っている。
 彼女はターゲットを探して少しずつ近づいていく。
 回復魔法を受けたニルは深呼吸をしながら仲間に伝える。
「マーメイドたちは、水中にまだだいぶいるお……囲まれるとヤバイんだぬ……」
 頷き、イシュトカが仲間に警告を発した。
 イシュトカの攻撃が止んだせいで警戒しながらマーメイドたちがそっと海面近くへと浮き上がってきているのがわかる。
 公麿は舟の縁を掴んだ人魚へ詰め寄った。
「さぁ美しき僕の名乗り口上を聞き給え! マーメイド君の美もまぁまぁ悪くないが僕の美は世界一ィ!」
 笑顔の名乗り口上は無事マーメイドの怒りを誘うことに成功した。
 防御を決め込む公麿を与し易い相手と捉えてマーメイドたちは次々に公麿を狙う。
「……っ!」
 堪える公麿だが、その身体はじわじわと海に向かって後退させられていく。
 ガコン! 舳先がぶつかって舟が揺れた。
「とりあえず、落とさせてもらうわよ」
 攻撃に集中したレナの指先から魔力の奔流がマーメイド一体を吹き飛ばした。
 格闘術式を張ったイシュトカもまたマーフォークの首元に鮮やかな一撃を叩き込む。
 更に鋭い爪を閃かせ、笑いながら飛び跳ねて居たマーメイドにリースリットの呪術が命中する。
「そうはさせません! ルーキスさん!」
「流石に長期戦はなかなか堪える。早めに済ませたいんだ」
 ルーキスはぼやくと、『黒の書』を公麿を襲うマーメイドへ向けた。
「グラーシャ・ラボラス、第25位にして伯爵、殺戮者よ! 漆黒の翼狼として現れよ。敵を引き裂き蹂躙する意思持つ爪牙よ!」
 ルーキスの放つⅩⅩⅤ:血霧纏う黒翼狼によってマーメイドは飛散した。
「手早く確実に、キミの牙は頼りになるねぇ。次に狼のごはんになりたい子は誰かな?」
 美しい声で嘯くとルーキスは海面からこちらを覗く瞳たちへ尋ねる。
 姿を隠したマーフォークたちからの返事はない。
「海の中なら安全だと学習したのよね? 私が追い立てるわ」
 輪廻がするりと海へと入る。
 人魚たちは歓喜した。
 煩わしいこの敵が自分たちの有利な戦場へ再び降りて来たのだ。
 だが、水中行動に慣れた輪廻は今度はマーフォークたちに後れを取らない。柳風崩しを駆使して彼らを海上に追い立てる。
「うちの出番だぬ」
 まだ全快とは言えなかったが、海へ向かうニルを水中での戦闘に慣れていないシフォリィは見送るしかなかった。
「どうかご無事で。──私はこちらで戦います!」
 白銀の刃がシフォリィの手に現れる。
(汚名返上だお!)
 水中に戻ったニルはコンビネーションを放った。連打に打ち上げられたマーメイドたちが水面へと上がっていく。
 同じく水中でマギシュートを放つルーキス。
「もういいかな! 熱烈な歓迎、感謝だよ」
 すらりとレイピアを引き抜いた公麿が護りを解いてマーメイドたちへと斬りかかった。
 マーメイドたちが海上に上がれば、待ち構えた鷲のようにイシュトカの攻撃が、シフォリィの銀の刃が、公麿のレイピアが、レナの魔弾が刈り取る。
「まだ少し撃てます!」
 リースリットが力を振り絞って最後のマジックミサイルを放った。



●取り戻した夕べ
 マーフォークたちを追い払った後、傷の手当を受けた彼らはその死骸を引き上げた。それは海女も率先して手伝ってくれた。
 それらを埋葬すると海女たちは彼らに伝わる祈祷で水を清め始め、イレギュラーズたちは浜辺に立てたテントに案内されてそこで疲れた身体を休めた。
 提供されたよく冷えたココナッツジュースを飲みながら、レナがぽつりと呟いた。
「これで、ここのリゾートが解放されたし、少し遊びに行ってもいいのかしらね??」
「ええ、もちろん。良ければ今からでも遊んで行ってください。私たちも明日からはまた漁に出ます」
 水を清めていた海女が戻って来るのに気付いたレシアが微笑んだ。
「えっ、もう?」
 鏡のように滑らかな水はすでに清冽さを取り戻していて、暑い日差しと疲れてだるい身体には魅力的に見える。
「遊べるのなら遊んでいこうかしら?」
 汗の染みた上着を脱ぎ捨てて、レナは水辺へと走って行った。
「あっ、待ってください! 私も……」
 海水でべたつく不快感に耐えられなくなったシフォリィが後を追う。
「冷たくて気持ち良いですよ!」
 ばしゃばしゃと水辺で遊ぶシフォリィ。飛沫が宝石のように輝き、戦闘中には気付かなかった心地よさに思わず顔がほころぶ。
「久しぶりにこの海岸で笑顔を見ることが出来てよかった……私たちの自慢の海辺なんです」
 レシアが目の端に涙を浮かべて笑った。
「それにしても……予想外に見事なんだぬ」
 薄着になったシフォリィのスタイルの良さに感心するニルだったが、そういう彼女自身もかなりのものだ。
「私はここでゆっくりするわ」
「では、スーパースターが、海辺の美と! なろう!!」
 テントの中で襟元を正して肌を隠した輪廻が言うと、反対に全てを脱いだ公麿が浜辺へと飛び出して行った。幸い、彼のギフト『究極的薔薇幻想(すごいばらいっぱいでる)』の効果で問題のある部分は上手に隠されている。
 ──それは、公麿の持つカリスマ性と歌唱力、彼をスーパーアイドルたらしめるステージ技術によって、掛け値なしの素晴らしいステージだった。
 どこかから団扇を持ち出した幾人かの海女などはすっかり彼の虜である。
「確かに芸術とは自然を真似ること、などとも言うが」
 薔薇をまとい、生まれたままの姿で熱唱するアイドルを観ながらイシュトカは言葉を濁した。
「……あなたは海に入らないの?」
 イシュトカのもふもふとした毛並みを見ながら尋ねた輪廻に、彼は首を横に振る。
「今日はもう充分に冒険を堪能できたからね。私もここで休ませてもらうよ。……ほら、そろそろ時間だ」
 そう言って彼は供されたレモン珈琲に手を伸ばす。
「……これがサン・ストリア海岸の……!」
 海に入ろうか悩んでいたリースロットはそれを観て歓声を上げた。
「成程、こんな一日の終わりもたまには良いね」
 ひんやりとした海水に脚を浸したルーキスは煙管をくゆらせながら芸術家たちを虜にした美しい夕暮れを眺める。
 独特な花の香りが彼女の周囲に漂った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございます!
海での戦い、お疲れさまでした。
皆様が取り戻したこの海辺でまた遊べる日をお楽しみに。

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