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シナリオ詳細

再現性東京2010:Silent killing of Memory

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●黄昏時の狩人
 茜色の空がくすみ、陽の光が落ちていく。
 伸びていた影も薄れて闇に溶けていく。
「うぅ、この時間帯の呼び出しはきついっすよ……」
 金髪の少女がぶるりと体を震わせた。
 制服のポケットから取り出した棒キャンディを口に含みながら、ちらりと視線を手元に向ける。
「んんっ、ほ?……こっひっふはね?」
 携帯端末の液晶を見てマップに切り替え、住所の方へと走り出す。
 ひとつ、ふたつと曲がり角を駆け抜け――ふいに歩みが停まる。
「……え?」
 ほんの一瞬、『何か』が視界に映りこんだ気がした。
 横を見てもそこにあるのは空き地だけだ。
「……?」
 どうしても、どうしても気になって少女はそちらに足を踏み入れた。

 ――そして

●掻き消された記憶
「……で、気づいたときには、あたしは空き地でうつぶせにぶっ倒れてたんっすよねぇ」
 棒キャンディを新しく取り出しながら、少女が困ったように笑っていた。
 音呂木・ひよのに連れられ、希望ヶ浜学園にある教室の一つに訪れた君達は少女の話を聞いていた。
「昨日の夜、こちらの生徒が夜妖<ヨル>の討伐に赴き、その最中に『別種の何か』に襲われたようなのです」
 要領を得ない――もとい、『綺麗に肝心なところを抜け落とした』話に君達が首をかしげる横で、音呂木・ひよのが付け加えた。
「いやぁ、まさか夜妖を殴ろうとして別の奴に引き寄せられてついでに殴られるなんて思わないじゃないっすか……」
 ね! 先輩! とひよのに言い寄る少女。
「それにまだ言ってないことがありますね」
「へ? 最初に倒そうとしてた奴は他の7人が何とかしてくれたっすよ?」
「そちらではなく……」
「あっ! そうそう、忘れてたっす!」
 いうや否や、少女がくるりと背中を向けて、ぺらっと制服をめくりあげた。
 咄嗟に目を背ける者もいる中で、少女は柔らかく笑う。
「気にしないでほしいっす。それにほら、見てほしいっす。
 背中に何かこう、あるんじゃないっすか?」
 言われて背中を見ると、確かに何かがあった。
 それはちょうど鞭で叩かれたような――或いは火で微かに焼けたようなミミズばれだった。
「こんなの昨日の朝までなかったっす。多分、そいつにやられたと思うんっすよね」
 背中を元に戻して、少女が再びこちらに向き合って、少しばかりむくれながら、視線を君達に向けた。
「乙女の背中にひどいことするっすよね」
「その何かにやられたという自信もあるのでしょう」
「そうそう! そうだったっす。
 あたし、殆ど何にも覚えてないんっすけど、最後に『何かが跳ねて背中に打ち付けられた』ような気がするんっすよね。
 多分、それがあたしから戦った時の……出会った時の記憶を奪ったんだと思うんっすけど。
 ぶつかった瞬間自体まで奪えないから、その最後に覚えがあるんじゃないかなぁって言われたっすね」
 よくわかんないっすけど! と笑ってから、少女は君達に手を打って頭を下げる。
「だから先輩たちにお願いっす! そのよくわからん奴をぶっ倒してきてほしいっす!
 場所ぐらいなら覚えてるっすから、そこまでは案内するっすよ」
 少しばかり申し訳なさそうにする少女を連れて、君達は現場に向かうのだった。

GMコメント

 そんなわけでこんばんは、春野紅葉です。
 女の子の記憶を奪った何かをぶん殴りましょう。
 それでは早速、詳細をば。

●オーダー
 メモリーキラーの討伐

●エネミー
・メモリーキラー
 悪性怪異と思われるナニカ。戦闘不能時に『遭遇時の記憶』を『抹消』するようです。
 とはいえ、いつまでも抹消するものが遭遇時の物とは限りません。
 今のうちにぶっ潰しておきましょう。なお、以後はPL情報となります。

 容姿はフード付きのローブに身を包んだ無貌の女。
 常に地面から僅かに浮いており、その手には棒のようなものが握られています。
 神攻系の単体攻撃、範囲攻撃などを主体とします。
 以下は判明済のスキルです。それ以外にもいくつかは存在すると思われます。

<スキル>
ウィップブレイク:鞭のようにしなった武器で対象に攻撃を加えます。
神遠単 威力中 【万能】【必中】【ブレイク】【必殺】【業炎】【初見時奇襲】

●NPCデータ
・佐熊 凛桜
 オープニングTOP右の金髪少女。
 希望ヶ浜学園の生徒。一応、イレギュラーズです。
「えっ、異世界転移!? えっ、じゃああたし、このままじゃ中卒? やばくない?」とかいう理由で希望ヶ浜で学生をしています。
 今回は怪異に殴られてその間の記憶を失っています。
 道案内の後は皆さんの邪魔になる人が出ないよう人払いしてくれています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はB-です。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、敵の情報面を中心に不明点が少々多くなっています。

  • 再現性東京2010:Silent killing of Memory完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
箕島 つつじ(p3p008266)
砂原で咲う花
秋野 雪見(p3p008507)
エンターテイナー
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女
ノワール・G・白鷺(p3p009316)
《Seven of Cups》

リプレイ


「ええっと、確かこの辺……だった、はず……あっ、あったあった! あそこの空き地っす!」
 依頼人の黒ギャルの少女――里桜というらしい彼女に連れられ、彼女が得体のしれない何かにであったという場所に訪れていた。
(よく分からん奴をぶっ飛ばすって、ずいぶん情報が少ねぇな)
 ファミリアーの鳥を飛ばしながら、『太陽の勇者』アラン・アークライト(p3p000365)は聞いた話を反芻する。
(クソが…しゃーねぇ。そういう情報収集も俺たちの仕事か)
「それにしても、なんや得体の知れない相手やな……」
 走り出そうとした凛桜を制した『砂原で咲う花』箕島 つつじ(p3p008266)ははめ込む指輪の調子を確かめる。
「ふむ、自らの顔を見た者の記憶を消している、とかなのかね。まぁ消すことに変わりはないが」
 同じように『こむ☆すめ』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)も疑問点に首をかしげる。
「分かんないっすね。相手が喋れるのかも分かんないっすけど、聞いてみてほしいっす!」
 少女が振り返りにゃははと笑う。
「記憶を消す、か。夜妖は何でもありかってんだ。記憶を奪うのと消し去るのどっちがマシなのかねぇ」
 武器を隠すケースから大剣を抜く準備をしながら『無名の熱を継ぐ者』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)がぽつり。
「犯人を見つけてぶっ潰す……って、すんなり行きゃ良いけどな」
 アランの言葉にニコラスと凛桜がこくりと頷く。
「ふむぅ? 叩かれるともの忘れさせられちゃう夜妖ということですか?」
「そういうことっす!」
「それは放っておいたら危ないのですよ!
 ここはメイ達がドドーンっと倒さないといけないですね!」
「メイ先輩、よろしくお願いするっすよ!」
 隊長ヘルメットをかぶって準備をする『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)に頼もしそうに凛桜が笑う。
「夜妖なら倒せばいいだけにゃ! それに、空き地ってなにがいるだにゃ?」
 尻尾を揺らめかせて『ニャー!』秋野 雪見(p3p008507)がいう。
「貴方、殴られただけ? なにもされてない?」
 訝しむ『神は許さなくても私が許そう』白夜 希(p3p009099)に凛桜はきょとんとするばかり。
「やられた以外には何もわかんないっすよ?
 覚えてたら先輩たちに教えてるっす! なんも覚えてないから困るんっすよねぇ……」
「確かに我々人間、1つや2つ、数多くの忘れたいことが間違いなくありますけれども。
 こういう形で忘れるのは、流石に勘弁願いたいですねぇ」
 手袋をキュッと伸ばす『《Seven of Cups》』ノワール・G・白鷺(p3p009316)に凛桜がこくりと頷く。
「それじゃあ、先輩たち、あとはお願いするっす!
 あたしはこの一帯の人払いしてくるっすから!」
 そういうや、空き地の方へ進みだしたイレギュラーズと対称的に、歩いてどこかへ消えていった。
 イレギュラーズが空き地の方へ進み、たどり着いたその時だった。
 視界の端、空き地の中に『何か』が見えた気がした。
 そちらを見ても、何もいない。
「何もいねえな」
 アランはファミリアーを放ち、メイはエネミーサーチを試みた。
(案外、上にいたりしてね?)
 希が上を見るよりも前に、メイの声が上を告げた。
「こっちみるですよ!」
 メイはヘルメットで頭を庇いながら叫んで空を見上げる。
 そこに、それは立っていた。
 全身をローブに包み込み、正体の一切を見せぬソレのフードの奥には何もない。
『ルナ――……ミルナ――!』
 無貌が声を上げる。
 ――いや、声というよりも念話に近い。
 脳髄に直接語り掛けてくる。
 その声と意識が、メイへと集中しているのは目に見えて明らかだった。
「さぁさぁ、メイが好きに動かしてあげないのですよ」
 身を躍らせ立ちふさがるメイに対して、女の動きは未だ見せない。
(相手が何してくるか分からん。――ここは、速攻や)
 踏み込みと同時、つつじが駆ける。
 文字通りの風の如く走るその手にいつの間にか握られた剣が、推進力諸共の突撃に合わせ、女へと炸裂する。
 ぐらりと、女が身体を折り曲げてその身体を凍り付かせる。
 攻撃は、当たった。傷を与えたのは確実。手ごたえもある。
 ――だが。
「もしかしてやけど、あんた……」
 それを言葉にするより早く。女の棒が動く。
 それがメイを中心に扇状を撃ち抜く横なぎとなってつつじにも叩きつけられた。
「お前だよな!? 犯人は! クソ怪しい格好のお前しか、いねぇよなぁ!!」
 激昂するアランの身体に聖骸が覆いつくされる。
 美しき太陽の聖剣に纏うはそれとは別種を見せる鮮やかな月の色。
 手にした一本へと収束した聖剣を握り締め、アランは駆ける。
「いついかなる時も捕食者に睨まれていると思え。
 さすれば……なんとかなるとかどうとか」
 くるり、メーヴィンは戦扇を振るい円舞を見せる。
 夜を行く魔術。紫星を謳うその魔術はその実、あらゆる場面、あらゆる場所、あらゆるところからの攻撃に対応する万化の舞い。
 最適化された魔術運用の下に披露した舞に女の反応はいまのところない。
 その視線はまっすぐメイを向き続いていた。
「悪りぃが討伐させてもらうぞ、無貌の女」
 絶望の大剣を抜き放てば紅光を携えた剣が鮮やかに輝きを放つ。
 無貌の女の顔――らしいフードがニコラスを向いた。
『――――ァァァアアアア』
 地響きを疑うような脳髄が揺れるそれは、絶叫か。
 攻撃の類ではなさそうだが、そう何度も聞きたいものではない。
 剣身へ魔力を収束させていく。
 極光にも等しき輝きを放つ魔剣に収束させたそれを、ニコラスは振り抜いた。
 変質した魔弾が無貌の女の身体を幾つも撃ち抜いていく。
 女の悲鳴はなかった。
 希は戦場と化した空き地がまだ戦場になる前に霊魂疎通を試みていた。
 しかしながら、この付近にいわゆる霊魂の類の存在はなかった。
「あの感じは飛行というより浮遊かな?」
 顕現せしめた己が闇の結晶たる大槌を振り上げる。
 白髪と対称的な鮮やかな闇色のオーラが燃え上がり、強かに収束していく。
 そのまま大地へと叩きつけた瞬間、膨張した魔力が爆ぜてメイとつつじをも呑み込んでいく。
 それは一時的なるであろう希にとっての楽園。
 痛みも苦しみも悲しみも、その全てを浄化し、忘却する空間である。
 きっといつか忘れられてしまうであろう――それでも今だけは覚えていてほしい――
 一気に至近した雪見は一瞬で女の背中に回り込むと、黒綺羅星を突きたてた。
「それでは、自由は奪わせてもらいましょうか」
 誓約を交わした熱砂の精霊を呼び起こし、放つは白色の波動。
 無貌の女の身体へと炸裂したそれは、痛みを伴わない。
 けれど、確実にその身へ齎すは冷気と不運。
「疑いを持たぬ盲信者よ、何を以て正しいと宣うのか?」
 そう銘打つ特殊術式は女の身体を縛り付ける。


 徐々に戦いは終局へ向かいつつあった。
 想定よりスムーズとは言い難いが、徐々にイレギュラーズの攻撃は無貌の女へのダメージとして蓄積し続けている。
「隙に動かしてあげないって言ったのですよ!」
 メイは後退した無貌の女目掛けて突貫を仕掛ける。
 攻撃は最大の防御、そう言わんばかりのメイはその背中に背負った羊さんのぬいぐるみに仕込まれたスラスターを爆発的に発動させる。
 音を超える蒼き彗星と化して、真っすぐに無貌の女の懐目掛けて体当たりをかます。
 大きく傾いた女めがけ、別の影が走った。
 つつじは再び無貌の女へと駆け抜けていく。
 逆手に持ちなおした風鷹剣『刹那』を握る手に力が入る。
 そのまま、跳躍と共に、無貌の女へと剣を閃かせた。
 それは唯首を取るべくある技にあらず。
 多段に打ち据えられる牽制に無貌の女の身体が軋んだ気がした。
「ーー範囲攻撃!」
 ハッと我に返った瞬間、つつじはその場から一気に後退する。
 その直後、ビュン、と棒が伸びる。
 真っすぐに駆けた棒を跳躍して躱した瞬間、まるで地面を跳ねたようにつつじを追いかけた。

 幸いというべきか、無貌の女は撤退をする気配がない。
 生みだした美しき乳白色のオーラを放つ聖剣をアランは片手に握り締め、もう片方には太陽の聖剣を握る。
「ここでお前を逃すと厄介だからな」
 紅に迸る太陽剣の魔力と、青く棚引く月の聖剣。
 各々の波動がひとしきり大きくなった瞬間、アランは大きく踏み込んだ。
「ここでぶっ潰れろゴミカス!」
 鮮やかに輝き尾を引く二本の刃は、すさまじき連撃性を帯びて脅威的な一撃となっていく。
 まるで同じ場所を、同じ速度でもう一度斬り捨てるなど、当然のごとく。
 食らいついた斬撃に無貌の女がフードの奥を空に向けて、嫌な音を立てる。
 戦場をまるででたらめに駆け抜けた無謀の女の棒が、くねり、あらぬ方向からメーヴィンを穿たんと走る。
 それをその身に流れる青き血の本能に任せてあり得ない確度で躱せば、そのまま号令を発する。
 たたでさえ効率的に最適化されたメーヴィンの言葉は、イレギュラーズの失いかけた気力を振り絞らせるには十分だ。
「厄介な鞭ではある。ただまぁ……攻撃が来るとわかれば対処はできる……はず」
 そう呟きながらも、決して油断はしない。
 再び針井巡らせた紫の星の下、メーヴィンの舞踊は今夜、まだ終わる事はない。
 ノワールは魔術を行使した。
 浮かび上がった漆黒の球体へと呑み込まれた無貌の女の動きは露骨に悪くなっていた。
「それでは、蓋をしてしまいましょう」
 手を無謀の女に向けて構えた。
 その瞬間、熱砂の悪意より呼び起こされた死者の念がその切っ先を瞬時的に収束されていく。
 それが、何とか動き出そうとするのを見ながら、ノワールは手を放した。
 真っすぐに放たれた砲撃は、あくまで別の下準備とばかりに無貌の女を撃ち抜いた。

「くっ――」
 振り抜かれてきた棒を、ニコラスはぎりぎりでディスペアー・ブラッドと合わせた。
 ぎりぎりと大剣を掻き立てる不協和音の末、大剣をくるりと纏うように回転した先端がニコラスの胸を打つ。
「この程度の熱さじゃ生温いんだよ!」
 猛る。一歩、前へ。手に握った魔剣へと、ニコラスは魔力を注ぎ続けた。
 瞬間、ニコラスの身体が不自然に動いた。
 それは、本来有るはずのもう一つの動き――『こう動くべき』へ合わせたままに駆け抜けた。
 既にいたりし『無間の剣』――刹那に煌きを放ち、予測を無意味にと感じさせる強烈な連続の大打撃がニコラスの戦果のままに語られる。
「ちょっとヤバそうだし、逃がしはしない」
 希は禍津星鎚を構えなおした。
 収束する美しき闇色の魔力を、最前衛で守りを固めるメイめがけて叩き込んだ。
 白っぽい魔力が収束し、メイの肉体を覆いつくす。
 メイの肉体を知ろうと驚きはしなかった。
 独特の福音の音色がメイの傷を強烈に癒していくのが見えた。
 連撃を撃ちこまれ続ける幽霊がふわふわと揺蕩った。
 そしてそのまま、ぱたり、と地面に降り立てば、まるで元々中身などのように落ちていく。
「どうにかなったか」
 ひゅおと吹き付ける女を見下ろして何を思うのだろう。
「へ、どれだけ急所に当たっちまったとしても、それで倒せる何ぜ思うんじゃねえぞ」
 起き上がって、敵を見下ろしながら、ニコラスは思わずぽつりと呟いた。


「先輩方! 終わったっす?」
「むふー、メイ達はまたこっそりと希望ヶ浜の平和を守ったのですよ」
 最前衛、幾度となく無貌の女の攻撃に受け続けたメイの方は、重傷こそ負った者の、元気だった。
「そうっすよ! やっぱりイレギュラーズにお願いして正解だったッス!
 誇らしげなメイの言葉に、凛桜が笑って頷いて。
「良く動いたっすし、糖分っすよ!」
 にこにこと笑ってそう言うと、自分の分を口に放り込んで、メイもそれに続けるように。
 そうやったまま、凛桜の方は何やら眉間にしわを寄せて頭をぐりぐり。
「むぅ……」
「どうかしたの?」
 希はその様子を訝し気にじっと見た。
「あぁ、いや。記憶、戻ってくるかなぁってちょっとばかり期待してたっすけど、そんなことなかったっすねぇ……」
 飴を口から取り出してそう答えて、ちょっぴりしょんぼりする彼女だった。
「まっ、戻ってこないもんはしゃーないっす!」
 ころっと表情を笑みに変えて、伸びをする。
 9人は迷わぬような場所まで歩き、くるりと凛桜が振り返る。
「それじゃあ、お疲れ様でしたっす!
 にしし、今度は先輩たちの雄姿、目の前で見せていただきたいっす。
 その時はよろしくお願いするっすよ! 改めてありがとうございましたっす!」
 そういうや、凛桜がスマフォを開いて何やら確認して走り去っていく。

 ――なんともまぁ、台風のような少女だった。

(……記憶とは、その方々の日々の積み重ね、歴史、その人をその人たらしめるものです。
 もし、もしも全て記憶を失ったのならば……それは、私と言えるのでしょうかね)
 そんな様子を見つめながら、ノワールの想いは静かに夕焼けの空と流れていった。

成否

成功

MVP

メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール

状態異常

メイ=ルゥ(p3p007582)[重傷]
シティガール
秋野 雪見(p3p008507)[重傷]
エンターテイナー

あとがき

お疲れさまでしたイレギュラーズ

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