PandoraPartyProject

シナリオ詳細

急募:ホットドッグ×100個

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 その日もクルル・クラッセン(p3p009235)はパンフレットを開き、またローレットでの情報収集を行なっていた。彼女はイレギュラーズであるが、それ以前に1人の冒険者である。自分の足で色々なものを見に行きたい、そんな彼女が目下気にしていることがある。
「グルメスポットの情報は~……っと」
 掲示されている依頼書を眺めるクルル。本日もそれらしき依頼はなさそうだが、易々と諦めるクルルではない。
 彼女がグルメスポットを気にし始めたのは、以前受けたある依頼による。雪ではなくこんぺいとうが降ってくるという地域で、オーダーだった山賊撃退を果たした後はその地域に住む子供達とともに金平糖を食べたのだ。
 これはずっと森の奥で過ごしていたクルルにとって衝撃的とも言うべきものだった。食べ物は主に自然の恵みを分け与えてもらうことが多かったがゆえに尚更。深緑がもっと他国と交流を持っていればまた異なったであろうが、閉鎖的な国では得られない沢山ものもが外にはある。『美味しいもの』はそのうちのひとつだ。
「あ、クルルさん! 今日も依頼探しですか?」
 頻繁に足を運べば顔もすっかり覚えられるもので、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がにっこりと微笑みながら本日の依頼書を掲示していく。その手が何枚目かでふと止まった。
「ん……? クルルさん、この依頼とかどうですか?」
 掲示前に差し出されたそれをクルルは受け取る。そこに載っているのは――ホットドッグ。
「パンにソーセージを挟んだやつなのです。熱い犬じゃないですよ」
「つまりグルメスポットってことっ?」
 目を輝かせるクルルに頷くユリーカ。まあ、依頼内容的にはグルメ『スポット』と言うべきか定かではないのだが。
 依頼で挙げられているホットドッグはただのホットドッグではない。というかただのホットドッグだったらこんなところで挙げられない。
「このホットドッグはモンスターなのです。えいえいって倒したら食べられるので集めてきてほしいのです」
「モンスターが美味しい物になるの!?」
 目をまん丸にするクルル。だが割とこの混沌、そういう手合いも少なくないのである。
 今回の依頼主は街のファストフード店から。本来であれば仕入れのルートがあるのだが、不幸にも商隊が賊に襲われたらしい。皆一命をとりとめたものの、商品は根こそぎ奪われてしまったのだという。
「このホットドッグはとっても人気なのです。だから品切れってことにすると売り上げが落ちて大変なことになってしまうのです」
 代替品なんて客が満足するわけもなし、店主は仕方なしにローレットへ依頼を持ちかけた。賊に襲われて不達だったため一部返金があり、そこから報酬をということらしい。
 ホットドッグ(モンスター)は、頭部がホットドッグの四つ足獣だ。異形頭のようなもの、というと理解いただけるだろうか。もちろんモンスターとして為っている間は頭部も食べられない。だが倒すと途端にホットドッグとなって――しかもちゃんと包装されている――しまうのだ。彼らは個体としてさほどの強さではないが、如何せん量がいる。ファストフード店の人気メニュー1日分の量が必要なのである!
「沢山取ってくればクルルさんたちが食べる分だってあるはずなのです! 頑張ってください!」

GMコメント

●成功条件
 ホットドッグ×100個の回収

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明点もあります。

●ホットドッグ(モンスター)
 異形頭の獣型モンスターです。頭はホットドッグ(食べ物)です。体は犬などのような感じです。香ばしく美味しそうな匂いがします。
 何処で生まれ、何を食べ、どのように生きているのかは不明ですが、彼らは群れで行動し、非常に縄張り意識が強いです。テリトリーへ踏み込めばすぐさま襲ってきます。
 特筆すると言えば俊敏なくらいで、他は普通くらいの強さです。今回かなり回収量がありますので、複数の群れを探し出す必要があるでしょう。
 倒した直後に放送されたホットドッグへ変化するので、回収方法も考える必要があります。そのままにしていると踏み潰されるでしょう。

 150個以上回収したらその場で食べられます。(アイテム発行はありません。)

●エネミー
 この森では上記モンスターの他、関係のないモンスターが飛び出してくることがあります。

・スライム
 典型的なぷるぽよモンスターです。そんなに強くありませんがどこでも見つけられるくらいにはいるでしょう。

・ビッグベア
 熊さんです。四足歩行でも二足歩行でもできます。凶暴で怪力、それなりに強めです。図体はでかいので攻撃は当てやすいでしょう。

・ハニービー
 子供ほどの大きさをした蜂です。花畑の近くで会敵しやすいです。自爆攻撃となるお尻の針での攻撃は非常に強力かつ【必殺】属性を持ちます。

●フィールド
 鉄帝の森の中。国内では比較的南部に位置し、寒いですが雪は積もっていません。
 木々が視界を邪魔しますが天気は良さそうです。

●ご挨拶
 AAありがとうございます。愁です。
 ケチャップとマスタードは包装の中に入っていないので、必要に応じて持ってきてください。ちゃんと倒してから気持ちよくご飯を食べましょう!
 それではどうぞよろしくお願い致します。

  • 急募:ホットドッグ×100個完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月22日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エリス(p3p007830)
呪い師
メル=オ=メロウ(p3p008181)
Merrow
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
羽田 アオイ(p3p009423)
ヒーロー見習い
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
宇鵬・斗炉琉(p3p009555)
特異運命座標

リプレイ


 鉄帝は酷く冷えるが、南部ともあれば北部よりはずっとマシ。そう思いたい。
 雪が降らずともひんやりした風がイレギュラーズたちの肌を撫でていく。寒いものは寒い――が、『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)はそんなことも気にならないくらい興奮していた。
「ユリーカちゃん、素敵なお仕事紹介してくれてありがとう……!」
 彼女の髪と同じ色をした空に仰いで感涙零すクルル。そこにユリーカはいないし伝わりもしないが、サムズアップする彼女が見えた。ような気がした。
「ホットドッグ、あたしもいっぱい食べたい!」
「おいしいもの食べられる依頼なんて一石二鳥だよね! みんなでいっぱい倒して食べよ!」
「ううう、燃えてきたっ!」
 『Merrow』メル=オ=メロウ(p3p008181)と『ヒーロー見習い』羽田 アオイ(p3p009423)の言葉にクルルはグッと拳を握る。そう、納品数以上に倒したらあとは食べても良いのだ。
「ボーナスのようだな。100個と言わず150個でも、200個でも回収しよう」
 クルルに頷いて見せた『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)であるが、その実心情は複雑である。
(どうして皆、何でもないように受け入れているんだ……? これが普通なのか?)
 知る人にとっては普通かもしれない。だがまだ見てもいないオニキスからすれば『なるほどわからん』って感じである。
(……まあ、おいしいなら良いか)
 オニキスは深く考えることをやめた。どうせ考えてもわからないだろうから。
 クルルはカラスのファミリアーを飛ばし、空から探索を試みる。あとは仲間たちと匂いを元に探すしか無い。
「美味しい匂いなんだよね」
「たくさんいれば、その分濃い匂いかもしれないよ」
「鳴き声は犬なのかな?」
 なんて皆で話しながら探索すること小一時間。ファミリアーを通して匂いを嗅ぎつけ、ホットドッグの群れを発見した一同はそちらへ向かいはじめた。

 そして。
「ふふ、ホントのホントにホットドッグなんだ♪ ヘンなの!」
 メルがクスクスと笑い始める。犬のような四つ足の体に――ホットドッグの頭。どこに目や口、耳があるのかは謎である。謎であるがこちらを認識しているようなのでどこかにあるのだろう。
 実際に会ってみてもつくづく不可思議な生き物である、と一瞥しながらオニキスは武器を構える。
「接地アンカー射出。砲撃形態に移行。砲身展開。バレル固定。超高圧縮魔力弾装填。8.8cm大口径魔力砲マジカル☆アハトアハト――発射(フォイア)!」
 後方から放たれた圧倒的威力にばったばったと倒れるホットドッグ(モンスター)。きゅうん、と鳴いた――どこから声を出したのかは不明だ――直後にポンっとホットドッグに変わる。
「袋持ってきてるよ!」
 ばっとクルルが回収袋を出す。同時、アオイは残っている敵が包装されたホットドッグを踏み潰さないよう、クラッシュホーンで押し込んだ。
「あたし達も食べられるように、頑張っちゃおう……♪」
 メルも破式魔砲をすぐさまに構築し、敵の多い場所へと撃ち放つ。俊敏に襲いかかってくる個体もいるが、殲滅は時間の問題だ。
「逃がさないっ!」
 クルルは森の中へ逃げようとするホットドッグ(モンスター)を見るなりかけ出す。敵を射程に入れながら矢を番えたクルルは真っ直ぐに敵を射抜いた。
 アオイが前線で戦い、オニキスが後方支援する間にメルとクルルは隙を見てホットドッグを回収していく。配慮しても踏まれる時は踏まれるもの。
「あ、……いいや、食べれそうだし」
 メルが手に取ったホットドッグはちょうど真ん中で踏まれ、いくらか凹んでしまっている。しかし包装が破けているわけでも無さそうなので、食べる分には問題ないだろう。
「あーっ、また踏んでる! 食べ物は粗末にしちゃ駄目なんだよっ!」
 オニキスの射撃から逃げ惑ったホットドッグ(モンスター)がホットドッグを踏み踏み。クルルはそれを見て眦を釣り上げた。回収すべきものだからでは無い。食べられるものを足蹴にするとはけしからん!
 ――などと、やいのやいの言いながら4人はひとつ目の群れを撃破したのだった。



 一方、別行動をしていた4人のイレギュラーズもまた森の中を移動していた。より多くのホットドッグ(モンスター)を見つけ、回収するために手分けする作戦である。
「倒すとホットドッグになるのですよね」
「そう聞いたよ。この世界には変わった生き物が存在するんだね」
 『呪い師』エリス(p3p007830)の言葉に頷いた『赤い頭巾の悪食狼』Я・E・D(p3p009532)は周囲を見渡す。今のところそれらしき影はないが、近づけば匂いでわかる、らしい。今も『特異運命座標』宇鵬・斗炉琉(p3p009555)が鋭い嗅覚で香ばしいホットドッグの匂いを捉えんとしている。
「とりあえず、見つけたら殴って倒して集めりゃいいんだろ?」
「そう言うことになりますね。たくさん回収しましょう!」
 全ては依頼の、そして自分たちもおこぼれに預かるため。果たして元モンスターはどんな味がするのだろうか?
「頼むぜわんちゃん!」
「わう!」
 『新たな可能性』郷田 京(p3p009529)の連れてきた犬はファミリアーとなることで人並みの嗅覚を得る。京は同時にエネミーサーチを展開するが、今のところこちらに敵意ある存在はいなさそうだ。あとはファミリアー越しの己の嗅覚か、斗炉琉の嗅覚が美味しい匂いを嗅ぎ付けるまでひたすら捜索するしかない。
(香ばしくて美味しそうな匂い……香ばしくて美味しそうな匂い……)
 ホットドッグを思い浮かべる京。おっと腹が減ってきたぞ。空腹に戦闘が待っていると考えると進みたくない気持ちも湧き起こるが、逆に戦闘さえ乗り越えたなら腹一杯に食べられる可能性はある。大いにある。
「はっ! 香ばしくて美味しそうな匂い!」
 京は察知したそれに声を上げる。これは間違いない、ホットドッグ、ではなくてホットドッグ(モンスター)の香りである。
「いくぞー、やろーどもー! ごはん……もとい、ホットドッグは近いっ!!」
 拳を突き上げた京を先頭に一同は森を突き進む。やがて斗炉琉にも、そして他の仲間たちにも感じられるほどに匂いは近づいていき――。
「これが……」
「ホットドッグ……」
 ――異形頭のモンスターとの邂逅を果たしたのだった。
 頭はホットドッグ。体は犬。皆と呼吸を合わせて敵陣へ乗り込んだ斗炉琉はメイスで敵を殴りつける。伸びたそれはポンッと小気味良い音を立てて包装されたホットドッグへ変化した。同じように攻撃して変化したそれを見た京は、何とも言えない顔でホットドッグとホットドッグ(モンスター)を交互に見る。
「……なんなんだキミたち。ホントーになんなんだ?? イキモノとして何か間違ってない???」
 イキモノっていうのはもっと、こう、生存するために進化していくものではないだろうか。だというのにこのホットドッグ(モンスター)は野生の世界で美味しそうな匂いを発し、しかも倒したらホットドッグ――汚れないよう包装された状態だ――になって我が身を差し出すのである。おかしくない?
 もしかして、そもそもイキモノですらないナニカなのだろうか。専門学者など詳しい者に聞けばわかるのだろうが、今は一先ず。
「――いいや、食えってんなら食ってやろうじゃないのー、ありがたく!」
 素早く頭を切り替える京。オーダーはこのモンスターたちからドロップする食品の回収。過剰回収分は食べてヨシ!
 先ほど空腹を覚えたことも思い出し、京は拳を握った。とにかく打って蹴ってホットドッグを回収するのだ。
 斗炉琉もドロップしたホットドッグを踏まないように気を付けつつ、メイスで切り込んでいく。戦闘か、回収か、どちらも悩ましい所ではあるが――余裕がないほどに敵がいるのならまずは殲滅。そして回収できる状態を保つために戦線を押し上げるべく、突出しすぎない程度に斗炉琉は突き進んだ。
「援護と回収はお任せを!」
 エリスのクェーサーアナライズが前線の士気を上げる。戦闘に巻き込まれないよう、ひょいっと手を伸ばしてホットドッグを回収したエリスはザックへと収めた。
 魔砲をぶちかましたЯ・E・Dもまた、その後に転がったいくつものホットドッグをザックへ急いで詰めて行く。よしよし、あっという間にザックがいっぱいになりそうだ。
「こっちは終わったぜ」
 斗炉琉がホットドッグが転がるのみとなった辺りを見回し、敵影がないことを確認した。これならば安心して回収できるというもの。
 最後まで戦闘があった場所ではいくつかのぺしゃんこになったホットドッグが見つかったが、商品にならないものの食べられないわけではない。エリスが用意していた馬車のある場所まで戻り、それを端に避けると納品分をザックから移していったのだった。
「次行くぜー!」
 もう一方のグループがどれだけ集められているかは定かでない。しかし集めすぎて困ることなどないのだ、どんどん倒していこうと一同は次の群れを探しに向かった。



 あれからいくつかの群れを撃破しホットドッグを得たクルル達のグループは、引き続き新たな群れを探して進んでいた。
「あ、向こうのほうにいるみたい」
 クルルがファミリアー越しに群れを見つけ、方角を示す。ちょうど花畑の香りが近く、あの美味しそうな匂いが紛れていたため彼女頼みだったのだ。
「次で納品分は十分そうだね」
「ふふ、向こうの班も合わせたら大変な数になりそう♪」
 オニキスの言葉にメルはくすりと笑う。大変であっても困ることはないだろう。皆あの美味しそうな匂いを嗅いで、ついでに運動しているからお腹はペコペコだ。
 クルルの方向へ向かおうとした時、不意にアオイの近くから何かが飛び出す。子供ほどの大きさをしたハニービー達だ。すかさずオニキスがエーテルガトリングを放つが、彼らはより威嚇の鳴き声を大きくして飛びかかってくる。
「蜂さん、キミの巣から取った蜂蜜じゃないよ!」
 メルはイクリプスで応戦しながら語りかける。しかし彼らに話を聞く耳はないようで、うちの1体に向けてクルルは矢を番えた。
「ごめんね……っ」
 射抜かれ絶命するハニービー。その一方で決死の特攻を仕掛けてくるものもいる。応戦しながらオニキスはふと思った。
 ――はちみつ。チーズとハニーマスタード。
 何のことかって、もちろんホットドッグの話である。
(……うん、一旦忘れよう)
 食欲に気を取られて負けては元も子もない。オニキスは最後の1体をクルルとともに撃ち抜くと、前衛で応戦していたアオイの元へと駆け寄った。

 もう一方の班もホットドッグ(モンスター)に混じってくるスライムを叩きのめしつつホットドッグを回収する。コンビネーションよく攻撃を入れる京に続き、エリスはディスペアー・ブルーで敵を一掃にかかった。Я・E・Dはふと思いついてホットドッグ(モンスター)に接敵する。
 倒せば頭部のみが残る訳だが、消えてしまう体はどんな味をしているのだろう? そんな興味と共にЯ・E・Dは目を細める。
「うん、わたしにモグモグさせてね?」
 容赦なく歯を立てるЯ・E・D。相手に暴れられはするが、こちらとて軽いお遊びで噛みついたわけではない。その味は――割と普通に獣らしかった。そこらの犬や狼みたいな感じだ。
 不意にホットドッグ(モンスター)たちが唸りを上げ始める。イレギュラーズたちにではない。斗炉琉はその声の方向へ視線を向けて眉間の皺を深くした。
「できれば、そういうのはスルーしたかったんだが」
 戦闘中ともなればあちらこちらと意識を分散させるわけにもいかない。特に匂いなんてものはもう、目の前の彼らが麻痺させてしまいそうなくらい濃く放っているものだから。
「だがすることは変わらないさ。殴って倒す、それだけだ」
 斗炉琉はメイスを握り、乱入してきたビッグベアへ向けて殴り掛かる。続く京は回し蹴りで仕掛けた。
「どーよアタシの、自慢の生脚!」
 その自慢の生脚から引き出される高威力の蹴りにビッグベアが横転する。一同はすかさずそこへ攻撃を叩き込んだ。



「おーい!!」
 馬車の姿にクルルが大きく手を振る。馬車はその声に止まり、御者台に座っていたエリスは手を振り返した。
 ロバに載せていたホットドッグを馬車へ移し、一同は個数を確認する。ここで不足などあったら大変な事だが――納品に余りあることを知ったあたりで数を数えるのがおざなりになった。あとは皆でざっくり山分けしてしまえば良いのだ。
「潰れちゃったホットドッグも結構あるのね」
 メルは脇に避けられていたホットドッグを見やる。これも2班のものを合わせているが、やはり戦闘から完全にホットドッグを守るのは難しい。
「帰りも気を付けましょう。もしかしたらこれにつられてモンスターが出てくるかもしれません」
 エリスの言葉に頷く一同。周囲の警戒と馬車内で一休みを持ち回りにすることとする。消耗が激しいものは最初から馬車内で休んでもらうつもりだ。
「試食タイムだー!」
「待ってたぜー!」
 一番は喜び勇んで依頼書を選んだクルルと空腹の京から。クルルはニマニマしながら色々と持ち込んでいたものを取り出す。
「ケチャップにー、マスタードにー、あとはこれも欠かせないよね!」
 いそいそ取り出した酒に京の目が点になる。どう見てもクルルは16歳前後――だが、ハーモニアとはそういう種族である。
 しかし。
「……帰りに戦闘かもしれねーよ?」
「あっそうだった!」
 はっと酒を見つめるクルル。仕事終わりの一杯、もう暫くのお預けである。
 エリスは御者台で馬を操りつつ、傍らに用意しておいたホットドッグをぱくり。ケチャップとマスタードはやはり王道である。ふふ、と小さく笑いながら彼女は休憩交代の為に馬車を一時停車した。
 次の休憩はオニキスとメル。2人もいそいそと自分たちが持ってきたものを取り出しかけて食べる。
「ふふ、美味しい♪」
「チリソースもありだな」
 オニキスは王道ケチャップ&マスタードだけでなく、チリソースとタルタルソースも持ち込んでいた。念のため、と彼女は言うが用意周到である。それらを順繰りに楽しみながら自分の取り分でお腹いっぱいになるまで食べようと意気込んでいたオニキスは、傍らのメルへ視線が吸い寄せられた。
「……? どうしたの?」
「かけているそれは、一体……?」
 オニキスが持ってきたどれとも違う、琥珀色の液体。どこか甘い香りもしてくるようで――。
「蜂蜜だよ♪」
 にっこり笑うメルに衝撃を受けるオニキス。蜂蜜をホットドッグに? しかし彼女は美味しそうに食べている。ふと先ほど思いついたものが脳裏をよぎり、オニキスは蜂蜜をほんの少し分けてもらえないかとメルに問うた。
 分けて貰えたならそれとマスタードを組み合わせることができる。いわゆる『味チェン』というやつだ。
「人気メニューをいっぱい食べれるなんて幸せだね♪」
「今度お店にも行ってみたいね。今日は流石に大変そうだけれど」
 と、オニキスは肩越しに納品物を振り返る。人気メニューなら届けてすぐに売り始める事だろう。
(でも食べに行きたいな)
 とЯ・E・Dは思うわけで。交代で場所に乗り込み、移動の揺れを感じながらホットドッグに手を伸ばす。
 もちろん納品物のつまみ食いなんてしない。Я・E・Dは出来る狼、待てと言われたら待てが出来るのだ。
 第一に依頼。
 第二に食欲。
 第三に安全。ヨシ!!
 Я・E・Dはホットドッグの包装紙をベリッと破り、ケチャップ多めにマスタードもかけてかぶりつく。
「ふふ、」
 美味しい。そう思えば自然と小さく、笑みが溢れた。

成否

成功

MVP

クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール

状態異常

羽田 アオイ(p3p009423)[重傷]
ヒーロー見習い

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 最近ホットドッグ食べてないなあって思いました。

 それではまたのご縁をお待ちしております。

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