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シナリオ詳細

【黄昏幻影奇譚】姦姦蛇螺編

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●森の中で
 少し大きめの古びた箱。その周囲には注連縄で括られた六本の木。そしてその六本の木の間にはそれぞれ紙垂のついた縄が渡されている。明らかに人為的に作られた六角形の空間。
 その箱の前には一人のハンマーを持った男がいた。どう見ても箱を壊すつもりである。振り上げたそれを一気に振り下ろす。粉々になったそれには……何もなかった。箱を破壊した際に注連縄と紙垂付き縄が切れてしまったようだが、それよりも。
 男は拍子抜けしたような顔をしていたが――けたたましい女の笑い声。上を見ると黒い雲のような塊がある。それが徐々に形作られていく。
 異形。そう呼ぶしかないそれが目の前に現れた。
 左右三対の六本の腕。下半身は蛇のそれ。蛇目。
 蛇に睨まれた蛙のように身動き一つとれない男に這いよる異形。長い体を用い男に巻き付き、口を大きく開け男を丸飲みにした。
 そしてその異形はその場を離れどこかへ去っていった。

●書斎
「やあ、諸君。よく来てくれたね」
 もはやお決まりになってしまった挨拶に迎えられ、書斎に入ってきたイレギュラーズ。彼らを迎えるのは境界案内人ミヤコ。その手には『黄昏幻影奇譚』のライブノベルがある。
「さっそく本題だが。君達は姦姦蛇螺って知ってるかい?」
 知らない、というのがほとんどであろう。
「お察しの通りこれも怪異なんだけどね?」
 聞けば上半身は人間の女性のそれ。下半身は蛇。そして最大の特徴が腕が六本ある事。
 そしてこの怪異には宿敵ともいえる存在がいる。この怪異を封印した巫女がいるのだ。とは言ってもそれはもう昔の事。その当人は既に死んでいる。いるのはその末裔である一族である。
「この怪異は力が強く、対峙するには至らなかった。が、その当時の巫女が命懸けで封印した。ただ……」
 ある男が村の男達の挑発に乗ってしまい、封印を解いてしまった。そしてその男は殺されてしまったわけだが……。それに怪異からしてみれば巫女が生きていようが死んでいようが関係ない。巫女の一族は恨みの対象ではあるし、またいつ封印されるか分かったものではない。ならばこの怪異がとるべき行動はひとつ。
「一族の皆殺し」
「その通り。それに知っての通りこのライブノベルは怪異を基にした代物だ。この一族の力も健在だ。だがこの怪異も馬鹿ではない」
 封印の影響で力の大半を失った姦姦蛇螺はそれを取り戻し、そして更なる力を身につける為に人々を襲うだろう。
 姦姦蛇螺が封印されていた森の中には村がいくつか存在する。その森を自らの領域としている姦姦蛇螺は放置しておけば大惨事を引き起こすだろう。そうすれば巫女の一族も対処が難しくなる。
「そうなる前に君達には早急に対処してほしい」
 ミヤコは頼んだよ、とイレギュラーズを送り出したのだった。

NMコメント

●目標
姦姦蛇螺の討伐

●姦姦蛇螺に関して
姦姦蛇螺の再出現を察知した巫女の一族から、各村へイレギュラーズの皆様の事が通達されています。
ただし、ミヤコから話がそっちの方が早いからと退治屋として一族には説明しているようで……。
村で姦姦蛇螺の情報が何かしら得られるかもしれません。
更にはミヤコから最初に襲撃されるであろう村の所在地を聞かされています。ただし、そこで戦闘をすれば周りに被害が出るでしょう。
なぜなら姦姦蛇螺が使役する異形達が村を包囲する為です。更にこの異形達は村人を惨殺していきます。ただし、姦姦蛇螺との戦闘に直接関わってくる事はありません。また、姦姦蛇螺が倒されればこの異形達も消えます。
本来であれば村人を先に逃すのがセオリーですが、ここは怪異が蔓延る世界。どこに何がいるかわかったものではありません。
どこで戦闘するかが今回の肝になるでしょう。
姦姦蛇螺の居場所自体は有効なスキルがあれば見つけるのはそう難しくはありません。

 猛毒の牙:単体に噛みつき猛毒を付与します。
 巻き付く:長い体で巻き付き近接範囲に泥沼を付与します。
 蛇睨み:魔力を込め睨みつける事で扇範囲に石化を付与します。

●巫女の一族
姦姦蛇螺を封印していた一族です。が、何かしらの形でシナリオに出てくるかもしれませんが戦闘には関わりません。

  • 【黄昏幻影奇譚】姦姦蛇螺編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月13日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔

リプレイ

●姦姦蛇螺
 姦姦蛇螺(かんかんだら)。生離蛇螺(なりじゃら)など俗称はある。が、姦姦蛇螺と古称で呼ぶのは巫女のような特殊な家柄の者のみらしい。
 それはともかく。姦姦蛇螺に襲われるという村に直行するイレギュラーズ。姦姦蛇螺はまだ来ていないはずだ。
「全く厄介な事してくれる人も居るもんだよね」
 『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)は馬鹿な事をしていた連中に呆れ果てる。とはいえ、やってしまったものは仕方ない。どうあれ、命で贖われた後の尻拭いなど冒険者の日常茶飯事である。完全に手遅れになる前に早く手を打ちたいものだ。
 姦姦蛇螺の情報はある程度あらかじめミヤコから聞いている。
「恐ろしい存在だな……。でもまぁ、物理で殴れるならまだマシだな」
 『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)は神秘攻撃が得意ではないようだ。黄昏幻影奇譚の世界なら、物理攻撃が通じない怪異がいる可能性はある。だが、今回は違う。
 さあ、怪異退治の物語を始めよう。

●襲撃される村
 怪異の襲撃があるとされる村。
 姦姦蛇螺はまだ来ていないようだ。が、何かするなら急いだほういいだろう。
 怪異の襲撃自体は村人にも知らされていたのだろう、村の空気自体が重苦しい。致し方ない事ではあるが、ひとまずは情報収集である。まずはこの村にいた巫女の一族の一人に協力してもらい、村人に集まってもらった。
「おまたせ!ㅤ退治屋の茄子子だよ!ㅤよろしくね!」
 『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)の名乗りにつられ、他の面々も自己紹介をする。
 まず欲しい情報が異形がどんな姿かたちしているのか。空を飛べるのか。対空能力なんかもわかればなおよいだろう。
 『新たな可能性』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)としては村での戦闘を避けたい。その為には村から離れた場所で戦いたい。
 実際のところ、村内での戦闘を想定している者と村外での戦闘を想定している者と二手に分かれている。村外での戦闘を前提にしている者からすれば。村に被害を出したくない。村人に関しても無暗に殺されては寝覚めが悪い、という理由。
 逆に村内での戦いを前提にしている者は。襲撃の層が薄いところへ避難させれば守りやすくなる、という理由。別の理由として上空へスキルを使って――APの心配は無用――逃がす方法。
 ただ、村での戦闘を選べばそれ相応のリスクを背負う事になる。まず襲撃の層が薄いところへ逃がす案。これは異形の数がネックになる。村を囲める、惨殺に手を回せるという事はそれこそ無数に敵がいる事になる。
 自陣の人数が少ないうえ、更に姦姦蛇螺の抑えも必要となる為にあまり現実的ではないだろう。
 上空へ逃がす場合。これは巫女から巫女の一族から得た情報によれば、飛行能力や対空能力に関する能力はないらしい。だがミヤコから釘を刺されていたのは、ここは黄昏幻影奇譚。怪異が跳梁跋扈する世界だ。何がどこにいるかわからない。姦姦蛇螺とは別の怪異に狙われるかもしれない。上空にいる、という事は敵から狙われやすいという事でもある。そこまで対応できる術を現状のイレギュラーズには持ち合わせていない。ならば村外で戦闘した方がいいだろう。
「姦姦蛇螺がどこから来そうかってわかる?」
 ヴェルーリアの問い。彼女の信仰蒐集もあって素直に教えてもらえた。封印されていた場所からこの村へ来る道中。
 そこに開けた場所がある。そこなら戦闘に支障はないはずだ。姦姦蛇螺としても道が整備されているのもあるが、ここへ来た方が最短距離で村まで来れるのでここに現れる可能性が高いそうだ。
「封印されていたんですよね。どんな封印なのでしょうか」
 イズマの疑問。
 巫女の一族が所有する道具や技術を用い、封印の外ーー今回は少し大きめの古い箱だーーに怪異が出てこれないように封印するというもの。ただ、この封印に関してひとつ問題があったのだ。
 封印処置とは別に六芒星による人避け兼魔除けの結界を張ったのだが、なぜかこの封印が解けていたのだ。それらが原因で姦姦蛇螺は完全に解き放たれたわけだが、その原因はわからないそうだ。
「情報としてはこんなものかな!じゃあ、移動しようか!」
 茄子子のかけ声と共に戦闘場所へ移る一行だった。

●邂逅
 村で聞いた場所へやってきたイレギュラーズ。
 もちろん姦姦蛇螺がここへ来る可能性があるだけで絶対ではない。だが、確信はあった。それがカインのように冒険者としての経験則や勘ーー残念ながらここは混沌世界ではない為にモンスター知識は役に立たないーーでそれを得たりする者もいるが。
 ただ一様に感じているのは。空気があからさまに違うのだ。

 ……来る。

 何か重いものが高速這いずって来るような音。
 怪異特有のプレッシャー。

 ギシャアアアアア!!

 蛇の咆哮。蛇が吠えるとはなかなかにレアな光景である。いや、蛇ではないのだが。
 ちなみに通常の蛇は発声器官がない為に鳴かないらしい。もし蛇から音が出てるとすればそれは尾から出ている音、だそうだ。
 そしてイレギュラーズを獲物として捕捉したのだろう、異形が周りを囲った。様子を伺うが、こちらに手を出すつもりはないらしい。
 まず最初に動いたのはヴェルーリアだった。
 迸る雷撃。身体にはしる痺れ。姦姦蛇螺の動きが鈍る。
「巫女の一族を殺したいなら、まず俺を食ってみろ!」
 正面から突っ込み、そのまま顔面に右ストレートを繰り出すイズマ。動きが鈍くなったとはいえ、六本もある腕がそうそう簡単にその攻撃を通らせるはずもないが
「ーー!?」
 死角から後頭部に放たれる魔力によって作られた拳。相当効いたのか動きが止まる。
 続けざまに動いたのはカインだった。
 マイトポーションによる自己強化。そして邪悪なるものに裁きを与える神聖なる光。
 その光により姦姦蛇螺の身体は焼け焦げ、目から光が失われる。だがその光もすぐに取り戻し、蛇目の縦長な瞳孔が更に細長くなる。怒気が発露されているのがはっきりわかる。
「ーー!?」
 気が付いた時にはイズマは既に蛇の体に巻きつかれていた。蛇は元々相手を絞め殺す事が得意な生物。その力は圧倒的であり、そう簡単に抜け出せるものではない。
 そこから顔の向きを変える。
「目に魔力!くるよ!!」
 茄子子が警戒の声をあげるが、相手の視線から逃れるのはそう容易ではない。石化の魔力を込めカインを睨みつける。
石化の影響を受けたカイン。そして自らが捕らえたイズマ。その光景に獰猛な笑みを浮かべる姦姦蛇螺。
 状態異常を伴う範囲攻撃が厄介な為、各々の立ち位置をばらけようというのがイレギュラーズの共通の認識だった。が、連続攻撃されるとどうにも厄介である。
 だがしかし。イレギュラーズにはそれを補うだけの回復手段があった。
 回復と支援を中心にスキル構成していた茄子子など、いい例であろう。
 姦姦蛇螺の体力も恐らくそうは残っていないはずだ。次で倒せると踏んだ茄子子は、姦姦蛇螺の背後に回り込んでいたが、飛行で回復スキルの範囲に二人が入る位置に移動する。
「状態異常を治すよ!」
 力ある言葉に苦境に立たされていた二人は体勢を立て直す。
「その腕、その尻尾、断ち切ってやる」
 戦鬼暴風陣。回転技を目にも留まらぬ速さで連続的に叩き込む事により、小さな暴風域を作り出す。無数の打撃と風の刃による嵐。
 そしてーー。

●その後
 姦姦蛇螺を倒したイレギュラーズ。
「姦姦蛇螺ってやつはばっちり倒したよ!」
 一件落着、とばかりに胸をなで下ろす茄子子。
「何が元になって生まれてきたんだろうか、こういう存在は」
 そうぼやくイズマ。怪異が生まれる所以は様々だが、姦姦蛇螺が生まれた理由は巫女の一族も知らないそうだ。少なくとも巫女は命懸けで姦姦蛇螺を封印した。強大な怪異から多くの人を守ってきた人だ。これで報われるといいのだが。
 村に戻ってきた一行。
 ヴェルーリアがカインを巻き込み村の手伝いをしたのはまた別の話である。

成否

成功

状態異常

なし

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