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シナリオ詳細

遺された機械巨兵

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●開いた洞穴
 ゼシュテル鉄帝国の西方。
 レガド・イルシオン王国から見て北部戦線と評される最前線。
 幾度となく戦線が繰り広げられ、旅行者や行商がソレを気にしなくなるほどの果てしなき最前線。
 そこからやや内陸に進んだ場所にある村にマリア・レイシス(p3p006685)は招かれていた。
「来てくれてありがとう」
 マリアに向けて笑いかけてきたのは銀色の髪をした女――ユリアーナ(p3n000082)だった。
「ユリアーナくん、私に何かようかな?」
 彼女とは何度か依頼を受けた仲だった。
「随分と前になってしまったが、君が言っていたことについて、情報が入ったのだ」
「私が言ってたこと……?」
「あぁ。少しばかり前、機械で出来た騎士風のやつらが南下してきただろう?」
 数ヶ月前のことだ。
 直進で南下する機械で出来た騎士風の兵士をイレギュラーズが打ち破った。
 そうあれかしと作られたであろう機械で出来た騎士は、超古代文明の遺産と考えられた。
 以前に帝都で猛威を振るった『ギアバジリカ』に代表されるソレらは、時折、何らかの衝撃で目覚めることもある。
「あぁ、そう言えばそんなこともあったね」
「彼らが眠っていたと思われる場所を、何とか察しを付けることができた」
 ユリアーナが一枚の地図を広げた。
 どうやらこの付近をやや大きめの縮図で記した地図のようだ。
「ここからずっと北に行くと、セルジェンリという小さな山がある。
 ここの麓の一箇所がぽっかりと穴をあけていた。
 ちょうど件の奴らがたどった進路を真っすぐに遡ればたどり着く」
「見るからにここが怪しいわけだね。それで、私達は何をすれば?」
「あぁ。この穴を塞いできてほしい。
 ――とはいえ、あんなものが出てきたのだから、恐らくは何かしらあるのだろう。
 可能であれば、この洞穴に潜入してきてほしい。
 もしも、あれと同じものがまだ眠っているのなら、それはそれで対処が必要だ。
 場合によってはその対処は別に回すことになる。その場合はひとまず、穴をふさぐだけで構わない」
「任せてほしい。それで、今回は君は……?」
「あぁ、私はお留守番だな。もう少ししたら、もうちょっと楽になれるよう考えてはいるが」
 そう言って笑みをこぼして、依頼人たる女性は握手とばかりに手を差し伸べてきた。

●打ち捨てられた彼の――

 ギチ、ギチ――

 歪に軋むその音は、洞穴の最奥で奏でられた。

 油が切れて、錆び着いた歯車のような軋んだ音。

 それは仄暗く寂れた空間に、ぽつねんと遺された。

 視界は暗く、残された配線はナニカの跡のよう。

 崩れ落ちた鉄の切れ端が、辛うじてここが以前はしっかりとした部屋であったことを思わせた。

 ギチ、ギチ、と音が鳴る。

 誰にも知られることなく、誰にも求められることなく。

 遺されたモノは、ただ音を立てていた。

GMコメント

さてそんなわけでこんばんは、春野紅葉です。
マリア・レイシス(p3p006685)になります。
アフターアクションありがとうございました。

それでは早速詳細をば。

●注意
 当依頼は相談期間が『6日』に設定されております。
 出発日にはご注意ください。

 オープニング中の前回の件とは下記依頼に当たりますが、参照しなくとも大丈夫です。
 『鈍く輝く機械騎士』(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3981)

●オーダー
【1】洞穴を探査・封鎖する。
【2】遺された何かを破壊する。


●フィールドデータ
 明らかに整備された一本道の洞穴です。
 最奥に行くにつれて、徐々に幅が広くなっていく模様。

●エネミーデータ
・鈍銀巨兵
 洞穴の最奥に遺された機械で出来た兵器。
 やけにずんぐりとした体躯であること、大盾のような物を持っていることは相対と同時に判別できます。
 体長が4m、横幅も大きめ。
 以下スキルはPL情報です。

<スキル>
シールドアタック〔DM〕(A):対象に体当たりし、体重と共に押しつぶします。
物中範 威力中 【移】【ブレイク】【ショック】【乱れ】【恍惚】

ガント・オブ・ガント〔DM〕(A):ブーストした勢いを乗せた拳を叩きつけます。
物至単 威力大 【飛】【ブレイク】【崩れ】

アンチ・アタックフィールド〔DM〕(A):神秘性を帯びた障壁で身を護ります。
神自付 威力無 【副】【瞬付】【防技大アップ】【抵抗大アップ】

ディフェンスモード〔DM〕(P):堅牢なりし鎧です。
【〔TM〕スキル使用不可】【EXA大ダウン】【神攻大ダウン】【回避大ダウン】【反応大ダウン】【物攻大アップ】【防技大アップ】【抵抗大アップ】

アーマーパージ(P):一定ダメージ蓄積後に何らかの変化が齎されます。
発動ターンの行動を放棄。自身の【物攻大ダウン】【防技大ダウン】【抵抗大ダウン】【神攻大アップ】【回避大アップ】【反応大アップ】【EXA大アップ】【〔DM〕スキル使用不可】【〔TM〕スキル使用可能】

ストライク・インパクト〔TM〕(A):高速回転させた魔力の腕で対象に痛撃を与えます。
神中単 威力中 【移】【ブレイク】【致命】【追撃】

ウォール・ストライク〔TM〕(A):高速回転させた自分で一帯を薙ぎ払います。
神遠範 威力中 【移】【万能】【致命】

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 遺された機械巨兵完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
すずな(p3p005307)
信ず刄
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
ローザ・グランツ(p3p009051)
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
影縫・纏(p3p009426)
全国大会優勝

リプレイ


 依頼人の言っていた洞窟に到達したイレギュラーズ達は、ゆっくりとその中を進みつつあった。
 明らかに整備されたものと分かる道は奥に行くにつれて徐々にだが横に広がっているようにも思えた。
(巨大な機械兵の類の絵や映像は練達や出身世界で見たけど)
 灯りを手に進む『紅蓮纏う黒薔薇』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)は探索には自分はあまり役に立てないと理解している。
「以前に機械の騎士に襲われたとは災難だったな。
 しかしそれが出てきたと思われる場所を見つけられたのは行幸だな。
 次の被害を抑えることに繋がるかも知れないのだから」
 イレギュラーズの後ろを進む『特異運命座標』影縫・纏(p3p009426)も探索があまり得意ではない部類にはいる。
「前にここからロボットが出てきたんだよね?」
 天井を見上げたりしていた『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はちらりと後ろを振り返る。
「ユリアーナ君の調査によればそうみたいだね」
「まだ中に残ってるかもしれないなら、ちゃんと調べてもう出てこられないようにしておかないとだよね」
 マリアからの答えに、焔はぼんやりとカグツチ天火を微かに燃やして光源としつつ奥の方を照らした。
 警戒を怠らぬ『雷はただ前へ』マリア・レイシス(p3p006685)はこくりと頷きながら、その一方で考える。
(ユリアーナ君に良い報告を持ち帰りたいものだけど……さて、何のために整備された施設なのか。
 古代文明の遺産というだけで片づけていい場所なのか?)
 壁に触れてみれば、土ではなく金属に触れている。
(ふむ……前回の騎士達は此処から……? どうみても自然の穴じゃあないですね)
 同じように周囲を警戒する『血雨斬り』すずな(p3p005307)はマリアと同じく、ここから出てきたという機械の騎士たちと交戦した一人だ。
「――マリアさん! 油断しないで下さいね!」
「ふふ! すずな君も気を付けてね! ……ところで、すずな君は何か見つけたかい?」
「今のところはないですね……だからって先行っちゃだめですからね?」
「分かってる!」
 軽口を叩きあえる程度にはきやすい仲ということもあり、警戒しつつも緊張しすぎているわけではない。
(自我の無いロボットってやつは融通が利かないものだ。
 『人を攻撃しろ』と命令されていれば、兵士庶民関係なく攻撃して危害を加えるだろう)
 かつての自分と重なる部分があるのか、『Stella Cadente』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)の表情はやや硬かった。
 けれど、その視線をマリアに向けて、笑みを作る。
 気配は遮断しようとしているが、動いている分、ほとんど効果をみせてはない。
(機械の兵士の格納庫……? それとも工場か? いずれにしても我が国には本当に色んなものが埋まっているものね)
 思考するローザ・グランツ(p3p009051)も進み続けている。
「これだけ整備されているならば自然崩落とかは大丈夫そうかしら」
 超視力で遥か先を見ていた『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)は周囲の大きさを見ながら声にする。
 徐々に大きくなる横幅は既にイレギュラーズ4人が横並びになれる程度には広がってきつつある。
「そろそろ出口みたいなのだわ」
 超視力で遥かまで見据えるコルネリアの眼に、ソレが映りこむ。
 四角にくり抜かれたような場所を抜けて、その先。
 そこには巨大な空間が広がっていた。
 ギチ、ギチと音が耳障りに聞こえてくる。
 油が切れて錆びついた歯車のような軋んだ音――それは空間の奥にあるナニカから鳴っていた。
「あれは……」
 ずんぐりとしたその個体に動きはない。
 アリシアは静かに細剣を抜き構えを取る。
「なんかすごい大きいロボットがいる!?」
 焔は思わず声に出した。
 壁にもたれ掛かるように落ちるその機体は音こそ立てるものの動きはない。
「これはまた! とんでもないのがいたね!」
 微かに紅雷を走らせるマリアは一通り機体を見つめて、一歩前に出た。
「こいつはここで破壊しよう! これは外に出してはいけない!」
 その手を紅が迸る。
 その隣、すずなも既に刀を抜いていた。
「これは……前に戦った騎士達と同じような個体でしょうか」
 見た目は殆ど違う。あそこまでずんぐりしてなかった。
 大きさもかなり違う。だが、ここがあの機体がきた場所だとすれば無関係であろうはずはない。
「見た所盾持ちなので防御型……? あっ、マリアさん、少し離れて!」
 静かに構えつつ爆ぜる雷に尻尾がブワりかけてすずなはマリアからやや離れた。
「こりゃまた随分とデカブツが現れたものなのだわ。
 ま、仕事は仕事だ。片付けさせてもらおうじゃねぇか」
 自分も大概にデカいブツを構えながら若干の荒々しい口調に変ずるコルネリアだった。
 その横を、影が走り抜けた。
 一条の漆黒は部屋をつんざき、崩れ落ちる機体へと炸裂し――
「運が良ければこれで動き出す前に破壊でき――るわけないか」
 纏の視線の先、黒に貫かれたはずの巨兵には傷があるように見えなかった。
『pipipi――pipipi pipi』
 ブォンと、モノアイが輝き、巨体が動き出す。
 緩やかに立ち上がった巨体はイレギュラーズを明確に敵と認めていた。
 最速で動いたモカの脚が伸びてきた巨兵の拳を飛び越え、そこを足場に駆け抜ける。
 関節あたりで跳躍――強かに蹴りを一つ。
 巨体の身体ぐらつき、それに合わせるように逆の脚で蹴りつければ、微かに巨体がへこんだ様にもみえる。
 足元まで走り抜けた焔の槍が横薙ぎに巨体へ叩きつけられた。
 紅蓮の炎が逆巻き、鎧を焼き付ける――気で打ち込んだ。
 しかし、くすんだ様にも見えるが着火には至らない。
(すごく堅いし、火もつきにくいや……この攻め方は難しいかな?)
 アリシアは宵闇を抱く美しき細剣に魔力を練り上げていく。
 急速に練り上げられた魔力は鮮やかな紅を彩り、紅黒の刃を形作る。
 斬撃と同時、炸裂した魔力は爆発して機体に傷をつける。
 マリアは自身の魔力を限界まで放出させていた。
 描き出された鮮やかな紅の領域の只中に立ち、それがやがて蒼き雷へと変質を遂げていく。
 踏み込みと同時、その姿が弾丸と化す。
 目指すは微かな関節、鈍い動きをかいくぐるように弾丸となった己を突き立たせる。
 一度、二度と打ち据えられる残光が軌跡となって残っていた。
「すずな君! 今だよ!」
「いいでしょう! 前の騎士達と同じように、その盾叩き切ってあげます――!」
 入れ替わるように走り抜けたすずなの乱舞が如き斬撃が傷を負った関節目掛けて叩き込まれる。
 白刃が滑るように走り抜ける。
 すずなの剣は、水さえも断ち割る青白く輝く名刀の一品。
 いわんや、鉄くずを切り裂けぬことなどあるはずもなく。
 終わりを感じさせぬ連撃の斬撃は文字通り連撃を以って一つの型であるかの如く。
 収束に放つはただの一刀。
 真っすぐな振り下ろしが関節を抉り、時を待つこと無き斬り上げが傷口を荒々しく作り替える。
「暴走されても困るから先んじて破壊しておかねばならないな!」
 ローザは縦二連装の猟銃を構えながらやや後退し、構えていた。
 深呼吸して、引き金を引く。真っすぐに走った弾丸は風を切り、不可視のままに巨体の関節目掛けて撃ち込まれていく。
 纏は自らの陰に仕込んだ暗器を投擲する。
 天井へ炸裂した暗器は巨体のそこかしこを強かに撃ち抜いていく。
 巨体が動く。
 ひどく鈍い動きで始まった挙動は、その巨大な盾ごと最前衛を押しつぶすような体当たりだった。
 余波で巻き込まれたマリアが奇跡的な回避を見せ、ど真ん中で振り下ろされたアリシアが防御技術を駆使して勢いを押し殺す。
 焔も自らの身軽さを駆使して跳躍し、敵の背中を足場代わりにして躱せば、その視線を眼下に見据えた。
 その眼下で、機体の周囲を何らかのシールドがはりめぐらされた。
 コルネリアの砲撃が火を噴いた。
 まっすぐに貫く文字通りの弾幕は凶弾と化して強かに機体に追いすがり、少なからぬ傷を刻みつける。
 流血に相当しそうなことは起こってくれない。


 カグツチの穂先へ自身の紅蓮の権能を収束させた焔は、腱に相当しそうな部分へと刺し貫いた。
 確かな手応えと、火花が舞う。刹那――収束させた権能を開放。
 行き場のない紅蓮が先端で爆発し――その装甲を破砕する。
 巨体がぐらりと破砕した腱側の脚を傾ぎ、膝からがくりと折れていく。
 油の切れた金属が軋むような、ぎぃ、という不快な音が響く。
「やった?」
 焔が一息つく中、ずんぐりとした巨体がプシュゥと音を立てる。
 白い蒸気が鋭い音を立てて鳴り響き、戦場を白い靄が包み込まれた。
 金属が外れ、地面へ落ちてくる。
「バラバラになったしこれで倒し――てない!?
 巨大なパーツの雨の只中で周囲の状況を確かめ、一息入れる。
 しかし。晴れた蒸気の向こう、それまでの巨躯とは対称的な――人間と同程度の大きさをしたナニカが、蒸気を羽衣のように引きながら動き出した。
「装甲が無くなって動きが早くなってる――!」
 モカは爆ぜるように走り抜けた。
 流星の如き貫くような蹴りが生まれ落ちたばかりのその個体へ突き立つ――より速く。
 それがあまりに俊敏な動きでくるりと躱す。
 その直後、機体の身体が残像を引いて走り、跳躍と共に機体が高速回転を始めていく。
 まるで駒のように回転した機体がモカと焔を巻き込んで切り裂いていく。
 驚異的な連撃がモカに降り注ぐ。
「でも、確実に削ってるようだね。
 ――それじゃあ、ここからが私の本領だ! 君の動力はいくつ残っている? このまま削り切ってみせよう!!」
 紅の雷霆が迸り、まばゆく戦場を覆いつくしす。
 再び纏った一瞬の雷撃を走らせ、マリアは走った。
 蒼く変質した雷電をそのままに、踏み込みと共に跳んだ。
 弾丸と化したままに、機体へと打撃を撃ち込んでいく。
「動きは変わったと言え、やることは変わりません!」
 持ち手を無意識的に握りなおしたすずなは機体の方へと走る。
 白刃を閃かせ、横薙ぎに払うように撃ち込み、持ち手を返すように踏み込みと共に斬り上げる。
 その勢いに乗せて、すずなはそのまま剣を斬り下ろした。
 刹那的な連撃が、機体を軋ませた。
 アリシアも前へと走る。
 何度目かになる紅の斬光を動きを変質させた敵目掛けて振り下ろす。
 くるり、敵が人体にはあり得ぬ動きでそれを躱し。
「形態変化とはな……」
 ローザは縦二連装の猟銃を構え、静かに引き金を引いた。
 二本の二つのレーザーが不可視のまま、真っすぐに尾を引きながら駆け抜ける。
 人間が無しえない動きで動いた機体を、微かに弾丸が掠めていく。
 纏は自らの影へ暗器を仕込ませる。
 空へと放り投げた影は無数の弾丸へと変質、放物線を描いて機体の身体を削っていく。
「パージして速度を上げたのか……面倒だ」
 構えなおしたガトリング砲をぶちまけた。
 殆どざっくばらんに見えるその弾丸は、その実、空気の壁を削り、跳ねては曲がる跳弾の砲撃。
 驚異的な命中精度から放たれた砲撃に、躱そうとした機体が軋みをあげた。


 戦いは必ずしもイレギュラーズ有利というわけではなかった。
 数人はパンドラの奇跡のふたを開けている。
 足止めをあまりやってなかったこともあり、しばしば後衛に敵の攻撃を到達させてしまったのがでかかった。
 幸いだったのは、敵がこちらの殲滅を目的としていないようだったこと、動物的な動きではなかったことだ。
 動物や生物であれば、弱い者や隙のある者から潰しに来るだろうが、それに比べればはるかに分かりやすい行動を取る分、損害は少ない。
 音を立てて機械の腕がドリルのように回転する。
 腹部を掠めたドリルに、傷が開く。
 アリシアは返すように剣を握り締めた。
 握る細剣に纏うは虚無の刃。比較的命中精度の高い虚無の剣が、たった今動きを終息させた機械の腕を関節から削り落とす。
 傷跡から入り込んだ虚無が、敵の身体を内側から侵していく。
 マリアは自らに纏う紅を両手足に収束させ、一気に走り出した。
 四つの光を引く紅が動きを見せる個体へ、未来視が如き確実な拳打を叩き込む。
 電磁加速を用いてでの超加速は、マリアの本来の戦い方。
 たった今、アリシアへ撃ち抜かれた大技が最後だったのか、浸透した紅雷が機体の身体に強烈な追撃を齎した。
 それは慣れか、あるいはここまでの戦いで見えた動きの癖か。
「ほら、このままじゃあ真っ二つですよ?」
 走る太刀筋に迷いなく、撃つべく場所を分かっているように、すずなの太刀が駆け抜ける。
 舞い散る剣撃が、切っ先を失った機体の腕を更に深く断ち、分けてもう片方の腕を刈り落とす。
 大きく開いた隙は明らかだった。
「――ここで壊しちゃおう」
 焔は合わせるように踏み込んだ。
 全身を文字通りの炎と化したかのような鮮やかな赤に染め上げたままに、カグツチを振るう。
 まっすぐに撃ち抜いたのは、火柱のような刺突。
 突き刺し、払い、叩き落す一連の烈火が如きカグツチを振るい抜き、焔は前を向いた。
 まだギリギリ動き続けている機体目掛け、おしまいとばかりにコルネリアは弾を放つ。
 それはそれまでの弾幕とは違う。ただの一撃、ただの一発。
 しかしながら、連撃と致命的な傷を負い、対照的な精密狙撃は、機体の隙を読んでいたかのように綺麗に動力部を撃ち抜き、貫通した。
「終わった……か? 何があるかわからねぇ、さっさと出て封鎖だな」
 それを見届け、ほっと息を吐いて。再び福音砲機を構えなおし、天井当たりへ向け――ざっくばらんに弾丸をぶちまけた。
 イレギュラーズはその場を後にしていく。
(……杞憂ならいいのだけど)
 崩落していく遺跡を見ながら、マリアは嫌な予感がした。
(あの機械巨兵はあそこから出るのはほとんど不可能に見えた)
 最奥のスペースならばともかく、出入口まで進むのに、あの巨体ではどこかで詰まってしまう。
(ふむ……。まさか誰かが意図的に古代遺跡を起動した?)
 考えすぎだろうか? いや――それ以前に、だとしたら何のために?
 けれど、それを知るには要素が少ない。
「ふぅ……。疲れたね……。すずな君、マリ屋で一杯どうだい? きっとヴァリューシャも待ってる♪」
「そうですね……流石におなかすいてきましたし、お邪魔しましょうか」
 今や恋人となった彼女のことを思い浮かべるマリアの隣で、すずなも愛刀を納める。
「皆もどうだい?」
 振り返り、他の面々にも声をかけて、肯定されるのを見ながら、マリアが歩き出し、7人もそれに続いていく。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ローザ・グランツ(p3p009051)[重傷]
影縫・纏(p3p009426)[重傷]
全国大会優勝

あとがき

辛勝にはなってしまいましたが勝利には変わりません。
理由はリプレイに記載されています。

お疲れさまでしたイレギュラーズ。
傷をお癒し下さいませ。

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