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シナリオ詳細

かっこよく技名を叫ぼうぜ! Return!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■平和になったようでなっていなかった世界
「うぅむ……人魔共生とは難しいものだ……」
 暗がりで一人頭を抱え込んで唸るのは、魔王と呼ばれていた少女。今も魔王ではあるのだが、少々事情が変わった。
 というのも。彼女が人間の勇者に一目惚れし、拳を交え(本人的に)愛を深めて共に生きる約束をしたものの。配下にはうまく伝わりきっていない。知性のある魔族はなんとか丸め込んだものの、知性のない魔物の分野になると制御しきれないのだ。
 そのため日々魔物による被害報告や苦情の陳情などが魔王の下に届くようになった。人魔共生に納得してくれた配下の魔族を向かわせて鎮圧したりしているものの、手が足りていないのが正直なところ。
「お疲れのようだな」
 疲弊しきってだらけていた魔王の部屋に、勇者たるアルフォンス・アーガルム・アーク・アインベルツ……通称【勇者アアアア】がノックもなしに入ってくる。
「ぴゅあっ!?」
「……ぴゅあ?」
「の、ノックくらいしろ馬鹿者っ!!」
 間抜けな声が出てしまったのを必死に取り繕うが、耳まで真っ赤なので隠しきれていない。もっともこの勇者はそんな事気にもしないが。
「こちらにも話を通してくれれば、軍を動かすくらいはするのだが」
「そ、そういう訳にもいかん。これは人に我の気持ちを示す為の政務だ」
 性根が真面目な勇者と、変なところで意固地な魔王なのである。一応は相思相愛となったのだが……。うまくいってるのかいないのか。
「ふむ。だが、ちょっと急な頼みがあってだな。辺境の村が魔物に襲われていると報告があってな……」
「む、むう……今部下は全員出払っている。城の守りを空ける訳にもいかんし……我が直々に出るか」
「そういう事ならば、俺も同行しよう」
「ひゃいっ!?」

■え、何これ? 勇者と魔王がイチャイチャしてるだけじゃないの?
「……その疑問ももっともだけど。一応正式な招待状、依頼だよ。魔王様から、ね」
 苦い顔をするイレギュラーズに、苦笑を浮かべながらカストルは説明を続ける。
「勇者は側近を何人か連れてくるのに、我が配下の一人もおらんのは格好がつかない! とね。だから皆には魔王様の部下として、魔物退治をして欲しいんだ」
 あ、それと。と思い出したかのように付け加える。
「なるべく、格好良く振る舞って欲しいそうだよ」
 格好良い魔王の配下として、ね。

NMコメント

 与太依頼が欲しいと聞いたが、ネタがなかったんや、すまんな。以下略です。
 今回のシナリオは拙作【かっこよく技名を叫ぼうぜ!】と舞台となる世界は一緒ですが、該当シナリオをご覧にならなくても問題ありません。
 オーダーは、魔王の配下役として格好良く魔物退治をする、です。
 以下詳細。
・魔王
 今回は味方。『格好良い技名があるスキルでしかダメージを受けない』特性を持っていますので、実質魔物相手なら無敵。
 ほっといても大丈夫です。格好良くしろと注文はしますが。
・勇者アアアア
 名前が長いのでアアアア表記。側近の騎士と共に村を守っています。手伝いたいが魔王のメンツを守る為に見守るだけ。結構強いのに。

■狼型の魔物×6、猪型の魔物×3、鷹型の魔物×1
 今回の敵です。狼型はすばしっこく連携攻撃が得意。猪型は攻撃力が高い。鷹型は飛行能力を有しています。
 よっぽど油断しなければ負ける事はありません。ですので格好良く倒して魔王様を満足させてあげて下さい。

 前回と同じく、適当に技名をでっち上げて振る舞うのもOKです。
 技名が思いつかなければPPPのスキル名そのままでもOKです。魔王様基準なら格好良い技名なので。

 以上となります。
 格好良く叫んで格好良く倒して下さいませ。ダサいとツッコミが入るよ。

  • かっこよく技名を叫ぼうぜ! Return!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月28日 22時00分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
モニカ(p3p008641)
太陽石

リプレイ

■本日の魔王様の配下はこちらの皆様です
「魔王の配下……いやはや、世界は様々だな」
 複雑な表情を浮かべ、首の後ろ辺りを搔くのは『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)だ。彼の元いた世界にも魔王はいた。いたのだが、敵……というよりは変人だったので関わり合いたくないというのが本音なのである。
 値踏みするような目を、眼前の女魔王に向ける。多少露出の多い格好をしているが、性格はまともそうだ。そういう意味では安心である。
「普通に魔王単体で挑んでも恰好がつくと思うんだが……圧倒的力を誇示できるし」
 めんどくさそうに呟く『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)。しかし放っておかない辺り人の良さが隠しきれていない。
 ゴーレムっぽい仲間や悪魔っぽい仲間がいる中で、錬と世界は普通の人の見た目をしているのがやや懸念事項らしいが……。
「大丈夫だ、お前もその頭のソレがあるから魔族に見える!」
 魔王様、いきなり酷い言い草である。念の為に追記しておくが、世界はれっきとした人間である。ちょっと呪いでカチューシャが取れなくなっただけのちょっと捻くれた青年なだけなのだ。
 さて。見た目人間の二人をおいて。魔王様が大層喜ぶ要因である二人だ。
「ン。魔王様 ナンダカ 苦労人。フリマワサレテル。親近感」
 暖かな視線を魔王様に向けているのは『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)。見た目が完全にゴーレム種の魔物に近い。植物が生えているのも、歴戦の魔物っぽくて魔王様的にポイントが高いらしい。
「うむうむ、こういうのを我は待っていた! よろしく頼むぞ!」
「ン。フリック、頑張る」
 創造主たる少女に振り回された記憶があるフリークライは、今現在苦労している魔王様に親近感を抱いているようだ。やる気満々である。
「見てよ私のこの姿! 悪魔の角、羽根、尻尾に漆黒の大鎌! まさに魔族って感じでしょ!?」
 もうひとりやる気満々な『太陽石』モニカ(p3p008641)は大鎌や尻尾を振りながら自己アピール。そんな彼女に満足げに頷く魔王様。
「良きかなよきかな。期待しておるぞ皆の衆!」
 どこか和気あいあいと、のんびりした空気が広がる中。地元の精霊からの交信を受けた世界が視線を鋭くし、声をあげる。
「そこまでだ。来たようだぜ魔物が」
「おお、そうか。ではよろしく頼むぞ配下達よ!」
「……やっぱり複雑だよなぁ」
 呪符を構えながら錬は複雑な表情を浮かべる。

■人間達の視点
「王子、あの者達を信用して大丈夫なのですか?」
 魔王様とイレギュラーズの背中を見やるアルフォンス・アーガルム・アーク・アインベルツ……勇者アアアアと彼の側近たる騎士達。騎士達はまだ魔族を信じられないようで、小声でアアアアに話かける。
「ああ、大丈夫だ。彼女と、あの者達ならばな」
「はぁ……」
 信頼と自信に満ちた返答を返すアアアアに生返事を返すしかない騎士。それ以上は言っても無駄だと思い、戦場に目を向け直す。
「俺から動く! 巻き込まれないようにな!」
 錬が声を上げ、手にした呪符に魔力を込めると周囲に予めばらまいておいた呪符達が浮かび上がる。
「生命溢れる樹木達よ、力を貸してくれ!」
 その声に応えるように、呪符から樹の枝が飛び出し、槍となって狼型の魔物へと突き刺さる!
 先制攻撃に怒る狼は錬へと標的を定めて、飛びかかるが。
「敵対存在 検知 検知。龍樹大鉄槌 使用許可申請……ロック 解除」
 何らかの起動音を上げながらフリークライが狼の一体の横腹に向かい走る。彼が一歩を踏み出す度に、どすん、と足音が響くのもまたゴーレムっぽさを出す演出だ。
「龍樹大鉄槌 起動……ファイア!」
 大きな両の拳が、狼の腹を殴りつける。単純明快、しかしだからこその威力。その拳をまともに受ける形になった狼は骨が折れたのか血を吐いている。
「モニカ アト オネガイ。フリック、猪、相手スル」
「オッケー、まっかせて!」
 どすんどすんと世界の方へ歩くフリークライ。その後にモニカが大鎌を振り上げながら倒れた狼へ追撃すべく走り出す。
「「天に輝く蠍の心臓よ、暁に燃えて刃成せ! 『星辰集え輝かしき巨天の蠍』(ヴァーミリオンペネトレイター・アンタレス)――!」
 漆黒の大鎌にモニカの魔力が宿り、血を思わせる深紅へと変化する。それはまるで、血肉を貪る生きた武器であるかのように、無慈悲に狼へと突き刺さる。
「やりすぎちゃったりなんかして!」
 大鎌を引き抜き、くるんとポーズを取るモニカに魔王様も満足げに頷く。

 一方世界はというと。魔力で作った壁を盾に猪の突進を受け止めていた。
「本当は、後ろで黙って見ているだけの予定だったのに、よ!」
 愚痴りながらも防御の姿勢は崩さない。錬の標的が狼達だったので、自然と猪がノーマークになったのだ。このままでは村に猪がそれると思った次の瞬間、彼の体は動いていた。
 しかして彼とて歴戦の猛者。参謀役とかが似合うだろと戦闘前には言っていたのだが、猪の猛進を受け止めてピンピンしている辺りは流石である。軍師でも最前線で戦う人とかもいるから多少はね?
「良き心構えよ! 我が加勢しよう!」
 名乗りと共に回し蹴りを猪の伸びた牙に繰り出す魔王様。魔族を束ねる長の名は伊達ではない。ただの回し蹴りなのだが一発で牙をへし折ってしまう。
 ちらっとアアアアの方を見て、Vサインを出すなどアピールも忘れない。だが、戦闘中である。
「油断するな!」
 世界が声をあげると共に、魔王様の背中に向けて別の猪が牙を突き立てる。が、特殊な力を持つ魔王様には通用しない。体に突き刺さる直前で止まっている。
「警告感謝。だが、この程度では我には通じん」
「……わかってはいるんだけどよ」
 にやりと笑う魔王様に、口を尖らせながらも自身を含めて回復を施す世界。不要だとはわかっていても、後ろにいる人間たちに戦っているところを見せなければいけないのだ。

「……中々やりますね」
「だろう?」
 若干認識を改めた騎士に、表情は変えないが声色が変わったアアアアが応える。まだまだこんなものではない、と。

■魔物討伐!
「む、モニカ。あの鳥を撃ち落とすから、トドメを任せて良いか?」
「いいわよ!」
 大空を悠然と飛んでいく鳥型の魔物を見逃さなかった錬が、狼の飛びかかりを受けながらもモニカに声をかける。返答を聞いてから狼を蹴り飛ばし、魔力を込めた呪符を鳥に向けて投げつける。
「爆ぜろ、式符・炎星!」
 鳥の眼前まで飛んだ呪符が光を放ち、熱風を巻き上げて爆発する。突然の光と熱の衝撃にバランスを崩した鳥型の魔物は大地まで落下。体勢を立て直そうとしたところを、モニカに翼を踏みつけられ阻止される。
「恨みはないんだけど、これも弱肉強食。お仕事なのよ、許してね」
 表情はにこやかに、しかして振るう大鎌は残酷に。絶命した鳥を見下ろすモニカは可憐に笑っていた。

「世界 ダイジョウブ?」
「ああ、問題ない」
 世界の下に辿り着いたフリークライは彼の傷を心配するが、卓越した防御技能を持ち、回復魔術に長けた彼は傷一つついていない。このことがまた、騎士達に彼の事を魔族だと思わせる事になるのだが知る由もない。
「ヨカッタ フリック 攻撃スル」
「任せた」
 大柄な猪に負けない程に巨大なフリークライの拳が、顔面に叩き込まれていく。大振りの一撃だからこそ、当たれば威力は絶大。一撃で目を回し、二撃で脳が震え、三撃で首の骨が折れる。
「ウッ」
「大丈夫だ、俺がいる」
 横から生き残った猪の突進を受けるフリークライだが、少し傷ついただけのところに世界の援護もありすぐに治っていく。キラーン、と眼鏡が輝いたような気がしたが、気の所為、ではない。

「それで囲んだつもりか? 俺の狙い通りだとも知らずに」
 狼達に取り囲まれた錬だが、慌てる様子もない。懐から新たな呪符を取り出すと、それは氷でできた薙刀へと変貌する。
 一見脆く見える薙刀だが、魔力でできた物。一振りすれば冷気を放ち、傷つけた部位から凍りつかせて命を奪う殺傷力。特に寒さに強い訳ではない狼達は、次々と氷に閉じ込められていく。
「五行相生、木生火────なんてな?」
 最後に決めポーズを取る彼。そんな背中に最後に残った一匹の狼が飛びかかる、が。
「魔王様と勇者様、末永くお幸せにパーンチ!!」
 拳に深紅の魔力を乗せた、モニカの拳が狼を吹き飛ばしていく。その掛け声に魔王様が顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。

■大団円
「いやぁ、これは認識を改めねばなりませんな」
「そうだろう」
 騎士達が戦いぶりを見て称賛の拍手を送る。アアアアも満足そうに拍手をしながら、嬉しそうに笑っている。
「人間、魔族、共に生きる仲間として。協力すればいいじゃないか」
「皆 仲良シ イチバン」
 錬とフリークライが並んで語る。その言葉に説得力が乗って、騎士達が頷きを返す。これでもう大丈夫だろう。
「ところで勇者様?」
「なんだ?」
 モニカが下から覗き込むようにし、アアアアの顔を見つめる。その表情はいたずらっ子のそれで。
「結局魔王様とはどうなの?」
「んむっ!?」
「……まだ慣れないのかあんたは」
 モニカの爆弾発言に咽る魔王様。彼女の背中を擦りつつも呆れる世界。やっぱり初心なのであるこの魔王様は。
「どう……ふむ。ゆくゆくは人魔共生の証として、后として迎えたいが?」
「へ、あ、きさ、き……?」
「あー、なるほどなるほど。それじゃ、お幸せにー」
 これ以上つっこむのも野暮だと思ったイレギュラーズ達は、二人の世界に入っていく勇者と魔王様。置いてけぼりをくらった騎士達を後にして混沌世界へと帰っていくのであった。

成否

成功

状態異常

なし

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