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シナリオ詳細

<瘴気世界>災害獣

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●光輝の精霊の一手
「SS級冒険者が身命を賭しても単騎では絶対に敵わない筈のホワイトルミナスドラゴンがイレギュラーズに倒された……」
 境界案内人でさえ察知できないどこかにある光輝の頂上で、光の精霊と呼ばれる存在は次の作戦遂行を進めつつあった。冒険者を倒すための兵器(おもちゃ)、光輝竜がイレギュラーズの手で簡単に倒されてしまったことから、彼女は更なる難解な生物を生み出し始める。
「ユルサナイ……異例な存在がこの世界に干渉することなんてゼッタイに……。
 ユルサナイ……この世界で好き勝手にする輩は全員ケシテヤル……。
 ユルサナイ……ユルサナイ……」

 ——光輝の国『リュミエール王国 ギルド本部』
「緊急依頼が発令されました……!!」
 <瘴気世界>に存在する五カ国のうち最大の国土面積と人口を誇る光輝の国『リュミエール王国』のギルド本部は、ギルドの受付嬢が慌ただしく依頼を張り出していた。
 言葉の通り“緊急クエスト”であることは間違いないのだが、張り出された紙を見た冒険者は目を疑った。
「S級及びSS級の招集……だと??
 しかもなんだこれ、A級以下の冒険者の地上進出を禁ズ……?!」
 ギルドを出入りする冒険者のほとんどがA級以下でS級以上の冒険者といえばそう大していない。尚且つ王国の王政に関わることができるSS級冒険者を招集する事例は過去稀に見ず、緊急クエストの“緊急性”を伝えるには十分すぎた。
 だが、A級以下の冒険者が地上に出れないとなれば、反発が出るのも明らかだ。
「おい、なんだよこのインチキな内容は……!
 地上に出れないってなると、俺たちは稼げねぇじゃねえか!!」
 A級冒険者もそれなりに強く気迫はある方だが、そんな冒険者にもギルドの受付嬢は希薄で抑え込むように顔を近づけた。
「ぜっっったいに早まって外に出たりしないでくださいね……?!
 突然リュミエール王国地上に、“レジェンダリー級の魔獣”が発生したんですから……!!」
「レジェンダリー級……だと??」

●無理難題
「おいおい、レジェンダリー級の魔獣なんて聞いてねぇよ」
 常闇の塔の頂上、【闇の精霊】オプスキュティオが住んでいる精霊の間で、【元冒険者】ラナードは重きを置くべき事態に蒼白になりながら言う。
 元C級冒険者のラナードですらその存在は伝説上の存在だと思っていた“レジェンダリー級の魔獣”、それは王国を時々襲う“大渦”よりも災害度は高いと言われ、過去に王国屈指の五ヶ国屈指のSS級冒険者が命を賭してようやく討伐できたと伝説が残る程の魔獣だ。
「まぁ、あのクラスの魔獣になると精霊も相当の力を使うからね。
 精霊もリスクが高いから普段は絶対に生み出すことのない魔獣だけど、リュミエールの奴は相当ご立腹らしい。ご丁寧に王国へ依頼要請を出してるし」
 オプスキュティオはそう言いながら呑気に宙を漂っている。
 そんな彼女に【火焔の精霊】イグニスヴールは問いかけた。
「それで、あんなバケモノ……今の俺とタメ張る程強いぜ……?
 放っておいたらリュミエール王国の冒険者がどんどん死ぬだろうが、どうすんだ?」
 その魔獣は現在のイグニスヴールでも倒せるかわからない相手だという。
 だが、オプスキュティオは呑気に宙を漂ったまま指を鳴らした。
「イレギュラーズがいるじゃないか」

●謝罪(二回目)
「ああ、集まってくれてありがとよ?
 無茶ばっか言って悪いな。ご存知の通りの事態になっている。
 闇の精霊サマが言うには、討伐に向かった冒険者を護りながら倒してくれってさ……本当に無理行ってくれるよな。今度叩き斬ってやる」
 ラナードは自分ではどうしようもない事態に唇を噛みながら、貴方達に事の顛末を話した。

NMコメント

 牡丹雪と申します。
 この物語は<瘴気世界>の続編となります。物語は個々で完結する&前回のあらすじを書きますが、過去作を見て頂けると見ると更に楽しめる世界観となっております。
 また、世界観の詳細は自己紹介欄にも記載されています。ご覧いただけたら幸いです。


●目的【レジェンダリー級魔獣”???”の討伐】
 光輝竜を討伐されたことによりリュミエールは更に強力な魔獣を生み出しました。
 見た目は小さな少女のような姿をした魔獣ですが、攻守ともにかなり高水準をもっており、甘く見ると痛い目を見ます。
 また、どことなく『<瘴気世界>生前に交わした約束』でラナードへ依頼をした少女に似ています。

●オプション目的【討伐に向かった冒険者を護る】
 光輝の国に住む冒険者が命を落とすほど光輝の精霊の強さは増してしまいます。
 今回の魔獣は強力であるが為に光輝の精霊も相当の力を使いましたが、SS級冒険者の複数死亡は彼女の力を覚醒させる引き金になる可能性があります

●敵対相手の情報
・???
 可愛らしい少女の姿をしたバケモノ。
 攻守高水準で、SS級冒険者が束になっても敵わないだろうと闇の精霊は言う。
 行動手数が多いのが最大の特徴だが、混沌でいう特殊抵抗が低いのが唯一の欠点か。
 攻撃手段は不明だが、【飛】【防無】【連】の攻撃を持っていることが判明している。

●味方の情報
・S級以上の冒険者
 S級とSS級がいますがどちらもイレギュラーズよりは弱く、???の攻撃で死亡する場合もあります。

●ロケーション
 瘴気に荒れた広い荒野です。
 瘴気はイレギュラーズに害はありませんが、視界を悪くしています。
 また、会敵と同時に依頼を受けて駆け付けたS級以上の冒険者がサポートに回ります。

●世界観のおさらい
 かつて世界の均衡を保っていた6人の精霊たちはあまりの退屈さに人類を生み出し、それを繁栄させた。だが、人類を生み出す過程の中で邪悪な力を持つ魔獣も生み出してしまい、やがて史に残る大戦争が起きてしまう。瘴気により荒廃してしまった跡地から逃れるべく人類は地底へと生活圏を移動した。
 そう願った精霊が導いてくれた際に偉人が受け取ったとされる高純度の精霊石を用いた5つの疑似太陽により、まるで地上にいるような生活を送っている。のちにその疑似太陽に惹かれるように人々は巨大なコロニーを築き、5つの国が出来上がった。
 人類は精霊に最初に生み出された種族であるため、精霊石の魔力を浴びつつ魔獣の灰を食べながら生きている。

●前回までのあらすじ
 大型魔獣を討伐したことによりイレギュラーズはA級の冒険者として扱われております。
 この世界を統べている精霊の一人、【闇の精霊】オプスキュティオと交流を行ったり様々な調査を行った上で、イレギュラーズは『火焔の国 イグニスヴール』を襲った【火焔の精霊】イグニスヴールを取り押さえました。
 しかし、イグニスヴールの証言により三精霊が【光輝の精霊】リュミエールに取り込まれてしまった事実が判明しました。
 現在はオプスキュティオがイレギュラーズを利用してリュミエールの悪事を止めようと動いています。

●関連シナリオについて
 当シナリオは以下の連続シナリオと関連しています。
 よろしければ参考程度にしていただけたらと思います。

・『<瘴気世界>光輝の眷属』
 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4778

●アドリブについて
 本シナリオではアドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄かプレイングに一言ご記載いただければ幸いです。

  • <瘴気世界>災害獣完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月17日 22時00分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女

リプレイ

●死神の逆鱗に触れて
 その少女は、最初はそこに佇んでいるだけだった。
 何かを破壊するわけでもなく、何処かへ行こうとするわけでもなく、気が狂う程の禍々しいオーラを放ちながら、ただただそこに居るだけ。今の彼女に与えられた命だった。
 それが発見された頃には【光輝の国】リュミエールは混乱状態へ陥り、S級以上の冒険者が押し寄せてくることも、それを護ろうとオプスキュティオがイレギュラーズを差し向けてくることも、全て計算の内だった。
「魔獣……? でも……アレは以前……」
 彼女は人間、イレギュラーズたちの心を理解し始めていた。それが例え世界を滅ぼすようなバケモノでも、その姿をしていれば負の感情が生まれることを知りつつあった。
 否、それを教えてくれたイグニスヴールたちは本当に良い仕事をしてくれただろう。
 そこから巻き起こる地獄絵図、あまりに混沌とした出来事は非情で残酷なものである。
「とうばつたいしょう?」
 だから作った魔獣の姿は彼女によく似た、まるであの時の姿をしていた。
「……私はこの世界で、あと何人殺せばいいんだろう?」
 『白い死神』白夜 希(p3p009099)は、まだ遠くに佇む少女の姿を肉眼で確認し、無表情で何処か虚無感の篭った呟きを漏らした。
 イレギュラーズを、他の精霊を、人類を、瘴気世界を絶望の淵に陥れる。
 その名は【光輝の精霊】リュミエール。

「しかし、何処ぞの火焔の精霊みたいに自ら出張ってくるかと思ったが……」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は明らかな殺意を向けられながら呟いた。
 ある時の事件では、【火焔の精霊】イグニスヴールが直々に冒険者を粛清しようとしてそれを取り押さえた。だが、今回は本人に似ただけの“魔獣”である。リュミエール本人が慎重なのか、それとも余程この魔獣に自信があるのか。
「あなた達は邪魔なの……」
 世界はその少女が喋ったことに酷く驚いた。今までの魔獣は人の姿の面影もなく、意思疎通を取ることすら叶わなかった灰の塊だったが、その魔獣は自ら語り掛けてきたのである。
 そこに精霊のような不思議な力は一切感じなかったが、直後に命を抉るような一撃が襲い掛かり世界は息を呑む。
「盾役は、会長に任せて……っっ!!」
 辛うじてその一撃を受け止めたのは、咄嗟に間に割り込んだ『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)だった。魔力障壁を用いた彼女の防御はその名に恥じぬ最強の盾であることは間違いなかったのだが、鋭利すぎる少女の一撃は茄子子を吹き飛ばした。
「ちぃっ……無茶苦茶すぎるだろ!」
 庇われた世界がしっかりそれを受け止めたものの、かなりの距離を吹き飛ばされた。
 もしも今の攻撃をもろに喰らった時のことは考えたくもない。最凶の魔獣だ。
「世界が自分の思う通りに回らねば気がすまぬ精霊、のう……」
 だが、少女が茄子子と世界を吹き飛ばしたことで生まれる大きな間合い。
 それを見逃すほど『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)は甘くなかった。
「こうして変な干渉をしてくる辺り、もはや害悪じゃろ」
 少女を容赦ない魔力の砂嵐に閉じ込めながら、クラウジアは口々に呟いた。
 狂乱のままに他の精霊を喰らい、禁断の魔獣を解き放ったリュミエールは、彼女の言う通り『世界の害悪』に等しい。それが例え創造神に近しい存在であっても、世界の破壊は許されざる行為なのだ。
「それなら……私にとって害悪なのはあなた達、消えって?」
「なっ……!?」
 強烈な砂嵐の檻でも少女の動きを完全に封じ込めることは出来なかった。
 少女は桁外れの脚力で魔力の砂嵐を強引に突破すると、クラウジアに標的を定め、目にも止まらぬ速度で一直線に間合いを詰めてくる。その鋭利な一撃に茄子子は間に合わない。
 ――が、今度は希がそれを許しはしなかった。
「強すぎる光は……何も見えなくなる……ひとつの色以外を認めない拒絶の光を、私は認めない」
 憤怒に身を焦がした魔女の鉄槌が振り下ろされ、少女は地に這いつくばることになる。
 希はそれでも無表情で居続けたが、リュミエールの行った行為は確実に彼女の逆鱗に触れていた。そうでもなければ彼女が過去の瘴気世界でここまで感情的になったことなど無い。
 無様に地面に転がった少女に希はゆっくりと近づいた。
「あの国で会った子が光輝の精霊だったんだね……なら」
 希はその胸倉を掴み、酷い剣幕で少女を睨み付けた。
「私の事覚えてる???」
「…………」
 少女はここぞとばかりに希のことを殴った。
 希は大きく吹き飛び、茄子子に受け止められるが、再び少女に近付いた。
「魔獣なら覚えてないかな?」
「…………」
 ダメージを負いながらも近づいてくる死神にトドメを刺そうと、少女は更に一撃加えようとするが、それは茄子子にブロックされた。少女は呆れた顔になる。
「でも魂は覚えてるよね?」
「…………」
「思い出せよ」
 少女はそれでも近づいてくる希に今度こそトドメを刺そうとするが、遠方から飛んできた仮想宝石の破滅的な魔力奔流がその腕を粉々に砕き、更にノックバックを発生させる。
 再び地面に叩きつけられた少女に、追い打ちをかけるように憤怒に任せた炎を孕む鉄槌が振り下ろされ、少女はボロボロの姿になりながらまた地面を転がる。
 それでも希は攻撃の手を緩めたりしない。
「…………」
「私はこの世界の異物、お前の嫌いな、イレギュラーだ」
 少女は打ちのめされてボロボロになって、ぐしゃぐしゃにされて、それでも感情的に、怒りに身を任せて暴走する希を見て――再びあの時の悪魔的な笑みを浮かべた。
「アハ、アハハ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

●災厄と冒険者の怨嗟
「まずいな……」
 世界は今の状況を冷静に理解して、そう呟いた。
 クラウジアと茄子子は彼の言葉の意味が分からず、少女の方へ目を向けた。
 戦況は表面的に見れば希が圧倒的に少女を押しており、このまま少女が逆鱗のままに攻撃を続ければ確実に葬り去ることができるように見えた。
 だが――
「なんだよ……これ」
 少女が無防備に打ちのめされる姿を茫然と眺める冒険者たちが居た。
 本来であれば共闘して少女の皮を被った魔獣を討伐する味方であり、出来れば彼らが到着する前に決着をつけてしまいたかった――が、彼らは最悪のタイミングで現れる。
「魔獣がわざわざ見覚えのある少女の姿をしていたのが気になってたが……」
「どういうことなのじゃ……?」
 それは以前、魔獣化してしまい、そのまま死んだことになったラナードの尻拭いをした際に、世界と希が知り得たかもしれない――いや、今回で核心に至っただろう。
 そして、まんまとその術中に嵌ってしまったことに世界は気付いた。
「……自分が崇拝している存在が目の前でボコボコにされてたら、どうする?」
「…………っ!」
 気付けば自分たちが敵として冒険者たちに囲まれていることに、クラウジアも茄子子も唖然とするしかなかった。
「よくも、リュミエール様を……」
 誰かがそう言った後は早かった。
 総勢二十……いや、三十は居るであろうS級以上の冒険者たちが一斉に押し寄せる。
「まって! 違うの、会長たちは……!」
「お主ら、思うこともあるじゃろうが、ちと落ち着くのじゃ……!」
 暴徒と化してしまった彼らの耳にそんな声は届かなかった。
 剣で、槍で、あるいは弓で……共に戦った、あるいは共に戦う筈だった者たちの牙が迫り、イレギュラーズたちは覚悟を決めるしかなかった。
「っ……しかたねぇ、殺さねぇ程度に気絶させるぞ……!!」

 そこから先は泥沼のような戦いだった。
 本来味方であるはずの冒険者たちは、自分たちが崇拝している光輝の精霊がイレギュラーズによって滅ぼされようとされていると勘違いし、それを阻止するために全力でイレギュラーズに立ち向かう。
「本当に違うの……! 信じて……!!」
 光輝の精霊の陰謀を知っていたイレギュラーズたちは、冒険者たちの猛攻を防ぎながらひとりずつ気絶させるべく、細心の注意を払わねばならなかった。
「っ……キリが……――!!」
 逆鱗のままに希の攻撃を喰らい、ボロボロになっていた少女は突如牙を剥き冒険者を殺す。
「お主ら……いい加減に……!!」
 少女が冒険者を殺したのに、冒険者は仲間がイレギュラーズに殺されたと勘違いし、更に猛攻が激しくなる。少女は冒険者が死ぬ度に狂気的な笑みを強め、更に冒険者を殺す。
「やめて……」
 希は目の前で次々と冒険者が倒れていく様に、懇願する。
 冒険者は少女の一撃にすら耐えることができず、またひとり沈む。
「いらないなら最初から創らないで……。飽きたからって……捨てないで。
 個共の意思を無視しないで……親のための道具にしないで!!!」
 そう叫んだ時、殺戮のままに尽くしていた少女の頭が撃ち抜かれた。
 苦し紛れにクラウジアが放った仮想宝石が破裂すると同時に少女の頭は木っ端みじんに吹き飛ばされ、そして動かなくなる。
 少女は最後まで笑っていた気がした。
 死神は見えない空を見上げて、精霊を呪った。

成否

成功

状態異常

なし

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