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シナリオ詳細

【黄昏幻影忌憚】ワタリの章・人形神編

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●廃村
 ワタリ村。
 廃村であるその場所は、外から見ても明らかに荒れ果てて何もなさそうに見える。
 だが
 ――ぞくり
「っ!」
 村の外からでもわかる圧倒的な得体のしれないプレッシャー。
 数瞬の躊躇い、村の中へ。
 茅葺き屋根の廃屋が立ち並ぶ村だが、奇妙なのは。
 廃屋の中には持ち出される事なく残った、その当時の生活の痕跡を色濃く残す家財道具の数々。数多もの銃弾や刃物の痕跡、べっとりと塗りつけられた血痕。
 村民の間での惨劇か、それとも…。
 そして、ある廃屋。
 まず目に付いたのはおびただしい数の人形。巨大な鍋。神棚。何かの文献。
 これらから察するにここで行われていたのは。
 作られていたのは。
「……人形神」
 ――ぞわっ。
 見られている。直感が人形神だと訴えている。
 これは迅速に対処せねばきっとまずい。
 至急彼らへ知らせねば…!

●書斎
「やあ、イレギュラーズの諸君。初めまして、だね。君達の噂はかねがね聞いているよ」
 呼び出されたイレギュラーズが入ってきた部屋、書斎らしきその場所に立っていたのは白髪で赤い目をした女性だった。十中八九境界案内人だろう。
「本題に入る前に軽く自己紹介をしておこう。
 私の名はミヤコ。お察しの通り、境界案内人だ。主にここの書斎を担当している」
 そう自己紹介しているその声音はある種の緊張感を帯びている。
「それで、早速だが君達には行ってもらいたい場所がある」
 そう言いつつ机の上に置いてあった本――ライブノベルを差し出した。
「それは『黄昏幻影奇譚』と言ってね。都市伝説やら怪談やらそういった類のものを元にした代物だ」
 聞けばこの世界の中で人形神と呼ばれるものが作られ、村一つが壊滅していたという。
 製作者も行方不明で何故そんなものが作られたのかも不明だそうだ。
「だが人形神はまだ村の中にいる。これが外へ出て他所へ行ったとしたら。どうなるかは想像に難くないだろう?」
 そこで、だ――と間を置き
「君達にはこの人形神が居る村、ワタリ村へ行き情報収集と人形神の討伐をして欲しい」
 具体的には人形神で何をしようとしたのか。他に何か物騒なものがいるかもしれない。など。
 そして人形神の討伐。
 どうかこれ以上無用な犠牲者を出す前に対処して欲しい、とミヤコから付け足された。

NMコメント

 皆様初めまして。
 ノベルマスターのアルクと言います。
 初のシナリオになります。
 宜しくお願いします。

●舞台
 オープニングにもあったように都市伝説や怪談といったホラーテイストが強く現代日本に近い世界です。

●目標
最低目標:人形神の討伐
次点目標:ワタリ村の調査
    人形神の製作者の行方
    本当に大惨事以外に目的がないのか
    その他何かあれば

●敵
人形神:この世界において人形神の強さはそれこそ化け物級ですが、皆さんの敵ではありません。姿は化け物そのものです。
攻撃方法
 巨体→その巨体さを利用して突撃してきます。
 無数の手足→自身の周りにあるものすべてを身体から生えている無数の手足で破壊し尽くします。
 噛み付く→その巨大な口で噛み付いてきます。

  • 【黄昏幻影忌憚】ワタリの章・人形神編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月14日 22時01分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
トキノエ(p3p009181)
恨み辛みも肴にかえて
リズ・リィリー(p3p009216)
アンラッキーハッピーガール

リプレイ

●ワタリ村
「参ったな、厄介な仕事引き受けちまったかもな……」
 そうぼやくのは『特異運命座標』トキノエ(p3p009181)。彼曰く、思っていた以上に『空気がヤベエ』のだ。
 イレギュラーズがいるのはワタリ村の目の前。ミヤコから依頼を受けて来たはいいが、あまりのり気でないのは自明だ。
ただ……
「人形神か。これがどういった背景・思想で広まったものなのか、興味がそそられるよ」
 学者としての性だろう、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)の場合は恐怖心より知識欲の方が強い。それともただ単に覚悟が決まっているだけなのだろうか。少なくとも調査という点で彼女ほど心強い存在はそうはいない。
 そしてワタリ村の中。
「探索は得意って訳じゃないんだよね~」
 『アンラッキーハッピーガール』リズ・リィリー(p3p009216)は自身のギフト、『チアフルコンパス』も探索向けではないと語りつつも人形神に対する警戒を怠らない。
「……うわっ」
 廃屋の中の様子は話には聞いていたが、その外。村の中全体もひどい有様である。
「これはすごいなー」
 『蒼穹の戦神』天之空・ミーナ(p3p005003)としては生き残りでもいれば何かしらの情報を聞き出す心算でいたが、これではそれも叶わないだろう。とはいえ、まだ調査のしようはある。ミヤコから件の廃屋の場所は聞いている。そこに向かえば何かしらの情報は掴めるだろう。
 その廃屋は村の端にあった。
 最初に一同がとった行動は文献探し。これはゼフィラがすぐに見つけ、中に目を通した。それは人形神の作り方とその性質について書かれた代物だった。
 曰く。作り方は3寸ほどの――約9.1㎝である――人形を1000体作りそれを鍋で煮詰める。そうすると1体だけ浮かび上がってくるものがある。これはコチョボといわれるもので1000の霊が宿っているとされている。これを祀る事で人形は人形神として成る。
 そしてこれは一度作ってしまえば一生離れる事なく製作者の願いを叶え続ける。そして死後も離れる事はなく、とり憑かれた者は人形神と共に地獄へ落ちてしまう、というもの。
「……とんでもないものだな、これは」
 ゼフィラは持ち前の資料検索により内容を精査し、まわりに伝えたがさすがの面々も言葉が出てこない。
「それってつまり製作者が死んだとか村から出たら人形神もいなくなるってことだよな?」
 数瞬の沈黙、トキノエから発せられた疑問。
「ああ、そう読み取れるな」
 ならば導き出せるものは一つ。
「それってまだ生きてるってことだよね!?」
 そう気付くとどこかへ走り出そうとするリズ。だが
「あべし!?」
 その不運体質からか足がもつれ転んでしまう。
「あいたたた……」
「おいおい、大丈夫か?」
 ミーナが手を差し出すが
「うん、ありがと。……うん?」
 手を取ろうとしたリズが何かに気付いたのか動きが止まった。
「どうした?」
「ここ何かある」
 指さされた床をよくよく見ると大きめの四角い切れ目がある。これはもしかしたら。
「隠し部屋!?」
 不幸中の幸いとでもいうべきか。
「ん」
 拳一つで床板を粉砕するミーナ。そこには階段があり、その先には明かりがついているようだ。
 通路を進む一同。その先からは何かが聞こえてくる。
 警戒を強めつつも先に進む。そしてその声がはっきりと聞こえるようになってきた。男性であろう、かすれた声がうわ言のように何かを繰り返し喋っている。
「これは……」
「違う違う違う、こんなつもりじゃなかったんだ!こんな……。そんなそんなそんな!」
 目が血走り膝をついたまま頭を掻きむしる作務衣姿の壮年の男。明らかに発狂してしまっている。
「……話は聞けそうにないな」
 間違いなく人形神を作った本人だろう。人形神の居場所もわからない現状ではもうお手上げである。
「そういえば上でこんなものを見つけたんだ」
 トキノエである。
「ほら、今回は人形神が絡んでるだろ?ならこのワタリ村の成り立ちや伝承にこの人形神が関わってるかもしれないと思ってな」
 トキノエが持ってるのはワタリ村について詳しく書かれているものだった。だがそこで――
「――っ!?」
 いる。絶対いる。得体の知れないプレッシャー。まとわりつくような異様な冷たい視線。こんなもの、ただの人間が出来るはずがない!人形神だ!

●神殺し
 村の中央。集会所にでも使われていたのだろう、そこだけ開けた場所。戦闘するには申し分ない。
 そこには黒いぼろマントを身に着け、フードで顔を隠した人型の何かがいた。これは間違いない。
「出たわね!人形神!ここでやっつけてやるんだから!」
 そう宣言しつつ胸元から赤い宝石を取り出し変身術式を発動させるリズ。宝石から短剣変化させると同時に自らの衣装をフォームチェンジ。キラキラとした光に包まれながらも本人自身も光り始める。そして着ていた服が一つずつ消え、魔法少女のそれに変わっていく。もちろん変身中のセリフも忘れてはいけない。

 らぶりー ちぇんじー らずべりー
 すちーるはーと あんぶれいくっ
 不運に負けずにキラメキシャイニー!
 魔法少女(強調)ラブリー☆ラズベリー
 ピカッと参上! ヨロシクねっ♪
(原文ママ)

 最後はびしっと少し照れながらもポーズを決めるリズ。もちろん敵が変身中に待機しているのはお約束である。ついでに言っておくが異物感満載とか突っ込んではいけない。わかったね?
 そしてそのお約束も終わり、動き出す人形神。
 ギシャアアアアアア!!!
 真の姿であろう、ムカデのような姿だがその胴体には無数の
 手。手。手。
 足。脚。肢。
 いや、だがしかし。気付いてしまった。
「これはまさか――」
 頭部の顔が無数に変化しているのだ。老人、青年、子供。男に女。
 まさかこれは
「村の人間を喰らったのか!?」
 おかしいとは思っていた。よくよく見渡せばないのだ。
 ひとつも。
 何が?決まっている。
 村人の死体がひとつも無いのだ!
「ーーっ!」
 身構えるイレギュラーズ。
「こいつが人形神!?気味悪ィ見た目してんなオイ!」
 素直な感想を言うトキノエだが、いち早く反応したのは人形神だった。
 殴る、蹴る、薙ぎ払うーー。手足から繰り出せる攻撃がおよそ同時に、そして連続的に周囲を破壊し尽くす。
 しかして無類の強さを誇る人形神も、この世界に縛られた存在。
 その理から外れた存在であるイレギュラーズの敵ではない。その攻撃をかわすのも容易である。
「……いや、正直、引くわー。私も一応神だからさー」
 そう愚痴るのはミーナ。こんな気味悪い神様と自分自身と一緒にされたくはないのだ。
 一気にSAGで人形神との距離を詰め、弱点と思われる頭部に狙いをつける。地上で行う平面戦闘と違い空間を使った立体戦闘となると勝手が違う。さすがは大ベテランというべきか、華麗にダメージを加える。
 人形神がミーナに気を取られている間に攻撃を仕掛けたのはトキノエだった。その手に持つ武器を憎悪の剣とし、隙だらけの手足に攻撃していく。厄介そうだから潰しておきたい、との考えからだが
ダメージこそ負わす事はできても
「うっへえ、まじか……」
 手足が止まる気配はまったくない!
 辟易するトキノエを尻目に接敵するゼフィラ。回復役も担う彼女だからこそ、自身の立ち位置には気を付ける。が、今はそんなもの必要ないだろう。そして光の一閃。ローレットの中でもトップクラスの反応を持つゼフィラ。その反応を攻撃力に変換したバーストストリームを受ければただでは済まない。それにミーナやトキノエの高火力も受けているのだ、人形神の姿が保てなくなってきている。
 だが、人形神もこのまま黙っているような存在ではない。自身に攻撃してきた者が一筋縄ではいかないと判断したのだろう、リズに噛みつこうとしたが
 バギャン――
「その顎を叩き砕いてやるわ!」
 カウンターとして放たれたアースハンマーがその顎にヒットしたのだ!
 脳震盪でも起こしたか、動きが止まる人形神。
 とどめといわんばかりに動いたのはミーナだった。
「これで、とどめだ!」
 落首山茶花。変幻の邪剣が文字通り首を落とし、山茶花を咲かそうとばかりに強襲する!その首に刃を通し、そして人形神を倒す為、その刃を振りぬく――。

●そして
「ふう、やっと終わったね?お疲れ様」
 ゼフィラの言葉とともに肩の力を抜く面々。
 これでようやく、トキノエが見つけてきた資料に目を通せる。
「ああ、ついでにこれをさっき拾ってきた」
 それは?とリズが聞き返した問いにミーナは
「さっきの地下で男がいただろ?そいつのそばに落ちてた」
「落ちてたっていうかパクったんじゃねーのかそれ……」
 呆れ果てるトキノエだったが、それよりもその中身。
 それらの内容をまとめるとこうだ。
 ワタリ村。
 この村では『ワタリ様』という土着の神を崇める地方宗教が存在していた。問題はその教義。ワタリ様が降臨する日に世界は滅び、神の信徒だけが神の国に導かれるという一種の終末思想を有していた。その信徒の証として自分の子供を一人、贄として捧げなければならないのだ。
 だがそれに異を唱えたのは先程の男だ。その神こそ我々を破滅させる悪そのものである、と。その降臨の日も近い。故に人形神である。だがその人形神の暴走。本来であれば製作者の命令は絶対だ。逆らうわけがない。ただひとつ。最初の命令を下してから暴走をし始めた。つまり、ワタリ様からこの村を守れ、と。あの男の作った人形が不完全だった故の暴走だったのか。それとも願いを曲解したが故の行為だったのか。それはもう今ではわからないが、イレギュラーズの脳裏によぎったのはひとつ。
 ――これで終わりではない。
 その後。男の様子を見に行ったが、人形神を作った時点で魂が人形神と同化していたのだろうか、骸がそこにあった。

成否

成功

状態異常

なし

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