PandoraPartyProject

シナリオ詳細

本当に鍋を食べてしまったのかい?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●無ヶ丘高校のオカルト研究部にて
(さて、本日のお悩みはっと)
 綾敷・なじみは投書箱を持ち上げる。こんな時期でも、ヨルはやっぱり忙しいらしい。
 ふむふむと一つずつ選びながら、”あやしい”ものと”そうでない”ものをより分けていく。
「お正月においしいモノを食べ過ぎて体重が増えた」うーん、事件性はなさそうだ。「スカートが急に縮んだ」……同様の事例だろう。「寒くてふとんから出られない」これもまあ、違う。もしかするとヨルかもしれないが――綾敷・なじみはあやしくないので、あやしくないものはなんとなくわかる。
 ということにしておこう。とにかくこれはあやしくないのだ。
「おや」
 主張するようにひらりと舞い降りた投書。それは、こんな書き出しだった。
「これは、先日、登山部の兄が経験したことなのですが――」

●人の食卓に手を出すものは
 再現性東京2010――。
「こういう話を知っているかな?」
 雰囲気を出すためにか、明かりを落として、綾敷・なじみは語り出す。
「この希望ヶ浜のとある普通の大学の山岳部。吹雪にまかれて、遭難した3人組がいたんだねえ」
――外は猛吹雪だった。
 3人はかろうじて目印をたどり、無人の山小屋に避難することができた。
 3人は、部屋の四隅に陣取ると――眠らないように鍋を囲んだ。
 鍋?
「遭難してるにしては、結構余裕だよねえ? まあ、低い山だったし、それほどピンチってわけでもなかったんだろうね。少なくとも命の危険はなかったみたいね」
 携帯用ガスコンロを設置してビールで乾杯。うち一人は未成年だったのでジュース。ホットサンドメーカーでマシュマロを挟んだりなどして、3人は、順調に優勝を重ねていった。
 そこで、お調子者の一人が「鍋をやろうぜ」といいだした。
 すなわち闇鍋というやつだった。
 大学生たちは一人ずつ具材を投入して、時計回りに食べていった。焼き鳥の缶詰とか、よくわからない肉とか(いや、普通の豚肉とか鶏肉だった。大丈夫。大丈夫なやつ)。――固形レーションとか!
「ぶえっ、誰だよ、こんなモノを入れたの!」なんてひととおり盛り上がったのだけれど。
 電気がついて、鍋を覗いてみると。
「具材が一つ多かったんだよお」
……???
 一人が何か一個入れて、一人が一個具材をとる。
 そういうルールだったのに、鍋の底には卵が残っていたのだ。
 しかも、何度やっても同じように――何か残っているのだ。
 数が、合わない。
 つまり、なじみの言うところによると、「勝手に鍋の具材を足してくるヨル」が出たらしい――。
「というわけで、ね。用意したよ、鍋」
 いつの間にか、ぐつぐつと鍋が煮えている。
 これで闇鍋をしてヨルをおびき出して、ヨルを退治してほしい、ということらしい。
「といっても、ヨルは無機物とか、毒物とかは入れてこないみたいだね。あくまでも食べ物の範囲で、嫌がらせみたいなものを入れてくるらしいね。固形レーションとか、フライドチキンとか、多めの唐辛子とか。人数分に合わない数のお肉とか。はじめの方なのに締めのラーメンとか」
 悪さの範囲が微妙なヨルだ。しかし、迷惑なことには違いない。
「まあ、鍋を乱す気配を感じ取って心の目で見れば、おのずと鍋を壊すことを阻止できるはず。
 ところで、依頼で、好きな鍋の具材を持ってきてほしいと頼んでおいたけど――みんなは何にしたのかな?
 おっと、私? 私は内緒だけどね、まあ、普通の具材だよ」
 そのあたりは安心していいよ、となじみは胸をはるのだった。ポケットからは、パックされたうどんと油揚が見えている。
「というわけで、はりきっていってみよう」

GMコメント

あけましておめでとうございます。鍋です。
タイトルはアレですが、お肉は完全に大丈夫な奴です。
今年もよろしくお願いいたします。

●目標
・ヨル<闇鍋>の退治
・鍋を楽しむ

●状況
闇鍋をすることが、ヨルを召喚するプロトコルとなっています。
明かりを消して、鍋に具材を投入していきましょう。

イレギュラーズに混じって、ヨルが妨害するような食材を入れてこようとしてきます。
食材自体は鍋に合わないものの、単体で食べればそれなりにまともになるものです。
適当に阻止して鍋を楽しみましょう。

箸でつかんだモノは食べましょう。

●敵
ヨル<闇鍋>
 ふわふわと浮いた菜箸と透明な本体です。人の群れに交じって闇鍋に合わない素材を入れてきます。
 妨害してきたときに実体化するので、攻撃を与えることができます。
・カステラ
・フライドチキン
・固形食
・締めのラーメン(初手)
など。

もっと過激なモノを入れようとすると、アイデンティティを失い、動揺して具材を持ったまま固まります。

●鍋
鍋はなんどか仕切り直して味変することができます。これは死ぬなと思ったら場面転換で新たな鍋になります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい具材とそうでない具材を切り分けてください。
 不測の具材を警戒して下さい。
※ほかの人が何を持ってくるかわからないためのC-です。

  • 本当に鍋を食べてしまったのかい?完了
  • GM名布川
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月21日 22時01分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
無名偲・無意式の生徒
Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
楊枝 茄子子(p3p008356)
メテオ直撃
ボディ・ダクレ(p3p008384)
大切な人の為
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
甘いくちどけ
金枝 繁茂(p3p008917)
贈る祝詞
影縫・纏(p3p009426)
全国大会優勝

リプレイ

●破滅の鍋音
「悪性怪異が出ると聞いて駆けつけてみれば、闇鍋で変な食材を入れてくる怪異とはな」
『特異運命座標』影縫・纏(p3p009426)はチリソースを食卓にセットすると、空の鍋に挑戦的な目を向ける。
 ハラペーニョ、キムチを筆頭に、豚肉・白菜・長ネギ・ニラ・もち・昆布・チーズを持っての参戦だ。
 茶目っ気を出しつつも、良識的な布陣といえるだろう。
「ボコボコにしてやるよ」
 受けて立とう、とヨルは思っていた。
 このときまでは。
「ウオオオオオ!」
『たんぱく質の塊』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)の山盛りのプリンを乗せた馬車が急停車し、慣性の法則によって大きく揺れる。もちろん、プリンは緩衝材でもあるため問題はない。
「マニエラちゃん、お酒の準備はオッケー? いくわよぉー!」
『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は杯を掲げ、『策士』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は額を押さえる。
「今すぐ帰りたい。できればこの腹が無事である内に」
「……え、鍋つついて終わりの依頼じゃないの? お酒とおつまみ持ってきちゃったぁ!」
 アーリアは開始時点で流れるように飲酒していた。なんなら纏のキムチにも手を付けていた。チーズもおいしい。
「闇鍋? え? どう考えても嫌な予感しかしないわぁ」
「プリン! サイコウ!」
「アーリア、最初くらいはソフトド」
「は~い軽い飲み物ね♪」
 マッチョ☆プリンがプリンの伝道師なら、アーリアはアルコールの伝道師だった。
(恨むぜなじみさん……)
 この光景はマニエラに郷愁の念を呼び起こすのだった。
 帰りたい。

「ふーん、闇鍋?」
『Sensitivity』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)はきらりと妖しく目を輝かせる。
「アブナいものを入れるのね? ネタに逝きネタに死す、その逝き様になんの後悔があろうか? 自重? ナニソレおいしいの? ……が座右の銘の私にはまさにお誂え向きの依頼ね☆」
「え~? 何を持ってきたの?」
『ヘビー級ハニートラップ』金枝 繁茂(p3p008917)に、Aliceはにやりと笑みを向ける。
「ふふん、内緒!」
「ならハンモも内緒だよ~」
「ゴエエエエエエ」
 繁茂の懐から……懐から???
 ロバ肉(生)が新鮮な悲鳴を上げている……?
「闇鍋ってドキドキ!! 自分が食べる側に回るとそうも言ってられないけどね!!!」
『痛みを背負って』ボディ・ダクレ(p3p008384)は動じなかった。
 むしろ、なるほど、これが……と情報をインプットしている。
「ロバ肉、ですか(?)」
 多分違う。
「ロバ肉自体は食べたことある人は多いと思うけど、頭を食べた人は少ないんじゃないかな!?」
「不可思議な食材を暗闇で探り、その可笑しさを集団で楽しむ料理、闇鍋。
えぇ、私は今回の夜妖撃破に高揚しております。端的に言えばワクワクです。
何分、闇鍋をすること自体が初めてですので。皆様、どうぞよしなに」
 地獄のコール&レスポンス。
 地の底より響くかのようなロバ肉の不気味な声がそれに応える。
「鍋!ㅤやっぱ寒い日は鍋だよねぇ!ㅤ会長白菜すき!」
『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)はタッパーで震える不穏な浅漬けを押さえつけている。
「でも今回は闇鍋かぁ。もうなんかすでにプリン鍋は出来そうだよねぇ」
「プリン鍋……ええいお酒で流し込めば何とかなるわぁ、多分!」
「プリン! サイコウ! プリン! ツヨイ!」
「うんうん! 甘い鍋も美味しいかもしれない!ㅤなんでも挑戦だね!ㅤがんばろう! ……よし、じゃあ明かり消すよ?ㅤ食べられるやつしか入れちゃダメだよ?ㅤフリじゃないよ? 」
(しかし、果たしてヤバい食材を入れるのはヨルだけなのだろうか……?)
 纏はひそかに思った。
「はいぱちん」
 悲し気なロバの声とじたばたするきうりの音が暗闇に響き渡る。
「あ、モニタを消しておかねば」
「プリン!(ボチャンッ)」
 ボチャン???
「いっくわー☆(とぷん)」
 Aliceが続けて何かを入れた。
 とぷん。とぷん???

●万能プリンinゼリー鍋~免罪符を添えて~
 ふわりと白椿油の香りがした。その安らぎと平穏を与える香りは逆に鍋の危険性を下方修正させるトラップと化す。
 鍋。マッチョ☆プリンにとっては初めて触れる文化。だが食に関する事ならば話は簡単だ。
──プリンは最高なのだから、コレを入れておけば万事解決。
 すなわち、選ぶのは一択。プリンの投入である。
(……よっしゃ明かり消えた!ㅤ羽衣教会の免罪符入れよう!!)
 せっせと免罪符を鍋に移す会長。
 この免罪符に許されれば、ダイスはすべらないと評判だ。
 ライスペーパーでできた、目で楽しんでついでに美味しい羽衣教会謹製免罪符。
(あ、鍋に入れたらドロドロになった!ㅤちくしょう!)
「楊枝様?」
「どうしたのー?」
「プリン?(プリン?)」
「あっ……いやなんでもないよ!ㅤうん」
 鍋はぐつぐつを通り越し、ぷるんぷるんとなっていた。
 今鍋をひっくり返そうとも、微動だにしないだろう。
 ボディがおたまですくい上げたのは何らかの塊だ。
「これは……」
「蒼汁(アジュール)を材料にしたゼリードイード改よ」
 なんて?
「なるほど……」
 なるほど???
 逆に考えよう。
 Aliceの魔術的パラダイムシフトCCWが現実を書き換えていった。
 これは鍋だよ? 食べられないわけがない。
「味覚の英国面でお馴染みのうなぎのゼリー寄せだけど、私はコレをパラサイトテンタクルの蒼汁ゼリー寄せに魔改造したの。ああ、でも闇鍋だとビジュアル面のインパクトはほぼ消えるからなー、そもそもその理由でスターゲイザーパイは却下したわけだし」
 でも念のために作ってきてある。
 ゼリーに侵食された鍋に、マッチョが悲鳴を上げる。
「プリン!? プリンチガウ!? ナンデ!? プリン!?」
 そうか、これが――ヨルの仕業か。
 オノレ、ヨル。これが。プリン鍋への狼藉を働くなどとは!
「……”あなたの罪を許します?”」
「!?!?」
(あ、会長の免罪符の文字の部分だ)
 溶けてしまった免罪符の文字列がプリンに移ったらしい。
「オオオ……プリン……」
 プリンはすべてを許すのか。
「ふむ、これは鉄分が含まれていますね」
「ふふん、いーとみぃ♪ なんてね」
 サイキックヴァンパイアの体液(血液)だ。
 倫理的にも年齢制限的にもアウトな気がするが、食材適正はすさまじい。「美味しい」と感じられる成分だ。
「美味しくいただきましょ♪」
「あれ? 結構大丈夫?」
 繁茂がボディを眺める。
「ええ、おいし、おいし――おいしいと断定するにするにするに足りるごちそうさまで\(^o;)/」
 ボディのモニタにすごい顔文字が出てぷすぷすと煙が上がっている。
「あっ、やばやば」
「ダイジョウブカ?! プリンダ! スグニ!」
 倒れるボディに追いプリンが迫っている。
「うっ……どこをすくっても甘いものだわあ」
 アーリアは甘いものは苦手なのだ。
(なら、奥の手よ!)
 プリン+醤油はウニの味がするという。
「うっぷ」
「アーリア、大丈夫か?」
 マニエラが水を用意したが、青い顔をしたアーリアは的確に酒の方を奪い取った。
「ありがと。お酒がなかったら危なかったわ」
 再起動完了。
 ふっと息を吐いたボディは鍋に続けて手を伸ばす。
「ぼ、ボディ?」
(皆様が食すよりかは機械の私の方がマシです)
「ボディーーー!」

●未知との遭遇、出会い、別れ
 鍋で昆布が煮えていた。
 さっきのは、ボディの活躍で全てなかったことになった。
 マニエラが具を入れる。
 ほうれん草とお麩と豆腐と卵。そして、纏がニラを足した。
「んー! おいしいわ!」
「わあ! 何このお箸越しでも分かる鍋では感じる事のない感触!」
 こんな平和な鍋になにがあったというのか――。繁茂の持っている箸はぶるぶる震える。
「あ、きうりじゃない?」
「ううん、違う! ぶあつい!」
「分厚いきうりじゃない?」
「分厚い……!? なんかもさっとする!」
「ロバか?」
「違うよお、ちゃんと首を落としたから!」
 どうして候補が複数ヒットするんだ……?
「ねぇ! これ生きてるでしょ! 鬼眼判官で見るよ!!?
なんでこんなことができるの!? あんまりだよ!!
闇鍋って言っても鍋なんだよ?!!」
「食べないの? んー、何かしら」
 アーリアは箸をさまよわせる。
 チキンの匂いがした。
(そういえば希望ヶ浜に観光にしに来たいって、この前ミケくんが言っていたような……。
でもミケくんみたいな姿はこの街じゃびっくりされちゃうし、まさか来ないわよねぇ……えぇと、次の具材っと)
「あら、なんだか随分重いし大きいわねぇ、うぅんなんだか「私は食べ物じゃないです!」って聞こえるような?
まぁいいわ、えぇと大きいからそのまま被りついて……ギエエエエエエエ?」
「アーリアさん……! アーリアさん! 領主どのおおおお!」
「み、み、ミケくんじゃないのよぉー!?」
「助けてください!」
 再生するきうりに襲われるミケランジェロ。さすがにそのまま食べるわけにもいかない。
「これ、どうする?」
「仕切り直しましょうか?」
「!? ううん、美味しい!」
 ……ミケくんの出汁で、美味しい鍋ができてしまった。
 不思議なこともあるものだと、ボディはまた一つ学習を重ねた。

●~火鍋~
(この闇鍋の平穏は私が守る!)
 纏はハラペーニョで先制攻撃を仕掛ける。
 じっくりと辛口に仕上げていくのだ。
 きうりは先ほどの騒動ですっかり再生してしまっていたので、再びスライスして投入する。すかさずかき回す会長。
(わかんないけど甘いもの入れるよりマシでしょ!ㅤちゃんと食べれるし!)
「危なかったわー」
 アーリアはとりあえず一升瓶を抱えて、お酒をちまちま。ミケくんは箸をかわしている。
(さっきのミケくんみたいのを引いたらアレだし……)
 箸で掴んだら食べなくちゃだめ、というルールかもしれないが、暗闇ではアーリアが何をやってるかは見えないはずだ。
(つまりお行儀は悪いけれど、どれにしようか迷うふりで軽く箸で……)
「罪」
 浮かび上がる免罪符の文字(溶け残り)。
「あらー? ずるしたのかしらー?」
 くすくす笑うAlice。
「って何でばれるのよぉ! わかったわよぉこれ!」
 拾い上げた鍋の具材は……お魚だ。まともだ!
 ボディの釣果だった。
「あら、おいしいわ!」
(皆様の食材が過激なモノであったとしても、普通の鍋の味を作ることで、ソレがより際立つという物)
 そして、より夜妖のアイデンティティを揺るがせるという算段だ。
 良心ボディ。闇鍋に残った良心。
「ん、味噌ベースでいけるわこれ」
 自家製の味噌であった。
「鍋のベースがそもそも無かったら具材どれだけ入れても駄目らしいです。本で学びました」
「料理上手だね~」
 隙を見て、免罪符を追加する会長。
(うん、ここは素直に肉を入れよう)
 マニエラは狩人として生計を立てていた時期もあるほどだ。とはいえ普通の肉では面白みがない。
 というわけで、選んだのは「猪肉」だ。
(……味は獣臭いがプリンとかと比べれば遥かに食えるだろう? いや私が引きたくはないからな……もっとヒトの味覚と嗅覚が死ぬようなやつを入れてやりたいんだけどさァ!!)
「これー」
 マニエラの入れた肉を、Aliceはざっぱんと勢いよく拾い上げた。小首をかしげる。
「美味しい。ん、ハズレか~……」
(ハズレ???)
 マニエラがすごい目で見ている。
 さらなる刺激を求めて追加カードを引くAlice。
「ンギエエエエ」
「あ、それハンモのやつだね! 音で分かるよ!」
 ロバ肉――。
(きた、きた! 美味しいやつが!)
「折角のお鍋だしみんな豪華で高級なお肉がいいでしょ!」
「ンギエエエエエエエ」
 震える肉。
 戻るきうり。
 平穏だった鍋の中は、いつのまにか一つの生態系をなしていた。手招きされてる気がして逃げるミケくんは賢い。
「ちなみにマグロの話だけどね、マグロの頭って貴重でおいしい部位ばっかり!」
「ふんふん?」
「脳天、ほほ肉、カマ、カマトロ!
それに目を食べると頭が良くなるって言われてるしコラーゲンたっぷりでお肌つるつる!
だから大丈夫!!! さぁ召し上がれ♪」
「はーい♪」 
 もぐもぐと咀嚼する。結構、なかなか、ふむ。なかなか。美味しいが、美味しいのだが、美味しくて良いのか。
「あら、こ、これってもしかして……」
「すみません。とってしまいました」
 ぷるんとした例のプリンを、横からボディがかっさらっていく。紳士だった。
 アナザーアナライズによって食材の気配を感じ取れればその方向に箸を伸ばすのである。良心。
「ガッツ、ムッシャ!」
 マッチョは自分の皿にプリンをよそう。追加のプリンを投入しようとするたび、何者かに菜箸で阻止された。
(危なかった……)
 影の守護者、纏だった。
 纏は影がプルンとするたびに菜箸を振るう。
 何故止められるのだろう、とマッチョは不思議に思う。
──どんな具材であろうと、プリンと一緒なら美味に決まっている。最高のハーモニーだ。そう思いながら、つまんだロバ肉をプリンで平らげる。
「プリン単品ならいいんだけどな……」
「……ン? ヤッパリオマエモ食ベル?」
 纏は静かにキムチを投入した。辛さでなんとかごまかそう。
 徐々に、徐々に辛さが鍋を侵食していった。
「さっきは甘かったし、振れ幅が大きいね~」
 ハンモが手を付けたのは、これはお餅か。美味しい。
「こ、これはー……」
 会長が手をつけたのは、塩辛とくさやだ。そっ……と免罪符でくるんでいただく。全て許される。嘘、ちょっと食べる前に鍋に戻した。
(思いっきり失敗した感があるわぁ、うーん)
 アーリアがたまたま持ち込んだ酒のつまみだったのだから仕方がない。
(肉を入れたから野菜が欲しいな……「蕨」をいれよう)
 マニエラが入れた。アクが強いが、そんなものはこの鍋にとっては誤差というものだ。
「これは……」
 代わりにマニエラの箸がつかんだのは、きうりだ。きうり……?
 しゃきしゃきのきうりだ。
 まずくはない。歯ごたえが……なんだこれは。
(まぁなんかほっとくと再生しだすかもしれないけど食べちゃえば平気平気!)
 美味しいのがまた罪深いものである。

 ヨルはもうこれ以上鍋をどうしたらいいのかわからなかった。
 固まっている。いや、無理だよ。
「はーい追加追加」
 しかし、勝手に! 美味しく食べられて旅立ったきうりの霊とロバ肉の霊が、Aliceの霊魂操作によってタッグを組み、勝手に纏のデスソースを追加したのだ。
「ほう……」
「うげー、見てるだけで辛いよー、いや見えないけどわかるもんこれ」
 地獄の様に煮えたぎる鍋。違う。違うんです。
「ふふ、ついに。ついに正体を現したわね、ヨル!」
「現れたわ!」
 違います。Aliceが……そんな言い訳は通用しないわけで。
「鍋を台無しにするような無粋なまねは、ここで終わりです」

●どうしてこうなったんだ
 ボディのブルーコメットTSが炸裂し、ヨルを吹き飛ばした。
「皆様! 鍋をお願いします!」
「今のうちに、鍋を……!」
「しまったわ!」
 ヨルの素早い攻撃に……Aliceは余裕で、いやむしろ3回くらい飛び跳ねても十分なくらいに余裕があった。ぜんぜんしまったしてない。
 追いつきすぎて追い越し、からのゴウダウンザラビットホール。ヨルを顎クイして、激辛鍋を一さじ。
 ――ヨルはぴしりと固まった。
 Aliceは嗜虐的な笑みを浮かべる。
「料理しておいしくいただくわ♡」
 ケイオスマジック『百夜一夜』が、闇鍋というカオスを無限に肯定する。
 客観的真理などない、故に、あらゆることは真実であり可能である♡
「とうっ! いくよっ!」
 繁茂のマジックロープが、するするとヨルを締め上げた。
「はーい、あとはみんなにおまかせ~」
 させてたまるか。
 ヨルのさまようお玉がミケランジェロを狙う。それは結構美味しいのではないのか?
 しかし、それを纏が弾き飛ばした。
「影の中なら、負ける気はしないな」
 アーリアが、がっちりヨルをホールドする。
「ね、暗闇でするのが闇鍋だけでいいの? もっといいことしない?」
(なぁんてね、ふふ)
「ふふ、どう?」
 Aliceとアーリアのダブル色仕掛けに、ヨルはもう次の具材を入れるとかそれどころじゃない。
「はいどーん!」
 会長の神気閃光がまばゆく辺りを照らし、異形の鍋を照らし出した。
 強烈な鍋の姿が露になったために、イレギュラーズたちは精神的なダメージを受ける。
 精神的ダメージは大天使の祝福が回復していく。ついでにきうりも欠片から再生した。
「ちゃんと最後まで食べきろうね!ㅤ食べられる鍋はね!
食べ物を残すと翼が生えてこないって羽衣教会の教義にも載ってるしね!ㅤしっかり食べきろう!」
 纏はヨルを押さえつけると、デスソースと混沌をヨルへと、あるべき場所へと押しつけていく。

「オオオオオ!」
 プリンはヨルに立ち向かっていく。
 なぜ、戦わなくてはならないのか。
 ご飯を共にした者達は、時に家族同然の仲となると聞く。特にこの鍋という者はその傾向が強いのだそうな。
──ならばこのヨルにもそれは言えるのだろう。
 がっちりとヨルと向き合い、わかり合おうとした。
 こうして依頼にまでなっている以上、退治するのはしょうがない。
 だが共に鍋を囲った以上最初から最後まで仲間外れにするのは気の毒というものだろう。それにヨルも具材を入れているのだから食には参加してしかるべきである。
 ならばどうするか…… 。
 ママならどうするか……!
 ズギュウウウウン。
「え!?」
「きゃあ」
「あらあら♪」
 手段としてマッチョが選んだのは──口うつしだった。
 曰く。一部の動物は消化を助ける為に、母親が一度食べてから戻したものを子に与えるという。

 なるほど、自分から食事に参加しないシャイな子にはちょうど良い『家族愛』ではないか。
「サァ! 一緒ニ! レッツ……

プゥ☆
リィ☆
ンンンンンッ☆」

 ヨルから、ぷつん、と何かが切れる音がした。
「プリン……?」
「プリン! プリン!」
「「プリン!」」
 ヨルは真実を理解したのだった。
 プリンこそが至高であると。

●闇は去り
 電気が付いたが、惨状は想像の通りである。
「とほほ、もう闇鍋なんてこりごりだよ~」
 ハンモがぐでっとする。
「生き延びた……」
 マニエラはふう、と一息ついた。
「あー、たくさん飲んじゃったわぁ」
 胃薬を飲むアーリア。
「はい」
 アーリアお姉さんのためにウコンを渡す。デキるマニエラだった。
「あら!? これでもっともっと飲めるじゃない!」
「ジュースもあるぞ」
「会長口直しするー」
 ジャーキーやミントの清涼剤も完備している。
(まぁ正直鍋よりも怖いのはアーリアお姉さんからのアルハラの方だからなあ)
 プリンハラスメントはヨルが受けてくれたわけだし。そうマニエラは思ったのだが……。
「これはもう、飲み直さなくっちゃだめよねー!」
「え?」
 がっちりと肩を組まれている。
「え?」
「あら、ご一緒しようかしら」
「ひとまずは……鍋の〆、というやつですね。卵とお米で、おじやをつくりましたよ」
 ボディが台所から鍋を抱えて現れる。まっとうに美味しそうなにおいがした。

成否

大成功

MVP

ボディ・ダクレ(p3p008384)
大切な人の為

状態異常

Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)[重傷]
シュレーディンガーの男の娘
アーリア・スピリッツ(p3p004400)[重傷]
キールで乾杯
ボディ・ダクレ(p3p008384)[重傷]
大切な人の為
金枝 繁茂(p3p008917)[重傷]
贈る祝詞

あとがき

あみだくじをしました。
たのしかったです!

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