シナリオ詳細
再現性東京Latest:バスト賛歌
オープニング
●生まれ、やがては消えゆく技術(PLASH)
生き物が生まれ、そして死んでいくのが世のならい。
定められた生命の輪廻に従って、生命は巡る。
最も、混沌ではその理が全てとは限らないのだろうが……、しかしここ、再現性東京においては、多くのものはそうだ。そうなるように作られている。
そして、それは、目に見えるモノばかりではない。
”技術”もまた、そのうちの一つ。
新たな技術が生まれ、発展し、研ぎ澄まされて、そして新しい技術が生まれ、陳腐化し、――うそでしょDSの発売日は16年も前なの――絶え間なく流れていく。
再現性東京、『Latest』。その時代を回顧し、まるで凍り付かせるように閉じ込める再現性東京のなかでも、ここは、……ひときわに技術が枯れていく場所なのだった。
●人を胸で判断するのは 良くないことですよ
再現性東京Latest。
年末の気配はほど近く、どことなく浮き足立つような――。
そんな空気が、辺りに漂っている。
クリスマスにはしゃぐカップルは、ショーウィンドウの前できゃっきゃとショッピングに興じていた。
取り出したaPhoneが、勝手に何かの”映像”を再生しはじめる。それは人の形をとり、むくむくと浮かび上がった。
「う、うわあああああーーーー!!!」
「アナタは……Fカップ!」
現れた男は、びしりと指をさす。
「は!? 違いますけど」
「おい、変態か? なんだこいつ!?」
「いえいえ、私がさしているのは彼女ではなくアナタ。あくまでもあなたの”好み”がFだという占い結果デース。私、見るだけで分かりまーす。アナタの思い、確かに受け取りました」
「は!? どういうこと!?」
「アナタの好みはFカップ。これは覆らないのデース」
「悪かったわね! 小さくて!」
「いや、そんなことは!?」
口喧嘩を始めるカップル。
良いことをした、とヨルは頷く。
「欲望のミスマッチ、よろしくないデース。ですから、この力で人々を救うのデース」
そうして、最新型のaPhoneに消えていった。
そのヨルが姿を保っていられるのは、あと、数日。
なぜならば……このヨルはネットミームによって派生したヨルだから。PLASHと呼ばれる技術で作られた動画が、人々の願いを叶えるために――というかねじ曲がって、どういうわけかヨルと化したのだ。
このインターネットミームが消え去るのも、数日だろう。
(その間に、ワタシは多くの迷える仔羊を救わなければなりまセーン)
一人でも多くの人間の「内なる望み」を解き明かすのだ。
●技術が進んでもやってることは変わらなかったりするよね
タタタタ、ッターン!
『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)は真面目な顔をして掲示板を更新し、幾多もの書き込みを分析している。
最近の流行にキャッチアップすることはとても大切だ。だから今日は――再現性東京のなかでもLatestを選んだ。
新たなる知を学ぶため、だ。
目覚めたときに、過去の事をすっかり忘れてしまっていたジョーイだが、新しい知識を得れば、何か分かるかもしれない。
(学ぶべきことは多いであります)
ぴえんとか、ぱおんとか。
「あなたは|好きですか」……現れた広告はおっかないのでそっとしておく。というかポップアップ広告のブロックに阻まれた。最近のブラウザは優秀だ。
しましまの男も探したりしない。
ジョーイはキーボードの左右キーを操り、バーを巧みに動かしていた。跳ね返ったボールはブロックを崩していき、服が脱げてミニスカサンタの太ももがあらわになっていく。
あと、少し。
そのときだった。aPhoneに着信がある。
「やつが出た」と。
バスト占い師――Latest東京に現れた、過ぎ去った時代(平成)の残り香。
「まかせるであります。吾輩は見ての通り無性。吾輩にかかれば、そのようなヨルなど意味をなさないであります」
それと、バストに貴賤はないであります。ジョーイの瞳はヘルメットのせいで見えないが。おそらくまっすぐで、澄んだ目をしていた。
- 再現性東京Latest:バスト賛歌完了
- GM名布川
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年01月12日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●集え! バスト戦士たち
「システムの移り変わりは時代を感じるね。……って、バスト占いだって!?」
端末を操作し、依頼の情報を眺めていた『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)の手は止まる。
慌てて画面を閉じようとして、うっかり再生ボタンを押してしまった。
「わああ!」
高らかに流れるバスト賛歌。
ほっぺを赤らめるチャロロはまだまだお年頃だ。
「Fカップずきーはふんふんふんふん〜♪」
ノリノリで歌詞を口ずさむ『シャウト&クラッシュ』わんこ(p3p008288)はぐっと拳を握る。
「約束されたぺたんこ人工おむね、ぶっ壊れ女の子ロボたぁわんこのことデス以後夜露死苦ぅ!!」
……言ってて泣きたくなりマスネ???」
「……何だバスト占いって……何を考えてたんだ……昔人は……」
『策士』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は頭を抱える。
「対抗ミームで……いやバスト占いに対抗できるのってなんだよ……」
この歌はずいぶんと耳に残る。
放っておけば、大変なことになるに違いない。
「PLASH? ってなんな? よくわからんけどそれがおなくなりになるな?
それはごしゅーしょーさまな、おくやみもーしあげるな」
『魔法少女』エシャメル・コッコ(p3p008572)はよく分からないながら、そっと手を合わせる。
「PLASH……私が元々いた世界でも、似たようなインターネット技術があったらしいと聞いている」
『ヴァリアブル・バスト』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は冷静なものだ。紳士的にチャロロからaPhoneを預かると、そっと再生を止めてあげた。
「当時で80年以上前のものだったらしいから、私も直接触れたことは無かったが……ま、技術は日々進歩していくものだ。別れを惜しんだり懐かしんだりを否定はしないが」
「80年以上前……そっちの時代はずいぶんと進んでいたのね。似たようなものはどこにでもあるものね。好きな胸の大きさなんか暴露されたかないわよ誰だって」
『黒き魔法少女』ノワール(p3p009373)はふっとため息を吐く。
やれやれ男子、みたいな態度ではあるのだが、内心、少年の心はドキドキしていた。
それをちっとも顔に出さないのは、魔法少女としてのキャリアのなせる技だろう。
「でもそれがなんでおっぱいを占うことになるのかさっぱりな? コッコわかんないな??」
「そうだな……迷惑をかけているのであれば討伐せねばな」
「まーでもおっぱいが好きなのはわかるな。かーちゃんもおーねーちゃんもオトコはおっぱいが大好きってゆってたな!」
「あわわ……」
「かーちゃんもおーねーちゃんもちょーでっかいな。ちーねーちゃんはコッコとおなじくらいな。
おっきいのもちっちゃいのも好きな? よくわからんけどなるほどなー」
(聞こえてない! 聞こえてない! 聞こえちゃったのは忘れよう! うん!)
チャロロはぶんぶん首を振る。
忘れようとするほど耳に残ってしまうのはどうしてだろうか。
「なかよしさんでもないのにおっぱい言うのはダメってコッコきいたな。男の子と女の子は着替える場所もトイレも違うからな!」
ぽん、と手を叩くコッコ。
「つまりこの占い師はワルイやつな! コッコがオシオキしてやるな!」
「そうよね。悪よね。人に迷惑かけてる以上は容赦しないんだからね!」
「妖怪の胸の好みは知らないケド私達が手分けすれば誰かには引っかかるでしょ」
髪をかきあげる『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)は、ポーズを作ってaPhoneを構える。
「自撮りとかしたらおびき寄せられないかしら?」
「ジドリ?」
首をかしげるコッコ。
「それはいいな」
「駄目なら>>1000って書いた紙おきゃ出てくるわよ」
「ズサー! わんこが華麗に1000ゲット!」
「ふむ……ふむふむ……この大小さまざまなバスト戦士たちがそろった布陣……。
勝ったな! ガハハ! 風呂入ってくるわ! でありますな!」
『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)は面々を見回す。
「それではいざ、出陣であります!」
●華麗にエントリーするバスト戦士たち
「ではバスト戦士たちを紹介するでありますよ~!」
ジョーイはふんっとマッスルポーズを決める。
上半身裸メットマンスタイルは通常であれば通報必至だろう。
ドリームシアターでぴくぴく動く大胸筋の幻影を胸に投影している。
「エントリーナンバー1、わんこ!」
ぷしゅー、という煙と共に入場したわんこ。
「おおおっと、それはー!?」
「我が身に纏うは「一菱流(月花)」。
月に叢雲、花に風。磨かれた防戦技術さえあれば、服の仔細は関係ないのデス」
パーカーを脱ぎ捨て、胸に巻くはサラシ。
手にするはaPhone。
「これぞトラディショナル自営業と現代っ娘の融合露出……さぁ来い占い師ッッッ!!!」
「むっほーーーー! いいでありますな!」
「えっと……ワルモノはリカちゃんたちがおびきだすな?」
「見なさい、このサキュバスおっぱい。私より大きい女はだぁれも見た事ないわ♪」
寄せるポーズをする利香。
ただでさえでかいのだ。それがあふれんばかりにたわわだ。
「はー、リカちゃんちょーでっかいな。かーちゃんよりもおーねーちゃんよりもでっかいな!」
「はい、ちーず♪」
「え、コッコも撮るな? ジドリ? 地鶏じゃなくて自撮りな? これに向かってピースすればいいな? はい、チーズな!」
ぱしゃりとシャッター音がして、フラッシュがたかれる。
「うーん、……これでいいな?」
「んんんー犯罪スメルがやばいでありますな! では次、変幻自在、ドリームバスト! モカ殿ぉおおお!」
モカの衣装は、胸元広めのボディ・コンシャス、いわゆるボディコンという服だ。胸のサイズは巧みに調節され、サキュバスよりも一回り小さいサイズになっている。それでもデカい。
体のラインが否応なく浮き出る衣装を華麗に着こなすモカ。
「時代的にはPLASH登場より少し早いらしいが」
「んんん-刺さる、刺さるでありますなあこれは。これで来なかったらモグリでありますよこれ。健康的なバスト、大変よろしいであります! コンセプトは?」
「……バストの大きさに貴賤など無い。強いて言えば美しさだ」
「吾輩、大いに同意するところであるからしてっ!
次は~! おおっと! もうすでに胸元をはだけさせているとはっ!!!」
「うーん……こんなんで出てくるのかしら?」
ノワールは一切恥じらうことはない。むしろ、気になるのは周りの……。
「わあ! まだ心の準備が!」
一応、加勢をしようと上半身裸になっていたチャロロは思わず顔を覆った。
「おおっと、チャロロ殿! 吾輩たちも頑張るでありますよ~」
「人気のない場所なら怪しまれないかもしれないけど……寒いよ! 真冬に!
ていうかみんな見せちゃうの!? オイラには刺激が強すぎるよ!」
機械の心臓でもなんだかドキドキするような気がする。
「あら、大丈夫?」
(うわああああ)
思わず鼻血の一つも出そうだ。
「ぅぐ……目の毒……」
ノワールはそっと目を逸らす。
「ん? 女の子な? コッコと一緒な? 恥ずかしいな?」
「……羽織るか?」
モカがそっと上着を差し出す。いや、むしろ羽織ってほしい。
きらりと金色の目を光らせ、くすくすと笑う利香は欲望というものを理解しているようだ。
(どうしてこんな衣装が用意されてるんだろうな)
更衣室で悩むメーヴィン。
マイクロビキニは……流石に人目につきすぎる。ミニスカサンタを一旦手に取りかけたが、少し時期が遅すぎるか。
(ならば……これか)
更衣室のカーテンが勢いよくあいた。
「巫女服でありますか! 狐耳に巫女服とはなかなか通でありますなあ~」
「イエス! 黄金比!」
ぐっと親指を立てるわんこ。
「じゃ、みんなではいチーズな」
「男を悩殺してきた夢魔の誘惑術、耐えきれるもんなら耐えきってみなさい♪ いひひ!」
●夢がいっぱい
「AカップBカップCカップDカップ~EカップFカップGカップHカップより取り見取り~いろんなバスト♪
理想と現実~♪ ……おおお! 夢のバスト~デス!」
飛びついてくるヨルに、妖艶な笑みを浮かべて身体を晒す利香。
「ほら、我慢はだめよ……食いついて? ……隙あり!」
豊満なバストのその谷間から、魔剣グラムが取り出される。
「!? OHHHH! 飴と鞭デーース! ですが、ここでくじけるわけにはいきまセーン! さらなるバストが待っているからデース!」
「はっ!」
モカの鍛え上げられた肉体からしなやかに繰り出される流星流格闘術・基本ノ型。美脚は美しく弧を描き、バストはそれなりの重力加速度で揺れる。
「くっ、痺れるバストデース」
「本当にござるかぁー? 吾輩の好みのバスト本当にわかるでござるかー?」
大胸筋をぴくぴくとさせながら、ジョーイが煽る。
「さあ! 言ってみるでありますよ! さあさあさあ!」
「フ~ム」
ヨルはレガシーをじろじろとながめる。
自分に素直。ならば――好みはこれだ。
「見えマース、あなたの好みは……ずばり、Fカップ!」
「ほほーん」
「!?」
「一部だが当たってるであります! やりますねぇ」
(これは……いったい……?)
どういうことだ。
自分のバスト占いを食らっても、恥じ入るどころか有識者のように頷くだけ、とは。
(恥ずかしがる、あるいは怒り出す――ならば分かりマース。平静を装う……とも違いマス。まさか、これはっ……!)
占い師はOPPスカウターを起動する。見事な8角形。これは……。
(今までに類を見ないバランス型……! それも、博愛(オールマイティー)!)
スカウターがはじけ飛ぶ。
「一撃だけだと思ったか?」
モカの蹴りが後ろから炸裂する。
流星双撃。
攻撃を重ねれば、必然的にヨルがとれる行動は狭まっていく。そして、ついに一撃が決まった。
「ちなみに私の好みのバストは……自他共に形が美しければ、絶壁から巨乳まで全てだ!」
(博愛(オールマイティー)……が、二人!?)
なるほど、確かに。その身体は変幻自在にスタイルを変えていく姿は、美の具現者であった。
「くっ、このままでは勝てませーん! そこのアナタ! 協力していただけマスか?」
「了解であります!」
思わず返事をしてしまうジョーイ。
「とりあえずは他の方々の理想のバストや性癖もききた……はっ!? まさかこうして吾輩を懐柔しようとは!? 恐るべし!」
「チイッ、騙されまセーンね!」
「ともあれこれも仕事ゆえ! 倒させてもらうであります! ホワアアラッシュ!」
「ならば、私も本気を出さなければなりまセーン!」
背後に創鍛した疑似生命が、オーラをまとう。
ヨルもまた構えをとった。
突きの連打。
「巨乳!」
「お姉さん!」
「「義理の姉ッ!」」
交錯する性癖と性癖。その一手一手に、使い手である者同士の「わかり」があった。
「アナタ、やはり実力者デスネー」
(むむむ、これはなかなかに手ごわい相手の様子……もし出会い方が違えば……友になれたかもしれんでありますな……)
「そちらの巫女服の彼女ーーーーっ!」
「ん? 別に見られて恥ずかしいような体はしてないし、胸の大きさ云々なんて聞いたら答えるが?」
「……て、鉄壁、デース!? だがこの技を食らっても同じ態度がとれるわけはありまセーン!」
(……あぁ、社会的な死がとかそんかことか。うん)
「ナルホド。形が良ければ小さくても~フムフム」
(フムフム)
ついでに情報を集めるジョーイ。
「そうだなショタのバストは薄くて良いな」
「!?(先読み、デスカ!?)」
自分から暴露することでダメージを押さえる戦法か。いや、違う……!
これは、この宣言は。痛みを乗り越えた者だけが持ちうる、強さ。
「パンツが闇市に流出してるのにその程度で恥ずかしがると思うな」
「なんですとーーーー!?」
予想外。
覚悟が、違った。
チェインライトニングがヨルを絡め取る。
「あべしっ」
「諦めてんだよこっちは。早くプライバシーの保護を頼むんだが???」
早く性癖をキャッチして、いち早く回復しなくては。
ヨルが向かったのは――いや、惹きよせられたのは、必然だった。
「ふふ、いらっしゃい」
それはリカ・サキュバスの魅せる夢。
夢魔の祝福。
死ぬまで逃れられぬ色香に、魂無き人類の敵に醒めぬ夢を。
一介のヨルが、その夢から逃れられるわけがあろうか。
テンプテーション。
妖しく輝く瞳。ただ一人だけをその視線に映すように。
「グアアアアーーーー!」
大きく吹き飛ぶヨル。
「今ね! 問答無用!」
ノワールのピューピルシールが、ヨルの口を塞いだ。
「アガガガふがもが」
「わあぁぁぁぁ!!!!」
大声で叫びながらノワールはピューピルシールを殴打する。プライバシーは守られた。
「あ"ー! あ"ー! 言わないでー!!
くらえー! バックハンドブロウ!」
前衛に立つチャロロは思い切り叫び声を上げる。機煌重盾がゴツンとヨルを吹き飛ばし、金属音が暴露をかき消した。
「むむむ、ほんとにあらわれたな! 悪いやつ!」
コッコはきらりと魔法杖を振る。
「そーいん、我に続けな!」
コッコのピューピルシールが、またしてもヨルの口を封じる。
「×××!(もがー!)」
「ふーいん魔法をおみまいな!
みんなで囲んでボッコボコなー!!」
(まずい、このままでは私の崇高なる使命が果たせません!)
あがくヨルに、コツコツと歩み寄る足音が響き渡った。
「……!?!? この、ドリイイイムのデカさ……Hカップ! Hカップを望む者がいマスネ!?」
「へっ」
わんこが指を向ける。わんこフィンガーが容赦なくヨルに炸裂する。
「わんこ、機械に生まれた事を悲観とかはしてないんデスヨ……乳が自然にでかくならねえって事を除けばなぁ〜〜〜」
「ぐあああーーーー!」
「うっせぇ女の子デスモノないすばでぃに憧れたっていいでしょ!!??
そぉら占ってみろよ!! 高らかに声を上げろ!! Say Ho!!」
Hカップへの渇望が辺りをこだましていた。
●胸に秘める思い
「先ほどから、……胸ばかり見ているな」
モカの毒蜂乱舞脚が、残像が見えるほどの高速でヨルを薙ぎ払う。
やはり、大きく揺れる。
「アナタの好みはアアアア」
「遅い」
メーヴィンは護戦扇【陽玉裏】をひるがえした。スリットからは脚が覗いている。今更、性癖が暴露されたとてなんになるというのだろうか。
「んむ、殴るのは任せるよ」
「「猫耳!」」
「「メイド!」」
「猫系ナース!」「わんこ系後輩!」
ジョーイとのシンクロがずれる。
「ぐふっ」
倒れたのはヨルのほうだった。ジョーイの守備範囲は、広い!
「おやおやおや~、その程度でありますか~?」
ぱんと鞭がしなる。
「できれば占うのも忘れて私に夢中になってて欲しいけど。占っても無駄よ無駄、意外かもだけど私に好みの大きさって概念は存在しないわよ?」
ふん、と嗤う利香。
「そりゃぁ自分自身に絶対的な自信があるケド、好みの貴賤が無いのは知ってますものね、いひh……」
「メイd……」
「何よその顔、アンタ何見たのよ? ぶっ殺すわよ!?」
(こげねこメイドオオオオオ)
知ってはいけない情報を知ったヨルはもちろんムチの餌食となる。
「このっ……しぶといわね、早く倒れなさいよ!」
ノワールの魔力放出が、ヨルを襲う。
「させないよっ!」
庇ったチャロロに、謎の占いが炸裂する。
「バストは大きいのが好み~♪」
「!?」
「ばいんばいん……たゆんたゆん……。
Cカップ~なんなら夢魔姿の利香さんくらいまでアリ。やわらかそうなお胸さわりたい、いっそ顔をうずめた~い!」
「あらあら♪」
「うわー! 言わないでって言ってるよねー!」
チャロロのレジストクラッシュが、今度こそヨルを打ちのめす。
「犠牲は無駄にしねぇデス!」
飛びつくわんこ。
鋼鉄のアロガンスレフトが、ヨルに突き刺さる。
「グアアアーーーー!」
「占ったからにゃあおっぱい大きくしてもらうまで帰らねぇからな!!! はい趣旨が違いマスヨネ!!!」
「ド、ドリーーームウウウウ」
ヨルは爆発四散した。
●ヨルの残した爪痕
「ふぃー、悪はたおされたな! よくわかんないけどたぶん悪な!
おっぱいはおっぱいな、そこに良いも悪いも上も下もないな!」
膝をつくチャロロは、心理的なダメージが大きかった。
「うぅ、みんなの前でこんなことバラされちゃうなんて……はずかしいよ。
ちょっと泣きそうなんだけど……」
「少年、頑張ったであります」
「忘れますよ! 大きいのが好みだというのはメモリから消去しマス!」
「うわああ! ぜんぜん消去されてないよね!?」
「大丈夫だ、チャロロくん。この中に言いふらすような者はいないだろう。……多分」
「そうね。庇ってもらったしね。怒ってあげるから」
と、ノワール。
(……中身は思春期真っ盛りの男子学生なんだ、仕方ねえだろ)
「いやー、バスト占い師は強敵でありましたな」
しかし、と、ジョーイは思う。
PLASHの亡霊は本当に”あれ”だけなのだろうか?
(それに備えて吾輩期限が切れるまでにブロック崩しコンプしてみせますぞ!)
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
ひっどいヨルでしたね!畜生、許せねぇよ……!
書いていてとても楽しかったです。
次は何だ……また機会がありましたら!
GMコメント
ご指名ありがとうございます!
昔懐かしきPLASHの黄金時代を思いながら、今しかない……今年しかない……と思ってつい手が勝手に……。
クリスマスになにやってんだ。
いろいろと疑問はつきませんが、どうぞお付き合いくださいませ。
●目標
ヨル<バスト占い師>の撃破
●状況
再現性東京:Latestでかつて流行ったPLASHが爆発的に広まっています。
PLASHのサービス終了を前にして、ブームは再び盛り返しました。
その影響で、ネットミームのヨルが生まれました。
●バスト賛歌
『Fカップ好きは自分に素直♪』
でも夢があふれてて良いと思います。私は良いと思います。
かつて、再現性東京:2010……いやもっと前……くらいで流行っていたWebコンテンツです。好みのバストに応じて性格占いをします。
使われている技術(PLASH)がサポート対象外になり、2021年には観覧が出来なくなると言われています。
そのための【追悼式】のようなものが各地で活発に行われ、ミームがヨルと化しました。
●人類の敵
バスト占い師:
男女問わず「好みのバスト」を占ってダメージを与えてきます。
とはいえGMに千里眼の力はないのでプレイングに書いておくと適当に拾われたり拾われなかったりすると思います。
「好みのバスト」の意味は広く、憧れの人のバストだったり、自分の理想のバストだったりするんでしょう。男のバスト(胸筋?)もまた範疇です。
ほかにもいろいろなことを知っているかもしれません。理想の人のタイプとか。
バラされたくない場合は、大声で聞こえないようにしたり早めに殴り飛ばしましょう。なんとかなります。
良いバストに釣られるようです。露出の多い格好をすると釣れるでしょう。男女問いません。大胸筋もまたよし。aPhoneから出現します。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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