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シナリオ詳細

年の瀬に酒盛りするぞオラァ!!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●つまりは酒が飲みたいようです
「やあやあお歴々、年末年始のご予定はいかがかな?」
 『ツンドラの大酒飲み』グリゴリー・ジェニーソヴィチ・カシモフはいつも以上に満面の笑みを浮かべて、そう特異運命座標たちに告げた。
 この獅子面の男がいつもご機嫌な笑みを浮かべているのは改めて言うことでもないが、今日はいつにも増して機嫌がよさそうだし、頬が赤らんで見える。
 訝しむ表情をした特異運命座標に、グリゴリーは大きく両腕を広げながら言った。
「いやなに、時期が時期だろう? もうすぐエドゥアルド・メッセー、そして新年だ……あぁいや、そうだ、確かお歴々の世界では、12/25のあれを別の呼び方をするんだったっけ? まぁいい、そこは大した問題じゃない」
 相変わらず勿体ぶった話し方をしながら、グリゴリーがにやりと笑う。その口振りに、ますます首を傾げる特異運命座標だ。
 相手方の様子に片眉を持ち上げて、彼は話を始める。
「いやなに、俺の行きつけの酒場……ああ、故郷とは別の世界の方だがね、そこが酒を注文したんだが、何かの手違いで大量に届いてしまったんだ。エールも、ワインも、ウイスキーもブランデーも。もう、店の中が酒で埋め尽くされんばかりだ」
 曰く、グリゴリーの行きつけたる「雪中の青熊亭」は様々な酒が質よく並ぶ。どんな酒飲みでも喜ばせられると自負する店主の元、色んな酒を仕入れては提供していたそうだ。
 しかしそれが、今回は仇となる。あまりにも多種多様に揃えているからこそ、少しでも過剰に買ってしまうと、一気に在庫が膨らむのだ。
 先端に房の付いた尻尾を揺らしながら、グリゴリーが口を動かす。
「で、店主は考えた。これだけの酒をダメにするのは勿体ない、しかしよそに売り渡したら酒場の名前に傷がつく。ということで、格安で大量放出することにしたのさ。前金をいくらか払えば飲み放題だ」
 そう言いながら、カバンの中からウイスキーのボトルを取り出し、手元のショットグラスにとくとくと。注いだそれを一息に飲み干してから、グリゴリーは目を細めて言った。
「ここまで言えば分かるだろう、お歴々? 俺が前金を払う、五人分だ。年末年始の目出度さにかこつけて、しこたま飲もうじゃないか。なぁ?」
 その言葉に、何人かの特異運命座標が声を上げる。
 つまりは飲んだくれるだけの依頼だ。酒を飲んで、飲んで、飲んで、それで一つの店が救われる。素晴らしい話ではないか。
「酒の種類は多種多様。言えば大概のものは出てくるだろう。だが、飲みすぎは厳禁。酔いつぶれたとして、俺はお歴々をこの図書館まで引きずり出して放置するほど、薄情でもないのでね」
 そんなことを言いつつ笑う彼。優しいんだか、そうでないんだか。どの道、飲みすぎ一気飲みは御法度だ。自分の限界は自分で知らなければならない。
 そしてその手の中のショットグラスで円を描きながら、グリゴリーは目を細めて言った。
「クリスマス、年末年始、そして大量の酒。飲まないわけにはいくまい。そうだろう、お歴々?」

NMコメント

 特異運命座標の皆様、こんにちは。
 屋守保英です。
 クリスマスです。新年です。ということで酒盛りしましょう。ええ。

●目的
 ・たらふくお酒を飲む。

●場面
 グリゴリーが頻繁に出入りしている世界、エンサイン王国ハーストン領コーンウェル村にある酒場「雪中の青熊亭」です。グリゴリーの行きつけです。
 何かの手違いで大量に酒が届いてしまい困っているため、超格安で放出しています。前金でグリゴリーがそこそこの金額を酒場に渡しており、特異運命座標は彼に招かれた客という形になります。
 つまりは飲み放題です。
 なお、グリゴリーも同席して一緒に飲みます。プレイングで言及いただければ登場します。

 それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしております。

  • 年の瀬に酒盛りするぞオラァ!!完了
  • NM名屋守保英
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月02日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
雑賀 才蔵(p3p009175)
アサルトサラリーマン
冰宮 椿(p3p009245)
冴た氷剣
白萩(p3p009280)
虚構現実

リプレイ

●飲み納め
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)はげっそりしていた。
「シャイネンナハト……それに年末年始。楽しい催しが続くこの寒い季節。冷えた身体を温めて楽しく過ごすとなるとやはり……酒だ!!」
 『アサルトサラリーマン』雑賀 才蔵(p3p009175)も。
「お酒が飲み放題! とてもいい事です!」
 『氷翼』冰宮 椿(p3p009245)も。
「シャイネン? 年の瀬? 馬鹿野郎どっちの分もだ盛大に飲もうじゃねェか!」
 『虚構現実』白萩(p3p009280)も。
「はっはっは、どんどん飲んでくれお歴々、金は既に支払い済みだ!」
 案内役であるはずのグリゴリーでさえもだ。並外れた酒飲みばかりなことに、世界は絶望の面持ちだった。
 「雪中の青熊亭」の中は確かに酒で溢れかえっており、あちらこちらで酔客がジョッキを交わし合っている。そこに加わる我々五人。それはもう間違いなく、この店の酒が空になろう。
 だが、それでも。
「今日は無礼講、周りには浴びる程の大量の酒……! ならばみんな楽しく飲むぞ!!」
「ええ、お酒は大好きですとも! 人生の潤滑油です、至高の飲み物にございます! 全力で呑みますよ! それこそ朝日が登るまで、登ってからも呑みますよ!」
「そっちの兄ちゃん……グリゴリーっつったか。お前さんもこっちで飲め。な?」
「勿論だとも白萩の旦那! 共に飲まずしてどうしてこの場を催せようか!」
 四名は早速飲む気満々である。世界の悩ましい思いなど全く考慮になくて。小さく頭を振って、世界は口を開いた。
「あー……いいですか、そこの酒飲み四人」
 早速頼む酒を選び始める四人に世界は声をかけると、くいと親指を厨房に向けながら言った。
「つまみはちゃんと食ってください。あと水も飲んでくださ」
 その言葉に、目を見開く椿を除いた三人。からりと笑いながら才蔵が鞄から袋を取り出して。
「勿論だとも、存分にツマミも買ってきた!」
「あァ、休憩を挟むのは大事だからなァ……俺にはこいつもあるしよ?」
「わたしはそこまで気を使っていただかなくても。全然問題ないので!」
 白萩が煙管を手にしながら言えば、椿は我関せずとばかりに笑う。グリゴリーがその獣面を柔らかく崩しながら、世界に言った。
「なに、この場にいるのは皆、弁えた酒飲みだ。無論、回言の旦那もそうだろう?」
「……はぁ」
 案内役の彼の言葉に、世界はもう一度頭を振る。もう自分が何を言っても無駄だろう。世界は腹を括った。
「グリゴリーさん、この店のメニュー、見せてもらえますか」
 彼からメニューを受け取り、世界はその中身に視線を落とす。甘いタイプの酒がどれだけあるか、今からチェックしなくては。

●年越し酒
 そうこうするうちに五人の前にグラスが運ばれてくる。ビール、ハイボール、それぞれ物は違うが。ビールジョッキを、まず才蔵が掴んで掲げる。
「さぁ小難しい挨拶も御託も抜きだ! 乾杯!!」
「かんぱーい!!」
 椿が、白萩が、グリゴリーがジョッキを掲げて声を上げた。世界も付き合いでファジーネーブルのグラスを掲げるが、その手付きは重い。
 ジョッキをぐいっと傾けた才蔵が、嬉しそうに笑いながら言った。
「いやぁ、異世界だという話だからどんな酒が出てくるのかと思いましたが、質の良いビールが出てくるじゃないですか! んっぐっぐっ……ぷはぁーっ!」
「おっ、いい飲みっぷりじゃないか雑賀の旦那! いいだろう、この世界は麦の生産が随分盛んでね」
 ジョッキを一気に干しにかかる才蔵にグリゴリーが笑う。そう言えばこの王国は、小麦や大麦の生産が随分盛んなのだったか。
 ファジーネーブルを静かに飲む世界に、椿がふっと視線を投げる。
「あら、世界様もまずは甘いお酒から参ります?」
「ああ……甘いやつがあって助かりました。おっ椿さんもう無いですね、次行かれます?」
「ええ、呑みやすいのでどんどんイケますね。呑みます」
 世界が視線を返せば、椿のキールロワイヤルはもうほぼ空で。世界がメニューを渡せば、椿は素直に受け取り次を選び始めた。
 彼らの様子を見ながら、白萩が感慨深げにビールを飲む。
「……なんやかんや今年は色々あった気ィするが、一番は此処に居る事かねェ」
 飲んだくれている面々の、それに振り回されている男の姿を見るのでも十分に楽しい。そして何よりも。
「こうして知らねえツラと酒飲んで、パーッとやれる。平和でいい年越しじゃねェか」
 そう、この時はまさに平和だ。その平和を享受するように、才蔵が新たなジョッキを手にしながら言う。
「夜は長いからな……俺も酔い潰れないよう気合いを入れなければ……!」
 本当に夜は長いのだ、気合の入れ方を間違わないといいのだが。と、才蔵が世界にふと目を向ける。
「ミスタ・世界、大丈夫か!? 疲れていないか!?」
「無茶してねェだろうな。介抱すんのも限界あんぞ」
「あぁ……心配要りません、そんなに飲んでいませんから」
 白萩も心配そうに目を向ければ、世界はようやく飲み終わろうかという一杯目のファジーネーブルを掲げた。それを見て安心したか、白萩が傍を通った店員を呼び止める
「店員、そのピッチャー幾つある? 出来るだけ水入れて置いといてくれ。あとアテが欲しい」
「ああそうだ、ツマミを追加しましょう。チキンフライとベイクドポテト……それと一人分でいいんでプリンと、チョコレートサンデーを」
 それに乗っかるように世界が注文を告げれば、後に付け足された内容に椿が目を見張った。
「あら、甘いもので飲まれる方なのです?」
「確かにそういう風にして酒を飲むやつは、あっちにも居たけどなぁ」
 才蔵も不思議そうな顔をして世界を見る。プリンにチョコレートサンデー、一般には酒のつまみにはならなさそうなものだけれど。
「いいんだって、俺にとっては甘味も酒のつまみになるんだから」
 世界は頭を振りながら言う。そして四人の視線を受けて、念を押すように言った。
「……決してただ食べたい訳じゃあないぞ?」
「いいんだよ、食いたいもんを食いたいように食えばいい……さて、ちっと休憩するか。煙草吸ってくらぁ」
 彼の言葉に白萩は頷き、煙管を手にして立ち上がる。店の外に足を向ける彼を止めるものは、誰も居ない。

●飲み初め
 それからどんどん時間は過ぎて、各々かなり酒が入ってきた。それでも椿は変わらず元気だ。
「お次は度数の高いモノをくださいな! ええ、ウィスキーのような!」
「お、冰宮のお嬢さんいくかい? だったらこのウイスキーがおすすめでね」
 こちらは結構酒が入って赤ら顔、しかし酒の紹介はしっかり出来るグリゴリーがおすすめのウイスキーを紹介する。彼と彼女の姿に、既に疲れ気味の世界がぼやく。
「いいのかね?」
「いいんじゃないかな、彼女は全然平気そうだし」
 才蔵が四杯目のビールのジョッキを空にしながら、ふと笑った。確かに椿はけろりとしている。気にしなくてもいいのかもしれない。
 と、才蔵がネクタイを一気に解いて頭に巻き始めた。
「そうだな、俺もそろそろウイスキーに切り替えてじっくり飲もうか。こう、こうして気合を入れて……」
「その巻き方……さては才蔵さんも元の世界って『そっち』系です?」
 その姿を見ながら、世界が目を見張った。こうしてネクタイを頭に巻くやり方、ステレオタイプだ。『あっち』の世界の。
 才蔵がふっと目を細めて言う。
「ああ、ミスタ・世界も生まれはそっちだったかな?」
「ええ……まあ」
 彼の言葉に、世界は小さく頷きながら三杯目に頼んだチョコレートミルクに口をつけた。確かに生まれの世界はそっちだが、今にそれを言ってもしょうがない。
 彼の思いを汲んでか汲まずか、才蔵が持ってこられたウイスキーのロックグラスに口をつけながら言う。
「ああ、そのやり方を踏襲して懐かしむからと言って元の場所へ帰りたいと言う訳でもないさ。今の仕事も存外やり甲斐もある」
 過去に居た世界を懐かしみながら、しかし未練を持たないように才蔵は告げて。そうして彼はもう一度笑う
「それに此方でもこうやって騒げる良い同僚……いや、仲間に恵まれているようだからな……この酒宴に乾杯だ」
「ええ、それは、確かに」
 彼の言葉に、世界も微笑んだ。かつて居た世界に未練が無いわけではないが、戻りたいかと言ったらそうではない。今この世界にいるから、これだけ多彩な世界と触れられるのだから。
 白萩もからりと笑いながら、ブランデーの入ったグラスを傾けた。
「あァ、そうさ。こうした機会を設けてくれたグリゴリーにも、受け入れてくれたこの店にも乾杯だ。次は完全なオフに来てェモンだな」
 そう話して彼は嬉しそうに、会の主催者であるグリゴリーに目を向けた。彼も彼で六杯目のウイスキーに口をつけて、随分頬が赤らんでいる。
「いい店だ、兄ちゃん。おまえさんの案内が無いと来られないってのが惜しいところだがな」
「はっは、俺があの図書館にいる時に声をかけてくれれば、対応できることもあるかもしれないぞ」
 笑いながらグリゴリーがロックグラスを傾けると、もう二桁はグラスを干している椿が声を上げた。
「ええ、折角のこの時期! 楽しまなければ損にございますれば!」
「そうは言うが、大丈夫なのかいアンタ。さっきからとっかえひっかえ、結構な量飲んでるけどよ」
 心配そうに白萩が声をかけるが、椿は全く気にしない様子で。
「わたし? まだまだ呑みますよ!! ああでも無理はご法度ですよ! 楽しくなくなってしまいますし、何より明日が辛くなってしまいますからね!」
 彼女の言葉に、世界も才蔵も大きく肩を竦めて言った。
「……やれやれ」
「こいつは、本当に店の酒が尽きそうだな」
 その後、休憩を入れ始める四人に対して椿は休みなく飲み続け、本当に、本当の本当に日が沈んでまた登って、明るくなる頃まで店の酒を一切合切飲み尽くしたそうな。

成否

成功

状態異常

なし

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