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シナリオ詳細

ハグルマカンフーハイテンション

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ハグルマゴーレム
 両手の平を合わせ、瞑目し、片足を上げるシルエット。
 それが針の如くとがった岩の先。高さ20mの地点に立っていることから、このシルエットの心と体のバランスを知ることができよう。
 そして腕や腰、頭や足、全身のありとあらゆる箇所から大きなハグルマが覗いていることから、『彼ら』がヒトではないことがわかるだろう。
 彼らはハグルマゴーレム。
 古代の錬金術師によって作られたという、『達人の練習台』である。
「――」
 人語ではない何かを呟き、針山から跳躍する。
 ハグルマゴーレムは宙を回転、複雑な縦横回転をはさんでから、地におりた。
 対抗して剣を抜き、盾を構える鎧の戦士。
「皆! 俺が敵を引きつける。ヒーラーは回復、後衛は射撃に集中してくれ。いくぞ!」
 彼を含めた6人のチームは、大地に降り立った三体のハグルマーゴーレムへと身構えた。
 先頭の戦士が『やあやあ我こそは』と名乗りを上げるが、ハグルマーゴーレムたちは意にも介さない。どころか、咄嗟に繰り出した盾による突撃を宙返りによって軽々と回避してしまったのだ。
「なんという回避性能――まずいでやんす!」
 ポーションを掲げた眼鏡の少年が叫ぶやいなや、ンギャーといって掌底を浴びせられた。宙に浮いたところへ蹴りと殴りのラッシュが更に浴びせられる。
 地面につくより早く突撃してきた別のハグルマゴーレムが肘を入れ、まるで巨大な闘牛に撥ねられたかのように吹き飛んでいった。
「くっ、まずい……ここは撤退だ!」
 戦士はノビた仲間を担ぎ上げ、その場から逃げ出した。

●事情と事情
「やあ。戦うの、得意だったよね? ピッタリの仕事があるんだ」
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)が翳した依頼書にはこうあった。
 『ハグルマゴーレムの討伐』。

 ラサと幻想を繋ぐ商業通路のひとつ、通称黄色商路に最近見慣れぬモンスターが出現し、通りがかる者を無差別に襲っていると言う。
 ショウがあちこちの情報をかき集めた所、それが『ハグルマゴーレム』であることが分かった。
 商人ギルドは自らの利益のため、これの討伐をローレットへ依頼したのである。
「ハグルマゴーレムっていうのは、簡単に言えば『戦闘マシーン』さ。
 高い回避性能と機動力、格闘センスと連携力。
 これをただ戦闘することだけに費やしている。
 古い錬金術師が達人の練習相手として作ったらしいんだけど、埋蔵されていた個体が動き出しちゃったみたいだね。
 とはいえ、摩耗も激しい。人数を集めて力を合わせれば勝てない敵じゃないはずだよ」

 彼らを倒すことで商業という血は大地を巡り、人々という肉をつけるだろう。
「世界平和のため、なんて言わないけど……どこかの子供がキャンディを食べられる明日のために、頼んだよ」

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:ハグルマゴーレムの破壊

 ハグルマゴーレムは全部で『5体』。
 高い回避と機動力を持ち、近接戦闘を得意としています。
 連携プレイも得意なので、分散させて別々に戦うのが得策でしょう。(集中攻撃を狙うと逆にこっちの頭数を減らされるリスクが生じます)
 参加PCの顔ぶれによっては中後衛タイプの近接対応がネックになってくるかもしれません。

【ハグルマゴーレムとリミッター】
 これらは戦闘経験のある傭兵団や学者から集めた情報です。
 『ハグルマゴーレム』にはリミッターがかけられており、戦闘からしばらくたつと解除される仕組みになっています。
 解除されるまえに倒しきるのは(試した人たちがいたけど)かなり無理があるそうなので……
 ①序盤に敵をマーク・ブロックして分散させ数を減らす(後に残す個体にもしっかりダメージを与えておく)
 ②残ったリミッター解除後の個体をごり押しで倒す
 という流れになるでしょう

 リミッター解除後の個体は攻撃力、命中、クリティカル、EXA、防御技術がそれぞれ大きく上昇します。
 総合戦力を『自分たちと同じかちょっと上』くらいに想定しておくと安定したプランを立てることが出来るはずです。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ハグルマカンフーハイテンション完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月24日 23時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

アト・サイン(p3p001394)
観光客
シーヴァ・ケララ(p3p001557)
混紡
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
美面・水城(p3p002313)
イージス
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)
ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)
特異運命座標
ロズウェル・ストライド(p3p004564)
蒼壁
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
鳴神 香澄(p3p004822)
巫女見習い
最上・C・狐耶(p3p004837)
狐狸霧中

リプレイ

●アクセス
 岩の上に片足で立ち、両手を合わせて首を左右にかくかくとやる『狐狸霧中』最上・C・狐耶(p3p004837)。
「あいやー、達人ネ。達人。私知ってますよ。ワックスかける――ワックスみがく――ワックス――」
 謎の運動を始める狐耶をしばらく鑑賞しつつ、『断罪の呪縛』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)が指輪の表面を撫でた。赤い宝石が陽光を照り返す。
「見慣れない動きと高い運動能力……学べる事は多そうだわ。装備を試す相手としても、申し分ないわね」

 ずっと遠くの空を、大きな鳥が飛んで行く。
 岩肌がむき出しになった谷を、甲冑を纏った『蒼壁』ロズウェル・ストライド(p3p004564)が進む。
「過去の錬金術師が残したと言われているゴーレムですか。ゴーレムにも様々な種類があったと思いますが……成程、摩耗も激しい今が倒すべき時だと」
「格好いいなあ。一家に一台欲しいなあ……」
 なんだか憧れの混ざった口調でぼんやりと呟く『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)。
「ね、ロマンだよね。リミッター解除なんて機能もあるっていうし、ロマンだよねえ」
 コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)がにこにこしながら依頼書を読んでいた。
「どんな仕組みなのか気になるなー。歯車っていうから物理動力かなー」
「ゴーレムというくらいですし、精霊や魔術のたぐいでは」
「ところで」
 ほどけかけていた髪を結び直しつつ、『特異運命座標』ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)はコリーヌたちのほうを向いた。
「ゴーレムって、モンスターなのよね?」
「成り立ちはともかくとして、そうなんじゃない? カカシが高速回転しながら襲ってきてもモンスターなわけだし」
「なるほど……?」

(一体誰が何を思うてこんなゴーレム作ったんやろうなぁ)
 と、ぼんやり考える『海洋の魔道騎士』美面・水城(p3p002313)。
 そんな彼女と、『巫女見習い』鳴神 香澄(p3p004822)は護符を点検しながら依頼内容について会話していた。
「連携してくるだけではなくリミッターとはまた厄介な機能が搭載されてますね……連携されないように抑え役として頑張りましょう」
 香澄も水城も、本作戦でこの『抑え役』を担っていた。口で言うのは簡単だが、実際にやろうとするとそう簡単ではない。陣形や素早さや、敵の動きや相性その他諸々。下手をすると相手にスルーされるなど、行動そのものが大幅に空振りするリスクも潜んでいた。
 作戦やスペックが噛み合うか、否か。
「さあて、やっちゃうとしよう!」
 『観光客』アト・サイン(p3p001394)は拳を突き上げて気合いを入れた。
 こっくりと頷き、剣を手に取る『混紡』シーヴァ・ケララ(p3p001557)。
「名も知らぬ子のキャンディの為、頑張りましょうか」
 彼らは武器を手に取り、足を止める。
 まるで到来を待っていたかのように、宙返りをかけながら五体のハグルマゴーレムが着地した。
 一糸乱れぬ動きで格闘の構えをとる。
 シーヴァが、打根をするりと滑らせる。
 コリーヌが、斧を肩に担ぎ上げた。
「それじゃあ皆、作戦通りに――レッツごー!」

●エンカウント
 一斉に走り出すハグルマゴーレムたち。
 対して、シーヴァは正面から剣を構えて突っ込んだ。
 中央のハグルマゴーレムが跳躍し、浴びせ蹴りを繰り出してくる。
 刀身を盾にして受け止めるシーヴァ。強烈な衝撃に体勢を崩されそうになるが、足を踏ん張ってこらえた。
 集中攻撃をしかけるべく宙返りをかけながら側面へと回り込む両サイドのハグルマゴーレム。
 が、彼らがシーヴァの側面をとるよりはるかに早く水城がショルダータックルをぶちかました。
 インパクトの寸前に手のひらを突き出したハグルマゴーレムは吹き飛ばしこそ免れたものの、水城によって壁際にまで押し込まれていく。
「こっちは任しときぃ」
「なら私は――」
 香澄がお札を一枚千切ると身体に茨が巻き付けられていく。シーヴァの背へと打撃をいれようとしていたハグルマゴーレムの肩をつかむと、無理矢理自分のほうを向かせて引っ張り込んだ。
 彼女を振り払おうと手刀が繰り出されるが、宙に浮き上がった鏡が防壁を築き手刀の衝撃を受け流した。
「何とか三体。残りは――」
 ハッとして顔を上げると、ハグルマゴーレムが壁を駆け上がる勢いで香澄たちの後ろへと回ろうとしていた。
 壁を蹴り、宙を回転し、蹴りを繰り出すハグルマゴーレム――に空中で蹴りをあわせる狐耶。
「あいやー」
 表情こそぼやっとしているが、鋭い蹴りはハグルマゴーレムの蹴りを完全に無力化し、そのまま壁際まで蹴り飛ばしてしまった。
 両手を合わせたへんてこな姿勢で着地し、また首をかくかくやる狐耶。
「正々堂々正面からカンフーで打ち破るのが人の道武人の道ですアルヨ」
 狐耶の首を狙って手刀が放たれるも、上半身をくいっと動かすだけで回避。続けて繰り出されるもう一体の飛び膝蹴りは手のひらを翳すだけで受け止めてしまった。
 ムキになったわけではあるまいに、回し蹴りに転ずるハグルマゴーレム。
 が、その足はアンナによってキャッチされてしまった。
「あなたのお相手は私。他の人に目移りするなんて嫌だわ」
 幼い顔をどこかサディスティックに歪めると、仰向けに叩き付けられたハグルマゴーレムの腹めがけて水晶剣を突き立てた。
 転がって回避するハグルマゴーレム。そのまま身を転じて回し蹴りを打ち込もうとするも、アンナは軽やかにその場から跳躍。空中にいながらにして剣による高速連突を繰り出していく。
 五体のハグルマゴーレムがそれぞれ分断され、孤立しはじめる。
「いよっし!」
 目をキラリと光らせたコリーヌは、ここぞとばかりに斧を振り込んだ。
 狙いはシーヴァが受け持つ個体だ。
 背後から叩き込まれた斬撃を、咄嗟に腕で防御するハグルマゴーレム。
「まずはこいつに集中攻撃! 皆つづけー!」
「アシストするわ――!」
 背後からヴィエラの声。
 コリーヌとシーヴァは素早く飛び退き、反撃の手刀を空振りしたハグルマゴーレムの腕めがけてヴィエラの剣が打ち込まれた。
「近接戦闘が得意で割と長期戦になりそうな相手だし、長々と戦えばリミッターが解除されて私達が不利になる厄介な相手ね……けど、これで解決できるならまだ私向けだわ!」
 マントを腕に巻き付けて体勢を固定し、剣を身体の関節へと差し込むヴィエラ。
「いいねそれ! どうなるか気になってたんだ!」
 そう言ってアトが背後に回ってナイフを差し込んだ。
 ガギギギギという激しい音がなり、火花があちこちから散っていく。
 ハグルマゴーレムは苦しむようにもがいた。
「行きましょうか。我々が過去の達人にも劣らないという事を示してやりましょう」
「了解。達人には程遠いけど、いい一撃が放てるよう頑張るよっ」
 突撃をしかけるロズウェルと威降。
 大胆に繰り出されたロズウェルの剣が、ハグルマゴーレムの腕を肩の部分から切断した。
 バランスを崩してよろめくハグルマゴーレム。飛び散る無数のパーツ。
 それらをかいくぐるように、威降の刀がハグルマゴーレムの胸を貫通した。
 がちがちと音を鳴らしながら腕を振り上げるハグルマゴーレム。
 だが威降は瞑目し、刀を引き抜くのみだった。
 動きをとめ、崩れ落ちるハグルマゴーレムを背にして。

 狐耶やアンナたちがしっかりと押さえ込んでくれているおかげで序盤はかなり順調に進んだ。
 オーラを交えた打根を投擲するシーヴァ。
 外装を砕き脳天を貫かれ、ハグルマゴーレムが大きくのけぞる。
 香澄は治癒符を自分の胸に当てて痛みを飛ばすと、扇状に開いたお札の束をハグルマゴーレムめがけて乱射した。
 身体のあちこちに張り付き、組織を崩壊させていくお札。
 額から血を流した水城はとどめとばかりに刀を走らせ、ハグルマゴーレムの首をはねた。
 からからと腕が回転し、水城の肩に掴みかかる。
 この程度――と振り払おうとした途端、強烈な握力に水城は顔をしかめた。
「あかんっ……」
「リミッター解除だ!」
 肩を壊され、後退する水城。
 コリーヌはロズウェルに合図を送ると、全身から煙をあげるハグルマゴーレムへと突撃していった。
「交代ブロックを――」
「任せてください」
 剣もろとも体当たりをしかけるロズウェル。
 しかしハグルマゴーレムはそれをパンチ一発で相殺すると、剣の上を駆け上がるかのようにロズウェルの上をとった。
 首を掴み、ごきりとひねる。
 なんのとこらえ、相手の腕を掴むロズウェル。
「今です!」
「さんきゅう!」
 腰に斧を叩き込むコリーヌ。
 熟練のスラッガーのごとくジャストミートした斧は腰のまんなかまでめり込み、さすがのハグルマゴーレムの動きを一瞬止めた。ぱきぱきと歯車が散っていく。
 一方でロズウェルの身体にめり込むハグルマゴーレムの腕。
「回復が――!?」
「いいえ、攻撃が先よ」
 ハグルマゴーレムの頭を掴み、至近距離で打根を打ち込むシーヴァ。
 がくりと膝をついたところで、ヴィエラが剣を大上段に構えて振り込んだ。
 真っ二つに切り裂かれるハグルマゴーレム。
「お役目はもう終わり、お相手をありがとう」
「お疲れ様でした」
 息をつくヴィエラの一方で、ロズウェルとシーヴァはハグルマゴーレムに別れの祈りを小さく捧げていた。

 ハグルマゴーレムが各関節部から煙を吹き出し、いくつかのパーツを開放した。
 まるで高熱にかけた鉄のように全身を赤く発光させ、凄まじい速度で攻撃を繰り出してくる。
 常人の目、喉、首筋から鎖骨の隙間、その他諸々の弱点を指先で貫こうと高速連撃を繰り出してくるハグルマゴーレム。
 対して、狐耶は手のひらを顔の前でしゃかしゃか動かすだけで対応していた。
 否、常人の目にはまるで分からない速さでハグルマゴーレムの手首を打ち、指を受け止め、打撃を流しているのだ。
「ワックスかける、ワックスみがく、ワックスたべる」
 ぱちん、と空中で挟んだ手がハグルマゴーレムの手首をキャッチした。
 大きく捻るように相手の身体をからめとり、腕ひしぎの要領で相手の体勢を固定した。
「ワックスもやす」
「も、もやす!?」
 合図を受けた香澄があせった様子でお札を投げた。炎に包まれたお札がハグルマゴーレムを燃やし始める。
「か、回復はいいんですか?」
「ちょっとすりむいた」
「そういうときは観光客印のポーションで体力をもたせてくれ!」
 栄養ドリンクの看板みたいな顔で瓶を取り出したアト。
「材料? 企業秘密さ! 回復すればいいんだよ、回復すれば! 味とか、質感とかそういうのは二の次でいいんだよ! 女性にオススメ白濁した粘性のポーションとかも」
「いらない」
「いらないね!」
 そりゃーといって狐耶の頭から瓶の中身をかぶせるアト。
 経口摂取とはいっていない。
 そうこうしている間に、威降がハグルマゴーレムへ飛ぶ斬撃を繰り出していた。
 すぱんと飛んでいく首。腕をパージして拘束から逃れるハグルマゴーレム。
 超高速で回る身体が狐耶を切り裂こうと狙うが、同じく超高速で繰り出した蹴りがそれを相殺していく。
 その隙をつくように、威降の剣がハグルマゴーレムを切り裂いた。
「いいね。……こういう戦いは大好きだよ。修行の相手を、ありがとう」

 残るは一体。
 と思っていたら。
 コマのように回転するハグルマゴーレムの攻撃を、アンナはシールドを斜めにすることでいなしていた。
 腕が不自然に伸びて喉を狙うも、アンナは高速スウェーで回避。
 高速の突きによって肩を打つと剣に炎を纏わせて切りつけた。
 赤く発光した外装が切り裂かれ、炎があがる。
 反撃にと繰り出された掌底――がアンナの盾にぶつかる。
 盾の隙間から繰り出したアンナの剣がハグルマゴーレムの胸を貫いた。炎がより一層に大きくなる。
「結果は、見えていたわね」
 はた、と気づいて首を180度反転させるハグルマゴーレム。
 その背後からはコリーヌやヴィエラが跳躍大上段斬りというかなり大胆な攻撃に出ていた。
 上半身を反転して防御に出ようとしたハグルマゴーレム――の肩がばきんと音を立てて爆ぜた。アンナの仕掛けた突きがまるでトラップのように作用したのだ。
 反応の遅れたハグルマゴーレムの身体が派手に破壊されていく。
 剣を抜き、アンナは深く息をついた。
「本来はもっと強かったのよね…。さすが達人の練習台、といったところかしら」

●ハグルマゴーレム
 戦闘が済み、イレギュラーズたちは背伸びをしたり深呼吸をしたり、シニカルに武器をぬぐったりと思い思いに過ごしていた。
「そういえばこの残骸、どうするのかしら。研究とか、する?」
 割れた歯車をつまみあげるヴィエラ。
 ぱっと見た感じ、歯車は所々噛み合ってはいるが全身のあちこちで離れていた。歯車で動いているというより、歯車の方を何かの力で動かしているといった具合だった。
「ガラスケースに入れて眺めるくらいしか研究のしようがないなあ……」
 コリーヌはすごく微妙な顔で歯車を見つめた。ミキサーヒヨコじゃあるまいし、とか呟いて。
 横から歯車をつまみあげるアト。
「よし、じゃあ味もみてみよう。――まずい! 鉄の食べられないところみたいな味がする!」
「食べたことあるの?」
「まあ、その、依頼内容は敵の排除ですし……少なくとも依頼主さんは欲しがらないんじゃないでしょうか」
 香澄は『とりあえずお掃除くらいは』といって倒れたハグルマゴーレムをうんしょうんしょと引きずって道の端まで運んでいたが……。
 そんな彼女を、シーヴァがさっと引っ張った。
 何かと思って振り返ると、ハグルマゴーレムが10体ほどまとめて飛び降りてきていた。
「えっなんですかこれは」
 やるんですか? と刀を握る威降。
 だがハグルマゴーレムたちは襲ってくる様子はなく、どころか両手を合わせて立つばかりだった。
 首を傾げる水城。
 ロズウェルが何かを察して剣を納めると、ハグルマゴーレムたちがまるで礼をするように深く頭を下げた。
「感謝されている……のかしら?」
 アンナがちらりと見ると、狐耶が『あいやー』とか言いながら相手のまねをしていた。
 ハグルマゴーレムたちは散った残骸をどこか愛おしそうな様子で拾い集めると、もう一度頭を下げて崖の上へとぴょんぴょん飛んで去って行った。
 なぜこんな場所にあんな数のハグルマゴーレムが現われたのかは分からないが、何かいいことをしたような気がして、狐耶たちはちょっぴり気分がよかった。
 手を合わせたまま空を見上げる狐耶。
 崖の上から、キラキラした歯車が降ってきた。
 まるで贈り物のように。

成否

成功

MVP

アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズの皆様!
 このシナリオはメンバー配置と個々人の行動管理が重要なシナリオでしたが、上手な配置と管理でとても余裕のある戦闘ができました。
 特にコリーヌ様のプレイングがいい働きをしていて、これがないと最悪ゴチャゴチャになっちゃうところでした。
 個々人の活躍で申しますと、狐耶様とアンナ様が素晴らしい働きをしておられました。回避と防御をかなり高いところまで上げていらっしゃったので、リミッター解除後もダメージを大幅に軽減することができました。
 そういった意味でMVP候補が三人いらっしゃるのですが、ここは一つ……
 アンナ様をMVPにコリーヌ様と狐耶様には特別にアイテムを進呈しようと思います。
 軽く100本ほど書いてきて、アイテムを進呈したのは初めてでした。

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